ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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親密な関係でありたい

 

 

 

数分後

 

この店の店員が料理を持ってきた。それも普通の店では滅多に出ない豪華な料理を、主に野菜ベースの料理ばかりだ。エルフの店だから肉や卵と言った生物の料理はあまり使われない店のようだ。ひとまず長い話はやめて。持ってきた料理を食事をしながらリヴェリアはいくつか質問をしてくる

 

 

「ジーク。食事をしながら質問をしていいだろうか?」

 

「なんだ?」

 

「フレイ様はどんな理由で眷属を置き去りにしてまで我らの故郷を出て、お前の故郷に移住していたのか、理由は知らないか?」

 

「知っている。だがとても長い話になるがいいか?」

 

「ああ。それでも構わない」

 

 

フレイの送還を知ったのなら、今度はどのような理由でエルフの里を出て俺の故郷に移住したのかを聞いてくる

 

今更あいつの送還をリヴェリアに伝えた以上はもう隠すことはないと、俺は正直に話すが、とても長いため、事の順から説明する。そのためにいくつか質問をする

 

まず一つ目はとてつもない質問

 

 

 

 

 

「リヴェリア。お前はオラリオの外に『喋るモンスター』が居ることは知っているか?」

 

「喋るモンスターだと・・・・・」

 

「そうだ。我々同様に知性を持つ、言葉を交わすモンスターだ」

 

「確かに父や母からそのようなモンスターが居ると聞かされたことがある。その名前は・・・」

 

 

「巨人モンスター。『ベルグリシ』」

 

 

「っ!?なぜお前がそれを!?」

 

「俺たちの故郷はお前たちエルフ族同様、巨人族と戦争をしていた」

 

「なに!?ジークの故郷でも!?なぜ!?」

 

「それがフレイがお前の故郷を出た理由だ」

 

「なに?どういうことだ?」

 

 

こればかりはリヴェリアでも信じられない話だろう。フレイがエルフの国を出て行った理由がとんでもない話だからだ。

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲルズと言う。ベルグリシの中に姫と呼ばれる巨人のメスと結婚するために、俺の国へと駆け落ちしたからだ」

 

「な、なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」

 

「無理もない、駆け落ちするために俺の故郷に移住したなど、ハイエルフのお前からすれば驚く話だろう。それも本来エルフの天敵とも言いる巨人のモンスターならな」

 

 

ベルグリシ

 

巨人のモンスターと言われる。北にある大きな山『ヨツン』と呼ばれる山脈に住う知識を持つ巨人。だが巨人と言っても種類がある。山の巨人、霧の巨人、氷の巨人、炎の巨人と言った。そのヨツンには四つの山があり。氷河と雲と火山と森林などその四つの山に住う巨人族、彼らは我ら同様に知識を持ち。敵となる者を自ら鍛冶をして武器を製作し戦う。俺たちやエルフ族やドワーフ族においての最大の敵だ

 

そして、その山の巨人の姫

 

 

ゲルズと言う。女神の同様の美しさを持つ、姿は人間よ変わりない女の巨人が居た

 

彼女の美しさは女神にも負けない美しさ。モンスターである巨人系とは思えないほど。人間と変わらない姿をした女性だった。戦うことはできないが、回復を得意とするヒーラーであり、ヨツン山国のお姫様である

 

 

「昔フレイは森で彼女が花畑で踊っている所を目撃し、一目惚れをしたらしい。その後も彼女を忘れられず、ずっと惚れ気のまま呆然することが多かった。お前がまだ小さい頃にあいつはまだエルフの里に居ただろう?時に何度か森で出掛ける時が多かったんじゃないのか?」

 

「確かにフレイ様は、私が10歳未満の時によく森に出かけることが多かったな」

 

「それでいつもゲルズと言う巨人族の娘を見掛けに行ったとあいつは言っていた。結婚を何度か望もうとしたが、当時のお前たちエルフ族とベルグリシ族は戦争中だった。彼女と結婚したい、なんてお前らエルフ族に言えば、プライドの高いお前らではフレイでも絶対に許しはしないと思っていただろう」

 

「それは・・・・・恐らくな」

 

「でもフレイは我慢はできなかった。彼女と結婚を叶いたいが一心に、フレイは個人的な知り合いのある者に頼みをした」

 

「フレイ様の個人的な知り合いのある者の頼み?」

 

 

「俺の父に、彼女と結婚できるように支援を頼み、それが叶ったら俺の故郷に彼女と一緒に移住し、俺の故郷のために働こうと、取引を頼んだ」

 

 

「な!?フレイ様はジークの父と知り合いだったのか!?」

 

「ああ、それで俺の父はフレイの提案に引き受け、父はゲルズの元へ行き。男神と結婚をするように申し込み、彼女はこれを引き受け、フレイとゲルズは俺の故郷で祝儀をした」

 

「フレイ様は・・・・巨人のモンスター・・・・しかもあのエルグリシの女と結婚をするために、駆け落ちをしていたとは・・・」

 

「驚くかもしれないが、でもお前らのプライドをフレイは知っていたから、そんな事を言わずに眷属も置き去りにして自分の幸せを選んだだけだ。お前らだったら許せなかったんじゃないのか?もしも当時、フレイが巨人の女と結婚すると言ったら、納得したか?相手はお前らの天敵の存在と」

 

「っ・・・・・・・しない・・・だろうな」

 

「ああ、プライドの高い、ましてや傲慢な態度を持つお前らが、信仰しているフレイでも。お前たちエルフ族の一番険悪と言われる相手が戦争相手であるベルグリシとなれば、納得などするはずがない」

 

「否定はできない。確かにそこは」

 

 

リヴェリアにとっては信じられない話だ

 

自分たちが信仰していたエルフの里の主神フレイが、エルフ族の敵であるベルグリシと言うモンスターの一種の一族の娘に恋に落ちて、俺の故郷に移住するために駆け落ちしたなど、信じられない話だった

 

ゲルズに父がフレイの代わりに求婚を頼むが、フレイの愛を拒み。最終的に父が『引き受けなければ殺す』と脅しをして引き受けてもらったのだと、いかにもフレイヤそっくりと言うか。自分の欲望のために他人を使うのはフレイもフレイヤも兄妹だけのことはあるなと思った。そして俺の父も、他人に脅迫をして求婚を引き受けさせるのは俺と似ている

 

でもフレイとゲルズが改めて一緒になると二人とも幸せそうに夫婦円満に過ごしていたのは事実。初めはかなりゲルズも怖い神かと思って恐れていたが、一緒に過ごす時間を費やすと、なかなかに二人はピッタリな夫婦だった。この男神の結婚に山の巨人は同意をした。そして父がフレイとゲルズを結婚をして俺の故郷に住うのであれば、山の巨人族も、ゲルズの家族をも俺の故郷に住んでも構わないと、山の巨人族にも俺の故郷の移住権を渡し。山を捨て、ゲルズ達山の巨人族も俺の故郷に移住した

 

 

「山の巨人族がお前の故郷に住んでいるとは・・・・・っ!?まさか我らとエルグリシ族の戦争が途中で中断したのは!?」

 

「そうだ。俺の故郷に住う事を約束されたのだが。フレイの頼みで父にエルフとの戦争を無くす条件で山の巨人族を移住させて欲しいと、父の考えでなく、フレイの頼みで父に頼んだ。そしてゲルズの父はこれを同意し、エルフの戦争を放棄し、俺の故郷に住み、平和を選んだ」

 

「フレイ様が・・・・最後まで我らのために」

 

「エルフの里をただ出ていくだけではなく、その後の平和のためにも考えていた」

 

「我らになぜそのような事を知らせなかったのだ?」

 

「お前らが聞いたら、どうせ『フレイ様は巨人族の娘に取られた』と嫉妬などをして、ゲルズを殺そうと反乱を起こすかもしれないからと、父はエルフのプライドを考えた結果だ」

 

「確かに・・・・・あり得るな、その話は」

 

「でも俺たちも苦労をしていた。なぜならそのフレイとゲルズの結婚により、巨人族の戦争をこっちが請け負うことになったからだ」

 

「なに!?請け負うってどういうことだ!?」

 

「フレイとゲルズの結婚に納得しない者たちが居た。氷の巨人と炎の巨人だ」

 

「まさか・・・・ゲルズと言う巨人族の娘をフレイ様に取られた事を納得しなかったのか?」

 

「お前ら同様にプライドの高い連中だ。それにモンスターでもあるんだ。嫉妬で戦争を起こすのは俺たち故郷ではよくある事。戦争経験の我らでは『相手が巨人族』であっても戦うまでだ」

 

 

ゲルズは炎の巨人族でも氷の巨人族でも気に入られた美しさのある女モンスターだ

 

それが男神に取られたのであれば許しはしないと、俺たちの故郷に戦争を仕掛けた。だがこの事態を招いてしまったフレイも。俺の故郷の者たちに恩恵を与えてファミリアを結成して対抗した。炎の巨人族は父とフレイのファミリアで全滅とまではいかないが、戦力を半分とまで落として軍勢を叩き潰し。火山の奥に抑え込んで、今は一時休戦するように父とフレイ・ファミリアの団長の提案を炎の巨人族の長は引き受け、火山の中から出ないようにした。

 

氷の巨人族は父とそのファミリアが戦争し。氷の巨人族は父の手により滅亡した

 

 

「フレイ様はお前の故郷でファミリアを結成して、お前の故郷の戦士として戦って活躍していたんだな」

 

「ああ。俺もそのメンバーだった。だが俺は・・・・・・・・フレイに守られて救えなかった」

 

「ジーク・・・・」

 

「俺の故郷に・・・・・・一匹の黒い竜である『ファフニール』がやってきた。奴は俺の故郷を荒らし。俺たちで食い止めようと故郷に住う全ファミリアが相手しても勝てず。俺は最後まで一人で奴に立ち向かったが、歯が立たず、そして最後に殺されそうになった時に」

 

「フレイ様がお前を庇って強制送還されたわけだな?」

 

「ああ。それで俺は悲しみと怒りのあまり・・・・・アレが発動した」

 

「カオス・ヘルツ・・・・・」

 

「ああ。当時はレベル4だが、俺のカオス・ヘルツはアビリティ関係なしに、相手を確実に殺せる力を手にすることができる。泣きながらそのフレイの背中を爪で刺した竜をバラバラに殺した」

 

「フレイ様が亡くなった悲しみは・・・・お前でも辛かったんだな」

 

「ああ・・・・・・生きていた中で一番憎かった。あの時は・・・・・あいつの事を思うことばかりで、ファフニールを殺すので必死だった。もうあの日のことなんて・・・・・思い出したくもない」

 

 

フレイが強制送還されたあの日。心を無くしたきっかけの日

 

 

ただ『ファフニール』を喰らいつく生き物となっていた

 

 

グラムとリジルで素早く奴の体を一刀両断で斬った。泣き叫びながらバラバラにした。足や爪や背中や翼や尻尾。そして最後は頭と。全身鉄よりも硬い身をしていた、魔法でさえ傷一つ入らなかった奴の鋼鉄よりも硬い体を、俺のカオス・ヘルツの力には及ばず。俺の攻撃に逃れる事もないまま。豆腐でも斬っているかのように、俺にいとも簡単に斬られ殺された

 

その日だった。俺の故郷で『竜殺し』と呼ばれるようになったのは

 

でも全然嬉しくなかった。国を守れたことも、人に称えられたことも、仲間に励まされたことも、周囲の一つをも考ええる事なく、嬉しさも何一つなかった

 

 

フレイが亡くなった悲しみがデカくて、何も嬉しいことはあの日は無かった。悲しいことばかりだった

 

 

「義理でも兄が大好きだった。フレイが今でもここに居れば。俺は・・・・・・・心を持っていたはずなんだ」

 

「そうか・・・・フレイ様もきっとお前にまた会いたいだろうな」

 

「いや・・・・・・もしそんな時があっても俺は望まない」

 

「っ!なぜ?」

 

「いつまで俺はフレイに縋らなければならない」

 

「っ!?」

 

「俺は・・・・いつまでもあいつに頼りきるばかりでは生きてはいけない。あいつが居なくても強く生きていかねばならない。いつまでもあいつに頼るだけでは強くなれない。心を徐々に薄れているとは言え強く生きると言う気持ちはまだ俺に残っている。だからもう俺はあいつに頼らない強さを手に入れる。それで今俺を想う仲間を守ろう。それが俺に残された『今心にある意志』だ」

 

「ジーク・・・・・」

 

「お前だって・・・・フレイが居なくても。ハイエルフとして頑張ろうと思うだろう?お前らの主がこの世から去ったとしても」

 

「そ、それは・・・・・・その通りだな」

 

「だからもうあいつには縋らない。俺はあいつが居なくても、頑張って生きていかなくてはならないんだ。いつまでも義兄に縋れば強くなるなど。世の中は甘くないんだ」

 

「ジーク・・・・お前はフレイ様のファミリアで・・・・多くの現実を見てきたんだな」

 

 

俺の感情が薄かろうが、もうフレイに縋らない。己のみの力だけで生きていく。

 

いつまでも亡くなった者が居なければ生きてはいけないなど、そんな者は弱い以上に愚かだ。だから俺はもう二度とフレイにもおふくろにも会いたいはと望まない。生き別れた者に会いたい気持ちはあっても、もう大人になるんだ。母親や義兄の縋ってばかりでは生きてはいけない

 

誰にも大人になれば親を置いて自分一人で生きねばならない。いつか独り立ちしせねばならない

 

 

だからもう・・・・・俺は真っ直ぐ生きるしかない

 

 

「後悔も過ちも多くある。それでも一人で生きてる。過去のことは受け入れることしかできない。過去は過去だ。変えられないんだ。何が必要で大事なものが失っても、自分は生きている。苦しみを噛み締めて前を向くしかないんだ。それが・・・・・・俺たち人って者だ。そうだろう?」

 

「そうだな・・・・・それはお前の言う通りだ」

 

「その割には・・・・・・・お前は『二年前の罪悪感』が激しくあるようだな?」

 

「っ!?・・・・わかるんだな・・」

 

「先ほどのお見合いの話をしていた時、『俺に嫁ぐならファミリアを辞める』と口にした。普通なら俺をお前らのファミリアに再度コンバージョンをさせるように話を流すはず、普通誰でも自分の有利になるような話にするはずだ。なのに、お前は申し訳なさそうに自分の地位を捨ててまで、自分の信頼していた仲間まで捨てようとした。自分の幸せのために。俺に合わせようと考えていた。俺の信頼を取り戻すようにな」

 

「・・・・・そうだ。私・・・いや・・・・私たちはお前が二年前を水に流せと言われても、罪悪感を感じて、お前に謝罪をすることばかり考えていて、私たちは自分のしたことが今でも許せなくてやり直しを求めているんだ」

 

「そうか・・・・・少なくともベートとフィンとガレスはそんなことは微塵も思ってないと思うがな。あの三人はタフだからな」

 

 

リヴェリアは罪悪感に囚われていたことを聞いて、俺は呆れてもいた

 

そんな過去のことに対して罪悪感は残るとはいえ、そんなものは被害者である者が過ちを忘れろと言えばすぐに忘れるものだ。でもこいつらは個性は豊かな連中だが、根は真面目で。どんなことでも向き合い正しく生きようとする者達だった

 

そんな奴らが

 

自分の正しさに間違いを犯すと、こうも簡単に精神に傷が入り、それが過ちとなって一生消えない傷となることを知った

 

それでも俺は水に流せと忘れて欲しいと考える

 

 

「お前が俺に申し訳なく思う必要はない。被害者である俺が忘れろと言えば忘れればいい。そんな簡単に罪悪感は消せないのか?」

 

「お前はそういうのは無いのか?」

 

「今までにおいては無いな。でもしっかりと俺は罪悪感など捨てる。罪など背負ってさっさと乗り越えるものだ。相手が許す許さないが関係なくな。相手に申し訳なく思うのなら。相手のためにしたい事なら、さっさと忘れろ。それとも・・・・・そうまでして俺に何かして欲しいものでもあるのか?」

 

「・・・・・・・・関係を取り戻したい」

 

「関係を取り戻したい。二年前のようにか?」

 

「ああ。勝手すぎるかもしれないが、お前には絶縁とも言えるような関係になっているからな」

 

「あの出来事の後では、相手からすればそう思うだろうが、単に俺がもうお前らを別のファミリアだからと深入りしなかっただけだ。それにあの事件の後でも今までのオラリオの危機になることがあったりなどと。冒険者としてやるべき事に対しては協力して対象した。絶縁では無いと思うが、それなりに関係があるとは思うぞ?」

 

「それはそうだが・・・・」

 

「これだけ言っても納得しないなら、それ以上の関係が欲しいようだな、主にお前がそれを望んでいるようだな?」

 

「う!?ま、まあな・・・・」

 

 

俺を好きだから、絶縁では困ると言うのはわかるが、それが主にリヴェリアの望みだと言うことだけは簡単にわかった。それ以上の関係が欲しいとなると。俺とシルのような関係だろうな。恋人のような、接し方が他とは違うような、親密な関係。おそらくそのような関係が欲しいに違いない。

 

なんでも心で許し合えるような関係

 

 

「つまりお前は俺に・・・・もっと親密になれるような・・深い関係が欲しいのだな?」

 

「ま、まあな・・・・・」

 

 

それを聞いた俺は望むような事をすればその関係になれると思った

 

そこまで俺に深い関係を求めているなら、俺はそれくらいなら構わないと望みを叶えさせようとする。別に親密になるくらいなら構わない。結婚はできないが、恋人未満でいいなら俺はそれらしい行動を出して示す

 

まあこれはヘスティアが言うには

 

 

イケメンだから許せる行動の一つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュ

 

 

「な!?」

 

「俺はヘスティアにも『イケメン』と言ってくる。これはイケメンなら許せる事だと聞いた事があるから実行してみた。どうだ?」

 

「な!?ど・・・どうだと言われても・・・お前!?今自分が何をしたのかわかっているのか!?」

 

 

俺が彼女にしたことは

 

 

リヴェリアの頬にキスをした。咄嗟だが

 

 

親密な関係を築き上げるなら十分な行動だ。親密の関係ならこれも簡単にできる者同士であるならこそだ。だから俺はその親密な関係になりたいならそれくらいしても許してくれると思ってした

 

それで感想を聞く

 

 

「わかっている。でも俺は親密な関係になりたいなら、俺にこんな事をされても構わないだろうと思った。ダメなのか?」

 

「ダメと言うか・・お前・・・」

 

「俺のことは好きなのだろう?だから結婚はできないが、親密な関係になれると望んでいた。だから頬にキスをされるくらいなら、挨拶のようなものだとさせてもらった。知っているかリヴェリア?頬にキスをして、それを挨拶代わりにする国が、オラリオの外でもあるんだぞ?」

 

「だがこのタイミングでするか!?普通!?」

 

「不意打ちにしたことは謝ろう。だが許してはくれないんだな?俺のことは好きなら許すし、喜ぶはずだぞ?」

 

「だ、だからと言って・・・そんな・・・・」

 

「俺を好きだと言うには、うぶだな。お前は相変わらず不器用だな」

 

「う、確かに私はこういうことは不器用だ」

 

「恋愛したこともないのに、他の仲間や友人には年長者として扱われているため、大人ぶって恋愛の素晴らしさとかよくレフィーヤ達に言っていたな。そういう経験は一回も無いと言うのに」

 

「うむ、ジークは意外に私のことをわかっているのだな?」

 

「これでも二年前はお前のことを好きだったからな。一年しか配属しなかったが、お前のことはわかる」

 

「なんだかズルイな。お前だけ私のことをわかっているのは」

 

「お前もここから理解すればいい。俺のことをな」

 

「そうか・・・・じゃあ・・」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

「私がお前の頬にキスしても構わないか?」

 

 

「さっきの仕返しか?俺を理解したいからと言ってそれをするのも意味がわからないが、構わんぞ」

 

「いいのか!?」

 

「そうしたいんじゃなかったのか?」

 

 

どういう意味でそんなことをしたいのかまったくわからないが、そうしたいなら構わないと俺は否定はしない。さっきも勝手にリヴェリアの頬にキスをした。その謝罪としても構わないと俺は引き受ける

 

 

「ほ、本当にいいのか?」

 

「ああ。というより、もう席に立って俺の近寄ってきている時点で、もう止める気ないだろう」

 

「で、では行くぞ」

 

「ああ」

 

 

もう席から立って俺の隣に来てまでやっていいのか返事してくるリヴェリアに、俺はもう引き返すことはできないような状況だと、認識している。別に構わない。もうここまで来てはな

 

 

「!」

 

 

リヴェリアの顔が俺の頬まで迫りきているというのに、俺にはある者達がここに来ることを感知する

 

 

「リヴェリア。やっぱりやめたほうがいい」

 

「あ、やっぱり私にされるのが嫌なのか?」

 

「そうではなく、誰か数多くこの部屋に来る」

 

「なに?」

 

 

『お客様!困ります!』

『ここから先は!』

『リヴェリア様の縁談で!』

 

 

「なんだ?騒がしいな」

 

「ああ。どうせこうなると思っていた」

 

 

この個室の外から人の声がした。しかもその大きさからして大人数で間違いない。その中には俺やリヴェリアが知っている人物の声が外で聞こえる。間違いなくあいつらの声だ

 

 

『リヴェリア様!!ジークと縁談と言うのは本当ですか!?』


『扉を開けてください!!リヴェリア様!ジークと結婚は考え直してください!』

 

『リヴェリア!この扉開けて!ジークとの縁談はやっぱりダメエエエ!!!』

 

『リヴェリア。開けて。お願い・・・』

 

『リヴェリア様!お願いです!ジークにまだ結婚は早いと思います!』

 

『ジーク!リヴェリア様の結婚は考え直して!理由はその・・・・・とにかくダメ!ダメなんだから!!!』

 

『ジーク!そのハイエルフのお方と結婚って本気なの!?私たちの婚姻は断ったのに!?』

 

 

『アドニス!!ここを開けてちょうだい!私たちの婚姻の返事は一年後に回すと言ったのに、そのハイエルフの小娘の婚姻を引き受けるなんて、私たちが許さないわよ!!!』

 

 

「声の順からして、レフィーヤ、アリシア、ティオナ、アイズ、フィルヴィス、エイナ、ペルセフォネ、そして最後にアフロディーテか。やはりあいつら二人が他の連中を集めてここへ迫ってきたか」

 

「なぜ、アイズ達まで居るんだ?」

 

「お前を想ってのことだろう。お前を俺との婚姻をしてファミリアを辞める事に対して、止めに来たのだろう」

 

 

アフロディーテとペルセフォネが朝から居なかった

 

この縁談に不満を持つ者を集めて、ここに攻めて縁談を取り止めて婚姻を破断させるのを目的でここまで来るのはわかっていた。まさかロキ・ファミリアを連れてくるとは思っていなかった。それに今はアレスの進攻前だ。こんな余裕ある会に乗り込んでくるとは思ってもいなかった。エイナはわかるが、なぜフィルヴィスが居るのかわからない。恐らくリヴェリアのことを想ってのことだろうが、こんなことにいくらフィルヴィスでも俺との婚姻は通るはずがないと誰もが思うはずなのだが、フィルヴィスがあそこまで必死に止めようとするのがわからない

 

 

「話はもう終わったと言うのに、それに婚姻は一年後に回して、再度この日にもう一度縁談をして決めると言ったはずだがな」

 

「ジーク。これで私がハイエルフだからだと、このウンザリな血統と立場が面倒なのがわかっただろう?」

 

「迷惑に等しいな。人の恋愛に憧れている人だろうと口出しせずに勝手にさせるべきだ。なのにここまで邪魔されてはウンザリするのは俺もわかる。ではこの扉を開けるか?」

 

「いや・・・・それは・・・」

 

 

『ジーク!ここに居るんでしょ!開けて!』

 

 

「っ!シルか・・・・・」

 

「シル?あの豊饒の女主人の店員のシル・フローヴァか?」

 

「まさか彼女までここに・・・」

 

 

『ジークさん!リヴェリア様!縁談をしているのは本当なんですか!?婚姻をするって本当なんですか!?』

 

『ジーク!開けるにゃ!』

 

『これは納得できないにゃ!』

 

『ジーク!あのナインヘルと縁談ってどういうこと!?説明してよ!』

 

 

「リューに、アーニャにクロエ、そしてルノアか、まさか彼女達までここに来ていたとは・・・店はどうしたんだ?」

 

「なぜ彼女たちまで・・」

 

 

まさかシル達まで出て来るとは思ってもいなかった。店はどうしたのだろうか

 

どうやらアフロディーテはエイナやアイズ達だけではなく、俺が婚姻を引き受けないようにと、何がなんでも阻止するために、俺が一番心に気に掛けているシル達を連れて来たようだ。確かにさすがに俺もシルが来ては確かに戸惑いはしているが、まだ話は終わっていないと、俺はルーン魔術でドアを塞ぐ

 

 

「ニブルヘイム」

 

「っ!?それもフレイ様の氷魔術か・・」

 

「まだ俺にすべき事が終わってないからな。さあ・・・続きをしてもいいぞ?」

 

「な!?続けるのか!?」

 

「いやなのか?」

 

「いや・・・・わかった。そうさせて貰う」

 

 

『あ!?これはジークさんの氷魔術です!?』

 

『ジーク!!ドアを凍らせるとはどういうことよ!?』

 

『てことはやっぱり。あのナインヘルと婚姻をするって事なの!?なんとか言って!!』

 

 

俺は軽くニブルヘイムでドアを凍らせる。そうすればしばらくは開ける事はできずにここで立て篭もる事ができる。その間に俺はリヴェリアに自分の頬にキスをしてもいいと続けさせる。正直俺は本当にリヴェリアがそんな大胆な事ができるのか気になって試したいからと続けさせるためにドアを凍らせた

 

そう言って、彼女は再度俺の顔まで、少し顔が赤いも、彼女のいい香りのする吐息も近くでわかりやすく嗅げる程。近くまで来た

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュ♡

 

としっかり俺の右頬にしっかりとキスをされた。そして俺から離れて席に戻ってみると、やはり顔が赤い。こんな事は若い者かお互い好意を持つ者しかしないもの。今それをした事で乙女のような恥じらいの顔をしている。少しはこの行動で彼女は少し若返りをしたのではないのかと俺は思う。でも俺はこんなことをされても恥じらったりはしない。むしろこんな事もリヴェリアは女としてできる者だと思っている。でも冷静の判断をするリヴェリアではない事はわかった

 

 

「やはり・・・・こんな事は・・・恥ずかしいな」

 

「俺のことは好きなんだろう?なら別に恥じらう必要はないと思うぞ。好きな人相手に好きだとアピールしたつもりだと、俺は認識したぞ?」

 

「む・・・・お前は相変わらず恥じらいがない」

 

「そういう所は母親譲りだからな」

 

 

俺でなくても好意を想う相手に頬にキスをするのではあれば、行為の証拠を示す行動であり。リヴェリアが俺を好きだと言うのであれば、その好意に返事はできないが。それにできるだけの望みを叶えたまでだと。恥ずかしがる理由もなく、リヴェリアが俺にしたい事をさせたまでだと。俺を好意に想う女性の望みをさせたまでに過ぎない

 

もうシル達も来てしまったことだし、食事もデザートも含めて完食した。ならそろそろ縁談を切り上げようと最後の話をする

 

 

「リヴェリア。そろそろこの縁談を終わりにしようと思う。お前から何か最後に俺に言うことはあるか?」

 

「ああ。一つだけ。ジーク。私は例えフレイ様がもうこの下界から去ったとしても、あのお方に頼らない強さで生きていき。お前をいつまでも想い。私はお前を手に入れるまで諦める気はないぞ」

 

「そうか、なら俺からは二つ。どうか・・・・・フレイが居なくても強い意志を持って生きてくれ。そしてお前の想いへの、俺からの答えは・・・・・・・・当分出ないことを承知してくれ」

 

 

最後に一つだけ言葉を言って、この縁談は終わることになった。

 

リヴェリアの想いは確かに聞いた。理由も本気だったとわかる。俺との結婚をするために自分の配属のファミリアを抜けるとは中々に思い切った事をするようだが、リヴェリアにも俺の新しいカオス・ヘルツの能力を見たからわかるはずだが、俺にはもう恋愛感情がわからない。それだけでなくまだ子供の俺に婚姻は考えられない。あと一年経てば二十歳になる。その時、つまりは一年後にもしも俺に恋愛感情がカオス・ヘルツから消えて感じられるなら、その時に再度婚姻を申し込み、それでリヴェリアと結婚するか決めると。アフロディーテ達と同様に婚姻するのかを来年に再度お見合いをするように回した。

 

 

縁談も終わったため、俺はニブルヘイムで凍らせたドアを今度はムスペルヘイムで軽く手に出し、それをドアに触れるとドアに付いていた氷を溶けていく。

 

そしてドアのロックを解除すると

 

 

「「「「「「ジーク!!!」」」」」

 

「「「「リヴェリア様!!!」」」」」

 

「アドニス!!ってあれ?・・・・・縁談は?」

 

 

「もう終わった」

 

「まさか女神まで出てくるとは、お前達まで何をしているんだ・・・」

 

 

勢いでドアを開けてアフロディーテ達が出てきた。

 

シル達も確かに居て、彼女達はお店の店員服を着ている。どうやらアフロディーテに俺とリヴェリアが縁談をすると聞いて、そのまま店を飛び出してきたのだと見る。人の縁談に乗り込むなど、強引なやり方を彼女達がしたことに驚きはしたが、でもそんなことをしなくてもちゃんと俺は一年後に回した。

 

問題ないだろうし、アフロディーテ達の望み通り、この婚姻は一年後に再度お見合いをすると回した。

 

まあ、俺とリヴェリアがお互い頬にキスをした事がバレると面倒だがな

 

 

「シル。お店はどうしたんだ?ここへ来ている場合じゃないだろう?」

 

「そんなことは今はどうでもいいんだよ!ねえみんな!」

 

「そうよ!」

 

「それは後でなんとかなるにゃ!」

 

「今はこっちが大事にゃ!」

 

「後でミア母さんに怒られますから大丈夫です!!」

 

 

「自信満々で言うな。それでアイズ達は?」

 

 

「私たちはその・・・リヴェリアが本当に結婚するのか・・・気になって・」

 

「ここまで来ました」

 

「ジーク。リヴェリアと結婚するの?」

 

「リヴェリア様と婚姻はなさるのですか?ジーク?」

 

 

「当然リヴェリアを心配してか。アフロディーテ達は・・・言わなくてもわかると思うが・・」

 

 

「わ、私はその・・・・・ペルセフォネとアフロディーテ様に付いてくるよう頼まれて・・・」

 

「私はリヴェリア様が本当にジークと結婚するのか気になったの」

 

「もちろん私はジークがあのナインヘルとの縁談を、反対が故の行動よ。ジーク」

 

「当然ね。私とペルセフォネはお互い知り合うために宿泊しているのに、私に関しても婚姻を一年後に回せと言われたのに、その後でこのハイエルフの小娘の縁談を受けるのが気にくわないわ」

 

 

「アフロディーテとペルセフォネはそう言うと思っていた。なら結果を言おう。リヴェリア。お前から頼む」

 

「ああ。全員聞け。女神アフロディーテも、残念ながら私も貴女同様にジークに婚姻を一年後に回された。それで本当に結婚するかどうかを再度お見合いすると言われた」

 

 

そう言って、リヴェリアが俺の代わりにこの縁談結果を伝えた

 

最初から俺はアフロディーテにも婚姻をするかは一年後に再度お見合いをすると回し。それで本当に結婚するかどうかを再度のお見合いをして決めると代わりに宣言してくれた。俺の口よりも縁談を頼んできたリヴェリアから言う方が信じやすい。そしてそれを聞いたアフロディーテ達は

 

 

「そうなの。ならいいわ」

 

「ふう。よかった」

 

 

「よかったて、俺は最初から一年後に回して再度お見合いすると、この縁談をする前からそうすると決めていると言ったはずだが?お前ら二人は俺のことを好きだと言う割には俺の言うことは信じてないんだな?アフロディーテ?ペルセフォネ?」

 

 

「し、仕方ないじゃないアドニス。相手はハイエルフよ。そんなそこらにいるエルフよりも、女神同様に美しい美貌を持つハイエルフなら婚姻を受けてもおかしくないのよ?」

 

「ここオラリオではハイエルフなどナインヘルのみ、彼女が美しいと市民街でも大きく聞くんですよ?そのハイエルフから縁談となれば誰でも受けるに決まっています!それくらいハイエルフと言うのは貴重な存在なんですよ!」

 

 

「確かに、リヴェリアが美しいことは俺も認めよう。二年前は確かに恋をしていたからな」

 

「ジーク。お前・・・・私の前でそんなことを言わないでくれ。しかも真顔で」

 

「嘘ではない。俺は本心でこの言葉を口にしている。だからお前が恥じらう必要はない。むしろお前が喜ぶことだろう?」

 

「それを本人の前で堂々と言えたら流石に恥ずかしいに決まっている」

 

「これで納得しただろう?これで今日のリヴェリアの縁談は終わりだ。シル。君まで俺に恋をしている気持ちは分からなくもないが、人の縁談に乗り込むのは流石に野蛮としか言えないぞ?」

 

 

「仕方ないじゃない!だって相手はハイエルフだもん!ねえリュー?」

 

「そうです!相手がリヴェリア様でその・・・・・ジークさんの二年前の好意に及ぶ相手の縁談なら尚更心配です」

 

「過去に恋愛した相手の縁談なら引き受ける可能性はあるにゃ!」

 

「そうなれば誰だって心配するにゃ!」

 

「あり得る話でしょ!それじゃあ!」

 

 

「過去は過去だ。フィルヴィスは?」

 

 

「私はその・・・・別になんとも・・・私からはリヴェリア様が誰かと結婚が考えられなかっただけだ。ジーク」

 

 

「そうか・・・・これでリヴェリアはお前達のファミリアで継続だ。納得しただろう?」

 

 

「うん、納得した」

 

「うん!その方がいいよ!」

 

「はい。確かにそれはそれで嬉しいのですが・・・・」

 

 

「なんだレフィーヤ?不満でも?これでリヴェリアは俺のところに来る事もなく、お前のファミリアの団員のまま継続したんだぞ?他に何が?」

 

 

「ジークはどうしてリヴェリア様の婚姻を受けなかったのですか?」

 

 

「簡単に言うなら、まだ俺は子供で結婚は考えられなかった。それだけだアリシア」

 

 

「本当にそれだけですか?二年前のことで・・・・嫌いになったとかじゃないですか?」

 

 

「まだ俺が根に持っていると、そう言うんだなお前は?」

 

 

「はい・・・・・」

 

 

これは俺とリヴェリアの話だと言うのに、なぜ俺がリヴェリアの婚姻を引き受けなかったのかは理由を言ったのにも関わらず、レフィーヤとアリシアは不満なことを言う。リヴェリアは団員として継続する。それで尚不満があるのなら。原因は二年前にあると言った。罪悪感に囚われているのはレフィーヤとアリシアも同様だった。

 

 

「被害者である俺が水に流せと言われても罪悪感は消えないか、リヴェリアの婚姻を受けないのは本当に今俺は子供でまだ結婚など考えられないからだ」

 

「そうなんですか?」

 

「一年後に回すと言うのは、それでやっと俺が大人になれると言うこと、つまりは成人すると言う意味だ。まだ子供の俺に結婚などリヴェリアからのだったとしても考えれらない。だから今は引き受けず、再度お見合いを一年後にすると回したんだ」

 

「二年前とかは関係ないんですね?」

 

「もう水に流せと言ったんだぞ?そう言えば罪悪感も消えるものだと思うが、それでも忘れられないなら、どうすればお前らの罪悪感は消えるんだ?いつも通り友人と接すればいいのか?」

 

「それは・・・・・」

 

 

「アリシア。もう私たちも忘れろとは言わないが前へ進もう。私はジークといつも通りに接するつもりだ」

 

 

「リヴェリア様?」

 

「リヴェリア様はもう二年前のことは受け入れていると?」

 

 

「ああ。この縁談をしてやっぱりよかった。おかげでジークと二人だけでしっかり話せた」

 

 

今回の縁談でリヴェリアは二年で変わった俺としっかり長く話せてよかったと言った

 

しっかり俺と話せてこれから俺にどう接すればいいのか、二年前の罪悪感を忘れさせるようなことを何度も俺から言ったからなのか、まあそれ以外でもある行動で示したのだが、別にもう俺はロキ・ファミリアと距離は置いてあるが、だからと言ってリヴェリアのことが二年前の事が原因で嫌いになって保留したわけではないと、リヴェリア本人が言う

 

 

「ジークも私たちのことを避けているわけではなく、単に別のファミリアだからと他の派閥にあまり干渉しないようにしているだけだ。今でも彼は私たちを古い友人としてちゃんと接してくれる。別に関係がもう無くなったわけではないんだ」

 

「それは・・・そうですけど」

 

「ジークさんとは・・・・私たちとは折り合いが悪いと思ってましたから・・・」

 

 

「そんなふうに言われるとは思ってはいなかったが、まだ俺のことを申し訳なく思っているわけじゃないだろう?今まで普通に接していた。過去のことなどもう忘れろと言えば忘れるものだぞ」

 

「こう言っているんだ。別にジークは私たちを避けているわけではない。それに二年前のことを悔やんでも、もうどうしようもならないんだ。許してくれる彼の心の広さに感謝するのみだ」

 

 

「リヴェリア様・・・」

 

「ジークさん・・・」

 

 

「もうこれで縁談は終わりだ。リヴェリア。一年後にまたお見合いを申し込んでくれ。それでも俺を好意に思うなら・・」

 

「ああ。私はそれでもお前が好きだ。だから一年経っても・・・・・私はお前を諦めない」

 

 

「ほ、本当にリヴェリア様は・・・・」

 

「ジークさんのことを好きなんですね・・」

 

「ムウ〜・・・ジーク・・すごいモテるな・・」

 

「うん。なんだか・・・・・嫉妬する」

 

 

「リヴェリア様が・・・本当にジークを選ぶとは・・・」

 

「強敵登場ですよ。アフロディーテ様」

 

「ええ、これはとんでもないライバルの登場よ」

 

 

「まさか・・・あのリヴェリア様が・・・ジークさんを選ぶとは・・・なんという予想外だ」

 

「ハイエルフとか最強のライバルにゃ!!」

 

「勝てないにゃ!?相手は女神にも負けない美貌の持ち主の種族にゃ!?」

 

「ここでまさかの真打のライバル!?」

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「どうかしたのか?エイナ?シル?」

 

「別に・・・・」

 

「ちょっと考え事だよ」

 

「・・・・・・・・」

 

 

これでリヴェリアの縁談は終わった

 

結果は婚姻を一年後に回し、それで再度縁談をしお互い好意が本当にあれば結婚をすると、約束をアフロディーテ同様にまた増やす。リヴェリアはお互いゆっくりとまた二年前同様に話せてよかったと言っていた。俺は失礼ながらお節介なことに俺が居なくてもリヴェリアはめげつにしっかりやっているのか心配だった。以前18階層では完全に決別に近い会話だったからな。俺が二年前はちゃんとお前に恋をしていたことを聞いて、俺の想いに答えようとあの時は俺に声を掛けたが、その前に俺が気持ちを冷めてしまったからな。でも今回リヴェリアも自分の気落ちに素直になって。自分の気持ちを俺にぶつけて話せた。残念ながら俺はそれを今は答えてあげることはできないが、それでも俺が恋と言うものを再び理解すれば答える事ができるかもしれないと。お互いいろんな事が知れてよかったと思う。今日を話してみて俺は冷静のあるクールな女かと思えば、少し自分の恋に不器用なハイエルフだと。改めてリヴェリアがどんなハイエルフなのか分かった気がする。

 

だからしてよかったと俺は思う。カオス・ヘルツがここまでの感情を消してはいなかったようだ。人を理解する共通認識だけは

 

 

でもシルとエイナは納得していない顔をしている。それはそうだろう。二人だって俺に本気で恋をしている。それが今度はあのリヴェリアとなれば自分の恋の危機でもある。いくら一年後に婚姻をするか見合いを再度行うと回されても二人は納得しないような悩んだ顔か、もしくは真剣な顔のまま、俺と一緒に全員でこの店を出る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁談が終わった後は、俺はすぐに帰らずにリリルカがフィンと縁談していると思われるお店まで向かう。縁談は上手く誤魔化して終わらせたのかどうか確認する。もちろんそこにはベルが居るんだろうと思うが

 

正直心配で堪らないから向かう

 

だからリヴェリアとアフロディーテも連れて行く

 

 

「ジーク。なぜ私がフィンの縁談場所まで同行しなくてはならない?」

 

「私もどうして付いてこなくてはならないの?ホームに帰らないのアドニス?」

 

「理由はすぐわかる。来れば理解できる」

 

「どういう事だ?」

 

「なんなの?」

 

「リヴェリアならわかると思うが、ティオナでもわかるぞ?」

 

「え?どういうこと?」

 

「どうして私もですか?」

 

「どうして私まで?」

 

「なんで私まで?」

 

 

とりあえず俺はシル達やフィルヴィスはエイナとペルセフォネをホームに連れて帰らせた。それ以外はここまで同行を俺は頼んでいる。ロキ・ファミリアのメンバーとアフロディーテだけは必要だ。だからこのまま同行を頼んでいる

 

そうでなくてはならない事件が今始まっているかも知れないからだ。

 

それでこのメンバーを集めて同行を頼んだ理由は

 

 

今目の前にある

 

 

 

 

 

「おらああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

「落ち着くんだティオネ!?」

 

「やめてくださいティオネ様!!」

 

「それ以上は危ないですから!!」

 

 

 

 

「これが理由だ」

 

 

 

「ティオネ!?あ!?フィンとの縁談がバレたのか!?」

 

「そういえばロキがティオネに今日の朝『フィンが縁談するから居ない』って言っちゃったんだっけ・・」

 

「ティオネさん。また団長への嫉妬ですか」

 

「相変わらず横暴な事をしますね?・・・・」

 

「アドニス?これは?」

 

「あそこに居る、殴りかかるアマゾネスは、今目の前に居るパルゥムのことを好意に思っているのだが、あまりに感情的な女で、すぐあのパルゥムが違う女の所へ行ったり話したりすると。ああやって嫉妬をして、想い人まで殴ろうとするんだ」

 

「なるほど、自分の思い通りならない男を嫉妬で殴る。重いアマゾネスね。完全に乱暴者じゃない」

 

 

今目の前に起こっていることは

 

 

パルゥムの酒場の前で、ティオネがフィンを殴ろうと襲いかかっている

 

 

絶対にフィンがティオネに個人的な婚姻を頼んでいることなど。言っているわけもなく、思い込みの激しいティオネが言うことを聞くはずもなく、黙ってフィンはロキだけに言って自分の目的のために内密に動いていた。でもそれがバレた瞬間、こうも自分の想いだけをぶつけて、最後に想い人を殴りかかる始末である

 

そんな混沌な状況で、リリルカも何もできず、そのリリルカの縁談を止めるためにここへ来ることを分かっていたベルも、ティオネの暴走を止めようとしている。でもレベルでは勝てないからああやって声を掛けて止めている

 

意味がわかったところで

 

 

 

 

俺が止める

 

 

「そこまでだ」

 

 

「っ!?ジーク!?」

 

「どうして君がここに!?」

 

「ジークさん!?」

 

「どうしてここへ!?縁談はどうしたんですか!?」

 

 

「俺たちの縁談はもう終わった。それで帰る前にこっちの様子を見に来た。心配していたんだが・・・・・・・・どうやら結果は俺の予想通りだったな」

 

「ジーク!なんでここに居るのか知らないが、邪魔すん・・が!?」

 

「黙れ。邪魔なのはお前だ」

 

「ぐあ!?」

 

「ティオネ!?」

 

 

俺はティオネの拳を止めて、その後にもう片方の手でティオネの腹にストレートを入れる。これ以上を下らないことで大暴れするなら、フィンとは違って受け身だけを取るつもりもなく、別のファミリアである以上は容赦なしにやり返す

 

ティオネは俺に殴られらた後、後ろに吹っ飛んで倒れる。フィンが倒れたティオネを起こしに行く

 

 

「迷惑に等しいお前の方が邪魔だ。このバカ者が、自分の恋が実らなかったからと想い人を殴りかかるなど、とんだ勘違い女でありバカ女だ。それでよく『清楚になりたない』などと。呆れてものが言えんな」

 

「なんだと!?ジーク!!」

 

「なら周りを見ろ」

 

「ん?・・・・・・っ!?」

 

「お前が暴れたせいで住民は怯えているぞ?ここはパルゥムの難民が住む場所でもあるんだ。つまりはここはフィンにとって大事な場所だ。お前の想い人が大事にしている場所、想い人の同族の住処をお前の勝手な嫉妬で暴れたせいで迷惑が起きているのがわからないのか?」

 

「っ・・・・・・・」

 

「まったく相変わらずだな。お前の横暴は、だからお前はいつまで経っても『フィンに嫌われて』終わるんだ」

 

「な!?私が団長に嫌われている!?」

 

「そうだ。じゃあなぜフィンがお前に今日俺の団員と縁談をするのを、お前に言わないでロキ達だけには言うのかわかるか?それはお前が手に負えない程。迷惑を起こし自分のことしか考えない女だからとお前の悪い性格をわかっているからだ。そんなバカ女に今回の縁談をお前に言うわけないだろ。二年前もこれを俺は思っていたが、だからお前はフィンに嫌われて当然なんだ。女だったら少しは考えろ」

 

「そ・・・そんな・・・・・」

 

「ジーク。そんな言い方をしなくても・・・」

 

「お前もお前だ。フィン。お前がしっかり怒ってやらなくては、いつかこいつが取り返しのつかない過ちを起こすかもしれないんだぞ?そうなったら・・・・・お前も連帯責任として負を負うことになるんだぞ?仲間だろうと自分が思っていることをこいつにちゃんと言え」

 

「ジ、ジークさん・・・」

 

「ジーク様・・・本当にここでも容赦ない」

 

 

知ったことではない

 

自分の思いをぶつけるだけで相手の気持ちを考えない、そんなバカなことをする女に慈悲など必要ない。それを見て見ぬフリをするバカな男も、間違ったことをしているなら普通は止め、相手とは異なる気持ちがあるなら言えばいい。そうでなくては相手はいつまで経っても更生しない。それではダメだ。少なくとも想い人と分り合いたいなら

 

俺とリヴェリアのように、分り合いたいなら

 

 

「聞けティオネ。フィンはこの縁談を俺の団員に頼んだのには訳がある。それはいつかパルゥムの希望になるために、後継者の自分を産んでもらう。同族との結婚をこいつが望んでいるからだ」

 

「え!?団長?」

 

「あ、ああ・・・その通りだ。ジーク?なぜそれを?」

 

「二年前。俺がお前に誘った上手いワインのお店の時に、お前が酔い潰れて偶然口にしていた。『いつか自分と同族の人と結婚して、僕の子供がパルゥムの希望になって貰いたいんだ』と。お前の口からしたのを今でも覚えている」

 

「あ、ああ・・・・・・あの時の・・・」

 

「ティオネ。これでわかっただろう?お前の望みは叶わない。本人がそう決めている以上はな」

 

「嘘・・・そんな・・・・」

 

「それでお前はどうするんだ?」

 

「え?どうするって・・・・」

 

「言われなくてはわからないとは・・・まったくお前は単細胞だな。フィンの心が開くまで諦めないのが普通だろ?」

 

「っ!?」

 

「相手がどんなに自分の気持ちに答えてくれなかろうが、相手が心を開くまで恋をして想い続けろ。たとえ最後に自分を選んでくれなくてもその時は身を引いて相手のために幸せを願う。それでも嫌でどうしても自分の恋を叶えたいなら、そのフィンが決めているパルゥムと結婚よりも、より魅力になれるような女になれ」

 

「より魅力に・・」

 

「フィンはもう同族と結婚することを決めている。それでもお前が諦め切れないなら自分がその目的を諦めるくらい良い女になれば振り向いてくれるかもしれないぞ?」

 

「でも・・・そんなこと・・・」

 

「まあこいつのことだからそれでもその目的のために同族を選ぶだろうとは思うが、それでも好きな相手に自分を見てもらうためにはそうするべきじゃないのか?自分の嫉妬で相手に暴力を振っても余計嫌われるだけだぞ?」

 

「っ・・・・・」

 

「そこのアマゾネス。私もそう思うわ」

 

「ん?女神アフロディーテ?」

 

「あなたはそのパルゥムの坊やが好きみたいだけど、自分に振り向いてくれないからと言って暴力は最低な行為よ。余計その坊やに愛想を尽かされて終わるわよ。嫉妬で愛する人に暴力をするなんてやめることね」

 

「うう・・・・・」

 

「ティオネさん。私もそう思います」

 

「ちょっとティオネ。ムキになり過ぎ」

 

「暴力で相手を痛めつけても、好きになってくれませんよ?」

 

「ティオネ。乱暴は良くない」

 

「ああ・・・・・ごめんなさい。団長」

 

「いや、いいんだ。わかってくれれば」

 

「ティオネ、少しいいか?」

 

「リヴェリア?」

 

 

アフロディーテの説得によりなんとかティオネは怒りを忘れて暴走をやめる。流石にアイズたちの反対の声も聞けば、そんな事をしても無駄だと暴走も止まる。自分の思い通りにならないからと他人に暴力を振るって物にしても意味ないと、アイズ達の注意にはちゃんとティオネも聞き入れた

 

そこへ自分と同じく、恋を諦めきれないリヴェリアが、ティオネに助言する

 

 

「ティオネ。お前もフィンが好きなら、好きになって貰うように自分を磨くしかないぞ?今回私はジークに縁談を頼んだが、まだ大人だからではないと、成人してもいない間はまだ結婚は考えられないと、お見合いをまた来年へと延期された。ジークにそれまでの間でもしもの出来事により関係が崩れて、自分を嫌いになったのなら別に構わないと言われたが、私はそれでもジークをその来年になる日まで好意を抱き、私はジークを自分の夫にするまで諦めないつもりだ。それまでによりジークに好かれるように女として魅力をあげるつもりだ。それまでに彼に嫌われないように振る舞おうと思う。お前はそんな事をして本当にフィンが好きになって貰えると思うか?」

 

「それは・・・私もわかっているけど・・・」

 

「なら自分の怒りを抑える方法をこれから考えるんだ。想い人を振り向いて貰いたいのなら、例えパルゥム同士の結婚を望んでも、その決意を揺らぐような、よりお前が女らしくなれば良いだけのこと。お前も私のようにもっとより女として想い人に振り向いて貰えるようにいろんな事をして努力するんだ。そうでなければお前はいつまで経ってもフィンに振り向いて貰えないぞ?」

 

「リヴェリア・・・・あんたジークと縁談をしてなんか変わったわね?」

 

「ああ。私はそれ程彼と今回縁談をして良かったんだ。婚姻の条件としては満たないからその条件に合うように来年に回されたのだが、彼とまたもう一度二人だけで話せた事で、今彼がどんな気持ちを抱いているのかわかるようになったんだ。私もまだまだ恋愛経験は浅いが、それでも自分の恋に真剣に取り組み、振り向いて貰うようこれから頑張るつもりだ。お前も強さや清楚になりたいとかの前に、フィンに好かれるようにより女として磨くべきだろう?」

 

「あ・・・・・そうね・・・今回は私が完全に悪いわ。申し訳ありません団長。ご迷惑掛けました。そこに居るリトルルーキーやパルゥムの女の子も悪かったわね」

 

「ううん。わかってくれればそれでいいかな」

 

「あ、いいえ。僕は何も」

 

「ティオネさんの気持ちは・・・・リリも分かりますから、好きな人に振り向いて貰えず、自我を起こすのは分かります」

 

「ありがとう二人とも、そして団長。私もリヴェリアのように諦めませんから」

 

「ティオネ・・・・」

 

「今リヴェリアに助言されて思い知りました。振り向いて貰うにはそれ相応の美しさが必要だと。私はアマゾネスで野蛮な種族ですけど。それでも貴方に振り向いて貰えるような女性になって見せます」

 

「そうか・・・・その時はちゃんと君の気持ちに答えよう。ちゃんと二人で向き合ってね」

 

「はい。その時はお願いします」

 

 

ティオネはフィンに愛される女性にこれからなると決意する

 

リヴェリアは俺を求め、ティオネはフィンを求める。お互い自分の恋に必死に追いかけ。俺とフィンを夫にしようと、より魅力になれるようにと俺たちが気に入る女になろうとする。俺もフィンもどんな気持ちで受け止めたらいいのか、俺たちも恋愛経験が無い以上はとても返事は難しい。

 

だがそれでも俺とフィンは二人の気持ちに答えなければならない時が来る

 

その時は本気で返事をしなくてはならない。二人がここまで俺たちに好意を抱き、俺たちと本当に夫婦になろうと決意をしてまで努力をしているのだ。答えないわけにはいかない。フィンはティオネだけだから楽かもしれないが、俺は返事をしなくてはならない女性が多いからなかなかに苦労はする

 

だがそれも本当に俺を愛しているから故の、誠の愛である。答えないわけにはいかなかった

 

 

「問題は解決したな。リリルカ。お前の縁談の結果は?」

 

「もちろん破談にしました。フィン様も了承済みです。リリの縁談も終わりました」

 

「そうか、ベルが・・・・少し邪魔をしたようだな?」

 

「はい。それでも・・・・・リリにはまだ仲間で居て欲しいんです」

 

「彼女もまだヘスティア・ファミリアに居たい意思はあった。別にお前が邪魔をしたことに関して悪気に思う必要はないし、ふざけでもない。それにフィン。お前だって本当はリリルカがお前の婚姻を断るとわかっていたんじゃないのか?」

 

「「え!?」」

 

「まあ・・・・それなりにね。それでも彼女に頼むだけでもしたかったんだ。でもやはり彼女は君たちの大切な仲間だ。その仲間を僕が婚姻をして欲しいと頼んでも、君たちの絆はとても強く、皆ジークの強さに憧れて、彼女も僕の意思を断ってでも自分の夢があるようだから、この縁談は断れると思っていたよ」

 

「お前とてリリルカの気持ちも、以前偶然出会す時から気づいていた。それでも自分の気持ちに答えてくれるかどうか今回で試したわけだな?」

 

「うん。僕も今回で縁談をして良かったと思う。彼女の言葉に僕もまだ学習すことがあると気づかせてくれたからね。君がいろいろ彼女に教えたようだね。やっぱり君の仲間は有望だよ。レベル低い関係なくね」

 

「リリルカ自身に譲れないものがあっただけのことだ。それで自分なりの答えをお前にぶつけたに過ぎない。だから今回俺はリリルカには何も教えていない。全てこいつの意思だ。ベルも・・・・・自分の意思で邪魔をした。そうだろう?」

 

「はい・・・僕には・・・まだリリが必要なんです」

 

 

別に俺が彼女にいろんな事を教えたわけではない

 

これは完全に彼女の答えであり、彼女が選んでこの婚姻を断ってでも得た望みだ。決して俺が変な事を教えて得たのではない。彼女だって欲しい男が居る。その男と共に居たいが為に名誉を持っているフィンよりも、自分の恋を目指して歩んだ彼女の意志の答えだ

 

そしてベルも同じだ。

 

仲間の望みを捻じ曲げるような事だが、それでも仲間としてファミリアから離れたくないと縁談を邪魔した。あのフィンを相手にそんな横暴な行動に出る勇気を持ったとは、少しはベルも成長をしていると理解した

 

 

俺は婚姻をするかは一年後に回し、リリルカはこの縁談を破談した

 

 

俺はまだ続くが、リリルカは少なくともベルに自分に意識を向けてくれた。それだけでも今日はするだけの価値はあったのだ

 

 

「それじゃあホームに戻るぞ」

 

「「はい」」

 

「リヴェリア。これから・・・・・・俺と決別な事が起きても自分のファミリアは見捨てる事なく俺の敵になるか、もしくは俺の味方を取るかはお前に任せる。俺はその時の答えも受け入れるのみだ」

 

「例えその時であっても、私は傲慢に自分のファミリアを守りつつ、お前の味方にする道を進む」

 

「そうか、では・・・・・・また会おう」

 

 

そうして俺たちはリヴェリア達と別れた。問題が解決したのであれば、もう彼らと共に居る必要はないと、さっさと縁談報告をする為にヘスティアの居るホームに帰る

 

その帰り道で、リリルカと俺はお互いの縁談の感想を言う

 

 

「ジーク様はあのリヴェリア様の縁談はどうでしたか?」

 

「少しリヴェリアがあまり見ない綺麗なドレスを着て俺に見せつけて恥じらっていたのと、やはりあの事で戸惑いも多くあった。それでも俺の言い分を理解してくれた上に、彼女が俺への想いの意志もしっかりと理解した。あれからまともに話せてなかったからな、改めて彼女と二人で話せてリヴェリアもあれから成長していると理解した。リリルカは?」

 

「リリの好意の理由を聞いて、それでもリリの事を好きなのか、リリがヘスティア・ファミリアに入る前までの今までの経緯を言って。それでもリリに好意を抱くのかを聞いて、それでも真っ直ぐにリリが欲しいと言われましたけど、それでも・・・・リリにも譲れない想いがあるので、最終的に断りました」

 

「そうか・・・・それでいいなら別に構わない。ベルもかなり大胆且つ横暴な事をしたな。かなりの見上げた勇気だと思う」

 

「そうですか?自分としては半分悪いと思っていますけど・・・」

 

「じゃあ言うけど、ベルの坊や。貴方はリリルカちゃんのことをどう思っているの?」

 

「っ!?」

 

「それは俺もアフロディーテ同様に気になる。まさかこの後に及んで『仲間』などと言うわけないだろうな?人の縁談を邪魔したんだ。それほどの理由でリリルカの縁談を邪魔したんだ。この際だから聞かせてもらおうか?」

 

「ジーク様・・・まさか」

 

「それくらいの事はしたんだ。男らしく答えてもらうぞ?」

 

「えっと・・・・」

 

 

俺は悪気にも、リリルカをベルがどういう風に見ているのか、アフロディーテ の質問に応じてベルに答えて貰うよう要求する。リリルカだってとても気になる事だ。だからあえて質問拒否などをさせずに答える事を強制する

 

そしてベルの答えは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リリは・・・・・・・・・『妹』かな?」

 

 

「そうか・・・・」

 

「ええ・・・・・」

 

「あらあら・・・」

 

 

「え・・・・・なんですか?」

 

 

その言葉をベルから聞いて、俺以外のリリルカとアフロディーテたちは・・・・・・・・・・呆れた

 

そこまでしといてリリルカを今まで妹として扱っていたのだと思うと、ある意味失望を覚える。縁談を邪魔したと言うのに、まさか妹としてリリルカの事を想っていたと思うと呆れる。まあこれはリリルカとアフロディーテが一番思っている事だろう

 

俺としては・・・・・・ベルには一つ勘違いしていると思っていた

 

 

「ベル。そもそもお前は一つリリルカに誤解をしている」

 

「え?」

 

「そうね・・・まずはそこから認識して貰わないとね。ねえリリルカちゃん?」

 

「はい」

 

 

ベルが一つリリルカに誤解をしている所があるため、リリルカ自らが、その誤解を解きにベルに近づく。ベルは今までリリルカと知り合って妹として扱っているなら大間違いだ。アフロディーテもそれに気付いている

 

なぜならリリルカは

 

 

 

 

 

 

「私は15歳よ・・・・・・『ベル』」

 

「え!?」

 

 

「本当にベルの坊やはリリルカちゃんを妹だと思っていたようね?」

 

「あいつは疎いからな。パルゥムだから見た目は少女に近いが、本当はベルより一歳年上だと言うのにな」

 

 

リリルカは15歳  ベルは14歳

 

そう、彼女はベルより年上なのだ。だから言うならベルは弟の立場。残念ながらリリルカを妹として扱う事はできない。ななみにこれはベル以外が全員気付いている

 

つまりベルは・・・・・ファミリアの中で最年少である

 

 

「ええ!?リリが僕より年上!?」

 

「知らなかったんですか?」

 

「アドニスも知っていたわよ。あの春姫ちゃんや命ちゃんも、ヴェルフの坊やもヘスティアやヘファイストスやエイナちゃんやペルセフォネやヘクトルでさえ、みんな知っているわよ?」

 

「気付いてないのはお前だけのようだな。まあ・・・パルゥムをあまり知らない人間からすればリリルカをそう扱っても仕方がないのかもな」

 

「え・・・・じゃあファミリアの中で僕が一番年下って事ですか?」

 

「そういうことだ」

「そういうことです」

「そういうことね」

 

「そ・・・・・そうなんだ」

 

 

ベル本人としてはガッカリしているのかもしれない

 

自分が一番の年下だと思うと副団長の立場が無いと思っているのかもしれない

リリルカは誰にでも敬語で礼儀正しい言葉をするから、年下だと思っていたのだろうか、まあ何にしても大した自己紹介もしてないのだと思う。年齢とかの自己紹介はしてないからな

 

 

「まさかベルがお前を年下と扱っているとはな」

 

「まあでも・・・・ベル様が年下なのはわかりやすかったですよ」

 

「そうね。私もそう思うわ」

 

「ベルは間違いなく、まだまだ子供なのがわかる」

 

「ちょ!?僕が子供ってどういうことですか!?三人とも!?」

 

 

「「「さあ・・・・どうしてかな」」」

 

 

ベルが子供なのはとてもわかりやすい。それは誰もがわかっていることだろう。英雄に憧れそれになりたいなど。まさしく子供らしい所があると。おそらく今ここに居ないヘスティア達も思っていることだろう。それくらい彼は子供だった

 

 

こうしてアレスの戦争が迫っている中。リヴェリアとフィンの縁談を無事終えた。ある意味波乱な出来事だったがなんとか終わった。俺はまだ一年後に継続するのだが、それでもそれで続くかどうかはこれからによる。お互い大きな試練だった

 

俺としては驚きのことだった。まさかあのリヴェリアが本気で俺が欲しいと言うとは、あんなことふがあっても好意に思うとは、いや、あれだけのことがあって変わる姿にリヴェリアは惚れたのだろう。そういう変わり身で始まる恋は誰にでもある。リヴェリアそんな自分の恋に気づく事が遅い恋に目覚めて俺を欲した話である

 

まあ、俺としてはリヴェリアに乙女のような顔を見れて楽しかったと思っている。心が薄れていても二年前は好きだったから、そう感じるのかもしれない

 

こんな事態ではあるが、楽しい時間を過ごせた。

 

リヴェリアから頬にキスを貰うのは驚いたがな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、これは俺たちが自分のホームへ帰り、残されたフィン達とリヴェリアが帰る時に話す俺の知らない会話

 

 

「リヴェリア。君まであのジークに縁談を頼むとは思わなかったよ。彼のことをやっぱり好意に思っていたんだね?」

 

「年下に手を出したことに驚いているのか?それを言ったらお前も同じだろう」

 

「まあね。僕は結局破談になったけど。君は一年後にまだチャンスがあるじゃないか?」

 

「そうだよね・・リヴェリア。また来年にお見合いするもんね」

 

「ジークが貴方の想いに応えてくれるなんて夢みたいよ。あいつがそんなことを」

 

「でも・・・・わかる気がします」

 

「ジークさんだってリヴェリア様の事を想っていた二年前がありますから、簡単にリヴェリア様の婚姻を無駄にしないんじゃないですか?」

 

「今はまだ子供だからとまだ結婚は考えれないんですよ」

 

「来年にはジークも20歳になるけど。その時にリヴェリアと・・・・・結婚するのかな?」

 

 

「さあな。まだ本人もいきなりの求婚で驚いていた。まだ若いんだ。もしかしたら私との婚姻も断るかもしれないな。それに彼を想う女性は私以外にも居るからな」

 

「へえ・・・・・じゃあ特に何もせずに、食事をしてお話をしたってだけかい?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

「どうしたのリヴェリア?」

 

「なんか顔赤くない?」

 

「体調でも優れないんですか?」

 

「なんか・・・耳まで真っ赤ですよ?」

 

「リヴェリア?・・・なんか変だよ?」

 

「いや・・・・その・・・」

 

「もしかして・・・・ジークに何かされた?」

 

「あ・・・その・・・・だな・・・・・」

 

 

皆に、俺との縁談はどうだったと言ってくる。まあこの事は別に誰にも言うなとも言っていなければ、ただの証明と確認のためにした事だから、大して俺本人は気にしていないのだが、この事はリヴェリア自身はかなり気にしている

 

それは

 

 

 

 

 

 

「私が本当にジークに好意があるのかと。お互い『頬に・・・・・』した」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「今なんて言った?頬になんだい?」

 

 

 

「だから・・・・・・・頬に『キス』をした。お互い」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「・・・・・・・・・・それ本当かい?」

 

「ああ」

 

 

 

 

「「「「「えええええええええええええええええええええええ!?」」」」」

 

 

俺とリヴェリアがお互い頬にキスをしたことの衝撃の悲鳴がオラリオ街全体に響いた。これはロキにも説明するわけにはいかない話である

 

 

 

 

 

 

 

 

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