ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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神会

事件から三日後

 

 

あの事件について、大きく他派閥にも話さなくてはならない詳しい話が必要である

 

それは神やギルドにおいても、知らなくてはならないことである。隠された真実を、公に晒す他ない事

 

それは二つ

 

 

俺が黒竜討伐と

 

その戦いの果てに豊穣の男神フレイが犠牲になったこと。

 

 

知らぬ北の果て昔最強の派閥であるゼウスとヘラの眷属でさえもレベル8と9で敵わなかった黒竜を、当時レベル3の俺が数多くのレアスキルを使って倒した

 

こんな異常とも言える事実を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神の会合である神会にて発表せねばならないなど、今ヘスティアは難しい仕事を行うとしていた

 

 

ちょうど前回の神会から三ヶ月にして、俺が黒竜に変身すると言う前代未聞の事件の後で、今ヘスティアは大きな力を得ているのと同時に、この世界の全てを委ねるかもしれない術を持つ俺を

 

他の神々が、俺を眷属にしているヘスティアから、俺が隠していた事実を徹底的に質問し、その真実全てを信じてくれるかもわからない事を、ファミリアの内部事情は不干渉と言うルールだが、今回は例外で。公表をしなければならない事実を話さない限り、俺が世界の敵になってしまうと、少しでもヘスティアは自分の知っている俺の全てを他の神に公表し、俺を無罪させようとヘスティアは焦りながら公表した

 

もちろんヘスティア自身が、俺が黒竜を倒した場面を見ているわけではないため、俺から貰っていた俺の故郷の者と連絡のできる水晶であるマジックアイテムを持って、オラリオの主神ではないオーディンとヘイムダルにも会合に参加して貰った。証明のために

 

 

『と言うわけだが、お主らからすれば信じられない話であろうな』

 

『いくらフレイが、ジークさんのために神器を渡してまで倒したと言っても、信じられる通りはないことは承知のつもりです』

 

「これがジーク君が黒竜を倒し、果たした事実だよ。もちろん嘘は付いてないけどね。どう受け止める?みんなは?」

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

信じられない事実を耳にして、神々である彼らは何も答えられない。だが果たしたのは事実。三大クエストは果たされた。オラリオが果たすべく義務を。俺が果たしたのだ。

 

だが

 

あまりに信じられない。ゼウスとヘラの眷属でさえも倒せなかった黒竜を、まだレベル三でレアスキルで、それも倒すなど信じ難い。あまりの驚く事実と、勝てるわけのないあり得ない成果に、他の神々も何も言うことなく、そのまま難しく俯いてしまう

 

がロキが

 

 

「フレイの神器である『レーヴァテイン』なら可能やろうな。そうやろ?色ボケ女神?」

 

「ええ、そうね」

 

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

俺の黒竜の勝利に、意外にもロキとフレイヤが信じていた。と言うより、今の話を聞いて信じる他ない。黒竜と戦った時に使用した神器。レーヴァテインを使ったのであればと、あの二人はその事実が間違いものであると、確信していた

 

その理由は

 

 

「お兄様のレーヴァテインは、勝利を必ず約束される。まさしく言うなら『チート』と言う名の絶対的な勝利を齎す剣よ。それを手にした者は必ず勝利する。もちろんお兄様が認めた者にしか手にできないようにされてあるわ」

 

「あのフレイの聖剣なら倒せるやろうな、だが・・・・・・そのフレイもタダではすまんかったやけどな」

 

「仕方ないわ。お兄様は昔からそういうお方だったから」

 

「やけに冷静やな。色ボケ女神?自分の敬愛する兄が天へ還ってしまったんやで?なんでそんな冷静で居られるん?」

 

「アポロンの宴の際、初めて会ったジークに教えて貰ったからよ」

 

「な!?その時から知ってたんか!?」

 

「ジークが黒竜に変身することは聞いてはいないわ。聞いたのはお兄様がジークを守るために庇ったことだけよ」

 

 

フレイヤは以前、俺から真実を聞いているから驚きはしない。それにフレイのすることを妹であるフレイヤは兄妹として理解しているため、兄が家族のためなら自身を犠牲にするまでと、兄のする事を理解しているから泣くこともなければ、悔やみもしない

 

 

「お兄様は自分で決断したのよ、ジークのため、世界のため、どうしても繋げたい命のために。自身の命を差し出した。私はお兄様が義弟であるジークのためにした事を、妹として誇りに思うわ」

 

 

「フレイヤ・・・・」

 

 

「お兄様が犠牲になったことで、ジークが黒竜を討伐すると言う。世界救済の一つを成し遂げた。お兄様の勇敢な代償に、私は仕方ないとは片付けず、その命を貰った重みを背負って、私たちは生きて行くべきなのよ。それがお兄様の望みのはずだから」

 

 

「フレイのおかげで世界は救われ、黒竜は滅んだ。今ここに居ないゼウスとヘラが聞いたらどう思うか・・・・・・これであの眷属達も報われる」

 

 

「エルフ達はどうなの?特に・・・・あのロキの子供のハイエルフは?」

 

 

「他のエルフ達を集めて、今励ましている所やな。ギルドの報告でフレイが亡くなった事を街中に知らせてあるんやけど、あまりの残酷な真実に床を殴ったり叩いたりして、嘆いているエルフの子供が大半やな」

 

 

「いくら世界を救うためとは言え、信仰していた神が亡くなったと聞いたら、エルフ達は泣かずに居られないでしょうね」

 

 

「私の子供であるヘディンやヘグニも部屋で泣いているわ。あの二人が泣くなんて初めて見たわ。それだけお兄様はエルフ達からすれば光だったのよ。行方不明状態になってからもう会えいないと思うと、無理もないわ」

 

 

「ジーク君が起きて、励ましの手伝いをできればよかったんだけど、まだあの事件から三日も経って消耗が激しいのか、まだ起きないんだ」

 

 

「ジーク君はまだ意識を取り戻さないのかい?」

 

 

『黒竜の力も使ったのだ。仕方あるまい』

 

『本来は、人間が怪物の姿になれば、意識だってモンスターに持っていかれるのが普通ですからね』

 

 

「私が一度、ベヒーモスの戦いの後に彼の体を治療した時があったのだが・・・・・・・その時から何か異常なものを感じ、彼が人とは異なる体の構造をしていると思っていた。あれだけの傷を負って死なず、それで再生も早かった」

 

 

「それがおそらく・・・・・・トールと人間の間から生まれた『半神』と言う者であるのかもな」

 

 

神々たちはもう疑いはしない。

 

フレイが犠牲になって黒竜を討伐できたことも、もう疑う余地もない証拠を挙げられて、他の神々も疑う事なく。ただありのままの真実を聞く他なかった

 

だが俺が黒竜に変身できることに関しては信じ難い

 

過去でも人が怪物になるなど、クリーチャーとしか考えられず、まさか怪物そのものになれるなど信じられない。それが況してや黒竜なら尚更信じ難い

 

黒竜を殺すのに心臓をその身で喰らいつかなければならないなど、自身の体を怪物にするも同然、感染呪いのように、死にゆく体を別の体に移し替えて生きようとする執念。その執念が逆に俺に意識を取られ俺が黒竜の力をフル活用する羽目になるとは、神々もトールから産まれたとは言え、半神と言う存在はどんな未知な生き物なのかと、俺を人間としての扱いをほぼ諦めていた神々だった

 

すると

 

 

『あら、私の甥っ子の力に、やっと恐れを成したのかしら?』

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

「出てきたやな。この死霊妹め」

 

「ジークの体から自由に出られるようになったのね」

 

「ヘルか!」

 

「トール母ちゃんを送還させた。トール母ちゃんの妹か」

 

『ジークさんの体からここまで・・・・』

 

『トールにあのようなことをしておいて、皆の前に出てくるとは、この亡霊娘め』

 

 

「ヘル・・・・・今ジーク君が意識が無くて寝ているから、出てこられたのか」

 

 

『はーい。みんなお久しぶりね。ジークに殺されてから、これだけの神々に出会えるなんて思ってもいなかったわ。流石はオラリオね』

 

 

突然天井の方から、霊体化した死の女神ヘルが現れた

 

トールとロキの妹にして、その姉であるトールを天界へと強制送還させた張本人

 

今までは俺が出てこられないように力で抑えていたのだが、今は意識がなく眠っているため、力を使って閉じ込めることはできず、こんな俺の体から遠く離れたバベルの中にまで入ってくるとは思いもしなかった。下手をしなくても、彼女は自分の意思でいつでも俺の体から出てこられるようだ

 

ヘルが俺を目的に姉であるトールを送還させた事を、先程のヘスティアは俺が黒竜に変身する前に報告を伝えてあるため、皆ヘルが霊体化していることを知っている。その中で天界で世話になったトールの息子達であるモージとマグニが物凄くヘルを睨む

 

 

『うふふふふふふ、懐かしい面々が居ていいわね』

 

 

「よくも俺たちの前で顔を見せたな!ヘル!」

 

「お前が霊体化していなかったら、トール母ちゃんの仇を取っていただろうに!」

 

 

『そんなことはもうジークにされたわよ。だから霊体化しているんじゃない』

 

 

マグニとモージはヘルが霊体化していなかったら、送還させたいと恨みを持つ。だがもうそれを俺が果たしているから、する必要も、霊体化している今の彼女には何もできないことを承知しているから、今握り拳を下げる

 

 

『ところで一人足りないわね・・・・ウラノスはどうしたの?』

 

 

『聞いているとも』

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「ウラノス!?」

 

「神力を使って、初めて彼が参加してきたか」

 

 

『人間が竜に変身するのだ。こんな前代未聞な事を聞かない訳が無い』

 

 

『ウラノスも、流石に見過ごせない事情ってな訳ね、まあ・・・・ゼウスとヘラの協力者としては当然よね』

 

 

『ああ。ここには居ないが、これで彼らも報われる』

 

 

ウラノスも、姿はないが、彼の力で天井に渦が現れ、そこからウラノスの間である彼の姿が、映像として流されていた

 

彼もこの会合に初めて参加した。流石の前代未聞の事件の事実と原因も含め、聞かないわけにはいかないようだ。でなければゼウスとヘラの協力者ではずがない。彼らが成し遂げることのできなかった世界救済の三大クエストの最後の竜を討伐を、俺がしたとなれば、その後については気にならないわけがない

 

以前にエイナとヘスティアから聞いていたと言えども

 

 

『これで残すはダンジョンだけになる。ダンジョンの階層を全て調べれば。この下界の謎と脅威は終わる』

 

 

『ここに居ないゼウスとヘラが喜ぶわね。今どこで何をしているかは知らないけど・・・』

 

 

『まあ、それは後々私とヘルメスでなんとかするつもりだ。ヘルメスもこの会合が終わり次第、またすぐに旅に出るようだからな』

 

 

「え!?ヘルメス?その荷物は・・・・そのために?」

 

 

「ああ。俺にもやるべきことがあるんだ。ヘスティア。この事実を・・・・・アルテミスとアフロディーテに伝えなきゃいけないんだ」

 

 

「っ!?」

 

 

「椅子の隣に大きなバックがあるのはそのためね」

 

 

「これはあの二人には絶対に知らなければならないからね」

 

 

「そうだね・・・・・」

 

 

ヘルメスの隣には大きなバックがある。

 

彼は伝言役と言う、補佐のような仕事をする商業の神でもある。元はゼウスの協力者か執事のような男神だ。だが、彼らが果たすことのできなかった黒竜討伐を、俺が果たしたことを、知り尽くす限りのオラリオ外の主神に知らせるためにも、彼はこの会合が終わり次第オラリオを一度出ていくのだった

 

 

「ヘスティアよ。肝心のジークは今どうなっている?」

 

「今は腕が竜化しているくらいかな、ジーク君が言うには、このままだと竜女みたいに竜人として体が竜化すると言っているよ」

 

『そうであろうな』

 

『どの段階で、どの時間の流れでそうなるかは分かりませんが、そうなるでしょうね』

 

「なんとかならないのか?ミアハ?」

 

「すまない。私も・・・・・怪物になる人間の治療は・・・・・不可能に近い。そうであろう?ディアン?」

 

 

「ああ。ワシでも・・・・・・無理であろうな。人間には戻せん。怪物の心臓を自ら食してはな・・・」

 

 

「覚悟の上だって、ジーク君は治そうとしないよ。そういう頑固な所はトールそっくりだしね。でも・・・・・・ヘル?ジーク君の体に入っている君なら何か知っているんじゃない?」

 

 

『まあねヘスティア。半神と言うのは、半分私たちの体でもあるの。だから彼も半分はデウスデア。だから永遠である私たちと同じで、そのまた意志も彼の神の一部、決して怪物に囚われることのない精神力を持っているから、あの子は黒竜の力に支配されないの』

 

 

「てことは・・・・・・まさか!?」

 

 

『そういうこと、あの子は己に宿る神の力で・・・・・黒竜の体を意志で支配していると言うことよ!』

 

 

「やっぱりか・・・・・」

 

 

俺が半神であるなら、神の力で所持するとヘルが発言した

 

半分人で半分神であるなら、その半分だけでも神の血を引くのであれば、神の力を所持していると、ヘスティアやロキやフレイヤが、半神ならその力も持っているはずだと、そうなのではないのかと思っていた予感はしていた

 

だからこそ、俺の存在は神々において無視できない存在となった

 

 

神の力を振るうとなれば

 

 

『彼もそれに気づいているわ。でなければあのような力を普通の人間だったら扱えるはずがないわ。トール姉さんの雷を体から放出する限り、もう・・・・・彼が神としての力を発揮し初めているのは間違いなしね』

 

 

「黒竜の力を押さえ込んだのも、支配したのも・・・・彼の神の力故か」

 

 

『そういうことになる』

 

『早いものですね。ジークさんの成長は、神としての力を9歳で会得しましたので、中々に成長力が強いのでしょうね』

 

 

『ふむ、ではオーディンよ。聞いても良いか?』

 

 

『なんだ?ウラノス?』

 

 

俺が神の力を発揮したのであれば、これだけは絶対に聞かなくてはならないとウラノスはオーディンに一つ質問をする

 

それは

 

 

 

 

『ジークが自身の力でアルカナムを放つことは可能か?』

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」

 

 

「オーディン?どうなんだい?」

 

『遂に聞かれてしまいましたよ、オーディン』

 

『うむ』

 

 

神の力を手にしているのなら、アルカナムが使えるのか聞く。トールの神威を放ち、トールの雷を体から放ち、トールの神器を持てるのであれば、間違いなくアルカナムが放てるはずだと、下界を吹き飛ばす力を持っているのではないのかと、今後の恐れも含めてウラノスはオーディンに聞く

 

これはどうなのか、ヘスティア自身も知らず、本当かどうかヘスティア自身も聞く。ヘイムダルは知っているようだ。警戒はしているようだが

 

そしてその答えは

 

 

 

『ああ・・・・・・・おそらく放てるであろうな』

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

「そうなんか!?眼帯親父!」

 

 

『まだ私も実際に放つ所を見てはいないが、過去に何度かそれに近い砲撃を出したことがある』

 

 

「姉貴のハンマーか?」

 

 

『それに近い雷の砲撃をな』

 

『ジークさんは怒ったらそのような力を出しますからね。怒ったらトールと同じく怖いと、貴方ならよくわかっているのではないですか?ロキ?』

 

 

「そうやな。今姉貴の息子とわかっているからこそやな。今までジークが姉貴にそっくりやろうなと、感じたことは何度かあったんや。怒らせたら厄介や。ホンマに・・・・」

 

 

『お主達は、すでにそれに近い技をジークが『大きな猪』を倒す時に見ているはずだぞ?』

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」

 

 

「オーディン!?それって・・・」

 

「あれは!?そうなんか!?」

 

 

『おそらくはな・・・・・』

 

 

そう、一度俺はベヒーモスを倒す際に使ったのだ。自身に宿るアルカナムを

 

 

それが拳で放てる『トールハンマー』だ

 

 

おふくろのアルカナムもあれに近い、そのアルカナムに近い技をルーンブレイクで放ったのだ。でなければ発動できるはずもない。神器を使わない限りは、

 

だが

 

 

オーディンはおふくろのアルカナムよりも、恐ろしいと俺のアルカナムの異常を全神に告げる

 

 

『しかも・・・・・・・それが『拳』だぞ?』

 

 

「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」

 

 

『トールのトールハンマーは、それが拳であの威力なら・・・・・・・ジークがミョルニルを使ったらどうなるだろうな・・・・・・お主なら想像できるだろう?ロキ?』

 

 

「もちろんや眼帯親父」

 

 

おふくろのアルカナムは神器無しでも発動できるにはできるが、ミョルニルを共にした時は最大に強い。でなければ天界最強の雷とは言わない。その雷を拳で放ってベヒーモスを滅ぼせた

 

なら、俺がミョルニルを使ってトールハンマーを放った時には

 

 

「下界を・・・・・ジークはいつでも滅ぼせるちゅうわけやな」

 

 

「「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」」」

 

 

『でも安心すると良いわよ。ロキ姉さん。ミョルニルがジークの力を抑え込んでくれているから』

 

 

「っ!?姉貴の神器が!?」

 

「トールの金槌が!?」

 

 

『ええ、アルカナムを打てないようにミョルニルが抑え込んでいるわ。トール姉さんはそのためにも神器を託したようね』

 

 

ミョルニルを使って滅すにしても、その肝心のミョルニルが俺の体を抑えていた。母として息子である俺のことを理解しているからなのか、母は俺に神器を与えたのは、決してより力を与えるためではない

 

 

その息子の力を制御するため

 

 

ヒューマンがアルカナムを放てば、どれだけの下界にダメージが残るか、それともこの世が消えるか、など。人間の母になったトールは、我が血を血統とする俺の力を理解していたのだ。それが神でもない半神がアルカナムを放てば、天界のルールに関係なく放てる

 

だからこそ、母は俺に制御をさせるためにも、最後に俺の元へミョルニルを託した

 

 

『だからと言ってジークを敵に回したら大変よ。特に・・・・フレイヤ。貴方の子供は特にジークに敵意を向いているわ』

 

 

「大丈夫よ。私がそんなことをさせないようにしているから」

 

 

『そう?また昔ヘラに喧嘩を振ったように、今度はジークに貴方の子供達全員殺されるかもよ?あの子は私たちが思っている程以上に、敵になった者は無慈悲だからね。うふふふふふふふふふ。貴方の悲鳴が聞けそうな悲しい顔が目に浮かぶわ』

 

 

「ヘル?随分と私に言いたい放題言うわね?」

 

 

『え?もしかして怒った?いやだあフレイヤったら、こんな安い挑発に引っかかるなんてね。そういうのはロキ姉さんの方が上手いのに、でもまあ・・・・・・実際事実だからしょうがないんじゃない?』

 

 

「何が事実よ?」

 

 

『見た目は美しくても、心の底は貪欲に溺れた女。自分が美しいから何をしても許されると思っている。『女王になりたいだけの女』。これが伴侶と言うオーズを探している女なんて、滑稽だわ!!ヘラに痛い思いを過去にしたのに未だに理解しないなんて、本当に哀れよね。うふふふふふふふ』

何をしても許されると思っている。『女王になりたいだけの女』。これが伴侶と言うオーズを探している女なんて、滑稽だわ!!ヘラに痛い思いを過去にしたのに未だに理解しないなんて、本当に哀れよね。うふふふふふふふ』

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

ヘルは久しく会ったからなのか、フレイヤをおちょくるように発言する。ただ事実を言っただけだと言うのに、あまりにそのおちょくりに、フレイヤは怒りの顔を見せる

 

 

「随分舐めた口を言うわね?ヘル?この私に向かってその態度をするなんて?」

 

 

『いつまで女王気取りをしているのかしら?それなら冥界から死霊の軍勢でもここへ送って欲しいのかしら?エインヘリヤルを用意できる貴方でも、止められるのかしら?』

 

 

「「「「「「「うわあ!?」」」」」」」」

 

 

「フレイヤとヘルの神威!?」

 

『ここで暴れるとは、相変わらずバカ娘共め』

 

『私たち『ヴァルハラ』の神は、犬猿な関係の神々は多いですからね。嫌う相手が居る神は私もそうですが・・・・』

 

 

あまりの言葉に、フレイヤは神威を放った。

 

だがヘルも神威を放つ。霊体化していようと

 

 

天界にはヴァルハラと言うオーディンが住んでいた場所がある。天界の頃はフレイヤもヘルもそこに居た。フレイやトールはともかく

 

ヘイムダルとロキとヘルとフレイヤは特にその中で喧嘩が絶えない

 

お互い相容れぬ思想や欲を持っている。だからそんな理由でいつも争いが絶えない。ロキは相手に悪戯。ヘルは死霊や死体の弄り遊び。フレイヤは自分の欲のままに人を欲しがる。そんなお互いの目的に邪魔をされたりと自分の目的を取られると、こうも喧嘩をするのだ。フレイヤとヘルは相変わらず喧嘩が絶えない。天界の時から『アース姉妹』と『ヴァン兄妹』は争いが激しかった

 

 

だがしかし

 

 

 

「いつまでも昔みたいに、争うのはやめや!!!」

 

 

「っ!?」

 

 

『っ!?ロキ姉さん・・・・』

 

 

「ロキが・・・・神威を放つなんて」

 

『ほう・・・・変わったな。ロキ』

 

『彼女も下界に染まったようですね。ここでなら普通に更に煽りを入れてくると言うのに』

 

 

だがロキは卒業した

 

下界の楽しさに、彼女は何度か悪戯はするが、限度は考えるようになって変わったのだ。人間と関わり、彼らと過ごした平和に馴染んだ彼女は時々悪戯はするも、もう誰かを死に追いやったりはしない

 

だから妹達の喧嘩もすぐに自身の神威で跳ね返して止めた

 

 

「ここは下界やで、ウチらの縄張りやないんや。勝手なことをしたらアカンぞ?ヘル?」

 

 

『うふふふふ、まさかロキ姉さんが神威を放つとはね。あの悪戯姉さんが・・・・』

 

 

「色ボケ女神も、こんな亡霊妹の挑発に乗るなんてらしくないで。ヘルはこういう女神だったやろ?」

 

 

「そうね・・・・・私もらしくないことをしたわ」

 

 

「まあ、確かに事実やけどな(小言)」

 

 

「なんですって?」

 

 

「なんでもないや・・・・・ヘル。自分もそろそろジークの体に戻らないと、ホンマに天界に行くか、ホンマに冥界行きやで?」

 

 

『そうね。そろそろ帰るとするわ。再び貴方達と会えてよかったわ。またねロキ姉さん。フレイヤも。また会える時を楽しみにしているわ。ふふふふふふふふ』

 

 

フレイヤと軽く言い争いを最後にして、ヘルは壁を透き通ってこの会合を去って行った

 

散々なことを好きにやりたい放題なことをして去っていくなど、やはりロキの妹のことだけはあるのか、人の考えもせずに振り回すのは、アース姉妹の厄介なところである

 

ヘルもいくら霊体化して、天界の送還を免れているとはいえ、長く外に居ると、流石に天界に送還されるようで、少しの間だけしか俺の体から出られないようだ。ロキも妹の能力を把握していたようだ

 

 

「まったく。アース姉妹の妹達は相変わらずだな、ヘルに少し振り回されたが、それで・・・・・・・あのジークの話ばかりしているが、まさか彼が怪物だから彼を消そうなんて言うんじゃないだろうな?」

 

 

「は!?みんなそんなことを決めるために、この話を!?」

 

 

「そんなわけなかろうヘスティア」

 

 

『もしそうだとしたら・・・・』

 

『私たちがオラリオに攻め込みますよ?』

 

 

「そんな話なわけないやろ。ウチの甥っ子でもあるんや、姉貴の子を消すわけないやろ。ウチもそんなつもりなら反対や。そうやろう?色ボケ女神?」

 

 

「私の義弟でもあるのよ?そんな話なら・・・・・・私も容赦はしないわ」

 

 

いつの間にか、俺が黒竜に変身した理由の全てを聞いたのは

 

 

俺を危険人物として排除するか

 

 

そんな物騒な話をするために会合をしたのなら、ふざけるなとオーディンとヘイムダルとロキとフレイヤは怒りの顔を見せる。本来この四人が滅多にそんな顔をしないが。この四人は俺の家族としての関係者でもあるため、家族に手を出すのならウォーゲームでは済まない戦争をすると宣言した

 

 

「それに彼は黒竜を倒した真の英雄だ。そしてその怪物の姿になって二度もこの街を救ってくれた」

 

 

「そんなヘスティアの子供を消すなんて、私も反対よ。ウチのペルセフォネだって、もう何人もの子供を敵に回したしね。おかげで私たちの商売も限られた人にしかしなくなったけど」

 

 

「それにレベル6だ。彼に勝てる者など居ないだろう・・・・」

 

 

「おまけにヘルまで殺した男で、戦争慣れをしている。事実なのか?オーディンよ?」

 

 

『ああ。ジークは無慈悲なことを平然にできる男になった。下界の闇を知った怒りだ』

 

『下手をすると、オラリオの市民も殺しかねませんよ?それほど彼は本当に敵になった者は神であろうと容赦はしませんから』

 

 

「ジーク君の敵は・・・・・・・・モンスターではなく人と神だからね」

 

 

『そうか・・・・・・トールの息子はそこまで現実を知ったか』

 

 

どうあっても、俺を殺そうとしても無理だと言う

 

レベル六で、黒竜の力を得て、神をも殺している男だ。そんな恐れ知らずの男を、例えどんな力を持とうとも、敵になる者は誰であろうと消すと宣言している。

 

人と、神と、怪物の力。その三つを得た俺は

 

最強の近いとも言い。俺を守ろうと味方をしてくれる者も多い。そして黒竜を討伐し、その力にて二度もこの街を暴れ出したデミ・スピリットを、黒竜の力で倒し守った

 

人としての心だけは無くしているわけではないと、彼はヒューマンとして扱うべきだと、神々全員が賛成する

 

 

そこでウラノスが発言する

 

 

 

『ヘスティア。私は彼に二つ名を名付けたい』

 

 

「「「「「「「っ!?ウラノス!?」」」」」」」

 

 

「ウラノス!?珍しいじゃないか、君が人間の子供に興味を持つなんて」

 

 

『確かにな。だが彼は他の人間と違って、この世界の理を知り尽くした男だ。そして今後も・・・・彼は英雄として名乗ることは、下界の子供の悪意を知ったあの青年には無理に等しいだろう。それなら彼にもっと相応しい二つ名がある』

 

 

「なんだい?」

 

 

ウラノスは、俺がそんな超生物として生きているのであれば、それに相応しい名前を付けたいと言った

 

ギルドの創設神が一度もこの会合に出ても居ないと言うのに、初参加で俺の二つ名を付けたいと言い出す。確かにこの後は二つ名を付ける予定なのだが、まさか彼が二つ名を用意しているとは思いもしなかった

 

 

それで俺の付ける二つ名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『黒き魔王』と言う意味で、『ファフニール・ジズ』だ』

 

 

 

「「「「「「な!?」」」」」」

 

 

「魔王だって!?ウラノス!?何を考えているんだ!?」

 

 

『気持ちはわかるヘスティア。だが・・・・・私は悪い意味でその名を付けようとしているのではない。英雄が彼にとっては邪魔でしかない。そこまで人や神の悪意を知り尽くしているのであれば、もはや関係者しか守りたくないはずだ。それならいっそ魔王と名乗り、人に脅かす存在となれば、彼は自由な振る舞いができる。もはや彼に頼ろうする者は居ないだろう。それに彼は十分人に脅かす存在だとこの街の市民が黒竜に変身した彼を見てそう思っているはずだ。それなら彼の自由を考えて魔王と名乗れば、今後彼は人に恐れ。誰も手を出さずに済むのではないかと提案したまでだ』

 

 

「悪い二つ名を名乗って、人に恐れて、彼に手を出す者が誰一人現れることなく、彼の平和を考えて、虚喝するような二つ名にするべきだと?」

 

 

『私はそう考えている。魔王と名乗れば、人には恐れるが、彼を恐れて誰も彼に手を出す者はいなくなるはずだ』

 

 

「でもな・・・・・・・」

 

 

『私は以前彼にこう言われた。『英雄など、世界の使い捨てでしかない。戦いは終われば役に立たない。そして信頼が無くなれば危険人物として扱われる。そんなものに俺はなりたくなかった』と、英雄の現実を知った彼は英雄を嫌う。それなら魔王と名乗っておけば、誰も彼に手を出さず恐れ、多少の自由ができるはずだと思うが?』

 

 

「人に恐喝して自由を勝ち取るか・・・・・今の状況を考えるには、確かにそれがいいかもしれない。けどな・・・・・・なんだか納得できない」

 

 

「でもジーク君のことを考えるには・・・・その名前が良いかもしれないよ。ヘスティア。今この街に住む子供達は・・・・・・ジーク君をよく思わない人たちでいっぱいだ。言うなら半分ジーク君の味方が居て。残り半分は彼を怪物扱いする敵だ。恐喝でもなんでも入れて、少しでも今後の自由を考えるにはその二つ名が良いかもしれない。でなければ彼を殺そうと躍起になって何かとんでもないことをするかもしれない」

 

 

「っ・・・・・・・なんであの子供達は、ジーク君が正しいことをしているのに、黒竜に変身したからと怪物扱いして非難するんだ・・・」

 

 

「ヒューマンもね。意外と身勝手なところがあるのよヘスティア。私はそれを何度も見たわ・・・・」

 

 

「へファイストス・・・・・」

 

 

ヘスティアは、ここ下界に来てから

 

初めて人種差別を知った

 

人種差別はこの下界の悪い環境の一つ。誰にも解決ができない問題だ。それを改めて、人々の俺への悪い扱いをしている彼らを。ヘスティアは理不尽過ぎると悔やみをする。正しいことをしていても、姿が怪物であるのであれば。怪物を排除すると言うこの下界の常識に乗っとって、俺は敵であるとこの街に住む半分の人々がそれをしようとしている

 

正しいことをしても感謝はされないのは。その本人の善意だから要らないかもしれないが、正しいことをされても非難されると言うのは、理不尽で身勝手で矛盾でとっても不愉快なものだ

 

それでならいっそ、人に仇なす存在になって、人に恐れれば一時の平和は得られると

 

ウラノスとヘルメスはこのファーブニル・ジズと言う二つ名を提案する

 

だが

 

 

「私はそれ却下だわ。ウラノス」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

フレイヤはその魔王と言う二つ名に反対を申し付けた。俺に付けられる名前が、今後自由を得るためだからと言い、人に恐るような名前を付けて恐喝など、認めるべきではない意味で反対したのだろうか

 

 

『ほう、ではお前なら彼に相応しい二つ名があるのか?』

 

 

「ええ、あるわ。とびっきりのがね」

 

 

魔王ではなく、それよりも相応しい二つ名が用意できると、フレイヤは反対を押し切って提案する

 

だが

 

 

「『『却下』』」

 

 

「あら、オーディンもヘイムダルもロキも、まだ何も言ってないのに却下するなんて酷いわ」

 

 

「するに決まっているやろ!」

 

 

『お前の考えることなどお見通しだ』

 

『どれだけの付き合いだと思っているのですか?フレイヤ』

 

 

そのフレイヤが提案する二つ名を発表する前にオーディンとヘイムダルとロキに却下される。三人はフレイヤが用意する二つ名がなんなのかわかっているからなのか、昔からの関係があるからわかるのか、発表する前に却下した

 

そのフレイヤが却下した二つ名は

 

 

「『『どうせ・・・・・・・『ヴァナディース・オーズ』であろう?(やろ?)(ですよね?)』』」

 

 

「・・・・・・・・なんのことかしら?」

 

 

「惚けるなや。どうせジークをオーズにしようとしているのやろ!ウチもお見通しやで」

 

 

『やはりフレイの神器を受け継いだせいで、ジークがオーズとなるか』

 

『眉目秀麗だったフレイが、今度はジークさんが眉目秀麗となるのですからね。オーズとして扱われることは、レーヴァテインを手にした時からわかっていました』

 

 

本物のヴァン兄妹の家族にしたいからと、その妹が俺を夫へと迎えようと、俺を望んだ

 

だが、それがわかっているからこそ、オーディンとヘイムダルとロキが認めない。仮にも俺はヘスティアの眷属。そのヘスティアの子供を夫にしようなどと、完全にルールに反している

 

欲望的な彼女が付けそうな名前であった

 

 

「フレイヤ!そんなの認めないからね!」

 

 

「良い名前だと思っていたのに・・・・」

 

 

「それならいっそ魔王として名乗った方がマシだよ!」

 

 

もちろんその二つ名は却下となる

 

人の眷属を取ろうとするような二つ名など却下されて当然。ここは全員一致して二つ名が決まるのだが、俺のことになると、流石の全員で決めるのは難しい。

 

その理由はロキやオーディンやヘイムダルを敵に回すことになる

 

それは家族である俺を守るために、わざわざ反旗を翻すことを恐れているからだ。他の神々でも、オーディンの強さとヘイムダルの門番と言う役目、そしてここオラリオ最強の双方の一角である派閥の主神ロキ。これを敵に回すには誰も恐れる

 

これはまだ明かされていないのだが

 

 

オーディンとヘイムダルは厄介なことに、眷属はほとんどレベル六である。

 

 

『ワルキューレ姉妹』『スカサハの弟子である勇士たち』はレベル六。その他は故郷を守る門番兵士『全員レベル五』たちと言う軍勢。これはまだ俺しか知らないが、ダンジョンも無いステイタスが極める所のない野外で、それだけの多くの強者が居る

 

特にオーディンの団長である『スカサハはレベル七』

 

かつてゼウス・ファミリアと野外で喧嘩をした唯一の女。誰も殺せないと言う強者も含め、フレイヤとロキ同様の力を持っているのは確実

 

敵にすれば、オラリオを無くすかもしれないまたも戦争を増やすことになる。

 

その戦力を説明されてはいないが、何か力はあるだろうと、オーディンとヘイムダルの強さを知る神々は恐れることで、誰も俺の二つ名は決断しない。

 

 

 

結局この会合は

 

 

俺が黒竜に変身した討伐と訳の真実を知るだけと、今後の俺や他の眷属の二つ名を決めるだけで終わりになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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