幼馴染と猫とドッペルゲンガー   作:タキレン

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幼馴染とドッペルゲンガー

 俺、目枝多助の学校は今日から春休みだ、部活にも入っていない俺にとっては只々暇な時間となるだろう。

「春休みって暇だよなー」

「そうね」

 興味なさそうに返事をしたのは俺の幼馴染である兎持……いや、渡里美月だ。

 美月は半年程前からあまり話さなくなった。

 半年前、ちょうど両親が離婚した時期だ。

 クラスメイトともあまり話さなくなり、最近では俺の前でも口数が少なくなっているように感じる

「美月はなんか予定あんのか?」

「特に無い」

「じゃあさ、明日遊びに行かねぇか?」

「遊ぶ?」

 美月の突き放すような口調にはもう慣れている、俺は何事もなかったように話を続けた。

「最近出かけて無いだろ? 食べ歩きでもどうだ?」

「食べ歩き……」

「ちょっと遠いけど隣町の神社の近くにケーキバイキングが出来たからさ」

 美月は少し黙った後首を縦に振った。

「決まりだな」

 

 翌日、俺と美月は予定通りケーキバイキングを堪能した。

「うまかったな」

 美月は少し幸せそうな顔で頷いて近くの神社を見て

「カラス多いね」

 神社を見ると確かにカラスが相当な数いた。

「だな、帰るか」

 美月が頷いたのを見て俺は歩き出した。

 

**************************

 

「何処言ってたの?」

「友達と出かけてた」

「そう、もう少しで夕ご飯だから」

「わかった」

 半年前、両親が離婚するとき、私、美月はお父さんに着いて行くつもりだった。

 当時家事をしていたのはお父さんで母親と接する事はほとんど無かった。

 だから母親は私の事を何も知らない、多助が幼馴染だということも、彼に好意を抱いている事も知らない。

 この前、私はある噂を耳にした。

 動物が沢山集まる神社には神が降りたっていて、ご利益がある、そんな噂。

 

 多助と出かけた時にみた神社にはカラスが沢山集まっていた事を思い出した。

 

 

 多助と出かけた翌日、私の足は自然とその神社に向かっていた。

 

 渡神社、祀られている神の名前は汚れて見えなかった、私はお賽銭を入れて神に祈った。

 神社を出ようとした時、上空から黒い物がこっちに向かって来た。

 私は反応できずに立ち尽くしていた、その間にも黒い物は私に近づいて来て…………

 

**************************

 

「美月ー」

 散歩中美月を見つけた俺はそう言いながら肩を叩こうとした。

「…………」

 ゴス、そんな音が俺の腹の方から聞こえ激痛が走った。

 腹に美月の足がめり込んでいた。

「いってぇ!? なんで!?」

「…………」

 美月はうずくまっている俺を気にする様子も無くそのまま歩き出した。

「なに……?」

 

 

 翌日の散歩中、ふと横を見るといつの間にか美月がいた。

「み、美月!?」

 俺は後ずさりをしながら叫ぶ。

 美月は怪訝な顔で

「なんで身構える?」

「何でってお前……」

「暇、どっか行こう」

「話聞けよ、てか何で?」

「いいから」

 その日は何故か美月に色々な所に連れまわされた。

 

 

 

「いいから」

 その一言だけで翌日もその次の日も俺は美月に連れまわされた、まるで監視されているようだ。

 そんな日も三日目になった帰り道、俺は美月に聞いた。

「そういや最近そのウエストポーチばっかだな」

「……気のせい」

「何が入ってんだ?」

 この三日間美月がウエストポーチから物を取り出すのを見ていない。

「何も無い」

「そんなわけ無いだろ」

 そう言って俺がウエストポーチに触ろうとすると美月は驚くほどの早さでウエストポーチを庇った。

「なんなんだ……」

 思い切り動かされたウエストポーチの外ポケットから丸い物が飛び出した。

「お前、これ……」

 飛び出してきたのは防犯用カラーボールだった。

 言葉を失った俺に向かって美月は

「相談がある」

 只一言、そう言った。

 

 

「私がいる」

 近くにあった喫茶店で美月は真顔でそう言った。

「確かに俺の目の前にいるな」

「正しく言うと私がもう一人いる」

「もう一人?」

 美月は紅茶を一口飲んで

「喋らない、攻撃的な私と瓜二つの人がいる」

「喋らないのはともかく攻撃的ってんならたぶん俺も出会ったな」

「何かされた?」

「蹴られた、しかも思いっきりな」

「やっぱり攻撃的」

「ドッペルゲンガーってやつか?」

 たぶん、と美月は頷いた。

「で、ペイントボールでどうするんだよ」

「当てて追跡して捕まえる」

「で?」

 美月は少し間をおいて

「尋問する」

「とりあえず落ち着け」

 美月は混乱しているようだ。

 その後の相談でドッペルゲンガーを見つけたら連絡、追跡する事になった。

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