そして俺たちは海の上でオリンピアへ向かっている。
この依頼はウラノスにも話が通っている。だからこそ簡単に俺たちをオラリオの外へ出ることができた。ゼノスを助けたからのお礼なのか、意味は理解できないが、それでも俺たちは大船でオリンピアを目指している
ちゃんとヘルメスから用意してもらった、オリンピアに並ぶ服装としてもあり、俺には白いマント、白い羽衣、白いキトンと言った、真っ白な衣服のバトルクロスを身につけている
この世に存在するかわからない都市を目指すとなれば、当然またも長旅となっている
だから
「依頼だから当然なんだけどさ・・・・」
「まさか海の上でもモンスターが来るとは・・」
「思いませんでしたね・・・」
「お前達は海の上での戦闘は初めてなんだな?」
ヴェルフ達はおそらく海の上での旅なんてしたことないから、船に乗っているだけでもモンスターが来るはずないと想像できなかった。
俺は何度も船で旅をしていたから経験済みで対応できるが、ベル達はそんな経験もないため、あまりに普段の動きができないまま、船の上では少し鈍さがある
「ジークさん。なんだか慣れているようですけど、なんか・・・・・・動きがいつもと違くないですか?」
「船の上だから当然だ。バトルスタイルを変えなければ、魔法を放って船を壊すなんて真似をしてみろ。オリンピアに着く前に沈むぞ?」
「た、確かに!?」
「それは一理あります・・・」
船の上の戦闘だ。
当然レベル6で加減を間違えれば、こんな大船でも大破して、海に沈むだけ。
だからフィールドに応じてその戦闘スタイルも状況に合わせて戦わないとならない。レベル6で黒竜の力を少しでも出せば、この船でも大破してしまう
それに
「心配するな。それに加勢が二人も居るんだ。問題ないだろう?」
「ジークさんの護衛として、ミア母さんにまた休日を貰いました」
「私も妹分が心配でね。それに私もヘルメス・ファミリアの団員だしね」
「アイシャはわかるが、リューは俺の護衛ではなく、俺の監視だろ?」
今回の依頼は決して俺たちだけではない
ヘルメス・ファミリアからアスフィとアイシャ。そしてリューも助っ人として居る。残りのヘルメス・ファミリアはオラリオに残されている
リューは俺の護衛だと言っているが、二度も死んだ上に、黒竜の悪化を確認したいがための監視であろう
ちなみに一応ヘファイストスも来ているが、眷属である椿たちはオラリオに残っている。理由は鍛冶の仕事がまだあるからだそうだ。武器の生産要請もあるかもしれないと言う理由で
今出てきているのはヘスティア・ファミリア。リューとヘルメス・ファミリアの二名と主神にヘファイストス・ファミリアの主神のみでオリンピアへ向かっている
すると
『主、よろしいですか?』
「どうだ?」
『主の言う通り、やはり彼女たちがあのモンスター達を相手に、このオラリオまで辿り着いたことが不自然です』
『船にも推進しやすいマジックアイテムだけで、モンスターを避けるマジックアイテムのような物も、この船にも魔除けのようなものはありませんでした』
「そうか・・・やはりか」
『となると・・・・あの噂は本当な可能性が』
『主の気配から感じますか?』
「いや・・・・まだその感じはしない。裏があるとは思っているが、どこまで隠し通せるんだろうな」
ウンディーネとノームに、俺たちがモンスターと戦っている間に、船を調べるよう頼んでいた。そしてこの船にモンスターを避ける魔除けは無し、あるのは推進しやすいマジックアイテムのみ
それだけでこんなほとんど海か空だけの水平線ばかりの長い旅に彼女達がオラリオを目指せるとは思えない。格好からしても戦闘向けの、巫女の服を着ているレア達がオラリオまで辿り着けること自体おかしいと思い。ウンディーネの言う通り、『あの噂は』間違いないかと思う
「うわあ!僕とベル君の時間を邪魔するな!!」
「ま、今の所は詮索しても何もわからない。何かあったら随時俺に報告してくれ。それと何か危険なことがあったら、俺ではなく、ヴェルフ達を助けてやってくれ」
『しかし!それでは主が!』
『主!今の主の状態では・・・』
「いいんだ。今回にできることは俺は限られている。今はヴェルフ達のフォローに入れ、俺はヘスティアのフォローに入る」
『主・・・・』
先ほど、命に俺は『動きが変わっている』と言われているが、実はそうしたのは別の理由がある。もちろんこれはウンディーネとノームとヘスティアしか知らないのだが
それでも今はそれでやるしかない
この依頼は、全て
ヘスティアが望んだことだからだ
あれからちょうど一週間
「暇ですね・・・・」
「モンスターも段々出てこなくなったしな」
「なんだかこのような事を、前みたいにもあったような」
オリンピアに向かって一週間が経った
未だに周りには海と空だけ、前のエルソスの遺跡同様に、日にちが経つに連れてモンスターも出てこなくなり、今はメディラの海と言う内海の上ばかり、またも暇な時間ができてしまい。全員呆然状態となった
ヘスティアは除いて
「おい!僕は今日もベル君と!」
「ヘスティア様!喉を乾いてませんか?」
「水ならありますよ?」
「お腹も空いてますか?」
「ご飯もありますよ!」
「僕の話を聞けええええええ!!!」
「もうこの光景は慣れたな」
「そうですね」
こんな暇な時間でも、イリア達巫女達はヘスティアの奉仕を続ける。
彼女達からすれば、救済の女神と出会えるのだから、感謝の荒鷲としては当然の行為に当たるのだろう
にしても、俺にはやはりあのイリアとか言う女が、不愉快でたまらない。なぜあの女が今回俺達に事件を投げたのか、まあそんな事を言わなくても
そういうことだろうと理解はした
まあ、それは目の前にあるものを確認すればいいだけのことだ
「全員、気を締めろ。着いたぞ?オリンピアに」
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」
『着きましたか』
『なるほど・・・あれですか』
「着いたのか・・・」
「・・・・・・・」
「ん?なにが?なにも見えないけど?」
突然、俺が告げたことにより、全員がしっかりと気を緩めたところで、目的地に着いたと告げた瞬間、全員が立ち上がる
でも
何も見えない
まだ何も、俺がしっかりと告げたが、だが目の前にはまだ海しか見えない。それでも俺は着いたと告げる
だが
「っ!?なんだ!?」
「陽炎!?のような・・・・・炎の壁!?」
『主。これは・・・』
『まさか結界ですか?』
「ああ。なるほど・・・おふくろが『近かないようにしろ』と言っていたが、これが理由なわけか。お前達なら開けることができるのだな?」
「はい。私たち・・・ではなく。この船に乗って居る者達だけです」
突然、船の先に大きな陽炎。炎の壁が突然現れる。
今まで他の他国がここに辿り着くことなく、そして姿も見たことがないと、外の者達では常識となった。
その理由はこの炎の結界が理由
おそらく、この炎の壁に触れれば『弾かれる』か『焼き尽くされる』かのいくつかだろう。だから他の国が交流できなかった一つの理由。
この船に乗っている者だけがこの結界を乗り越えることができるらしい
そして
船の先端が炎の壁に触れると
ブオ!!!
と、炎の壁が一気に消えた
その先から、オラリオに負けない。大きな都が
「これが!?」
「本当に!?」
「マジかよ!?」
「炎の壁が消えて、出てきたのが!」
「違います!この炎の壁が覆っていただけです!」
「これが・・・・まさか」
「そうみたいだ。これがオリンピアだ」
そうして俺たちの向かった目的地である。
神代の都・オリンピアに見事着いた
炎の壁が消えた先に、隠れてあったのは大きく壁に覆われた広がる街並みと、山のような崖の上には大きな神殿が、オラリオに負けない豊かそうな街並み、千年前か実在した都市
そこへ無事に辿り着いた
すると
「っ!」
『主?』
『どうかしましたか?』
「心配ない。この都から変な気配を感知しただけだ」
『まさか・・・・・天の炎ですか?』
「まあな」
この都に近づくと、突然『大きな力』を感知した。もちろん天の炎もそうだが、間違いなく。ここに『居る』のだろうと、やはり俺の思惑通りになった
あとはこの街を確認しようと。俺はあとは確認をするべきだと。これ以上は何もできない
無事に船から降りて、俺達はオリンピアの地に足を付ける
そして
「うわああ!!ここがオリンピアか!」
「夢みたいです!伝説の場所に、私たちがその場所に居るなんて!」
「そういえば、ベルと春姫からすれば嬉しいことだったな」
「二人とも英雄譚好きだからね」
オリンピアの建物をあちらこちらと、ベル春姫は嬉しく喜びながら見ていく。二人からすれば喜ばしいことなのだ。実在しない神話の場所が、まさか実在している場所に足を踏み入れることができる
そんな幻の場所にお目にかかることができる。英雄譚好きのこの二人からすれば、夢の一つ
「建物はすげえ綺麗だな」
「これは全て、千年前から壊れることなく、建造された物です」
「は!?千年前から!?」
「ほう、この建造物が全てか・・・・」
ヴェルフは鍛冶と言う職場をしているからなのか、建物の質があまりに綺麗だと。すぐに見分けが付く。神代から実在した都、だからと言ってまさか千年前から壊れることなく維持しているのであれば、ヴェルフだけでもなく驚く話だ
だが
俺にはそんなふうには思えない
「ん?ところで、住民が見えないが、どこに居る?レア?」
「あ、それは・・・・」
「「「「「「ようこそお越しくださいました!!ヘスティア様!!!」」」」」」」
「「「「「「っ!?」」」」」」
「ん?いつの間にイリアまで・・」
汚れのないヒビのない建物に驚くこともあるが、住民が見えないことに不自然に思う、その瞬間、突然俺たちの横から大勢の人々が現れた
でも・・・・・・兵士と巫女ばかり
「ウェスタ・・・いえ・・ヘスティア様!オリンピアにお越しいただきありがとうございます!!是非とも聞いてください!ヘスティア様を歓迎する歌を!」
「だそうだヘスティア。歓迎されているようだぞ?」
「え!?歌!?それ・・・・・長いの!?」
「ええ、百曲くらいに・・・」
「百曲!?そんなに聞かなきゃダメ!?」
「歓迎されている立場で文句が言えるならやってみたらどうだ?多分、聞かんぞ?」
「う、嘘だろう・・・」
オリンピアの兵士や巫女達がヘスティアを招こうと、彼女に因んだ歌が百曲くらい用意してあるのだが、ヘスティアは恥ずかしくて聞きたくないのか、しなくていいと言うが
せっかく用意されている歌を無碍にはできない上に、歓迎されている立場で文句は言えず、ヘスティアは我慢して聞くしかなかった
数十分後
「どうですか!ヘスティア様!良かったですか?」
「あ、ああ・・・よ・・・良かったよ・・・とても」
「合唱力はともかく、歌詞の内容は派手だな」
「す、すごい歌を初めて聞きました」
「ヘスティア様の顔が真っ赤だぞ!?」
「本人の想像つかない歌でしたね。なんと語彙力の無い恥ずかしい歌」
「自分、今すぐジーク殿の歌を聞いて忘れたい気分です」
「聞いている私たちも真っ赤になります・・・」
イリアがヘスティアに歓迎曲を披露したのだが、あまりの恥ずかしい歌に、ヘスティアは真っ赤で返事がしづらくなっている
この都ではとても讃えられているとは言え、まさかここまで讃えられた歌を聞かされたのは初めてらしく、流石のヘスティアも恥ずかしさで今にも蹲りそうだ
「歓迎しているのはわかった。だがヘスティアがなぜそこまでこの都市で讃えられているのか、聞かせてもらえるか?レア?」
「あ、それは・・・・」
歓迎しているのはヘスティアのみなのはすぐわかる。まさか『ウェスタの巫女』達が全員で出てくるとは思わなかった。でも明らかにヘスティアをウェスタと呼ぶのであれば事実だろう
だが、改めてなぜそこまでヘスティアをこの国で称えるのか、レアに聞く
すると
「我々からすれば近き者として誇らしいからです」
「「「「「「っ!」」」」」」」
「オリンピア民において聖なる炎を司る神は天の炎を祀る女神は我々からすれば近き者として感じます」
「お前は?」
突然、後ろから20代と思われる水色の髪をした男が現れる。魔力気配からして間違いなく、今横に居る巫女や兵士たちよりも遙かに強い。オッタルと良い勝負にもなるほど強者だ
だが、こいつが今回の重要人物であるに違いない
「私はエトン。プロメテウス教団の神議長です」
「お前がこの国の長に当たる者でいいんだな?」
「はい。皆様。そして悠久なる聖火の女神様。ここオリンピアへ、ようこそ」
「ヘスティア・ファミリア団長のジーク・フリードだ」
「ジーク・・・・・・っ!?」
「ん?」
「「「「「っ!」」」」」
神議長と言うから、自己紹介は必要だと思い、軽い自己紹介を俺からしたのだが、突然笑顔を保っていたかのような顔に、突然驚愕な顔をした
そして、なぜか恐る恐る、俺の名前を聞かれる
「あの・・・もう一度聞いても?・・・」
「ジーク・フリードだ。どうした?まさかここで俺に出会うとは思わなかったのか?」
「フリード・・・まさか・・・・・あの・・・『ニーベルング族』の・・・・まさか・・・まだ『リーヴの子孫』が生きていたのか・・・」
「っ!お前・・・・・そうか、やはり『若そうに見えて老いている』なと思ったらそういうことか」
俺の名前に驚いたのではなく、俺の『苗字』に驚いた。やけに若そうに見えて老いているなと思ったが、そういうことかと、この男の正体がわかった
そのニーベルング族と言う単語とリーヴの子孫なんて言葉、神々でも数人しか知らないと言うのに、今の現代の人間で知っている者は俺の故郷の者しか知らないはず
てっきりヘラクレスの英雄譚での事を言っているのかと思ったが、まさかそこを突いてくるとは、まさかな
「あの驚く事はあるかもしれませんが、ジークさんが居れば頼もしいですよ。なにせ英雄ヘラクレスですから!」
「あの黒竜を討伐した英雄ですよ!」
「おい、二人とも。前にも言ったが俺をそんな称えるように・・・」
「あ、そうですね。すいません。お恥ずかしいところを。まさかあの伝説に聞くヘラクレスに出会えるとは思いませんでしたので」
ベル達には『ニーベルング族』と言う単語は聞こえなかったのか、ヘラクレスと言う単語で、この依頼が成功しやすくなると言い出した。またもそんな称えるような事を言うなと言ったはずなのに
エトンもそれに合わせて、話題を変えた
間違いなく、俺に関わる単語を出せば『自分の素性をバレてしまう』と、自分の正体を隠すためにヘラクレスの話題を出した
「エトン。天の炎はどこにある?そこで全ての説明を聞かせてもらおう」
「ええ、そこで全てお話いたしましょう」
そうしてエトンは、全ての真相を話すべく、天の炎が纏われると思われる場所、大神殿へと向かう
やはりこの街を見ても、全てが綺麗な姿を晒しているように見えるが、全部表だけを偽装しているだけのようだ。
やはり俺の思惑通りになりそうだ。このエトンと言う男を見ればなによりの証拠だ。
今回の依頼、今までにおいての苦難と予想する