ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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一日少し早いですが、8月分出します

今回は話の関係で二話を一気に出させて頂きます

オリキャラとまだ原作に出ていない北欧の神が登場しますので、ご了承ください


黒竜ファーブニルになった理由

 

 

黒竜に変身した後、俺はしばらくどれだけ眠っていたのか、もちろん意識なんてないから、そんなものをわからずはないのだが、今眠っているこの時が一番俺は安らかに眠れていた。ここ最近黒竜の力を発揮し始めたせいで、食事も睡眠も上手くと取れていなかった。それでも体調に不安定はなかった。むしろ前より体の敏感さが鋭くなり過ぎたせいか、人間とはほぼかけ離れていた。

 

もはや俺の体は人間としての体とは別に、違う人体へと異変を起こしていた

 

黒竜の心臓なんてものを食べるからこうなるのだが、もちろんドロップアイテムを人間が口にすることは、等しく死に繋がる危険な行為であり、己の体を怪物に変える自滅な行為でもある。なんでそんなことを知っておきながら、俺はしてしまったのかと言うと

 

 

怒り奮闘で何も考えず、無我夢中に恨みが原因で食ってしまったからだ

 

 

そんなバカな言い訳があって溜まるかと言うが、感情的に動くのが人間だ。他の人が聞けば愚かしいと軽蔑を喰らうが、感情のままに動くのも人間と言う存在。俺はそれをやらかしたおかげで、ほぼ人間離れした体を得た。今までどれだけ人間とはかけ離れた力を使って敵を殺してきたのだろうか

 

今になってはどんなふうに思うのかなど、わからない

 

シルが俺の怒りを止めた。『彼女の力』を使ったのだろうけど、アフロディーテの言う通り、俺は愛が必要不可欠なのだろうか、怒りで縛られる俺をシルの愛で止めると、そういう意味だったのだろうか

 

今の俺はとても心が普通だった。

 

いつも通り、何も感じない感情だけど、憎しみや怒りがさっきまであったのに、今の俺はそんな負の感情はなかった。全てを壊し終えるまで抑えられなかった俺の怒りが、一瞬で消えた。本当に彼女は俺の魂と繋がっているのだろうか、だから俺の全てがわかると、俺の怒りの抑え方もわかるのだろうか、彼女は不思議が多すぎる

 

でも

 

 

(遂に力を使ったわね・・・・ジーク)

 

 

(・・・・・・・・・ああ。やはり便利な力ではあるが、制御ができないのでは、どうしようもならん)

 

 

夢の中、俺の夢の中はいつも夜空の下で森に囲まれた花畑の中心に居座っている夢、その夢の中で俺の叔母でもあるヘルが、俺が眠っている最中にいつも会話をしてくる。俺の魂に憑依したこいつは、俺が眠っている中でも、俺の夢の中まで彼女は入れるのだ。だから今回、俺の黒竜の力を使えと唆した本人であるこいつが、夢の中で、俺が黒竜怪獣を使った感想を聞いてくる

 

 

(体に異常はないが・・・・・前より変な力を感じる)

 

 

(そうでしょうね、それが黒竜の力なんだから・・・・心臓から感じるんじゃない?)

 

 

(ああ・・・・・前より不安定な力が)

 

 

(これで・・・あなたがここオラリオで最強となって、超人生物として人類を超えたのよ。どんな気分?)

 

 

(人間をやめた気分だ・・・・・・・・言っておくが、生き返らせてくれたお礼は言わないぞ)

 

 

(そんなのいいわよ・・・・私は甥のために生き返らせたのだから)

 

 

(よく言う。俺を唆した癖に)

 

 

(でも・・・・それを使わなきゃ・・・あの竜の女の子も救えなかったわよ)

 

 

(まあな・・・・)

 

 

確かにこの黒竜の力がなければ救える者も救えなかった。やり方として唆すのは気に食わないが、これを使わなければウィーネ達を助けられなかったのは事実だ。だから使わなきゃいけなかったのは否定できない

 

でもヘルの囁きで使ったことになったことが、基本的に不満だ

 

そして今俺が眠っていると言うことは、また俺が生き返ったのだと理解した。どうせヘルが生き返らせたのだと。本当にいつになったら俺は死ぬのかと、不謹慎に思う。だがまたも生き返ったのなら、今より事態は甚大になっているはずだと思っていた

 

 

(そろそろ・・・起きたらどう?ヘスティア達や・・・あの子が心配しているわよ)

 

 

(ああ・・・わかっている)

 

 

もう眠るのはここまでにして、いい加減シルたちのためにも起きた方がいいと。もう十分体は休めた。これ以上を眠り続けても仲間のためにはならない。今頃彼女達は俺を心配している。二度も死んで生き返ったのだから心配にはなる。

 

いい加減起きないとどうにもならないことを承知した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・っ?・・・っ!」

 

 

「あ!ジーク!・・・皆さん起きたよ!」

 

 

眼を開けて、いきなり眼に写った先は教会の天井だった

 

まさかとは思うが、マリアの教会に俺を運んだとは思いもしなかった。シルがすぐ俺の横に居た。先ほどまで俺を看病していたのがわかる。しかも起き上がってみると。ウィーネ達が教会の子供達であるライ達と遊んでいる。まさかウィーネ達までここに居るとは。明らかに孤児院の教会にモンスターを投入する危険な行為なのだが、ライ達は恐れている様子はなく、普通に対話して喋れると遊んでいる。街の人からすれば大騒ぎなのだが、シルが説得したのか、俺が眠っている間に仲良くなったらしいと、今の光景を見て推測する

 

そして俺が起きたのを確認して、シルがヘスティア達を呼んで、俺の方まで彼らは近寄って俺の容体を聞いてくる

 

 

「ジーク君!起きたんだね!」

 

「まだ起き上がっちゃダメですよ!」

 

「お前また・・・死んで生き返ったんだ。無茶するな」

 

「はい。傷の方はフェルズ様と・・・あのヘル様になんとか治して貰ったようで」

 

「本当に目覚めて良かったです」

 

「おお!ジークっち!無事か!」

 

「起きたんですね!」

 

「ジーク・フリード。体に大事は無いか?」

 

「なんとか目覚めたようで、良かった」

 

「ジーク!起きたんだね!良かった!」

 

 

「っ!ウィーネ・・・・・そうか・・・全員無事のようだな。唯一重症だったのは・・俺だけか」

 

 

全員俺の方に寄ってくるが、ベル達は装備ではなく私服の姿になっており、彼らに包帯で巻かれている姿はなく、唯一俺だけが、上半身だけ包帯が巻かれていた。フェルズとヘルに治されて心臓以外は無傷のはずなのだが、心臓も治っているのになぜか胸だけを包帯で巻いてあるのに気づく

 

 

結局俺はまた死んだのだと、心配になって一応巻いたようだ

 

だから黒竜に戻った後、どうなったか、意識がほぼ無かったからどんな状況だったのか、ヘスティア達に聞く。でも意識はないのは死にかけていたからと自覚はしている

 

 

「ヘスティア。俺は・・・・・人間に戻った後、どうなった?確かにまた二度死んだのか?俺は?」

 

 

「うん・・・・フェルズ君の蘇生魔法と・・・・その・・・・・あのヘルが・・」

 

 

「そうか、別に俺があいつの事は確かに嫌いだが、あいつがどんなことを俺にしたかくらいはハッキリ言ってくれ。続きを」

 

 

「あ、うん・・・・・その後・・・・シル君が・・・彼女の住処であるここへ案内して貰って、まずはウィーネ君達に・・・子供達とここのお母さんであるマリア君に説明して、話せるなら・・・・大丈夫だろうと思って、今はその・・・子供達がすっかりゼノス君達と打ち明けたようで、気に入って一緒に遊んで三日も経ったんだ」

 

「みんな!私みたいで楽しいよ!」

 

「地上の方にも・・・こんな優しい子供達が居るんですね」

 

「ジーク兄ちゃん!モンスターって喋れるんだな!」

 

「このリドって言うリザードマンの背中、硬いけど寝心地が良い!」

 

「レイさんの翼!暖かくて気持ちいいですよ!」

 

 

「こんな感じで・・・・・・・この子供達はすっかり・・・怖がる様子もなくで」

 

 

「見ればわかる。ウィーネ達と仲良くできて良かった・・・・三日経ったのか・・やはり他のルーン・アーマメントと比べて負担がデカいな。お前達は・・・・ずっと俺の看病でここに?外はどうなっている?」

 

 

「ジーク君があの黒竜に変身したから、ガネーシャ・ファミリアに追われるだろうと思って、ホームには帰っていない。今僕たちは完全に追われる身になった。ジーク君を引き渡せと言われるかもしれないと。君を守るためにひとまずここで隠居する事にしてね。シル君が職場の店員達に頼んで食材を調達して貰ったりと助けて貰っている」

 

 

「そうか、すまなかった。俺が変な事をしたせいで、お前達を巻き込んで闇派閥として追われる身にしてしまった事を、謝罪する」

 

 

「いいよ!君は死にかけていたんだから!あれを発動しなかったらあのまま死んでいただろう!?君の身を案じることくらい僕らは仲間なんだから当然だよ」

 

 

「事態を悪化させるのは団長のすることではない。久しく感情の怒りに振り回された。おかげでファミリアを危険に晒した。その責任はいずれ俺の手で付けよう」

 

 

「またそんな無茶を言わないでください!ジークさんには・・ジークさんの事情があったんですから」

 

 

「だとしても迷惑をかけたことには変わりはない。これで俺の英雄としての名誉も終わりだな。イケロスはどうした?」

 

 

「あの場に置いてきたよ。あとはロキ達がなんとかしてくれるだろうと思ってね」

 

 

三日の内に、ここで過ごしていたようだ。ヘスティア達とゼノス達はここで隠居生活をし、それまでの食材をアーニャ達に頼んで賄っていたようだ。このままホームに帰れば、俺がなぜ黒竜に変身したのか、問いかけるために尋問をされるかもしれない。最悪の場合危険生物・・・・モンスターとして処刑もあり得ると思い。ヘスティアはシルの当てに従ってここで俺を匿っていたようだ。イケロスはその場に置いてきたようで、いずれギルドの罰が下るだろうと思う。とは言ってもオラリオ追放だと思うが

 

そして外の状況は

 

 

「外は・・・・ダイダロス通りをガネーシャ・ファミリアとロキ・ファミリアがジーク様を捜索中、完全にジーク様を捕らえるようにと、ギルドから通達があった模様で」

 

 

「そうだろうな、エイナ。お前は一度もギルド本部に戻ってないのか?」

 

 

「うん。貴方が心配でここまで来て、それでベル君達と一緒に隠居して、貴方が無事なのはわかったけど、今ギルド本部に戻ってもブレイバーやあのロキ・ファミリアに貴方を追いかけた所を見られているから、今戻ったら確実に神ロキに嘘を見抜かれて、貴方がここに居るってバレちゃう」

 

 

「確かにな・・・・まさかお前がこんな大それた事をするとは、今戻ったら共犯として職員のクビは確実だな。シル・・・それまでの食材は・・・アーニャ達が?」

 

 

「うん、それと・・・ヘルメス様やアスフィさんにも・・・ここをなんとか隠蔽してくれたようで、今ここはバレずに済んでいるの。アーニャ達は食材調達を頼んで、ここまで運んできてくれるの。アーニャ達にもリドさん達のことを話してあるから、敵対せずに済んでいるよ」

 

 

「リューはどうした?ここには居ないようだが?」

 

 

「リューも今は食材調達なんだけど・・・・・三日前・・18階層で貴方と出会って・・・その・・・・ジークに酷い事を言われて・・・今は少し・・・落ち込んでいるの」

 

 

「そうか・・・・わかってくれとは言わないが・・・・謝らなくてはならないな」

 

 

「大丈夫だよ!ジーク!リューだって貴方の気持ちはわかるはずだから」

 

 

「だとしても、俺はその時に彼女の頼みを振り払った。その処罰はしっかりと受けなくては」

 

 

リューとは俺と三日前にクノッソスに入る前に出会っている。リド達を率いた場面で、その時に『一緒に戻ろう』と言われたが、俺はその時断った。その後は地上に戻って、俺の地上で黒竜に変身したことを聞いて、リューがヘルメスに頼んで、俺が居ると思われる居場所を情報操作をして隠蔽して貰い、その後ルノア達と共に今は買い出しをしているらしい

 

俺に酷いことを言われて落ち込んでいると、リューは俺に失望を覚えたのだと思った。

 

そんなことを聞いていると

 

 

「シル。ヘスティア様。買い出しを終えて帰って・・・・・ジークさん!?」

 

「起きたのにゃ!?」

 

「あれから三日も寝てたのに!?」

 

「もう大丈夫なのかよ!?」

 

 

「ああ。もう大丈夫だ。心配かけてすまなかったな」

 

 

「いいよ、そんなことどうでもいいにゃ」

 

「おミャーが死にかけてたって、聞いた時はびっくりにゃ」

 

「本当に、あんたが無事で良かったわ」

 

 

「死にかけてたではなく、二度死んだのだがな」

 

 

「ジークさん・・・あの・・・・・」

 

 

「リュー。18階層の時はすまなかった」

 

 

「っ!?」

 

 

「この竜女を助けるために必死だった。許してくれと言わない。ただ・・・お前に謝りたかった」

 

 

「いいえ、貴方の気持ちを考えずに、事情を知らない上に勝手なことを言った私にも責任があります」

 

 

「だとしても酷いことを言ってしまったことは変わりはない。本当にすまなかった」

 

 

「貴方が誰かのために必死になって怒るのは、貴方が常に誰かのためだと、そのような理由であのようなことを言ったのだと、理解しました」

 

「にしても・・・・本当に喋れるモンスターが居るなんてね」

 

「ミャーとしては、全然自分と変わりないにゃ」

 

「ウチらは猫人だからにゃ。見た目としてウチらと似ている存在にゃ。ゼノスって言うのはにゃ」

 

「ヘルメス様とアンドロメダとアンティラネイラが全力でここを悟られないよう、嘘の情報を流しています。あのヘルメス様も必死にここを隠蔽しています」

 

 

「ヘルメスはこんなことをしでかした俺を、まだ味方だと思って、必死にロキとガネーシャのファミリアを誤魔化すか、ここへと近づかせないようにしているようだな」

 

 

黒竜に変身した俺のせいで、今状況は酷く悪化していた。今までに無い事件だから仕方ないとしか言いようがないが

 

それでも俺が起こした事件だ。英雄がモンスターに変身するなど、オラリオ初の事件だろう。今俺は完全にその騒動を起こした犯罪者。もはやその仲間をも巻き込んでしまい。完全に俺たちは他のファミリアやギルドにおいても追われる身になってしまった

 

今は何人かで援助して貰い、ここ孤児院の教会にて隠れている状況だ

 

 

「状況は酷く悪化していると・・・・今まで以上にとてつもない事態となったか。まあ・・・・・俺のせいではあるのだが」

 

 

「なあジーク。いい加減教えてくれよ?」

 

「ヘスティア様からあの黒竜のドロップアイテムを食べたことは聞きました」

 

「どうして?黒竜の心臓を食べたのですか?」

 

「どこでそのような貴重な物を?」

 

「ジークさん・・・まさかとは思いますけど・・・・そうなんですか?」

 

「ジーク君。こう、あんな事態になったんだし、話してもいいんじゃない?」

 

 

「ああ。凄い長い話になるが。ハッキリ言う。信じ難いことだと思うが」

 

 

そろそろベル達に俺があの黒竜に変身したのか動機を聞いてくる

 

理由としては黒竜のドロップアイテムを食べたからだ。もちろんそんなことをすればたちまち人間でなくなることくらい、ベル達でもモリガンのクリムゾン・ベヒーモスと戦って学んでいると思うが

 

俺が食べたのは『黒竜の心臓』

 

心臓ってことはだ。心臓となればモンスターにとって命そのものの部位である。それを取れば生物は死に絶える。つまりはだ

 

俺がその心臓を食べたと、ヘスティアに聞いたのであれば、つまりはそういうことになる

 

心臓を食べたと言うことは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「半年前、あの『隻眼の黒竜ファフニール』が俺の故郷に攻めてきて、俺はその黒竜を一人で倒した」

 

 

 

「「「「「「「「黒竜を一人で倒した!?」」」」」」」」

 

 

ベル達に壮絶ない真実を俺は告げた

 

皆の知らぬ、ここから北の果てにある俺の故郷にて、奴が攻めてきて、俺はその黒竜を。ゼウスとヘラの眷属が勝てなかった。世界を滅ぼすかもしれない世界最強のモンスターを

 

 

俺が一人で倒した

 

 

もちろん前から知っていたシルとヘスティアは大して驚かないが、ベル達は壮絶ないほど驚愕した。それはそうだろう。あの黒竜をオラリオが知らない場所で討伐されていたなど、言うなら世界の驚愕な報道にもなる。その告げた世界三大クエストの最後のモンスターは俺が終わらせたと言う言葉に、流石のベル達も信じられないだろう。ゼウスとヘラの眷属が倒せなかった、レベル9とレベル8のファミリアの双方が勝てなかったあの隻眼の黒竜を

 

当時まだレベル3の俺が倒せたのが、あり得ないと、俺の告げた真実をベル達は疑う

 

 

「ほ、本当なんですか!?」

 

「あの黒竜を一人で倒した!?」

 

「おいおいマジかよ!?」

 

「あの三大クエストの最後のモンスターを・・・ジーク殿が半年前に!?」

 

「倒したのですか!?あの黒竜を!?『ダンジョンオラトリア』に出てくるあの黒竜を!?」

 

「まさか・・・・ジークさんが!?」

 

「なんてことにゃ!?」

 

「マジかにゃ!?」

 

「本当なの!?」

 

「あのゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアが勝てなかった。三大クエストの最後のモンスターを。ジークが倒した!?じゃあ黒竜を倒したってことは、三大クエストは達成した!?」

 

「本当なのか!?ジーク・フリード!?」

 

 

「事実だ・・・・・と言ってもお前達は信じないだろう。だから・・・・・精霊全召喚!」

 

 

『『『『『お呼びで・・・主』』』』』

 

「あ!ウンディーネ!」

 

 

俺は嘘を付いてないと、隣にルーン文字を描いて投げた。その投げられたルーン文字がサークルを作り、そこからウンディーネ達が現れる

 

ウンディーネ達は、俺が黒竜を倒した現場に居合わせていた。当然俺の故郷を守るためにも精霊の軍隊を率いて戦ってくれたのだから、俺が黒竜を倒した場面を彼女達は見ている。水と土と火の大精霊である。ウンディーネ達の証言なら納得するはずだと。俺は精霊を召喚した

 

そして召喚の矢先に、精霊達は浮かない顔をしている上に返事も少し浅い。俺が黒竜の力を使ったと爺さん達に聞いたに違いないと、ウンディーネが俺にいきなり黒竜の力を使ったことに対して注意をする

 

 

『主様、遂に使いましたね?黒竜ファフニールの力を・・・・・あれほど使ってはならないと言ったではありませんか!!』

 

 

「ああ。許せ・・・とは言わない。俺はそれで死にかけたのだからな・・・」

 

 

『やはり!!・・・・・『オーディン様とヘイムダル様』の言う事は本当だったのですね!!』

 

「オーディン!?ヘイムダル!?・・・ジーク君の故郷に居るの!?」

 

 

「俺には爺さんが居るって言っていただろう?それが・・・・『戦争の戦神オーディン』と俺の故郷を守る『守護神へイムダル』だ。あの二人が俺の故郷をファミリアを立ち上げて守っている」

 

 

「神様?その・・オーディンとヘイムダルって言う神様はお知り合いですか?」

 

「ああ。知り合いなんだけど。ヘイムダルはともかく、あのオーディンは怖いんだ!!あの眼帯爺・・・・天界でロキやフレイヤやあのフレイにも喧嘩をした最強の戦の最高神だ。アレスとは大違いの冷静沈黙なお爺さんだけど。戦をする時は獰猛さが激しくで一部の神では恐れられていたくらいだよ」

 

 

「そうか?あの爺さん全然怖くないけどな。俺に生意気なことを言ったら、いつも爺さんの腰をぎっくり腰にさせるけどな。蹴りを入れて」

 

 

「うわあ〜〜〜〜そんな命知らずなことがジーク君にはできるんだね。僕には絶対に無理だ。あのオーディンにぎっくり腰だなんて。でもジーク君神が嫌いだからできて当然か」

 

 

ウンディーネはヘイムダルとオーディンの『千里眼』で、故郷からオラリオの光景を見たらしく、俺がダイダロス通りで黒竜の力を使って暴れたと聞いたらしく、今おそらく俺の故郷はパニックになっているはずだと、ウンディーネから通達を聞いて理解した。

 

更に

 

 

『それと・・・・オーディン様とヘイムダル様から・・これを主に渡せとのこと』

 

 

「まったく、起きて早々爺さんと堅物女の説教を喰らうか」

 

 

ノームから大きな水晶を渡される。間違いなく爺さんであるオーディンのマジックアイテムだ。俺が作ったオクルスとほぼ同じ機能。遠くからでもこれと同じアイテムを持っているなら声を交わして連絡できるが、これはそれだけでなく、水晶の玉の中から連絡している者達が居ると思われる場所の光景も写すこともできる

 

そしてこれをノームに渡され、声を掛けて起動する

 

 

「オーディンに接続」

 

 

ピ!・・・ブウン!!

 

 

「爺さん・・・・説教をしにノームにこれを渡したのか?」

 

 

『いや・・・・だが・・・遂に使いおったな?黒竜の力を』

 

 

「オーディン!?」

 

 

『む?その声は・・・・・ヘスティアか?』

 

『お久しぶりです。ヘスティア。千年振りですね。お元気でしたか?』

 

 

「ヘイムダルまで!?・・・・これがジーク君の故郷の主神をしていたなんて」

 

「この人が・・・ジークさんのお爺さん」

 

「眼帯をしている爺さんが・・・オーディン様で」

 

「この銀髪をして眼鏡をしている方がヘイムダル様ですか」

 

「なんだか・・・・とても普通なお方に見えますが」

 

「ええ、なんだか神威の強さが、他の神々とは違います。特にあのご老人の神が」

 

「爺さんはゼウスに並ぶ、大神と同じ最上神級『最高神』の神だ。他の神とは違って当然だ」

 

 

水晶の中から眼帯をした灰色の髪の帽子を被った老人が戦の男神で最高神オーディン、短い青髪で眼鏡をした女神が守護神ヘイムダル。

 

その双方のファミリアの主神が俺の故郷の現最強の派閥。言うなら俺と故郷を守る最高戦力。今回俺が黒竜の力を使ったことに対して、甚大なる問題だと。俺にマジックアイテムを渡してまで、現状報告を聞きたかったようだ

 

 

「そっちでは大パニックか?」

 

 

『当たり前だ。私の眷属であり団長である『スカサハ』も、精霊世界大樹に住む精霊も、街中騒ぎを起こしているぞ』

 

『『半獣西町』も騒いで大変ですよ。今私の眷属達や『イオフェさん』達が事態を収集しています。あちらは半分はモンスターですから、貴方の気配に街のアナザーモンスター 達も敏感に反応します。特に・・・・・・『サーナ』さんや『メイジお嬢様』が・・・』

 

 

「だろうな・・・・・そのサーナとメイジはどうした?」

 

 

『それなんだが・・・・・・・お?来たようだぞ?』

 

 

俺の故郷ではやはり俺が黒竜を使ったことに遠くからでも反応したようだ。あちらにもゼノス達と同じ喋るモンスターであるアナザーモンスター。人より気配に敏感な彼らからすれば、世界の反対側にあるここからでも反応し、俺が黒竜の力を使った気配を遠くからでも感じられたようだ

 

それで今、都市の半分の街である。アナザーモンスターが暮らす街、半獣西町ではアナザーモンスター達が騒いでいると、俺の身は安全なのかと心配しているようだ。そういうのは大抵サーナとメイジがマジックアイテムを通じて俺に連絡するはずだと思ったのだが

 

ガタン!!!と大きな扉が開いた音が聞こえ、そしてドドドド!!!とズルズルズルと人間の足音とは思えない大きな音。間違いなくあの二人だと思って、水晶を見ていると

 

 

『オーディン様!退いてください!・・・ジーク!』

 

『オーディン退いて!お兄ちゃん!大丈夫!』

 

『お、お主ら・・・少しは年寄を労わらんか』

 

 

「ああ。サーナ。メイジ。・・・・久しぶりだ。騒ぎを起こしてすまなかった」

 

 

「うお!?紫色のラミア!?しかも看護服着ている!?」

 

「あら。私と同じラミア?」

 

「それとウィーネ様と同じ竜女です!?しかもドレスを着ている!?」

 

「あ、私と同じ種族の人だ!!体の色も同じだ!」

 

「本当にジーク様の言う通り、ジーク様の故郷にも喋るモンスターが居たなんて」

 

 

水晶の画面越しからオーディンを無理矢理横に手で退かした、ラウラとは違うナース服を着た紫のラミアで俺の幼馴染のサーナ。豪華なドレスを着た、両翼と金色の尻尾と青い鹿のような角を生やした竜女が義妹のメイジ。

 

やはり爺さんが俺と連絡するのを聞いて、このルームまで走ってきたようだ

 

 

『ジーク!容体は!』

 

 

「問題ない。ヘルとフェルズのおかげで二度生き返った。と言えばわかるな?」

 

 

『二度生き返った!?お兄ちゃん!やっぱりヘイムダルの言う通り・・・二度死んだの!?』

 

 

「ああ・・・・お前に似た奴がここに居る。この子の名はウィーネ。イヴィルス残党に拐われた彼女を救うために・・・・この子を庇って敵に後ろから槍で心臓を刺された」

 

「う、うん。私を助けてくれたよ」

 

 

『やっぱりお兄ちゃん・・・また死んだんだ・・・』

 

 

「ああ。嘘ではない」

 

 

『何を考えているのですか!?ジーク!!!』

 

 

「「「「「っ!?」」」」

 

「不意打ちをされた。ただそれだけのこと。彼女を助けるには俺が庇うしかなかった。だが説教される事は受け入れる」

 

 

今回でまた俺が死んだ事は、ヘイムダルの千里眼でしっかりと確認していたようだ。前回のアルテミス事件の時も、それで確認はされている。自分の命をまたも蔑ろにした行動をしたことに対して、サーナは怒鳴るように怒った

 

その怒鳴り声に、ベル達は若干体が震えるように反応をした。デカイオクルス越しで連絡していても、まるで目の前に居るかのような覇気のある声を聞いた。それでも今回は俺の不注意でしてしまったことのため、仕方ないと説教を受ける

 

 

『あなたはそこまで自分の命が大事にできないのですか!?他人のために尽くすのはわかりますけど!あなたが死んでは意味がないと!仲間のためにはならないと!いつになったら自覚するのですか!!』

 

 

「仲間の身を守る前に自分の身を守れと言うのか?くだらん言葉を出すなサーナ。そんな夢のような言葉は、この弱肉強食の現実においては通用せん。自分の命を出さなければ救える者も救えん。戦争やダンジョンはいつだってそれが当たり前だ。自分の身を出さねければ、代償を差し出さなければ、得られる者も無い。それがわからないお前ではないだろう」

 

 

『承知のつもりです!ですが・・・・その結果が!!今仲間と思われるそのヒューマン達や主神ヘスティア様が険しい顔をしているのですよ!!貴方もそんなことをして、残された人の気持ちもわかるでしょう!!』

 

 

「理解はしている。だが・・・・・常に俺の命は不運ばかり身に付いている。だから自分の身を差し出さなければ、大切な者も守れない。絶望の淵に落ちた。そして今もだ。なにもかも希望もない。だから俺は使った。死の覚悟は常にできている。剣を握った時から決まっていたことであり、運命だったこと。全て・・・・・お前とて承知していたことだろう」

 

 

『ええ・・・・ですがここまで貴方が自分の命を蔑ろにするとは思っておりませんでした!それが・・しかも二度も!有り得ないとしか言いようがありません!貴方のお父様も!大切な者を守るために自分の命を捨てるなど!・・・・・・・誰のためにもなりませんよ!』

 

 

「なんか・・・すごいね。このラミア」

 

「そうですね・・・あのジーク様にここまで意見を言えるとは」

 

「幼馴染だけのことはあるな」

 

「すごい覇気を出して言いますね」

 

「とても普通のラミアの方とは思えません」

 

 

「ラウラ。このラミア・・・お前よりすごいぞ?」

 

「え、ええ・・・なんだか・・・同じ同族でも怖いわ。リド」

 

「初めて見ました・・・こんな覇気のある同胞は」

 

「ジーク・フリードの故郷に住む同胞は・・・これほど強気心を持っているのか」

 

 

「あのジーク君にここまで言う人なんて・・・シル君だけかと思った」

 

「はい。私も物凄くびっくりです」

 

「ジークの幼馴染か・・・・なんだか・・・・ライバルな感じがするな」

 

 

サーナと俺はデカイ口論を繰り広げた。まあ故郷ではこれが当然の如くだった。オーディンとヘイムダルは何も言わず、これが当然だと何も言わない。ベル達やリド達はあまりのサーナの怒りのような説教に、誰も彼も唖然とするほど驚愕していた。ベート程ではないが、俺が睨んだだけで相手を怖がらせるような竜眼をしている今俺に、ここまで自分の意見をぶつける者が居たとは思いもせず、あまりのサーナの覇気のある説教に、ベル達もサーナを少し恐れた

 

 

『本当にそれでは・・・・貴方がその調子では・・・』

 

 

サーナは、あまりの俺のやり方に我慢ができず、遂にヘスティア達の前で、これを聞いてはならないリューやエイナと言う、エルフが聞いてはならない真実を告げてしまう

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴方を黒竜から庇ったフレイ様の強制送還の意味が無くなります!!!!』

 

 

 

 

「「「「「「「え!?」」」」」」

 

「「「「「な!?」」」」」

 

 

「フ・・フレイ様が・・・・あの黒竜にやられて・・・強制送還された!?」

 

「ジークを守るために・・・・フレイ様が庇った!?」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

サーナは、俺より先に黒竜を倒したと説明した後に、すぐに明かしてしまった。あの黒竜に俺は一度殺されかけ、その黒竜から俺を守るために俺を庇ったフレイが犠牲になったと。俺はサーナに先に真実を告げてしまう

 

エルフの主神であり、彼を信仰していたエルフであるリューやエイナが、フレイが強制送還をされたことに驚いて立ち尽くしてしまう。リューは強制送還されたことは俺から聞いてはいたが、何を理由に強制送還されたかは言っていない。しかもこの理由は強制送還されたとしか説明していないフレイヤやリヴェリアも知らない

 

フレイは俺を庇って、黒竜にやられて強制送還されたのだ

 

 

「事実なのですか!?ジークさん!?」

 

「い、今の本当なの!?・・・ジーク!」

 

 

「ああ、嘘ではない。そうだろう?爺さん」

 

 

『ああ、そこにフレイを信仰するエルフが居るのか?』

 

『事実です。半年前あの黒竜がジークさんの故郷であるこの土地に来ました。全力でフレイのファミリアも当たっていたのですが、ジークさんがやられそうになっていた所を、フレイが・・・・・・・・彼を庇いました』

 

 

「フレイ様が・・・・・ジークさんを守るために・・・黒竜にやられたなんて!?」

 

「そんな!!そんな・・・・フレイ様・・・フレイ様!!」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

それを聞いて、リューとエイナは泣き出した。リューは以前に俺からフレイが半年前に強制送還されたとは聞くが、まさかその理由が俺を庇って黒竜にやられたとは、知りもしなかった。もちろん何も知らないエイナは当然泣いてしまう。あまりの衝撃の事実に、彼女達は涙が止まらなかった

 

 

「ちょうどいい、お前達も説明してくれるか?俺の故郷で起きた半年前の、『隻眼の黒竜ファフニール討伐事件』を、もう仲間にあれを使った以上、話すしかないんだ」

 

 

『そういう状況みたいですね。オーディン様もよろしくて?』

 

『そうだな、ヘスティアよ。お前も聞くのだ。ジークがどれだけの犠牲を得て、こんな体になったのか。ジークの過去を聞くのだ』

 

 

「ああ、僕も聞きたい。ジーク君がなぜ黒竜のドロップアイテムを口にしたのか」

 

 

俺はサーナやオーディン達に頼んで、半年前に俺の故郷に、三大クエストの最後のモンスター。ゼウスとヘラの眷族達を全員滅した最強の竜

 

『隻眼の黒竜ファフニール』を、俺が殺した事件の真相を

 

この二人と精霊達が説明する

 

 

 

これが

 

 

俺が最後の涙を流した過去の物語である

 

 

 

 

 

 




オリキャラ紹介

最高神オーディン
ジークの育ての義祖父でもあり、ジークの故郷の主神代表。あのゼウス に並ぶ大神でもある。ジークが生まれる前からジークの故郷の主神代表をしている。姿は眼帯をした灰色の長髪をした老人

番人の神ヘイムダル
ジークの故郷を守る番人の派閥の主神。姿は眼鏡を掛けた短い青い美女。フレイヤは『魅了』と言う力があるように、彼女は遠くの景色も見れる『千里眼』の力を持つ。情報網は全てジークに伝える指令等の役割もしている


アナザーモンスター

竜女のメイジ

ジークの義理の妹にして、ウィーネと同じ喋る青い翼と肌の竜女。ジークが生まれて一年後にとある島で生まれ、ジークの故郷の喋るモンスターの中で一番強い。だからジークの故郷の喋るモンスターの代表でもある


ラミアのサーナ

ジークの幼馴染。生まれた年はジークと同じ、ジークの母であるトールに拾われてから、ジークと共に育ってきた。だからな名前は雷神トールに付けれた。モンスターであるため魔法は使えないが、彼女は医療技術を神々から教わっているため、ナースの仕事と医者の仕事両方している。手術も調薬も完璧にできる。だから回復魔法にも負けない方。ジークの幼馴染であるが、ジークに恋をしているため、だからいつもオラリオに行ってしまった彼を心配している



オリキャラの簡単な紹介は以上です

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