ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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竜殺しの家族

 

 

 

一方その頃、ヘスティア・ホームでは

 

 

「ジークさんは?」

 

「いいえ、まだ起きません」

 

「もう・・・・三日か」

 

「ジーク様自身が言っていましたが・・・・黒竜の力を使うとかなりの負担が出るそうです」

 

「それが今の現状ですね。そもそもジーク殿がマインドダウンなんて今まで一度も見たことないですからね」

 

 

ヘスティア・ファミリアでは、三日前の負担が重く皆ダンジョンには行かずに、治療に専念していた。俺だけでなく皆怪我をしている者が多い。だから皆ホームで落ち着いていた

 

 

俺が未だに目覚めない。マインドダウンなら一日か半日ですぐ目を覚ますのだが、俺は黒竜の力を使ったことで魔力切れが激しく負担がデカく中々に目覚めない

 

とにかく俺が目覚めるまでのこの三日間は、ホームでいつもと変わらない日常を送っている

 

 

「それで・・・お前達はまだここに居るんだな?」

 

『ええ、私とノームはまだここに』

 

『主様が心配なんです。グラニとグリフォンとサラマンダーには流石に主の故郷に戻らせました。報告があります故』

 

「やっぱりそっちでも大事に?」

 

『はい。以前から私達精霊が主様の中に潜む黒竜を制御してきました。ですが・・・・・・ここまでになると流石に私共の力も力及ばずで、今主の故郷では主が黒竜の力に目覚めたことで大混乱を招いています』

 

「確か・・・・かつて風の大精霊様まで敗れた竜ですよね?ノーム殿?」

 

『はい。風の大精霊アリア。私とウンディーネとサラマンダーの仲間であり、別名シルフとも呼びます。彼女は人間と共に生きたのですが・・・・・』

 

「確か英雄譚では・・・・・」

 

『ええ、黒竜にやられました。私たちの力で抑えられないのも理解できます』

 

「そんな世界三大クエストの黒竜を、ジーク様は家族を失いながらも戦い勝利したのですね?」

 

『ええ。とても大きな代償ではありますが、あのお方は・・・・それを覚悟して果たしたまで、喜びはしないと思いますが』

 

「っ・・・・・・・」

 

 

ウンディーネとノームは俺の心配でここに継続待機

 

黒竜の力を発揮した今の俺に、大事ないか確認するためである。今まで精霊魔法で俺の中に潜む黒竜を制御していた。そしてそれが解き放たれてしまい。もう制御が不可能となった。それでどんな影響が出るか確認するためである

 

故郷の方でも、アナザーモンスター達の敏感な感知が良いのか、遠く北の果てでもわかるようだ

 

そして俺の存在を世界で無視できなくなった。今この状況を持って警戒を更に強化するか、今ここで自分たち大精霊が故郷に戻ることなく、ここに留まるべきだと。今後のことを考えてノームとウンディーネはオラリオに留まろうとする

 

そして

 

 

 

「そうか・・・・・・・お前達がここに留まることを選ぶか」

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

『『主様!?』』

 

 

「覚悟の上、もはや俺が無視できない存在となった今この状況では仕方あるまいだろうな」

 

 

だからここで俺が目覚めた

 

いつまでも寝ようとは思わない。目覚めたきっかけは、ヘルが俺の体に戻ってきた感覚のおかげ。また勝手に俺の体から出てきたようだ。おそらく今その場に居ないヘスティアの神会に行って少し茶々を入れたに違いないと理解する

 

そして再び俺が目覚めたのだが

 

 

「ジーク!?お前・・・・その顔!?」

 

「左半分が!?」

 

 

「言ったはずだ。覚悟の上だと」

 

 

「刺青のような痣が!?」

 

「まるで黒竜の皮膚!?」

 

『主!?まさか・・・・これが!?」

 

 

「ああ。変身の代償だ」

 

 

再び俺が目覚めた時には、全員が驚愕している

 

それは俺の左半分の頬に、痣のような黒い跡がある。そして左眼も竜眼になっている。エギルの髪飾りもしていないのに

 

黒竜に変身したことで、半分黒竜化したのだ。俺の左頬には人肌の色はしておらず、少し黒味がかかった痣ができている。もちろん気にしない。全て覚悟の上だからな。だが流石にこれを人の前に出るにしては小言を言われそうで面倒だと。包帯を用意してもらう

 

 

「春姫。左半分を隠したいから包帯を、それと果実ジュースを一つ」

 

 

「はい!」

 

 

「リリルカ。俺が眠っている間に何があったか、報告を」

 

 

「は、はい!あの事件から三日経ちました。その後特に問題はありません。ギルドの方はジーク様を捕縛するミッションはジーク様の活躍により無くなりました。今ヘスティア様は神会にて、ジーク様が告げた真実を説明しています。街の方では・・・・・未だにジーク様を非難する者達が半分も居ます。それで何度か街で喧嘩が」

 

 

「街で喧嘩?どう言うことだ?」

 

 

「ジーク様を未だに英雄として味方する者たち市民が東と、ジーク様を怪物として非難する者たち市民が西と、東と西区に住む人々が喧嘩をするようになったのです。あなたは正しいやあなたは悪だと貴方様の評価で言い争っているのです」

 

 

「確かにどうするかは委ねると言ったが、まさか内部争いを起こすとはな。だが人らしいな。そうしたいのならそうすればいい。俺は何も言わない。では街の治安は不安定に?」

 

 

「はい。ですから今ガネーシャ・ファミリアがなんとかしているものの、手を尽くすことができないまま、乱闘することが多いと。もちろんこれは冒険者以外の市民間の抗争になっています」

 

 

「まったく、俺は英雄を捨てたいがためにあのようなことをしたのに、勝手にまだ俺を英雄として名乗らせようとするとは、不服だな。シルの孤児院に何かをしたら容赦はせんがな」

 

 

「それともう一つ報告が」

 

 

「なんだ?」

 

 

「オラリオに住むエルフたちが、豊穣の男神フレイ様が亡くなったことで悲しみ、皆を集めてハイエルフのリヴェリア様を慰めている状況もあります」

 

 

「そうか・・・・・・こうなることも理解した。それは後で俺がなんとかしよう。ギルドは?」

 

 

「あのエイナ様が、珍しくあのギルド長に反旗を翻すように脅しを掛けました。脅し内容は・・・・・・・リリの口から言いたくありませんので、とにかくジーク様はこのまま冒険者として継続できます」

 

 

「そうか、エイナも我慢ができなかったようだな、俺を想ってか」

 

 

その話を聞きながら、俺は包帯を左半分へと巻いて。果実ジュースを飲む

 

街の治安は、俺が人ではなく怪物になったことで、英雄としての肩書きが消えるかと思いきや、それを巡ってこの街に住む人々、冒険者以外の市民達が乱闘を起こしている

 

俺のことなど放っておけばいいと言うに、俺が正しいことを掲げたいのか、俺が人として正義だと認めたい東に住む人達

 

俺が悪だと、怪物であることには変わりないと、常識に乗っ取って断言する。俺が怪物であるからこそ、悪だと認めたい西に住む人達

 

その双方が乱闘を起こすと、喧嘩を止めるためにガネーシャ・ファミリアが止めている状況である

 

 

オラリオの街の治安が不安定になっていることが、あの事件で崩壊し掛けている

 

 

ロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアは、何もされることはなく、今問題とするなら市民同士の争い。それだけになったのだろう

 

 

そして

 

 

フレイが亡くなったことで、信仰していたエルフ達が悲しみに負われている

 

 

それは後々、俺がなんとかするつもりだ。

 

 

ギルドの方は、俺の捕縛を取り下げ、エイナがらしくないことをして止めたようだ。彼女はお淑やかな性格だ。そんな彼女が何をして脅しをしたのかは知らないが、その話でベル達の顔が青ざめていると言うことは、聞かなくても余程のことだろうとわかった

 

 

それで・・・・・

 

 

「ノーム、ウンディーネ、お前達がここに居ると言うのは俺の心配があってのことだろうが、それだけではないのだろう?」

 

 

『はい。主様の思惑通りです』

 

『皆様。主様の報告を、お待ちしております』

 

 

「わかった。俺自らが連絡する。アレを」

 

 

『はい。こちらに』

 

 

「リリルカと命、すまないがこの部屋にあるカーテンを全て閉じてくれ」

 

 

「「は、はい!!」」

 

「俺たちは部屋出た方がいいよな?」

 

 

「いや、お前達もいずれ出会う奴らでもある。お前達もここに居て参加してくれ」

 

 

「は、はい!」

 

 

そうして俺は故郷に少しでも報告をするべく、ウンディーネが机に大きな鏡を出した。これもあのオーディンとヘイムダルの連絡用に使った水晶と同じ、鏡に映る先の光景を見せる連絡用のマジックアイテム

 

そしてこの鏡は写す先は

 

 

俺の故郷の会合室

 

 

ピ、ブウン!!

 

 

「ん?なんだ?呼ばれるまでもなく全員揃っているのか?」

 

 

『『『『『『『『『はい!!ご主人様!!!』』』』』』』』』

『『『『『『『『『全員揃っています!兄様!!』』』』』』』』

『『『『『『『『『我が王!おはようございます!!!』』』』』』

『『『『『『『『『ご無事ですか!?マスター!!!』』』』』』

 

「うわあ!?」

 

「なんだこりゃあ!?」

 

「女性のヒューマンに・・・・リリと同じパルゥムに・・・・」

 

「レイ殿達と同じ、喋るモンスターに!?」

 

「これみんな・・・・精霊ですか!?」

 

 

『はい。オーディン様とヘイムダル様の眷属である。スカサハ様の弟子であるパルゥム達とワルキューレ姉妹』

 

『そして主様の故郷に住まれる精霊大樹から我らの同胞精霊達と、アナザーモンスター達各種族の長達です』

 

 

「ほとんど全員居ると言うことは、俺の報告待ちか」

 

 

鏡が写した先には。俺の故郷の室内である会合室

 

 

その先で、大きなテーブルを一つを囲むように、椅子に座る人間・パルゥム・精霊・アナザーモンスター達が着席しながら俺に頭を下げる

 

オーディンの眷属である。団長のスカサハを含めた。弟子であり勇士でもある『イオフェ』達も居る

 

次にヘイムダルの眷属である。団長の『ブリュンヒルデ』と言うワルキューレの長と、その妹達である『姉妹』達

 

更にサラマンダーも含めた精霊達、そこには木の精霊である『ドライアド』も居た大精霊たち

 

最後に各種族の長であるアナザーモンスター。そこには以前水晶で見た。ラミアのサーナや。竜女のメイジも居る。その他にはケンタウロス・マーメイド・アラクネ・ミノタウロス・アンデッド・ハーピー・サイクロプスと言った各種族も居る

 

 

まだ全員ではないが、ほとんどの者達が今日俺が目覚めるのをわかっているからなのか、ほとんどの者達が会合に集まっていた

 

 

もちろんその中には

 

 

『ジーク!!その顔の包帯は!?怪我は大丈夫!?』

 

『セタンタ。遂に使いおったな』

 

 

「ゲルズ姉さん。体は問題ない。そしてスカサハ。いつか使うとお前もわかっていたことだろう?」

 

 

「あの・・・・ジークさん?この方たちは?」

 

 

「フレイの妻、『ベルグリシのゲルズ』。そして俺の魔術や武器の作法を御教授してくれた師、オーディン・ファミリア団長にしてパルゥムの『スカサハ・アードガム』だ」

 

 

「「「フレイ様の妻!?しかもモンスター!?」」」

 

「「ジーク様の師匠!?」」

 

 

そのテーブルを囲む椅子の中、二つだけ豪華な椅子がある。そこに座るのは

 

 

フレイの妻ゲルズ

 

 

俺の師であるスカサハ・アードガム

 

 

この二人がこの中で一番長年長の務めを果たしてきた者たち、弟子が多い。レベル七の紫色の髪をしたリリルカと同じく幼女のようなパルゥム、スカサハ・アードガム

 

そして全アナザーモンスターの頭領にして、回復薬を制作する薬師にして、ベルグリシと言う喋るモンスターにして、人間と変わらないサイズをした茶髪をし、フレイヤにも負けない美貌の女。我が義姉にしてフレイの妻、ゲルズ

 

 

俺の故郷にて、この二人がまとめ役にして総督である。全ファミリア戦士系の長代表がスカサハ。全ファミリア商業系の長代表がゲルズと。このメンバーの中で一番偉いと言うことである

 

 

『ジーク?その子たちは貴方の仲間?』

 

『私の同胞も居るな?』

 

 

「ああ。紹介する。全員スカサハ達に簡単な自己紹介を!」

 

 

「あ、はい!僕は副団長のベル・クラネルです!」

 

「リリルカ・アーデです。リリもパルゥムです」

 

「ヴェルフ・クロッゾだ」

 

「ヤマト・命です」

 

「サンジョウノ・春姫でございます」

 

 

『ゲルズよ。ベルグリシと言う巨人のモンスターだけど。みんなよろしくね?』

 

『スカサハ・アードガムだ。私の愛弟子が世話になっている』

 

 

「い、いいえ」

 

「なんだかこの二人・・・・」

 

「ああ・・・めちゃくちゃ美人だ」

 

「リリ殿と同じあのパルゥムの女性も中々です」

 

「ええ、と言うより、今この部屋にいる方々、モンスターも含め、皆美女なのですが・・・」

 

 

簡単な自己紹介をスカサハ達に向けてベル達はしたのだが

 

あまりにもゲルズとスカサハの若く凛々しいような美貌の微笑みをされたのか、女であるリリルカや命や春姫でも、恥ずかしくなってしまい。フレイヤにも負けないような魅力を感じてしまっている

 

でもスカサハはパルゥムであるから幼女のように見えるが、エルフのように老化はとても遅いだけで、彼女は今年で60になる年寄りになると言う事実は、隠しておこう

 

 

『ほう、レベルは低いようだが、良い仲間が居るな。セタンタよ。極東人二人と、頭が冴えている同胞と、あの魔剣のクロッゾか』

 

『良い子達だってすぐにわかるわ』

 

 

「い、いやあ・・・」

 

「褒められるようなことではないはずなのに」

 

「この御二方に言われると・・・」

 

「ああ。なんか照れ臭くなっちまう」

 

 

レベルが低いと言えど、それに釣り合うような特別感を二人は感じるのか、リリルカ達を褒めるのだが、褒められるようなことは今までしてないのに、それでもこの二人に言われると何故か照れ臭くなるリリルカ達

 

そして

 

 

「スカサハ。ゲルズ姉さん。このベル・クラネルをどう思う?」

 

『どう思うも何も・・・・・・『この子』がなんでしょ?』

 

「ああ。そうだ」

 

『そうか・・・・・確かに似ているな。『あの小僧』。よく『あの小娘の妹』に手を出せたものだ。嘸かし・・・・・『あの小僧共が生きていたら』驚いただろうに』

 

 

「え?」

 

 

「心配するなベル。二人はあまりにこの中で一番特別を感じて驚いただけだ。そうだろう?」

 

『ええ、もちろんよ。この中で一番優しそうな少年よね?』

 

『そうだな・・・・・特別であることは間違いないな』

 

 

「そ、そんな・・・・特別だなんて・・・・えへへへへ」

 

 

スカサハとゲルズは初めてベルに会うが、それだけで確信に気づいた

 

ベルが『あの双方の残し者』だと言うことに

 

スカサハやゲルズはあの双方のファミリアを知っているから、忘れることはないのだが、まさか本当にあの主神二人がずっとベルを隠していたのだと、あの双方が残した者だとは。思いも知りなかった。だからベルを見ただけで、ベルの両親がすぐに誰だかわかり、ゲルズはともかく、スカサハはそのベルの父親をよく知るため、『あの小僧も男だな』と、知人に対して少し呆れもあった

 

 

「ところでジーク様?あのスカサハ様はジーク様を『セタンタ』と呼んでいますが、もしかして二つ名ですか?」

 

 

「そうだ。とは言っても俺の幼少の時に付けられた古い二つ名で、それを呼ぶのはもうあいつだけだ。意味は『憤怒の小犬』。幼少時代に俺は偶然野外に遭遇した狂犬のモンスターを素手で絞め殺すなどをして、オーディンに名付けられた二つ名だ。まだ7歳の時にな」

 

 

「それは・・・・・す、すごいですね」

 

 

7歳の時に、ある外壁に群がる狂犬のモンスターが居たのだが、それを一人で俺は締め殺し、当時まだ母親から神の恩恵を受ける前に果たしたこと。まあこれが原因でその後母親に改めて恩恵を授かったのだが

 

爺さんが言うにはその狂犬のモンスターはレベル二でなければ難しい。あのヘルハウンドと同じ強さらしい。それをステイタスも無しに絞め殺すなど、あまりにも異常で、活躍の凄さに、爺さんが俺に初めて二つ名を付けて、それ以来もっと強くさせようとスカサハは俺に武法の作法を教授した

 

 

『ジーク。その半分の顔に包帯を巻いていると言うことは・・・・』

 

『侵食しているの?』

 

 

「覚悟の上だ。もちろんお前達でも治せないぞ?」

 

 

『っ!そんな姿になるのか・・・・』

 

『左頬に痣に・・・眼が・・・・』

 

『『『『『『っ!?』』』』』』

『『『『『『兄様!?なんてお姿に!?』』』』』』

『『『『『『『主!?』』』』』』』

 

 

一度。俺は顔に巻いてあった包帯を解き、今愚かな素顔を晒す。もちろんこれはスカサハやゲルズでも治せないと、本人達も自分の眼で見て確信する。

 

人間が怪物のドロップアイテムを食べた後の後遺症。二人もそんな姿に、何も言えず、いや・・・・・そもそも人が怪物の姿になる事自体が前代未聞で、何十年も生きている彼女達でも治療法はない

 

いや、そもそも

 

 

「喰らい付いたのは俺だ。俺がそうすべきだと、自分で決めたこと。わざわざ自分の決断に揺らぎなどない。むしろまた大きな力を得たと思って、黒竜の力を物にしただけだ」

 

 

『揺らぎはないようだな』

 

『ジーク。このままだと。貴方はメイジちゃんのようになるのね?』

 

 

「ああ。だから別に気にしていない、俺が獣人と言う名の『竜人』になるだけだ。何も恐れはない」

 

 

『お兄ちゃん・・・』

 

『ジーク・・・人しての姿を捨てるのね』

 

 

「代償として当然だ。でなければ黒竜を倒せなかったのだ。今オラリオでも俺が黒竜と姿になったことは公にされ、黒竜討伐は果たせても、俺が今後怪物扱いをされることは避けられない環境となるだろう」

 

 

『そうですか・・・・』

 

『では貴方が英雄としての立場も・・・・』

 

 

「ああ。ここまでだ」

 

 

どうあろうとも、この事態は受け入れるまで、避けることは叶わないだろう。

 

だが、俺の環境は正直どうでもいい。

 

それよりも故郷の荒れ具合だ。そっちの方はアナザーモンスターだって居る、気配に敏感な彼らが俺の力を発動させたことで、街はパニック状態になっているはずだ

 

修正を掛けるためにも、街の状況下を聞く

 

 

「それで、そっちはどうなっている?」

 

 

『ジークが黒竜の力を使うから、怪物市街は荒れている。今ここに居ない『ラーマ』や『頼光』もモンスター達を安静させるために、会合に参加せずに、そっちに回っている』

 

『一応なんとか、安静させてはいるのだけど、そちらは南の果てにあると言うのに、ここまで黒竜の気配を感じるなんて、思いもしなかったわ』

 

 

「被害がそちらにも、世界を滅ぼすかもしれない黒竜だけのことはあるな。サーナ。メイジ。被害状況は?」

 

 

『ドワーフの皆さんでミノタウロスを介護中。パルゥムの皆さんでハーピーの皆さんを落ち着かせています。ツクヨミ様の眷属の方々とケンタウロスの騎士隊長の皆さんで小島で暴れるモンスターを鎮圧しています』

 

『遠くでも気配が物凄く感じるよ。お兄ちゃんの黒竜の覇気が世界にまで届いているかもしれない』

 

 

「ルーン・ブレイクまで使ったんだ、こうも覇気と気配が世界にも広がるとは・・・・思いも知れなかったな」

 

 

黒竜は世界を滅ぼすかもしれない最強のモンスター

 

その世界に影響を与える力の気配や覇気までも、アナザーモンスターの敏感な感覚を変に感じさせてしまい。まるで何かに酔うように体に不良を起こし、震え上がるような恐怖の感覚を感じさせてしまった。まるで誰かに睨まれているように

 

それだけでなく、周辺にある小島に生息するモンスターたちが怖気を感じて暴れている模様。このまま島の国境を越えて故郷に侵入されることもある事態になるため、故郷を踏み越えられる前に暴れているモンスターを排除していると報告を聞く

 

今後、少しでも黒竜の覇気をなんとかせねば、世界の環境に影響与えてしまうと理解した

 

 

「黒竜の力は今後抑える。俺の今後の課題だ。少しでも制御できれば体の侵食も止めることもできるだろう。しばらくは体の半分は竜になることは想定済みだとして」

 

 

『やはりこちらから、貴方に支援できる方を送るべきでは・・』

 

 

「必要ないブリュンヒルデ。前も言ったが、これは俺が選んだ道であり、お前達が助けを行使する必要はない。今はこのファミリアの仲間が俺を支えてくれる。問題はない」

 

「ジークさん・・・・」

 

「それに俺は『一族のすべき事を放棄してまで』この道を選んだんだ。自分で選んでおいて他人に助けを乞うなど、微塵もそのつもりはない」

 

「一族のすべき事?」

 

 

俺はフリード家の唯一の子孫であるが故に

 

一族が果たさなければならない道を捨て、故郷を出てオラリオで冒険者をしている。ある意味一家の面汚しもいい所ではあるが、

 

それでもここは俺を強くしてくれる良い場所だ

 

母とフレイの言いつけで理由も聞かなかったが、それでも確かにここへ来てよかったと思う。苦しい戦いが多くとも、それでも大きく強くなれた気がする。

 

 

それにベル達と言う仲間もできた。

 

 

友人も多い。ここへ来ただけの経験と幸せは確かにある。いつまでもここに居るとは思えないが、今はサーナやブリュンヒルデ達にこのままこっちでもやっていけると伝える

 

 

「とにかく、俺はまだここオラリオでヘスティア・ファミリアの団長としてやっていく。そっちはすまないがお前達に任せる。心配をかけたことは謝罪する。だが信じてくれ。俺はもう新しい信頼できる仲間が居るからどんな苦難でも乗り越えられると」

 

 

『ジーク・・・・』

 

『そうか・・・それがお前の答えか』

 

『お兄ちゃん・・・』

 

『無茶だけはしないでくださいね』

 

『離れていても、私たちは側に居ることを忘れないで』

 

『『『『『『主が決めたことなら!!!』』』』』

『『『『『『我ら妹に言うことはありません!!!』』』』』

 

 

ファフニールに侵食されても俺は故郷には戻らずにここで冒険者をやっていくと言った

 

戻ってもこの体が治る見込みはない。だったらここで果てるまで戦い続けるだけ、もうこの先は平和に歩めるとは思えない。人間でなくなったのなら、何かの事件に巻き込まれてまた闘うのが運命だろう。

 

それでも構わない。今は俺を信じてくれる仲間と共に生きるまでだと、ここに留まり続けると故郷の家族に伝えた

 

 

「では俺はこれから仕事があるため、今回の会合はここまで、そちらのことはお前達に任せる。必ず今年に一回くらいは帰るから、そのつもりで頼む」

 

 

『ああ、わかった』

 

『体に気をつけてね』

 

『何かあったら連絡してくださいね?』

 

『ジーク。大変だけどしっかりね?』

 

『お兄ちゃん。帰ってくるのを待っているから』

 

『『『『『『主。どうかお元気で』』』』』

 

 

「ああ。ありがとう。では今回の会合はここまで」

 

 

最後に簡単な別れをして。マジックアイテムの発動を解いて、連絡を切断した

 

皆の懐かしい顔を見れてよかったと思う。二度オラリオに行くことを反対した家族でもある。それは俺を想う気持ちの表れ、心配をかけさせたことは申し訳ないと想うが

 

それでも俺が選んだ道。止まるわけにはいかない

 

 

「出かける。お前達は付いてこなくていいぞ」

 

「え?どちらへ?」

 

 

「エルフ達を慰めに行く」

 

 

俺がこの後仕事がある言ったが、それは今フレイが亡くなったことを悲しんでいるエルフ達を慰めに行く

 

これが義弟としての仕事でもある

 

フレイの弟であるが故のなすべき事

 

 




次回で黒竜編は最後です
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