化け物の俺は彼女たちと人間になりたい   作:ゼルクニル

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ぶった切った後半です!


第33話 料理って心込めてりゃ何でも美味い

〈数日後〉

 

「おはよう、零」

「ああ、朝飯できてるぞ」

「サンキュー。じゃあ」

「「いただきます」」

 

 

私にとってこの生活は、もう日常となっていた。

朝起きてコイツの朝飯を食べて、コイツの弁当を持って学校へ行く

 

 

「用意できたか?」

「バッチリだぞ?」

「そうか?」

「じゃあ…」

「ああ」

「「行ってきます」」

 

 

 

ホント、時間ってあっという間だよな…あいつと食事するのも今日と明日だけ…

 

「(この数日、色々あったんだよな…)」

 

料理の仕方とか、私はあれこれ言ったのに教えてくれた

キーボードの練習も付き合ってくれた…あいつマジで上手かった…

私の愚痴も聞いてくれた。嫌な顔もせず、色々相談も聞いてくれた

疲れた時も「これでも食って元気出せ」って、あんこのスイーツとか作ってくれた

 

あいつには言ってないけど…楽しかったんだよな…

 

あいつはどうなんだろうな…私とどんな心境で接してたんだ?

 

あいつは…私のこと…どんな風に思ってるんだ?

 

 

「って何考えてんだ私は!!」

 

自分でも意味が分からない事を考えていた

それに気づいた私は、頭を振って学校に行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局…特に何も無く、普通に帰って来て、今は玄関の前に居る

 

「…」

 

いつも普通に開けるはずの玄関を開けられない…

何でだろう…なんというか…ああっもう!なんなんだよこの気持ちは!

 

 

よく分からない気持ちを振り払うように頭を振り、勢いよく玄関を開ける

「ただいまっ!!」

 

あいつはやっぱり帰ってた。でも顔は驚きを隠せていない

 

「お、おかえり…」

「ど、どうしたんだよ…何でそんなに驚いてんだよ」

「だって物凄い勢いで扉開けたから…なんかあったのか?」

「え、いや…何も無い」

「そうか?…なら良いんだ」

 

そう言うとコイツは落ち着いた表情になった…

 

 

「じゃあ食べるか?」

「そうだな」

 

お互い席に着き、手を合わせる

 

「それじゃあ」

「「いただきます」」

 

いつものようにコイツが作った夕食をコイツと一緒に食べる…

それで話しをして…色々教えて貰って…

 

「(私は…コイツに何かできないのか?)」

「なぁ有咲…有咲?」

「えっ?な、なんだよ」

「話聞いてたか?」

「…ごめん。聞いた無かった」

「じゃあもう一度聞くが、料理はできるようになったか?」

「何でそんなこと聞くんだ?」

「有咲も料理くらいできないと、後々大変だろうからさ」

「そうか?できなくても生きていけると思うけど…」

「そんなことないぞ?生きていくうえで、いつどんな時食事が取れなくなるか分からないんだぞ?料理は覚えておけば絶対役に立つ、これは断言できる」

「お、おう…そうか」

 

 

前から思ってたが…何でこんなに説得力があるんだ?相談したときもそうだ、コイツの意見には説得力がある…

まるで…経験者みたいな説得力がな…

 

 

「簡単な料理くらい作れるようになってくれないと…俺は心配だぞ…」

「何でだよ」

「ええっ?だって教えたし、有咲も食事は俺に頼ってばかりだからさ」

「ぐっ…痛い所を突くな…」

 

「まぁ…料理が出来るようになったら嬉しいな」

「!」

 

それだ!コイツは私に料理を作ってくれた

だったら、今度は私がコイツに料理を作ってやればいいんだ

そうすれば、コイツも私を見直すに違いない…

 

「なぁ、零はレシピとかどうやって知ったんだ?」

「レシピか?基本はCookp〇dだ。何でそんなこと聞くんだ?」

「…気になっただけ」

「そうか?ってもう時間だな…食器洗い頼んでも良いか?」

「そのくらいならいいぞ。ありがとな。零」

「いいんだ。じゃ、また明日な」

 

そう言って零は帰って行った…

 

 

 

 

「さてと。じゃあ皿洗いしますか」

 

スポンジに洗剤と水を付け泡立てる。泡立つとシストラルのスッとした香りが広がり

十分に泡だったところで皿を洗う

 

「(この香り…あいつの匂いだな…いっつも私の分も洗ってくれて…って!そうじゃないだろ!なんであいつのこと考えてんだよ…皿洗ってんだろ?)」

 

 

皿洗いを終わらせて、一度風呂に入ってから料理の練習を始めた

 

「ええっと…まずは…」

 

自分が改めてすると、難しい事がすぐに分かった…包丁で野菜を上手く切れないし、炒め物も焦げるし…

改めてあいつの凄さを実感した。

 

「(料理って…こんなに大変なんだな。分量とか時間とか、ハッキリ言って面倒だし…でもあいつは…私のために…)」

 

変な話だと思わないか?

だって自分の為じゃ無い、私の為にわざわざ朝早くからうちに来て弁当作って…それをずっとし続けてくれたんだぞ?

ばあちゃんがあそこまで言うわけだな…ここまで人が良かったらな

 

「それにしても…妙に寒いな…」

 

そういえば今日は珍しく冷え込むってニュースで言ってたな…

 

「まぁ…ちょっとくらい…頑張ってみようかな…」

 

私は、時計の針が12を超えるまで練習を続けた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おかしいな」

 

いつもならもう起きてくるはずなんだが…まだ寝てるのだろうか。幾ら有咲を呼ぼうとも返事は帰ってこない…

 

起こしに行こう、そう思った時。いつも通り有咲が来た…

けど壁にもたれて歩いてくる、息も上がってる上に顔も赤い…

 

「有咲?大丈夫か?」

「大…丈夫…」

 

そう言ってはいるが、自分では立てていない。まさか…

有咲の近くに駆け寄り、おでこを触る

かなり熱い…これは…休んだ方が良いな

 

「有咲、今日はもう学校休め。いいな?」

「何…でだよ?」

「風邪を引いてるからだ」

「嘘…だろ」

「事実だ。ほら、立てるか?」

「…」

「有咲?…しょうがない。怒るなよ?」

 

俺は自力では立てない有咲を抱きかかえて、有咲の部屋に運んだ

 

ベットに寝かせ、布団を掛けておく

 

「有咲?大丈夫か?」

 

…返事が無い

 

「寝てるのか?」

 

寝ていることにしておこう。俺は携帯で学校に電話を掛ける

 

「もしもし、神鷹零です

実は自分風邪気味で…今日は休ませて貰ってもいいですか?…はい、ではまた明日…はい、失礼します」

 

学校って言っても俺の学校だけどな、言うの遅いが…

まぁ一日くらいずる休みしてもいいって聞くし…いいよな?

 

「まぁいいや。お粥でも作るか」

 

美味いお粥を作るために、俺は台所に向かった

有咲の部屋を出て行くとき、何か聞こえた気がするが…多分気のせいだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぐすっ」

 

何やってるんだよ…私

結局…あいつに迷惑掛けてばっかりだな…

なんだよ…くそっ…私は…あいつに…零に…

 

「何もできないのかよ…」ボロボロ

 

悔しくって…涙が出た…

今分かった。私は…零にお礼がしたかったんだ…

私を支えてくれた…私に色々教えてくれた…

だから今度は私が、って思ったのに…これか?

風邪引いて、零を休ませて、私の看病をして貰うのが…お礼か?

 

「くそっ…くそっ…」ボロボロ

 

あまりの悔しさに、私は唇を噛んだ…

私は結局…何もできない。何もしてあげれない。

そう考えただけで自分への怒りが込み上げてくる…

今すぐにでもあいつに謝りたい。今ならまだ学校に間に合う

けど風邪にあらがえない…自分では起き上がれず、そのまま意識を手放した…

 

 

 

 

 

 

 

「ううっ…」

 

「(苦しい…熱い…)」

 

急に苦しくなってきた。楽になろうと動いてみる、けど余計に苦しくなる…

 

「(!…何だ?)」

 

頭に何か乗せられた…

 

「(冷たくて気持ちいい…何だろうコレ…)」

 

熱い体が冷えていく感覚に身を任せ、私はまた意識を手放した

 

 

 

 

 

「う…んん…」

 

薄れた意識が徐々に戻ってきた…

 

「あれ…私…」

 

寝てたのか?…時間は…!?

12時…真夜中だ…

 

起き上がると頭から何か落ちた…これは…

 

「タオル…濡れてる…」

 

私の側には冷たい水の入ったバケツが置いてある…濡らして頭に置いてくれたのか?

 

「起きたか…有咲」

 

丁度良く、零が入ってきた

 

「どうだ?具合は」

「…これ」

「それか?熱そうだったから…

それで顔拭いて頭に置いておいたんだ」

 

また零に…ホント…私は…何も…

 

「有咲…っ!有咲?どうした?」

「どうしたって?」

「なんで…泣いてるんだよ」

 

自分でも分からなくって、自分の顔を触ってみる

あれ…ホントだ…私…泣いてる

 

「ごめん…零…」ボロボロ

「なんで…謝るんだ?」

「だって…私…何にもできないから…」ボロボロ

 

「零との時間…スッゲぇ楽しかったんだ…いろんな事教えてくれたじゃん…。

私はさ…零に…お礼がしたかったんだ!昨日言ってたよな?料理が出来るようになったら嬉しいって。だから私…昨日零が帰った後料理の練習してたんだ。けど風邪引いてまた迷惑掛けちまった!

私は何にもできない!何にもしてやれない!だからもう…悔しくって…」ボロボロ

 

「有咲…」

 

「私…迷惑ばっか掛けてるな…」

 

「そんなこと無い」

 

「えっ?」

 

「有咲は迷惑なんて掛けてないよ」

 

「そんなことないだろっ!なんでだよ!なんで私を慰めるようなこと言うんだよっ!」

 

「…嬉しかったからだ」

 

「何がだよっ!」ボロボロ

 

「お前と飯食ってたあの時間がだ」

 

零は私の頭に手を乗せて言ってくれた

 

「俺は…有咲が羨ましかった」

 

「羨ましかった?」

 

「誰かと囲む食卓を…俺は経験したことが無い」

 

「ええっ?」

 

経験したことが無いって…どういうことだ?

 

「だから俺も楽しかった、お前と話しながら食う飯」

 

その気持ちは…私と…いっしょだったのか…

 

「有咲。冷蔵庫に入ってたあれ、お前が作ったんだろ?美味い料理だったぞ」

 

「食べて…くれたのか?」

 

「当たり前だ。有咲は何も迷惑なんて掛けてない、むしろ俺はお前に感謝したい」

 

「感…謝?」

 

「有咲は教わると同時に、俺に色々教えてくれた。だからさ!

有咲…ありがとう」

 

 

 

「零…私…」ボロボロ

 

「有咲」

 

「なんだよ___!」

 

零は何故か私を抱きしめた。

 

「な、なにすんだよ…」

 

「泣きたいなら泣いても良いぞ?」

 

「…誰にも…言うなよ」

 

「約束する」

 

コイツ…サラッととんでもないことしやがる…

 

「…ううっ…ぐすっ…」ボロボロ

 

けど…なんか…いい///

 

 

今なら全部言える、私は…嬉しい。零にありがとうって言って貰ったから

あの料理を美味しいって言ってくれたから…

 

今こうして…零に包まれてるのが///

 

「なぁ…零」

「何だ?」

「しばらく…このままが…」

「…いつまででも」ナデナデ

「勝手に…撫でるな」

「悪い…止めよう」

「…止めるな」

「どっちだよ…」

「……撫でろ///」

「分かったよ…」ナデナデ

 

コイツ…撫でるの上手すぎ…マジで…

 

「(温かい…いい気分だな///)」

 

「(多分…私は…零が…///)」

 

私はその後も…零に包まれながら泣きじゃくった

 

 

 

 

 

 

 

 

「___さ」

 

んん…誰だ?私を呼んでるのは…

 

「有咲!」

「ば、ばあちゃん!」

「大丈夫なの?風邪引いたって聞いたけれど」

「もうスッカリ良くなったよ」

「そう…良かった…零さんにお礼を言わないとね」

「っ!そうだよばあちゃん!零は!?」

「それが…台所にこの手紙があったのよ」

 

そう言っておばあちゃんから手紙を受け取る

 

『有咲へ コレ呼んでる頃には、風邪引いてるといいが…

2人で食べるはずだった最後の夕食、冷蔵庫に入れておくからちゃんと食べろよ?

今までありがとう。そしてこれからもよろしくな 零』

 

「零…」

 

 

もう居ない。その事実を聞くだけで辛くなる。記憶ではついさっきまで一緒に居たのにな…

 

 

「零は…何を作ってたんだ?」

 

私は零の料理を確かめに、台所に向かった

 

 

 

 

冷蔵庫を開けると、ラップに包まれ付箋がされたお皿を見つけた

 

「多分コレだな…」

 

中身は…ゆで卵…だけ?

 

「どういう…ことだ?」

 

何か意味があるのかと思い付箋を見る。そこには何か書かれていた

 

『ゆで卵、好物なんだろ? 最後に有咲の好きな物作ろうと思ったけど…間違ってたか?

言い訳になるかもしれないが、料理ってのは誰に何をどう思って作るかが大事なんだ。

シンプルでも、それに心込めて作れば、どんな物でも料理になる

だから有咲。料理が下手でも、俺は有咲の作った物は料理だと誇っていいと思う』

 

 

「なんだよ…それ…格好つけやがって…」ボロボロ

 

「(最後の最後に…また教えてくれた…)」

 

「…いただきます」

 

温めず、すぐに口に頬張った

 

「…美味しい」

 

「(ホント…美味いな…あいつの飯は…)」

 

ただゆで卵を食べただけなのに…満たされるような気分になる…涙が出る…

 

「ありがと…零。ごちそうさま」

 

「あらあら、すっかり零さんにご執心だねぇ」

 

「ばあちゃん!?い、いつから!?」

 

「冷蔵庫を開けるくらいからだよ」

 

「全部…じゃんか…///」

 

「ごめんね有咲。でもおばあちゃん嬉しいよ。ようやく、有咲もそういう事を意識し始めたようだねぇ」

 

「そっ、それは…///」

 

ここまでされて…意識しないなんて…無理だろ///

 

 

「俺が何だって?」

 

聞き慣れた声がしたからすぐ振り返った。

そこにいたのは今の話しを1番聞いて欲しくない人物、零だった

 

「ええっ!?れ、零!?いつから居たんだよ!?」

「いやついさっきだ。鍵返してなかったからな…」

「そ、そっか…」

「(聞かれて無くて良かった///)」

 

「じゃ、鍵も返したし帰るな~」

「ま、待ってくれ!」

「な、何だ?」

「あの…その…ええっと…」

「どうした?焦ってないから落ち着け」

「…飯、食べたか?」

「いや…まだだが」

「私が今から料理するから!その…食べてかないか?」

「じゃあ頂くとしよう。でも俺も手伝うぞ」

「ええっ?いいってそんなの!」

「いいから!ほら準備しろって」

「ああ~もう分かったよ!」

 

全く…コイツはお人好しなのか、鈍いのか。

 

でも…そんな奴だから…私は…///

 

 

 

 

 

 

 

「若いのは元気があっていいねぇ」

 

万実は料理をする2人を見て、微笑ましく思ったようだ

 

「よそ見せず包丁持ってだな…」

「分かってるよ!いちいち言うな!」

 

「よかったねぇ…有咲」

 

万実の目に映るのは、あれこれ言いながらも楽しそうにする有咲の姿だった

 

「これで…有咲の未来は安泰だねぇ…」

 

 

2人が並ぶその姿は、誰が見ても新婚夫婦を答えれる程。

 

甘く…賑やかな空間になっていた…




これにて有咲編終了です!

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【改めて】次回のシリアスは?

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