ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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二つの縁談依頼状

 

 

 

 

 

ヴェルフの家族事件から二日が経った

 

まだガロンとヴィルと複数の兵士は解放されないまま、アレスの戦争が終わるまではギルドから解放される事はない。でもその時間はまだかかる。なぜなら

 

 

まだアレス・ファミリアはオラリオに着いていないからだ

 

 

だから今戦地に居るロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアである派閥連合は準備を終えたまま待機状態となっている。ガロンとヴィルのクロッゾと兵士複数がオラリオの中に入るのを確認しているから、もうオラリオの大陸に来ているのかと思ったが、先に偵察部隊行かせ、一時間後に戻ってきた。偵察から帰還してまだ来ていないと報告があった

 

もちろん『メレン』にも偵察するように頼んでいたのだが、そちらも問題なく、いつものように平和に過ごしているらしい。不審な船もなく。いつも通りニョルズが漁師の仕事で大量に魚が取れたなど、問題は一切無いまま平和を謳歌しているようだ

 

 

それでロキ・ファミリアと言うと

 

 

「はあ・・・・まだアレスは来ないんか?」

 

「ここからラキアはまだ時間が掛かる。そう簡単に辿り着くはずないと思っていたけど、まだ時間はあるみたいだね」

 

「ギルドから防衛の準備だけでいいと聞いておったが、予想以上にまだ戦争するにはちと早かったようだ。用心のために武器も揃えておいたと言うのにのお」

 

 

ロキ・ファミリアはもうそれなりに準備を終えていた。

 

まだアレス・ファミリアもこちらに着くのもまだ時間はあると、偵察隊からの報告を受けており、ギルドからも準備だけしておくように言われている。フレイヤ・ファミリアは以前イシュタル・ファミリアの抗争に手を出してしまったことから、ギルドからペナルティとしてそのまま臨時テントを設置したままアレス・ファミリアが来るまで待機と指示が入っている。

 

それによりフレイヤ・ファミリアはそのまま戦地で待機

 

ロキ・ファミリアはと言うと、別にホームに戻ってもいい指示がある。ただし数名残す形で、アレス・ファミリアが戦地に辿り着いた知らせをするため、数名ここへ残さないとならない。

 

それでここ本部テントに残らなければならないメンバーをフィン達は決めるのだが

 

 

「すまないフィン。私は戻っていいだろうか?」

 

「リヴェリア?君がかい?」

 

「ああ。どうしても今日明日まで一人の時間を貰いたい」

 

「珍しいね?君が一人の時間を頼むだなんて・・・」

 

「どうしてもな・・・・・個人的な事情のために今日貰いたい。アレス・ファミリアは到着するにはまだ五日余裕があるとギルドから聞いた。明日まで時間が欲しい。可能だろか?」

 

「困ったな・・・・僕も欲しいんだけどな・・・・僕もちょっとした事情で・・・」

 

「フィンもか?」

 

「なんだ?お前さん達。二人して一人の時間が欲しいとは珍しいな・・・用事でもあるのか?」

 

「まあ・・・どうしてもね・・・」

 

「ああ・・・・・私もな・・・・」

 

 

なんと団長と副団長であるフィンとリヴェリアがどうしてもオラリオに戻りたいと言ってきた。それも一人の時間が欲しいだなんて、この二人に個人的な私用があるなど、ガレスも主神であるロキも珍しいと思っていた

 

なんだかんだで、団長と副団長の仕事で忙しくて、多分たまには一人の時間や休みが欲しいのではないのかと、ガレスとロキは思っていた

 

特にこれと言って・・・・二人は居なくても困ることもないのは事実。だから二人がどんな理由でそんなことを頼むのかは知らないが、いつも頑張ってくれていると言う理由で、今回はその頼みをロキとガレスは引き受けることにした

 

 

「わかったや。二人ともそれでええよ」

 

「うむ、ワシもお前さんらに居なくてはならん理由もないからの。それで構わんぞ」

 

「すまない、感謝する」

 

「ありがとう。じゃあこことホームに誰が残って貰う者を決めないと」

 

「じゃあ・・・ワシとベートがここに残ろう。ホームにはラウルとアキ達でいいじゃろう。ロキも一応ホームに戻ったらどうじゃ?」

 

「そうやな、ウチも一旦戻ろうか、面倒やけど報告書とか溜まってるんや。今準備完了した事も報告せなアカンし、ウチも一旦ホームに戻るな?」

 

 

と言うことになった

 

ロキ・ファミリアは一旦帰っても、ギルドにペナルティを掛けられているフレイヤ・ファミリアはまだ来るまで戦地に居なくてはならないため、戦地に全員居なくても問題ない。と言うよりアレス・ファミリアを少し片付けて相手の戦力が少しでも減ったら帰るつもりだった。

 

もちろんこれはロキの考え、アレスの軍勢を別に少し残ってもフレイヤに任せるつもりだった

 

とにかくこれでフィンとリヴェリアはホームに戻ることにした

そして、それに連れてベートとガレス以外の団員は一旦ホームに戻って休憩するなりして、アレス・ファミリアが到着するまではなるべくホームに入るようにフィンは指示した

 

 

「でも気になるんやけど・・・・・二人の用事ってなんや?」

 

「それは・・・」

 

「まあ・・・・」

 

 

フィンとリヴェリアが用事を申し込むのは別に構わないが、滅多にそんなことを頼むことなど、ロキは今までにおいて二人が使用で出掛けたいなど、あまりに聞いたことがない。あってもソロでダンジョンに入るくらい、でも今はダンジョンに入る事はギルドにより禁止になっているため、気になってその用事の内容を聞いてみるが、答え辛いのか、何も答えない

 

それもそのはず

 

 

二人は今から『二人とは思えない事』をするからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ヘスティア・ファミリアはと言うと

 

 

「また・・・・この話か・・・・爺さんは俺がまだ未成年だとわからないのだろうか・・・いや・・・・俺の立場上は未成年だろうが関係ないと言う事になるだろうか・・・」

 

 

ヘスティア・ファミリアは金集めも十分にこの一ヶ月余裕のある資金を確保した。それで今週からしばらく、アレス・ファミリアの抗争が終わるまではダンジョンを禁止で。俺達はとりあえずホームに居るのだが

 

それで俺は先ほど故郷にやってきたフギンからの手紙を受け取って確認する。もちろんその手紙の送り主は『俺の爺さん』

 

 

その手紙に俺は・・・・・あまりにも『孫の心配』と言う手紙に少し呆れた

 

 

「やれやれ・・・・・まだ19歳だと言うのに・・・・『嫁は用意したか?』とは・・・祖父とは言え・・・・父のように振る舞うのだな・・・・だから俺の故郷に居る神々は面倒だ・・・・・特にあの『母親』は特に・・・」

 

 

俺が爺さんに送られた手紙の内容は『いい加減嫁ができたか?』と、祖父として孫の将来を心配した手紙だった

 

まだ19歳だと言うのに、結婚などまだ考えられないと言うのに、女の愛すらもわからないと言うのに。結婚はできそうかと親目線の手紙内容だった

 

そんな俺が結婚する嫁ができたかなど、言うまでもなく、そんな女性など居ない。確かにその候補と呼べるような女性は居るには居る。アフロディーテ、ペルセフォネ、エイナ、アルテミス、シルも含めて、俺を愛してくれる女性は確かに居る。俺が本気で結婚を頼めば引き受けてくれる女性で間違いなしだ。

 

でもわからない

 

フレイが教わった愛でもわからない

 

だけど失いたくない気持ちでいっぱいだ。俺を愛してくれる彼女達を失いたくないのは事実。心が失ってもその想いだけは失わず、嘘偽りではない

 

そもそも爺さんがなぜ未成年でも嫁ができたかなどと聞いてくるのには理由がある

 

 

それは俺の一族が早死にするからだ

 

 

俺の父でも20代で戦死したのだ。俺の一族、俺の親父達は幾度にも戦士となって戦死した。言うなら早死に一族。ほとんどが20代で戦場で死に絶える。職業柄危険なことをすることばかりで、戦争で終戦して命を断つか、もしくは強敵なモンスターを倒して力尽きるかなど、つまりは勝利と引き換えに命も費やしてきたのだ

 

俺たちフリードは、所詮使い捨ての存在。

 

勝利を得られるのなら、他人の気持ちなどを考えずに勝利を得て消える。自分の命になど気にしない。人のために散り、故郷のために散り、世界のために散る。それが俺たち一族だった

 

 

何かのためなら命を断つ。自分の意志などを無用と思うほどに

 

 

だから爺さんは幾度もなく俺の結婚を重視してくる。俺たち一族が『何かのためなら自分の命も厭わない』存在だと認識しているからだ

 

 

俺の先祖達は死ぬ前は必ず子孫を残している。だから結婚を早めにして子孫を残すように言われている。俺の一族は『古代』から続く血統。それも1000年前から、神々がこの下界に降りてくる前から繋がる血筋。そんな由緒正しき血統の血筋の子孫であり、尚且つ神々の間に生まれるはずのない神の実の子として生まれた半神半人の異性な男

 

貴重とも言える存在である俺を、爺さんや他に俺の故郷で住う神々が、俺の将来と俺の子孫のために結婚しろと言い張る。

 

そんな価値など、当然俺には無いと思っている。たかが昔から今まで続く血筋なだけ、そして女神の体から生まれるはずのない子供。ただそれだけだ。貴重とは思わない。この下界で異性生物が生まれただけに過ぎない

 

 

だからそのような理由で俺に嫁ぐ女をそんなことで子供を作る道具として使いたくない

まあ、今愛などわからない俺には、こんな手紙に返事すること一つは

 

 

『愛と言うものがわからないから、俺の妻になる女性など居ても、答えられない』

 

 

と、爺さんに手紙に返すのだった

 

 

「フギン。これを爺さんへ」

 

『カア!』

 

「またリュックの中に白菜を入れた。故郷に着いたら爺さんに出して貰って食べろ」

 

『カア!』

 

 

そうしてフギンのリュックに手紙と少しの白菜を入れて、故郷にフギンは飛びだった。伝える事は伝えた。爺さんの手紙には故郷にも俺の英雄雷帝の話は入っていた。遠い北の遥かな所にあると言うのに、故郷の者達は大絶賛。英雄となったから俺を愛してくれる嫁でもできたのだと、爺さんは思っていたのかもしれないが

 

俺にはその心が無いということを、いつになったら理解してくれるのだろうか

 

 

「ジーク。そろそろお昼ご飯にしたいのだけど・・・・・どうかしたの?」

 

「いや、なんでもない。今日はお前が昼飯担当か?」

 

「うん、夜はアフロディーテ様とヘファイストス様と命さんね」

 

「お前やアフロディーテが居て助かる。ウチはお前のデメテル ・ファミリアとは違って団員は数名しか居ないのに中堅派閥だからな。借金もあるが、お前達が居てくれて助かる。おかげで家事も料理も任せられるからな」

 

「ふふふ、なんなら私がいつでも通い妻をしてもいいのよ?」

 

「それはお前のファミリアでも困る話だろう。いつまでもファミリアの仕事を放って、俺のファミリアの家事をするのでは大変になるぞ?」

 

「私はそうしたいけどな・・・・私のファミリアの仕事も両立しながら、こっちで家事するの。全然大変じゃないし」

 

「こんなデカイホームをアフロディーテと共にとは言え。見事だよ。流石はデメテル・ファミリア団長だ」

 

 

いつの間にか。いろんな奴がウチのホームに居候しているせいなのか、ホームの家事はスムーズに進められ、まるで建設したばかりの新品同様の綺麗さを取り戻していた。今まではバイトから帰った後でヘスティアが出来る限り一人で最低限掃除する。ダンジョンの休みの時は俺かベルか命か春姫の四人しかしない。ヴェルフとリリルカは鍛治か書類の仕事で大忙しで、週に三回しかしていない

 

でも今は居候が多く、ヘクトルやアフロディーテやペルセフォネやヘファイストスやエイナやシルやリュー達など。人員が一時的に多くなったおかけで、家事も洗濯も料理も分担するのが簡単になるほど。全てのホームの部屋に掃除が行き届いてた

 

まあ、途中からエイナやヘファイストスも、女として家事や料理くらいできるようにはならなくてはと、いろいろアフロディーテとペルセフォネから教えて貰ったり、こちらも嫁修業と言う名の訓練をしている

 

団員ではないが、いろいろと俺のファミリアの助力になって助かっている

 

 

そしてペルセフォネと俺は食堂に向かった

 

のだが

 

 

「ん?ヘスティアとベルはどうした?」

 

「ギルドに書類を提出するべく二人でギルド本部に行きました」

 

「もうとっくに行ったのに、まだ帰ってこないな・・・・・」

 

 

「そうか・・・どこかで道草をするような二人ではないし・・・何かのトラブルでも巻き込まれたか?」

 

 

食堂にベルとヘスティアが居なかった

 

かなり前にホームを出ていて、リリルカが言うにはもう帰ってきてもおかしくない時間だと言っている。なのにまだ帰ってきてこない。もう昼飯もできていると言うのに。仕方なくこのまま食事を冷ますわけにもいかないため、俺が一人で探しに行こうと、感知をして確認して食堂を出ようとしたが

 

そんなことをする必要もなく

 

 

「ごめん!遅くなった!」

 

「すいません!今帰りました!」

 

 

「帰ってきたか、何かあったのか?」

 

 

「う、うん。まあね・・・・」

 

「はい・・・・・とても、重要な・・・ことで・・・」

 

 

「ん?何かギルドから依頼の話があったか?」

 

 

「それに近い話ですね・・・・神様?」

 

「うん・・・・とにかく。食事が終わったら話をするよ」

 

 

「ああ。わかった」

 

 

二人が遅くなった理由は、誰かに何かを頼まれたらしい

 

でも今は食事に入る所だ。だから食事中に仕事の話はペルセフォネもアフロディーテも怒るため、終わったら話をする事にした。にしても二人の顔が浮かない。余程何か困るような頼み事を他者にされたと想定する

 

とにかく、昼食を終えてから話を聞こうとする。また何かとんでもない依頼をされたに違いないと、覚悟をしておく

 

 

 

それで食事を終えた後、皿洗いの片付けも終えて、なぜか団員ではないアフロディーテやペルセフォネもリビングで席に座って待機している。なんか変な依頼なら助けようと団員でもないが聞こうとしていた

 

それでヘスティアとベルに何を頼まれたのか、改めて聞く

 

 

「聞こう二人とも。誰に何を頼まれた?ギルドからではないようだな」

 

 

「うん。頼まれたのはただの伝言なんだ」

 

「その伝言を伝えて欲しいと頼まれまして・・・・リリとジークさんに伝えるようにと」

 

 

「え?リリがですか?」

 

「なぜ俺とリリルカに・・・・・」

 

 

誰かに伝言を頼まれた。それが二人が頼まれた事らしい。しかもその伝言を伝える相手が俺とリリルカ

 

なぜ俺とリリルカ。その特定の二人だけに伝言を伝えると言うのは一体どういう事なのか、一体誰に伝言を頼まれたのか聞いてみる

 

 

「誰に伝言を頼まれた?」

 

 

「二人居るんだ。それぞれ二人にジーク君とサポーター君に伝えて欲しいと」

 

 

「二人?」

 

 

「えっと・・・・ジークさんには・・・あのロキ・ファミリアのリヴェリアさんから。リリには・・・あのフィンさんから」

 

 

「え!?フィン様!?」

 

「おいおい。ロキ・ファミリアの団長と副団長じゃねえか」

 

「あのハイエルフの方から、ジーク殿に伝言を」

 

「それであのブレイバーから、リリルカ様に伝言ですか・・・」

 

「あのハイエルフのお嬢さんが・・・アドニスにね」

 

「なぜあのナインヘルが・・・・ジークに伝言を?」

 

「あのブレイバーとナインヘルがか・・・」

 

 

「伝言相手はわかった。それで?伝言内容は?」

 

 

伝言相手がリヴェリアとフィンなのはわかった。

 

どういう理由であの二人が伝言をしたのか、そんな理由をこちらが詮索する事も、悩むのは後にして、伝言内容を聞いてから詮索する

 

それでヘスティアから伝える。伝言の内容は・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人に縁談を頼みたいと、言ってきたんだ」

 

 

「「「「「「え!?」」」」」」

 

 

「縁談!?」

 

「それは・・・リヴェリアは俺に縁談を頼みたい。そしてフィンがリリルカに縁談を頼みたい。そういう事だな?」

 

 

「はい。フィンさんとリヴェリアさんで今日ギルドに会って、是非とも頼みたいと、伝言を頼まれました」

 

 

「そうか・・・・・・・」

 

 

内容は縁談

 

それも俺にはリヴェリアからの縁談。リリルカにはフィンからの縁談

 

あの二人が俺とリリルカに縁談を頼むなど、リリルカならともかく、俺にまで縁談を申し込むなど、こればかりは予想はしていなかった。しかも相手はリヴェリア。もう40代で未成年の俺を縁談したいなどと。男を欲しがる欲があいつにもあったのだなと思うと、歳は関係なく、女は相手が気になる人が居ると。年齢関係なく手を出すのだと、あいつにも女としての行動を少しはあるのだと認識した

 

多分長命で不老に近い、エルフでなら。美貌もまだ保ち、老化が亀のように遅いからと。年齢と見た目を誤魔化せる理由も含めて、俺に申し込んだかもしれないと俺は推測する

 

 

「縁談・・・・・つまりはお見合いを頼みたいと言うことだな?」

 

 

「うん。二人に是非頼みたいと言われたんだ・・・・」

 

「なぜ!?リリやジーク様に!?」

 

「アドニスに縁談だと!?しかもあのロキのハイエルフの娘!?」

 

「ジークがあのリヴェリアさんと!?」

 

 

「理由などは言っていなかったのか?」

 

 

「いえ、明日に昼の時間に指定場所をそれぞれ来て欲しいと、この手紙に縁談場所が書いてあります。これを渡して欲しいとだけしか、理由は言ってきませんでした。ロキ様の許可は得ているようです」

 

「ロキ様の許可ありかよ!?」

 

「あの主神様・・まさか・・・・」

 

「アキレウスの母はあの女神トール。その神トールの妹が神ロキと聞いた。事実か?春姫?」

 

「はい。仲が良かったのかは私も知りませんが、ジーク様の母トール様とあのロキ様は姉妹だと聞きました」

 

「ロキ。あの子やってくれたわね」

 

「ジーク。まさか・・・・」

 

 

「かもな。ロキが俺とリリルカをファミリアに引き入れようとしているのかもしれない。あいつのことだからな。俺の縁を取り戻せるなら眷属の結婚も止むを得ずにしたのかもしれない。その手紙を貰えるか?リリルカ。お前も確認しろ」

 

「はい・・・・・」

 

「こちらです」

 

 

俺とリリルカはベルから手紙を受け取る

 

中身を開けて、そこには確かにして居場所もあった。リリルカが受け取ったフィンからの手紙の内容はわからないが、俺に渡されたリヴェリアの手紙はして居場所と少し理由が書いてあった。俺はそれを読んでも表情を変えないが、リリルカはかなり驚愕の顔をしていた。リリルカからすれば同じ同族でも近付き難い相手でもあるからなのか、あのブレイバーからの縁談など。ここオラリオでは女の人気の良さのある男であり、なんの変哲もない女である自分に有名なブレイバーが縁談を頼むとあれば、夢のような話だろう。もちろん突然の招待状だからなのか未だに信じられないとしか思えないと、リリルカの顔を見て推測する

 

 

「ヘスティア。この縁談の話に関して、君の許可は?」

 

 

「えっと・・・・これに関しては僕は・・・・自分の意志に任せるってことで、僕の許可は関係なしで」

 

「ヘスティア!?あなた正気!?」

 

「ジークがこのファミリアを抜けることにもなるんですよ!?そんなことをしてヘスティア・ファミリアの団員を少なくなってより戦力が弱くなったらどうするつもりですか!?」

 

「落ち着いて、アフロディーテ。ペルセフォネ君。だって・・・・ジーク君の縁談だよ。いくら主神である僕に、そこまで咎める資格は無いよ。それに君たちだってジーク君に今お見合い合宿しているじゃない。自分たちはしているのに、今更あと一人増えて縁談を頼むくらい、いいじゃないか」

 

「「うう・・・それはそうだけど」」

 

 

「では俺とリリルカの意思に任せるでいいのだな?君の許可なしに?」

 

 

「うん。こればかりは僕の決めることじゃない。ロキのその考えは憎たらしいけど。そのロキの子供も嘘偽りなくそんなことをするわけないと思っている。二人に好意を持ったのは事実だと思っているよ」

 

「しかし・・」

 

「でも・・・」

 

「落ち着いてください。アフロディーテ様もペルセフォネも、アキレウスはそのナインヘルと言う・・・ハイエルフの女の縁談を受けるのか?」

 

 

「ああ。俺は受ける」

 

 

「アドニス!?」

 

「ジーク!?本気なの!?」

 

 

「今お前らとお見合いをして、リヴェリアの縁談を受けるにしても、今更一つ増えたところで、別に問題ないだろ。それに俺はお前らにも言ったはずだ。俺は結婚は今しないと。まだ未成年の俺にそんなことはわからないと。そう言ったはずだぞ?」

 

 

「た、確かに・・・・」

 

「じゃあ・・・どうして受けるの?」

 

 

「無論気になるからだ。なぜあいつが今になって俺に縁談を頼むのか、ほぼもうあいつとの縁は同業者であること以外は切れたと思っているのに、なぜあいつが今になって縁を取り戻したいのか。縁談をして聞きたいからだ」

 

 

絶縁も良いところだった

 

リヴェリアとはもう縁は切れている、二年前にあの疑い事件でもはや恋愛の縁は無い。知人か同業者くらいしか、もう縁はないはず。なのになぜ今になって縁談を頼まれるのか、もう以前の18階層で終わったと思った。

 

だから聞きたい。

 

今になって俺の価値に気づいたか、本気で今になって俺を恋愛対象に見るようになったのか、どう意味でそんなことを頼むのか、是非とも本人の口から詳しく聞いてみたい

 

 

「俺はこの縁談を受けようと思う。リリルカは?」

 

「えっと・・・・・今日の内に考えます」

 

「そうか、よく考えて選択しろ。相手はあのフィンだ。裕福な暮らしも約束できる。人生において滅多にないチャンス。ヘスティア・ファミリアを辞めても俺は構わない。お前の人生だ。お前の意思に任せる」

 

「はい・・・・よく考えます」

 

「でもこれだけは言っておくぞ。リリルカ」

 

「え?」

 

 

 

「俺たちヘスティア・ファミリアはお前が必要だ」

 

 

「っ!?」

 

 

俺はリリルカの意思になら言う事もなく受け入れる

 

でも俺の意思としてリリルカが掛け替えのない仲間である事を、わかってもらうために俺の意思をぶつける。ヘスティア・ファミリアは少数の派閥。中堅派閥であろうと。少数しか居ない団員のファミリア。リリルカが居て貰わなくても困る。書類仕事も見事。リリルカの力が借りないと、ヘスティア・ファミリアは大変に働きが甘くなると思っている

 

 

「もちろんこれは俺の意思だ。お前がどうしてもフィンに嫁ぎたいと言うなら構わない。その時は俺も止めない。お前を仲間としてフィンのところに行かせるまでだ」

 

「ああ・・・・・分かりました」

 

「とにかく、話は以上でいいな?ヘスティア。リリルカには考える時間が必要だ。構わないな?」

 

「うん。そうした方がいいと僕も思う」

 

「それじゃあ解散だ。あとは自由時間とする。それと俺は縁談を受けるが・・・・・・・絶対にアフロディーテとペルセフォネは邪魔しないように、いいな?」

 

「「うう・・・・・」」

 

「いいな?」

 

「「はい・・・・」」

 

「結婚はしないんだ。お前たちの望みは今は叶わないが、今リヴェリアの婚姻も俺は一年後に回す。理由や経緯の話を聞く。邪魔はするな」

 

「アキレウスはそう言っている事ですし。婚姻するわけじゃないのですから、いいのではないですか?」

 

「ま、まあね・・・」

 

「女としては引き止めたい話なんですよヘクトルさん。乙女としては止めたいのです。ヘクトルさんも私と歳が近いですからわかるはずでしょう?」

 

「まあ・・・・分からなくはないが、アキレウスは結婚はしないと言っているんだ。本人を信じるべきだと、女としては想う男を信じるべきでは?」

 

「そ、その通りね」

 

「アフロディーテ様もなぜそこまで焦るのですか?あなたらしくありませんよ?」

 

 

「だって・・・・・彼女。二年前アドニスが好きだった相手だって。ヘスティアが言ってたのよ」

 

 

「なに!?アキレウス!?あのロキ・ファミリアのナインヘルが好きなのか!?」

 

「二年前はな・・・」

 

 

アフロディーテはヘスティアから俺が二年前リヴェリアに好意があったことを話していたようだ。

 

なぜ過ぎた失恋に等しい俺の恋に憧れていた話を、アフロディーテに話していたことに疑問を抱く。ヘスティアのことだから友人でもある女神のためだと思って、過去にそのような想いを抱いていたと、これ以上俺に恋を抱く女を増やさないために、俺の嫁になるために邪魔を企てようとしていたのかもしれない

 

だとしても

 

過去は過去だ。以前18階層でサラマンダーがうっかり水浴びの時にリヴェリアにも話してしまったようで、その後本人にも聞かれたが、結局失恋として縁は切れたはず

 

 

だからなぜ、今更になって今度はリヴェリアが俺に婚姻を求めるのか。気になるから縁談を引き受けた

 

 

普通は失恋した相手にもう一度婚姻を求めるなど、余程の馬鹿でない限りはおかしいと誰もが疑問を抱く。だから聞きたい。絶縁に等しい今の関係を、なぜ婚姻を今になって俺を求めるのか、どういう考えでいるのか、直接本人の声を聞いて確かめたいと思っている

 

 

「だが二年前の話だ。もう縁は切れているも同然だ。だからなぜ今になって俺を求めるのか、考えと意志を聞きたいから縁談を引き受ける。それだけだ。俺は今はもう失恋だと思ってもう何も想うことはない。これで納得したか?」

 

「え、ええ・・・・」

 

「は。はい・・・・」

 

「お前たちが心配しなくても、俺はまだ結婚など考えられない。と言うより・・・・・・もうそんな気持ちも含めて。理解できないがな・・・」

 

「理解できない?」

 

「どういうこと?」

 

 

「気にしなくていい。とにかくもう俺は部屋に戻らせて貰う。まだ仕事も残っているからな。ヘファイストスやエイナにも言っていいが、あまり余計なことをして広めるなよ?」

 

 

そう言って俺は自室である団長室に戻らせて貰った

 

理解できない。それはもう恋愛など、俺にはカオス・ヘルツにより無意味になったということだ。恋心などもう尽きた。感じない、理解できない、誰も愛せない。愛とはなんなのか、それすら分からない男になった。

 

二年前は心があったからそれなりの感情で理解できた。でも今は何も理解できない。だからもうリヴェリアに抱いた気持ちはもう消えた。

 

でも今リヴェリアはどういう気持ちで俺に婚姻を頼むのか、聞いてみたいのだ。

 

 

「本当に・・・・あいつはなんの真似だろうな・・・」

 

 

本当になんのつもりでこんなことを頼むのか、俺としては気が知れないと。リヴェリアの考えが理解できない。普通失恋とも言えるような関係になった俺に、婚姻を頼むなど女としてもありえないと思っている

 

だから、何か理由があるはずだと思っていた。

 

まあ明日になれば全てわかるだろうと。もう何も考えずに明日指定場所に行くことを予定に入れて、残った仕事を片付けるのだった

 

 

 

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