ニーベルンゲン・シックザール〜竜殺しの英雄譚〜   作:ソール

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決して消えぬ 豊穣の絆

恩恵がない代わりに、黒竜の力を半分使うことで、恩恵を授かる以上に軽い体へと変化した。何度か左手から地面に炎を出してその衝撃で空を飛んでいる。もちろん炎を落とした理由は空を飛ぶために衝撃を作っただけでなく、その下に居た炎人やオリンピアの兵士が居たため、排除するために落とした。黒竜の黒き炎なら、カースで纏わり付き、天の炎でもその呪いの炎は消せない。攻撃としては十分だ

 

そして飛んだ先は

 

 

「ベル!!」

 

 

「っ!?ジークさん!?」

 

「ジーク!?」

 

 

「っ!ジーク・フリード!!」

 

 

「遅くなってすまない。なんとか間に合ったみたいだな」

 

 

エピメテウスに斬られそうになっているベルの前へと着地する。

 

なんとかギリギリなところで、ベルを助けられた。まさか恩恵を授かってもいない黒竜の力だけでここまで早く辿り着けたようだ

 

幸い、周囲と気配を見渡す限り、ヘクトル達が避難民を素早くもう船に乗せているようで、今ここで暴れても問題ないようだ。まあここにベルとイリアとアフロディーテがいるのが少し巻き添えを出しそうだがな、

 

今の俺は・・・・恩恵を授かるより、力を感じる

 

 

「見たところ、この島は捨てるようだな、アフロディーテは判断が早くて助かる。これで少しは俺も万全に戦えるわけだしな」

 

「ジークさん!?人間の姿に戻ったんですか!?」

 

「どうして人間の姿に戻っているの!?」

 

「ああ、ちょっと俺の家族が助けてくれてな。おかげで人間の姿に戻れた」

 

 

「ほう・・・・なんの話かは知らないが、今更恩恵が外れた英雄がなにしに来た?仲間を助けにここまで来るとは愚かだな」

 

 

「なにを馬鹿なことを言う、お前も英雄だろう。このくらい当然だと思うが、久しく会って随分とシワがしっかりと見える顔になったな、老害らしくて皮肉に見えるぞ?」

 

 

今更助けるなど不要だと、エピメテウスは英雄になっていようが無駄だと言い張る

 

当然そんな言葉など聞く耳持たない。エピメテウスの全てを諦め尽くした男の話など、聞く耳持つどころか、そんなことを言うだろうと知っていた。世界の憎悪に打ちのめされた男の言葉など、この程度だとわかっていたため、今の俺には響かない

 

 

「ま、余程良い仲間に巡り会えなかったのだろう。英雄の代価を知らないで果たそうとするとは、愚かな。使い捨てだと理解できないなら、無理に果たす必要などはない。俺とて家族以外はどうでもいいしな。世界を相手にしてきた俺からすれば、お前の嘆きなど俺の中には響かないな」

 

 

「お前はどうして英雄になった?英雄になっても最終的に人々に見捨てられて終わるのが運命だ。なのになぜ英雄になった?」

 

 

「何度も言わせるな。俺は友人や家族を守るために敵を斬っただけだ。英雄になったつもりはない。勝手に誰かが付けたあだ名だ。そんなの気にしない。俺は俺のしたいことをするだけだ」

 

 

「なにをふざけたことを!お前は英雄としての自覚はないと言うのか!」

 

 

「無いな。俺は英雄として戦った覚えはない。ヘスティアの眷属として働いただけだ」

 

 

「主神に見捨てられたお前が、今更何ができると言うんだ?」

 

 

「これからヘスティアに仕返しする。なんとでもなるさ。人間は恩恵を授からなくても、やろうと思えばできる。ちゃんとプロメテウスの剣は持ってきたか?持ってきたならさっさとかかって来い。俺は何度お前の言葉を聞いても引き下がらない」

 

 

俺に何度言っても聞かない

 

英雄の絶望などもう味わった。今更お前と同じ境遇を味わっても俺はエピメテウスの前を立ち塞がる。言いたいことを言っても俺の気持ちは変わらない

 

それでも、俺が目障りなら殺しに来いと、さっさとご自慢の神器と天の炎で来いと言う

 

 

そして

 

 

「いいだろうジーク・フリード!そんなに俺にやられたいなら、この剣の錆にしてくれる!」

 

 

「ジークさん!?」

 

「ジーク・フリード!!」

 

「ジーク!」

 

「・・・・・・」

 

 

エピメテウスは俺の挑発に普通に乗り込んだ

 

奴の腰に掛けてあった剣を抜く。赤い筋の入った剣、神器である『炎鷲の嘴』を取り出して、俺を斬りつけようと襲いかかってくる。

 

そんな前でも俺は避けない。避ける必要はない、ただ立ち向かうだけ、主神が恩恵を封印されても、俺の力は別にある。

 

それは

 

 

「ふ!!」

 

 

ガキン!!!

 

 

「な!?・・・・なに!?」

 

 

「あれは!?」

 

「あれ・・・・・剣!?」

 

「あれは・・・・フレイの神器!?」

 

 

「神器を授けれているのはお前だけではない。俺もだ」

 

 

奴の炎鷹の嘴を、首元にあるチェーンから外して大きくした、フレイの神器である『レーヴァテイン』で弾き返した

 

レーヴァテインとて、神を殺せる神器、奴の神器とて、天の炎を身に付けているとはいえど、レーヴァテインの力と兄の愛がある限り、俺が奴に敗北することはない

 

無論、それだけでない

 

 

「ぐ!?なんだその力は!?その体が輝く光はなんだ!?」

 

 

「どうした?原初の炎の穢れを身に付けているお前でも、この力に対抗できないのか?」

 

 

「これは!?神威!?」

 

「まさか!?」

 

「フレイの神威よ!?どうしてなの!?なんでジークがフレイの神威を!?ジークはトールの息子であって、フレイの息子でもないのに!?」

 

 

今俺の体から桜色の光が発光をしている。恩恵を封じられているにも関わらず

 

『フレイ・リーベ』だけが発動している

 

レアスキルただ一つだけが発動すると言う異常を見せつける。恩恵は封じられていると言うのに、そのレアスキルだけ発動させた。一体どうしてそれだけを発動するだけで、フレイの神威を出せるかは知らない、誰も理屈はわからないだろう

 

だが、今の俺にはわかる

 

 

それは想いだ。

 

 

兄の想いが俺の心に響く。だから兄の力が今心に宿る。それだけで、今ここに居ない兄の力が使える。想い一つで兄の力の全てを出し切っている。絶対的な力の前に立ち塞がる

 

 

「エピメテウス。それだけの力を持って尚、俺に太刀打ちができぬか?それはそうだろうな。今の俺は誰にも勝てまい。我が兄の愛を受けた今の俺に誰も勝てぬ者など存在しない!」

 

 

「なんだ!?その力は!?」

 

 

「お前では到底理解できまい!俺のこの兄の愛が、原初の炎を超える!お前の悪意など俺には通用しない。それで勝ち誇ったつもりか?これで全てを壊したつもりか?無駄だ!俺は何度でも、救済に辿り着くまでは全てに抗うまで!」

 

 

「おのれ!ニーベルング族!!ジーク・フリード!!貴様も・・・リーブも・・先祖と同じく、俺の全てを否定するか!!それこそ英雄だとでも言うか!」

 

 

「英雄など関係ない!人や神の情熱的な想いだけで貴様は負けているんだ!かつては多くを救った英雄であろう!全てを背負ない貴様に、兄の愛が詰まったこの俺に勝てるものか!!!」

 

 

「おのれ!ジーク・フリードオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

「お前の悪意を全て吐き出せ!俺が全て受け止めてやる!それこそが英雄と言うものだ!!」

 

 

「英雄ヘラクレスウウウウウウウウウウウウウ!!」

 

 

エピメテウスは俺の存在を認めたくないのか、俺が英雄の全てを理解して尚、俺の力に負けているなど認めないのか、俺の全てを斬り裂こうとする

 

それでも避ける事なく、全て奴の斬撃を受け止める。レーヴァテインが俺の力になってくれる。フレイのような戦いを出せる。

 

エピメテウスは俺に斬撃を与えても、レーヴァテインが全て斬り裂く。想いだけで奴の炎を弾き返す。

 

 

「フレイが・・・・ジークに力を貸しているとでも言うの!?」

 

「すごい、エピメテウス様の力を・・・全て弾き返している!?」

 

「ジークさん、一体先程までになにが!?」

 

 

「貴様はなんなんだ!?ジーク・フリード!!!」

 

 

「これが英雄と言う者だろう!エピメテウス!全ての罪も悪意も苦しみも悲しみも!全てを背負ってこそ英雄だ!!貴様の悲しみをも吐き出せ!俺がそれすら浄化する!」

 

 

「認めぬ!認めぬものか!!貴様の存在だけは絶対に!!貴様も!貴様の一族も!なぜ俺の悪意を知って尚立ち塞がる!!」

 

 

「苦しみを味わっているからこそ、それを他人にも味わせようなどと、そんな外道に俺が、先祖や、過去の英雄達が進むものか!常に望むは救済のみ!だからお前の全てを俺たちが救おう!だから吐き出せ!その苦しみも!俺たちが救って見せる!」

 

 

「知ったような口を言うなあああああああ!!」

 

 

エピメテウスは、やはり俺の先祖に幾度も止められていたようだ。

 

過去に何度かこのようなことをしたのだろう、だがその度に俺の先祖に止められ、今度こそ希望を信じるよう言われたのだろう。親父たちの残した書記にはエピメテウスに出会ったことは書かれていないと言うのに、エピメテウスが俺の子孫を語る。英雄でなかろうとも、俺たちはそういう一族である

 

何度も先祖に邪魔をされ、その子孫にも邪魔をされ、正気を失いつつ、がむしゃらに俺に襲いかかる

 

 

だが、それでも俺は倒れなかった

 

 

「ぐ!ここまでの力を・・・なぜ!!」

 

 

「わからぬか!かつてはお前もその一人であろう!」

 

 

「っ!・・・・なに?」

 

 

「貴様も想い一つでここまで立ち上がって戦ってきた者だろう!否定するな!己のしたことを!お前のやったことは間違いではない。そして、今生きる者たちに罪はない!!今ここにも!お前がこんなことをしてでも、憧れる子供がいる!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「それこそベル・クラネルと言う少年だ。貴様を前にしてでも、貴様の前に膝を付いても、貴様の前で立ち塞がる。俺の代わりになる次代の英雄だ!」

 

「ジークさん・・・・・」

 

 

おそらく、これだけ兄の力を使ってもエピメテウスは止められても心は救えない

 

救えるのはただ一人、ベル・クラネルだけだ。俺の代わりになる英雄だ。必ず俺よりも良い救済を作れると俺は信じている。英雄なら、どんな悪行に近くても英雄なら憧れる愚かしい少年だ。でもその優しすぎるこの少年こそ、間違いなくエピメテウスを救える。

 

俺では彼を救えない

 

 

「エピメテウス。この程度の悪行では俺たちは止まらない。必ず、ベルがお前を止める。俺はお前に勝てるが、心は救えない。救えるのはベルだけだ」

 

「ジークさん、なにを・・・・・」

 

 

「なにを言うジーク・フリード。ここまで焼け野原にされて、俺を救おうと言うのか!?」

 

 

「それが俺たちヘスティア・ファミリアだ。常にそうしてきた。だから俺たちは決して諦めない。どんな絶望すら突きつけても変わらぬ。だが、ここは一度撤退したほうがいいだろう。ベルにはまだその準備ができていない」

 

 

「この後に及んで逃げるつもりか?炎人に囲まれているのだぞ?」

 

 

だが、ベルにそんな準備はできていない。

 

ここは一度撤退して体制を立て直すしかない、ベルにはまだ心に準備はできていない。まだキュロスに剣の技を教わっても、その志ができていない。英雄になるにはこの程度の試練を乗り越えるにも色々準備が必要だと、ここは捨てて、アフロディーテの用意してある船に乗り込むべきなのだが、周りは炎人だらけで囲まれ逃げる場所がない

 

だが

 

 

「なにを勘違いしている?俺は一人ではない、常に仲間と共に居ることを忘れてはいないか?」

 

 

「なに?」

 

 

エピメテウスは勘違いしている。俺は常に一人ではない。俺には常に仲間が居る。今貴様と違って、俺には多くの仲間が居る

 

その証拠に

 

 

「ルミノス・ウインド!!」

 

「バースト・オイル掃射!!」

 

『アクア・エッジ!!』

 

『メテオショット!!』

 

 

「っ!・・・なに!?」

 

 

突然空から、風、爆弾、水、石が飛んできた。その四つが周りに居たエンジンが消えてゆく

 

どうやらあの四人が俺たちを見つけたようだ。先程あの四人の魔力が近くに感じていると思ったが、まさかこんな早く辿り着けるとは思いもしなかったが、良いタイミングだ

 

俺たちの上からとある四人が飛んで現れたのは

 

 

「早いな四人とも。もう俺たちを見つけたのか?」

 

「リューさん!アスフィさん!ウンディーネさん!ノームさん!」

 

「ええ、見つけるのは困難でしたが、レアさんが・・・・・・って、ジークさん!?」

 

「人間の姿に戻っている!?」

 

『主!?どうして人間のお姿に!?まさかサーナ様の薬が!?』

 

『それにどうしてフレイ様の力を!?』

 

「気にするな。とある事情でな」

 

 

現れたのはリュー、アスフィ、ウンディーネ、ノームだった

 

どうやらレアがアフロディーテがオリンピアの近くを占領をしているのを知ってのことか、ウンディーネとノームの気配察知で、ここまで来たようだ

 

もちろん助太刀に来て驚かせるつもりのようだが、逆に彼女たちが驚いている。それはそうだろう

 

 

治らないはずの俺の左半分の黒竜化が消えて、人間に戻っているのだから

 

 

だが、今は俺には後にするべきだと、今は少し負傷をしているベルとイリアを運ぶように言う

 

 

「リュー、アスフィ、ベルとイリアを連れてアフロディーテの船に乗れ、俺とウンディーネとノームで少し足止めをする。行け」

 

「わ、わかりました!」

 

「行きましょう!」

 

「ジークさん!」

 

「心配するな、後で俺たちも行く。ウンディーネとノームは周りにある炎人を、船がある沖に近づかせるな」

 

『『はい!!』』

 

 

それぞれに俺には指示を入れておく、リューとアスフィには少し負傷しているベルとイリアを先にアフロディーテの船に乗せる。残った俺とウンディーネとノームで、今ここに居る炎人とエピメテウスを足止めする

 

 

「アフロディーテ。避難民はもう船に乗せたか?」

 

「ええ、なんとかね。今船から『狼煙の合図』が上がっているわ。今なら逃げられるわよ」

 

「よし、悪いがエピメテウス。一度撤退させてもらう」

 

 

「く、ここまで苔にされて逃すと思うか?」

 

 

「だろうな、だが・・・・・・今だキュロス!後ろがガラ空きだ!」

 

 

「っ!?」

 

 

「ぬん!!」

 

 

「ぐは!!!」

 

 

「ジーク。ワシが隠れているのを気づいておったな?」

 

「バレないと思ったか?お前の神威は気付きやすくて、気配察知するまでもなかったぞ」

 

 

俺がエピメテウスを足止めするかと思いきや、先に奴の背後に隠れているキュロスを見つけてな。先に叩き出すように頼み、キュロスはエピメテウスの横腹に拳を減り込ませ、奴は後方へと建物の壁に吹っ飛んだ

 

 

「救助は終えただろう?力を貸せキュロス、奴を足止めする」

 

「言われなくとも、そうするつもりじゃ」

 

「今の動き・・・・やっぱり貴方は!?」

 

「アフロディーテ。奴の素性を詮索はするな。今はエピメテウスだ」

 

「っ!」

 

 

「お、おのれ。なんだこの一撃は!?貴様は何者だ!」

 

 

エピメテウスはキュロスの一撃を喰らって尚立ち上がるが、キュロスの感じたことのない一撃の痛みに、少し怯んでいる

 

キュロスとて、神威がアルカナムが無くても戦える。こいつはそう言う男だ。もちろんその動きをしただけでアフロディーテはキュロスが何者が気づいてしまった。もちろん詮索をさせないように口止めし、今はエピメテウスを止める

 

 

「ワシか?ワシは・・・・・ただの老いぼれの神じゃ!フン!」

 

 

「く!?この一撃!?天の炎を纏っていると言うのに・・・・・ぐは!!」

 

 

「俺も居ることを忘れるな!」

 

 

「ジーク・フリード!おのれ!ふ!」

 

 

「は!」

 

「ぬん!」

 

「すごい、ジークとあのキュロスが、エピメテウスを圧倒している!?相手は原初の炎と神器を持っていると言うのに!?」

 

 

原初の炎と神器を持っているエピメテウスに、俺とキュロスで畳み掛ける。キュロスは今度拳ではなく腰に付いている剣を抜いて戦う。エピメテウスは俺とキュロスに炎を吐き出しても、俺とキュロスは剣に帯びた光と雷で弾き返す。エピメテウスの攻撃を全て跳ね除けている

 

 

「な、なんだと言うのだ。貴様ら二人は一体!」

 

 

「そんなことを!」

 

「一々説明するか!」

 

 

「ぐ!」

 

 

「これで終わらせる!」

 

 

さっさと怯ませて、この場を離脱しようと、今度はレーヴァテインに力を込める。

 

いくらエピメテウスが天の炎の守りがあろうと、レーヴァテインの威力は逃れられない、フレイいわく『本物のチート剣』だからな

 

レーヴァテインに力を込めると、刀身の発光が強くなり輝きが増す

 

そして

 

 

「レーヴァテイン!!!」

 

 

「ぐ!この力は・・・一体・・・・ぐああああああああ!!!」

 

 

エピメテウスは俺が放つレーヴァテインの斬撃破に吹き飛ばされた。流石に天の炎の守りでも、レーヴァテインの一撃を外すことはできなかった

 

エピメテウスは更に後方へと吹き飛んだ

 

ウンディーネもノームも、ある程度水や岩で炎人を片付けている。今の内に引くべきだと。アフロディーテを連れて去る

 

 

「今だ!アフロディーテの船に急げ!この場は捨てる!」

 

 

俺はアフロディーテを抱き寄せて、急いでアフロディーテの船に急ぐ。

 

 

 

炎人もエピメテウスもある程度遠ざけた、今の好機を逃さずに、急いでエピメテウスが追えない海まで出る

 

船の上で、ベルとヘクトルが顔を出して呼ぶ。アフロディーテがまだ船に乗ってないのにも関わらず出向の指示を出す

 

 

「ジークさん!」

 

「アフロディーテ様!」

 

 

「ヘクトル!そのまま出向!私たちは飛んで船に乗るから出向して!!」

 

「目的地はリューとアスフィが教えてくれる!その場所へ船を!」

 

 

「わかりました!皆さん!」

 

「総員!!出向!!この場を離脱する!」

 

 

まだ俺たちは乗っていないが、船から飛び乗ることくらいは俺たちなら簡単だ。とにかく早めに出向してこの小島を去ることを選んで、俺たちが乗る前に船は出向し、俺たちも飛び込んで乗り込んだ

 

そして、すぐにここに居ないレアの元へ、違う拠点を目指す

 

もちろんその拠点場所も俺は知っている

 

 

「リュー!念のために聞くが、レアがここに居ないと言うことは、『アルテミスの場所』に?」

 

「はい!そこに居ます!」

 

「よし、聞いたかアフロディーテ!アルテミスの拠点へ!場所はここから東の森にある集落だ!!」

 

 

「ええ!総員東へ移動!」

 

 

次に向かう先はもう一つの拠点

 

 

それはアルテミスの集落

 

 

アルテミスもこのオリンピアの一件に関わっている。もちろん逃げてきたオリンピア避難民を保護している。

 

以前オリンピアにも関わっていると聞いたため、力を貸して貰えると思い、加勢をもしもの時は頼むと、アフロディーテ同様に助けて貰うように連絡した

 

だが

 

 

「アフロディーテの拠点にお前たちが居ないから、そうだろうと思ったが、やはりアルテミスの場所に居たか」

 

「はい、あのジークさん。そこにアルテミス様は確かに居ますが、それとは別で・・・・・・」

 

『主様。主様の不在の際、私たちはアルテミス様のところへ、一度引きました』

 

『そこに行き、レア様もそちらで一度避難民の安全を守っているのですが、その・・・・・』

 

 

「言わなくていい。どうせ『あいつ』が居るんだろ?」

 

 

「え!?」

 

『主様!?ご存知で!?』

 

『あの憎き・・・・・神ですよ!?』

 

 

「まあな、お前たちも不服かもしれないが、今は奴の力も借りよう、今はそうするしかない」

 

 

リューたちがどうしてここに来たのかは言うまでもない。

 

俺たちがオリンピアから吹き飛ばされた後、リューたちはレアの隠し道でオリンピアを出たが、ヘスティアが結界を貼ったせいでオリンピアには入れず、止むを得ずどこか一度休める場所を探してから、ウンディーネとノームの気配察知で俺を探そうとしていた

 

まずは現在オリンピアの状況を知らせるために、ウンディーネとノームがアルテミスの拠点へと案内した。もちろん俺が二人にもアルテミスの加勢は頼んであることを知らせている。だがそこへ着いても、俺たちは居なかった。アルテミスの予想で、もしかしたら俺たちはアフロディーテの拠点に居るのかもしれないと言い、その指示に従ったら俺を見つけることができた。どうやらこれで無事に合流できたわけだ

 

リューの話では、ここに居ないレアとヘルメスとヘファイストスもアルテミスの拠点に居ると言うが、

 

リューとウンディーネとノームは、アルテミスの他にも、オリンピアの難民を保護している団体が居ると報告を受ける

 

だが

 

 

なんでだろうか、俺は半神だからなのか、近くに神の気配がとても感知しやすい

 

 

だからアルテミスの気配もするのだが、

 

そこに

 

 

 

俺の憎む『男神』も居る

 

 

 

今は争っている場合はではないと、俺は今回は我慢して、奴と遭遇しても怒ってはならないと、俺は今回怒りを向ける方向を変える

 

とにかく、今は東の密林にある集落へ目指す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間後

 

東の海岸へと、船を止め、なんとか無事に辿り着いた、着いた先はオリンピアに少し近い密林しかない陸、そこで不時着して、難民たちを連れて、密林の奥へと進もうとする

 

そこへ

 

 

「ジーク様!」

 

「リューさん!アスフィさん!ウンディーネ様!ノーム様!」

 

 

「アクタ!カリス!」

 

 

「お久しぶりです!」

 

「アルテミス様の指示のもと、集落の案内までの護衛を任されました!」

 

 

密林の奥から、二人の男女が現れた

 

それはアルテミスの眷属であるアクタとカリス

 

どうやら俺たちがここに来ることを分かってのことか、二人にアルテミスは護衛と案内を頼んでいたようだ。

 

 

「難民たちが多く居る。そこに留まるだけのスペースはあるか?」

 

「問題ありません!アルテミス様も承知の上で休める館を多く制作してあります!」

 

「食事や補給もこちらでなんとかなります!」

 

「よし、皆がんばれ!もう少しで安全地帯だ!」

 

 

俺たちはアクタとカリスの案内で密林の奥地へ向かう。数として五百人程の難民、それを保護できるスペースもあるとは、流石は善神だ。アルテミスならそうするだろうと思った

 

だが、アクタとカリスはチラチラと俺を見る。おそらく・・・・・・心配しているのだろう。アルテミスの事も含めて

 

まあ、それだけではないだろうと思うが

 

 

密林の中を進むと、その大きな気に囲まれた少し小さい建物の集落を見つける

 

 

「ここです!」

 

「皆さん!よくがんばりました!」

 

 

「着いたか」

 

「これは!?」

 

「すげえ!」

 

「これがアルテミス様が!?」

 

「すごい人々!?」

 

「これ全部アルテミス様が守っていたなんて・・」

 

 

集落に辿り着くと、複数の木材の館が建造されていた。そこにはアルテミスの眷属やオリンピアの市民たちも、どうやらアルテミスが彼らのために、住みやすくするために、ここでの生活活動維持させるために、いろいろ手助けをしているようだ

 

まあ、それだけではないのだが

 

俺たちがその集落の全体を眺めていると、一人の女性がこっちに迫ってくる

 

それは

 

 

「ジーク!!!」

 

 

「アルテミス。っ!いきなり抱きつかないでくれるか?驚くぞ」

 

「何をしているのよアルテミス!ジークにくっつくな!!」

 

 

「ヘルメスから全て聞いた!黒竜になった姿は・・・・・あれ?・・・・普通の人間の皮膚のままだ」

 

 

「ああ、それは後で、まずは難民たちを頼む」

 

「アルテミス様!お久しぶりです!」

 

「感動の再会で申し訳ありませんが!」

 

「負傷をしている人がいます!すぐに手当てを!」

 

 

「わかった。すまない!皆!手を貸してくれ!負傷者が居るんだ!」

 

 

もちろん飛んできたのはアルテミス。

 

ヘルメスの伝言を聞き、俺が黒竜の姿になった事も説明されているが、怪物となった姿にはなっておらず、今は人間のままになっていることを驚いている

 

それよりも難民たちと少しエピメテウスの戦いに敗れて負傷したアフロディーテの眷属の治療を、アルテミスの眷属たちに頼む

 

 

「まずは無事合流できた事で、休む前にお互いの状況整理と情報を共有とこれからについて説明したいのだが・・・・・ヘルメスとヘファイストスと・・・・・・・『あいつ』はどこに居る?」

 

「あいつ?」

 

「ここに居るんだろ?俺の大嫌いな男神が?」

 

「ああ・・・・そうか、ジークは本当にわかるんだな」

 

「ジークさん?誰ですか?」

 

「アルテミス様とヘルメス様とヘファイストス様以外に誰か居るのか?」

 

「他の男神が?」

 

「ジーク殿の大嫌いな男神?」

 

「それは誰ですか?」

 

 

アルテミスと無事合流し、今現在の状況とお互いの情報を説明したい。そしてこれからどうするか決めたいのだが

 

ここに居るメンバーが足りない。

 

もちろん説明をするのに、神は必要だ。ここに居るキュロス、アフロディーテ、アルテミス、ヘルメス、ヘファイストス、とあともう一人。が、ここに居ない

 

もちろんベルたちの知る神は知る限りではこのメンバーだけ

 

あともう一人、男神がここに居ると、俺が加勢を頼んでもいない男神が居ると告げる

 

その男は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと会えたね!!ジークきゅん!!!」

 

 

 

「「「「「え!?」」」」」

 

「ああ、アポロンだ」

 

「ああ、私の愚弟と共にここで拠点にしていた」

 

 

ここに拠点を開いたのはアルテミスだけではない。アルテミスの後ろにある、少し周りよりデカイ館の方から、一人の男が扉から出てきた

 

 

それはアポロンだ

 

 

どうやらオラリオを出た後、ここへ辿り着いて、オリンピアの難民をアルテミスと共に守っていたようだな、男好きな男神でも、これでも善神と呼べるようなことをするからな。今を見ると、オリンピアの難民たちも彼を称えているようだ

 

レベル6になる前の俺なら、真っ先に殺していたかもしれないな

 

 

「ジーク!どうしてこの男神が!」

 

「よせ、武器を下ろせ。奴は味方だ」

 

「え、けど!」

 

「構わない、武器を下ろせ、ヴェルフ」

 

 

「そうだぜ、今は共闘しているのさ」

 

「だから敵として認識しないでヴェルフ」

 

 

「ヘルメス様!?」

 

「ヘファイストス様!やっぱりご無事で!」

 

 

アポロンの後ろからヘルメスとヘファイストスも現れる。やはりここへ避難をしていたようだ

 

ヴェルフは、あの事件以来、完全にアポロンは敵として認識していた、でも今は敵ではないと、ヘルメスとヘファイストスが説得する。俺の指示も入れて二人は武器を下ろす

 

アポロンも居ると言うことは

 

 

「やはりここへ来たか、ジーク・フリード」

 

「貴様なら、ここに来ると思ったぞ」

 

「ジーク・フリード、あんた、災難な奴らと遭遇しちまったな」

 

 

「ああ、俺もそう思うぞアイシャ。だがおかしくはない・・・・ヒュアキントスやリッソスがここに居ることに関しては・・・」

 

 

もちろんアポロンが居るなら、その眷属であるヒュアキントスやリッソスも居る

 

忠誠心の強いこの二人が居ないわけがないと、全て理解していた。まあ協力してくれるとは思っていないが、今は敵でないだけマシだと考えよう

 

 

「思いがけないメンバーも居るようだが、お前たちも今回の件で関与していると言うことでいいんだな?」

 

「ふん!だからと言って貴様の加勢などせぬものか!」

 

「それでいい。お前はアポロンの言われたことだけをすればいい。俺とてお前に頼むようなことはない、どうせ聞かないだろうしな」

 

「貴様の言うことなど、聞くものか」

 

 

まさかアポロンやその眷属も居るとは意外だと思うところはあるが

 

俺は気配感知ができる。ヒュアキントスやアポロンの気配もすぐに感知ができる程、俺の気配も敏感だ。

 

アポロンはともかく、ヒュアキントスは協力的ではないことくらい承知、だからアポロンだけの指示をしろと言っておく

 

 

俺もこんな下等生物如きに力を借りるなど、虫唾が走る

 

 

でも、まだ足りないメンバーが居る。それは・・・・

 

 

「ジークさん!」

 

「レアか、無事にリューたちと共にここに来れたんだな」

 

「はい・・・・今は・・・・難民の人たちの治療をしています」

 

「そうか・・・・巫女長として、大した働きだ」

 

「巫女長・・・・」

 

「イリア。貴方も無事だったのね。良かった・・・・ジークさん達も、無事にここまで来れたんですね?」

 

「途中襲撃を受けたが、なんとかな」

 

 

最後のメンバーは、オリンピアの巫女長であるレアだけ

 

そのレアも無事に俺たちの姿を出した

 

今はこの集落に避難したオリンピアの難民達を治療していたらしい、せめてものの働きであろう、オリンピアを救いきれなかったせめてものの巫女長の仕事

 

まあなんにしても

 

 

これで全員合流したわけだ

 

 

「なるほど、明日の決戦にふさわしいメンバーが揃った、あとはここで準備をするだけだ。キュロス」

 

 

「そうじゃな、役者は揃ったと言うわけじゃ」

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「お前は!?」

 

「どうして貴方が!?」

 

「な!?なぜお前が!?」

 

「お前は・・・・・まさか!?」

 

 

明日の決戦に挑む者達が揃ったと、キュロスに伝えると、姿を現す。

 

キュロスの姿を見た、リュー、アスフィ、アイシャ、レア、リッソス、ヒュアキントスが、若干足を震え、膝ずきそうになる。

 

だが一番に驚いているのは、ヘルメスとヘファイストスとアポロンとアルテミス。同じ神だからこそ、キュロスの存在は絶大。ヘルメスにとっては、いや・・・・『オリュンポスの神』なら、誰でもが知ること

 

もちろんキュロスの正体は知っている。フードを被っているにも関わらず

 

だが、俺が神名を阻止する

 

 

「言っておくが、この男神の名はキュロスだ。わかったな?」

 

 

「いや、ジーク君。この神は・・・・・」

 

 

「とにかく何も言うな。この男の名前はキュロスだ。わかったな?ベルの育ての祖父だ」

 

 

「・・・・・・わかった。そういうことにしておくよ」

 

 

「お前らもいいな?ヘファイストス、アポロン、アルテミス、いいな?」

 

 

「え・・・・・ええ」

 

「そ・・・・そうか」

 

「君が・・・・そう言うなら」

 

 

まあ、確かに言ってもいいと思うが、本人の事情があるため伏せて貰う。協力で頼んでもらっている身として、協力者の要望の言う通りに俺は他の神に伏せさせる

 

ベルの祖父であることくらいは明かす

 

とにかく、アポロンとアルテミスが今回関与している理由と、明日の決戦についての説明をするべくと、

 

 

アルテミスの館に、全員集まる

 

 

 

 

 

 

 

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