あれから翌日。アクタ・イオンの通達通り
アレス・ファミリアがやっとオラリオの付近に到着し、ロキ・フレイヤ・ファミリアと交戦中の光景を、俺はグリフォンの背に乗って空に飛んで確認していた
ヘスティア・ファミリアは参加不可になっているが、どうしても確認したいと。無理ながら俺はヘスティアに許可を貰って、空で確認している。戦況を見る限りでは。圧倒的にロキとフレイヤのファミリアが有利だ。別に心配しているのはそこではなく。
『密かにオラリオに侵入しようとする部隊』が居ないかの確認である
戦争で負けるのは俺でもわかっている。アレスに勝ち目はないことも。だからこそ人質を使うはずだと。人らしい下劣なことをする。それが兵士としての誇りなど関係なく。勝利を得るために手段は選ばないもの。
俺は戦争経験者上の関係で。自らの眼で確認したかった。でもそのような部隊は見えない。一人残らずロキとフレイヤの眷属達に吹き飛ばされたりと戦闘不能になっている状態だ。もはやオラリオに捕縛されるのは時間の問題
「グリフォン。戻ろう。もう見る必要はない」
『よろしいのですか?』
「ああ、あとはロキ達と義姉さんに任せる」
フィンとオッタルがそんなヘマをするはずがないかと。俺はもう自分で確認する必要ないとホームに帰って報告と。アルテミスとアフロディーテとペルセフォネの相手をしなくてはならないとグリフォンにホームに向かうよう指示をして戻る
「以上。今の戦況報告だ」
「うん、アレスの脳筋ぷりには僕も飽きたな」
「あの子。私が直接なんとかした方がいいかしら」
「その方がいいぞアフロディーテ。お前ならアレスを抑えられるからな」
「その隙にジークに距離を縮めようなどと。貴方の企みはお見通しよ。アルテミス!」
「なんのことかだ?私はただジークと一緒にお茶をしたいと紅茶とクッキーを持ってきただけだが」
「だったら喧嘩をするな」
報告を俺は済ませる。このまま待機していて問題ないと言い。わざわざ俺たちが戦場に出る必要はないと言った。だけど油断はならないと全員にあまりホームに出るなと伝える。特にヴェルフには。そんな中。アルテミス とアフロディーテが喧嘩をする。まあここでは気を緩めてもいいのだが、あまり喧嘩をして場を乱さないでほしい。
「とにかく、用もないなら全員このホームからあまり出るな。いつどこでなにをしてくるかわからないからな」
「アレスは意外とひつこいからね」
「軍神だけあって、隠密行動はできるからね」
「警戒は続けるべきだ」
「まあでも。そこまで念密にする必要はないだろう。今は休日を過ごせばいい。ただそれだけをしていればいいさ」
別に何かされた時だけに反撃すればいい。今は休日を引き続きすればいいと俺達はいつも通りのことをすると。普段通りのことをして武器だけは所持しておけと、いつでも反撃できるようにして、あまり外を出歩かないようにしろと言っておく
とは言っても
「相変わらずアレスの作戦無しの無謀な戦争に関しては飽き飽きする」
「そのジークの気持ちはわかるな。私も以前は酷い苦労を受けたからな」
「すごいことをするからね。びっくりするくらい」
「無謀に全兵士を無理に突っ込んで襲撃するから面倒なんだ」
「軍神の癖に兵士の扱いが雑だからな」
先ほど戦況を見ていたが、兵士のほとんどが捕縛されていた。もはやロキとフレイヤのファミリアの勝利は目前。心配して見るほどの価値にもならない戦場に、俺たちが行くすら必要ない。アレスの軍神であるはずなのに、作戦の一つも建てないで全兵士を攻め込ませるなど。将軍級のレベル三も居ると言うのに、扱いがなってない
もはや軍神の名も似合わない。言うならただの戦闘狂神だ
そんな奴の相手を今までしたのであれば、俺もアルテミスも呆れていた。
すると
「今後僕のファミリアで男女と触れ合うのは禁止だ!!!」
「「ん?」」
「ヘスティアの声だな?なにがあったんだ?」
突然ヘスティアが何か気に食わないことがあったのか、なぜか男女と触れ合うのを禁止と言ってきた。どうせリリルカと春姫が何かベルに限度が過ぎる接触をしているのを見て、怒ってそんな決め事を言い出したのだろう
声からして隣のリビングでその会話をしているとわかり、俺とアフロディーテとアルテミスはそのリビングに向かうと
リリルカとヘスティアがベルを前にして言い争いを始めていた
「サポーターくん!今後ベル君との接触は禁止!!」
「それでしたらヘスティア様も女性ですから、ダメですよ!」
「な!?僕は主神だぞ!ステイタス更新も困るじゃないか!」
「だったらそんな決め事を禁止にしないでください!」
「ダメだ!?絶対に!僕のファミリアでは不純異性交遊禁止だ!!!」
「ペルセフォネ。春姫。なにがあった?」
「あの私と春姫さんと洗濯していたのですが、そこでベルさんが手伝ってくれたのですが」
「私が大丈夫だと言ったのですが、優しい彼はそれでも手伝ってくれると、私の手に持っていたシーツなどを手に取って」
「そのところをヘスティアに見られて嫉妬して、あんなことを言っているのね」
「なんともヘスティアらしいな」
やはり俺の推測は当たった。
ベルが春姫に洗濯を手伝うつもりの親切心で接触したのだが、それが手に触れ合う光景をヘスティアが見てしまい。嫉妬して男女接触禁止にすると。かなり無茶苦茶だが。そんな無謀なルールが決まった
それをリリルカが必死に抗議して、その決め事を反対する。だがヘスティアは全然聞いてくれない。
だからアフロディーテとアルテミスが
「ヘスティア。それだと私やジークも接触禁止なわけ?」
「え!?」
「ヘスティア。いくらなんでもそれは横暴と言うものだぞ?それではまるでかつての私だぞ?」
「そ、それは・・・・」
「ヘスティア様。それは私も困ります。ジークに・・・・接触できませんよ」
「うう・・・・・」
「だそうだ。やめたらどうだ?ヘスティア?」
「ああ・・・・・・はい」
結局アフロディーテとアルテミスとペルセフォネの講義により、ヘスティアその決め事を取り消す。流石の別の主神二人と別のファミリア団長の講義には逆らえないようだ。家事をしてくれると言う恩もあるため、取り消さないわけにはいかなかった
「またヘスティア様が、めちゃくちゃなことを言っているのか?」
「神ヘスティアはこういう方ですか?命さん?」
「はい・・・・・・たまに・・・・こういうことをします。カリス殿」
「とても面白い・・・・・神ですね?ヴェルフさん」
「アクタ。正直に無茶苦茶な神だと言っていいんだぞ?」
「本当にこの方が・・・・神アルテミスと同じ処女神なのか?ヴェルフ?」
「こう見えてなヘクトル。ヘスティア様は・・・・・マジで子供みたいな神だからな」
この騒動により、ヴェルフ達までリビングにやってきた。つまりは全員ここに集まってきた。まああれだけ大きな声をすれば当然である。もうヴェルフ達には今なにがあったのか事情を把握しているようで、その話にヴェルフと命とヘクトルが乗る
「まあ、でもさ・・・交際することに関しては・・・・神が相手でもダメか?」
「自分もそれについては・・・・反対したくないのですが・・・」
「私もそれについては別にいいと思っている」
「ん?ああ・・・・・ヘクトルはともかく、お前ら二人は神に恋愛中だったな?」
「ほう・・・・・ヴェルフさん。貴方は女神に恋を?」
「命さんもですか?男神で気になる方でも?」
「え!?いや・・・・・・俺はヘファイストス様をだな・・・アクタ」
「私は・・まだカリス殿には会ってない御仁ですが、極東の男神で・・・」
「おや!それはそれは!昨日のあの赤髪をした眼帯をされた女神様ですね?」
「命さんも相手が男神様であろうと。大丈夫ですよ!相手が男神様であろうと。その男神様も貴方の想いに応えてくれるはずです、これは良きことですよ!」
「そ、そうか・・・・」
「い、いや・・・・・」
「私も相手が神々であろうと、文句はない。そこにしっかり愛があるのなら。私はあのアフロディーテ様の相手が、よりにもよってアキレウスなのは気に食わないがな」
「ヘクトル。もういつまでジークを恨んでいるの?もう水に流せないの?」
「私はあんな辱めを受けたアキレウスのことを。許す気はありません。あんなことを大昔に奴にされるとは」
「昔に女の自覚ないセリフを吐くからだ」
「なんだと!!」
「ヘクトル」
「っ!?申し訳ありません!!」
「ジーク様?昔ヘクトル様に何をしていらしたんですか?」
「昔10歳の頃の俺はこいつの国で当時のこいつに決闘を申し込まれ、それで俺は勝ったのだが。女性を相手にしているのだから、少し手加減したのだが、そのことがこいつは非常に気に食わないと。『私を女として扱うな』と、ふざけたことを言ったため、『上半身の衣服だけを切り刻んで』、民衆の前で奴の胸元を晒した」
「う、うわあ・・・・・容赦ないですね。ジーク様」
「俺はあいつが女として扱うなと言うから、なら別に胸を晒してもいいと。こいつが少しでも女性として自覚するように追い込んだだけだ」
俺はヘクトルにそのような辱めをした過去がある
昔イリオス王国の問題を解決した後に突然のヘクトルからの決闘を申し込まれた俺は、その決闘を受けて勝利するのだが、負け惜しみで言ってくるのか、手加減したのは『女だから』だとかで、ヘクトルが女だから俺が手加減したと。当時の俺と同じ幼い彼女は抗議してくる。なら、俺も容赦せずに、更に女としての自覚を改めさせるため
俺は奴の上半身の装備と服を剣で引き裂いて
グラニの馬車にそのまま無理矢理乗せて、奴の国中を回って民衆の前で晒した。その恥ずかしさから彼女は俺を恨んでいる。
無論、そんなことをして俺も悪びれる感覚はない
でも、ヘスティアが、ヴェルフと命の『神にも交際』すると言う話に食いついた。それはヘスティア自身もベルに恋をしているからだ
「いいじゃないか!神々と下界の子供達の恋愛!僕は素晴らしいと思っているよ!」
「そこは私も思うわね。美と愛の女神として賛成よ」
「私もそれについては反論はない。不快ではあるがアフロディーテと同意見だ」
「アフロディーテ様とアルテミス様はジークさんを好いていますからね」
「当然ですね」
「ですが!神様が良くて、人間同士の恋愛はダメだなんて、不公平です!」
「それはリリルカさんの言う通りです!」
「私もその通りだと思います!」
「ペルフォネはジークを、リリルカと春姫はベルを好いているからな」
「ペルセフォネはわかるが、ベルは全く気付かないがな」
ヘスティア勢神々側とリリルカ勢人間側での言い争いが続く。俺たち側は完全にその空気に飲まれている。別に俺はどっちでも愛し合っているなら異論はないのだが、俺とベルの取り合いで激しいのか、中々に言い争いが終わらない。別に紙でも人でも同じ。ただ人間側は神に恋愛なんて不可能だと諦めているだけだ
だからなのか、終わらせるためにヘスティアが最終手段を取る
「こうなったらもうどっちだっていいよ!」
「あ!?何を!?」
「え?神様?」
「ねえ?ベル君?」
「なんですか?」
「もしも素敵な女神が、突然君に求愛したらどうする?」
「「っ!?」」
「「ほう、やるなヘスティア」」
「「やると思った」」
「「「大胆ですね」」」
「なんと言う・・・唐突な」
「・・・・・・・・・」
ヘスティアのもしもの質問にベルは戸惑う
まさかそんな、明らかに自分を指している質問をするとは思ってもみなかった。流石にその質問が自分のことだとわかっているベル以外はアフロディーテやアルテミスでも驚いている。アルテミスもまさか同じ処女神としてそこまで大胆な質問をするとは思わなかった。まあかなりの遠回しな質問だが
この答えは、俺もわかっている。ベルは絶対に
「いや・・・・・・・・・・・・・断りますけど」
「っ!?」
「「「「「「「「「え!?」」」」」」」
「だろうと思った」
俺も当然だと思うが、いきなりそんな事を言われて付き合うわけがない。いくらなんでもヘスティアも、そんな大胆に言っても、まだ14歳と言う年齢の子に恋愛はまだ早いと思う。特にこいつはアイズに憧れている少年だ。アイズを好むこいつに、そんな事を言われても、通るはずがないと。俺はベルの性格をわかっていた
他のみんなは驚いているが、断り方としても。そうなるのは当然。俺もベルの判断は間違っていないと。俺も結婚をまだ望まない者として、道理の言葉だと思っていた
条件によっては・・・・・これは流石に通らない
「まずあり得ないですし、会ったとしても女神様を相手になんて、滅相もないと言うか」
「なるほど。お前は神を『そう扱う』のか」
まさかベルがそんな理由で断るとは思ってもみなかった
別に神と人が恋愛する事に関しては誰でもあることだと。人は常識のように言うだろう。だがベルは違う。ベルにとって神々は『崇める者』であると。そんな大層なことは自分の立場において図々しいと。ベルにとっての神は信仰する者であるとわかった。リリルカ達はヘスティアを仲間として扱うが、ベルはヘスティアを仲間ではなく上司のような扱いをしている。今まで神を知ったことのないまだ世間を知らない子供の普通の考えなのだろう
だから、ベルとしては子供らしく。神にそのような大胆なことは罰当たりだと。神を最も大事にしている者の言葉だったと俺は理解した
それでもヘスティアは
「ベル君のアホオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「うが!?」
「ヘスティア!?」
「どこへ行くんだ!?」
彼女はそれでも気に食わず。ベルを頭突きして外へと出ていく
用もないなら出て行かないで欲しいと言うところのなのだが、異性にフラれたようなものであって。あの状態では何を聞いても失恋のような感じをして聞いてくれないと。何も俺は言わなかった
「イタタタ・・・・は!?神様は!?」
「外へ行った。お前の言葉が気に食わなくて出て行ったぞ?」
「え!?なんでですか!?」
「お前がそんな理由で、そんな答えをしたからだ」
「でも神様は神様ですよジークさん!?神様は敬う者で・・・」
「本気で言っているのか?少なくともヘスティアは自分を敬まってほしくないと思うぞ?」
「っ!?」
ベルにとってはやはりヘスティアを仲間として意識しておらず。親玉のように考えるベルには滅相もないと考えているようだが、神にもいろんな奴が居ると言う事をそこから話さねばならないと。俺はこいつに少しでも神の存在を知り。ベルを想う者に対してどう思うのか、こいつに少し恋愛について難しい話をする
「ヘスティアはそんな扱いをされたくはないと思っているぞ。神々にもいろんな奴がいる。自分を愛してくれる忠実な子供をしっかり愛で答えるフレイヤ。眷属の女にセクハラが激しいがそれでも自分の眷属を大事に想うロキ。眷属に面倒を押し付けると言う最悪な事をするが、それでも自分の眷属を仲間のように信じて任せるヘルメス。街を守り、眷属を大事に守ろうと一人一人力を与えて想うガネーシャ。武士として父としても子供のために働くタケミカヅチ。ファミリアの家計は苦しいけど。それでも自分の眷属や人をポーションなどを制作して助けるミアハ。子供のために必ず帰ってこれるように最高の武器と防具を作って与えるヘファイストス。どれもこれも神々は親や仲間になりたいだけで、敬う存在になりたい神など。ここオラリオではそんな者はほとんど居ないものだ」
「でも・・・・生きる時間だって・・・僕らに寿命があるし」
「そうだな。俺たち人間はとても短い。五十年ですら生き残るのも怪しい。こんな役職ではな。でもだ。それでも神々が永遠でも今この時を大事にしたいからと。一瞬一瞬を大事にしている。それで時が過ぎて俺たちが居なくなっても。神々は思い出なりにするか、天に共に行くなどをして。いつまでも大事に想っている」
「いつまでも大事に・・・」
「神々は永遠の命を持つ代わりにとても辛い代償がある。それでも尚、自分の愛や想いを貫く。お前のような存在は二度と居ないものだからな。愛しい人間が居たら諦めずにその人間に想いをぶつけるものだ。神々の愛は特にな」
「そういうものなのでしょうか・・・・」
「まだ恋愛をわからないお前にはそうだろうな。それに神と人が恋愛するのがまずいなら。『俺はここに存在しない』ぞ」
「っ!?」
「俺は雷神トールとヒューマンの間に生まれた、神の間に生まれるはずのない。『半神半人』と言う異生物の人間だ。父は残念ながら俺を生んで半年後の戦争で故郷を守るために戦死したが、それでも母は神としてではなく。人間を愛した母として、雷神として名乗らずに、父の妻として俺を実の息子として育ててくれた母だ。例え愛しい父が居なくなってもな。神の間に子供は作れないはずの常識を破った奇跡の子供。俺は母を神として敬うのではなく、母として俺も親愛していた。お前にとってヘスティアはどんな存在なんだ?」
「それは・・・・・・・」
「いろんな愛があるから。まだ幼いお前には考えられないしにしても、しっかりヘスティアと向き合って。答えるべきだぞ」
「っ・・・・・・僕・・・・神様を探していきます!」
そう言って、ベルはヘスティアを探しにホームを出ていく
恋愛は複雑でもあるし。簡単なことではない。それを分かり切る時はベルにはまだ遠いと思っている。あんな言い方をしても仕方ない。本当に恋愛意識がなく、結婚を望まないの者に関してはああ言う断り方をするのが当然である。あれが普通なんだ
「ヘスティアも、別にあんな遠回りな言葉を言わないで、『自分が君に求愛している』って言えばいいものを、そんな『素敵な女神』ってだけでは、俺でも断るぞ」
「え!?ジーク様もあのセリフを言われたら断るんですか?」
「当然だなリリルカ。素敵な女神って言うが、それが知りもしない女神でも受けようと思うか?ヴェルフ。アクタ。お前らはどうだ?その女神が知っているならともかく、知りもしない女神に求愛や求婚してくれってなんて言われたら受けるか?」
「あ、それは確かに嫌だな・・・・」
「私もそれは・・・・流石に・・・」
「どんなに美しかろうと知らない女神であるなら受ける気などない。言うなら条件によるだ」
「まあ、確かにそれもそうね」
「私も確かに、それが見知らぬ男性だったら断るな」
「ヘスティアもそうなんだが。ハッキリ言わないな」
「「確かに」」
ヘスティアもヘスティアだった。そんな遠回しな質問しないで、ハッキリとベルが好きだと言えばいい。どこの女もなんで自分の気持ちを伝えずに遠回しな言い方をするのか、今まで聞いてて、俺には女が素直にならない意味がわからなかった。
ペルセフォネやアフロディーテやアルテミスやシルはハッキリ言うのに、俺には他に想いを詰めている女どもの考えが理解できなかった
「と言うわけで、ヘスティアは欠席だ。ヘルメス。デュオニュソス。デメテル 。ヘファイストス」
「ヘスティア。相変わらずだな」
「彼女は素直にならない所があるからね」
「あらあら。あの子も恋をするのね?」
「素直に言わないなんて・・・・それで相手はベル・クラネルかい?」
「ああ。ベルにな」
「ベル君にか・・・・まだあの子にはわからないと思うけどな」
「まだ幼いあの子には恋愛は早すぎると思うけどね」
「あの子は鈍感そうだしね」
「あの子はまだ14歳だから、わからないのも無理ないわ」
今は彼らと共に、俺とアフロディーテとアルテミスとペルセフォネでとある喫茶店で先ほどの話をしていた。デュオニュソスの警護のためにフィルヴィスも居る。ここで集まったのはアフロディーテとアルテミスの友人達を集めて久しく話をすると言う提案でここに集まった理由である。
本来ならヘスティアも集まるのだが、説明した通りベルの言い合いで喧嘩をしてどこかの外へグレて行ってしまった
「ヘスティアは居ないが、初めてもいいんじゃないか?」
「そうね。また後でもできるしね。今は簡単に話しましょうか」
「ああ。このメンバーで話せるなんて天界以来だからね」
「それにアルテミスとアフロディーテが揃うことなんてことも滅多にないしね」
「私はジークが居るからよ」
「まったくだ。ジークが居なければ私だってここに来ていない」
「まったく。喧嘩だけはするなよ」
話す内容は単に久しく会話がしたいだけ
今まで下界で何をしていたかなど。普通に世間での行いの話を久しぶりに集まってする。お茶会である。おまけに犬猿とも言えるアルテミスとアフロディーテが揃っているのだ。久しく友人達と話すのも良いと。俺が居るなら構わないと二人は了承してここに来ていた。まあ俺とペルセフォネがくれぐれも二人が喧嘩しないようにストッパーとして見張るのだがな
「そうか、アルテミスはエルソスの周辺の樹海を守りつつ。ファミリアを大きくしているわけか」
「ああ、もちろん私はそれだけでなく多く眷属の男女や村の者に、ジークにふさわしい女になろうと『嫁修行』をしているんだ。ヘルメス」
「あんた・・・・本当に変わったね」
「ヘファイストスこそ。あのヴェルフとはどうなんだ?」
「な!?別に良いじゃない。私のことは・・・」
「それがこの子。今更になってファミリアの仕事が終わると。家事や料理をヘスティアの眷属に教わっているのよ。ヘファイストスも私の見張りとかで一緒に同居しているしね」
「あ!?アフロディーテ!?あんたね・・・」
「良いではないか。女神が下界の子供に恋をしたら。相応しくなろうと頑張るものだ」
「ほお・・・あのヘファイストスがあのクロッゾを」
「あらあら・・・・・ヘファイトスも乙女ねえ」
「ちょ!?からかうんじゃないわよ!?」
「へえ・・・・・ヘファイストスもかい。最近多いな。下界の子供に恋をする女神が」
「そうなのか?ペルセフォネ?」
「確かに最近そのような話を聞くよ」
ヘルメスが最近下界の子供に恋を女神が居ると言ってきた
ペルセフォネも最近街でそのような情報を聞いたらしい。名前は出ていないが、なぜそんなに急に女神がそのような事をするのかは知らないが、どうやらアルテミスとアフロディーテ以外にも人間に恋をする女神がオラリオにも居るようだ
「じゃあ・・・・・・ジークのお母さんのように子供を産めるのでしょうか?」
「それは・・・・」
「それはおそらく・・・ジーク君だけだろう」
「ああ。彼の父が特別の血縁で神にも影響与えやすいのか、子供を産めたのかもしれない」
「でも有り得ないのよね。神が子供を産むなんて」
「ああ。確かに信じられない。だがヘファイストス達も体で実感しただろう?」
「昨日私たちの喧嘩を止めるために、ジークは『トールの神威』を放った。間違いなくあれはトールの神威よ。それを吐き出せたのであれば間違いなく、ジークはトールの子だわ」
「故郷の者にも言われた。『お前が生まれるなんて奇跡』だとな」
爺さんにも俺は生まれる事自体が奇跡だと言われている
それほど、神が人の間に子を設ける事は不可能である。それを成し遂げて俺を生んだのが俺の母にしてロキとヘルの姉トールだ。父は完全にヒューマンであり、もう亡くなったが、奇跡なことに俺を産んだ
無論なぜ繁殖できたなのかは、俺や故郷の者でも爺さんでもわからなかった。
「ただハッキリ言えるのは俺たち一家『フリード家』は特別な血筋。神にも影響を与えるような血統であるからなのだろうと。フレイやおふくろは推測していた」
「君の家計って、特別なの?」
「その血を引く俺でも先祖達のことはあまり経歴にも残されていないため、あまり詳しいことは知らないが、俺たち一家は、『千年前から受け継がれる』血筋だ」
「「「「「「な!?千年前から!?」」」」」」
「てことは・・・・・・デメテル様達がこの下界に降りる前から!?」
「ああ。爺さんとおふくろにはそう言われている」
ニーベルンゲン族
俺は千年前から血を受けづがれた唯一の子孫であり。神々が降りる前から絶えることなく血を引き継いだ血統である。もう俺しかこの血は受け継いでいないが、だからなのか、爺さん達でも降りる前から存在していた俺たち一族を。詳しいことは知らない。ただ俺たちが千年前から存在していて。この血筋は俺だけになってしまったと言うことだけ
これが神の間に生まれると言う。神が驚くべき不可能な存在として生まれた
それなら俺たちの血筋が特別で繁殖にもどんな種族でもできる一族なのかもしれない。今の所そうではないかと思っている。今の段階で
「それは初耳ね。そういうことはトールから聞いていなかったわ」
「おふくろも俺の先祖達のことは全部知っているわけではないが、ただ千年前から続く血筋だと父から聞いたと言っていた」
「へえ・・・千年前からのモンスターがまだ地上に居た神話の時代からね」
「君がそんな長き受け継がれる血統だなんて、知らなかった」
「フリード家って・・・・あまり聞いたことはないわね」
「所詮オラリオの外の一族だ。お前達オラリオに住む神々だから知らないだけだ。俺の故郷は北にあって、とても遠く、地図にも書いてない場所で、あまりここまで俺の故郷の情報は届かないからな」
「あなたの故郷は北にあるのね」
「てことは『べオル山地』の奥にあるってことか」
「それよりも遠い」
俺の故郷は地図には乗らない場所。ベルの村もそうだと思うが。べオル山地はとても険しい場所で。超える人間はほとんど居ない。それよりも俺の故郷は奥にあり、しかも俺の故郷は『島』であり。山を超えたら次は大湖で、更には樹海で、最後に海を超えていかないとならない
俺の島はかなり辿り着くには難しい位置にある。俺は母とフレイと共に何度もしている。だからそこまで来るにはとても長旅になるし、そこら辺に竜が多い地方
辿り着くには不可能に近い
すると、ここでアフロディーテは話題を変えてくる
「ならジーク。あなたが神の子であるなら、あなたと性交すれば子供は私たち女神は産める?」
「「「「っ!?」」」」
「アフロディーテ様。それは流石に・・・」
「難しいんじゃないのか?」
「いや・・・・可能性はあると思う」
「っ!?それは本当なのか?ジーク?」
「確信はないぞフィルヴィス。でも俺は神の間に生まれたんだ。可能性はあると思う。母が俺を産めたのなら。俺も女とすればそれができるかもしれない」
「それが聞けてよかったわ」
「アフロディーテからすれば美と愛の女神からすれば、一番の夢よね」
「当然よ。ヘファイストスだってヴェルフの子供とか産んでみたいでしょ?」
「ま、まあ・・・・・」
「ペルセフォネが羨ましいわ、人間で。私たち女神は愛を司ってもその間に子供は産めないのだから、私にとっては不満よ」
「その気持ちはわかるな。ジークに恋をしてからは、自分の間に子供は欲しいなとは思うようになった」
「可能性の話だがな」
女神のデメリットはこれだ
どんなに愛を司っても間に子供は産めない。女神も女だ。愛した男の間に子供は欲しいものだ。それが叶わないから苦しい。女神にも美しさがあっても自分の子供は産めない。女なら自分の子供を可愛がりたいものだ。だから悲しいとアフロディーテは言う
「トールが本当に羨ましい。雷神で愛の女神じゃないのに子供を産めるのだから羨ましいわ」
「私も産みたいな。ジークの子供を」
「十年前、私はトールに嫉妬したわ。あの子がヒューマンと結婚したのを。それが子供を産んで私のホームまで来て見せた時は羨ましかったわ」
「私も驚いた。あのトールに子供ができたと聞いた時はな」
「あの子。天界よりもジークと一緒に過ごした事で良い顔をするようになっていたわ。母親らしい顔をね。あなた達想像できる?あの乱暴者だったトールが母親になった姿を。マグニもモージも驚いていたわ。私も・・・・・ジークの妻になって母になってみたいわ」
「ああ。それが今の私の目標だ。ジークに会えて良かったと思うし、下界に降りて良かったと思う」
「・・・・・・」
彼女達二人においては本当に女としても目標がある
天界ではそんなことは叶わない。愛した人との間を生むことは。それが下界に降りても不可能だと思っていた。だがそんな中で俺が現れた。神と人の間に生まれたヒューマンが、俺がその間に生まれたのなら。俺とすれば子供ができるのではないのかと。アフロディーテとアルテミスは夢が叶うのではないのかと、必死になっているのがわかった
だから俺は
「今は答えるのが難しいが、いずれ一年後にお前達二人の婚姻に答える。今の俺には恋愛を知る時間が欲しい。わからないから」
「ああ。わかっている」
「必ず一年後に答えてもらうわ」
「ペルセフォネもな」
「ええ。お願いね」
必ず二人の婚姻に関して答えなければならない。一年後必ず
俺にあその時は来るだろうか、恋愛がわかる日が。俺には本当に愛だとか恋だとかなど、感情を壊されている俺には理解できない。だが彼女達が俺に恋をしてくれる気持ちを無駄にするわけにもいかない。
それまでに本当に愛だとか、恋だとか理解できるのか、俺の気持ちは理解できるのだろうか
そんな事を思っていると
事件が発生する
「ジーク様!アルテミス様!」
「アフロディーテ様も!ペルセフォネ様も!大変です!!!」
「っ!?」
「リリルカ!?」
「春姫!?」
「どうかしたのか?」
突然、店の外からリリルカと春姫が窓越しで俺たちを呼んできた。何やら焦った様子で俺たちを呼んでいる。何かあったのだと。俺は再度聞いた
すると
「ヘスティア様が!」
「アレス様に拐われました!!」
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」
「なに!く!」
俺はリリルカと春姫の通達を聞いて、俺は気配感知を強くして、周囲にあるヘスティアの神の力を感知するために集中して、居場所を確認する。その感知を集中すると
アレスの神の力とヘスティアの神の力が一緒に『オラリオの外』から感じた。神の力は冒険者と違って力が強く、すぐに今ヘスティアの力を遠くから見つけて、居場所がわかった。
「っ!確かにヘスティアがオラリオ外に居る!」
「なぜ彼女が外に居るんだ!?外壁の警備は何をしているんだ!?」
「ガネーシャ・ファミリアが担当しているはずですよ!」
「く!通達はわかった!すぐに行くぞ!」
「東門です!」
「案内します!」
確かにヘスティアが外に居る事を神力を通じて感知し、アレスと共に間違いない。なぜヘスティアが外に居るのかは知らないが、何か理由があって外に出たところを、アレス に見つかって拐われたのだとわかる
とにかくその拐われた場所である。東市外壁の門へ全員で向かう
「あ、ジークさん!」
「来たか!」
「アフロディーテ様!」
「「アルテミス様」」
「デュオニュソス様に、デメテル様!?」
「ヘルメス様!?」
「おお!主神殿!」
「全員集まっているな!・・・・っ!ロキ・・・アイズ・・・フィン・・・アスフィ・・・・椿も」
「大変なことになっているで」
「うん。ヘスティア様が・・・」
「とんでもない事態にね」
「私も見つけた時は手遅れでした」
「ちと厄介なことになっているぞ」
ベル達だけではなく、ロキとフィンとアイズ。偵察隊としてアスフィも門に居た。そのついでに椿も、そしてベル達の前で、小さな荷車が置いてある。これは間違いなく。ヘスティアのバイトが使う荷車だった。なぜこのような物があるのか
「英雄様!」
「っ!お前は・・・・・確かヘスティアのバイト店長。何があった?」
「30分前にヘスティアちゃんに会って。じゃがいもがもう無くて仕方ないから営業を中断しようとしていたんだけど。それを見てヘスティアちゃんがじゃがいもを取りに行くって聞かなくて、勝手に外壁まで出ちゃったのよ!」
「なるほど、ジャガ丸くんの材料を取りに行く為に、親切心で外の畑に行ったわけか。だが侵攻中なはずだ。ガネーシャが警備していたんじゃないのか?」
「そのガネーシャが神なら構わないと不用意に外へ出してもうたんや」
「俺は・・・・ガネーシャだ」
「こんな時くらい大きな声で言えんのか!?」
「まったく・・・」
理由と外に出れた理由はわかった。十分とした訳もな。まさかガネーシャが神だからと外出を勝手に出すとは。申し訳なくて門の壁に隠れいている
だが
正直もうどうでもいい。『彼女を誘拐した』時点で、もう俺はもう事の顛末などもどうでもいい。もうこれは俺たちの問題。ヘスティアの決め事でアレス・ファミリアには関わらないつもりだが
こうなっては『滅ぼす』以外無い
「精霊全召喚!!!」
『『『『『お呼びですか?主』』』』』
「ジークさん!?」
「精霊全部呼んでどうするんだ!?」
「決まっている!!ヘスティアを取り戻しにアレス・ファミリアを蹴散らしに行くぞ!人質に取るつもりなら、これはアレス・ファミリアが敵対と言う証だ!全員武器を持って攻めに行くぞ!!!今度はこっちから追い込む!!」
もはや敵になった者などに俺は情は湧かない。精霊全員召喚して攻め込むと。全精霊を呼んだ
人の主神を拐って人質にするのなら、滅ぼすまで。お前らが侵攻したのであれば。今度はこっちが殲滅するまでだと。もはや人の主神を拐う『軍神如きに』恐れもなく。俺は怒り奮闘で私服のまま、俺はパンドラボックスからパラディオンの盾とトネリコの槍を出す
でも
「待ってください!ジーク様!」
「俺たちはともかく、ベルは武器持ってねえぞ!?」
確かにベルは武器を持っていない。朝早くベルはヘスティアを探しに武器も無く、ヴェルフ達は警戒のために武器は持ったまま移動していたが。ベルは俺と同じ私服で武器すら持っていない
だから
「ベル。これを使え」
「これは!?」
「錬金術で作っておいた。予備でな」
「これなら・・・神様!今行きます!」
俺はベルに宝石でできた短剣とナイフを渡す。念のために代わりの予備の武器をパンドラボックスに入れておいた。それを渡した
「行くぞ!アレスからヘスティアを取り戻すぞ!!」
「待ってください神様!」
「くそ!俺の故郷の主神はマジで何を考えてやがる!」
「市壁から出てはいけないって知っているはずなのに!」
「ヘスティア様もバイト店員としておばさんに手伝いをしたかったのでしょう」
「自分たちの主神らしいです」
『『『『『すぐに向かいます!!ヘスティア様!』』』』』
「待ってくれジーク。居場所はわかるのか?」
「部隊がバラバラに動いている。その中で神ヘスティアがどこに居るのかわからないやろ?」
「わかるから動いているに決まっているだろ。お前らと長話するつもりは無い。行くぞ!俺が先導する!!」
そうして俺が先行して走る。ヘスティアの力を感知して、ヘスティアを拐った部隊を追いかけることができる俺が先導して動くしかないと。奴らが遠く離れない内に取り戻さないと。どんどん距離が苦しくなると。俺は急ぐ必要がある思い。皆より先に走ってゆく。走りの得意ではないリリルカと春姫はグリフォンとグラニに乗せて、俺から距離を離さないようにはする
「フィン。私も行く!」
「え!?アイズたん!?」
「仕方ない。ああ。頼む!」
「アスフィ!すまないが君も行ってくれ!」
「はい!」
「カリス!アクタ!お前達も行ってくれ!」
「はい!」
「追います!」
「ヘクトル!貴方もお願い!」
「お任せを!」
「フィルヴィス!すまないが君も!」
「はい!ジークを追います!」
「椿!貴女も行って!」
「了解した!」
俺たちだけでは向かわせず、心配だからと他のファミリアもヘスティアを助ける為に俺たちを追いかける。アフロディーテ達は無事に戻ってくる事を信じて門のところで待つ。
雨が降りそうな中、俺たちはそれでもヘスティアを助けに突っ走る
一方ヘスティアは
「離せ!アレス!こんな事をしてタダでは済まないぞ!」
「ふははははははは!お前は大事な人質!言うなら『神質』だ!大人しくするんだな!ふはははは!」
俺たちを降伏させるつもりで、誰か神を捕まえて手出しをさせないようにと。アレスは誰でもいいから神を誘拐する為に、先ほど門の近くまでローブを着て身を隠していたが、門をちょうど出て畑へと向かうヘスティアを捕らえて。自分達の陣地の所まで戻ろうとしていた
今は下に川がある崖の上で移動している
陣地を戻って、ヘスティアを脅迫手段に使って、オラリオの行動を封じようとしているのだが
「「「「ぐわああああああ!!!」」」」
「っ!?どうした!?」
アレス・ファミリアの第一王子にして副団長でもあるマリウス・ウィクトリクス・ラキアが後衛部隊から悲鳴が聞こえ、何があったのか報告を聞く
「大変です!あの・・・・・一年前我らを追い込んだ『ディオメデス』がなぜかこの場所に!?」
「なんだと!?なぜ奴が・・・・・・まさか!?ディオメデスがオラリオの冒険者か!?」
「こちらに来ます!」
「っ!?まさか・・・この兵士の数を一人で!?」
後方部隊の兵士たちがどんどん吹き飛ばされるのと同時に、血飛沫が後ろの方で舞っている。こちらの方までディオメデスと言う俺が攻め込んでくる。トネリコとパラディオンを振り回して、兵士たちの上を勢い良く飛んで
「うお!?な・・・・な!?ディオメデス!?」
「っ!?ジーク君!?」
「アレス。一年ぶりだな。マリウスも、お前達は死ぬ覚悟ができているんだろうな?」
アレス達の前に立ち塞がる。俺の私服と盾と槍には血を浴びている。ここに来るまでに出会した兵士を容赦なしに殺してきたのか、今も後方部隊の方は悲鳴が続く。そこから『首が斬られれているぞ!?』『体を斬り刻まれている!?』『ディオメデスが出てきた!?』など。俺は主神を拐ったこいつらの命など関係なく、ここに来るまで邪魔だと斬り捨てた次第だ
俺を目の前にして、アレスは
「おのれディオメデス!よくも我らの兵士を!?だがここで会ったが百年目!こうなったら軍神たる俺が相手に・・・グフ!?」
「黙れ!!!さっさと死ね!!」
「がは!!」
俺はアレスの話など全然耳も入らない。神の御託などどうでもよかった。人の主神を拐う軍神は悪だと。俺は奴を邪神として認識して神に一切の容赦なしの蹴りを繰り出す。アレスは俺の蹴りをまともに喰らって崖の壁に背中をぶつける。その間にヘスティアは地面に倒れ、自分の力で拘束していた袋から出ようとする。もう俺はアレスを殺す事を考えていない。俺の主神に手を出すなら相手が神でも殺すまでだと。
神の憎しみを吐き出して、ここで神殺しをしようとトネリコを繰り出す
「これだから神は!お前が軍神なら戦争に負けて死んで朽ち果てろ!!」
「ディオメデス!お前は一年前よりも遙に強くなっているのか!?」
「く!衛兵!ディオメデスを囲め!」
『『『『ぐわああああああ!!!』』』』
「っ!?今度はなんだ!?」
「崖の上からディオメデスの仲間と思われる者達が攻撃しています!剣姫も居ます!」
「なに!?っ!?」
「神様!!」
「ヘスティア様!」
「ベル君!?ヴァレン何某くん!?それにみんなも!」
「アレス・ファミリアを蹴散らせ!主神も副団長もここに居るぞ!」
マリウスは俺を止めようと衛兵に指示するが、突然上の方から火炎弾のようなものが降り注ぐ。そこにベル達が遅れてやってきた。今の上から降り注いだ火炎弾はヴェルフの魔剣だ。カリスとアクタがアレスの弓兵達を矢で降り注ぎ、マリウスはヴェルフの存在に気づく
「マリウス!!!」
「っ!?まさかヴェルフか!?」
「久しぶりだな!おい!!」
「ぐ!なぜお前が!?まさか・・・・ディオメデスと同じファミリアか!?」
「ウチの主神を誘拐しやがって、覚悟できてるんだよな!この『苦悩坊ちゃん』!!」
「苦悩坊ちゃんだと!?俺の苦悩はな・・・・あの脳筋神のせいだ!!この没落鍛治貴族!!」
「俺はもう貴族を捨てたんだよ!!!」
ヴェルフとマリウスは同じ国で生まれた者同士。どうやら顔見知りがあるようで、ヴェルフは兵士ではなく、真っ先に崖を降りてマリウスを狙って魔剣で襲う。マリウスは剣で応対した。言い争いをしながらお互いぶつかる。二人には過去で因縁のようなものがあるようだ
更に
『見つけました!』
『ヘスティア様!?無事ですか!?』
「な!?モンスターだと!?」
「まさか・・・・・あれは精霊か!?」
「その通りだマリウス!土の精霊ノームと火の精霊サラマンダーだ!空にも居るぜ!グリフォンと言う精霊がな!」
「くそ!?いつからオラリオは空だけでなく精霊まで制するようになった!?」
マリウスはまさか俺たちが精霊まで操れるなど、予想しておらず。指揮を立て直して指示をしたいのだが、目の前に居るヴェルフが邪魔で余所見する暇もない。少しでも気を逸らせばヴェルフの魔剣で吹き飛ばされると、クロッゾの魔剣を知っているからこそだった
おまけにもう後方の兵士たちは、ヘクトルと椿と命とアクタとカリスとフィルヴィスに襲われるだけでなく、崖の上ではノームが岩雪崩を出したり、サラマンダーが口から火炎を出し。ウンディーネが下にある川から水を放射されて攻撃されたりと。完全に反撃ができない状態となっていた。まだ空にはグリフォンの背に乗るリリルカやアスフィも居る。
完全にアレス・ファミリアの部隊は追い込まれていた
そんな中俺は
「おのれ・・・・ぐ!?」
「そんな脆い剣など、俺たちには通用しない」
「ディ、ディオメデス!?」
アレスはまたも腰から剣を抜いて反撃しよう立ち上がるのだが、俺が素早くトネリコでアレスの剣の刀身を砕き折る。もはやアレスを逃さない
「アレス。あの時はフレイに止められたが、二度目は逃さない!今度こそ死んで貰う!!」
「よ、よせディオメデス!俺は神だぞ!?」
「知ったことか!!神殺しの大罪を受けてでもお前を殺す!!!」
俺はヘスティアを誘拐したこの軍神が許せないと。もはや俺はまたも神を憎んで怒り狂っていた。カオス・ヘルツが発動している。だから神と言うのはロクでもないと。アレスの命乞いなどを聞かずに、俺はトネリコを上に上げて斬り裂こうとする
だが
「ジーク君!?ダメだ!って・・・・うわあ!?」
「っ!?」
ヘスティアがアレスを殺そうとする俺を止めようとして、体を拘束していた袋から抜け出そうとしたのだが、その縛り付けられていた紐に足が絡まってしまい
そのまま
「うわああああああああああ!!!」
ヘスティアは崖の下にある川に落下してしまった
「神様!!く!」
「ベル!ヘスティア!」
「は!?ぬ!」
「ヘスティア様!?」
「いけない!!・・ウンディーネ様!!」
『ええ!今行きます!』
ベルが川に落下する前にヘスティアを抱き締めて離れないようにして、二人はそのまま川の中へ落下する。春姫はそれに気づき、ウンディーネを向わせるように呼び寄せる。その二人を俺とアイズとウンディーネが追うように川を潜っていく。俺もヘスティアが川の中へと落下するのであれば、優先はヘスティアだと。俺も追いかける
「ベル!?」
「ジーク!?」
「剣姫!?」
『ウンディーネ!?』
俺たちはそのまま川の流れに沿って流されて行った