ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

84 / 201
絶望の黒竜がオラリオを救う

そして

 

その詠唱はしっかりと、遠くに居た俺の耳に届いていた

 

 

「やはり精霊魔法の詠唱を始めたか!」

 

 

走りながら遠くの先でゴルゴンの詠唱が確かに聞こえた。やはり予想通り、ゴルゴンはなんとしてでも魔法を使用使用しているようだ。遠くから多くの魔力を感じた。その中に頼んでもいないティオナやティオネまでも居る。あの二人でもデミ・スピリットは放っておくことはできなかったようだ

 

詠唱の文章を聞く限りでは間違いなく、ファイアー・ストームで間違いない

 

仕方ないとは言え、まさか本当にこの都市を魔法で吹き飛ばそうとは、元精霊なのが疑い深い怪物だと思った。

 

 

それでどうするかだ。

 

 

ファイヤー・ストームは間違いなくこの街一帯を燃やし尽くせる上級精霊魔法。使われたら・・・・・間違いなくこの街は終わりだ。だがスヴェルヘイムを発動するのにも遠く、全員分などの盾の結界は出せない。だからと言って魔法を発動させるわけにはいかない。ベル達でも手段が無く打つ手がないだろう

 

となればだ

 

魔法を阻止するにはどうするかだ。もし俺頼りにベル達が待っているのだとするなら俺がなんとかするしかないのだが、俺も流石に体力の限界が近くなった。回復薬は全部リリルカ達に渡して、知らない冒険者やベートやフィンやレヴィスも回復無しで戦ってきた、おまけにルーンブレイクだって使って、体力も精神も限界は近い。かと言ってゴルゴンの魔法を暴走させる手段もない。つまりは俺も負傷も含めて厳しい状態となった

 

 

 

だからこんな時こそ、黒竜の力を使う

 

 

 

もはやファフニールに変身する他、手段はない

 

ファフニールの力なら、ファイアー・ストームの炎を体で受け止めることはできる。奴の体はどんな魔法をも打撃を受けない鉄よりも鉄壁な体。ゼウスとヘラの眷属の魔法すら傷一つ付かない奴だからこその力、使う他ないだろうな

 

既に俺の体は怪物化している。もう何度も黒竜の力を何度も使って侵食は激しくなっている。だから躊躇う必要はないとルーン文字を描く。もちろん変身した時は俺の自我を保っていると信じて

 

 

「恐怖、後悔、無念、嫌悪、軽蔑、嫉妬、罪悪、殺意、怨念、苦痛、憤怒、空虚、傲慢、強欲、色欲、暴食、狂気、残酷、怠惰、悲嘆、虚栄、淫蕩、絶滅、滅亡、破滅、闘争、憎悪、・・・・・・・・・・そして絶望!!!終焉!!!」

 

 

俺は赤黒いルーン文字を描いて、その文字全てを左手の中に集め、その文字を胸に当てて俺の体から黒いオーラが放出する

 

今はこの怪物の闇を使って人々を守ろう、体は怪物であろうとも心は人、今は仲間を守るため、ヘスティア・ファミリア団長として仲間を助けるために黒竜の力を使うまで、もちろん使ったら最後、左半分は終わるだろう、無論そんなことは恐れない

 

 

今は

 

 

守るべき者達のために報いるまで

 

 

「ルーン・アーマメント発動!!黒竜怪獣(ファーブニル・ドラグーン)!!!」

 

 

そして俺が放出した黒い闇が一斉に広がり、俺が今いる場所だけ

 

 

黒い柱が出現して、天にまで上って俺はその闇に包まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数分前

 

 

『命じる与えられた我が名は・・・サラマンダー炎の化身・・・』

 

 

『まずいぞ!』

 

『詠唱が終わってしまいます!』

 

「俺の魔法で暴走させたいが!場所がわからねえ!」

 

「く!」

 

「このままじゃあ!どうすれば!」

 

 

ベル達はゴルゴンの尻尾の防御に、何もできないまま、そのまま尻尾に攻撃をし続けている。がそれも効かず。思った以上に効かないのか、尻尾の効力と大きさもあるのかビクともしない

 

すると

 

 

『炎の女王!!』

 

 

「まずい!!」

 

「来る!!」

 

 

詠唱が終わった瞬間に、ゴルゴンは尻尾を解いて姿を表す。だがその時に詠唱を終えて、顔の目の前に手を合わせて、小さな炎が地面へと

 

 

『ファイアー・ストーム!!!』

 

 

と、両手の中から小さな炎が地面へと徐々に落ちていく

 

 

 

『地面に落ちたら一斉に広がるぞ!!』

 

 

「ジーク!!」

 

 

もう発動して、ファイヤー・ストームの小さな炎が地面へと落ちる。このままオラリオを焼き尽くされ、この街に住む人々全てが。焼かれて終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが

 

 

ビュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!

 

 

「っ!?黒い柱!?」

 

「あれは・・・・まさか!?」

 

『主!?まさか!?』

 

『またも使ったのですね!?」

 

 

突然後方から黒い柱のようなものが展開された。その黒い柱は誰もが知るもの。それは以前三日前にもダイダロス通りで起きた。神の送還に近い柱。その柱はアイズやサラマンダーたち精霊、ベル達までも知っているもの

 

そして次に起こることは

 

 

 

 

『「ふ!!」』

 

 

「やっぱり!?」

 

「ジーク!?黒竜に!?」

 

 

黒い柱から、突然全身黒い竜が飛び出してきた。

 

その黒い竜は間違いなくとも、俺ジーク・フリードがまたしても黒竜ファフニールに変身した。その姿で俺はゴルゴンの手から落とした小さな炎を

 

体を地面に滑ってでも、手で掴んだ

 

 

『「させるか!!」』

 

 

『な!?』

 

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

「「「「「「ぐ!?」」」」」」

『『『主!?』』』

 

 

俺は黒竜の手で、小さな炎を地面に落ちる前に掴んで、一帯を広がずに、炎だけは手のひらで押さえ込んで、衝撃だけは漏れてしまい。その衝撃の音撃と、その突風だけは起こしてしまい。ベル達はその衝撃に備え、地面に膝を着く

 

そしてしばらくその衝撃音が収まると、俺は地面から立ち上がり、改めて、この小さな穢れた精霊とご対面する

 

 

『な・・・な・・・な・・・なんで・・・竜が!?』

 

 

『「驚いたな・・・・こんな小さな精霊がデミ・スピリットだったとは・・・・・まあ俺が大きくなったこともあるが・・・・これが元精霊とは俄かに信じがたいな・・・・」』

 

 

そう言って俺は手のひらでまだ燃えていたため、俺はもう一度握り締めて、手のひらに燃えていた炎を消す。

 

ファイアー・ストームは精霊魔法の中でほぼ上級に強い魔法だ。かつて黒竜に立ち向かったハイエルフにして下界最強の魔導士であるセルディアの魔法ですら効かなかった黒竜の体では、ファイアー・ストームであろうとも、この力を持って尚、俺の体は傷が付かない。

 

そして初めて見るのだが、デミ・スピリットがこんなに小さな存在だと。正直拍子抜けだと思って呆れた。黒竜に変身したからなのか、弱い力に対して、ベートのように悪い考えを持ってしまう

 

俺の声も黒竜と同じ声を発して、まるで奴そのものになった気分だった

 

 

『「だがもうどうでもいい。お前を消すだけだ」』

 

「ジークさん!」

 

『「無事か?全員?」』

 

「はい!全員無事です!」

 

「今の所、負傷者も居ません!」

 

『主!?意識は大丈夫なのですか!?』

 

 

『「ああ。どうやら『彼女が近いおかげ』で、少しはまともに意識は保っているようだ。今は問題ない」』

 

 

中央広場に着いた瞬間に、ベル達に戦況を聞き、今の所は負傷者もいないと、全員無事なようだ

 

サラマンダーが俺の意識が保っていることに驚きもすれば多少制御をしていることに気づく、今この場にシルが近くに居るからなのか、怒りが膨れ上がることなく、いつもと同じ無感情の状態でファフニールに変身しても暴れずに保っていた

 

 

「ジーク・・・」

 

「本当にあんた・・・黒竜に変身できると言うの!?」

 

「黒竜・・・・いや・・ジーク」

 

 

『「ティオナ、ティオネ、アイズ、今お前達が倒すべきは、あいつじゃないのか?お前達は冒険者だろう?ならば全うするんだ。やるべき事を」』

 

 

「うん!わかった!」

 

「あんたに言われなくてもわかっているわよ!」

 

「・・・・・・・・・うん。わかった」

 

 

アイズ達とは本来敵同士なのだが、

 

今はデミ・スピリットを倒すことに集中しろと、今はお互い争わずに、冒険者として街を守るためにモンスターを討伐するように動いてくれた

 

アイズはまだ俺が黒竜に変身することが信じられないようで、現実逃避をするように、例え俺が黒竜であろうとも、若干剣を向けようとしていた。でもデミ・スピリットを先に倒そうと、今は冒険者としてやるべき事に動いてくれる

 

 

「ジークさん、どうしますか?」

 

『「無論引き続き追撃する。奴をなんとしてでも倒す。全員街のために死守だ!でなければ人が死ぬぞ!引き締めろ!!」』

 

 

「「「「「「「おう!!」」」」」」」

「「「「「「うん!!」」」」」」

『『『はい!!!』』』

 

 

今度は俺も混ざってデミ・スピリットの討伐を引き続き開始する。ベル達以外多くの冒険者達の前で。またも黒竜に変身したのだが、それでも今は気にせずに、黒竜の力を使ってでも穢れた精霊を始末する

 

だが、二度も魔法を使われるわけにはいかないと、俺はゴルゴンに二度と魔法を使わせないように、カースを掛ける

 

そのためには、口から赤黒いルーン文字が浮かび出る。俺はブレスを吐いてカースを掛けるのだが、これも魔術である。俺が魔術で繰り出すのは

 

 

『「ムスペルヘイム・ドゥンゲル!!!」』

 

 

『え!?ぎゃああああ!?』

 

 

「ジークさんの口から黒い炎が!?」

 

「ムスペルヘイムなのか!?なのに黒いぞ!?」

 

『黒竜の力が混ざっているのか、ルーン魔術までも強化されるようです!』

 

「俺のブレスより強そうだぞ!?」

 

 

俺が本来使うムスペルヘイムは、黒竜に変身した場合で使用する場合は手のひらからではなく、口からブレスとして放出するようだ

 

グリフォンの説明によれば、黒竜の力までもがルーン魔術として扱えるようで、ムスペルヘイムまで黒竜の力が混ざることで、炎に闇が含まれる事で、赤い炎が黒くなる

 

そしてそのブレスは見事にゴルゴンに直撃する

 

 

『お、おのれええ・・・・・・っ!?これは!?』

 

 

ズズズズズズズズズズズズズズ!!!

 

 

「な、なんですかあれ!?」

 

「ゴルゴンの体に、何やら変な黒い文字が!?」

 

 

俺のブレスを直撃したのだが、全体まで燃え尽きる事なく、まだ生きているのだが

 

突然ゴルゴンの体から、黒い文字が浮かび出る

 

それはルーン文字で、俺のファフニール・フルーフと言うレアカースを掛けることのできるレアスキルで掛けられた証として体に呪い文字でも描かれたように呪われた

 

これで魔法は使えない

 

 

『「お前にレアカースを掛けた。もう二度と魔法は使えない」』

 

 

『なんですって!?』

 

 

『「なら使ってみろ。二度と死ぬまで発動できない」』

 

 

『く!サンダー・レイ!・・・っ!?・・・アイシクル・エッジ!・・・っ!?・・嘘!?本当に魔法が発動できない!?』

 

 

『「だから言っただろう。魔法の発動を封印させて貰った。まさかファフニールにこんなカースまで持っていたとはな。ゼウスとヘラの眷属がやられるのもわかるな」』

 

「す、すごい!」

 

「本当に魔法が打てねえ!」

 

「なんて恐ろしい力を持っているのよ!?」

 

「これが黒竜の力ですか・・・魔法をカースで呪って使用不可にするなんて・・・・なんて恐ろしいモンスターなんでしょうか」

 

「流石は世界三大クエストの最後のモンスターだけのことはあるにゃ!」

 

 

ゴルゴンは魔法を発動するも、何も起こらず、魔法陣ですら現れない。カースを解く方法はあるが、そんなことをさせるつもりはなく、これで全員で一斉に畳み掛けることができる

 

あの黒竜ファフニールにまさかカースまであるとは思いもよらず、ティオネやアスフィは改めて黒竜の恐ろしさを思い知り、これが三大クエストの最後のモンスターで、あのゼウスとヘラの眷属が全滅したのも理解できると思っている

 

 

だが、これで勝機は見えた

 

 

『「魔法はもう発動できない。一斉にかかれ!!!」』

 

『『『「「「「「「「うおおおおおおおおお」」」」」」』』』

 

 

『く!?来るな!!』

 

 

『「逃がすものか」』

 

 

『な!?離せ!?』

 

 

ゴルゴンが魔法が使えなくなったとわかった瞬間、一斉にベル達はゴルゴンを襲う

 

もちろん魔法が使えなくなったゴルゴンは逃げようとするが、俺が少し体をズラして先端に爪が生えた尻尾で、奴の尻尾を絡ませて逃がさないようにする。

 

その隙にベル達が一斉に斬り裂き、魔法で砕く

 

 

「うおおおお!!ファイア・ボルト!!」

 

「最後の魔剣!喰らいやがれえええ!!業魔!!!」

 

「ならリリも!クラウ・ソラス!!」

 

「斬らせて貰うぞ!!」

 

「ヴェルフ殿!!自分も二本目行きます!!風魔!!!」

 

「ルミノス・ウインド!」

 

『ハリケーン・フェザー!!!』

 

『メテオ・ショット!!』

 

『ファイヤー・ブラスト!!』

 

「バーストオイル。全弾掃射!!」

 

「一瞬で貫くにゃ!」

 

「ぶっ潰すにゃ!」

 

「これで終わりなさいよ!」

 

「喰らいやがれ!!」

 

「マジックアイテムを使わせていただきます!爆弾導火!」

 

「ヴェルフ!最後の一撃を使わせて貰うぞ!雷鳴!!!」

 

「これで・・・・・終わらせる!!」

 

「ティオネ!」

 

「ええ!これで終わりよ!」

 

「テンペスト!!!」

 

 

『ぐ!?この・・・ぐ!?きゃ!?・・・・が!・・・く!・・お・・・お・・お・・・おのれええええええええええ!!!』

 

 

尻尾が絡まった状態で動きが取れないゴルゴンは、ベル達に魔法なり、マジックアイテムなり、魔剣なりと。一斉に火力を込めるように、ゴルゴンを一気に倒そうと、俺が捕まえている間にベル達は切り札をここで使い果たす。ゴルゴンは足掻こうにも、俺の黒竜の体では貫くことも傷一つ付かない。

 

何もできないまま、ゴルゴンは終わるかと思いきや

 

 

『こんな・・・・人間如きに!!・・・・』

 

 

『「ほう・・・・まだ生きているのか。デミ・スピリットの生命力は高いと考えていたが、ここまでとはな』

 

 

「そんな!?」

 

「まだ生きているのかよ!?」

 

『生命力は相変わらず我らと同じか!』

 

『元精霊だけのことはありますからね!』

 

「でもまずいよ!」

 

「もう限界に近いのよ!」

 

 

いくつかのゴルゴンの体には火傷や斬り傷など。死に掛けてはいるが、まだ動けるのか、アステリオスの攻撃もあったと言うのに、まだ息があるのか、元精霊でもあるのか、まだ生きていた

 

だがベル達はもう限界だ。ここまで来るのに、お互い戦い合ったのだ。お互いイレギュラーな事がなければ、ここまで体力が尽き欠けることはないだろう。

 

だからもう打つ手はない。ベル達は

 

 

『「人間に負けるのは嘸かし悔やむだろう?なら・・・・・・俺がお前を殺そう」』

 

 

『っ!?』

 

 

先ほどゴルゴンは『人間如きに』と言った。なら今人間ではない俺に殺される方が、悔やまずに命を落とせると思い、俺自らが奴の息の根を止める。だが、ゴルゴンは全く持って危険な選択をした。人間に殺されるのなら、モンスターとなった体が消滅して魂は精霊のまま、天へと逝くのだが

 

 

俺はそれを決して『安らかに終わらせる』事はない

 

 

『「ふ!!」』

 

 

ブウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!

 

 

『「あ!?なにこれ!?闇!?・・・離して!・・・離して!・・・離してえええええええ!!!」』

 

 

「デミ・スピリットが!?」

 

「ジークの手から放出した黒い霧に包まれて・・・宙に浮いて行く!?」

 

 

俺は一度ゴルゴンの尻尾の絡みを解いて、今度は俺の手から黒い霧と言う闇を放出した。その闇はゴルゴンに纏わり付いた。闇はどんどんゴルゴンの体を包まれるように、そのまま空へとどんどん浮いて行く。その闇に囚われたゴルゴンは抗うこともできないまま、されるがままに空へと浮いて行く

 

ゴルゴンを包んだ闇は、俺が手を動かせばどこへでも自由に動かせる。俺はトドメを刺すために、俺はなるべくバベルの塔へと離し、それはそのままゴルゴンに向けて手を翳したまま。見える分で地面からなるべく遠い空へとゴルゴンを空へと浮かせる。

 

なぜそこまでゴルゴンを遠くへ離すのか

 

 

 

それは今から放つルーン・ブレイクは・・・・『アルバートを殺した必殺技』だからだ

 

 

 

『「恐怖、後悔、無念、嫌悪、軽蔑、嫉妬、罪悪、殺意、怨念、苦痛、憤怒、空虚、傲慢、強欲、色欲、暴食、狂気、残酷、怠惰、悲嘆、虚栄、淫蕩、絶滅、滅亡、破滅、闘争、憎悪、絶望!!終焉!!!これが我ら人間の全て!神々が侵してきた罪と罰にして!この世全てが悪だった真っ赤な証!全てを憎み!全てを怒り!全てを拒み!全てが悪!正義と言う理想も無ければ!希望と言う未来もない!英雄とて否定することのできない。我ら人間の本性!!!」』

 

 

「ジークさん・・・・・」

 

「ジーク・・・・・・」

 

 

ルーン・ブレイクを発動するのに、今まで込み上げてきた憎しみが、さっきまで治っていたのだが、やはり黒竜のルーン・ブレイクを使うとなると、全てを憎みたくなると言う負の感情しか感じられなくなり。黒竜の本能が俺の本性としてリンクするのか、

 

今穢れた精霊に、俺の憎しみの全てを答える

 

 

『「俺のルーン魔術となった黒竜の力よ!俺の憎しみで、あの穢れた精霊に裁きを!!ルーン・ブレイク発動!!!」』

 

 

『ああ・・・アアアアアアア!!!痛い!?痛い!?痛い!?吸い込まれる!?』

 

 

「あ!?あれは!?」

 

 

『「化け物は化け物らしく、暗黒に還れ!!!」』

 

 

俺はルーン・ブレイクを発動させようと、両手を合わせようとすると、ゴルゴンの胸の前に黒い球体が現れる。そして包んでいた闇が、その黒い球体へと吸い込まれる。ゴルゴンの体がどんどん無理に吸い込まれ、体が黒い球体に吸い込まれて灰になる前に消滅する

 

体の下半身は吸い込まれ、上半身が最後に残ったところで、

 

手を合わせて幕を閉じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「ファフナー・ドゥンゲル!!!」』

 

 

 

 

 

『アアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!・・・・・・・・・・・・』

 

 

ビュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!

 

 

両手を合わせた瞬間、ゴルゴンは黒い球体に吸い込まれた

 

衝撃は起こらないものの、無音が数分続き、ゴルゴンは二度とここへ現れることのない闇へと葬られた。どんな万物すらも闇に呑み込む危険なルーン魔術。

 

 

かつて大英雄アルバートを殺した技でもある

 

 

ゼウスとヘラの眷属は決して勝つことのできない能力をファフニールは様々に持っていた。魔法やスキルを無効や使用不可にするレアカース。どんな攻撃をも通らないオリハルコンよりも硬い鋼鉄の鱗の体。そしてどんな生き物でも地形でも全てを呑み込む闇。

 

俺はその全てをフレイ・リーベで凌駕し、その究極とも言える、隻眼の黒竜ファフニールの全ての力を手にした事で、

 

 

俺は黒竜ファフニールとして、奴の力を竜に匹敵するスキルであるドラゴンスレイヤーで奪ったのだ

 

 

人が竜の力を得ると言うのは、ランクアップするよりも恐ろしい力を手にするのと同じこと。俺が望んでそうしたのだから仕方ないのだが、その力にも代償があるから恐ろしいのだ

 

それは

 

 

『「ぐ!・・・・ぐう!」』

 

 

「ジークさん!?」

 

「ジーク!?」

 

 

『「わかっていたことだ。黒竜の力を使えば、体に負担が出ることもな」』

 

 

俺はそのまま地面に膝を着いた。黒竜のルーンブレイクを使うのは今回が、初めての怪物のルーン魔術に俺の体が重くもはやこれ以上戦うことのできない苦悩が響いた。今気を保っているが、あまりの力の使いすぎと、黒竜の力を半分使うだけで魔力切れが激しく、俺はもう立ち上がることのできない体の痺れが体中通る

 

 

そんな中

 

 

「黒竜・・・・・両親の仇・・・・」

 

 

『「アイズか・・・・・やっと覚悟を決めたか・・・」』

 

 

俺が痺れて動けない状態の中、横からアイズが俺に近寄り、俺を斬ろうとデスペレートを向けてくる。

 

やっとアイズは俺を斬る決心が着いたのか、やっと俺が怪物であることを受け入れたのか、今度こそ俺を斬ろうと近づいてくる。もちろん痺れている今の俺は、完全に身動きが取れないから逃げることも防ぐこともできない。

 

だが

 

アイズがやっとの事で決心をし、俺を決別選択するのであれば、彼女が後悔しないと言うのなら、俺を本当に斬るのか確かめるチャンスだと、なにも言わずに彼女のする事を見届ける。デスペレートが俺の体を貫けるとは思えないが

 

 

彼女の覚悟を確かめようと、俺は彼女の行動を観察する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

「ダメ!斬らないで下さいアイズさん!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

『「シル・・・・」』

 

「シル!?あれほど出てはならないと!」

 

 

俺を斬ろうと近づいてくるアイズに、シルが立ち塞がった

 

このままアイズのやることを確認しようと思ったが、シルが流石に観ていられずに俺の前に立った。竜の姿になっても俺は俺だと信じてくれるのか、怪物の姿であろうともシルは剣を向けられているにも関わらずアイズに立ち塞がる

 

 

「どいて・・・私は・・・両親の仇を・・・」

 

 

「ジークをですか?あなたはかつての仲間を斬ろうとするのですか!?」

 

 

「っ!でも・・・・黒竜に・・・・」

 

 

 

 

「モンスターに変身したジークを!貴方は斬ろうとするのですか!?たった今この街を救ったのに!!」

 

 

「っ!?」

 

 

『「シル・・・・・」』

 

 

シルが俺の目の前で怒鳴るのは初めてだった

 

今回の件で、俺への仕打ちが、こうも人のやることが気に食わないのか、不満が溜まりに溜まって爆発したようだ。彼女は俺に恋をしていることもあり、今人のために怪物になってでも守ったにも関わらず、怪物だからと危険生物として排除しようとする、身勝手な人間の行動に

 

流石のシルも我慢ができなくなったようだ

 

 

そしてそのまま彼女は全ての鬱憤を晴らすように発言する

 

 

「ジークが何をしたって言うんですか!?もう貴方のことも、市民の皆さんも、正直許せないです!!彼が何をしたって言うんですか!?彼はモンスターに変身してでもこの街を守った!そんな人のためにした人に対して、怪物だからと殺すのですか!!もう貴方たちの身勝手に私はウンザリです!!!」

 

 

「私は・・・・・・・」

 

 

『「人間の勝手さに・・・・・もう我慢ができないか」』

 

 

シルが珍しく怒る理由は、この理不尽な人々やアイズの考えの傲慢な仕打ちに対して

 

人はモンスターは悪だと常識に考えてしまった。それが例え理性があろうとも、怪物は消すが正しいと判断してしまった

 

だがもし人が怪物に変身し、その力で人々のために戦ったことについてはどう思うだろうか

 

俺が黒竜の力を使わなければ、ゴルゴンによりこの街は魔法で吹き飛んでいた。それは冒険者の仕事だから仕方ない。怪物に変身したのだから消すしかない。そんな利用的に見るか、それともルールや常識に囚われるか、誰一人として、市民やアイズの判断があまりにできていないことに対しての理不尽さに、モンスターに変身してでも街を救った俺への仕打ちに彼女はもう我慢ができなかった

 

 

だが

 

 

俺としてはもっと人間の本性を見ていたかった

 

 

まるで俺が人間じゃないみたいな言い方をするが、それで人が選択したことであるなら、過ちであることを承知した上での選択なのか、はたまたそんなはずがないとその常識が正しいと疑わないのなら、それこそ人間の本性、あるいは人間の考えそのものだと確認したいからだ

 

 

そこまで落魄れた姿を確認すれば、今後、俺はもう二度と彼らを守る義務を背負わなくて済み、英雄としての資格を失くせるからだ

 

 

何度も言うが、俺は人々のために何度も救いをしてきたわけではない。仲間や友人が望んだことをしてきただけだ。つまりはヘスティア・ファミリアが望んだことをしてきただけ。そこに俺の友人でもない市民の命など考えていない

 

半分人間である俺が、二年前も含めて人間の悪意や理不尽を覚えて失望をした。誰よりも俺は人間の悪意を知る半神でありモンスターだけでなく、人間や神ですらも悪であるなら消そうと、この世界に平等など無い現実を一番に知った男だ

 

人間の中には悪意に満ちる者も多い、理不尽を重ねる者も多く居る。そうでなければ闇派閥などこの世界に存在するはずがない。

 

 

今回の事件で、多くを知ることになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この理不尽と言う名の、『人間の本性』がベルたちに顕になったことに

 

 

 

『「それで・・・・・お前はどうする?アイズ?」』

 

 

「え!?」

 

 

『「ここまで言われて・・・・俺を斬るか?・・・俺はそれでも構わないぞ?なぜなら・・・・・・お前は俺の敵だからな」』

 

 

「ジ・・ジーク・・・」

 

 

『「改めて言おう・・・・・俺の敵はモンスターだけではない。敵であるなら人や神でも殺す。俺たちが生き残るために、敵であるならどんな小さな命でも殺すまでだ」』

 

 

アイズに改めて断言した

 

アイズが人々全員が善良だと思うのならそうすればいい。七年前にここに居て、あの出来事を眼にしても、人に悪意はないと断言するならそうすればいいと、俺は何も言わない

 

 

俺は違う。

 

人や神にも悪意はあり、その者たちを容赦なく冥界へ送ろうと罰を与えて殺し、俺たちだけが生き残る未来を手にするために武器を持つまで、武器と言うのは決してモンスターだけを殺す武器ではない。生き残るために自身を守り、人を殺す武器でもあるのだ。それを手にしている限り

 

 

俺はアイズでも敵であるなら殺すと、かつての友人でも敵になるなら容赦しないと敵意を向ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが

 

 

「全員そこまで!!!」

 

「アイズもそこまでだ!」

 

 

『「っ!・・・・・・・フィン。目覚めたか」』

 

 

「フィン!?・・・ガレスも!?」

 

「団長!?まさか・・・・その怪我は!?」

 

「やっぱりジークに負けたんだ。フィン」

 

 

アイズに敵だと発言した後に

 

少し包帯を巻かれたフィンが出てきた

 

フィンはガレスに肩を借りてここまで歩いてきた。そしてアイズに俺を斬るなと指示をし、フィンはここで戦闘を終えるために、ここまで無理に歩いてきたようだ。その負傷を負いつつもその姿にティオネとティオナは驚き、アイズが俺と戦って負けたことに気づいていた

 

そしてそのまま、ここに残る冒険者たちに向けて、フィンは宣言する

 

 

「全員戦闘中止せよ!英雄雷帝は黒竜に変身してでもこの街を守った!彼を罪人として捕縛や殺害することは僕達ロキ・ファミリアが許さない!そうまでしたいのなら僕らが相手になる!僕達ロキ・ファミリアは彼の勇敢なる行動を称えて彼を守る!彼は僕らと同じ冒険者の働きをした!そんな彼を君たちは罪人と呼ぶか!!!」

 

 

「「「「っ!?・・・・・・・・・・」」」」

 

 

『「先ほどまでお互い争っていたと言うのに、今になって味方をするとは、都合の良いやつだ」』

 

 

これ以上戦闘を続けさせないためでもある

 

だがフィンのその言葉は無理矢理と言うか、無理難題なことを言うと思った。先ほどまで争っていたのにも関わらず、街を救ったからと今になって味方をするなど、とんだ手のひら返しも良いところだ

 

それで他の冒険者たちが納得するとは思えない

 

 

と思っていたところに、

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前たち!!彼に手を出すなら!それはエルフ全員を敵に回すと思え!!」

 

 

『「っ!リヴェリア?・・・・」』

 

『主様!大丈夫ですか?』

 

『またも使われたのですね!?』

 

「ウィーネ様は無事にダンジョンへと、皆さんと合流しました!」

 

『「ウンディーネ。グラニ。春姫。アイシャ。そうか・・・・・やってくれたか」』

 

「雷帝。あんたマジであの黒竜に変身できるのかよ・・・」

 

 

フィンとは違う方向から、リヴェリアが出てきた

 

そして俺の横から、ウンディーネと春姫とアイシャが現れた。そこにウィーネの姿はない。春姫が言うなら無事にフェルズと合流できたようで、ダンジョンへと帰った。彼女たちは無事に帰って来れたようだ

 

そしてリヴェリアに連れてアリシアやレフィーヤまでも、他の冒険者たちの向いて、これ以上俺に何かするのであればエルフ全員が敵になると、俺が秘密にしていた真実を、今この場に居る全員に明かしてしまう

 

 

「聞け!ジーク・フリードが黒竜に変身したのは、半年前、彼が私たちの知らぬ間に、我らの知らぬ北にて、三大クエストの黒竜を討伐したからだ!!」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」

 

 

「ゼウスとヘラの眷属や大英雄が勝てぬ存在をジークは倒した。だが奴を倒すのに条件があった、それは黒竜のドロップアイテムである心臓を食べることだ。そしてその呪いにより、彼は黒竜に変身する力を得てしまったのだ」

 

「それだけではありません!まだ知らぬエルフの方にも聞いてほしい!!黒竜を倒す際、ジークはとても心に辛い犠牲者を出しました!」

 

 

「それが私たちが信仰をし、二十五年前に行方不明となった。私たちエルフの主神、豊穣の男神フレイ様です!!!」

 

 

「「「「「「な!?」」」」」

 

 

黒竜討伐を知らぬ場所で果たして、そしてその犠牲者にエルフが信仰していた豊穣の男神フレイが亡くなったと

 

エルフ代表のハイエルフであるリヴェリア自身が公表した

 

別に秘密にしてくれなんて言っていない上に、いずれ公表しなければならない事実、信じらない事実だが、ハイエルフであるリヴェリアの言葉なら嘘ではないと信じてくれる者は多いだろう。いずれこの事件が終わり次第、神会が開かれるため、ヘスティアにもオーディンとヘイムダルと連絡できる水晶を持って公表するように予定に入れてあるため、

 

今更リヴェリアが公表した所で構わないと、続けさせる

 

 

「フレイ様は隻眼の黒竜にやられそうになったジークを庇い。フレイ様は天へと還られた。そしてその悲しみから義弟であるジークは、フレイ様の愛を受け継ぎ、その力の源であるフレイ様の神器にて黒竜を打ち破った。だが黒竜の体はそれでも滅ばず、トドメを刺すのに条件があり、奴を完全に息の根を止めるには、奴の心臓をその身で食さねばならなかったのだ!ジークはやむを得ず黒竜にトドメを刺すために、剣で心臓をくり抜き、奴の心臓を食して奴そのものの姿に変身できる力を得た。実質彼は黒竜を倒したことになる!!フレイ様の愛を受け継いで!!それでも彼を悪だと認識するのなら!!フレイ様の義弟様に手を出すのなら、我らエルフは容赦はせんぞ!!!」

 

 

「「「「「「全てはフレイ様のために!義弟様をお守りします!!」」」」」」

 

 

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

 

『「いつからエルフは、人間の味方をするようになったんだろうな・・・・・」』

 

 

助けて貰っているのに、俺はなんともエルフの意外な行動に独り言を吐いてしまった

 

あの傲慢性格なエルフが、フレイの義弟であるからヒューマンである俺を助けようとするなど、あのヒューマンに関わろうとしないエルフが他種族を守る義務を背負うなんて、俺はあまりに人間として扱っているわけではなく、あくまでフレイの義弟として守る義務があるのだと、リヴェリアの言葉を信用して行動しているようだ

 

ほとんどの知らぬエルフたちがリヴェリアの指示を聞いて、市民や他の冒険者達に武器や杖などを向けて構えた。流石の冒険者や騒動が終わって再びここへ戻ってきた市民たちも、全世界のエルフを敵に回すのを恐れている。エルフには人とは異なる膨大な魔力を持っているからなのか、エルフにはそれらしい強力な権力や魔法を持つと言う種族に有利な能力を体に宿しているのか、彼らは何もできない

 

 

市民や他の冒険者たちがエルフに集中している間に、その隙に俺はアステリオス達、まだここに残る共に戦ってくれたゼノス達をダンジョンへと逃がす

 

 

『「アステリオス、リド、レイ、グロス、今他の冒険者がエルフたちに集中している間に、そこの塔の地下にあるダンジョンの入り口から逃げろ」』

 

 

「っ!この地下か!」

 

「いいのか?」

 

「ジークさんはどうなりますか!?」

 

「大丈夫なのか?」

 

 

『「俺の心配はするな。もう俺はどうにでもなるようだしな。だがお前たちはまだ処分対象だ。あの者たちがエルフたちに集中している間なら追ってこれまい。行くんだ。さあ、行け!」』

 

 

「わ、わかった!」

 

「ジークさん!また!」

 

「ジーク・フリードよ。また会おう」

 

 

『「ああ、必ずまた会いに行く」』

 

 

そうして俺の指示を聞いて、アステオリスたちはバベルの地下を辿ってダンジョンへと逃げる。アイズたちはフィンの指示でこれ以上は戦闘は禁止。他の冒険者はエルフたちに集中してアステリオスたちに気づくことはない。なら今逃げられると思って、気づかれる前に逃げてゆく

 

だが、帰る前にアステリオスがベルの前で止まる

 

 

「ベル・・・・・」

 

「アステリオス・・・・」

 

 

「いつの日か挑ませて欲しい・・・・・・・再戦を!」

 

「うん、僕もその時は・・・・・・・・あの時以上に強くなって貴方に勝ってみせる!」

 

 

アステリオスは、ゼノスとして転生し望むものは

 

いつか敗北した少年に再度挑んで、勝つこと

 

武人に近い、戦士の精神があるのか、ただ過去に敗北した少年に、もう一度戦って勝ちたいと言う。敗者の望み

 

だがベルもそれに応えるべく、いつの日か、近い未来で、彼ともう一度戦い。それでまた強くなってみせると。このままでは終われない少年の意地である

 

 

強くなりたいと言うが、ベルは『また成長』していると、俺の眼には見えていた

 

 

 

 

 

これでゼノス全員ダンジョンへ送り帰らせた。戦闘はフィンやリヴェリアのおかげで中止し、この事件の終盤は迎えようとしていた

 

 

残るは俺の今回についてだ

 

 

だから俺の言葉から自らを発して、このミッションを終える

 

 

『「全員聞け、俺自らの言葉でこの事件を終わらせよう」』

 

 

「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

『『『『主!?』』』』

 

「ジーク君!?」

 

「ジーク!?」

 

 

一度立ち上がり、俺はまだ知らぬ冒険者や市民達に向き合って、今回の経緯とこれからのことについて、説明する。そうすればこの事件も夜明けが明ける頃に終わるだろう

 

最後を振り絞って発する

 

 

『「まずは今回の経緯からだ。俺は半年前黒竜討伐を果たして、心臓を喰らい、そして仲間や友人を守るため、やむを得ずこの力を使い。このような姿になった。その原因はイヴィルスであったイケロス・ファミリアが急遽俺の友人を誘拐し、剰え殺そうとした。その友人を守るべくこの姿に変身し、友人を守るためにイケロスの眷属を皆殺しにした。だが・・・・・お前達もわかる通り、この姿に変身した俺は怪物そのもの。モンスターと扱う他ない。今回の事件の発端は、言うなら俺の隠していた真実を知ることなく。俺を怪物として扱ってしまったこの常識が争いの原因である」』

 

 

「「「「「「・・・・・・・」」」」」」

 

 

俺は少なくとも意思を持つ怪物だ。話せば理解できる怪物だ。だが・・・・彼らは冒険者だ。冒険者はモンスターを倒すのが義務。その義務は間違いではないのは言うまでもないだろう。いくら喋れるからと言って、怪物であるなら排除するまで、それがこの世界の常識である

 

だから、俺はこれからどうするかを説明する

 

 

『「だからお前達の判断に委ねる。どうしたいかはお前達で決めろ」』

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

 

『「喋るモンスターを、今ダンジョンはいくつも産んでいる。またしてもイレギュラーをダンジョンは生み出した。彼らは俺達の友人だ。俺は黒竜のドロップアイテムを食べたことで、奴そのものに変身できるようになった。だがそれでも俺の心は人だ。彼らは仲間や友人であり、その者を消そう者が居るなら消し炭にするまで、そして俺を人して扱ってくれることなく怪物として消したいのであれば好きにすればいいが、俺は『敵になる者を市民や同業者問わず』消す。これが俺の選択だ」』

 

 

「ジーク君・・・」

 

「ジークさん・・・」

 

 

『「俺はこの力を使ってファミリアのために団長として尽くすまで、だがギルドや他のファミリアや市民が敵になるなら容赦はしない。今回の件で、我らの主神が俺が生き残るために『最善尽くせなかった場合は殺しても良い』と、ヘスティア様から指示を貰っていた」』

 

 

「「「「「「な!?」」」」」」

 

 

『「つまりは・・・・我が主神も、お前達の呆れた判断に失望したのだ。あの誰よりも優しき善神である彼女が、俺が数多くをここで救済をしてきて尚。怪物である故に非難され。その仕打ちに彼女でさえお前達に人間に失望したのだ。下界の子供達はここまで身勝手なのかと、対話もできるのに、お前達はただひたすら俺に対する暴言を撒き散らした。俺からすればお前達はその程度の存在だとわかっていたがな」』

 

 

「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」

 

 

『「だからこれからのことを言おう。俺は今後お前達に何があっても助けない。お前達の本性を知っている俺は、もう英雄としての名を捨て、ヘスティア・ファミリアの団長らしく冒険者として継続する。だがヘスティアや仲間や友人は守ろう。それは俺の数少ない望みである。例えギルドのミッションでも応じない。ギルドも俺の信用を損ねた。まあ後でギルドには条件を付けて継続するようさせるのだが、俺はもう英雄雷帝としては名乗らない。ただの冒険者だ。ふん!」』

 

 

ドカン!!

 

 

「あ!ジークさんの銅像!?」

 

「自ら壊しやがった!」

 

 

俺はもう英雄雷帝として名乗らないために。ベヒーモスを倒した当時に、ここに建てた俺の銅像を。俺の尻尾で壊した

 

もう二度と雷帝を名乗らないために

 

 

 

『「これで俺はただの冒険者だ。これからどうするかはお前達に委ねる。『平和を望む者には共和を、争いを望む者には罰を』。よく覚えておけ。これでこの事件は終了だ」』

 

 

俺たちに手を出すな。ただそれだけを伝えた

 

英雄としての名を捨て、冒険者として市民を守る義務を捨てる。これだけ非難を受ければ、市民を守る義務は無くなる。ある意味面倒が減って、今回の事件は面倒ごとが減って助かると思った

 

だが市民の中に複数友人が居るのは守る義務がある。

 

彼らは守るに値する。俺の友人で信頼できる者たちだ。その者たちは必ず困り事があれば助ける方針だ。そうではない知らぬ者はヘスティアや友人の頼みではない限りは助けない

 

 

手を出して敵になるか、手を出さずに俺たちに平和を謳歌させるか

 

 

この先の人間達、エルフ達、ドワーフ達、パルゥム達、アマゾネス達、獣人達、神達に判断が委ねて、

 

 

 

 

俺は尽きる

 

 

『「以上だ・・・ベル・ヘスティア・エイナ・・・・ギルドの件は・・・すまないが・・・・・・・後は・・・・まか・・・・せる・・・」』

 

 

「あ!?ジーク君!?」

 

「ジークさん!?」

 

「ジーク!?」

 

 

ドン!!ザアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

そして黒竜の状態の俺は灰となって、黒竜の胸辺りから元の姿が現れて地面へと落ちてゆく

 

 

「ジーク!」

 

「シルさん!ジークさんは!?」

 

「大丈夫です!いくつか負傷をしていますが、マインドダウンしているだけです!」

 

『主はあの戦いで長時間戦ってしましたからね。こればかりは仕方ありません』

 

 

俺が地面に着く前に、シルが抱き止めてくれた。

 

俺の体はいくつか、フィンやベートやレヴィスの戦いで負った負傷があるが、それでも命に害はなく、ただ魔力の使い過ぎでマインドダウンしただけ。また犠牲をして命を落としたわけではなかった

 

 

 

 

今回の事件で、大きな真実と世界の常識を覆す事態に陥ったことで、大きくこの街は変化を起こすであろう

 

言うならモンスターは関係ない

 

全然ではないが。冒険者なり市民なり環境が大きく変わる。差別に近い抗争を引き起こしたことで、今回でお互いの立場が変わってくる。冒険者や市民の境界線が一気に崩れるほどに。市民の立場が酷くなるか、あるいは冒険者が酷くなるか

 

人間の本性を曝け出すことになった

 

 

 

 

これはオラリオで考えられなかった人種差別の事件である




来月でこの章は終わる予定です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。