やってくれますね運営も…
今回はかなりシリアスです。ご注意を
ーシリアス苦手な人の為の回れ右用スペースー
脅迫状が届いて数日が経ったものの、特に変わった事は無い…
『思ったよりも楽に終わりそうだな!』
『どうせイタズラだったんだろうな』
『気張って損したな…』
「(ふざけやがって…)」
変化が無い為、スタッフは皆気を抜いている…
その事に俺は苛立ちを覚えている
当然だ。何も起きないからといって全てが終わったわけでは無い。
現に有名なアイドルが同じような脅迫状を送られ、今も病院の中だからな。
イベント自体がまだ終わっていない。ましてや明日がリハーサルだ。
本当に警戒するべきはこれからのはずだ…
1番気を抜いて楽になりたいのはパスパレのメンバーである彼女たちだ
俺達の仕事は、自分の仕事と並行して彼女たちへの負担を少しでも減らすことだろう…
何故その事に気づかないんだ…それさえも分からないのか?
『なぁ!神鷹君もそう思うだろ?』
「そうですね。まぁ何も無いのが1番です」
『だろ?』
その後もスタッフ達の気の緩んだ会話は続き、途中で俺は適当な理由を付け屋上へ向かった
「ハァ…」
事務所に屋上があるのは珍しいのでは無いだろうか。そうでも無いのだろうか。
どうでも良いことを考えながら俺は屋上のフェンスに両腕を乗せ、フェンスに全体重をかけてもたれる。
空は青く広がり、暖かな風と太陽の光が心地よく体に当たる…
「(俺が…おかしいのか?)」
風と日の光を浴びながら思う
俺の考えが堅すぎるのか?と
そこまでおかしな事を言っているのだろうか?と
命の重さは…そこまで重くないのか?と
「(いや…おかしくないはずだ…)」
心の中でそう自分に言い聞かせた
だが…本当にそうだろうか。そう思う自分がいた
現に一般的な知識が欠落している事は自覚していた。だから彼女たちと関わり、少しは学んでいると思っていた。だが…変わってないのでは?
「…もう分からないな」
『何が分からないんだ?』
つい口に出してしまった言葉を聞いていたのは社長だった
片手には缶コーヒーが握られている。休憩しに来たようだ…
社長は俺の隣に来て、俺と同じようにフェンスにもたれる態勢になった
『君が此処に来るとは珍しいね…』
「そうですね…偶には良いかと思い…」
『分かるよ。私も休憩する時、偶にだが此処に来たくなる』
「そうですか…」
『此処から見た景色が、1番好きだからな…』
「そうなんですか?」
『ああ。此処に立つと…懐かしく思えるんだ』
「懐かしい?」
『私はな…昔、俳優をしていたんだ…』
「そうなんですか?」
『何度もオーディションを受け、夢だった俳優になった
あの時は…毎日が忙しく、それでも充実していたんだ
特に初めてのステージからの景色は今でも忘れられない…
自分がなりたかった者になり、お客さんに楽しんでもらった
その事への充実感と、達成感が私は好きだったんだ…』
「…」
『だがある日…私は交通事故に遭った。
原因は相手側の飲酒運転だった…
その結果、私は臓器をやられてしまってね…
活動出来なくなってしまったんだ…』
その事を話している社長の手は、フェンスを強く握りしめ震えていた。
悔しくてしかたがないはずだ。夢が…理不尽な現実で奪われたのだから…
『だが私は思った。自分が出来なくなったのなら、出来る人を育てようじゃないかと。
夢を叶えたい人を集め、夢を叶えさせてあげる場所を作ろうじゃないかと。
そして私は、此処を築いた。気づけば色んな人達が此処に集まって、夢を叶えている
そしたら最近…面白い子がうちに来たんだよ。
その子は…私に似ていた。夢の為に努力を惜しまない子だ。誰だか分かるか?』
突然の質問だったが、『その子』が誰なのか
すぐに分かった。それは…
「彩…ですか?」
『…そうだ』
「でも努力してるのは彩だけじゃないです」
確かに彩は、アイドルという夢の為に失敗しながらも頑張っている
だが…それは彩だけじゃない
『…それはどういうことかな?』
「千聖、日菜、イヴ、麻弥。
皆、彩と同じくらい頑張ってます。
彼女たちの努力を自分は2番目に知っています」
『2番目?1番では無いのか?』
「彼女たちの努力を1番知っているのは…
彼女たち自身ですよ…
1人が4人を支えてる、それを皆が行っている。
だからこそ、彼女たちの努力は彼女たちが1番知ってる
そう思うんです」
『ほう…なるほど…そうか』
社長はどこか納得したような表情になった…
「あの…どうしました?」
『やはり君にマネージャーを頼んで良かったよ』
「あの…どういう意味ですか?」
『…最近になって思ったのだ。君は本当にマネージャーとしてふさわしいのか?と』
「やはり多少は疑ってたんですね」
『気づいていたのか…』
「そもそも、学生に給料付きのマネージャーを任せる事務所なんて…あり得ませんからね」
『だが改めて分かった。君はマネージャーに相応しい!』
「本当にそうですか?」
『君は下心があって来たわけでも、金のためでも無い
純粋に彼女たちの事を見ている。その上評判も良い
これ以上の無い逸材だよ君は』
「…見えてるものが全てでは無いですよ?」
『ははっ!言うじゃないか神鷹君!
確かにそうかもしれない、だが…
彼女たちが信用している君を私が信用しないのはおかしな話だろ?』
誰かが信用しているからこそ信用する…か
「社長は…ここのスタッフ達を信用していますか?」
『当然だ。…何故そのようなことを聞く?』
「実は…」
俺は社長に今の俺の考え方について話した
「…どう思いますか」
『うーん…』
社長は俺の話を聞いた後、腕を組み深く考えていた。
うなり声を言い続け言い続け…「分からないならいい」と言おうとした時、社長のうなり声が終わった
『神鷹君。確かに君の考え方は正しい。命は重いものだ。
だがな、君の考えが全て正しいかと言えばそれは違う』
「そうですか…」
『もう少しだけうちのスタッフ達を信じて欲しい』
確かに俺は…スタッフ達をもう少しだけ信じるべきだ…
皆年上、この業界について良く分かっているはずだ…
何をでしゃばっているんだ俺は…
頭の中で自分の考えを改めるべきだな…
「すみませんでした…」
『いや、いいんだ。確かに彼らも気が緩みすぎている。
私からもキツく言っておくから』
「はい…自分もスタッフ達を信じるようにします」
『お互いに、考えることが多いみたいだな』
「みたいですね」
『さて、そろそろ休憩も終わりにしようかね…
では神鷹君、明日はいよいよリハーサルだ。頑張ろうな』
「はいっ!」
そう言って社長は戻っていき、俺は深く深呼吸をして気合いを入れ直す
「(社長の言うとおり…明日はスタッフ達を信用してみよう)」
考えを改め、俺は明日のリハーサルのための準備をしに事務所の中に戻っていくのだった
〈リハーサル当日 会場〉
「此処が会場なのか…」
俺はパスパレのメンバーと共に、リハーサルの為会場となる場所に来ていた。
会場は有名なものと比べるとかなり小さいドームの中で、それなりの広さを有している
だがステージはCIRCLEを大きくした感じだな…
何かイメージしていたのと違った
「しかし…ここまで広いと1万人くらいは入れそうだな」
「(まぁそこまで入るかどうかは分からないが…)」
「みんなはどう思…う?」
「「「…」」」
今更だが…ここに来てから彼女たちの顔色があまり良くない。
あれこれ言っても上の空、目は何処を見ているのか分からない…
手を叩いてようやく反応があるくらいだ…
「どうしたんだよ…緊張してるのか?」
「な、何でも無いよ!ね?」
「そ、そうですね」
「シンパイゴムヨウ…です」
「そうね…」
「まぁそうだね」
何でも無いと言えるような反応では無いが…
理由は言いたく無いだろうし聞かないでおこう
「…なら良いんだ。この後俺は打ち合わせ、みんなはその間ステージでリハーサル。質問ある人は?」
「機材の調整は誰がするの?」
「そこはスタッフ達に任せてある。と言うか今この会場にいるのは
俺とみんなと事務所のスタッフ達、後は関係者だけだ」
「なんか少なくない?」
「一応、警戒中だからな…人が増えるのは良くない」
「やっぱり…危険なのは変らないんだね…」
「警備もスタッフ達に任せてあるから特に問題は無いはずだ」
「零…本当にスタッフ達に任せて良いのかしら…」
「なんだよ…俺の人員分配が信用できないのか?」
「そうじゃないわよ。ただ…」
「ただ…何だ?」
「…いえ、貴方を信じるって決めたもの。何も言うことは無いわ」
「…いいんだな?」
「ええ」
「他に質問は?…無いな?なら一端解散だ。また後で会おう」
話を終えた後、みんなはステージへと向かい、俺は打ち合わせをするためにドーム内にある会議室へと向かった
会議室へ向かうが…廊下が長い…改めて此処の広さが分かった…
少し経つと彼女たちの演奏が廊下を響いてきた…音は問題ないようだ
長い長い廊下を歩きながら、俺は考え事をしていた
「(本当に大丈夫なのか、か…)」
千聖の心配は、おそらくスタッフ達の緊張感が無い事への不安だろうが…その事に関しては…正直言って俺も不安しか無い。
「(…何も起きないよな?)」
今日の警備や機材の調整などは全てスタッフ達に任せてある。
昨日の社長の言葉通り、スタッフ達を信用してみようと思ったからな
気はたるんでるが…特に問題は無いはずだ
万が一の為にも無線機を持つようにしたからな
彼らも大人だ、出来る事は俺より多いはずだ…
そう言い聞かせながら俺は会議室へと向かう
すると目の前に2人の男性が横を通り過ぎていく…
ここの関係者なのか分からない為、少し話しかけてみた
「あれ?会議室に向かうんですか?」
『…はい。そうですけど?』
『どちら様でしょうか?』
「自分ですか?パスパレのマネージャーですけど?」
『!…そうですか』
『大変ですね~お互いに…』
「そうですね。色々と…では」
話を切り上げ会議室へ向かう…
『おいおい待てよ~』
だが男の1人に後ろから肩を掴まれ止められる。同時にもう1人が何処かに向かおうとしている
「なんですか?」
『ちょっとお話ししようぜ?マネージャーさんよぉ』
「いいですけど…なんでですか?」
『それはな~』
『こういうことだっ!』
男は刃物を取り出し俺に切りつけようとする
「ふん!」
『がぁっ!』
だが俺は男の刃物を避け顔面に膝蹴りを当てて壁に男を叩き付けた
刃物を拾った後、叩きつけた男の胸ぐらを掴み刃物を近づけて脅す
「さぁ吐け!お前の知ってる事全部な!」
『はっ!そんな脅しが通用するとでも?』
「ほう…そうかい」グサ
ためらいなど無く真顔で男の左足に刃物を刺した
『がぁぁっ!』
「次は右足だぞ?」
『へ、へへへ…こんな事…してて良いのか?』
その言葉を聞いた瞬間、演奏が止まった
そして俺は、もう1人男がいたのを思い出した
「しまった!…お前は寝てろ!」バキ
『グハッ!』ドサッ
男の腹に蹴りを入れ気絶させた後、俺は急いでステージに向った
「おい!…おい!」
走りながら無線機でスタッフ達と連絡を取ろうとするが、繋がらない…いや、そもそも
「くそっ!ふざけやがって!何のための無線だと思ってるんだ!」
繋がるはずのない無線を放り捨て、全力で走る
廊下を抜けるとステージの横に出ると、男が彼女たちに刃物を向けていた
「させるかあっ!」ブン
俺は男に向けて刃物を投げナイフのように投げつけた
『があああっ!!』
男の背中に刃物が刺さり、男は悲鳴をあげ倒れる
完全に動けなくなったのを見て確認した後、彼女たちの所へ駆け寄った
「みんな無事か!?」
みんなは無傷だが突然の出来事に腰を抜かしたのか座り込んでいた
「零…ええみんな無事よ」
「よかった…みんな立てないのか?」
「う、うん…」
「いざとなると…立てなくなるのね…」
「フイをつかれました…」
「ビックリしちゃって…」
「ジブンもです…」
「それが普通だ、ほら…立って」
立てない彼女たちの腕を掴み、ゆっくりと立たせる
彼女たちはふらついているものの、自分で立てている
ただ1人を除いて…
「うわぁ!」
「おおっと、彩…大丈夫か?」
「ゴメンね…零くん」
「気にするな…ゆっくりでいいから」
「うん…ありがとう」
ようやく彩も地力で立てるようになった所で、彼女たちに背を向け男に近づき尋問しようとした
「…起きろ!話をしようじゃないか…」
怒りで理性が崩れる前まで来ている…
起き上がらない…警戒しながら少しずつ近づく…
「おい…さっさと起きろ」
だが起き上がらず…気づけばすぐ目の前にまで来た
「…死んだふりか?無駄だ、急所は外した。その出血で死にはしない」
それでも起き上がらない…なら最後の策だ
「だったらしょうがない…」
俺は近くにあったアンプを持って男をまたいで立った
「零さん?何してるんですか?」
「え…嘘だよね?」
「おい起きろ。3秒以内に起きなかったらコイツで頭を潰す」
「1…」
「ええっ!?」
「やめてください!」
「待ちなさい零!そんなことしたら死んでしまうわ!」
彼女たちの声を無視し、俺は数え始める
「2…」
腕を後ろに持って行き、振り下ろす準備をする
「「「「だめっ!」」」」
「3!」
振り下ろs『分かった!話す!』
その言葉と同時に男の頭に当たる直前で腕を止める
「馬鹿だな。何も聞いてないのに当てるわけ無いだろ」
『ほ、本当か?』
「まぁ何かしら聞いてたり、彼女たちに傷1つ付けてたら…
頭をぶん殴ってミンチにしてたな」
「…」
「さぁ今知ってる事全b…っ!!」
バン!!
「…がはっ!」ゴトッ
「「「「…え?」」」」
全てが…一瞬だった…
男がうつむいていた状態から…こちらを向いた…
だが男は…銃を所持していた…
当然俺はアンプで…両手が塞がっている…
手で防げず…腹に当たった…アンプを落とした…
至近距離からの発砲は…弾の速度で俺の体を吹き飛ばした
「ぐっ…嘘だろ…何でそんな物…持ってんだよ!」
『あ。ああっ…あああああっ!!!』ダダダッ
男は発砲した銃を放り捨て、叫びながら走って行った
「ぐっ…待て!」
立とうにも立てない…くそっ…
前ならすぐ立てた…何故立てないんだっ!!
「待ちやがれえええぇぇっ!!!」
立てない事への怒りと共に、叫ぶ…だが男は姿を消した…
叫ぶと…懐かしい感覚に襲われる…
血が喉を通り、口から出ようとする時の…
鉄の味と…血の温かさ…
「おぶえぁっ!」ドバァッ
目の前に血の水たまりが出来る…
この量…まずいな…確かヤバい量だったはずだ…
「れい君」「零くんっ!」「零っ!」
「零さんっ!」「レイさんっ!」
吐血した時、彼女たちが俺を呼んで近づいてきた…
「お前ら…弾…当たってないか?」
「貴方は貴方の心配だけをしてっ!」
「どうしよう…どうしたらいいの!?」
「ハァ…ハァ…」
「イヴさん!救急車を呼んでくださいっ!」
「は、はいっ!」
麻弥の指示は…的確だな…
俺の場合…まず…弾丸を…取り除かなければ…
「日菜…」
「何!?どうしたの零くん!!」
「そこの…刃物…取れ」
「これ!?…何に使うの?」
日菜から刃物を受け取ると、俺は体に刃物を刺し弾丸を取り出す
「があああああっ!…ハァ…ハァ…」カラン
「零!?貴方何してるのよっ!!」
「そんなことしたら死んじゃうよ!!」
普通の人間なら医者に任せるのが普通だが…
俺は薬品の力と人知を越えた治癒力がある…
大博打だが…何もしないよりマシだ…
それに…いつもこうやって直してたからな…
「大丈夫…だ…」
「何言ってるのよ!どう見ても大丈夫じゃないわよっ!」
「麻弥ちゃん!どうしたらいいの!?」
「タオルで傷を塞ぎましょう!」
「あたしが取ってくる!!」
「あとは…えっと…ええっと!…」
俺は…慌てる麻弥の…服を引っ張った
「零さん?どうしました!?」
「麻弥…紐…止血」
「止血…これで縛ります!」
麻弥は…何だ?何かでキツく縛った…
まずい視界が…意識…が…
「零?…零っ!!」
「えっ!?ちょっと零くん!!」
「れいくん!!ダメだよこんなの!」
「零さん!救急車はまだですか!?」
「レイさん!起きてください!レイさん!」
聴覚も…ああ…また…か…
俺はまた…声を聞きながら意識を手放した…
続く…
青薔薇編とはまた違ったシリアスでした。
どうでしたか?まだ続きますよ?あと…どれくらいだろうか…まぁ気が済むまで書かせてもらいます
お気に入り登録やコメントをよろしくお願いします
【改めて】次回のシリアスは?
-
afterglow
-
ハローハッピーワールド