ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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作戦準備 夜編

 

 

 

 

 

「ヴェルフ?春姫?命?どうだ?」

 

 

『前から取っておいた二本と、今日で四本もできた』

 

『こちらもジーク様に言われた必要なマジックアイテムも倉庫から取り出しました』

 

『ホームが何もされてなくてよかったです。ジーク様の言う通りフェンスに結界の張り紙が貼ってあったようで、ホームは無事でなんとかなりました』

 

 

「そうか、こちらも必要な物を集めた。武器もアイテムも揃った。よって・・・・明日の作戦会議を始める」

 

 

俺はヴェルフ達が無事にホームで待機していると聞いた。そして明日の夜に必要な武器とアイテムは揃ったと報告を聞く。こちらも十分なアイテムも揃った。いつでも戦闘ができる。準備ができたなら、あとは作戦会議までだと。明日の夜の戦いの作戦を会談する

 

 

「エイナ。ヘスティア。ウラノスの方には伝えたか?」

 

 

「うん。でも本当に良かったの?ジークの罪を軽くしないで?」

 

「一応ウラノスには説明しておいたけどさ、君が黒竜を倒したことに関してはウラノスも驚いていたよ」

 

『仕方あるまい。ウラノスとて信じられない話だからな』

 

『いくらウラノスでも驚きますよ。当時レベル3でレアスキルであの世界三大クエストの黒竜を倒すなど。信じられない話ですからね。仕方ないかと』

 

 

「今軽くしたら俺の囮作戦が無駄になる。するのはその後だ。ウラノスも耐え難い真実であることは変わりない。もうこれを聞いて驚かれるのも予想済みで慣れた。もう俺が黒竜に変身した話は終わりだ、ウラノスは俺たちのこれからやることについて何か言っていたか?」

 

 

「やり方は無茶苦茶だけど。その方がゼノス達も助かろうと、ウラノス様がその後の処理は自分たちがなんとかするって、ジークの今回やる作戦に反対がなく、ウラノス様もこの作戦が終わった後にジークの罪を軽くするって言っていたよ」

 

「ウラノスは今までゼノス達を守ってきたんだ。むしろ僕らが協力してくれたことに感謝はしているんだよ」

 

 

「そうか。だがお前以外の職員は未だにこの事は隠蔽している状態だな?」

 

 

「うん、確かにレイ氏達のことは例えミイシャにも説明できないよ。私だって喋るモンスターが居るなんて信じられないもん」

 

 

「それだけダンジョンはイレギュラーを起こすように、そのような異様な生き物も産むほど、ダンジョンは未だ未知と言うわけだ」

 

 

ウラノスにこの事を通達した結果。ウラノスは今回の作戦に反対はない。だがそうすればもちろん更に犯罪が重なるが、まあそれはファミリア全体ではなく俺個人に罪が重なるのだが、無論そんなことを恐れるわけもなく、ダイダロス通りで争いを起こして街に迷惑をすることに関しては、もう俺は一切遠慮はしない

 

もはや人として扱われず、怪物として非難しようものならもはやオラリオに味方はほとんどいない

 

 

なら俺も、ゼノス達をダンジョンへ逃すために手荒な方法でこの事態を抑える道を選んだ

 

 

「それで・・・どうするんだい?これから?」

 

 

「先ほど報告した通り、ロキ・ファミリアには宣戦布告した。おそらくではなく確実に、あいつらは俺の布告に答えて攻防戦になるんだろう。ゼノス達を無事に逃すことができて俺の罪がウラノスの神意で消えるか、もしくは俺は捕らえられゼノス達が消されるか、生きるか死ぬかだ」

 

 

「では作戦としては・・・・・」

 

 

「ああ。ガネーシャ・ファミリアと同時にロキ・ファミリアも倒すしかない。部隊を五つに分けて叩き潰す。それ以外の冒険者は俺が一人で早めに倒す。お前達は主にロキ・ファミリアとガネーシャ・ファミリアの相手を頼みたい」

 

 

「やっぱり囮はするんだね?ジーク?」

 

 

「俺はレベル6だ。他の冒険者を一人で相手にすることなど造作も無い、その後は俺もロキ・ファミリアを抑えるために加勢に入る方針だ。シル」

 

 

捜索している冒険者達を倒すしか、ゼノス達をダンジョンへ逃すしかない。そしてそのためには今ダイダロス通りを捜索している冒険者を一掃するしかない。そのために俺が囮で出るしかない。地上でリド達が移動するのは目立つ、だが俺が一人で暴れれば冒険者達の視線を奪って、ラウラ達に眼は届かないだろう。だがそれでも護衛はつけるが

 

それでも最悪に等しい作戦だ。こっちは俺以外がレベル4以下の冒険者だけ、戦力としては厳しい

 

 

だから

 

 

 

「フェルズ。お前・・・・・・・『アステリオス』と言う黒いミノタウロスを呼んで連れてきたか?」

 

 

「ああ。今クノッソスでレッド達と共に待機している」

 

「お、おいジークっち!?フェルズ!?」

 

「彼を呼んだのですか!?」

 

「あいつは確かに私たちよりも強いが・・・少し無口な男だぞ?」

 

 

「それでも必要な仲間だ。こうなった以上はお前らを助けるためにも手段は選ばない」

 

 

フェルズに頼んで、レッドにオクルスで連絡をして黒いミノタウロス『アステリオス』を連れてきて貰う手筈を整えた。グロスが言うには性格に問題があるのかあまりに扱いが難しい牛だと言ったが、今はそんなことを言う暇はない。少しでも戦力になる人員は必要だと、扱いの難しいゼノスが居ようと、同胞を守るためなら協力してくれるはずだと。俺は念押しをする

 

ベルは一度ダンジョンでその黒いミノタウロスと戦って勝利した経験はあるが、あまりにその黒いミノタウロスが輪廻転生したのではないのかと気がかりだが、それでも敵ではないと説明する

 

そして

 

 

「聞こえるか?レッド?アステリオス?」

 

 

『はい!聞こえてます!』 『・・・・・・・・フェルズの言う、ジーク・フリードとか言う男か?』

 

 

「ああ。黒いミノタウロスのアステリオスだな?同胞を守るために協力しろ。もちろん人殺しは無しだ。いいな?」

 

 

『フェルズに大体は聞いている。わかった』

 

 

「これが・・・・・アステリオスの声・・・」

 

 

『っ!?その声・・・・・・あの白い少年か!?』

 

 

「あ・・・・はい」

 

 

俺はフェルズに頼んでレッドにオクルスを送っておいた。今クノッソスの地上に続く門にして待機している。レッドには鍵も持たせてあるからすぐに地上に出ることができる。当然アステリオスだってリドみたいに武器を持っているはずだから、敵は殲滅するが殺すなと指示をしてそれを受け入れた

 

そしてその後にベルの独り言を聞いたのか、すぐにベルの声に反応してアステリオスはベルに話しかけた

 

 

『自分はずっと夢を見た。たった一人の少年と戦っていた夢を、そして声も聞いた。あの時の少年だな』

 

 

「君は・・・・7階層でリリや僕に立ち向かってきた黒いミノタウロス?」

 

 

『あの時、死にものぐるいで殺し合った好敵手、どんな人間よりも遥かに強い人間、またいずれ戦えることを信じて待っていた。だが・・・・・・・今は同胞を助ける時、いつの日か挑ませて欲しい・・・・・・・・再戦を!!』

 

 

「っ!・・・・・・はい・・・・・その時は絶対に僕が勝つ!」

 

「まさか・・・・あの黒いミノタウロスが輪廻転生を果たすなんて」

 

「前にベル君がレベル2になったきっかけの戦いだね?」

 

 

「理解が一致したようでなによりだ。いずれ決着をさせるようにしてやるから、心配するなアステリオス。その日は必ず作ると約束しよう」

 

 

『是非とも頼む』

 

 

ベルとアステリオスはオクルス越しではあるが会話をした

 

アステリオスはいずれ前にベルに倒された経験から、いずれ闘争心が熱い気持ちとなってもう一度再戦を頼もうとする。ベルもなぜかその再戦にやる気のようだ。やるのはまだだと言うのに、戦意だけは燃やしている

 

まあアステリオスの了承を得たと言うことで

 

そろそろ作戦概要についてだ

 

 

「まずは俺が落雷を落とす。それが他の冒険者と戦っている合図だ。そのタイミングでまずはラウラ達をダンジョンへ移動させる。その護衛にヴェルフと命とグロスとノームを付けたD部隊は西のクノッソス の門を叩け。冒険者とロキ・ファミリアの一部を撹乱にリリルカとアスフィとグリフォンのF部隊で。そしてロキ・ファミリアの眷属を倒すためにベルとアステリオスとリドとリューとサラマンダーをA部隊を、フィルヴィスとウンディーネのB部隊で東のクノッソスの門を叩いて貰う。アーニャとクロエとルノアのC部隊で中央に捜索する冒険者を倒してラウラ達の逃げ道を作る。春姫とアイシャ達ヘルメス・ファミリアのE部隊はガネーシャ・ファミリアを撃退。ヘスティアとヘルメスとデュオニュソスとエイナとシルで地図を見て状況報告を聞いてほしい。その後には俺もすぐにロキ・ファミリアを叩き潰しに行く」

 

 

「え?フィルヴィスさんに?デュオニュソス様?」

 

「僕が頼んでおいたのさ!」

 

 

「そういうことだ。聞こえているな二人とも?」

 

 

『ああ、確かにね』

 

『協力はする。フレイ様がお前を守った。あのお方の望みを無駄にしないために』

 

『事情はヘスティアとオーディンとヘイムダルに説明は聞いた。友である君を私達も力を貸そう。なにより・・・・・ジークを守ったフレイのためにもね』

 

 

ヘスティアがデュオニュソスに協力を要請したようだ

 

俺が黒竜に変身した事情を聞いて協力に応じてくれたようだ。どうやらフレイが亡くなったことまで話したようだ。その俺の苦しい真実を聞いて、デュオニュソスはあんなことをしても友人として助け、フィルヴィスは俺を命懸けで守ったフレイの犠牲を無駄にしないためにも俺を守るとエルフ としての使命なのか、俺の協力を受けてくれた

 

作戦としては

 

まずは俺がなるべく多くの冒険者を撃退しておく、その同時に落雷を落とすのが他の全員を行動開始の合図

 

ヴェルフと命とグロスとノームのD部隊は無事にウィーネやラウラ達ゼノス達をダンジョンへ送るために西のクノッソスの門へ

 

フィルヴィスとウンディーネのB部隊で東のクノッソスの門へ、これはもしも西の門が破れなかった時のため

 

ロキ・ファミリアの眷属を倒すためにベルとアステリオスとリドとリューとサラマンダーをA部隊を、これは上級冒険者ではなく、レベル4のダイダロス通りを護衛する眷属を遇らう

 

春姫とアイシャ達ヘルメス・ファミリアのE部隊はガネーシャ・ファミリアを撃退

 

アーニャとクロエとルノアのC部隊で中央に捜索する冒険者を倒してラウラ達の逃げ道を作るために殲滅

 

冒険者とロキ・ファミリアの一部を撹乱にリリルカとアスフィとグリフォンのF部隊

 

ヘスティアとヘルメスとデュオニュソスとエイナとシルで全員の座標がわかるマジックアイテムの地図を見て状況報告

 

そして俺がある程度捜索する冒険者を倒した後、俺はロキ・ファミリアのフィン達幹部を俺一人で潰す。上級冒険者はいくらあいつらでも荷が重い。ノーム達精霊が負けるとは思えないが、あいつらは前回59階層で精霊の分身であるデミ・スピリットを相手にしていた。おそらく精霊の魔法は経験済み、奴らがそこまでタフな耐久と経験を積んでいる以上はタダでは済まない。フィンの思考の陣形作りの完璧さ、ティオネとティオナの出鱈目な格闘耐久。防御鉄壁のガレスに魔力砲撃最強のリヴェリアとアキよりも嗅覚と敏感さと足が早いベート。そしてアリアの風を操る特攻力の高いアイズ

 

この都市最強のファミリアの双方の片方の強さ。頭で考えても勝てる見込みはない派閥だ

 

 

だから

 

 

「無論わかっていると思うが、作戦が失敗になりかけた場合は、俺が黒竜の力を使う」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

『『『『『っ!?』』』』』

 

「ジーク君!?でも!」

 

『ジーク!体が保たなくなるぞ!』

 

『それ以上を使えば、人間の体が保ちません!いずれ一部が黒竜の部位になりますよ!?』

 

「ジーク。それは流石に」

 

 

「許してくれ、シルも。俺はあいつらと一度所属だったからこそあいつらの強さを知っている。お前らでもこの人数でもキツくなるかもしれない。それだけここオラリオの頂点に近い派閥だ。そんな敵をもしも倒せなかったら、ゼウスとヘラの眷属を滅した黒竜なら、奴らを抑えることはできる。もはや・・・・俺の正体を知られたなら臆することはしない」

 

 

もしも作戦が失敗になりそうな場合は、容赦なく俺は黒竜の力を使うと宣言した

 

一度所属していたからこそ奴らの強さを知っているからこその選択、行動パターンもわかっているとは言え、全員相手を崩す役割の性能が揃っている以上は、恐れることはないとは言え、負けることもあり得るからと俺も手段を選ばない

 

制御ができないと言っても、その後に来る後遺症と代償を受けるだけのこと、その程度なら構わないと、もしもの場合は使用することを決断している。おそらく使ったら体の一部が黒竜の鱗になるかだけだろう。意識さえ持ってかれないのなら構わないと思っていた

 

それと

 

 

「ウンディーネ、ノーム、サラマンダー、グリフォン、グラニ。今回は本当に俺たちファミリアの危機だ。だから言う、お前たちに『魔法』の使用を許可する」

 

 

『『『『っ!?』』』』

 

『よろしいのですか?主?』

 

 

「街は壊さない程度の魔術でな。だから『メテオスウォーム』や『ファイヤーストーム』も威力は抑えるなら良し、今回は猶予や手段も選んでられない。ヘスティアは死者を出すことは望まない。必ず相手を気絶させるか軽傷で片付ける威力の無い魔法を使え。今回ばかりは俺の召喚精霊として本気を出してくれ」

 

 

『『『『『はい!我が主の精霊として!フレイ様の義弟様のために仕えます!』』』』』

 

 

今まではあまりに威力が強く、使わせるわけにはいかず仲間の安全が保証のできない殺傷力の強い魔術ばかりを彼らグラニ達は持っている。その中で四大精霊であるウンディーネとノームとサラマンダーはリヴェリアよりも地形すら滅ぼすことのできる魔法を持っている。それも多数も、まあ流石に街中だから建物を壊す威力の高い魔術は控えて貰うが、それでもオラリオの敵になった以上は敵を殲滅してでもしなければ生き残れない。

 

だからもしもの場合はこの作戦を成功するためにも、魔法の使用を許可した。まあ自分たちが殺される立場であるのに、相手を殺さずに事態を収拾するのはとてもやりづらいとは思うがな

 

そんなことを考えていると

 

ヘスティアからも俺に一つ指示が出る

 

 

「ジーク君。僕からも追って指示を出したい」

 

「なんだ?ヘスティア?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「君はもうここオラリオで罪人だ。捜索している冒険者達は黒竜となった君を全力で捕まえに、いや・・・・・確実に殺しにくるだろう。だから・・・・・・・君だけはもしもの場合は敵の殺しを許可する」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

『『『『『ヘスティア様!?』』』』』

 

 

「いいのか?本当に?」

 

 

「もう僕は二度も君を失った。君の言う通り、下界の子供たちはモンスターとなった君を危険分子として扱い、殺しにかかるはずだ。だから僕も生き残るために相手を殺すことを選ぶよ。もう人の眼など気にしていられない。心苦しいけど君が生き残る前提の作戦で行く」

 

 

「そうか、だが一応君の希望通りに行動するつもりだ。無駄な殺しはない。少し安心してくれ」

 

 

ヘスティアは俺だけに殺されそうになった場合の事を考えて、生き残るために手段なんて選んでられないと、俺だけは命の危機に値する状況だったら相手を止むを得ず斬れと、ヘスティアも心苦しいが、俺は二度も命を果てた身として、生き残ることを最優先の指示を受ける

 

まあ下級冒険者なら格闘だけでなんとかなるから問題ないが、レベル5の第一級冒険者は最悪重症に追い込むしれないと頭に入れておく

 

 

まあこれで大体の明日の夜の作戦の概要は説明し終わったのだが

 

そこでリドが俺に謝罪をしてくる

 

 

「なんだかすまねえ。俺たちのために」

 

「私たちはあなたに迷惑をかけてしまいましたね」

 

「いくら同胞であるウィーネを助けるためとは言え。すまない」

 

「ごめん。ジーク」

 

 

「友人を助けることになんの後悔もない上に、俺は故郷でお前達以外の喋るモンスターと共に生きている身としては見逃すことはできない。言うなら・・・俺のただの自己満足だ。だから謝るなウィーネ。俺はメイジとよく似たお前を。シスコン本能で動いてしまったが故の、ただの俺の兄としての悪い癖だ」

 

『お兄ちゃん・・・・』

 

 

「僕もかな、全然悪い人じゃないし」

 

「うん、リドさん達は人と変わりありませんよ」

 

「姿はモンスターであってもです」

 

『ま、話してみてかなりいい奴らだしな』

 

『ええ、分かり合えますよ。しっかり対話すれば』

 

『はい。ウィーネ様達は私と同じ獣人みたいなものです』

 

「ミャーも悪くないと思っているにゃ!」

 

「ウチらと変わらないにゃ」

 

「最初は驚いたけど、話してみて、全然人と変わらないしね」

 

「ええ、私も今話してみて、理解はできます」

 

「うん、私もよ。ジークが信じるようにあなた達も友人として接することはできます」

 

「うん!リド達すげえ面白えよ!」

 

「モンスターですけど・・・この人たちは話せて分かり合えます」

 

「うん、良いモンスター」

 

「ええ。私もそう思います」

 

 

「おやおや・・・ヘスティアの子供達は優しいね」

 

「リオン達や孤児院の子供達まで・・・・ジークに惹かれましたか」

 

 

 

俺だけでなく、ベルやリュー達豊穣の女主人店員やここの孤児院の子供であるライ達やその母マリアまでも、対話してみて分かり合えると、初めは慣れるのに少し時間が掛かったが、それでも友人として接すれると、少し気を許すだけでこうも奇跡のような平和な優しい光景ができる

 

理性があるのであれば、こうも共に過ごすことが可能なのだ。俺たちみたいに少しは平和に行こうとすれば、闘争心を捨て、穏やかに行けばこうも変わるのだ。

 

それが俺たちなのだと。俺たちの選択に正しいと信じて進んだ道である

 

 

「お前ら・・・く!!すまねえ!」

 

「ジークさん達に会えて本当によかったです」

 

「ああ。だが・・・私とレイとリドはジーク・フリード達に力を貸さねば」

 

「本当にリド達三人はジーク達と残るの?」

 

「ああ。ジークっち達に助けられ放しにはいかねえよ」

 

「ええ、ここまで来たら私たちも手伝います」

 

「貸しにしたままにはいかんからな。だからウィーネ。お前も行くのだ」

 

「う、うん・・・・・ジーク・・・また会えるよね?」

 

 

「心配するなウィーネ、俺は必ず生き残ってまたお前に会いに行く。兄ちゃんを信じてくれ」

 

 

「うん!!」

 

 

『お兄ちゃん!私もお兄ちゃんの妹だよ!』

 

『ジーク?オラリオでも女性のモンスターと仲良くしているのかしら?浮気癖はいつ治るのかしら?』

 

 

「メイジ。わかっている、お前も俺の妹だ。それとサーナ、いつ俺がお前と結婚していることになっているんだ?」

 

 

リド達はここまでしてくれた俺たちに感謝を言ってくる

 

俺のワガママで始まったこの騒動ではあるが、それでも確かなものは得られたのだ。例えモンスターでも理性があるのなら分かり合えると。俺たちは本当の馬鹿者ではあるが、それでもしっかりと自分の信じた正しさを貫いた結果である。もはやこうなった以上は俺たちに迷いはない

 

むしろ俺にとっては家族の中に幼馴染や妹であるアナザーモンスターがいる以上は見逃すことなどできない。彼らも話せば分かり合えるのだ。アナザー モンスターを家族にしている俺としては、個人的に彼らゼノスを助けたいのだ。メイジとよく似ている竜女であるウィーネを、シスコンながら俺は守る決意をしていた

 

本当の妹のように

 

 

 

そして、これで全ての作戦は決まった。マジックアイテムもある。加勢者も居る。ロキ・ファミリアに立ち向かう作戦会議は以上となる

 

 

 

「じゃあもう作戦は決まりで、後は備えるだけだね?ジーク君?」

 

 

「ああ。全員聞け、ここまでになったからにはもう引き返せない。後は作戦を成功していつも通りの平和を手にするか、失敗すればリド達の命はない上に俺たちもタダでは済まない。つまりは生き残れるかは皆の戦い次第で結果が全て決まる。相手はあのロキ・ファミリアだ。俺たちまだ下級冒険者ばかりのファミリアが奴らに反旗を翻すんだ。もはや俺はかつての英雄ではない。ただのスキールニルのジーク・フリードだ。だが黒竜やベヒーモスを滅ぼした男として必ず勝利に導いてみせる。そして姿はモンスターでも、我らと共に分かち合って共に生きられる彼らのためにも、命を賭ける覚悟はあるか!」

 

 

「「「「「「はい(にゃ)!」」」」」

『『『『『『おう!』』』』』

「「「「「「もちろん!」」」」」」

 

 

「よし!明日の夜!オラリオ最強の双方の内の一角であるロキ・ファミリアを落とす!!ここから先は己の正義を賭けた革命だ!!例えオラリオを戦場にしてでも我らは乗り越える!!今こそ勇気を持って強者達に立ち向かうぞ!我らの正しいと思う正義で道を切り開く!明日の深夜にて開戦だ!!!」

 

 

 

「「「「「「「「「おお!」」」」」」」」

『『『『『『おお!』』』』』

 

 

これで全ての準備が整った。あとは開戦で勝敗をタダ決めるのみ

 

今頃フィンも必死に俺を捕らえる方法を探しているだろう。シャフティ達ガネーシャ・ファミリアにも通達しているはずだ。明日の夜にダイダロス通りで戦争を起こすと。もちろん市民は避難しているはずだ。戦う準備はあっちもできているはずだ。果たしてフィンの思考を上回って俺たちが勝利をするか、俺たちの戦力不足で負けるか、

 

 

どの道、明日の夜で決着が決まるのだった

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

 

あとは明日に備えて寝るだけだと言うのに、教会の外である人物の魔力を感知した。と言うより俺の真実をどうしても知りたいと、『もしもの時はここに来れば説明する』と、どうやら俺の指示通り、一人で来たようだ。

 

早速出迎えが必要だと、立ち上がって教会の者へと向かう

 

 

「ジーク?どこへ?」

 

 

「少し夜空を見たい。すまないが少し門の前で一人にさせてくれ。シル」

 

 

「うん、わかった」

 

「・・・・・」

 

『・・・・・』

 

 

シルにそう言って俺は少し教会の門の前でしばらく一人にしてくれと誰一人来ないでくれと頼むのだが、ヘスティアとウンディーネが怪しいと少し疑うような眼をしていた。俺の性格を考え、また誰か加勢やなにやら呼んでいるのではないのかと。ここへ招き入れたのではないのかと思っているようだ

 

まあその通り、正解なのだが。新しい加勢かどうかはこれからによる

 

今日の昼に、真実を知りたいなら一人でここに来いと伝言を残しておいた。その人物は常に俺を必要としている女性。彼女は俺の約束を守れるに値する人物。その女性のために俺は置き手紙と言う伝言を残したのだ

 

そして相手と言うのは

 

 

 

 

 

 

 

「やはりここに来たんだな。置き手紙を置いて正解であり、お前にとっては知りたい真実であろう・・・・・・・・・・・・・リヴェリア」

 

 

「ああ。お前が・・・どうしてあの黒竜に変身したのか、教えて欲しい」

 

 

それはリヴェリアだ

 

先ほど宣戦布告をしてきた相手の一員の一人を俺が呼んだのだ。彼女は少なくとも俺の嫁候補、散々三日前に本音を撒き散らした罰としても、俺は冷静に物事を判断できる彼女は信用できると、そして今も尚、俺が敵になることを恐れている彼女に決断させるためでもある

 

 

「先に言っておくが、黒竜になっていた時に言ったあの言葉は忘れろ。あれは俺が黒竜になった瞬間恨みを現わにした言葉だ。本当の言葉ではない。あんなの俺の思い当たる言葉ではないからな」

 

「本当に・・・そうか?」

 

「あれはカオス・ヘルツが抑えていた憎しみを、一気に吐き出してしまっただけの言葉。俺の戯言だと思って忘れてくれ」

 

「お前がそう言うなら・・・・」

 

 

まず初めに、三日前に恨み言を言ってしまったことを無かったことにしてくれと言う。その言葉がリヴェリアの心に傷が入っている。過去は過去だと忘れと言っておきながら、ファフニールに変身したせいで本性を露わにした事であんなことを言ってしまった。

 

だから本当の俺の気持ちではないと。撤回して貰いたかった

 

 

「それじゃあ説明に入る・・・・・・と言いたいが本当に一人で来たのか?」

 

「ああ・・・・誰か居るのか?」

 

「ああ。お前の隠し事に敏感な女がな・・・・・そうだろう?ロキ?」

 

「っ!?」

 

 

「・・・・・・いやあ。やっぱりジークにはお見通しやな。まあリヴェリアがこんな遅くに出掛けたら変だと思って跡をつけるのは当然やろう?」

 

 

「まあお前なら当然の疑いだな」

 

 

リヴェリアが一人で来たつもりだろうと思うが、残念ながらレンガの壁の後ろにロキが隠れている事に気付いていた。まあロキの言い分も確かである。こんな遅くに副団長でもあるリヴェリアが一人で外出など何かがあると誰もが思うだろう。ロキの疑いは間違っていなかった

 

ロキはリヴェリアの主神、ここまで来たからには彼女にも真実を通達する

 

 

「ウチにも聞かせてくれへんか?ウチもどうしても真実を知りたいんや。甥っ子がなぜモンスターに変身したのか、それもあの世界三大クエストの最後のモンスターである黒竜に、なんであのモンスターに変身できたんや?」

 

「すまないがロキにも、説明してくれないか?」

 

 

「そうだな・・・・・・だがその前に、隠れてないで出てこい。もう俺もわかっているからわざわざ隠れて盗み聞きする必要はないぞ」

 

 

「だよね。うん。わかっていたよ」

 

「いやあ〜ごめんね。どうしても君が一人になりたいなんて、嘘だと思えてね」

 

『申し訳ありません。どうしても心配なもので』

 

「ジーク?」

 

 

「ドチビ!?ヘルメス!?」

 

「水の大精霊のウンディーネに!?・・・・・竜女!?」

 

 

「別に俺は密会をするだけであって、怪しい真似をするわけではない。ウィーネもフードを被れ。外の者に見られる」

 

 

どうせ俺の身を案じて追いかけるとすぐにわかった。ヘスティアとヘルメスとウンディーネはともかく、まさかウィーネまで外に出るとは思いもしなかった。もしも外の誰かに見られたらまずいと、フードを被せて顔を隠す。ロキもリヴェリアももう驚きはしないだろう。喋るモンスターが居るなど、特にリヴェリアはエルグリシ族を知るハイエルフであるため、喋るモンスターなど彼女からすれば珍しくないと。攻撃はしてこない

 

 

「ホンマに喋っとる・・・・」

 

「まさかここオラリオのダンジョンで喋るモンスターが居るとはな」

 

 

「ここまで来たら仕方ない、ロキ。お前に会わせたい二人がいる」

 

 

「ん?ウチに会わせたい二人?」

 

 

「マジックアイテム越しだがな。ウンディーネ」

 

『はい。ロキ様。こちらを』

 

 

「ん?」

 

 

ウンディーネは手元に大きな水晶をロキの前に出す。ロキはその水晶に顔を近づける。するとその水晶からある人物が浮かび出る

 

 

『千年ぶりだな。ピエロ娘』

 

『お久しぶりです。ロキ。まさか元気にしていたようで私はとても不愉快です』

 

 

「げ!?眼帯親父!?ヘイムダル!?自分らなんでその水晶から!?」

 

 

『我々はジークの故郷の主神だ。このマジックアイテムで映像を繋いでいるだけだ』

 

『よくもジークさんに近づきましたねロキ。貴方が二年前にジークさんにした仕打ち、忘れたとは言わせませんよ』

 

 

「ヘイムダル・・・・自分と出会うなんてホンマ最悪や」

 

 

『貴方のような嘘つきにそんな事を言われるとは思いもしませんでしたよ。この嘘つき女神』

 

 

「なにを!!」

 

 

『なんですか!!』

 

 

「おい」

 

 

「っ!?」

『っ!?』

 

 

「誰が言い争いをしていいと言った?事情を聞きに来たのに、言い争いをするな。他の者に聞こえたらどうするんだ?」

 

 

「ご、ごめんや」

 


『申し訳ありません』

 

 

「まったく、お前らが仲が悪いとは聞くが、ここまでとはな」

 

「ロキとヘイムダルは物凄く仲が悪いからね」

 

「真面目なヘイムダルと不真面目なロキ。天界では喧嘩が絶えなかったからね」

 

 

ロキにオーディンとヘイムダルをオクルス越しではあるが会わせて見たが、オーディンはともかく、やはりロキとヘイムダルは仲が悪い話は本当だった。ヘイムダル本人に話して貰ったが、ロキは天界では悪戯ばかりで、ルールに厳しいヘイムダルがいつも口論になって言い争いが絶えまないと

 

だが今はそんな時間はないとさっさと話を進めたいのだが

 

 

『あらあら、随分とメンバーが揃っているわね?』

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

『その声は・・・』

 

『出てくるか』

 

『主の中からまた勝手に』

 

 

「出てきた事にもう文句はない。だが姉であるロキを目の前にしてどんな気分だ?」

 

『もちろん懐かしき姉が会えてとても嬉しいわ』

 

「そんなことを微塵も思ってない癖に」

 

 

「ヘル・・・・霊体化しているってことはホンマにジークに殺されたって言うんか?」

 

 

『そうよ。私はトール姉さんの息子と一体化になりたかったの』

 

「はあ・・・・もうそれも含めて説明する。このままだと話が進まないからな。全部説明するぞ?」

 

 

ヘスティアやヘルメスやオーディンやヘイムダルやロキが揃っていると、ヘルが俺の胸から出てきた。懐かしい面々が揃っているなら出ないわけにはいかないと姿を現したようだ。ロキは姉妹ながらヘルの能力を知っているようで、本当に俺に殺されたのだと信じられないようだが理解しているようだ

 

もう誰が出ようが話が進まないと、もうさっさと説明を始める

 

俺がヘルを殺したこと、俺が黒竜を殺したこと、俺を守るためフレイが黒竜にやられて強制送還されたこと

 

その三つの真実を実際に見ていたオーディンとヘイムダルとヘルに、その説明をロキとリヴェリアに明かす。信じるはずだと思うが、フレイが黒竜にやられた事に関してはリヴェリアは驚くだろう。リヴェリアにはフレイが強制送還されていることは知っている。だが黒竜にやられたとは言っていない。俺の故郷で名付けたファフニールにやられたとしか言っていないからな

 

その真実を聞いて、どう答えを得るか、無論その二人のみである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、説明の全てを明かした。俺の真実の全てを

 

聞くだけではな信じるに値しない事ばかりでだろう。だがその光景を見た証人も居る。ましてや神だ。疑う余地はないと思う。まあこの事実を聞く限りでは俺もクリーチャーとして扱われるだろう。半分人で半分と神と半分怪物。そんな異端とも思えるが少なくとも意思は人間である。それを受け入れるかどうかは本人次第だが

 

その事実を聞いた二人は

 

 

「ホンマに・・・・果たしたと?ヘルを殺して、黒竜を倒したと」

 

「まさか・・・フレイ様をやったのがあの黒竜だったとは」

 

 

「これが真実だ」

 

 

『ええ、私たち精霊も確認しました。あの場で』

 

『インドラやハオマやツクヨミも確認済みだ』

 

『全て事実です』

 

「僕も驚きだよ。まさかジーク君がフレイの眷属の時に、それもまだレベル3でその伝説のドラゴンを倒すなんて、そして神も殺しているなんて」

 

「世界は英雄を求めているのに、その英雄となった彼が、もう英雄になる前に過去に果たしていたなんて、俺も驚きだよ、まあその代わりにとても辛い犠牲者が出たようだけどね」

 

 

当然ロキもリヴェリアも信じられないのは当然だった

 

冒険者がいずれ倒さなくてはならない怪物。世界三大クエストの最後のモンスターであり隻眼の黒竜ファフニールを俺が先に半年前に倒していたなど、誰もが信じられない。しかもレベル3で、それで倒せたならロキとリヴェリアはカオス・ヘルツのおかげで倒せたのだとすぐに考えは付いた。フレイを殺した憎しみが憤怒を呼び、ゼウスとヘラの眷属でさえも倒せなかった黒竜を。アビリティが未知数となって一刀両断で倒したと、

 

でも奴の心臓を繰り抜いても死なず、奴の心臓であるドロップアイテムを潰しても刺しても体は消えず、食べねば死ねないのだと。そしてその心臓を食べた体はやがて奴の姿になって怪物になるのだと。まさしく感染呪いのようなものだった

 

そして14歳の時に母親である雷神トールを強制送還させて嵌めた死の女神ヘルを殺して魂に憑依されているとすぐに理解をした

 

もはや俺は人ではあらず、英雄としてはもう名乗れない。姿を見られたからには

 

 

「だからジークは黒竜に変身できたのか」

 

「あの黒い闇は、黒竜の力ってわけやな?」

 

 

「ああ、その証拠に」

 

 

ボオオオ!!

 

 

「「っ!?」」

 

 

「俺の左手から闇を、右手から黒い炎が出せるようにはなった。ただ制御ができていない。この力はあまり強力でなんでも壊してしまう。だからあまり使わないようにしている」

 

 

俺はロキとリヴェリアの前で、両手から闇と黒い炎を出した。黒竜に一度魔術武装を使ったせいで、奴の力を武装をせずに使えるようになってしまった。人間がモンスターのドロップアイテムを食うだけでモンスターの力を得ることができる。ただし意思を取られなかった場合である

 

 

「今更、モンスターになろうが俺の決断は変わらない。この喋るモンスターをダンジョンへ送り返すために、今捜索している冒険者を一掃する。もはやこの戦いは避けられないぞ?」

 

 

「どうするロキ?もうジーク君だって黒竜に変身した以上は誰も味方してくれない。イケロス・ファミリアを倒すために仕方なかったとしても」

 

「おまけにジーク君はブレイバーの目標を知っているからなのか、その市民を相手にしてでも君たちを敵にすると、覚悟はできているみたいだよ?ロキ」

 

 

「むう・・・・そうみたいやな」

 

「そのモンスターが、三日前にあの暴れていた竜女か?」

 

 

「そうだ。今は暴走をしない。あの時は宝玉を取られて暴走をしていたが、今はしっかりと自我を保っている」

 

「ジーク・・・」

 

「心配するなウィーネ。このハイエルフは他の人間とは違う。問題ない」

 

 

リヴェリアは確認のために俺の後ろに隠れているウィーネに近づく。ウィーネは恐れるがそんなに心配する必要はない。彼女は故郷の森でエルグリシ族を知っているからこそ。喋るモンスターをもう経験している彼女からすれば、恐ることはない上に手を出したりなど、凶暴でなければ問題ないからと、俺はウィーネをリヴェリアに少し前へ出す

 

 

「名前は・・・・なんと言う?」

 

 

「えっと・・・・ウィーネ」

 

 

「そうか・・・・随分と可愛らしい子供だな?」

 

 

「姿はモンスターであろうとな」

 

 

リヴェリアはゼノスであるウィーネを理解したようだ。彼女なら冷静に分析していると思っていた。あの中でフィンやガレスくらいだからな、静寂な対応するのは。これがベートやティオネやアイズなら、そうはいかなかっただろうな

 

まあ俺が今回、このようなことをする理由が掴めたのなら

 

 

「では聞くが・・・・・どうする?お前とロキは?明日の夜はもう戦いは避けらないぞ?真実を聞いたお前たちの・・・・・・・決断は?」

 

 

「ウチはな・・・・・・」

 

 

『あら姉さん。貴方はまだ決められないのね?』

 

 

「仕方ないやろ。ウチはフィンの事もあるから決められないんや。姉貴を送還させといて、ホンマに勝手な妹やな、亡霊になっただけのことはあるな」

 

 

『私は死の女神だから当然よ』

 

 

ロキはまだ決めかねない。フィンの事もあるため、いくら個人的に決断はできない。主神として眷属の裏切る行為はできないからだ。フィンは一族の再興のためにも市民のために名誉と評価が欲しい。それを理解しているからこそ、同情しても眷属であるフィンのためにも裏切ることはできなかった。裏切りの女神の癖にこんな時だけは決断できなかった

 

だが

 

 

「私はもう決めている」

 

「っ!ホンマかリヴェリア?」

 

「悪いがロキ。私も私なりの目標があるんだ。ハイエルフのプライドにしても、私の想いは決まった」

 

 

「そうか。では聞かせてくれ・・・・・・真実を聞いた上でお前の答えは?」

 

 

 

「私の答えは・・・・・・???????」

 

 

 

「「っ!?」」

 

「ホンマか!?リヴェリア!?」

 

『貴方ならそうすると思っていましたよ。アールヴのハイエルフ』

 

 

「迷いはないウンディーネ。これが私の覚悟の決断だ。ジーク」

 

「そうか・・・・なら俺に言うことはない」

 

 

リヴェリアの決断は覚悟あるものだった

 

真実を知った上での己の正しいと思う正義を彼女は貫いた。その決断にロキもヘスティアたちも驚く、彼女のやっていることはハイエルフだろうとしても。驚愕の決断だった。だが迷いはない、いつもながらの彼女の覚悟のある真っ直ぐな決意だ

 

その眼に狂いはないと、俺は何も言わない。彼女が決めたことなら

 

 

「ああもう!こうなったらウチはフィンたちやリヴェリアの好きにさせるで!これからどうするか個人で決めさせる!」

 

 

「ロキ・・・」

 

「いいのかい?」

 

『かなりのファミリア問題になるわよ?姉さん』

 

 

「もうこうなったからには仕方あらへん、リヴェリアにとってはフレイのためにしたいことやろうし、それがリヴェリアの願いなら主神として望ませるべきや。ジークと関係を持った以上はこうなるだろうと思っていたしな」

 

 

ロキも決断した。

 

リヴェリアの決断により、もはや個人の正しいと思う選択をさせるべきだと。ここから先は個人で動けと、主神として眷属の望むままにさせることにした。その後にファミリア内で言い争う問題になるが、それでもリヴェリアが望むことならと。ロキもリヴェリアの好きにさせた

 

 

「お前達二人の固い意志はわかった。では明日の夜に」

 

 

「ああ」

 

「フィンには悪いけどな・・・まあジークなら穏便に行くやろうしな、でもベートは本気やで?」

 

 

「ベートとティオネとアイズは絶対に戦うことは決まっている。アイズは俺が黒竜である以上あいつは敵だ。ベートとティオネは個人的に俺のことが嫌いだろうからな」

 

 

「ベートはともかく、ティオネはジークの言う言葉がなんでも軽蔑に聞こえるのか、自分をすぐ恨むからな」

 

 

「あいつはあんな奴だ」

 

 

どの道フィン達と争うことは変わりない。特にアイズとベートとティオネは

 

アイズは両親の敵である黒竜に復讐するのがの目的、だが俺が先に果たしてしまい。そして奴に変身している以上は俺が隻眼の黒竜の新たな後継者でありその者である。俺が隻眼の黒竜ファフニールに変身できる以上は俺が黒竜であり、俺はアイズと争うが運命。

 

ベートは、やっとの思いで俺と戦える。俺はあいつのことはただの対抗者として思っておらず、俺を比較に対象にしているのだけはわかっている。あいつは俺をライバル視しているのか、俺に勝って自分が強者だと名乗りたいようだ。別に俺よりも強い奴は居ると言うのに、なぜか俺を集中に狙ってくる。俺は別にベートを比較にも対象をしていないと言うのに、だから明日の夜で決着をつける。どっちが弱者か強者などどうでもいい。俺の邪魔をされる前に潰すと。俺は一番面倒な存在を片付ける方を優先している

 

そしてティオネは個人的に俺のことは嫌いだろう。二年前からそうなのだが、とことん俺が気に食わない。その理由は俺の器用さや偉そうな物言いが聞いててイラつくのだろう。お淑やかになろうとフィンに好かれるために努力はしているのだが、心はとても狭く短期で、すぐ少しでも気に食わないことをすると自我を起こして怒る癖がある。言うなら不器用な女でもある。まあアマゾネスだから野蛮な女で当然なのだが。自分の不器用を超えて器用にこなしてくきた俺にいつも彼女は俺を嫌う。今回も俺が身勝手な行動に仲間でもないのに首を突っ込んでくるだろう。特に今回は罪人である以上は戦う理由は揃っている。だから彼女とも必ず戦うと想定している

 

 

と言うように、個人的な理由に俺を狙う者がいる以上は、フィン達を争うのが運命だった

 

 

「それじゃあウチらは戻るで、行くでリヴェリア。またやヘル。今度姉貴を送還させた話の動機、聞かせて貰うで」

 

「ああ。ジーク・・・・また明日の夜に」

 

 

「ああ。明日の夜に」

 

『ええ、その時が来たらね、姉さん』

 

 

答えは得たようで、あとは明日の夜にと。これからどうするのか決めたようで、もう聞くことはないと自分の陣地へと戻っていくロキとリヴェリア、その際ロキがヘルにおふくろを送還させた詳しい話を今度聞かせろと、姉妹ながら姉になぜそんなことをしたのか知りたいようだった

 

 

「まさか・・ロキが出てくるなんてね」

 

「心配のようだね。甥っ子であるジーク君のことが」

 

 

「叔母であるからであろうな。ヘル。お前も戻れ。これ以上変なことをするな」

 

『わかったわ。私も姉さんに会って話してみたかったしね』

 

 

ロキが帰ったことでヘルは俺の魂へと戻る。ロキはヘルがなぜおふくろを送還させたのか、理由も言ったのにそれでも詳しく聞こうとしていた。やはりロキとヘルの仲は酷く、例え姉妹であろうとあまりに分かり合えない様子だった。特におふくろを強制送還させたことに対しては酷く。だがそれでももうこうなったからには眷属の個人でどうするか決断させると、主神としての指示はなく、眷属の望むままにさせると、フィン達が望むままに見届けると決断した

 

リヴェリアはフレイの強制送還された真実を聞いて、決心は固まったようで、もう迷うことはなく自分の意志でこれからをどうするのかを決断した

 

その決断はあまりに驚くことだが

 

それでも自分が正しいと思う道を貫いた。フレイの最後を聞いてハイエルフとしてのプライドなのか、エルフ主神の願いを叶えるためなのか。彼女は自分のファミリアをも壊滅させない方法で、彼女の明日の夜で大きな行動へと突っ走ることになる

 

 

「ジーク君?いいのかい?」

 

 

「彼女が俺を好いている理由なのか、詳しくは聞かないとわからない。だが彼女はもう決めたことだ。なんにしてもこれで変に気遣いも要らんだろう」

 

 

「アイズちゃんはどうかな?」

 

『お母さんを黒竜に殺されたのですから、主を徹底的に追い詰めて殺しに来るでしょうね』

 

 

「あいつは俺が人間でもあることは自覚しているから、人殺しができないあいつに、そんなことをできるとは思えない。今頃悩んでいるだろう」

 

 

リヴェリアは決心が付いたが、アイズは今でも決心はついていないだろう。だがリヴェリアが流石にアイズの事情を知っていると思うから話すとは思うが、果たして俺の敵になるのかはわからない。だが敵になるのであれば、アイズでも俺は容赦しない。ウィーネと言う存在を見ても理解できるか、真実を見て理解できるかどうかはあいつ次第である

 

 

「戻るぞ。もう就寝した方がいい。明日はかなり忙しくなるからな。なにせ・・・・ここで戦争を引き起こすんだからな」

 

 

「物騒なことを言わないでって・・・・言いたいけど、形としてはそうなんだよね」

 

「ああ。もう英雄は己の正義で戦いを始め、人の差別と立ち向かう。これが人間同士の戦いだ」

 

『人はいつの時代もそうなのですね。我々精霊からすれば不服です。主は人のために幾度も頑張ってきたと言うのに、正体を知った途端この仕打ちですか、やはり私は主やその友人やフレイ様以外は信用できません』

 

 

「仕方ないウンディーネ。これが人間なのだ。言葉で分かり合えないなら戦って勝敗を決める。いつも俺たちはその連鎖だ。いつの時代もな」

 

 

そして俺たちは明日に備えて早めに休んだ方がいいと教会の中に再度戻る

 

まあ当然シル達が一人で居たわけじゃあないことを説明を求められた、当然正直に話して、再度作戦を変更すると伝えた

 

もはや俺はかつての英雄雷帝ではない。再度スキールニルに戻り、人間の差別を乗り越えて意志を宿るモンスター達をダンジョンへ返すための戦争を仲間と共に引き起こす戦争を始めようとしていた。やり方はほぼイヴィルスと変わらない。だが誰がなんと言うおうと、俺がモンスターに変身した以上は引き返せない。それが黒竜であるならば、黒竜やモンスターは人類の敵、ならば俺はここで消されるしか道がない。それなら生き残るために手段は選んでられないと戦う道を選んだ

 

これが悪なのか、善なのか、それを決めるのはもう己のみ。己が正しいと思う道をたどりつくしかない。善か悪かは神が決めるものでもなく、況してや多くの人間達ではない。決めるのは己自身、そしてそれが本当に正しいかどうかを証明するためには勝って正しくするしかない。例えその真実が受け入れ難いにしても

 

 

もはや善と悪をハッキリするために、人は争い。勝敗で結果を決める

 

いつの時代もこれでハッキリしていた

 

それを俺たちで引き起こすんだ。ベル達やヘスティアでさえも考えらない事態となっただろう。それだけいつも問題と言うのは出てくる。人が想像つかない程に

 

 

明日の夜、俺たちヘスティア・ファミリアが勝つか、それともフィン達ロキ・ファミリアが勝つか、

 

明日の夜にて、幕を切って落とされる

 

 

 

 

 

 

 




まあ、今回だけ二回分更新します


二つ更新していますが、話が長いためです




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