ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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オリンピアの真実

 

宿に戻ると、なぜアフロディーテがここに来たのか説明を、俺がする。レアが居ないのがちょうどよく俺たちオラリオの冒険者のみで俺がアフロディーテがここに来た理由をする

 

 

「ジーク君が増援を頼んだ!?」

 

「ああ。アフロディーテは今までオリンピアを攻めていたらしい。ちょうどいいと思い。俺が連絡した」

 

『はい。今回の依頼がどうも裏がありすぎると、主もこの謎に気がついたようで』

 

『アフロディーテ様に増援の連絡をしました。後に・・・・・・アルテミス様もここへ来ます』

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「アルテミスもここに来るのかい!?」

 

 

「アルテミスもオリンピアをある程度知っている。彼女の力も必要だ。無論その際は俺が受け止めなくてはならないがな」

 

 

アフロディーテと言う増援を呼んだのは俺だ。

 

アフロディーテが早とちりして今日現れてしまった以上は、もはやなぜか彼女がここへ来たのか言うしかなかった。現れなかったら言わないつもりだったんだがな

 

まあ、仕方ない。

 

でもだ

 

 

「どうしてアフロディーテ様とアルテミス様に増援を頼んだんですか?」

 

「簡単だ。おそらくこの依頼は『高難易度の依頼』だ。俺たちの力だけでは成功できる依頼ではない」

 

「え?そうなんですか?」

 

「ああ。お前達の眼には、この街が綺麗で美しいかもしれないが、『それでも俺には地獄』にしか見えない。やはり予想通り増援を頼んで正解だった」

 

「この街が?地獄?」

 

「いずれわかるさ。今回の依頼は今まで以上に試練になるとな」

 

 

「「「・・・・・・・」」」

 

 

そう言って俺は地震が眠る部屋に戻った。

 

もちろんその意味を彼らは分かってはいない。その意味を分かっているのはやはり『神々』だけ、なのにいつから『あんなものが見えるようになった』のだろう?

 

 

やはり神の間に生まれからなのか、ただでさえ、おふくろから『ミョルニル』『メギンギョルズ』『ヤールングレイプル』で神の力を制御されていると言うのに

 

 

『俺にはそんな嘘も見抜けるらしい』

 

 

まったく、神々になるなんて御免だが、その力の類を俺が有することになると、これ程便利なことはないだろう

 

だからなのか

 

 

「ジーク君・・・・・ちょっといい?」

 

「なんだ?君が俺に口封じにでも来たのか?」

 

「そういうわけじゃあないけど・・・・」

 

「君は『あんなもの』を見ておいて、なにも言わないんだな?つまりはそういうことなのか?それと口封じは無用だ。ベル達は眼に見たものにしか信じない。だから俺の言葉は聞かない。そうでないならなんだ?」

 

「・・・・・・・」

 

 

もう全てわかってしまっている俺に

 

ヘスティアは俺が眠るベットのある部屋までやってきた。もう全てを見て俺が悟ったことに気づき、これ以上ベルに教えるなと口止めをしに来たようだ。

 

そうするつもりはないとヘスティアは言うが、どう考えてもそういうことを言うために、俺の寝るベットまで来るとしか思えない

 

そうでないなら、なにしに来たと聞く

 

 

「全部分かったなら、今僕のしていることは間違っていると思うかい?」

 

「大間違いだ馬鹿者。それで何が救える?正直何度も君の誤った行動を見たことがあって口出しはなるべくしないようにしていたが、ここまで分かっていてそんな意味のないことをする君に呆れが刺した。完全にな」

 

「・・・・・・・・そうかもだね。でも・・・・」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君だってそういうやり方をしてきたじゃないか?」

 

「そうだな。確かに俺に言われる筋合いは無いにしても、だが誰が認める?そんなことをして・・」

 

「・・・・・・」

 

 

ヘスティアがこれだけを見て、最低限の道しか選ばないのは、おそらくこうするしかないと。俺と同じ道を選んでいるのだろう

 

 

だが、それを誰が認めるのかと、誰もが否定する

 

 

少なくともその道を選んだ俺は、何度も人に文句を言われ、散々な言われをした。報いはかなり酷くやってくると、結局俺は大罪に等しい重みを背負わせた。ベル達に

 

それをヘスティアがすると言うのは

 

 

「だから言ったはずだ。気に入らない行動を取ったら、単独で行動させて貰うと、そういう条件にすると言ったはずだ。そうしたいならそうすればいい。更に邪魔させないようにしろとも、勝手にしろと言ったはずだ」

 

「それは・・・・・・」

 

「それに君だって・・・・・俺に『そうさせない』ようにしているじゃないか?今更だと思うが?」

 

「た、確かにそうだけど・・・・・・」

 

「この後に及んで変な言い訳をするな。お前のそういう所が甘すぎる。ヘラと言い、ゼウスと言い、プロメテウスも、君の住処の神々は変な奴しか居ないのか?」

 

「・・・・・・」

 

 

まさかヘスティアにここまで説教な言葉を出さなきゃいけないとは思わなかった

 

ハッキリ言って無駄に等しい。

 

今ヘスティアが何をしようとしているのか、その全てを知ってしまった俺には、どうも馬鹿げているとしか思えない

 

 

それでなんとかなるものなのかと、『原初の炎』がヘスティアだけでなんとかなるものとは思えない

 

 

「それで・・・・・・君は俺にこれ以上皆に口出しするなとそう言いたいんだな?言いたいならそう言え、もう俺は君の眷属として、主神に呆れを覚えているが、言う事は聞くぞ」

 

「・・・・・・・君は・・・やっぱりトールの子だ」

 

「は?」

 

「トールもそうだった。間違っていることはしっかりと言う。誰かの間違いをハッキリ言うのがトールだった。その間に生まれた君は確かにトールの子供だよ」

 

「悪い癖だとは思っているけどな。でも主神だからと言ってその道を選ぶのは得策とは思えない。ただの牲だ」

 

「ああ。分かっているよ。僕の道は間違っている」

 

 

「だからこそ、俺の主神を犠牲なんてさせたくない。だからお前に暴言吐いてでも止めたい、俺たちにとって君の代わりなんて居ない」

 

「っ!?」

 

「そう言う愛情表現を、俺は言う。それで君は?」

 

「・・・・・・・・」

 

「返答はないか、まあいい。君と話すことなんてもう無い。明日、新たな指示がプロメテウスからあの神の碑に出るだろう。だから君ももう寝るんだ。君は忙しくなる身だからな」

 

「うん・・・・・・・ごめんね」

 

 

最後に彼女は俺に謝罪をして自室に戻る

 

謝るくらいならこの状況をいくらでも打破できると思うのだがな、それでも彼女がしたいことだからと、俺の暴言を受けてでもその道を選ぶ

 

 

まったく、プロメテウスも馬鹿なことをしてくれる。これでも人間の神のすることなのか?まあ試練をするには十分だがな

 

 

なんて言葉を、俺は心に思うのだが、プロメテウスもここまでの状況は自分たちだけではなんともできない。だからこそ俺たちに協力を求めた。ヘスティアの居場所が分かったのはおそらく俺の英雄譚が原因

 

まさかそれも分かって俺たちにこの依頼を頼むとなると、これは相当だな

 

おそらく、これはアフロディーテやアルテミス、そしてヘルメスとヘファイストスも予想外の依頼であると自負しているのだろう

 

 

と、思いながら明日に備えて俺は眠る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

俺の予想通り、大神殿にある神の碑に新たな指示が入っていた。

 

神の碑にはこう書かれていた

 

 

『救国の女神を燭台の最奥へ導け』

 

 

と、間違いなくプロメテウスが綴ったピエログリフ。ヘスティアをそこへ連れて行けと指示が送られていた。俺たちも巫女達も神の碑の前まで集まっていた

 

 

「となっています」

 

 

「燭台と言うのは、まさかここの地下の事か?」

 

 

「はい。オリンピアには地下と言う名の『祭壇』があります。あなた方で言うダンジョンと同じです。燭台は神殿で燃える天の炎を支えており、その最奥には祈りの為の地下祭壇があります」

 

「神ヘスティアには、その地下祭壇へとお越し頂きたいのです」

 

 

「そこで僕の仕事をしろと言うことか・・・」

 

「ダンジョンと同じと言うことは、かなり広い迷路にもなっていることだな?」

 

 

「はい。案内役は私イリアと、その他のミヌキアたち巫女が護衛に入ります」

 

 

「そうか、護衛が必要なら、巫女ではなく俺たちが出る。案内はお前がやるとして、他の巫女達は下がらせろ。俺達の主神だ。俺たちが守るのが道理だろう」

 

 

「申し訳ありませんジークさん。燭台は神聖な祭壇。他者の者を無闇に入れる訳にはいかないのです。それが決まりなんです」

 

 

「神聖な祭壇なのに護衛が必要だと言うなら、どう考えても危険な場所としか思えない。いくらお前達が天の炎から力を貰っていると言えど、主神をお前達だけに任せるつもりはない。危険な場所に主神を行かせるなど、お前達の国の決めた事でも、他人に俺たちの主神を他にまかせるなど、ここに居る身にしても同意するつもりはない。誰か一人くらい連れて行かせるようにしろと。エトンにそう言え」

 

「ジーク君、いくらなんでも横暴が過ぎるよ・・」

 

 

「で、ですが・・・・」

 

 

ヘスティアがその燭台へ連れて行くのは分かった

 

だが神聖な祭壇であるなら護衛なんて必要とは思えない。おそらくモンスターやら侵入者を阻むものとかあるに違いない

 

この国に居る以上はこの国の法律に従えと言うが、これはあくまで依頼、依頼主の依頼を引き受けるかはこちらが決めること、そんな危険な場所を主神だけ行かせるなど、国の法律関係なく、依頼の遂行方法としても眷属として賛成できない。

 

それなら一人だけ、一人だけでもこっちから護衛を出させろと、無理難題の注文をする

 

それに他者の者を無闇に入れるなと言うなら、そのヘスティアもそうだろうに、今更一人増えるくらい問題ないことなはずだ

 

況してや危険な場所へ行かせるのであれば

 

 

と、考えていると

 

 

「わかりました。ジーク殿。その要望を聞きましょう」

 

「っ!エトン様!?」

 

「よろしいのですか?」

 

「こちらは神ヘスティアにお願いしている身です。ジーク殿の言う言葉も一理あります。これはあくまで依頼ですからね。法律と言えど、そこまでは彼らも納得しないでしょう。それこそこの依頼は破棄されます」

 

「エトン様がそうおっしゃるのなら・・・」

 

「わかりました。一人だけでしたら許可します」

 

 

「よし、それならベル・クラネルをこっちから護衛を出す」

 

「「「「え!?」」」」

 

「僕ですか!?」

 

「ジーク君。どうしてベル君に・・・うわ!?」

 

 

「ベルと一緒になれるぞ?」

 

 

「っ!?」

 

 

突然現れたエトンから許可が出た。

 

エトンは俺の言葉に一理あると了承した。これは依頼であることは理解している。今更一人くらい増えても構わないと要望を受理した

 

そしてベルを護衛に出すと俺が指示を出す。当然どう言う意味でベルを護衛に出すか理由をヘスティアが俺に聞く前に、俺はヘスティアの顔の横を引っ張って、『ベルと一緒になれる』と、ヘスティアを唆す

 

ヘスティアもその言葉を聞いて、喜んだ表情をする

 

 

「OK!そう言うことならベル君に任せたいな!」

 

「ヘスティアの許可も指名も出た。と言うわけで頼むぞ。ベル」

 

「わ、わかりました。装備もした方がいいですよね?」

 

「当然だろ」

 

 

「なんでベル様なんですか!?」

 

「ジーク様で良いじゃないですか!?」

 

 

「ヘスティアのことを考えてベルを選んだつもりだ。それにベルはレベル4だ。戦力としては十分、俺は別の仕事があるからダメだ。それ以外で強いと言ったらベルしか居ない。リリルカと春姫の要望は悪いが受けない、以上。二人とも早く燭台に行け」

 

 

「「そ、そんなあああああああああああ!!??」」

 

 

春姫とリリルカはベルとヘスティアを一緒にさせることを反対した。俺が付いていけば良いと言うが、俺は別の仕事があるため、参加不可、それ以外で強いと言うならレベル4となったベルだけだ

 

だからベルをヘスティアの護衛として付けさせた

 

そろそろ全員に全てを明かすべきだと、そしてベルにも、なるべく『イリアと一緒』にして貰おうと、思う理由で、別れて行動することになった

 

 

ヘスティアとベルはイリアとミヌキア達の案内で、地下祭壇である燭台へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それ以外はレアがまた案内役となって街を観光すると言う。ヘスティア達が働いて、自分たちは遊び呆けると言う予定に、今日組み込まれている

 

のだが

 

 

「レア。街の観光はもういい。それよりも・・・・お前も今から俺に付いてこい」

 

 

「え?どこへですか?」

 

 

「全員今から俺に付いて来い。全員今からオリンピアの外へ『避難』するぞ、ここは危険だ。外ならアフロディーテの拠点がある。そこへ一度退避するぞ」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

「ジークさん!?オリンピアの外へ行くことは・・・」

 

 

「炎の結界が貼られていない場所へ行かなくてはならない。あいつらが働いているのに、俺たちがここで遊ぶなど、『こんな危険な場所に居る』など身が持たないにも程がある!」

 

 

「っ!?」

 

 

「こんな危険な場所に居るなど?」

 

 

俺の言葉にリリルカは変に思いながらも、ここへ居るのは適切なことでもなければ、『昼』であろうと危険すぎると、今この場を非難すべきだと、オリンピアの外へ行くべきだと言う

 

ヘスティアが居ない今、行動するには良いタイミングだと

 

もう隠し事を全て暴くと、レアも連れて全員連れて行く

 

 

「お前も、こんな所でよく『ウロつけるな』。俺はここに来た時から武器が手放せなかった。まさかあの『松明』でここをカモフラージュしていたとはな。ここに居る『化け物共も』人間の姿になって『同じ時を繰り返している』とはな!」

 

『ええ、あれがまさか人間の気配を纏うなんて』

 

『これも天の炎の機能とは思いませんでした』

 

「「っ!?」」

 

 

「ジークさん!?どうして!?」

 

 

俺は容赦なくここの全てを明かす

 

ここは永久の神域なんかじゃない、ここは地獄だと、ノームもウンディーネも気付いている。精霊も流石の天の炎の気配に気付いたようだ。ここに歩く気配を

 

 

「レア。ここまで言ってまだ俺を誤魔化そうとするか?ここまでになったら俺も流石に行動をしなくてはならないと、緊急事態だとすぐに分かったぞ。まさかこれを長年『抑えていた』とはな!」

 

 

「っ!まさか・・・・そこまで」

 

 

「ジーク君。やっぱり・・・・」

 

「気付いていたのね。流石はってところかしら」

 

「お前らが隠していることも明白だ」

 

 

「ジーク様?さっきから何を言っているのですか?」

 

「ノーム様もウンディーネ様も何を言っているのですか?言っている意味がわかりません!」

 

 

ここまで言っても誰も理解しない

 

まあ、見た方が早いはずだ。言葉だけでは誰も信用しない。まあ信じるもないだろう。こんな綺麗だとも言える街並みを。地獄だなんて信じるわけもない

 

だからこうする

 

 

「ならこうしよう。これならお前達も信じるだろ?」

 

「ジーク様?何を?」

 

 

俺はグラムを突然出した。突然グラムを出された見せられたヴェルフ達は驚く、全員にわからせるにはこうするしかない

 

 

そして俺はとんでもないことをする

 

 

「ふん!」

 

 

ズシャ!!!

 

「・・・・・・」

 

 

「な!?」

 

 

「ジーク殿!?何を!?」

 

「お前!?グラムを市民に突き刺してなんの真似だよ!?」

 

 

突然いきなり、俺のすぐ近くに居た市民にグラムを突き刺した

 

突然一般市民に手を出した俺を、ヴェルフ達は怒鳴るように驚く

 

まあ、当然これは人がすべきことではない

 

 

だが

 

 

 

 

 

 

『ウオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

「これは!?」

 

「モンスター!?」

 

「「・・・・・・・」」

 

 

「これでも同じことが言えるか?お前達?」

 

 

突然俺が刺した市民が

 

 

 

人間ではなく『燃えた怪物』へと姿が変貌した

 

 

 

俺のグラムに胸を刺されたまま、人間の姿ではなく、突然体が燃え出し、人の形まではしているが、人の姿はなく、まるで人間の体から炎が吹き出すような姿に、怪物へと姿を変えた

 

俺はグラムで突き刺したこの怪物を持って。ヴェルフ達の前に出す

 

 

「お前達はこれでも同じ人間だと言えるか?」

 

「な・・・・・なんですかそれは!?」

 

「天の炎に焼かれた人間、アフロディーテが言うには『炎人』と言うらしい。そうだろうレア?これがお前達の隠し事だろう?」

 

 

「・・・・・・はい。そうです」

 

 

レアは正直に俺に答えた。

 

間違いなく、レアは俺たちに隠し事をしていたと白状した。これだけを見ればもう明白だろうと。やっと説明に入れると説明を続ける

 

 

「俺も疑わしいとは思っていたが、まさかおふくろや爺さんやアルテミスやアフロディーテも、『この都に行くな、燃やされる』と言うのはそう言うことかと。確証が無かったとはいえ、まさかこの地に来てこんなことになっているとは思いもしなかった。だから言い出すのが今しかなかった。確かにこれは人間に説明できない神々の始末だ。これが・・・・・・『天の炎の厄災』か?ヘルメス?ヘファイストス?」

 

 

「ああ・・・・・君は分かっていると思った」

 

「そうよね。あなたは本当に鋭いから」

 

 

「どういうことです!?ヘルメス様!?」

 

「ヘファイストス様も!?何か知っているんですか!?」

 

 

やはり、ヘルメスとヘファイストスも知っていた。だからこの依頼に付いてきたんだと、そんなことだろうと思っていた

 

ゼウスもこんなものを下界に落とすのは危険だと、よく分かった

 

 

「この怪物は、元ここオリンピアの市民だ。どうしてこうなったかと言うと天の炎に焼かれたからだ。だろう?レア」

 

 

「はい。これは皆オリンピアの市民です」

 

 

「オリンピアの市民!?どういうことですか!?」

 

 

レアもここまで来ては白状するしかなくなると、全てを明かす。ここオリンピアはもうとっくに消えているのだと、ここは神域じゃない

 

地獄だと

 

 

「三百年前、天の炎は確かに私たちを守ってはくれました。ですが代償として、『大炎災』と言う事件が起こりました。天の炎がオリンピアの街を溶岩で流れし、あの大神殿で避難した者達以外が天の焼かれました。それがこの街の市民です。ですから・・・・・私の娘でもある『シオン』『シアテ』も・・・」

 

 

『『っ!?』』

 

「え!?シオンって・・・・・昨日私にぶつかったあの水色の女の子!?」

 

 

「ああ。あの少女もな・・・・・ん?・・今来たぞ!」

 

 

「っ!」

 

 

レアは、今この場にいる市民達が全員この今俺が持つ、この『炎人』であると、怪物であると証明した

 

そして、レアの娘である、昨日リューにぶつかった水色の少女も、炎に焼かれた怪物だと

 

そしてその怪物に焼かれたと思う、レアの娘であるシオンが、俺の所へやってくる

 

おそらく、『妹のシアテのために花束を持っていく』所だろう。

 

それを向かおうとする彼女を。俺はシオンの髪を掴んで持ち上げる

 

 

「ジークさん!?や、やめてください!?娘に手を出さないで!!」

 

 

「髪を引っ張っても・・・・・同じことを言うのか?」

 

 

「私シオン!シアテのために花を届けに行くの!」

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「ジークさんに髪を引っ張っられているのに!?悲鳴をあげない!?」

 

「これがこいつの正体だ!」

 

 

「や、やめて!!」

 

 

そうして今度は、俺はその娘に左腕で掴んでいる、ちょうど黒竜の腕で掴んでいるため、俺はその娘に髪を掴むのやめて、少女の胸にこの腕で突き刺す。黒竜の腕なら人体など脆い。突き刺すなどいとも簡単だ

 

まだこんな姿になっても、レアは娘に手を出すなと、俺から取り上げようとする

 

が手遅れ、

 

 

「ふん!!」

 

 

「ああ!シオン!!!」

 

 

そうして俺はシオンの胸を俺の左腕で突き刺し、シオンの胸が俺の腕により貫通した。

 

そして

 

 

『ワタシ、シオン!!シアテのためにこのお花を持っていくの!!!』

 

 

「な!?少女が炎の怪物に!?」

 

「この少女までも!」

 

「レア。これがお前の娘か?こんな怪物を・・・お前は三百年もこんな怪物になった娘を守っていたのか?」

 

 

「・・・・・・・ええ、その通りです」

 

 

シオンの胸を突き刺した所から、血が垂れることなく、逆にそこから燃え出し、見る見る内に、今グラムで刺した男と同じ姿になった

 

しかも、シオンがこの姿になっても

 

 

『シアテのタメニ、オハナをモッテイクノ!ワタシオネエチャンダカラ!』

 

 

「ジークさんに胸を突き刺されても、同じ言葉を!?」

 

 

「ここに居る市民も、全員怪物だ」

 

『ええ、皆さん同じ言葉を繰り返しています。昨日と同じです』

 

『おそらく、その大炎災に焼かれる前の出来事を繰り返しているのでしょうね』

 

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

「これ全員が!?」

 

「ああ。そうだろう?」

 

 

「ええ、その通りです」

 

 

そうして俺はグラムと左腕に刺した。一般市民とシオンを離すと、何処かへ行く。人間の姿に戻って

 

そして市民の方を見ると

 

 

『コレ!ヤスイヨ!』

 

『ヨッテテ!』

 

『シイレドキダヨ!』

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「全員声が!?若干ウネリ声に!?」

 

「これがこの街の人々だ。俺が少し天の炎の力にダメージが入ったからなのか、若干他の人々も姿が保てなくなっているな」

 

 

市民の方でも、若干姿が焼けた人となっている。屋台の方も、配達している者も、今観光している神殿以外に居る者以外、要するに兵士と巫女以外

 

皆、その大炎災に焼かれた怪物と言うことだ

 

 

「そしてこの松明、おそらく・・・・ふん!」

 

 

「な!?ジークさん!?いけません!」

 

 

道端に置いてある。松明も、これが道端や通りに置いてある理由は一つだけだと

 

この松明をグラムで切って壊す

 

すると

 

 

ブワン!!!

 

 

 

「「「「「「な!?これは!?」」」」」」

 

 

「荒れ果てた廃墟。これがオリンピアだ」

 

 

「あ〜〜あ。ジーク君が壊しちゃった」

 

「もうこうなっては手遅れよ。この子の性格を考えてね」

 

 

「ジークさん。そこまで・・・分かっていましたか」

 

 

松明の一つを壊しただけで、全ての周囲が変わった

 

 

俺たちが立っていた。あの綺麗だった街並みは消えた。一気の残骸の廃墟へと、姿が変貌した

 

 

あれだけ賑やかだった街が、しかも屋台に居た人々も消えている。俺たちが見ていたのはただの幻想。天の炎はその大炎災で焼いた記憶を保存してあるのかもしれない。だからその原型を今このトーチで保っていただけ

 

つまりは天の炎の幻想の力、全て幻だった

 

 

「なんだよこれ!?」

 

「あの綺麗だった街並みも!人々も居ない!」

 

 

「ここがオリンピアだ。『夜にはこんな姿になり』、あの炎人が人々を襲う。それを食い止めるのが巫女と兵士だった。その仕事は夜に、夜に外出をさせないのはこれが理由だ。夜になると流石にあの綺麗な街には保てない。この姿を晒させないように、あの松明が街に用意されていた。そして屋内も」

 

「だから私たちに外へ出ないように、言ったのかい!?」

 

「外部の交流を絶っていたのは、この姿を晒さないためと、外部が漏れないため、でもアフロディーテとアルテミスは知っていた。だから危険すぎると何度もここを攻撃しようとした。レア達巫女達がその度に邪魔をしていたようだ。それだけじゃない。ここにたどり着いてモンスターの気配はない。大昔からダンジョンからモンスターは世界に散らばった。だからここも居てもおかしくなかったのだが、この怪物を恐れて近づかないようだな」

 

 

「ええ、その通りです」

 

 

「なぜこの事を!?今まで黙っていたのですか!?」

 

 

夜になったら外出してはならないのは、この廃墟を見られたくないのと、あの炎人を巫女達が抑えているのを見られたくないため、そして外部から漏れないため、全て隠し通すために嘘を吐いていたのだ

 

でも、こんな大ごとをなぜレア達は話さないのか

 

アフロディーテ達がアルテミス達が知っていてここを攻撃しているのはどうしてか

 

 

その全てを理解している

 

 

「今穢れている天の炎を、他の神々に知られたら、破壊されると思ったから。そうなったら炎に燃やされたレアの娘であるシオンやシアテ達も消えてなくなるから。そうだろう?」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

「ジークさん。あなたはすごいですね。その通りです」

 

 

「実質あの炎人は死んでいない。確かに体は燃えているが、魂だけはあのままだ。あの炎人は消えることはない。殺す方法は一つ、天の炎を壊すか、レア達は言う通り浄化するかだけだ」

 

 

あの炎人は魂だけは生きている怪物、つまりはまだ死んでないと言うことになる。三百年、ずっとあの炎人は死ぬことなく、ずっとここを彷徨い続けている。だから先ほど殺したはずのシオンという少女と市民から手と剣を抜いても消えなかった。彼らは決してモンスターになったわけではなく、その体と理性だけが怪物となった燃えカスである

 

 

「天の炎はこの下界に落としてはならない。というのは、あまりに下界の穢れを吸って怪物を逆に生み出してしまうからでもある。その汚れを吸って限界が来てしまい、その限界が『大炎災』。それに焼かれた人を炎人となり、生死を繰り返す亡者として、この場を彷徨い続けている」

 

 

「はい。全部は穢れ切っていない天の炎僅かな『上澄み』を行使することで、日中こそ炎人は人であった頃の姿を留めています。天の炎がその魂に刻まれた記憶を基づき、この都で同じ時を繰り返し、汚れがより強くなる夜、あの大炎災を思い出すようにあの炎人が暴れるのです」

 

 

「そしてアフロディーテとアルテミスがそれを知ってここを攻撃している。理由は炎人たちが他の人間を襲い、その襲った人はあの姿になり、増やすことができるから、それを少しでも食い止めて外に漏れないようにしたのが巫女と兵士、だが殺せない。天の炎を破壊しなくては、だがアフロディーテとアルテミスは天の炎を破壊するのを目的にここを攻撃してきた。そうなったら炎人になった人たちが浄化される前に消される。だからレア達は今まであの二人の邪魔をした」

 

「なるほど、今まで天の炎を浄化するためにレアちゃん達は全力で色々したけど尽くせなかった、そして天の炎を破壊しようとするアフロディーテとアルテミスの攻撃を阻止していた。あの二人にあの天の炎の破壊方法があるとは思えないけど、でも破壊されたら今炎人になった人たちは救えない」

 

「だから、今まで貴方達は外部の交流を絶ったのは『炎人を外に出さないこと』『天の炎が穢れていることを他国にバレれば天の炎を壊される』からの二つね」

 

 

「はい。プロメテウス様がヘスティア様に浄化の指示が出るまではそうしていました」

 

 

この三百年、ここを他国にバレることなく、アフロディーテとアルテミスのファミリアに邪魔されないようにしていた理由は天の炎を破壊されることなく浄化するのが目的

 

だが三百年続けてもレア達が浄化する方法は探してもなかった、穢れは解決できず、三百年も隠蔽と防衛をひたすらしてきた

 

そして三百年、限界だと悟ったプロメテウスがやっヘスティアの居場所を突き止め、悠久の聖火を扱えるヘスティアならなんとかできると、今に至るわけだ

 

 

「確か天の炎は身に宿すだけで寿命も伸びると聞く、それが今のレア達だろう。彼女達が三百年生きている」

 

 

「はい。ここ三百年エトン様と一緒にそうしてきました。そしてヘスティア様が聖火の女神であることを知り、浄化が可能であったとされ、あなた方に依頼しました」

 

 

「本当の経緯は聞けてよかった。レア。全てを話してくれたことは感謝するが、これだけは言っておく、心して聞け」

 

 

「心して聞け?」

 

 

レア達の目的の本当の真相はよく分かった

 

そして事の事態も大きく悪化していると、全ての真相を明らかになっている。だからこそ言う、

 

 

こればかりはどんな事であろうとも変えられない事実を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘスティアの身を捧げて浄化しても、シオンとシアテは救えない。このまま消えるだけだ」

 

 

「っ!?」

 

 

その残酷な真実を俺は伝えた

 

浄化されようが関係ない。あれはもう死んでいる。体は燃やされたのにも関わらず姿が幻影として元の姿になっていようが関係ない。あれはもう死んでいる。浄化されて元に戻ることはない

 

と、おそらく誤解をしているレアに現実を教える

 

 

「お前のことだから娘を生き返らせるのが目的だろうが、残念ながら天の炎に生き返らせる力はない。あの焼かれた者達はとうに死んだ人間だ。助けることはできない。天に還すことしかできない」

 

 

「そんなはずはありません!天の炎にはその力があるはず!浄化すれば・・・」

 

 

「では言うが、炎人は体が焼かれている状態であの姿になる。それはつまり・・・・体は燃えて消し済みになっていることじゃないのか?」

 

 

「っ!?」

 

 

「残念だけど、あれは救えない。この結末だけはな・・」

 

 

「っ・・・・・く!貴方なら分かってくれると思っていたのに!」

 

 

「わかるから母親として娘に恥ずかしくない行動をしろと言ったんだ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

そんなのお前だけじゃない

 

誰かを失って悲しさを紛らわそうと後悔も。その後悔した時間を取り戻そうとすることも。ああ、何度も俺は何度もやってきた

 

家族の死を何度も見てきた

 

でも

 

 

「死んだから帰ってこない!その現実を受け入れて、今生きる俺たちは前を向いて生きるしかないんだ!娘の死を受け入れて、天に無事に還すべきだろう!」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

「もう・・・・死んだから終わるんだ。それが俺たち生き物だ。天の炎の浄化を果たしても、命は・・・・・戻らない」

 

 

「・・・・・・く!」

 

 

「ジークさん・・・」

 

『『主・・・・・』』

 

 

そうだ。俺もそうだ。

 

黒竜討伐は世界の悲願だ。それを果たした俺は、喜びではなく、嘆きだった

 

家族であったフレイを犠牲になったからだ

 

この後悔を何度やり直したいと願ったか、英雄になれただとかも喜びもない。ただ悲しいだけだった

 

でも

 

 

死んだら帰って来ない

 

 

死んだから帰ってこない。この現実を受け入れて前を進んで生きるしかない。彼の意志を繋いで生きるしかない。

 

それが今生きている人間のできること

 

 

今を生きる俺たちの希望だ

 

 

 

「ちょっと待ってください!ヘスティア様の身を捧げて浄化するって・・・どういうことですか!?」

 

 

 

突然ヘスティアが犠牲に賭けられていると聞いたリリルカが、ヘスティアが今していることについて、知っていそうからと俺に質問する

 

そして俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘスティアは自身を生贄に捧げて、あの天の炎の浄化を果たすつもりだ!」

 

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

 

「流石だよ。ジーク君」

 

「貴方ならヘスティアのすることを分かっているのね」

 

『自己犠牲は主のしてきたことですから』

 

『ヘスティアがどう行動するのか、主も経験しているからわかるのです』

 

 

ヘルメスもヘファイストスも、全て知っていた

 

ヘスティアが自己犠牲を行なって全てを救おうとしていると、俺の口から吐く

 

もちろんヘスティアの口からそう聞かれてはいない。だが、ここまでになるとそうしているに違いない

 

そうでなければ、この姿を見ていないはずがないだろう

 

 

「おそらく、ヘスティアは自身の体を犠牲に賭けているに違いない。そうでなければこの事態をどうにもできないと自負したから、何度も詳細を教えなかった。おそらく彼女は自分の身を投げだすつもりだ。そうなんだろうヘルメス?ヘファイストス?」

 

 

「ああ。その通りだ。ヘスティアだけがあの炎の穢れを相殺はできない」

 

「悠久な聖火でしかあれはなんともできないのよ」

 

 

「勝手に俺の家族を代償に賭けるとは、憎くてて堪らないが、ヘスティアが邪魔されないように口封じにされていたのだから文句は言えないがな」

 

 

ヘスティアも、その道を選んだ。自身の選択だ

 

どうしても俺に事実を悟られているというのに、それでも何もするなと、いや、させないように動いていたのだろう。ベルと一緒にさせたはいいが、それでも上手くは行けるとは思えないが

 

 

「こんなことして、ただで済むと思わない方がいいぞ。ヘスティア。ベルに怒られろ」

 

「どうして止めなかったのですか!?ジーク様!」

 

「止めたさ、でも聞かなかった。『これは自分のしたいこと』だからと、俺だって何度も言ったが聞かない。まったくふざけた主神だよ、俺たちの女神は」

 

「じゃあヘスティア様は全てを承知で!?」

 

「ああ。自分しかいないと彼女は揺らがなかった」

 

「嘘だろ!?自分の命を天秤に賭けるなんて!」

 

「ああ。文句が言いたい。俺も」

 

「じゃあヘスティア様は・・今!」

 

 

「ああ。おそらくあの地下で、ベルのいうことも聞かずに、果たしているだろうよ」

 

 

そうして、そんなことを言っていると、

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

突然地震が鳴り響いた。それもデカイ。これが起こるとなると、やはり俺の予想は当たっていたと、気づいた

 

 

 

「なんだ!?」

 

「地震です!?」

 

「これって!?」

 

「まさか!?」

 

 

「ああ。『ヘスティアの気配』が消えた」

 

 

ベルは守ることができなかったようだ

 

わかる。俺はヘスティアの気配がまだ近くにあったんだ。感知できていた。まだ彼女が無事だと安心していた。ベルのことだから止めるはずだと思っていた

 

でもダメだった

 

 

「自信を犠牲に賭けたなヘスティア・・・・ベルの口すら聞かぬか、あの『馬鹿妹』め」

 

 

ヘスティアは結局

 

俺やベルの頼みも聞いてくれなかった。この地震が何よりの証拠だった。その証拠に

 

 

ビュン!!!!!

 

 

と、突然大神殿の方から、大きな炎の柱が発生した

 

 

「なんだ!?」

 

「大神殿から!?」

 

「炎が!?」

 

「柱!?」

 

 

「やってくれたなヘスティア。約束を破るとは・・・」

 

 

彼女は、本当にこの道を選ぶことに揺らぐはなく。本当に自信をこの下界に捧げるようだ。もっと方法は他にあるだろうに

 

彼女が約束を守れなかった事を、今日初めてヘスティアに初めて恨みを持った日だった

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