ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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それぞれの正義 譲れない戦い

一方、ガネーシャ・ファミリアを撃退している春姫達は

 

 

「はあ・・・はあ・・・・あとはあんただけだぞ?アンクーシャ」

 

 

「はあ・・・まさか・・・私たちがここまで追い詰められるとはな。侮っていた」

 

 

苦戦はしたものの、ガネーシャ・ファミリアの眷属であるイルダ達は倒して道端に転がっている。あとはシャクティしか立ち上がっている敵は居ない。だがこちらも負傷している者が居る。ヘルメス・ファミリアであるファルガーとサミラとアイシャしか今地に立ち上がっている者はこちらにしか居ない。もうその他の負傷者は下がらせてこの場から離脱して薬舗の方へ行っている

 

 

「はあ・・・はあ・・・あとはアンクーシャだけなんだが」

 

「ああ・・・もうこちらもかなり限界だぞ?」

 

「なんだいサミラ?もう終わりかい?だけど・・・・私もレベルブーストが切れたから大ピンチなのは変わりないけどね」

 

 

「なら・・・形成逆転させて貰うぞ?」

 

 

「く!」

 

 

あとはシャクティだけだったのだが、ここで春姫に掛けてくれたレベルブーストの妖力が切れてしまい。オーラが消えてしまい。アイシャは元のレベルに戻る。レベル3二人とレベル4の一人だけでは、シャクティであるレベル5に勝てない

 

このままやられてしまうと思っていたのだが

 

 

「皆さん!大丈夫です!あの人が加勢に間に合いました!」

 

 

「は?春姫?何を言って?」

 

「いや・・・・・」

 

「ああ。来たみたいだね。おかげで助かったよ」

 

「え?アイシャ?何を言って・・・・・あ」

 

 

「ん?何を言っている?」

 

 

突然春姫が戦わなくてもいいと、助っ人が来たと発声する。その言葉に初めにサミラは理解できなかったが、それを聞いてアイシャとファルガーは納得して構えを解く、サミラももう一度シャクティを見たが、何かを察したのか構えを解いた

 

シャクティはなぜ春姫がそんなことを言うのか理解できない。少なくとも前方には新たな敵なんて見えないのだが

 

 

「おい」

 

 

「っ!?この声は・・・・まさか!?」

 

 

シャクティの後ろから突然聞いたことのある声と、かつて一度だけ感じたことのある気配を察知した。シャクティの真後ろに春姫の加勢が居たのだ。それも彼女が気づかずに背後を取った。その背後に居たのは

 

 

「ジーク!!?」

 

 

「シャクティ、邪魔だ」

 

 

「ぐ!?ぐわああああああ!!!」

 

 

真後ろにいたのは俺ジーク・フリードである。もうある程度道端に居た冒険者を片付けて、ドルムルとルヴィスが足止めしてくれたおかげでなんとか作戦通りにここまで助けに来れた。春姫を助けることは予定していたのだ。だから片付けた連中の後にシャクティを抑えると決めていた

 

そしてシャクティは俺に横蹴りをされて、横の建物の壁までも壊れて室内まで吹き飛ばされ、建物内で口から血を吐いて気絶して倒れた。これでガネーシャ・ファミリアは全員無力化された

 

 

「無事か?全員?」

 

 

「助かったよ。あんたが来てくれて」

 

「ジークさんも無事だったんですね」

 

 

「ああ。サミラもファルガーも協力感謝する」

 

 

「なに、あたしらはあんたに借りがあるからね」

 

「俺たちも・・・その分の金も忘れないでくれよ」

 

 

「ああ、もう休め。ここまでしてくれれば十分だ」

 

 

「そうさせて貰うよ」

 

「ああ。一度ルルネ達のところへ戻る」

 

 

サミラとファルガーは負傷した仲間をも心配もあって、少し休憩のためにも仲間の元へ戻る。アイシャはまだ体力があるのかここへ残る。春姫はすぐに俺が寄越したメガポーションをアイシャに渡した

 

 

「アイシャさん」

 

「ああ、ありがとう」

 

 

「礼を言うアイシャ。俺の依頼に引き受けたことを。もちろん金はしっかりと払う」

 

 

「私は金なんかよりも、あんたを抱きたいんだけどね?」

 

「アイシャさん!?流石にそれは・・・」

 

 

「そう言うと思った。まあ・・・俺に性欲があればいいのだが、そんな気持ちは生まれてから一回も無いからなんとも言えないな」

 

 

「なあいいだろう?ジーク・フリード?」

 

「ダメですよ!アイシャさん!」

 

 

アイシャが協力したのはヘルメス・ファミリアの団員としての仕事を全うしたに過ぎないかもしれないが、本音を言えば俺の体を味わってみたいと性交を望む。彼女は戦闘娼婦の筆頭でもあるのだから、快楽や性欲は欲しい。だから元は英雄であり黒竜を倒した俺の体を味わってみたいと、俺の顔の近くの前まで近づいてくる。エギルの髪飾りを被って青い竜の眼をしているから少しは恐れると思っていたが、やはりエギルの髪飾りは仲間に恐怖を与えることはできないようだ

 

だが

 

 

『アイシャさん!ジークに近づくのを禁止です!』

 

『ベルカ氏!それ以上はいけません!!』

 

 

「シルとエイナがこう言っているが?」

 

 

「おやおや、ジーク・フリードはあの店員やギルド職員に好かれているんだね?」

 

 

「あの二人は俺に恋をしているからな」

 

 

「流石はシル様とエイナ様です」

 

 

オクルス越しでシルとエイナが俺に近づくと大きなこえで注意してくる。オクルスでシルが連絡してくると言うことは、上手くヘスティア達の所へ着いたようだ。シルにその後はヘスティア達の支援を手伝うように頼んでおいた。上手く辿り着いてよかったと思うが、あいにく今はそんなことを考えている暇もなく、シルとエイナが俺に近づくなとアイシャに抗議をしてくる

 

更に

 

 

「それ以上、ジークさんに近づくな!彼に淫らなことをすることは許さない!」

 

「おやおや誰かと思えば、あの店員エルフか」

 

 

「リュー。いきなり出てきて第一声がそれか?」

 

 

「この人には伴侶の先約がある。この人に触れるのはやめて貰おう」

 

『え!?リュー・・・・そんな大胆なことを・・・私にさせようとするなんて』

 

『ちょ!?リオン氏!?伴侶って・・・ジークにそんな人が!?』

 

「ちなみに言っておきますが、別にシルやチュールさんのことを言っている訳じゃあないですよ」

 

『え!?リュー!?どういうことよ!?』

 

『それはどういうことですか!?』

 

 

「あまり声を出さないで貰えるか?俺の居場所がわかってしまうんだが」

 

 

突然俺の横からリューが現れ、俺に抱きついたアイシャを無理に剥がして俺から距離を置かせる。俺に性交させないのか、獣が威嚇するような顔でアイシャを睨むリュー、俺に伴侶の先約があると言うが、まさかとは思うが、あいつのことを言っているのではないのかと思ってしまうが、エルフでもあるリューのことだから、そう言うことだろうと考えたことを忘れる。だがリューがここに居るとなれば

 

 

「ジークさん!」

 

『主!ご無事で!』

 

「ジークっち!無事なんだな!」

 

「む・・・・・あのとてつもない覇気のある男、あれがフェルズの言っていたジーク・フリードか」

 

 

「ベル達も来たか、無事にアステリオスと合流できたんだな」

 

 

「うお!?そのリザードマンはともかく!そのデカイ黒いミノタウロスはなんだ!?」

 

「それがアステリオス様ですか!?」

 

「はい。なんとか合流して協力を頼みました」

 

 

「戦力がこれで大幅に増加したな」

 

 

ベル達が俺と春姫とアイシャの所へ合流した。そしてゼノス最強とリドが言っていた黒いミノタウロスであるアステリオスと協力を頼んでここまで連れて来れたようだ。あまりのデカさに春姫とアイシャは

 

 

「ジーク・フリードだ。協力に感謝する。アステリオス」

 

「うむ、自分の名はアステリオス。同胞を守るために協力しよう」

 

「話がわかる相手でよかった。フィン達ならお前のことは即排除だからな」

 

「ですね・・・・」

 

「ベルは仲間だ。それと相手は殺さない。できるな?」

 

「うむ。最善は尽くそう」

 

 

これでフィン達に負けない戦力を手にしたと。やっと対等になった。このアステリオスと言う黒いミノタウロス。どこの冒険者から奪ったのかは知らないが魔剣を背負っている。リド達を明らかに気配が全然違う。おそらくは階層主程と同じ強いモンスターと認識している。これで少しは戦況も変わると思った

 

すると、

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

『主!この魔力はノームからです!』

 

「グロスの気配がするぜ!」

 

「ジークさん!ヴェルフ達の方は!」

 

 

「この魔力・・・・ガレスか!流石ロキ・ファミリアの盾、ノームも居ると言うのに一人でヴェルフ達を相手にしているようだな」

 

 

突然西の方で戦っているかのような衝撃音と爆発音が聞こえた。間違いなくフェルズとラウラ達をダンジョンへ避難させるために護衛をさせたヴェルフ達が、ガレスに挑んでいるようだ。ガレスは防御力は異常に強く。爆破された程度では倒れない程、奴の体は鉄よりも頑丈な体をしている。スキルも関係しているが、あちらにはヴェルフの魔剣やノームも居るから問題ないと思うが、今は俺たちの仕事を全うするまでだと。このままロキ・ファミリアを蹴散らす方向で向かう

 

 

「ヴェルフ達に任せるしかない。気配からしてフェルズ達は先に扉に向かわせているようだ。俺たちはこれから予定通りロキ・ファミリアを蹴散らす」

 

「アンドロメダがもう撹乱を開始しているはずです」

 

「ああ。ほぼ無力化しているだろうが、それでも倒さねば突破できん」

 

 

ヴェルフ達に加勢は付けなかった。俺は仲間を信じてガレスを止めてくれることを信じて、あいつらの力を今は当てにさせて貰うと、予定通りこのままロキ・ファミリアを排除すると、アーニャ達は東を襲っているはずだと。すぐに俺たちも加勢にするためにもロキ・ファミリアの眷属を叩くのだが

 

 

ここで遂にある人物が出てきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけた・・・・・ジーク」

 

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

『主!』

 

「アイズさん・・・・・」

 

 

「ほう・・・・・ベートが先に来ると思ったが、俺の所へ辿り着いたのはお前が初めてだぞ。アイズ」

 

 

遂にロキ・ファミリアのエースにしてお姫様でもある。アイズ・ヴァレンシュタインがやってきた。

 

もちろんここに来ることはわかっていた。だから俺は別に驚かない。彼女が一人でここに辿り着くのも。必ず俺の所に来ることも全て理解している。だがベートが先だと思っていたのだがな。今頃あいつはまだ俺を見つけられないのだろうか、ティオネも出て来ないことに不自然に感じる。あいつも護衛で忙しいのだと予想する

 

アイズが出てきたことに驚くことなく、俺は全員よりも一歩先に出てアイズに問いかける

 

 

「ここまで来たはいいが、いい加減決心は付いたと言うことでいいんだな?」

 

 

「ジーク・・・・私はまだ貴方があの黒竜に変身した理由をまだ聞いていない」

 

 

「まだ動機を聞かねば動けないか?本当に物分かりの無い女だ。正直お前がここまでバカだとは思わなかった。目の前に両親の仇が居るのに、人間の姿をした俺では斬れないのか?」

 

 

「目の前に両親の仇!?・・・・てことは・・・ジークは」

 

 

「半分は隻眼の黒竜ファフニールだ。お前の両親を殺したドラゴンでもあり、その竜となった、ただの人型のモンスターだ。俺の眼を見ればわかるだろう?奴と同じ眼をしているだろう?」

 

 

「そんな・・・・・なんで・・・・」

 

 

「聞きたいなら言おう。俺が半年前に黒竜を倒した。そしてその後俺は黒竜のドロップアイテムを食べて黒竜に変身することができるようになった。だから俺が黒竜でもあるってことはわかっておけ、それだけで俺がお前と戦う理由があるだろう?」

 

 

「ジークが・・・・黒竜を倒した!?」

 

 

「ああ。だからお前の復讐は終わった・・・・・と言いたいがまだ奴は生きている。ドロップアイテムを食べた俺こそ第二の黒竜ファフニールだ。実質お前の目的は目の前に居る。さぁどうする?」

 

 

「私は・・・・私は・・・・」

 

 

簡単な理由を言ったにも関わらず、未だにアイズは俺と戦うのか決められない。これだけの理由を言ってまだ決心が付けないとは、いきなりの真実に戸惑ったのか、これからどうするのか、フィンに指示されているはずなのに行動に移さない

 

もう待ってられないと。俺は時間の無駄に過ぎないと後ろを振り向いてアイズから去る

 

 

「もういい。ベル、リュー、サラマンダー、リド、アステリオス、アイズを片付けろ。もう話にならん。決められない優柔不断にもう話すことはない」

 

 

「あ、待って!ジーク!・・・・・・くっ!?」

 

 

「ごめんなさいアイズさん!」

 

「剣姫、これ以上ジークさんの所には行かせません!」

 

「すまねえ・・・アイズっちとやら、相手を頼むぜ」

 

「地上の人間。これ以上はやらせん」

 

『主に危害を加えるなら、容赦はせんぞ小娘!』

 

 

「ベル・・エルフに・・・・喋るリザードマンに・・・黒いミノタウロスに・・・火の精霊サラマンダー」

 

 

「決して殺すなよ」

 

 

「待って!ジーク!・・・く!」

 

 

「アイズさん!申し訳ないですけど、僕らが相手です!」

 

 

俺は当初の予定通りにベル達にアイズの相手をして貰う。これだけ真実を伝えても尚受け入れることができずに、これからの行動に移せないのであれば、もはや時間の無駄だと、ベル達にアイズを撃退するように指示を入れる

 

もう無駄だった。むしろ相手にもならない。敵ですらも、人であっても敵か味方もそんな簡単なことを決められない者など。価値のないと等しい

 

アイズは敵であると認識していた俺は。心底アイズには価値がないと認識した。これがアルバートとアリアの子だとは思えんほどに、所詮世間知らずの小娘に過ぎなかった

 

 

「いいのかい?剣姫を放っておいて?」

 

 

「ここに来て戦う覚悟もなく、己で決断できない小娘にいちいち構ってなどいられるか、アイシャ。まだ体力があるな?付き合って貰うぞ?」

 

 

「ああ、私はまだ十分やれるさ、それでどうする?」

 

「アーニャ様達の援護・・・・ですかね?」

 

 

「アーニャ達やリリルカ達はロキ・ファミリアの足止めと撹乱をしている。アイズはベル達に任せて、俺達は引き続きロキ・ファミリアを蹴散らす。春姫とアイシャは今から俺と共に行動して貰う」

 

 

アイズの足止めはベル達に任せる。

 

アイズでもサラマンダーや他のミノタウロスとは格が違うアステリオスにリドやベルやリューを相手にするのであれば手古摺るはずだと。いくらレベル6でアリアの風を持ったとしても不利があるはずだと。アイズでも不利な相手をさせる。

 

俺はアイシャと春姫を連れて、このままロキ・ファミリアを殲滅する。幹部であるガレスはヴェルフ達が抑えているなら、俺たちはその部下であるラウル達を撃退しようと動く

 

 

 

だがここで、緊急事態が発生した

 

 

『ジーク・フリード!大変だ!』

 

 

「っ!?フェルズ様!?」

 

「どうしたフェルズ?何かあったか?」

 

 

突然オクルスからフェルズから緊急連絡が入る。

 

なにやら焦ったような声で俺達に連絡してきた。何かトラブルでもあったのではないのかと。俺は落ち着いて話をフェルズから聞く。それでフェルズからの連絡はとんでもない報告を受ける

 

それは

 

 

 

 

『ウィーネが!西広場で逸れた!助けに行ってくれ!』

 

 

「「っ!?」」

 

「ウィーネ様が!?」

 

 

『西広場でエルガルムの一撃の衝撃で吹っ飛ばされて、ウィーネだけがどこかの建物の中に入ってしまったのか、逸れてしまった。すぐに救援に行ってくれ!』

 

 

「く!ガレス・・・・相変わらずの力の加減なしめ!」

 

 

フェルズからウィーネと逸れたと救援要請を受ける

 

西広場は今はヴェルフ達がガレスと戦っている。フェルズからガレスの振りかざした衝撃で一度吹っ飛ばされて居なくなったと報告を聞いた。おそらくウィーネだけがどこか皆とは別の場所へ吹っ飛んだのか、そのままじっとするわけにもいかず、仲間と逸れた状態で進んでいた道も分からずに路頭に迷っていると推測する

 

ガレスはドワーフとしてあまり考えて行動をしないとは聞くが、まさか地面や建物の損害を考えずにやるとは、俺を相手に手加減は抜きと言うことだと、ガレスはとうに覚悟を決めているのだと理解した

 

 

「予定変更だ。今すぐウィーネを助けに行く」

 

「はい!今行きましょう!」

 

「だが、あの竜女はどこに?」

 

「大丈夫だ。エイナ?シル?聞こえるか?」

 

 

『うん!聞いたよ!』

 

『フェルズ様から連絡は行き届いているよ!ウィーネ氏は・・・・・・南通りに居るよ!』

 

 

「アステリオスが開けた地下の扉とは逆の方向に行っている。急ぐぞ!ウィーネを助けに行く!」

 

 

すぐに俺たちはウィーネを助けるために向かう

 

居場所はエイナとシルが探知地図のマジックアイテム『アトラス』を見て、全員の現在位置が地図に名前が書かれている便利な道具で把握してあるため、誰がどこに居るのか、すぐにわかる。ウィーネは南通りに居ると、やはり路頭に迷っているとわかり

 

すぐに現場に向かうのだが

 

 

『っ!?これは!?』

 

『ジーク!?急いで!!緊急事態だよ!!!』

 

 

「っ!どうした?エイナ?シル?」

 

 

『ウィーネが居る南通りにアマゾンとヨルムンガンドが居る!!』

 

 

「「え!?」」

 

「なに!・・・っ!・・・・確かにティオナとティオネの魔力を感じる」

 

 

ウィーネが路頭に迷っている場所にティオナとティオネが近くに居ると報告を受ける

 

エイナとシルからその報告を聞いて、俺はそのウィーネと気配が感じると同時にティオネとティオナの魔力を感知する。まさかあいつら二人がそんな妙な場所で捜索しているとは思わなかった。

 

しかも二人はあまりに冷静に対応する行動もしないため、すぐにモンスターを見つけたら倒しに行く単細胞だ。ロキの眷属はほぼフィンやリヴェリアやレフィーヤ以外はほぼ単純な奴らばかりで面倒だったと思っていたことを団員だった頃に思い出す

 

そんなことを考えてしまう程、ウィーネを目撃したら間違いなく速攻で殺しにかかると

 

 

「急ぐぞ!」

 

「はい!」

「あいよ!」

 

 

俺たちは急いでウィーネの所へ向かう

 

街を捜索している冒険者の目的は俺だけでなく、ウィーネ達ゼノスも含まれている。フィン達が俺をターゲットにしているだけであって、その他の派閥の冒険者は地上に出没したゼノス達モンスターを排除することもギルドに含まれている。

 

だから他の冒険者に見つかる前に、早くウィーネを保護しに行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな・・・どこに・・・・」

 

 

ウィーネはガレスの一撃による衝撃で、一人だけ地下水路に吹き飛ばされて仲間と逸れたまま路頭に迷っていた。もちろん地図も持っていないからどこへ行ったらいいかは分からないが、でもその場に止まるわけにもいかずに、ひとまず地下水を通って地上に出る入り口を探している

 

 

「あ、あそこに」

 

 

地上に続く入り口を見つけ、ひとまず俺たちが助けに来ることを信じて、地上に出て見つけて貰おうと地上に出る。危険ではあるが、俺の気配感知を信じて地上に出るしかなかった

 

建物の裏に隠れながら移動し続ける

 

 

すると

 

 

 

 

 

 

「ウィーネ!」

 

 

「ウィーネ様!」

 

「見つけた!」

 

 

「ジーク!春姫!アイシャ!」

 

 

なんとかすぐに俺たちがウィーネを見つける

 

上手く俺が気配感知をして見つけることができた。まだ誰も目撃されずになんとか保護することができた。一人で心細かったのか、泣きながら俺に抱きついてきた

 

 

「ジーク!良かった!また会えて!」

 

 

「助けに行くと言ったろ。しっかりと」

 

「私たちが居るから、もう大丈夫ですよ」

 

 

「うん!うん!」

 

 

ウィーネを見つけて、すぐさまここを離れてフェルズ達と合流しようと、ウィーネを連れてまた逆の方向へと走る。かなり地下の扉とは離れてしまったが、それでもウィーネをそこへ連れて行かねばならないと。かなり遠回りになってしまったが急いで地下のクノッソスの扉へと動く

 

だが

 

 

 

 

「ジーク・・・・見つけた」

 

 

「っ!ティオナ・・・」

 

「アマゾン!」

 

「ここでロキ・ファミリアの幹部の一人かい」

 

 

移動するはずがティオナに見つかってしまう。手にはオーダーメイドの『ウルガ』を所持している。ウィーネはともかく、俺をかなり直視している。あまりに俺がモンスターに変身したことが信じられないのか、アイズと同じく俺を倒すべきか悩んでいるようだ

 

だとするなら、次になにをしてくるかは

 

 

「ジーク・・・・本当にその子を守るためにモンスターに・・・・・黒竜に変身したの?」

 

 

「ああ。どうしても彼女を守るために黒竜に変身した。俺も彼女と同じモンスターだ。それで・・・・・お前はどうする?」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

ティオナにも俺が黒竜に変身したのかを問いかけられた

 

だから素直に答えてどうするのかと俺が逆に問いかけた。俺はアイズのように戦うのか止めるのか、決断をさせるために問う。ティオナのことだから単純に俺でも倒すと決断するだろうと思っていた。かつては元団員だったと言えど、半分がモンスターなら倒すべきだと。考えることが苦手な彼女なら

 

俺を倒すはずだと。迷うことなく戦うことを選ぶはずだと。俺は密かにグラムを手に持つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん!!やっぱり無理!!私はジークとは戦えない!」

 

 

「「え!?」」

 

「えっと・・・・戦わないの?」

 

「そうみたいだ。いいのか?フィンからどやされるぞ?」

 

 

「別にいいよ・・・・今度は・・・私はジークを信じたいから」

 

 

「ん?お前まで二年前に後悔をまだしているのか?」

 

 

「するよ!あの時は・・・私は信じていたのになにもできなかったから・・・だから私はジークと戦わない!!」

 

 

「お前が決めたことなら・・・・俺に言うことはないが、すまないな」

 

 

ティオナは決断を決めて、俺とは戦えないとウルガを地面に置いた。

 

完全にファミリアの指令無視だが、ティオナはまだ俺と戦うことに対してどうして心苦しいのか戦うことができない。二年前で未練がティオナにはまだるようで、今度はなにもできないまま終わりたくなく、今回は俺を助けるために俺を倒すことはしなかった。もう俺は別のファミリアだと言うのに、まあティオナが決めたことだから、見逃してくれたことに感謝はする

 

だが

 

 

 

 

 

「見つけたわよ!ジーク!」

 

「ティオネ!?」

 

 

 

「やはりティオナと共に行動していたか、ティオネ」

 

「ヨルムンガンド!?」

 

「ほう・・・ここで姉の方が出てきたね」

 

 

ティオナの後ろから、姉であるティオネが出てきた

 

先ほどから魔力を感知しているから出てくることは承知している。だから別に驚きはしない。両手にククリナイフでもある『ゾルアス』を手にしている。明らかに戦闘体制に入っている。戦意はあると見込んでいる

 

 

「ティオナ!目の前にジークが居るのになんで捕えないのよ!」

 

「私はジークとは戦えない!このままジークを見逃してティオネ!」

 

「は!?本気で言ってんの!?」

 

 

「ティオナやめろ。ファミリアで決めたことだ。況してやフィンに指示されたことをティオネが止めるはずがない。そうだろうティオネ?」

 

 

「まったく、ジーク!団長の指示によって私たちファミリアはその喋るモンスターは無視で、あんたを捕らえることを最優先にしているわ!大人しく投降しなさい!」

 

 

「やはりフィンは団員にウィーネ達は無視して俺を捕らえることを最優先にして指示していたか、とてもやり易いが、無論断る!俺を捕まえたきゃ力付くで捕えて見せろ!」

 

 

「あんた!こんなことしてタダで済むと思っているの!!」

 

 

「だからこちらも力付くで、自分たちの力で解決する。もはや俺は英雄でなくなったのであれば、人として扱われないのであれば、ここで生き抜くためには戦うしかない。当然だろう?」

 

 

「覚悟はできているってことでいいのね?正直・・・あんたがあの世界三大クエストの黒竜に変身したことを今でも信じられないわ」

 

 

「普通はそうだろうな。その黒竜に変身する俺に挑むのだ・・・・・覚悟を決めろ。無論手加減抜きだ」

 

 

「そう、じゃあ・・・・・・・・・・・二年前の続きだあああああああああああ!!!」

 

 

ティオネの投降要求を無視して、俺の敵対行動を認識して襲いかかってくる

 

ティオネが襲いかかることはわかっている。だから俺もグラムを出して応戦する。フィンの指示を完全に聞いてしまうティオネが、況してや想い人の指示を聞かないはずがない。ティオネは俺が黒竜に変身しようが関係なく、心底俺が嫌いなのか、個人的な理由もあり、二年前の喧嘩を再びすると言って、ティオネがゾルアスで振りかざしてくる

 

 

しかし

 

 

「ダメ!ティオネ!!」

 

「な!?く!ぐああああ!!」

 

 

「ティオナ!・・・」

 

「アマゾンがヨルムンガンドを振り返した!?」

 

 

襲いかかってきたティオネを、ティオナがオルガで跳ね返した。

 

ティオナはそのまま後ろの建物の壁にぶつかって建物の内まで吹っ飛んだ。まさかティオナが姉であるティオネを武器で跳ね返すとは、ティオネのことだからあの程度では軽傷に過ぎないと思うが、仮にも仲間を跳ね返すとは

 

 

「ジーク!行って!」

 

 

「いいのか?相手はお前の仲間で姉だぞ」

 

 

「私はあの時!ジークを助けられなかった!今度こそ助けるためにここは私が抑える!フィンに怒られても構わない!さあ行って!」

 

 

「感謝するが、フィンの説教は助けてやれないからな!行くぞ!」

 

「いいんですか?」

 

「仕方あるまい。ティオナが決めたことだ」

 

「私は姉妹同士の戦いを見たいけどね、でも私は春姫の護衛役だからな」

 

「ウィーネ、少し走る。行けるか?」

 

「うん!行く!」

 

 

「よし、頼むぞティオナ!」

 

 

「うん!任せて!」

 

 

そうしてティオナにティオネを抑えて貰って、ウィーネを連れてこの区を離脱する。ティオナはこんなことをしたら当然フィンに怒られるのは確実だが、本人が今度は俺に報いたと、自分で決めたことに俺があれこれと言う事はなく、ここは感謝をしてこの場を抑えてもらう

 

そして建物内まで吹っ飛んだティオネが建物の中から出てくる

 

 

「ティオナ!あんたよくも吹き飛ばしてくれたわね!」

 

「ごめんティオネ。どうしても・・・・私はジークを助けたいの!」

 

「そう・・・そういえばあんたはあいつが好きだったわね。それじゃあ・・・・・あんたをぶっ殺してジークを追いかける!!」

 

「そんなことは・・・・・させない!!」

 

 

ティオナがやっていることは完全にファミリアの裏切り行為だ。

 

でも、彼女が決心した事。アイズと違って、俺の敵になるか味方になるかを。そんな簡単なことを彼女はあっさりと決めた。だがあまりに無謀で、自分の立場を危うくする行為だ。でも彼女が決めたことを咎める気はない上に、彼女が力を貸してくれるのはありがたい。だから今は彼女の力に甘んじるしかない。

 

ここでティオネを相手にしても構わないが、最優先はウィーネを安全な場所へ移動することが先だ。俺の身の安全は正直どうでもいい。オラリオに居る以上は誰に会っても狙われるんだ。自分のことは自分でなんとかできるからいいとして、それよりもウィーネをクノッソスの扉へ送ることを最優先して

 

ティオネは相手が妹でも、今まで姉妹同士で戦ってきたからなのか、今更姉妹同士で争うことに拒みはなく、敵になるならフィンの敵になるなら容赦はしないと。ティオネは妹でも叩き潰しに行き、終わり次第俺を追いかける

 

ティオネとティオナは建物の被害を考えることなく、姉妹で激突し合うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大変です!ティオナさんがティオネさんを攻撃しています!」

 

「は!?なんでティオナがティオネを攻撃するのよ!?」

 

「ティオナはジークが好きだから、僕の命令が聞けずにジークの味方をしているんだろうな。まあ・・・・彼女のことだからそうするだろうと思った」

 

 

もちろん中央塔を総本部にして守備をしているフィン達にはティオナとティオネが仲間同士で殺し合っていることをしっかりと目撃している

 

アキたちは驚いてはいるが、フィンは全然驚いていない。ティオナは俺が好きだと言うことを知っているようで、本人である俺は知りはしないが、それでも二年前の疑い事件の時に力になれなかった分を今返そうと。仲間であるティオネを力付くで止めようとしていると。その後のことを考えずに行動しているのか、なんとかなると軽い考えをしているとフィンは思っていた

 

更に

 

 

「大変です団長!アイズさんが!」

 

「モンスター二体とリトル・ルーキーと謎のエルフと火の精霊サラマンダーの五人に囲まれています!」

 

「く!誰か加勢に行って貰いたいが・・・・ジークの仲間に足止めされている!」

 

 

アイズは今も俺のところへ追いかけることもできずに、未だベルたちに足止めされているのか、いくらアイズの風の守りでもどうしようもならないと。完全に追い込まれているとの報告を受ける。無論アイズの加勢は誰も行けない。俺の仲間が全員を足止めされていて、アイズの加勢は誰もこれないと通達を聞いた

 

だが

 

 

「団長!ラウル達が!」

 

「っ!まさか!」

 

 

突然アキからラウルの目撃を確認した。ラウル達は西方面へと向かっていたのだが、なぜか突然アイズが居ると思われる場所へと走っていた。

 

どうしてガレスの加勢へと行ったはずのラウル達がそこへ辿り着くのかは知らないが、アイズの加勢は問題ないとフィンはその場の状況に任せることとなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

「アイズさん!?なにしてるんすか!?どうしてリトル・ルーキーと戦ってるんすか!?」

 

「ラウル!?」

 

 

「あれは!?」

 

「ハイ・ノービス!?」

 

『ラウル・ノールドか、確か主のかつての先輩と言うヒューマンか!』

 

 

ガレスの加勢へと走っていたラウル達が、突然アイズを追い込んでいるベルたちの前に現れた。確かにラウル達はガレスの方へと走っていたのだが、なぜかガレスの方ではなく、ベル達の所へと辿り着いてしまった

 

なぜここに来たのか、アイズはラウルに聞く

 

 

「ラウルさん!どうしてここに!?」

 

「途中でジークを見つけて追いかけてきたんすけど、そしたらあちらこちらにジークの影のようなものを見つけて追いかけて走り続けたら、流れるようにここに来てしまったす」

 

 

「まさかラウルさんは・・・」

 

『リリルカの幻影アイテムに掛けられて、運悪くここに来てしまったようだな』

 

 

リリルカに幻覚を見るマジックアイテムの粉を西や東の通りに移動する度にばら撒いておいたのだ。俺は前日にベートに俺と戦えるチャンスだと言ったが、変なタイミングで挑まれるのでは面倒だと。トラブルの最中に勝負に挑まれないように、ベート用にその粉と同時に俺がよく自分に使う香水を少し混ぜて俺の匂いを滲ませるようにしておいたのだ。ベートは嗅覚がアキと同格に鋭いため、絶対に俺の使う香水の匂いに気づくはずだと、その粉も嗅いで俺がどこかに走る幻覚を見て街中を無駄に走り回る予定だったのだが

 

どうやらラウル達も嗅いでしまい、俺の幻覚を追いかけた矢先に、ベルたちがアイズを追い込んでいる戦場まで偶然来てしまったようだ。もちろんこのまま引き下がることはない

 

 

「ベル・・・あの人間も倒せばいいのか?」

 

「うん!アステリオス。あの人達も倒して!あの人達もジークさんを追いかけ回します!倒してください!」

 

「リドさん!あなたも!」

 

「了解だ!リューっち!」

 

『ほう、ここで主の元上司達を倒せるとは、やはり今日は運が良い』

 

「サラマンダー様。ジークさんから殺すなと言われています。殺しては主に怒られてしまいますよ?恨む気持ちは私も分かりますが、ここは抑えてください」

 

『ムウ・・・・了解だ。リューよ』

 

 

「どうする?ラウル?」

「戦うの?」

 

「やるしかないす!アイズさんも追い込まれているみたいすから、団長の指示に反するっすけど、ここで自分たちがアイズさんの加勢をするっす!」

 

 

『粋がるなよ小僧共。お前如き主の優しさが無ければ、とっくに私が貴様らを倒している』

 

 

「わかっているっす。自分たちがジークに酷いことをしているのは・・・・それでも・・・・・貴方達を倒してジークを捕まえるっす!」

 

 

『ほう、あのロキ・ファミリアにも熱意を持つ人間が居ようとは、だが我火の大精霊を舐めるな!貴様らを主の所には行かせん!貴様らはここで私が倒す!』

 

「サラマンダーっち!援護するぜ!」

 

『頼む!リドよ!』

 

 

「全員!!行くっすよおおおおおおおお!!」

「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」

 

 

『「来い!!」』

 

 

ラウル達はサラマンダーとリドを襲いかかる。トカゲ二匹と冒険者が暴れる。ラウルは俺の僕でもあるサラマンダーから今現在の俺の居場所を吐かせようとサラマンダーを襲う。だがサラマンダーは火の大精霊。体は巨体なトカゲでも負けず、以前から憎んでいたロキ・ファミリアをここで懲らしめようと反撃する。二刀流のアダマンタイトの武器を持ったリドも応戦する。ラウル達はサラマンダーとリドを引き入れたおかげで、少しアイズに楽ができてしまった。ベルはレベル3でリューはレベル4。どう考えてもレベル6のアイズには二人では勝てないのだが

 

 

「うおおおおおお!!!」

 

 

「く!・・・この黒いミノタウロス・・やっぱり他と違う!」

 

 

こっちにはアステリオスと言う。ゼノス最強のモンスターがいる限り、勝敗はまだ決まってはいなかった。背には雷系の大斧と言う魔剣を持っている。こちらにも負ける道理のない切り札もあると言うわけだ。まだそれは使わないようにベルがなんとか言い聞かせて、今はまだアイズの体力を奪うのが目的でありこのままで戦闘をする

 

どうあっても俺の所へ行かせないように邪魔をするベルたちに、アイズは俺の所へと戦いながら抗議する

 

 

「ベル!ジークの所に行かせて!」

 

 

「ダメです!アイズさんも見たはずです!ジークさんがあなたの前で死んだことを!あなたを行かせたらジークさんを殺すかもしれない!アイズさんがそんなことをするとは思えませんが、今のアイズさんを行かせることなんてできません!」

 

「貴方が黒竜を恨む事情は知っています!ご両親が黒竜に殺されたからですよね!」

 

 

「っ!?まさか・・・ジークが私の両親のことを!?」

 

 

「詳しくではないですが、貴方が黒竜を恨む理由をしっかりとジークさんから聞きました。アイズさん。先程もジークさんが言いましたけど。隻眼の黒竜はもうジークさんが倒しました!彼が黒竜に変身するのは黒竜の心臓であるドロップアイテムを食べたからです!」

 

 

「黒竜の心臓を食べた!?・・・く!」

 

 

戦っている最中でベルがアイズに説明する

 

彼女を想う彼の説得であり、これ以上彼女と戦いたくない一心の想いで、納得させる理由を言って、少しでも彼女との戦闘を避けようとして、アイズはその言葉を聞いて一度後ろへと下がる

 

そしてベルは説明を続ける

 

 

「聞いてくださいアイズさん!半年前にジークさんの故郷に隻眼の黒竜がやってきたんです!故郷を守るためにジークさんは無茶ながら一人でレアスキルを発現して倒しました!ですが心臓をくり抜いても黒竜の体は消えず、黒竜を倒すために仕方なくドロップアイテムを口にして、心臓を完食したら黒竜は灰にになって消えたそうです」

 

「黒竜のドロップアイテムを食べたジークさんは、魔法で黒竜に変身できるようになったんです。モンスターのドロップアイテムを食べたら意識を黒竜に取られてしまうのですが、ジークさんの意志の方が強いのか。意識は取られずに済んでいますが、いずれジークさんの体が黒竜の皮膚となる見込みだとジークさんが言っていました。剣姫。これ以上あの人に近づかないでください。貴方があの人に近づけば、貴方はジークさんを殺してしまいます!」

 

 

「私は!そんなことはしない!」

 

 

「じゃあ、あの人の所へ行って何をする気ですか!」

 

 

「っ!?それは・・・」

 

 

「ここまで来てまだ決めれないんですか!貴方は危険なんです!ジークさんが黒竜と変身するなら敵のはずです!敵である貴方を行かせるわけにはいきません!これ以上あの人に近づくな!!」

 

 

「く!」

 

 

リューははっきりと言った。アイズにこれ以上俺に近づくなと。実質な話になるなら俺が隻眼の黒竜を倒そうが、今奴の体は俺の体へと乗り移った意味にもなる。言うなら俺が隻眼の黒竜である。だから俺もゼノスたちと同じ存在でもある

 

意識は人格である俺のままであり、体は隻眼の黒竜。姿はモンスターでも中身は人間同様、そんな異端な存在を、今までモンスターを散々憎んでいたアイズが、そんな存在を見てどうするか、ここまで来てまだ決められない。斬るか、見逃すかの簡単なことがアイズにはできない。だからリューも俺の言葉に同意している。それだけを決められないのが愚かだと、守るか斬るか、ただそれだけを単純に決めればいいだけ、それが正しいか間違いなのかは誰にも判断できない。それは常に自分が良かったか悪かったかだけの自己判断でしか判定できないのだ

 

ベルとリューは俺の友人や仲間として、誰がなんと言うと俺を守ると決めた。二度死んだのだ。もう俺を失いたくないと無理をする。姿は人にだって戻れる。意志さえ失っていなければ、俺が人であると、二人は決して俺を見捨てなかった

 

 

「アイズさん!お願いですからこの場は退いてください!ジークさんは黒竜に変身してようがモンスターではなく人間なんです!貴方はかつていろんな災害をあの人は英雄にもなってまで救った!そんな人を斬るんですか!?それが貴方であるアイズ・ヴァレンシュタインのすることですか!?」

 

 

「私は・・・・・私はジークを捕まえる!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

「私はジークを斬りに行くんじゃない。殺したいわけじゃないの。私はジークにもっと真実を聞きたいの!」

 

 

黒竜を倒した真実を聞きたい。黒竜が俺に殺されたのであれば、その出来事の全てを知っているはずだと。自分が果たすべき復讐を俺に取られてしまった。だからせめてその真実を聞いて、復讐を終わりにすると。俺を捕まえると決心して追いかけようとする

 

もう復讐が果たせないのなら、真実を聞いて終わりにするしかないと。長年悲願だった宿命を今日で、終わらせると宣言する

 

アイズがやっと答えを出したとは言え、俺たちの敵であることは変わりない。よって

 

 

「そうですか・・・・ですがジークさんを捕まえるのは反対です」

 

「はい、そんなことはさせません。アステリオスお願いします」

 

「いいのか?ベル?」

 

「はい。アイズさんを・・・・・ここで撃退します!」

 

「了解した」

 

 

「行きますよ!!アイズさん!!!」

 

「「うおおおおおおおおおお!!!」」

 

 

「そこを通らせて!はあああああああああ!!!」

 

 

ベルとリューとアステリオスもアイズと激闘を繰り広げる。

 

俺を殺しはしないと言う確認は取れても、捕らえるのであれば俺に害することには変わりはなく、敵対することには変わりないと、アイズを撃退するために再び彼女と戦闘を続ける。俺を殺しはしないときいてベルは安心はしたけど。それでも今俺のすることに邪魔をすることは変わりないと。戦うことは変わりなかった

 

せめて彼女との戦いだけは避けたかったのだが、どの道相容れぬと戦う他なかった事に、ベルはアイズが理解して戦うことを拒んでくれなかったことに苦しんだ

 

憧れの人と戦うことが、彼女を傷つけることに、初めて友人を斬る気持ちがここまで苦しいとベルは最悪な経験をした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジーク・フリード。本当にいいのかい?」

 

「一度ダイダロス通りを出て、市民街で通るのですか?」

 

 

「仕方あるまい。もうここら辺一帯は冒険者の警備で溜まっている。ここまで来たからには少し遠回りにしてでも安全な道を通るしかない」

 

 

「私は見られないようにフードを被るね?」

 

 

「ああ。行くぞ」

 

 

ウィーネがかなり遠くまで離れ過ぎたため、このままウィーネ守りながらダイダロス通りを通るのはあまりに危険すぎる。リリルカたちの錯乱も全区に回っているわけではない。しかも通り道にはベルたちやティオナやヴェルフたちで激戦を繰り出している。

 

戦火が舞う戦場になったダイダロス通りの道に移動するのは却って危険、だから一度ダイダロス通りを出て、市民を避難させている冒険者くらいしか居ない市民街で移動するしかない。その大回りをしてアステリオスが出たクノッソスの地下の扉へ行くしかない。こちらも大分危険だが、幸い人数分のタルンカッペもある。タルンカッペは気配や物音も消せる透明マントだ。アスフィの『ハデス兜』よりも全てを消せる。おまけに市民街で警備をしている冒険者はレベル3以下、レベル4のアイシャも居るから見つかって問題ないと、市民街を通る他なかった

 

市民外を通ると。ダイダロス通りでベルたちとアイズ達が戦っていることを聞いたのか、道端に避難したダイダロス通りの市民達が

 

 

「くそ!なんだよ!雷帝はモンスターだったのかよ!」

「騙されたよな!」

「結局あの野郎は嘘つき冒険者だったわけだ」

「信用して損したよね」

「て言うか・・・なんで雷帝が黒い竜になったわけ?」

「魔法か・・・なんかアイテムだったりして」

「そんなことはもうどうでもいいのよ」

「所詮英雄なんかじゃなくて、怪物だったわけでしょ」

「本当に俺たちの街で好き勝手やりやがって、これだから冒険者は」

「俺たちの街を好きに壊しやがって」

 

「なにが英雄だ!!あの嘘つき!化け物め!信用するんじゃなかった!!!」

 

 

市民街で避難した市民達は、俺が怪物と知った瞬間、手のひらを返すように非難や軽蔑を愚痴る。自分たちの街を、俺たちが勝手な都合で避難させられて滅茶苦茶に壊されていることへの恨みなのか、街を壊しているのは俺だけではないのに、黒竜と変身した俺に人としての人権が無いのか、失望を覚えたのか、俺だけの愚痴を街の人々は口にした

 

それを聞いたアイシャが

 

 

「あいつら!・・・」

 

「やめろアイシャ。あいつらは自分たちの住処を、俺の個人的な目的で壊されてイライラしているんだ。俺を恨んで当然だ。だからここで反論したりするな」

 

「ですが・・・・ジーク様はウィーネ様たちや私たちを守るために、仕方なく隻眼の黒竜になってイケロス・ファミリアから守ったって言うのに、今まで貴方様が人のためにやってきたと言うのに、こんな仕打ちはあんまりです」

 

 

「仕方ない。偏見で態度を変えるのが人間だ。その愚かさを認めるしかない」

 

「ジーク・・・・・」

 

 

アイシャと春姫があまりに俺がしてきたことを忘れて、俺の悪口ばかりなことを言う市民に、怒りを覚えたのか反論をしようとしたが俺が止めた。彼らの気持ちは確かに道理だと、俺のしていることは完全に個人的な理由で市民に迷惑を掛けている自覚はしているからだ

 

いくらウィーネ達友人を守るためとは言え、彼らはモンスター。モンスターを人類の敵にしてきた彼らからすれば、否定的なことで当たり前だ。その怪物に変身した俺に軽蔑するのは更に仕方のない話だった

 

例え英雄であろうと、人類の敵である怪物であろう者なら、化けの皮を被った異物だと。モンスターであることに変わりはないと誰もが俺を避難すると、決して俺は市民の考えは否定はしなかった上に、人の住処を個人的な理由で壊されている身として溜まったもんじゃないと。彼らの気持ちを踏まえた上で俺の悪口は当たり前だと自覚はしている

 

でも俺はやめたりなどしない。彼らは大事な友人。例えモンスターでも友人を守るのは間違いではない。人として正しいことはしたはずだ。ただそれが守るに値するかどうか、それは人のそれぞれの価値観の差でしかないからだ。それを理解しているからこの悪口を聞き入れるまで、幸いカオス・ヘルツで感情が薄いため、この程度の悪口は二年前と同じだろうとなにも言い返さず、大して俺は当然だと思いつつも、今回ばかりは俺が悪いと認めている

 

だから春姫とアイシャにはなにもするなと言う

 

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方達!ジークに対してそれは無いんじゃないんですか!!!」

 

「そうだ!ジークにだって!事情があるかもしれないんだぞ!」

 

「あんた達はあのジークに救われた身でしょ?今回の件でそんな仕打ちをするなんて、なんて最低なの」

 

 

「え?」

 

「おい!?あれって!?」

 

「ジーク?あの人たちは?」

 

 

「あれは・・・・・ペルセフォネ!桜花に千草に・・・ナァーザにダフネにカサンドラ!」

 

 

市民に対してなにも言わずに、ただ当然だと。無視して一刻も早くウィーネをクノッソスに送るつもりが、途中偶然居合わせたペルセフォネと、この市民街を警備していたと思われる桜花や千草やナァーザやダフネやカサンドラが、俺の悪口を言う市民に対してアイシャや春姫の代わりに、俺たちの近くで講義を仕出した

 

 

「ジークが今までどれだけ人のためにしてきたことか!貴方達にもわかるでしょう!その恩を仇で返すだなんて!貴方達の方が余程身勝手じゃないですか!」

 

 

「ペルセフォネちゃん!?で、でもよ!」

「雷帝はモンスターになったんだぞ!ひょっとしたら・・・雷帝は化け物で・・」

 

 

「じゃあ今まで私たちをモンスターから救ってくれたのは誰ですか!!ベヒーモスを倒してくれたのは、空に浮かぶアルカナムを壊してくれたのも、三日前にイヴィルスであるイケロス・ファミリアを倒してくれたのは・・・・・・・全部ジークのおかげじゃないですか!!なのに救ってくれた人に対して、モンスターに変身したからとそんな仕打ちをするんですか貴方達は!!!」

 

「「「「「そうよ!そうよ!」」」」」

 

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

「ジークが三日前にあの隻眼の黒竜に変身したと言う報告は聞いたが、だがそれはイヴィルスであるイケロス・ファミリアを倒すために変身したとロキ・ファミリアから報告があっただろう!」

 

「ジークさんはイヴィルスを倒すためにモンスターに変身したんですよ!おかげで被害は最小限になったではありませんか!地上に出没したモンスターもジークが倒したとロキ・ファミリアから報告に上がっています!あの人はモンスターに変身しても人のために頑張っているんです!モンスターに変身するのはきっと訳があります!」

 

「貴方達は七年前もそう、そうやって冒険者が必死に頑張っていることを、そんなふうなことを言って非難して軽蔑をして仕打ちをするんですね貴方達は」

 

「市民だからって、言っていい事と悪いことくらいあるでしょ!」

 

「ジークさんは・・・・皆さんが思っている程、悪い人じゃあ、ありません!」

 

 

「ジーク様。ペルセフォネ様達が」

 

「どうやらお前達の代わりに、俺の誤解を解こうとしているようだな。俺が市民に迷惑を掛けているのは事実なのだがな」

 

 

今まで人々を守ってきたと言うのに、今回の件で失望を覚えた市民の理不尽さに、ペルセフォネ達デメテル・ファミリアの団員と桜花たちは市民に文句を言った。別にそこまでする必要はないと言うのに、俺が個人的な理由で街を壊したのも事実な上に、俺が半分人間でもあって半分怪物だと言うことも事実であるのに、そんなことをする必要がないと言うのに

 

そこまで俺を仲間意識するにはあまりに立場を危うくすると、変なことはしない方がいいと思っているのだが

 

 

「この薄情な人たち!ジークの苦労も知らないで!」

 

「みんな!石を投げて!」

 

「「「「「ええ!!!」」」」

 

 

「うわ!?やめなさい!」

「痛い!?ちょ、ちょっと!」

「や、やめて!ペルセフォネちゃん!」

 

 

「ジークがどれだけ皆さんのために、頑張って戦ってきたと思っているのですか!貴方達は!」

 

 

「おい、ジーク・フリード!」

 

「皆さん石を持って市民に投げてます!」

 

「まったく、無駄なことをし過ぎだペルセフォネ」

 

 

あまりの仕打ちの言葉に、ペルセフォネは苛立って地面に転がっていた石を持って市民に投げ出した。それに続いてデメテル ・ファミリアの団員達も一緒に市民に投げ出す。デメテルのファミリアには色々困り事の解決を幾度もしたことがある。そのお礼のつもりで俺の味方をペルセフォネ以外の団員も市民に石を投げて、市民に怪我を負わせようとしていた

 

流石の俺もこれは見逃すことはできずに、あまりにペルセフォネ達の立場が市民から悪くなるからと

 

俺だけタルンカッペを脱いで石を投げようとするペルセフォネの手を掴んで止めに入る

 

 

「やめろ、ペルセフォネ。そこまでしなくていい」

 

 

「ジーク!?どうしてここに!?」

 

「「「「「ジーク!?」」」」」

 

 

「「「「「「雷帝!?」」」」」」

 

 

突然俺の登場に、ペルセフォネ達だけでなく市民達も驚く

 

まさか俺がダイダロス通りに出てくるとは思いもせずに、まさかの俺の登場に市民は一歩下がった。そんな驚いている市民に俺が出てきたことを説明せずに、俺はペルセフォネ達にやめろと言い聞かせる。

 

 

「ペルセフォネ。俺のためにそんなことをする必要ない。お前たちも早く避難するんだ」

 

「でもジーク!市民の人たちが貴方の今までしてきたことを忘れて!酷い悪口を!」

 

「知っている。所詮そんな奴らなど、人の見た目だけで判断する愚か者共だ。俺だってそいつらの本性を知っているから、別に信頼されなかろうがどうでもいい」

 

 

「ら・・・雷帝!俺たちの街をよくも壊してくれたな!」

「しかも・・・あの世界三大クエストの黒竜に変身するってどう言うことよ!」

「お前・・・もしかしなくてもモンスターなのか!?」

 

 

「だからなんだ?お前らに関係ない。さっさと避難でもしていろ。下等生物共」

 

 

「「「「「下等生物!?」」」」」

 

 

もう気を遣わずに、俺は市民に自分の本性を晒して黙らせる。市民の文句など聞く耳持たない。すぐに偏見で態度を表す市民如きに時間を費やしてられないと。さっさとペルセフォネに避難をしろと言い、その護衛を引き続きをしろと指示をして、こんな所で言い争意をしてないで、自分達に安全な場所へ移動しろと言う

 

市民に言い訳もする気はない。なにを言っても文句を言われるのがオチで、確かに俺の個人的な事で初めたから悪いのは俺だ。だとしても黒竜に変身したからと偏見で態度を表す市民にあれこれと言い訳をしても差別を受けるのが目に見えていると。謝罪もしなければ逆に文句も言わない

 

だが、

 

 

「これだけは言っておく、警告だ。例え市民であろうと・・・・・ふざけた事を言ったり何かしてくるなら殺す。誰であろうとな」

 

 

「「「「「な!?」」」」」

 

 

「ちょ、ジーク」

 

「雷帝。流石にそれは・・・」

 

 

「市民であろうと、度が過ぎる事をするなら容赦はしない。自分の立場を弁えず、なんでも口にしていいと思ったら大間違いだ。『口は災いの元』だと。聞いたことはあるだろ?」

 

 

「なんだと!!」

「そんな事をして、ギルドや他の冒険者がタダじゃあ置かないわよ!」

 

 

「お前らは本当に馬鹿だな。冒険者をなんだと思っているんだ?」

 

 

「「「「「「は?」」」」」」

 

 

俺はやはり市民は愚かだと思っている

 

冒険者が一体なんの職業をしているのか、その冒険者の役職の意味もわかっていない。冒険者は市民を守る存在だと勘違いしている市民に、俺は冒険者の本来の職業を言い渡す

 

 

「冒険者はダンジョンを冒険する探検職業だ。そこに市民を守る義務は入っていない」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

「ギルドの決まりで一応はそうなってはいるが、指令があっても手を貸さないファミリアも居れば、自分には関係ないと指令に言う事を聞かないファミリアもある。例えば・・・・ソーマ・ファミリアはどうだ?あそこは良い酒を制作しているのに、金を用意しても一切お前達には提供したりはしない。違うか?」

 

 

「そ、それは・・・・」

「た、確かに・・・・」

 

 

「オラリオに所属するファミリアもお前らの愚かさを知っているんだ。だから決して全員お前らを守るとは限らない。少なくとも七年前の暗黒期の時に冒険者達に対して、『自分たちを守れなかった』とたったそんな事で、散々な暴言と言う仕打ちをしてきたお前達の醜さを知っているから、全ファミリアがお前ら市民を守るとは限らない」

 

 

「「「「「う!」」」」」

 

 

俺は口論で市民を黙らせる

 

市民の愚かな部分を徹底的に言い放つ。七年前にしても、市民は自分を守れなかったり、街を壊されたりすると文句を言ってくる。まあそこは普通に当然なのだが、人を偏見で判断をするような愚か者達など守る価値もなければ、自分たちの立場も考えずに偉そうな事を言うなら殺すと宣言した

 

無力な人であろうと、くだらない言葉を吐こう者なら容赦しないと、敵対するのなら市民でも斬ると、一切の迷いは無かった

 

 

「だから言う。警告だ・・・・・・・・これ以上俺たちのすることや平和を脅かして見ろ。その時はヘスティアが止めても、誰が止めても・・・・・・・・必ず殺す!」

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ!!!

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

「なに!?」

 

「なんだ!?この黒い霧は!?」

 

「こ、これは・・・闇!?」

 

「ジークの体から放出している!?」

 

「な・・・なによ・・これ!?」

 

「怖い!?・・・・この闇は・・・とても・・・・人が触れてはいけない!?」

 

 

俺は市民に向けて黒竜の覇気である闇を放出した。

 

威圧を与えて更に黙らせる。無論今言い放った言葉が嘘ではないと言う証明でもある。人が人を斬るなど、暗黒期でもあったこと、それをもしもの場合は俺が引き起こすと、市民でも俺たちの平和を脅かすなら容赦しないと、そのための証明として黒竜の力を吐き出す

 

まだ未制御の部分は多数あると言うのに、黒竜の力をほぼ我が物としていた。まあ長続きはしないからすぐに体から放出した闇は消える

 

 

だが当然・・・・・・・・もう『左腕は限界』である

 

 

 

「ペルセフォネ。桜花達も、市民共をセントラルパークへ避難させて移動させろ。ここも安全とは言い難い。もうロキ達と争いを始めている。下手をしなくても被害が大きくなる。それを回避するために、一番安全と思われる中央広場にこの者達を移動させろ」

 

 

「ジークはそれでいいの?」

 

 

「今回の事件の後始末も費用も俺が背負う。当然の道理だ。そして無駄な殺しはしない。ヘスティアの神意だ。俺は刃向かった者や平和を脅かす者を殺すと言っただけであって、この程度の俺だけの戯言なら聞き流そう」

 

 

「わかった。お前がそう決めたなら」

 

「皆さん!行きましょう!」

 

 

俺の指示を聞いた桜花達は市民を移動させるように呼び掛ける。もちろん俺の流した闇のせいで、少し怯えがちだ。まあ黙らせるには十分だった。だから桜花達の指示も簡単に聞いてくれた。まあこれで俺の信用は市民から無くなった。でももう英雄扱いされないで済むのだから、変に期待されずにこれで過ごせる

 

もう誰かに期待を乗せられて、無責任な期待を応じることなく動ける。その期待外れになって信用を無くすよりも、自らその信用を絶たせた方が、これでより自分たちファミリアに専念することができる。友人も守る範囲に入っている俺に、それに加えて市民を守る英雄としての義務など、そんな義務的な事をするつもりはない

 

市民の中には子供も居たのに、俺はその子供が怯えさせたことに対しての罪悪感もなかった。やはり黒竜の力を発揮させたことで更に心の感情が薄くなっていることに今気づいた。レベルも上がってないと言うのに、黒竜の力は俺の心もどんどん蝕まれている

 

 

「いいのですか?ジーク様?」

 

「どうでもいいクズ共からやっと信頼を無くすことができた。これで少しは自分のファミリアに専念できる」

 

「だけど、ジーク・フリード。ここからダイダロス通りに戻るにしても、あの黒いミノタウロスが出てきたクノッソスの地下の扉は大分遠いぞ」

 

 

「俺たちが向かっているのはそこじゃない」

 

 

「「え?」」

 

 

俺は最初から別の所へ移動しようとしている。予定通りにアステリオスの出てきた地下のクノッソスの扉を目指してはいない。それとは別の場所、ウィーネがそこからかなり離れてしまった。だから地下の扉の方に戻るには遠すぎる。それまでの壁が多すぎる。通り道にまだ敵が居るかもしれない

 

でもだ。あの扉の方なら・・・・・・ウィーネをダンジョンに戻せる

 

その扉と言うのは

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺たちが向かっているのは・・・・東のクノッソスの扉だ」

 

 

「「東のクノッソスの扉!?」」

 

 

俺たちが目指しているのは東の方の扉、それを聞いたアイシャと春姫は驚きを隠せない。なぜならそこは・・・

 

 

「何を考えているのさ!?そこは・・・・ロキ・ファミリアが警護しているんだぞ!」

 

「それでいいんだ。彼女をダンジョンへ返せる。そこならな」

 

「当てが・・・・・・あるんですね?」

 

「ジーク・・・・私は大丈夫なの?」

 

 

「ああ。フィルヴィス・・ウンディーネ・・・・・片付いたか?」

 

 

『ああ。なんとか済んだ』

 

『はい。東の制圧は完了しました。それと・・・・・・『彼女の指示』で部下を含めウィーネさんの護衛に当たる準備が整ったとのこと』

 

 

「そうか・・・・・・やってくれたか」

 

 

俺はオクルスでフィルヴィスとウンディーネに連絡した。もう東の通り道は制圧完了したとの報告を受ける、もちろんその後の作戦の準備も完了したとのこと

 

つまりは・・・・・・・・・・・あと俺たちが向かうため

 

 

それと

 

 

『グラニ。彼女を背に乗せて彼を連れてこい。決着をつける』

 

 

『了解しました。それではよろしくお願いします』

 

『ああ』

 

 

「よし、東へ向かうぞ!そこからなら近い!」

 

「よろしいのですか?」

 

「あそこはロキ・ファミリアの護衛している場所だぞ?いいのか?」

 

 

「ああ、いいんだ。向かうぞ。それでこの作戦は完了する」

 

 

あとは俺たちが東の門に向かってウィーネを送り届ければ、作戦としては完了すると。ロキ・ファミリアの警護する場所ではあるが、それでも構わないと向かう。そこに警護している者達も存じている。それでも行く。

 

問題ない。頼んであるからな

 

とにかく、俺たちはウィーネを連れて東のクノッソスの門へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして着いた先である。クノッソスの東門では

 

 

「来ました!皆さん!」

 

「アンティラ・ネイラ!春姫!」

 

『主!ご無事で!』

 

「おお!予定通り来たやな。ジーク!」

 

 

「彼女以外は全員揃っているようだな」

 

「これはどういうことです!?」

 

「なんでマイナデスとあんたの精霊が・・・・ロキ・ファミリアの主神とエルフ達と一緒なんだい!?」

 

「ジーク。この人たちは?」

 

「心配ない。彼女達は味方だ」

 

 

東にあるクノッソスの扉に着くと、協力してくれたフィルヴィスと、俺の仕える水の大精霊であるウンディーネと

 

ロキとその眷属であるレフィーヤとアリシアを含めたエルフの女性達が警護していた。

 

リヴェリアの持つスキルを最大限発揮するために作られた『妖精部隊(フェアリー・フォース)』が今ロキの指示の下で警護に当たっている。そこに俺を助けてくれると力になってくれたフィルヴィスや俺の仕えるウンディーネもそこでレフィーヤと共に東の守りを固めていた

 

なぜ彼女達が俺を目撃しても捕虜にもせずに、まるで俺たちが来るのを待っているかのように待機しているような雰囲気をしていた。

 

もちろんどうしてこんな状況になっているのか、訳を春姫とアイシャが聞いてくる

 

 

「どういうことだい?ジーク・フリード。なんでロキ・ファミリアの主神と、その眷属であるエルフ共が、あんたの精霊と協力に応じてくれたマイナデスがここに居るんだい?」

 

「リヴェリアが協力してくれた。まあレフィーヤ達が俺を目撃しても攻撃しないと言う事は、大方俺の事情をリヴェリアから聞いたのだろう」

 

「ではジーク様が昨日夜に少し外出していたと言う話を聞いたのですが、あのハイエルフ様に事情を話していたからですね?」

 

「ああ。それでリヴェリアは俺を助けると協力してくれた、まあ完全にファミリアの裏切り行為だが、俺が黒竜に変身した事情を聞いていると思うが、俺を黒竜から守って送還されたフレイのした事を無駄にしないためだと、エルフが信仰するフレイの行為を無駄にしないために俺を助けると、エルフのプライドを持って味方をしてくれた」

 

「へえ・・・・・本当にそれだけかい?前に聞いたけど、あんたとナインヘルって・・・」

 

「ああ・・・・・・おそらく来年の婚約も破棄しないでもあるだろうな。リヴェリアはな。ロキはもう眷属の好きにさせたいらしい。フィンは市民のため、リヴェリアは俺のためにと。眷属の望む目的がバラバラなため、主神として眷属の望むままにしたいと。今回は何も言わずに好きなようにさせるだそうだ」

 

 

リヴェリアは昨日の事情を聞いて決心をしていた

 

それは俺を助けると

 

俺が黒竜を倒した事情を聞いて、俺がフレイにとってどれだけ大事にされてきたかと、ヒューマンである俺をフレイは大切に弟として守ってくれた。フレイの忠実な信仰者として、エルフのプライドを持って俺を助けると協力に応じたと思われる。フレイが大切にした家族をエルフが守らねばと。種族としての意地である

 

 

「レフィーヤ。リヴェリアは?」

 

「えっと・・・・ジークさんの精霊であるグラニ様の背に乗って『迎え』に行っています」

 

「そうか・・・・フィルヴィス、ウンディーネ。指示通りここら辺一帯の冒険者を蹴散らしてくれて助かった」

 

「ああ。なんとかウンディーネ様とな」

 

『主たちがここへ来られたのであれば、上手く退けたようでなによりです』

 

 

フィルヴィスとウンディーネには東地区周辺に警護する冒険者たちを撃退して貰った。もちろん今地上で残っているリドとレイとグロスとアステリオスをダンジョンへ返すための通路を確保をするためである。まあウィーネがフェルズ達と逸れたため、ここへ先に来るしか道はなかった。なんだかんだでレフィーヤ達も手伝ってくれた様子だ

 

リヴェリアはグラニの背に乗って、俺の指示通り『彼』をここへ連れてくると迎えに行っている。俺たちがここへ辿り着いたのはいいが、そのリヴェリアが戻るまではここで待機する。

 

その間にアリシアが

 

 

「ジーク・・・・その・・・リヴェリア様から聞いたのですが・・・本当なんですか?フレイ様は・・・もう・・」

 

「そうだアリシア。我が兄は黒竜にやられた。もう俺がその時に仇を取った。厳密に言うとお前らがもう一人信仰しているセルディアの仇をも俺が取ったことになる」

 

「そうですか・・・・やはりフレイ様は・・・・」

 

「泣くな。お前らはフレイが行方不明になった後も、しっかりやってきただろう。あいつがもう二度と会えないにしても、それでも前を向いて生きろ。フレイが亡くなって悲しい姿などあいつは見たくないはずだ。あいつにもう頼らずともこれからも生きていくんだ。わかったな?」

 

「・・・・・・・はい。そうですね」

 

 

アリシアが簡単にもうフレイが天に還ったのかと聞く

 

無論それに嘘は付かずにそうだと答える。それを聞いて悲しい顔をアリシアだけでなく、他のエルフ達も悲しむが、泣いても仕方がないと、フレイは俺たちにたくさんなものを残してくれた。その残してくれた愛情や想いを継いでひたすら前へと生きるしかないと、泣いててもフレイは戻ってこないと言い、彼が居なくてもめげずに生きろと言う

 

少なくとも、故郷の里を無断でフレイが出て行った後も、エルフ達は変わらない生活をしてきたはずだと。彼が居なくても真っ直ぐ生きるべきだと。天に還った彼が見ているのだから、泣いている姿など見せずに誇らしく生きろとしか俺からは言えなかった

 

 

「それで・・・その竜女を・・・・ダンジョンへ送ればいいですか?」

 

「ああ。途中の道で仲間が待っているはずだ。そちらには連絡を入れてある。行っておくが絶対にウィーネを攻撃するな、特にアリシア。わかったな?」

 

「だ、大丈夫です。リヴェリア様から事情は聞いています。とても信じられませんが・・」

 

「ジーク?この人たちは?」

 

「味方だ。ウンディーネや春姫やアイシャも付いて行くから心配するな」

 

「本当に喋っている!?」

 

「どうなっているのでしょうか、これがダンジョンで生まれたとは信じられません」

 

「それだけダンジョンには謎が多いと言う事だな」

 

「フィルヴィスさんはあまり驚いていませんね?」

 

「私はそこに居るお方、ウンディーネ様と変わらない存在だと思っている。精霊の中には獣のような姿をしている者も居る。それがサラマンダー様だ。だからジークの精霊様と何度か共に過ごしてきた私には、今更喋るモンスターなど。あまり驚きはしない」

 

「た、確かに」

 

『エルフの皆さん。こう言った存在をフレイ様は主の故郷でも守っていました。どうか区別する事をよろしくお願いします』

 

「「「「「わ、わかりました。ウンディーネ様」」」」」」

 

 

ウンディーネの説得により、フレイが故郷でも喋るモンスターが存在しては守っていたと、フレイが差別する事なく守護していた事を言って、決して殺してはならないと、理性があるのだから分かり合えると、水の大精霊であるウンディーネの言葉をエルフ達であるレフィーヤ達はしっかり聞き入れる

 

俺は特になんでも決め付けるアリシアには、絶対に攻撃するなと言い聞かせておく

 

 

「と言うわけで、春姫とアイシャはこのままウィーネを、ウンディーネ達と共にクノッソスを通り道にして、ダンジョンへ行ってくれ。鍵と地図は持たせてある」

 

「わかりました」

 

「まさかロキ・ファミリアのエルフ達が味方してくれるとはね・・・・・・主神さんはいいのかい?」

 

「もうこうなった以上は・・・・好きにやらせるつもりや」

 

「ウィーネ。また会いに行く」

 

「ジークは・・・これからどうするの?」

 

「俺は残って決着をつける」

 

「決着?」

 

「リヴェリアとグラニはまだか?」

 

「もう少しのはずです・・・・・・あ!今来ました!」

 

「ええ、確かに・・・・・って・・・え!?」

 

「来たか・・・・」

 

 

グラニがリヴェリアを乗せてここへ来るまでは、俺たちは待機しないとならない。リヴェリアに頼んでそのままウィーネを送りにダンジョンへ、クノッソスを潜って貰うためにここで待つのだが、まだ彼女がここに来ない

 

しばらく待つのかと思ったが、今ちょうどここに来たと目の前で辿り着いたのが見えた

 

のだが

 

レフィーヤ達が聞いていない人物がグラニの背に乗っていた

 

その人物は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジーク。まさかリヴェリアを唆すなんて、だから僕の作戦を見切っていたのか、しかもロキまで・・・」

 

 

 

「団長!?」

 

「ちゃんと連れて来たようだな」

 

『これで良かったんですよね?』

 

「ああ。リヴェリア。すまないな」

 

「問題ない。だが・・・・いいのか?」

 

「お前らを裏切り者にさせるわけにはいかない。ウィーネ達ゼノスが目的ではなく、目的が俺であるなら、リヴェリアを利用した責任として、俺が一人で残ってフィンと決着をつける」

 

 

グラニの背に乗っているのは、リヴェリアだけでなく、その後ろにもう一人

 

 

団長のフィン・ディムナが乗っていた

 

 

俺が迎えに来させたのだ。リヴェリアを決して裏切り者にさせるわけにはいかない。利用した罪は俺がしっかりと責任を取る。まあ言うなら取り引きしたに過ぎない。リヴェリアとロキに先に俺の事情を説明したから俺の味方になるとは言え、ファミリアの裏切り行為には変わりはなく、ウィーネを助ける代わりに、俺が一人でここで大人しくフィンと向き合う事、だからリヴェリアに、わざわざ俺が居る場所まで連れて来て貰ったわけだ

 

だが投降するわけではない。あくまで決着だ

 

 

「わかっているとは思うが、俺はここに残るとは言っても、投降するわけではない」

 

 

「じゃあ僕と決着を付けてくれるって事だね。まさかロキまでも・・・・僕たちを騙していたなんて、完全に裏切り行為じゃないか」

 

 

「ごめんやフィン。リヴェリアはどうしてもジークの味方をしたいそうでな。まあ事情はもう既に聞いたんやけどな。だからウチとしては自分の眷属の好きにさせるちゅうわけで、どうあってもジークは犯罪人として指名手配中である以上は、力で事を成す他、今の現状に決着は付かないみたいやしな」

 

 

「ああ、全くもって今そういう状況だよ。ジーク。君は・・・・・三日前そのモンスターを何かしらの理由で守るために18階層でリヴィラの街を壊してまで、人を殺したってことは本当なのか?」

 

 

「ああ。邪魔する奴は一人残らずにな、罪に問われても仕方がない。だが・・・・・・応じる気はない。ヘスティアも俺を助けるのに必死でな。罪に問われようが関係なく、俺の罪を、ギルドを脅してでも抹消すると、俺の罪状を消すために全てに反逆するだけのこと。戦う他に乗り越えることはできない。だから・・・・・・・投降するつもりはない」

 

 

「いつから君はそんな横暴な事をするようになったんだい?まるでイヴィルスじゃないか」

 

 

「全員が俺を悪と言う者がほとんどであり、それでも俺が善良だと言う者も居る。化け物となっても、人を殺してでも、絶対に俺を見捨てないと今もお前の仲間や市民を敵に回してでも俺のために戦っている者たちのために、報いるためにお前らを相手にしているだけ。あとはウィーネ達をもう二度とお前らに倒させないようにダンジョンへと戻しているだけ。刃向かう者は斬り捨てる。オラリオを戦場にしてでもな」

 

 

「だろうね・・・・でなきゃ・・・リヴェリアやレフィーヤ達がファミリアを裏切ってまで、君の味方をしているはずがないからね。じゃあ君が僕の警護陣営位置を把握していたのは・・・」

 

 

「ああ、リヴェリアが全て教えて貰った」

 

 

「リヴェリア。それにレフィーヤ達も、まさか君達が僕らを裏切るとはね・・・」

 

 

「ジークは我らエルフの信仰するフレイ様の義弟、フレイ様の兄弟であるなら私たちエルフが守って当然だ。それに私はロキの眷属だ。ロキは裏切りの女神、その裏切りの女神の眷属であるなら、私も一族としてのプライドとしてやるべき事のために裏切りをしただけのことだ。ロキの眷属らしいだろう?フィン」

 

 

「君が彼に味方をするのはそれだけの理由じゃないだろう?」

 

 

「ああ。もちろん私は今でも彼が好きだ。だからこそ揺らがずにこの道を選んだだけだ。後で処罰を喰らう覚悟でな」

 

 

リヴェリアは裏切ることを覚悟してこの道を選んでいる。ファミリアを裏切るのは当然処罰物だが、ロキは裏切りの女神でその眷属であるなら自分だって裏切りをしても構わないはずだと。裏切りの女神の眷属としてしらを切るのだが、幸い今はそこまで損害にならない程度で俺を助けているだけ。実行する分はまだ損害はない。もちろん俺だって協力してくれた報酬も用意している

 

だから

 

 

「勘違いしないで貰おうか、フィン。ロキも含め、彼女達は俺と取り引きをして協力してくれているだけだ。裏切りではない」

 

 

「ん?取り引き?」

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

「っ!?ジーク!?」

 

「自分!?何を言って・・・っ!?」

 

 

「言ったはずだ。お前らを決して裏切り者なんかにさせる気はない。確かに俺に協力した経緯はそうだとしても、俺はお前らに裏切りしてまで助けて貰おうなどとは、流石の主神やハイエルフだけでも筋は通らない。だからこれを今後の取り引きのために協力してくれたのであれば裏切りをした言い訳が通るからな」

 

 

俺は決してロキやリヴェリア達に裏切ったのではなく、今後の『ある作戦を成功』しやすくするために俺に協力をしてくれたと、ロキの口を挟んでフィンに言う

 

俺は別にロキ・ファミリアがどうなろうと彼らの勝手であるがため、何も言わないが、俺のためにファミリアを裏切りをして崩壊させたのであれば、連帯責任にもなるため、俺のせいでファミリアが崩壊したのであれば、流石に望んでもいないことで、俺を愛してくれているリヴェリアの居場所がなくなるのは、愛されている身として納得できない。フレイでもそうはしていたはずだと。俺はフィンにリヴェリア達は裏切ったのではなく、今後の作戦のために協力してくれたと言い訳をする

 

 

「それでリヴェリア達とロキに何を取引したんだい?」

 

 

もちろんリヴェリア達には、ロキにも取り引きをしたなんて一言も言っていないが、俺を助けてくれるのだからお礼は必要だと。それに見合った取引を勝手ながら用意してある

 

それは

 

 

 

「昨日、クノッソスに潜むイヴィルス残党である、タナトス・ファミリアの眷属達を半分抹殺し、更に残り半分から『クノッソスの鍵』を全て奪った」

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

「な!?半分殺して・・・・・その上に鍵を全部!?」

 

 

「ああ、ここにな。お前達の本来の目的はクノッソスの攻略。攻略しやすいように、昨日リヴェリアが真実を告げた次の日に、今日の昼にクノッソスで俺とウンディーネでタナトス・ファミリアの眷属を半分殺した」

 

『ええ、主と私でやりました。彼らから鍵を全て回収しました』

 

「だから今日の昼は居なかったのですね?」

 

「ジーク!?今日に襲撃したのか!?」

 

「鍵を・・・・・四つもこんなに!?」

 

 

昨日の夜にリヴェリアに全てを明かした翌日、クノッソスを利用してリド達を返すのも目的でもあったため。通りやすくするためにも、今日の昼に俺とウンディーネだけでタナトス・ファミリアを襲った

 

リド達ゼノスはタナトス・ファミリアにも標的にされている。あのディックス・ペルディックスの兄であるバルカ・ペルディックスにも、クノッソスの材料にするはずだと襲いかかるはず、リド達をその素材にされないように阻止するためにも、タナトスの眷属を半分殺し、鍵も奪って身動きを取れないようにした

 

リド達がダンジョンへ帰れるようにと、クノッソスの通路を確保するためでもあると同時に。

 

協力してくれたリヴェリアたちが、今後クノッソスを攻略しやすい形を取ると言う。一石二鳥を手にした

 

 

「まあこれはその目的のために昼クノッソスを襲撃にしたのだが、リヴェリアが俺のために裏切るのであれば、この鍵を全部渡し、今後クノッソスの攻略作戦を有利にすることができる。その取り引きのためにリヴェリアは一度お前達を裏切っただけだ」

 

「ジーク。そんな話ウチら聞いてないで?」

 

「そうするつもりだったの前提の話だからな。ロキ、お前達に話してないも同然だ。これから俺はフィンを倒し、後にギルドを脅して、クノッソスの出入りも自由にさせるつもりだ。これでお前達の今後の攻略作戦をより実行しやすくなり、より成功しやすくした。そしてこの鍵は全てお前達の物だ。受け取れ」

 

「こんなに!?」

 

「四つもあれば、クノッソスのあの扉を部隊を分けてでも通過できる!」

 

 

「だが、この後は気をつけろ。今頃タナトスもバルカも、鍵を全部失ったことに焦っているはずだ。そうとなればこの後ウィーネを仲間の元へ連れてゆくためにあの道を通れば、当然奴らはクノッソスで待ち伏せして襲いに来るぞ?鍵を取り戻すためも含めてな」

 

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」

 

「そのために私たちをこの竜の少女の護衛に付けさせるのだな?」

 

 

「ああ。取り引きにしては合うだろう?」

 

 

「そうだな。無論ここまでして引き返すつもりはない。それもお前のためと思って突き通すまで」

 

 

そんなことをしたはいいが、当然タナトス・ファミリアは取り返しに来る。無論ウィーネも対象にされている。この両方を守るにはこれからウィーネを連れてクノッソスに入り、ウィーネを守りながらクノッソスを仲間の元までリヴェリア達に守って貰うしかない

 

俺の目的はウィーネを仲間の元へ。リヴェリア達の目的はイヴィルスの弱体化と殲滅・クノッソスの鍵を全て確保・そして攻略成功。これを果たすために、リヴェリアと取引をした。

 

 

 

「以上だが、これはお前の望みでもあるだろう?喋るモンスターであるリド達や俺を囮にしてイヴィルスをクノッソスから釣り出すこと。それを目的も含めて俺の宣戦布告を受け入れたのだろう?」

 

 

「っ!?僕の作戦をそこまで、リヴェリアが?」

 

 

「いや、そこまでは聞いてない。聞いたのは作戦配置だけだ。その配置を聞いて、作戦目的はそうではないかと考えが付いた。お前は俺を捕まえると言うが、ただ俺から真実を聞きたいだけ。そうだろう?」

 

 

「ふう・・・・やっぱり強くなったね。ジーク。全部正解だよ」

 

 

「一度はお前とはファミリアだったんだ。お前の考えなどもう読める」

 

 

でもフィンはやはり常識人であり、しっかりと俺の話を聞いた。他の奴じゃあ会話にもならないからな。そしてお互い譲れないものがあると。ここまで来ても戦いでなければ決着はつかないと。この状況と俺の話を聞いても、この事件は終わりにはならない

 

俺を味方をする者、俺を化け物として犯罪者として敵とする者、今お互いの価値観や相容れぬ目的がそれぞれある限り、争って勝敗を決めなければ終わらない。

 

 

だが今フィンがここに居るとなれば、中央塔の陣形に取り残されているアキ達はおそらく・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィン団長。本当にここの陣形を離れて良かったのか?」

 

「仕方ないでしょ。リヴェリアさんに呼ばれてジークが居ると思われる所へ行ったんだから」

 

 

中央塔に配置している陣形本部にて、アキとクルスでここを守っていた。ここで指示を送るはずのフィンは、その後東のクノッソスの扉を警護していたリヴェリアが、突然警護場所を無視して、フィンに俺が居る場所を見つけたとリヴェリアから聞いて、やっとの思いで俺を見つけることができたと報告を受けたのだが、誰も俺の所へ行くことはできず、皆足止めを喰らっていて俺の所へは誰も追いつけない

 

だがリヴェリアが提案として『フィン自らが出る』しかないと言われ、フィンもその考えに賛成して、リヴェリアに付いて行き、フィン自らが本陣を出て俺を捕らえるしかないと、ここはアキたちに任せて本陣を出て行ってしまった。でもフィンの言う通り俺はレベル6で同じレベルであるフィンとリヴェリアが出るしかないと、そのまま自分たちを残して出て行った

 

まあここで報告を聞いて、他の仲間に指示をするしか今アキとクルスのするべきことはないと、今は仲間の報告を聞いて待機する

 

だがその時

 

 

「見つけました。ここが本陣ですね」

 

「アルシャー、申し訳ありませんが追い詰めさせていただきます」

 

「貴方たちに恨みはありませんが、これはジークさんと同胞を守るため、ここであなた達を無力化します」

 

『覚悟しなさい。憎きロキ・ファミリア』

 

 

「ヘスティア・ファミリアのパルゥム!?それにペルセウス!?」

 

「喋るセイレーンに!?ジークの精霊!?」

 

 

突然、本陣の入り口からリリルカとアスフィが現れ、その上にはレイとグリフォンが居る。ここでアキたちも足止めをしようと、勝てる見込みはあるとは思えないが、ここで本陣も落とそうと、リリルカはレベル1でもあるが、今持っているマジックアイテムなどを全部使ってでもアキたちを止めようと、ここまで中央の頂上まで登ってきた

 

 

「ここも抑えさせて頂きます。お覚悟は宜しいですね?ロキ・ファミリアの皆様?」

 

 

「どうするアキ?」

 

「やるしか・・・ないみたいね」

 

「まさかジークの団員とヘルメス・ファミリアの団長と!?」

 

 

そうしてアキたちも武器を取り出して構えた。

 

もうここまでになって来ては戦う他にないと、ここまで落とされてはフィンに顔向けできないと。アキもクルスとエルフィたちも武器を出して戦おうと一歩出る

 

のだが

 

 

「ここが本陣で合っているのかにゃ?」

 

「そうみたいにゃ」

 

「じゃあ後はここを潰すだけね」

 

「来てくれましたか、店員の皆様!」

 

 

「な!?豊饒の女主人の店員たち!?」

 

「しかもヴァナ・アルフィ!?」

 

 

アキたちの後ろから、アーニャとクロエとルノアがここまで登って現れた

 

俺の指示通りに、アーニャたちは道端に居るロキ・ファミリアの冒険者をある程度を潰せたら、最後に本陣を落とせと、俺が指示しておいたのだ。当然ここにはフィンが居ることは間違いなかったのだが、俺の方へと誘き出せばここはガラ空きになると。ここはもうロキ・ファミリアのレベル4までしか居ないはずだと。リリルカだけに本陣を落とさせないで、アーニャ達も加勢して欲しいと、アキたちに勝つために本陣を奪い取る作戦だった

 

これで挟み撃ちで、レベル4が四人。これでアキたちに敵う通りが無くなった

 

 

「くそ!挟まれたぞ!?」

 

「ジークの仕業ね!あいつにここまでの陣形を取られるなんて!」

 

 

「問答無用です!皆さん!行きますよ!」

 

 

「く!こうなったら!なんとしてでも彼女たちを落とすわよ!!」

 

 

「「「「「「『うおおおおおお!!!』」」」」」」

 

 

「「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」」

 

 

挟まれた以上は逃げる術はない上に、ここを落とされるわけにはいかないと。アキは戦って勝ち取るしかないと、配置としては最悪だが迎え撃つのみだった。

 

これで全てのフィンの陣形を抑えることはできた。後は戦って勝敗を決まるのみだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うように、リリルカ達もアーニャ達も本陣でアキ達と戦っていると作戦通りになった

 

 

あとは俺がフィンと決着を付ければ終わりだ

 

 

わかっていたとは言え、俺はいつかこうなるとは思っていた。ファフニールの心臓を食べて奴の姿になれる時から、その姿を誰かに見られた時には、俺は人としての扱いを外れて、化け物として消されるのが運命だと。例え人の心を持っていたとしても、地上の人間達は偏見で判断をする哀れな生き物。フィンでさえも敵になるはずだと、あの二年前の喧嘩の続きが訪れるのだとわかっていた

 

まさか俺が人種差別に巻き込まれるとは思いもしなかったがな

 

フィンと争うならここは激戦区になると。早めにウィーネをクノッソスへ送る

 

 

「春姫、アイシャ、ウィーネを連れて行け。俺はフィンと戦う。ここは戦場になる。リヴェリア。レフィーヤ達も頼むぞ」

 

「はい」

 

「あいよ」

 

「わかった。お前達行くぞ!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

「ジーク・・・・」

 

 

「また会いに行く。いいなウィーネ?」

 

 

「うん!」

 

 

「フィルヴィス、ウンディーネも行ってくれ。ここはもういいから後は、俺がやる」

 

 

「わかった」

 

『ご武運を』

 

「グラニ。彼女を背に乗せて。お前もこのまま行け」

 

『はい。では・・・また後ほど』

 

 

俺はリヴェリア達に指示を入れて、ウィーネをクノッソスを通り道にダンジョンに送らせる。春姫とアイシャだけでなく、フィルヴィスとウンディーネも行かせる。つまりは一切の邪魔を無しに戦う。ここに残っているのは俺とフィンとロキのみである

 

リヴェリアとグラニを先頭に、俺とロキ以外は後ろのクノッソスの扉を開けて入っていく。もちろん俺からダイダロス・オーブを渡してあるため、どこの扉でも開くことができる。俺とロキ以外が全員入ったことを確認して、誰にも入れないように扉を閉める

 

そして俺が門番のように立って、クノッソスの扉を守るようにフィンの前に立ち塞がる

 

 

「ロキ、激戦になる。見物したいならどこかの建物の上に行ってくれ。でないと巻き込まれるぞ」

 

「そうみたいやなジーク。お願いやからフィンを殺さないでくれや」

 

「そんなことをしたらヘスティアが怒る。そこまでする気はないがタダ・・・・・・・・・・・・・・フィンが俺を殺す場合は話は別だ」

 

 

「大丈夫だよ。僕だってそこまでする気はない。僕の目的は君を捕らえることだからね」

 

 

俺を捕らえるのが目的で、俺たちの邪魔をしているようだ。

 

まずはロキを下がらせる。戦うことは目に見えているから激戦になるはずだと。見物するなら少し遠い建物の上でしろと言う。フィンとやり合うのだから激戦になるだろうと巻き込まないようにと遠くへと下がらせた

 

そしてフィンと向き合い、グラムを取り出して、なぜ俺を捕らえるのか目的を聞く

 

 

「捕らえると言うが、理由はなんだ?」

 

 

「君が黒竜の変身する理由の事情を聞くため、まあそれは・・・リヴェリアとロキが先に知ったようだから、君を捕らえなくてもあの二人から聞き出せるのだから、そんなことはしなくていいんだどね」

 

 

「なら俺たちのやることを邪魔をしてまで、俺を追い詰めるのはなぜだ?」

 

 

「初めはそのつもりだった。ギルドの要請で君を捕らえるように言われてはいるけど、君を捕縛してギルドに渡したら、モンスターに変身した君を処刑する可能性が高い。過去にオラリオで処刑なんて言う行為を実行をした経歴はないけど、その可能性があると思ってギルドには君を引き取らせずに、真実を聞きたいだけで解放するつもりだけど、ティオネとベート以外の全団員のある提案で君を捕らえることにした」

 

 

「あの二人以外の全団員の提案だと?」

 

 

「それは・・・・・」

 

 

俺を捕まえる理由は、決してギルドに身柄を引き渡すわけでもなく、黒竜に変身した動機を聞きたいわけでもない。確かに俺が黒竜に変身した理由を知りたいとは思うが、それはもうリヴェリアとロキが知っているから、その二人に聞けばわかる

 

ならなぜ、俺たちのやることを邪魔をして、俺を捕らえるのか

 

その理由に、フィンは口にする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「半年後まで僕たちのホームの牢屋に君を入れて、強制的に君をコンバージョンさせる」

 

 

「・・・・・・・・まさか・・・・そんなことのために・・・こんなことをしたのか」

 

 

少し驚いてしまった

 

カオスヘルツで驚く気持ちはないと思ったのだが、流石にそんなことを言われては少し顔を緩めてしまう。本気で言っているのだろうか、俺をもう一度ファミリアに戻すために、無理にでもステイタスを再度恩恵を掛けて団員に戻そうと、あと半年までの期間で俺を牢屋に入れて、そして半年後に俺を団員としてコンバージョンさせると言った

 

俺の意志とか関係なく、俺の恩恵を変えて、ロキ・ファミリアの団員としてまた働かせるようだ

 

 

「そんなことをしても、俺は団員として働くと思うか?例え恩恵を変えても、俺はもうお前らのファミリアの団員にはならない。俺はもうヘスティア・ファミリアの団員だ。例え恩恵を変えても、俺は裏切ってヘスティアのところへ戻る」

 

 

「でも僕のファミリアの団員に戻れば。リヴェリアとも結婚だってできるじゃないか、それとも・・・・・・彼女の信頼を失くしたいのかい?」

 

 

「ロキの眷属らしくなってきたな、そういう唆し方はロキと同じだ。俺にとって・・・・家族と女は毒だ。俺の心を突き刺さるからな」

 

 

「家族と女は毒か・・・・・・人間不信になったんだね、僕らの・・・せいだね」

 

 

「それ以外にもある。もう俺は・・・・家族だとか・・・女だとかで・・・・人の裏切りや騙しなどかで、疲労や不安を感じている。それが家族や友人や敵のほとんどでもあった。信じられる者は・・・・・限られている。彼女は・・・・俺に恋をし始めたのはわかるが、俺は・・・・・今までがそんな騙され続きだからなのか・・・・人の愛がわからなくなった」

 

 

「っ・・・・・・・・・・」

 

 

もう一度俺がロキ・ファミリアの団員に戻ればリヴェリアと正式に結婚ができる。戻らなければ俺はリヴェリアの信頼を失くす。戻らないと言うのはそういうことだろうからな、それを天秤に掛けようと脅すように言うのはフィンの考慮だろう。

 

フィンは俺と再び半年後に、俺が20歳になったら結婚を考えなきゃならない立場を察したのか、それを利用しようとしているのか、俺をロキ・ファミリアに再入団させようとしている

 

 

でも、正直言うと、もう愛だとか、恋だとかで振り回されるのが嫌だった

 

 

人の信用の無さをほとんどなかった俺が、少し功績を上げただけで信用戻してくる連中も居た。それまでの仕打ちや苦難などを俺に浴びせて来た連中が、掌返しをしてくるイカれた連中がほとんどだった。そんな・・・・・・自分の立場も考えず、矛盾を重ねては自分の欲望のために人を貶める。信頼など最初から無かったも同然

 

しかも今回の件でもそうだ。市民はほとんど俺に信用をなくした。散々街を守ってきたにはそうだが、仲間を守るために黒竜に変身した瞬間化け物呼ばわりされる羽目になった。意志はあるにも関わらず、信頼を切って化け物扱いを受けるなど、まさしく恩を仇で返されるのと同じレベルだ。

 

まあ、だから今回で市民の関係を絶って良かった。どうせ偏見で態度を表すような目で見たものでなければ判断できない者など。愚か者としか言いようがないからな

 

 

「化け物となった俺を団員にした所で、非難が今度はロキ・ファミリアに回るだけだぞ。そもそもお前自身としてはどうなんだ?一度は俺から信頼を絶っただろう。なのにいくら部下の提案とは言え、お前が俺を戻すことを賛成するとは思えないのだが?」

 

 

「僕は・・・・やり直しがしたいんだ」

 

 

「信頼を絶っておいてか?」

 

 

「ああ。僕も手の掌返しだよ。やり直したかった。君ともう一度仲間として受け入れたい。でも君は一度失った信頼を戻そうとしない」

 

 

「普通はそうだろう、一度絶った信頼は消える。戻りなどしない。あとは争ってどちらかが倒れるかだけだ。敵以外でもなんでもない。あとは腐れ縁と言う古い友人のつながりがあるだけ、その信頼を戻そうと本当の家族になるために必死に俺を守ろうとしているのがリヴェリアだ。そのリヴェリアは俺の所へ行こうとしている。俺が戻らないってわかっているからだ」

 

 

「そうだね、今でも後悔している。あの時・・・僕は最後まで君を信じるべきだった。なのに君の日頃の態度の悪さばかりを気にしてしまったからなのか、疑ってしまった。家族でもあって仲間でもあったのに、僕は・・・・」

 

 

「あの時の俺はまだ未熟だった。疑われるのは仕方ない、17の俺は世間知らずの餓鬼だ。お前の疑いは間違ってないと思っている。愚かな自分を受け入れてそれから強くなったのが今の俺だ。お前達が疑ったおかげでいろんな事を知れて強くなれた。少なくとも俺は自分のためにはなった。お前はなぜ後悔する?俺に何かして欲しいのか?」

 

 

俺を疑ったことに対して後悔していると聞くが、なぜ俺を疑ったことに今でも後悔するかわからない。俺を仲間として戻して何かして貰いたいのか、また俺を戦力として使いたいのか、俺をまたファミリアの仲間として戻す意味が俺にはわからなかった

 

リヴェリアはわかる。あいつは二年前とは遥かに変わった俺に惚れて、将来を共に歩く男として結婚したいと婚姻を頼んでいる。身分や資格や種族など関係なく、だからリヴェリアが俺をファミリアを戻したいと言うなら理解も納得もする。それが無理だから婚姻を受け入れる際は彼女自身が俺のファミリアの団員になると決めている

 

でもフィンもその他もわからない、戦力は十分も揃っている。ファミリアに必要不可欠な優秀な団員は全員揃っている。回復役や魔道士役や特攻役、全て戦いや魔窟を攻略するだけの人数も全て揃っている。なのにそこに俺を仲間として入れるのか俺にはわからない

 

確かに俺は回復もアイテムもほとんど全てがヘスティア・ファミリアの重要な戦力としての要になっている。まだ初心者に近いベル達では、知恵も知略も無い彼らでは今後の活動は難しく、その場の学習で会得するしかないだろう。まあこれが普通の中堅派閥らしいのだが

 

第一級派閥であるロキ・ファミリアが俺を求める理由がわからない。ティオネやベートだって、俺を戻すことに反対のはずだ。

 

なぜ俺を仲間として戻したいのか、フィン個人の目的を問いかける

 

 

その理由は

 

 

 

 

「僕は・・・・・・・君と言う英雄が居れば・・・・共に居れば一族の再興を目指せると思ってるんだ」

 

 

「一族の再興?どういう意味だ?ヒューマンの俺がお前らのパルゥムの再興になんの関係がある?」

 

 

フィンが俺を戻したい理由は、俺を一族の再興の材料に使うようだ

 

だが意味がわからない、仮にも俺はヒューマンだ。ヒューマンである俺がパルゥムの再興を実現させるために必要な人材だと、そんなのは関係ない。パルゥムの再興はパルゥムの人間がやってこその意味がある。それをヒューマンがやっても実現するはずがないと俺でもわかるのに

 

なぜそんなことのために俺を使うのか、再度問いかける

 

 

「君は知らないと思うけど。今ギルドは市民に君の捕縛を取り下げろと抗議を受けた嵐を喰らっているんだ」

 

 

「なに?市民は俺を化け物呼ばわりして非難しているんじゃないのか?」

 

 

「全員じゃないんだよ。君を化け物呼ばわりせずに未だ信じて味方をしているのが、しかもその中に・・・・・・・・・・・・・・『パルゥムの難民』も居るんだよ」

 

 

「っ!そうか・・・・俺が一ヶ月前にパルゥムの難民区に食料や住処を与えたな。まあその代わりに少し働いて欲しいと頼んだのがキッカケだがな」

 

 

今ギルドがどのような状況になっているのかは知らないが、フィンが言うには、俺が黒竜に変身して街を壊したことにより、犯罪者として捕縛命令が出ているが、それを取り下げろとギルドに抗議している市民が居るらしい。俺がモンスターに変身したにも関わらず、まだ俺を味方に思う者が居るらしい。

 

しかもその中には、以前俺が住処や食材を与える代わりに俺の頼む仕事をやり遂げてくれたパルゥムの難民も居るらしい。別に俺はパルゥムの誇りがどうとかはどうでもよく彼らの力が必要だからと。生活に必要な物をやるから力を貸して欲しいと仕事を頼んだ。もちろんその後も力を当てにして仕事を頼んでいる。それまでは彼らは無職だった。もしくは冒険者ではあるがあまりに戦力としては使えないからと金に困っている者も居た。だから俺が金なりなんなりと、望む物をいくつかやる代わりにと。俺の仕事をやってくれた。まあ今回は流石に頼らなかったが

 

今まで力を当てにしてくれたパルゥムの難民達が、俺が化け物であろうと人の心を持って味方してギルドに捕縛指令を取り下げようとしているらしい

 

 

「俺は彼らの力を借りたいために仕事を頼んだだけだ。あいつらは優秀だ。戦力以外でも彼らは有能な力を持っている。小人の知恵と手際は器用で他の種族より力がある。だから俺は代償として彼らに必要な物を渡す代わりに、働き手を借りた。ただそれだけで信頼を持たれただけだ。お前よりパルゥムの難民達の信頼を得ただけだ。それだけでどうやってお前と共に一族の再興を目指せる?」

 

 

「君はまだ英雄としての信頼を持たれている。これから僕らと共に活動すれば君はより偉大になり、僕の同胞も僕と君の存在の偉大さに気づいて彼らも僕のように勇気を出して前へと踏み出せるはずだ。そうすれば君の評価はかなり上がってまた以前のように君は市民に信頼を取り戻せる。君が黒竜に変身したことは僕がなんとかギルドに説得しよう。そうすればいつもどおりの日常を送れる。だから僕たちの所へ戻れ。君と僕が居ればこれからの先を、どんな困難でも乗り越えられるはずだ。君でさえもこれからこのオラリオで活動はできるはずがない。だから僕がなんとかしよう。必ず今度は僕が君を助ける。君が僕らの所に戻れば・・・・そうすれば・・・・・」

 

 

「やめろ。もう俺はベル達の所しか居場所はない。俺はここまでしてくれる者達を裏切ることなんてできるか、それとパルゥムの難民に信頼を持たされたいなら、俺以上の働きをすればいいだろう。俺を利用をして自分の目的を果たすな。自分の力で信頼を得て、お前と同じ種族に偉大さを思い知らせて勇気を出させろ。俺を頼るのはもうやめて、いい加減自分の力を使って同族を立ち上がらせろ!」

 

 

「っ!?」

 

 

俺はフィンに、もう俺を必要するなと、もう頼るなと言う

 

フィンは頭は良いのだが、あまりに自分の能力を活かせていない。物事の考えはできても自分の力を発揮出せていない。勇気を出すだけではどうしようもならない。彼らに何かしてあげるとか、感謝されるようなことをして信頼を得られるようにすれば、早くても一族の再興のための一歩踏み出せた

 

だがこいつには『弱者』を助ける気がまったく無い

 

俺がフィンに一族の再興を目指しても無理だと言うのは、こいつ自身がその目的のためになにもしていない。他の派閥に手を出すのを恐れているのか、ギルドのルールに忠実にしているからなのか、こいつにはたかが名誉だけで信頼を持とうと考えている。それだけでは一族の再興は成し遂げられない

 

 

「ずっと俺は、お前が目標にしている一族の再興を果たすことはできないと思っていた。お前は最善なことしかできないからだ。俺はいつもそれだけでは満足できないと。最善を超えて『絶対救済』を今までしてきた。その代償に自分の命を使ってはいるが、『救えない命』を『絶対』に救済してきた。俺はお前のやることよりも、人が信頼を持たれるような、それこそ英雄として名乗れる働きをしてきた。お前は『救える者しか』救えない。それだけではパルゥムの難民達もお前がパルゥムの代表として名乗ることに対して不服でしかならない。お前は・・・・・・少しは勇気を出すのはいいが、使い方を間違っている。だから何度でも言う。お前が一族の再興を目指すことなど不可能だ。少なくとも・・・モンスターでありながら理性であるあいつらを助けないのなら尚更だ。弱者を助けないお前には無理だ。諦めろ」

 

 

「君にそこまで言われるとは思ってなかったよ。今までは少し口喧嘩するくらいが僕と君の会話だと、二年前はそう思っていたのに、そこまで言いたい放題言われて、少し僕も感情的に動いてしまうよ」

 

 

「頭で考えることしかしないお前には、まだわからないことだってある。お前は弱者達をどうしたい?勇気を出させるだけでは名声は手に入らない。人から名誉が貰いたいなら、お前も英雄になれ」

 

 

「英雄に・・・・僕が?」

 

 

「英雄になればいろんな名誉が手に入る。俺もだ。隻眼の黒龍ファフニールに変身した姿を見ておきながら、まだ俺を人として信じてくれる者達がいる。俺をまだ英雄だと、モンスターに変身したのは何かの事情があると、仕方のない理由でモンスターになっただけだと。信じてくれる者達が今でも俺を助けてくれる。俺がオラリオの英雄としてまだ味方をしているのか、どういう意味で今ギルドに抗議をしている市民や俺の仲間や友人達が助けてくるのかは分からないが、目先のことで判断せずに、俺の内面を見て信じてくれる。人の名声を少しでも得ている結果だ。そう・・・・・・『英雄フィアナ』のように!」

 

 

「っ!?英雄フィアナ!?」

 

 

「お前は知らないかもしれないが、俺の故郷にはフィアナに関しての古書がある。とは言っても俺の先祖が彼女に会っているのだが、『女神フィアナは確かに架空』だが、『フィアナは架空ではない』」

 

 

「っ!・・・・」

 

 

女神フィアナは架空とパルゥムの間では誰もが知る残酷な真実ではあるが

 

俺の故郷では

 

 

千年前『英雄フィアナ』は存在していると、『フィアナ騎士団』の実在を知っている

 

 

もちろんそれらしい古書はオラリオにも、今の後世のパルゥムには伝わっていないが、俺の故郷にはしっかりと古書も残されている。俺の先祖と俺の師が『直接彼女に会っている』ため、彼女に関する文献を俺の故郷でしっかりと保管して持っている

 

そしてその内容を、俺は知っている

 

 

「俺は彼女の文献を読んだ。実に素晴らしいパルゥムの女性だ。勇気と勇士を持って戦った女だ。お前はそんな存在を信仰しているが、その程度では誰も他種族のパルゥム達は着いていかない。お前が一族の再興を目指したいなら、俺よりも・・・・・・人々を救って見せる『フィアナを超える英雄に』なって見せろ!勇者の名を背負っているなら!それくらい果たせ!そうでなければお前の種族は救えない!」

 

 

「英雄になることで名誉を手にするか・・・・・僕には難しい話だな、でも・・・・目指したい!!」

 

 

パルゥムの再興を目指すなら、英雄になるしかない。それもフィアナを超える英雄に

 

少なくとも俺はその方法でならパルゥムの再興は果たせると、そうすることでしか目指せないと思っている。パルゥムがなにかしらの救いをして英雄になれば、フィンに付いていくパルゥムは多いだろう。まあごく一部は否定するとは思う。ただでさえフレイヤ・ファミリアのガリバー兄弟はあまりフィンを好まないからな

 

でもどの道、英雄になる他、種族の再興は果たせないと思っている。その理由は俺が英雄になった途端に、それまでに嘘つき冒険者と呼ばれた俺が嘘のように特別扱いされたからだ。救いをしたからとサインを求める子供、婚姻を無理に頼んでくる知らずの女、英雄だからと買い物を低価格で買えるサービス、英雄としての特権、他者から特別扱いできる名誉を得られる。そうすれば目的は果たせるはず

 

問題はその英雄になるために、なにをするかだ

 

英雄になるために、なにを救うかだ。でもそれはもう・・・・・

 

 

『目の前』で果たせる

 

 

「だから俺を捕まえて見せろ、俺はもう世界の敵である隻眼の黒竜だ。俺を捕まえれば英雄になれるぞ?」

 

 

「っ!今度は僕に選択させる気か・・・君は」

 

 

「ああ。俺を捕まえても一族の再興なんて力を貸さない上にファミリアにコンバージョンしても働かない。でも俺をギルドに引き渡せば、もしかしたら英雄になれる。俺は・・・・世界を滅ぼすかもしれない隻眼の黒竜だ。それを止めたのであればお前にも市民から名誉が得られるはずだ」

 

 

「どうあっても・・・・君とは戦う運命か」

 

 

「そういうことだ。と言うよりわかっていたのだろう、そんな完全な装備でしてきているのだから、戦う他ないんだ。お前がこれからすべき事はな」

 

 

俺はフィンに俺を捕まえるしかできないと、ファミリアに戻しても無駄だと言う

 

俺のやることはこの都市の者からすれば、タダのイヴィルスでしかない。まあこれで人殺しをすれば完全な犯罪者だ。だがまだ俺は人殺しはしていない。だから今は隻眼の黒竜に変身しただけの異様者だけだ。でも俺を捕縛すれば黒竜の魔の手からこの都市を守ることはできると言う。まあこの都市を壊すつもりはないのだが、それでも俺を止めれば評価は上がる。英雄となった男がモンスターに変身して悪に堕ちたのであれば、もはや俺は悪の存在だ

 

それを止めさえすれば、英雄になるかは分からないが、少なくも絶大な評価を貰えるはずだ

 

 

そのためには、俺を戦うしか無いがな

 

 

「覚悟は・・・・できているだろう?」

 

 

「ああ・・・・・・行くよ」

 

 

「来い」

 

 

会話はここまで、どうあっても俺たちは相反する。だから戦って勝敗を決めてどちらかが正しいか決着を付けるしかない。むしろ俺とフィンは望んでいた方だろう。俺とこいつはいつもそうだからな。相反するとすぐ喧嘩、ベートとなら即喧嘩なのだが、フィンの場合は少し言い争ってからそれで決着が付かない場合は喧嘩だからな。フィンはああ見えて冷静沈着な性格だから。そんな荒いことは常に控えて、口論でケリを付けるのが彼だ

 

でも俺は違う。いつもなぜか比較的に対称に俺はされやすい。彼は何か自分には持ってないものを俺が所持しているのか、いつも彼は俺に嫉妬していた。弱いからだとか強いからだとかではない。俺は他者達から惹かれやすいだそうだ。嘘つき冒険者と言われた俺が他者から惹かれるのは多くの理由があるからと、別に俺に魅力があるわけではないはずだが、二年前にアポロンに騙される数ヶ月前に、そんなことを本人に言われた。だからここで戦っての腹いせだと思っている。もしくは・・・・これから自分に目指すキッカケを見つけられるのではないのかと、俺に挑もうとしているのだろう

 

どんなことであろうと、俺がフィン再び争ういつの日がやってくるはずだと、俺はなにも恐れることなく立ち向かうしかない

 

黒竜の心臓を口にしたあまりの報いとでも言うのだろう。もはやフィンと戦うことは定めだ

 

 

 

 

 

だが

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

「っ!なんだ?」

 

 

「ほう・・・・まさか・・・あの場を切り抜けてきたようだな」

 

 

突然フィンが俺に向かってくる途中で、横から何かが降ってきたかのように落下した。その落下した衝撃の煙で何が落下したのかは見えないが、俺は魔力感知で『誰』が降りてきたのかわかっていた

 

そして、ここへ降りてきた者は

 

 

「ジーク!!!やっと見つけたぞ!」

 

「ベート!?」

 

 

「やはり・・・ここへ来たか」

 

 

 

ここへ降りてきたのはベートだった

 

俺と戦える状況であるなら、最優先して俺の方へ向かうと思っていた。でも少し体がボロボロだった。おそらくリリルカが街に撒いた幻影粉にまんまと俺の罠に嵌って、俺の幻影を見て街中を走り回っていたようだ。少し汗も垂れている。言うなら準備運動でもしたのだろう。幻影粉で街を彷徨う前に俺と戦うことを優先するために、もう匂いで俺を追わずに、今度は気配で俺を探していたのではないのかと推測する

 

今更こいつが増えても問題ない。以前も言った通り、今の俺は罪人であり戦う理由は揃っていると、俺はグラムだけでなくリジルも取り出して構える

 

 

「本当なら誰にも邪魔されずにお前と俺だけで戦いたかったとは思うが、今更だ。別に構わないだろうな。あと一人増えるくらい問題ないだろう?」

 

 

「そうだね・・・・・ベートはあの様子じゃあ止まる気はないみたいだしね」

 

「フィン!邪魔すんな!俺がジークをぶっ殺すんだ!テメエはすっこんでろ!」

 

「それは君だよ。せっかく僕と彼だけで戦おうと思っていたのに、じゃあ君は僕の邪魔をするってことで、容赦はしないよ」

 

「へえ、面白え!フィンもまとめてぶっ殺してやる!!」

 

 

「珍しく、ここでお前達が仲間割れか・・・・」

 

 

フィンとベートは俺と戦うのに、仲間は邪魔だと言い張る

 

俺と戦うのに邪魔をするのなら仲間でも容赦しないと。お互いの目的のためにフィンもベートも敵同士になる。二年前もそうだったが、珍しくフィンはベートに怒る時もある。それは流石のベートのふざけた暴言に聞き飽きた時である。今度は自分の目的のためにもベートは邪魔だと、仲間であるベートを俺と同時に倒そうとする。

 

ベートもやっとの思いでここへ辿り着いて俺を見つけたのにも関わらず、そこにフィンが居ては邪魔だと、せっかく久しく一対一の勝負ができると思ったのに、俺がフィンを無視してフィンと戦おうとしていたのを見て、先にフィンが俺を狙おうものなら、ベートも仲間であり団長でもあるフィンをも倒そうと、俺と同時に倒そうとする

 

これでは三つ巴の戦いだ

 

 

ここに着いて、やっと俺に出会したベートは一言発言する

 

 

「ジーク。俺はテメエがあの隻眼の黒竜に変身しようが、テメエがクソヒューマンじゃあ無いだろうがどうでもいい。テメエとやっと戦えるんだ!レベル6で俺たちと対等だ!前みたいに屁理屈言って途中でやめんなよ!」

 

 

「やめるつもりはない。ここでお前達二人を同時に倒してしまえば、ロキ・ファミリアの主力が無くなり、他の団員も無力化したも同然、言うなら『大将を倒せば戦いに勝敗が決まる』。と言うより・・・・・・俺も『最初から』お前ら二人を片付けようとしていた。だからやめるつもりはない」

 

 

「じゃあ僕が勝つか、ベートが勝つか、君が勝つか、だけでこの戦いの終着点は決まると言うわけだね?」

 

 

「そういう事だ。もちろん俺も全力でお前ら二人を『殺す気』で行く。つまりは・・・・全力だ!」

 

 

「「っ!」」

 

 

俺の体から黒いオーラと思われる闇が少し放出する

 

黒竜の覇気を剥き出しにするほどに人間姿の状態でも多少は黒竜の力を扱えるとは言え半分の力だけだが、あの二年前の喧嘩の続きで、本気の力を吐き出す。相手はベートとフィンだ。ロキ・ファミリアの主力相手に手加減などする気はないと言うより本気を出さなければこの二人も納得しない上に、本気で倒しに行かなければ倒せない相手だ。油断なんて一つもしない

 

ベートの望む通りに、今引き出せる分の黒竜の力も使ってまで全力で挑む

 

 

「魔法を使う気でかかって来い。でなければ・・・・死ぬと思え!」

 

 

「は!そのつもりだ!フィンもテメエも・・・・俺が噛み殺す!」

 

 

「言うじゃないか、それじゃあ僕も本気で・・・・君たちを射抜く!」

 

 

フィンもベートともに、覇気を剥き出して武器を構える。

 

本気なら本気で答えるべきだと、まるで礼儀を返すかのようにベートもフィンも先ほどまで緩い感じはなくなり、真剣に向き合って、いつもの冒険者の顔をしていた。言うならモンスターを排除する狩り人の眼をしている

 

俺が黒竜の覇気を出しているなら、もはや俺が黒竜そのものであると、挑んだことはないと思うが、ダンジョンに出てくる階層主とは遥かに違う存在の格上の竜を相手にするのと同じく、もはや俺を世界三大クエストの最後の黒竜だと思って挑むのだ

 

少しでも気を抜けば死ぬのは確実だろう。でも俺とて完全に扱えるわけじゃない。たった『半分』だ。その半分を俺が扱えるのであったとしても俺の性格を考えて油断なんてできる相手ではないと二人もわかっている。かつてはそのゼウスとヘラの眷属を全滅させたモンスターだ。レベル9とレベル8が倒せなかった黒竜が、当時レベル3の俺に負けて力を奪ったと言えど

 

この戦いは、歴史に残る経歴となる

 

なぜなら

 

 

 

 

 

黒竜の力を持つ英雄雷帝が、かつての仲間だった勇者と凶狼と殺し合うのだからな

 

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

 

俺たち三人は一斉にお互いへと、剣・拳・槍と言った武器で激突する

 

その激突の衝撃が激しく散った。このダイダロス通りの東区から、オラリオの全街に広がった。その激突が衝撃だけでなく、地震・地割れ・突風・魔力の衝撃波など。全ての環境に響く一撃が、オラリオの全域に広がった

 

レベル6と言えど、上級冒険者同士の戦いは戦火にもなるほどに、激戦になることで街の一つ二つが簡単に吹き飛ぶ、ここオラリオでは抗争に発展するかもしれないから上級冒険者の戦いはギルドのルールにより禁じられている。でも今はそんなルールは関係ない。俺は罪人でフィン達はそれを止める騎士、戦う理由は全て揃っている上に道理はある

 

まあ誰がなんと言おうとこの戦いは止まることはない。

 

 

なぜなら俺たち三人はもう・・・・・冒険者がする本来の眼である

 

 

『狩り人の眼』をしていたからだ

 

 




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