東、森林付近
そこで扉を探すために岩壁を触りながらリド達が捜索している。どうやらまだクノッソスの扉は見つかっておらず、リド達が捜索に苦戦している
「リド!グロス!レイ!」
「ジークっち!?扉はねえぞ!?」
「本当にここにあるのですか!?」
「扉などどこにも無いぞ!?」
「それはそうだろうな。なにせ・・・・・岩壁を壊さないと入れないからな!」
「「「っ!?」」」
俺はグラムで岩壁を斬撃波で全部斬り崩した。その岩壁を切り崩すと、その奥から洞窟とは思えない建造物の通路が姿を表す。その建造物の通路にリド達は驚く
「おい!?なんだよこれ!?」
「なぜこんなものがダンジョンに!?」
「人間が建造したものだ。とにかく行くぞ!ウィーネ達はこの先だ!」
「確かに!?匂いがする!?同胞はこの先だ!進むぞ!」
俺たちはその建造物の通路に入り進んでいく。俺に続いてリド達も追って進む。この先にフィア辺りの気配は感じる。グロスもガーゴイルの嗅覚があるのか、この先にフィア達が居るのがわかる
わかるのだが、ウィーネだけの気配が感じられない。彼女はもっと奥に居るのだろうかと奥に進むが、進んでいくと扉がある
もう俺はここが18階層の入り口であるクノッソス の通路だと理解した。かなり長い通路を俺たちは進んでいく、位置からしてもうダイダロス通り付近まで進んでいると思っている。奴らがから奪った書記を眼を通していたからクノッソスの通路が今どこら辺なのかもわかる。だからこのまま進めば
「ジーク・フリード!扉だ!」
「オリハルコンの扉か、鍵は無い・・・・・それならグラムで斬るしかない!」
進んでいく先に扉があった
外の世界から輸入したオリハルコンをこの扉を建造するために使用した希少性鉱石。もちろん簡単にこの扉を壊すことはできない。魔剣でも怪しいほどに、だが俺のグラムは魔剣であると同時に特殊武装と言う『スペリオルズ』。オリハルコンの壁なぞ簡単に斬れる
鍵は持っていたが、ホームに置いて来てしまい、無我夢中で何も考えずに一人で突っ走ってしまったため、鍵が無いなら斬って進むしかないと。もはや手段などを選ばずにグラムを出す
のだが
ガコン!!!
「っ!」
「扉が開いたぞ!?」
突然オリハルコンの扉が上へと移動し、通路を開けてゆく。まだグラムで斬ってもいない上に鍵は持っていない。なのにオリハルコンの扉がどんどん進んでいくことに開いて行く
だがその不自然さに俺だけでなく、リドやレイやレッドも気付いている
「変ですよ!?扉が開くなんて!?」
「ああ!誘い込まれているとしか言いようがねえ!」
「ジーク!これは罠だぞ!」
「わかっている!だがそれでも進むしかない!フィア達はこの先だ!罠があるなら壊して突破し、敵が要るなら排除するまでだ!」
もちろんそんな事はわかっている。でも今更引き返すことなんてできない。それに今目の前の先にはフィア達が居る。目的が目の前の先にあるのに自分の命に危機があるとは言え、引き返す気などない。フィア達がそこに居るなら。きっとその近くにウィーネも居るはずだと思い決して引き返す事はなかった
進んでいくと、とある終点に着く。そこには
少し広めの大広間、目の前に別のルームに続く少し広い階段と、階段の周りにモンスターが入った檻があった
そこにフィアや他のゼノス達が怪我を負った状態で閉じ込められていた
「ジークさん!?皆さんも!?助けに来てくださったんですね!?」
「フィア!ここに囚われていたのか!」
「檻を壊せ!同胞を解放するんだ!!」
おそらく俺たちが着いた先は捕獲したモンスターの檻の保管場所だとわかった。俺はすぐにフィアの檻を壊して、ここに居ないウィーネを含むゼノス達がどこに居るのかフィアに聞く
「ジークさん!人間なのに私たちを助けに来てくれんですね!?」
「ああ。ラーニェやフォーはどうした?」
「ジークさんの言う・・・イケロス・ファミリア・・とか言う冒険者に・・うう・・・うう・・・やられました」
「くそ。あの下等生物共め、じゃあウィーネは?ウィーネはどうした?」
「わかりません!先ほどまで私たちも気絶させられていましたので!」
「そうか、彼女の気配もここから感じられない。一体どこへ彼女をやったんだ」
フィアに他のゼノスのことを聞いたが、アラクネのラーニェやフォモールのフォーはイケロスの眷属にやられたらしい。しかも先ほどまで奴らに気絶させられていたのか、ウィーネがどこへ連れてかれたのかは知らないらしい
ここまで来といてウィーネの気配が感じ取れない。彼女はどこにいったのだろうかと階段の先にある奥のルームに続く入り口にに入ろうとするが
「っ!」
別の魔力を感知した
「おお?うじゃうじゃ居るな獲物であるモンスターが・・・・・・って・・は!?雷帝!?」
「ゴーグルを付けた冒険者。ウィーネが言っていた男、こいつがダイダロスのもう一人の子孫であるディックス・ペルディクスか」
「あいつが同胞を密猟した男か!?」
目の前に『カース・ウエポン』と思われる槍を持ったゴーグルをした男が一人現れる。魔力を感知する辺り、レベルは5。間違いなくイケロス・ファミリアの団長であるディックス・ペルディクスだとわかった。
ディックスに続いて、奴の仲間達が階段の両隣にある扉から出てくる
「へえ・・・まだモンスター共がこんなに・・・・って雷帝!?」
「グラン。二日ぶりだな。今度は俺から攻めに来たぞ。お前の仕業か。ここまで扉を開けたのは」
「おいグラン!!誰が雷帝まで連れて来いって言った!!」
「違うディックス!?俺は確かにモンスター共を引き連れただけで、雷帝が着いて来てるなんて知らなかったんだ!?というかなんで雷帝がモンスターと一緒にいるんだよ!?」
「お前ら下等生物に話す道理などない。お前らはここで俺に全員殺されるんだ。闇派閥は黙って消え去るがいい。その鍵も渡して貰おう。後ろの扉が閉まっていてな、重傷を負っているゼノス達を18階層に避難させるために、その鍵を渡せ」
「下等生物だ!?おいおい、英雄様がモンスターの味方をして良いと思っているのか?この偽善者が!」
「犯罪者如きにそんなことを言う権利はない。お前らは黙って俺に殺されればいいんだ。お前らのような生きる価値のない下等生物は、全員慈悲なくして殺してやるから、逃げられると思うな」
「マジで言ってんのか・・・こいつは!?これが英雄のすることかよ!?」
「お前らのような品性の劣るゴミ共に助ける英雄など。そんな者を英雄とは呼ばない。英雄は人間の誰でも味方になるのは大間違いだ。お前らのゴミを殺して救った英雄も世界には居る。人間にも悪は居るんだ。だから滅びろ」
どんなことを言おうが俺がイケロスの団員を全員殺すことに変わりはなかった。ディックスが色々と口論をしてくるが、そんなことを言って自分たちを正当化してもそんな権利はない。犯罪者が悪いことをして正しいと成り立つわけがない。そういうの異常者か狂乱者と言うんだ
そんな品性の劣るゴミの言葉など、俺は聞き耳持たない
全員殺すと、俺はグラムを持ってデイックスの方へと階段を上がろうとする。もはや戦闘する事は変わりなかった
「ディックスどうする!?相手はあのベヒーモスを単独で倒した英雄だぞ!?」
「鍵を寄越せ!こうなったらここを閉じ込めて!雷帝ではなく、その後ろのモンスターを狙え!」
「っ!」
「扉が!?」
ディックスは俺ではなく、後ろに居る重傷を負ったゼノス達を先に倒して逃げるつもりだと。後ろの扉全てが閉められた。これで18階層へ続く道は閉ざし、ゼノス達を逃すまいとせめてゼノス達を殺すようだ
「どうするジークっち!?後ろに続く扉が!?」
「俺がディックスを狙う。お前らはそこのゴミ屑共を殺せ。奴は俺が殺して鍵を盗んで扉を開ける」
「本気で言ってんのか!?雷帝!?テメエはモンスターを庇うのか!?」
「俺たちヘスティア・ファミリアは友好関係を持つものや平和を願う者は仲間や友人として認識しよう。そうではない敵になる者は一人残らず殺す。それが我々ヘスティア・ファミリアだ」
「どうかしているぞ!?人間がモンスターの味方をするなど!!!」
「レベル5のお前が俺に勝てるかどうか実物だな。いくらここに閉じ込めて逃げ場を無くしても、俺が居る限りゼノス達の命を奪えるとは思うなよ。お前らを殺してあいつを逃す」
閉じ込められたのなら仕方がない。戦力は無論こちらよりディックスの方が数としては上だ。だが俺が一人でも守ればいいと。何も恐れる必要はなかった。リド達を含む戦えるゼノスはとても少ない
だがそれでも俺が守ってみせると。鍵を一刻も早く傷を負ったゼノスを助けるために、ディックスを斬り捨てる
のだが
「その必要はないよ!!ジーク君!!」
「っ!この声は・・・・」
「あ!?誰だ!?」
「ファイア・ボルト!!」
「ぬ!?なに!?」
ガコン!!
「っ!」
「後ろの扉がまた開いた!?」
突然ディックスの後ろから扉が開いた。そこから聞き覚えのある声と俺が知っている魔法の名前を叫んで、炎がディックスの方へと飛んできた。しかも俺たちの真後ろの閉められた扉がまたも開いた
そして正面の扉から、ここに来るはずのない彼が来た
「ジーク君!無事かい!」
「ジークさん!助けに来ました!」
「本当にあなたは一人でなんでもし過ぎです!」
「少しは仲間を頼れよ!」
「助太刀参ります!」
「ゼノスの皆さんも無事ですか!」
「リド!助けに来たぞ!」
「ヘスティア!ベル!」
「リリっち!?ヴェルフっち!?」
「命さんに!?春姫さん!?」
「フェルズ!?」
「どうしてお前達が・・・・っ!まさか!」
「ああ!!君が置いて行った鍵を使わせてダイダロス通りからここまで来たよ!」
真正面の扉から出てきたのは今ホームに居るはずのヘスティア達、フェルズも一緒だ。まさか俺が18階層に行ったことを知ったのか、ダイダロス通りからここまでクノッソスにやってきたようだ。18階層から増援が全然来ないと思ったら、おそらくギルドが俺とゼノスと組んで戦っている所を見られるにはいかず、ボールスの報告を聞いてダンジョンを出入り禁止にしたのだと、ヘスティア達がなぜダイダロス通りからここまで来たのか、察しと推測が付いた
だが
「どうしてここに俺たちが居るとわかったんだ?イケロス・ファミリアのアジトをどこで知った?」
「もちろん・・・・・・イケロスが全部吐いてくれたよ!!」
「っ!イケロス!」
「悪いな・・・・ディックス。ヘスティア達に捕まっちまって、拷問されてここを吐くしか手段なかったぜ」
「な!?このクソ神!?」
「お前。主神に対して本当に生意気なガキだぜ。ディックス」
突然ヘスティアが後ろから紐で縛って拘束したイケロスを前に出した。どうやら俺を抜きに自分たちでしっかり行動して、作戦通りイケロスをなんとか捕まえて拷問をしてここを暴き出せたようだ
だからここまで鍵を使って来れたようだ
「イケロス・ファミリアはあの『ザニス』と以前手を組んでいたのを思い出したんです。それでイケロス様がどこへ居るのか突き止められたんです」
「なに!あのザニスがイケロスと関わっていたのか、だから金を目的にあの男はリリルカを利用しようとしたのか、通りで・・・・・おかしいと思った」
イケロスがあのザニスと関わっているなど知らなかった。確かにソーマ・ファミリアも金を必要としていた。自分の欲望のために、だがイケロス・ファミリアもクノッソスの建造のために金を必要としていた。おそらく手を組んでリリルカに変身魔法でモンスターに変身してゼノス達を誘き出すために捕獲して売り捌くのが目的で組んでいたのだと、今までの経歴を考えて謎だとは思っていたが、納得できる関係だと俺も気づいた
てことは、ザニスも前からゼノス事は知っていたわけだ
「なるほど、全部の繋がりはわかった。イケロス・ファミリアはこのクノッソスの建造費の調達のためにモンスターを捕獲し、外の国で高値で売り捌いてクノッソスの建造をするために金を集めていた。それがダイダロスの子孫である『弟でもある』お前の役目で、兄である『バルカ・ペルディクス』はイシュタル・ファミリアと手を組んで、クノッソスの建造材料を集めて貰ってクノッソス自体を建造していたのがお前の兄、タナトス・ファミリアの『バルカ・ペルディクス』だな?」
「っ!?雷帝!?テメエなんであいつの事まで!?」
「以前俺たちがイシュタル・ファミリアを潰した事は知っているだろう?その時に詳細をイシュタルにほとんど聞いた。お前達の・・・・・『闇派閥のアジトであるクノッソス』の全てをな」
「な!?あのクソ女神!?俺たちの血統をバラしやがって!」
ここまでの話は説明なくとも、奇人ダイダロスの子孫やその血統達が代々作ってきたこのクノッソスも俺とヘスティアとリリルカなどで調べていた。もちろんベル達にはほとんど知らず驚く話だ。こんな迷宮が千年前から人の手によって建設されていたなど、誰も知らずが多いだろう。おそらく・・・・ゼウスとヘラの眷属も含めてな
「奇人ダイダロスはとんだ芸術家だったわけだ。ダンジョンを超える迷宮か、イカれた芸術家ではあるが、彼は千年前ウラノスの眷属でありながらそのダンジョンを超える迷宮を自分の手で建設しようと姿を眩ませてまで、この地下でダンジョンとダイダロス通りの繋ぐルートまでは建設できたが、無論彼はヒューマンであり例え百年生きてもそれ以上に超えるダンジョンを建設する事は命の寿命がある限り不可能だった。だから女を捕まえて無理矢理自分の血を引いた子供を孕ませて、子孫に自分の芸術作品である『人造迷宮クノッソス』を完成させるために呪いなどを残して押し付けた。だな?」
「ムカつくほど正解だ!雷帝!そう!あのクソッタレの子孫である俺たちはな!こんな眼をして生まれるんだ!!!」
「「「「「っ!?」」」」」
「その左目・・・・ダイダロスの血の呪縛か」
ディックスの左眼をゴーグルを外して俺たちに見せた。そこには文字のような赤色の筋が入っていた。ダイダロスの血を引いた子孫達は全員その眼をして生まれるのだろう。おそらくその眼に反応するようにもオリハルコンの扉が開くようにも設定されているのだろう。だから今まで人間は気づかなかったのだと。全部推測した
「俺たち子孫はこの眼で生まれ、この血の呪縛のせいでここクノッソスを完成させろと!血が疼くんだ!」
「快楽と同じか、血でも抗えない衝動に囚われているわけだ」
「ああ!俺たちはあの野郎も!今までここクノッソスを完成させるまでにどれだけの金や材料を集めたことか!それでも完成しないから俺たちはモンスター狩りをしなくてはストレスが溜まっておかしくなるんだよ!!自由になれねえんだよ!!!」
「なるほどそれがお前の御託か、まあいい。なんだっていい。お前が死ねばいい。お前が死ねばその呪縛も解放する。ダイダロスの子孫は絶滅すればいい。快楽を溺れた下等生物はさっさと死んでくれて結構」
「あ!?なんだと!!テメエにはわからねえだろ!逆らえねえ血の衝動って奴が!目玉の奥焼き切れて自分の力じゃあどうしようもできない呪いがよ!!!」
「そんな呪いちっぽけだ!!俺の憎悪の方がまだ痛みを感じる!!!」
「っ!?」
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」
どれこれもこいつの言葉が全部戯言にしか聞こえない。なにが血の呪縛だ。くだらない。こいつの全てがくだらない。それだけのためにウィーネ達を襲ったこいつが憎いと。俺は人間だろうと許せなかった
むしろその程度は苦しみにもならない。俺の方がまだ苦しい。心を失い続ける俺の方が、憎しみ抱き続ける俺の方がまだ悪意としての痛みがある
俺の言い放つ言葉に、ディックスだけでなく、ヘスティアたち、ゼノス達でさえも、俺を恐れた
「どうでもいい。お前の苦しみも、血の呪縛?血の衝動?どれこれもくだらん。俺の憎しみに比べれば」
「あ!?なにを言って・・・・っ!?」
俺はもう完全に人間の眼ではなく、竜眼となってディックスは驚く。人間が化け物の眼をする。そんなことがあるのだろうかと。ディックスは初めて驚く顔をしている。俺を人間ではなく怪物を見て恐れる顔に
「俺は人間を殺したい。滅ぼしたい。消したい。あんな下等生物ども。俺を英雄と言ってくるが、少し態度を急変させたらどうせ見捨てるクズどもだ。あの市民も他の冒険者も、あんな生きる価値のない生き物のために守ってきたんじゃない。俺が英雄になったのは家族や仲間のためだ。あんな人間や神如きのために俺が助けるなど、有り得ない・・・・・・・・・・・憎んだよ!!!人間と神が!!!!!」
ブワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
突然俺の体から黒い風・・・いや・・・闇のようなものを吹き出した。どんどん語る度に人間と神への憎しみと言う憎悪が増してゆく。今まで俺を侮辱した連中も、俺から大事なものを奪ってきた連中も、俺を裏切った連中も
俺は全てが許せなかった
「憎い・・憎い・・・憎いいい。あんな生きる価値のない下等生物。あんな者は死んでしまえばいいんだ。不信、軽蔑、陵辱、失望、暴力、殺害、支配、人間はこういった行為をする者が多い。お前らは人の物を奪わなければ生きれない下等生物だ。俺の憎悪が収まらない。今お前らがウィーネを奪った憎しみに!だからお前に報いを与えやる!!」
どんどん、俺は徐々にデイックスに近づく、そして妬む。こいつの全てを呪うと、俺は奴の方まで歩みを止めない。グラムを持って、こいつを殺してウィーネを助けると、もはやもう誰も俺を止める事はできない。ヘスティアの言葉も聞かない
目の前に居る敵を斬る以外関係なかった
「憎いだと・・・・テメエふざけんな!!ならその憎しみを仲間にぶつけさせてやる!『迷い込め、果てなき悪夢』!」
「っ!?詠唱!?ジーク様!?気をつけてください!!」
「遅え!!フォベートール・ダイダロス!!!」
「っ!」
あまりの恐ろしさにディックスは魔法を唱えて、俺にその魔法を掛けてきた。だが俺はそれに逃げることなく、デイックスの魔法の詠唱が短いという理由もあって、俺は避けずに奴から指に流れる赤黒い光を喰らい。
俺は一度顔を下に向けて、落胆するように怯む
「ジークさん!?」
「まさか・・・・カースか!?」
「いいぞ雷帝!俺のカースでお前は今虜だ!そのまま仲間を殺せ!」
「・・・・・・・」
「ん?おい!どうした!早く仲間やあのモンスター共を殺せ!」
「・・・・・・」
「返事がない!?」
「というか・・・ジークさん未だにあのディックスって言う人の方を向いているのですが・・」
俺はディックスにカースの魔法を掛けられた。どうやら錯乱の魔法を受けたようなのだが、俺は全然動く気配はない。ディックスに声を掛けられても反応はない。だが体はずっとディックスの方を向いたままだ
「おい雷帝!?本当にどうした!?なんで暴れない!?」
と、遂にディックスは俺の方まで近づき、俺の肩を掴んで揺らす。それでも反応がないかと思ったが
ガシ!!
「は?」
「俺をカースで操られたとでも・・・・思ったか!!!」
「ぐわあああああああああああああああああ!!!」
「ジークさん!?」
「やっぱりカースに呪われたフリをしたのか」
「ヘスティア様!?何か知っているんですか!?」
「うん、ジーク君カースやレアカースでも効かないスキルを持っているから、効かないんだよね」
「ジーク様はカースでも効かないんですか!?」
「なんて奴だ・・・」
俺はカースに呪われたフリをして、奴が近づくのを待っていた。そしてディックスが俺の近くに来たため、奴が俺の肩を触れた左腕を掴んで、俺はグラムで斬り落とした。そして奴の腕を斬り落とすの同時に、奴の腰バックから鍵を盗んだ
そして盗んだ鍵を、後ろに居るゼノスのレッドに投げて渡す
「レッド!それを持って18階層に傷を負った仲間を連れて行け!」
「わかりました!!みんな!行こう!」
「全員戦闘開始!イケロス・ファミリアを倒せ!!」
「は、はい!行きます!」
「ジークさんの策士。相変わらずタチが悪いです!」
「本当に仲間のためだからと容赦なしにやるから、余計だ!!」
「ジーク殿。いつからそんな恐ろしくなったのですか!」
「皆さん!ジーク様に言いたい事はわかりますが、今はリド様達を!ウィーネ様はどちらに!」
「リド。どうします?」
「決まっている!ベルっちだけに任せねえ!俺っちも行くぞ!」
「ジーク・フリード。貴様は我ら以上に恐ろしい。だが人間だけに任せん!行くぞ!人間達だけに任せるな!」
「「「「「おお!!」」」」」
「ヘスティア・・・お前の英雄さんは・・・いつもあんな感じなのか?めちゃくちゃ怖いじゃねえか」
「まさか・・・いや・・・そこまで進んでいるなんて」
俺がディックスから鍵を盗んでレッドに渡して負傷しているゼノス達を一旦18階層に避難させる。そして残った者で、今この場に居るイケロス・ファミリアを一斉に襲い掛かる。ヘスティア・ファミリアとゼノスがイケロス・ファミリアを襲うと言う。絶対に二度と見ることのない光景がここに広がった
ベル達とリド達はグラン達イケロスの団員に攻める
「でやあ!!」
「く!?リトル・ルーキー!・・うお!」
「ウィーネをどこへやった!」
「どうすんだよグラン!」
「前にはモンスターで、後ろにはヘスティア・ファミリアだぞ!」
「やべえよこれ!」
「うるせえ!今俺だって手が回らねえんだ!ディックス・・・どうすん・・・・ぐわあああ!!?」
「ウィーネを返せ!人間!」
ベル達は一斉にイケロスの団員を襲い込んだことで、完全にイケロス・ファミリアは身動きが取れなくなっていた。鍵も取られてここを出られない。前にはモンスターも居て、後ろにはヘスティア・ファミリアも居る。もはや戦況は挟み撃ちにされている。
しかもヘスティア・ファミリアとリド達が組んだ事で大きく戦況はこちらに有利、レベル4のグランでさえも、この数の多さに勝てず、ベルとリドに顔を切られた。イケロスの団員は俺たちに追い込まれて反撃すらできない。もうゼノス達に何人かやられている。これでイケロス・ファミリアはこれで終わりと決まる
俺はそのまま左手を抑え込んでいるディックスの所へ行く
「さて・・・・これでお前は終わりだ。ディックス」
「ジーク君!」
「止めるなヘスティア!こんな奴にまで優しくするな!この事件を起こした犯人だぞ!」
「で、でも・・・・」
「ま、待って雷帝!話を聞け!」
「聞く耳持たない。命乞いをするとは情けない」
俺は左腕を失ったディックスに最後の止めを刺すが
それでも殺すなとヘスティアは止めの言葉を言ってくる。この後に及んでまだこんな奴にまで優しくするなど、彼女らしいではあるが、こんな下賤な男まで助ける必要はないと。俺はヘスティアの指示を聞かずにディックスに止めを刺すのだが
ディックスは何か俺に言いたいことがあるのか、命乞いをしてくる。だが俺は聞く耳は持たない
だが
「まあ・・・待て・・・・・これを見ろ」
「ん?なんだその宝玉は・・・・・・・っ!?まさかそれは!?」
「わかるよな?雷帝?これがなんなのか?」
「お前・・・・・まさか!?」
突然ディックスはズボンのポケットからある赤い宝石を見せた。初めはそれがなんなのかわからなかったが、それをしっかり見ていると・・・・それがなんなのかわかってしまった
その宝石は・・・・・・・・・ウィーネの額の『宝玉』だった
それがわかった瞬間
ドカン!!ドカン!!ドカン!!
と、何かディックスの後ろにある扉から何かぶつかるような物音が聞こえた
「っ!?なんだ!?」
「なんの音だ!?」
「ディックス・ペルディクスの方からです!」
「ディックス・・・お前まさか!?」
「ああ、そうさ!雷帝!・・・・・・暴れさせているんだよ」
それを見せてだけでウィーネの額の宝玉だとわかった。だがそれが体から外されているとなると。間違いなく今のウィーネは
「竜女を暴走させているんだよ!!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
ディックスは左腕を抑えたまま立ち上がって後ろの壁に手を付けた。すると後ろの壁が開いた。隠し扉になっているようで、そこから物音の正体は
ウィーネが竜女本来の姿で正気を無くして暴れて出てきた。彼女の体が少しひと回りデカく、両手翼や足は竜の尻尾と言った。完全にモンスターの姿になって暴れていた
「おい!?なんだあれは!?」
「まさか・・・・ウィーネ様!?」
「ヘイザーが持っている宝玉を、ウィーネから外して正気を無くしているんだ!」
「ディックス。貴様あああああ!!!」
「ふはははは!これでもお前はこいつを救えるのか!雷帝!」
「く!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「っ!よせウィーネ!」
俺は暴れようとしたウィーネを無理に体で抑え込んだ。それでもウィーネは言うことを聞かずに暴れている。額の宝玉が彼女の体の正気を保っていたのは俺も理解している。早くディックスから宝玉を取り返さないとウィーネは暴れてしまうのだが
ウィーネを抑えるのに必死で、今はディックスの相手はできない。ディックスは形勢逆転だと思っているのか、俺に煽りを入れてくる
「どうする雷帝!お前はそんなんでも助けるのか?そんな薄汚えモンスターを!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ウィーネ!落ち着け!」
「ウィーネ!」
「ウィーネ様!」
「ウィーネ!」
「ウィーネ殿!」
「ウィーネ様!正気に戻ってください!」
「ウィーネ君!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ウィーネ!・・っ!?ぐわああ!!」
「ジークさん!?」
「ジーク君!?」
「ふははははは!あの雷帝が竜女に腹を爪で指されやがった!見者だぜ!」
イケロスは紐で拘束されがら、俺がウィーネに爪で腹を刺された光景を笑う。油断しないはずの俺が初めて体の攻撃を許してしまう。相手はあのウィーネだから、傷をつけるわけにもいかず、俺は攻撃することなく、ウィーネの攻撃を喰らうしかなかった
だけど、これで
「ウィーネ・・・」
「っ!?」
優しく抱きしめて、彼女を捕まえることができた。俺は両手で強くしなくても、彼女は逃げず、俺の言葉を聞いて暴れるのをやめる
そして、俺は優しく話す
「ウィーネ・・・・大丈夫だ・・・・『お兄ちゃん』に・・・任せろ・・・お前を守って・・・見せる・・・約束しただろう・・・はあ・・はあ・・・俺が守る・・・何が・・・あっても・・・俺が・・・『お兄ちゃん』が・・・・なんとかするから・・・」
「ああ・・・あ・・・・ジーク・・・・ジーク」
「ウィーネ!僕だよ!」
「ウィーネ様!リリ様です!」
「ウィーネ!俺だ!ヴェルフだ!」
「ウィーネ殿!命です!わかりますか!」
「ウィーネ様!私です!春姫です!」
「ウィーネ!僕だよ!ヘスティアだ!」
「ベル・・・リリ・・・ヴェルフ・・・命・・・春姫・・・ヘスティア・・・」
「帰ろう・・・ウィーネ。お前は俺たちの家族だ」
「か・・・か・・・家族」
彼女は俺に抱きしめられているからなのか、俺の体に触れて感覚だけは覚えているのか、彼女は俺たちの名前を全員口にした。まだ意識は取られていない。まだ救えると。ウィーネはまだ意識を取られたわけではない
だが
「ふざけんな。そんなことがあって・・・・・溜まるか!!」
「「「「「っ!?」」」」
「ディックス!まさか・・・・よせ!!!」
「フォベートール・ダイダロス!!!」
「アア・・・アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「ウィーネ!?ぐわああ!?」
ディックスはウィーネの暴走を止められたことに俺たちのやったことが気に食わず、今度はウィーネに錯乱のカース魔法を掛けた。そのせいでまたもウィーネは暴れ、俺は彼女に腕を振り回して、俺は彼女の爪から抜けた
ディックスはウィーネをまたも暴れるだけでなく。ディックスはまたも別の壁を触ってその壁が開く。隠し扉を開けたようだ
「雷帝!この隠し扉の先はダイダロス通りの一本道だ!」
「な!?貴様まさか!?」
「その通りだ!あの竜女を地上で暴れさせてやる!これでもお前は守れるのか!?雷帝!」
「くそ・・・・貴様あああ!!」
「ぐわああああああ!!」
ディックスはウィーネをまた暴れさせるだけでなく。その状態のまま地上へと送り、ダイダロス通りをウィーネに暴れさせて街を壊そうとする算段だった。ウィーネはそのディックスが開けた扉へ逃げてゆく
そのふざけた行為をした奴を、俺はグラムで上半身を斬り裂いた。
その際、奴はウィーネの宝玉を落とした。それを俺は拾ってウィーネを追いかける。もうディックスは放っておいて、先に彼女を追いかける
「ウィーネ。待て!!」
「ジークさん!!その傷で追うなんて無茶ですよ!?」
「僕たちも行こう!」
「神イケロス!あんたも来てもらうぞ!」
「ヘイヘイ、ご自由に」
俺は急いでウィーネを追いかける。腹に穴を空けられても俺はそんな痛みも感じないほど、ウィーネを追いかけることを優先していた。もちろんそんな傷を負って無理に追いに言った俺を、ベル達も追いかける。ヴェルフは地上に行く前にイケロスもしっかり連れて行く
ディックスはこの隙に別のルートから逃げる。もう他の生き残ったイケロスの団員も重傷を負ったグランも含めて別の扉から逃げた
今残っているのはフェルズとゼノス達である
「リド!無事か!」
「ああ。だが・・・ラーニェとフォーが奴らに・・・」
「く!」
「これからどうしますか?」
「もう怪我を負っている同胞も居るぞ」
もう先ほどの戦いで傷を負った者が出ている。これ以上はゼノスの戦闘は続行はほぼ不可能。まだ戦えるとしたらリドかグロスかレイかラウラくらいの十人満たないメンバーのみ。普通ならここで諦めるのだが
「ジークっちはまだウィーネを追っている!俺っちは行くぞ!ジークは俺っちのために人間に向かってまで戦っているんだぞ!このまま助けられたままなんてごめんだ!」
「私もリドに賛成です。ウィーネをあのままなんてできません!彼女も同胞なんですよ!」
「だが、お前達ゼノスも他の冒険者に狙われるぞ?それでもいいのか?」
「構わん!私もあの青年にここまで助けられて、借りを返さないわけにはいかん!」
「へ!グロス。いい加減信用したか?ジークっち達のことを?」
「まあな。あそこまでされてはな。動ける者だけでいい!あの青年達の力を貸すぞ!我らもウィーネを助けるぞ!」
「「「「おお!!!」」」」
「お前達・・・・ジーク・フリードに心を動かされたとでも言うか」
ゼノス達もまだ動ける者だけで、ウィーネを助けるために追いかける。俺の行動にやっと信用したのか、グロスも俺たちに力を貸す。だが地上に出れば冒険者の標的になる。それでも尚、彼らはウィーネを助けるためにも覚悟を決めて地上へと目指した
その勇気ある行動と初めて友情を持ったゼノス達を見てフェルズも驚くが、彼もまた地上へと走る
次回 異端の竜少女編 最終話