化け物の俺は彼女たちと人間になりたい   作:ゼルクニル

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試験。試験。終わったと思ったらまた試験。
それが更新が遅れた理由です…お待たせました…

今回は回れ右スペース不要…だと思う…


第40話 忘れていた心

『なぁ_____…少し休んだらどうだ』

「_____?____!」

『そう___事を言ってるんじゃない。お前は___なんだよ』

『リーダー。俺はお前になんて教えた?』

「_____!____?」

『ハァー全く…もう1度言うぞー?』

『いいか?お前は____なんだぞ?お前が_____誰が代わりを___んだ?だから…』

『お前は休むこと!あと______を覚えろ!いいな?』

 

 

 ……

 

 

 

 病室の窓から差し込んだ日の光で俺は目を覚ました

 

「あれは…過去の記憶か?」

 

 リーダー、そう呼ぶのは仲間達だけだ。そしてついさっきまで見ていたのは恐らく過去の記憶なのだろう

 だが話していた相手の顔が分からず、途切れ途切れで何を言っているのか分からない部分もあったな…最後のあの言葉…俺は何を覚えろと言われたんだ?

 

「だが…休むことを覚えろ。か…」

 

 確かに俺は今まで動きっぱなしだったのかもしれない。彼女たちの為と自分に言い聞かせて無理をしていたのかもな。だから昨日も……昨日…

 

「俺は彼女たちに…色々やってしまったな…」

 

 …昨日の行動について深く反省した

 

 俺はやけになり今まで隠していた顔の傷を彼女たちに見せてしまった。その上彼女たちの励ましを全て否定し、彼女たちに感情をぶつけてしまった…

 顔の傷についてはともかく、彼女たちを苦しめないようにしていたにもかかわらず俺は彼女たちを傷つけてしまった。本末転倒もいいところだ…

 

「どう謝れば良いんだ…」

 

 

 そう考えていると誰かが俺の病室に近づいてくる足音がする。だが音は聞き覚えの無い重みを感じる音だったので俺は寝たふりをして様子を見ることにした

 

 ガラッと扉が開く音が響く…

 

『コイツが…あいつらの?随分若い奴を雇ったな』

「(あいつら?雇った?…事務所の関係者か?)」

『ケッ!まぁいい…どうせコイツもあいつらに裏切られるんだからな』

「(裏切る?…脅迫状にあった過去の罪のことか?)」

 

 

 男が独り言を終えると静かに部屋を出て行った…

 

「…行ったな」バサッ

 

 

 あの男…何者だ?あの言い方は彼女たちと関わりがある人間だったという決定的な証拠だ

 

 

 今まで集まった情報を整理しよう…

 

 そもそもの始まりは事務所に届いた脅迫状だ。内容はパスパレを解散しろ、でないと彼女たちの命の保証は無いというものだった

 もし送り主が先ほどの男だったのなら一応動機がある…だがあの男が全て悪いのかどうかは分からない。本気で彼女たちを殺したいのなら、邪魔になる俺を今殺さなかった時点でおかしいからな

 

 だが…犯人の正体の他に新たな謎ができてしまった

 

「彼女たちは…何か隠しているのか?」

 

 あの男の発言が全て事実だった場合、彼女たちは過去に問題を起こした可能性がある。あくまでも可能性だ、俺はそれなりにあれこれ調べたがパスパレが問題を起こしたという記録が何処にも無いからな…

 

「聞いたら答えてくれるだろうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳なかった!!」

 

 起きてからしばらくたち、パスパレのみんなが集まったので俺は彼女たちに頭を下げた。鎮静剤の効果で立つことが出来ずベットの上で頭を下げ謝罪している…

 

「私達も貴方に謝るわ。私達は貴方に頼り過ぎていた…ごめんなさい」

「「「「ごめんなさい…」」」」

 

 だが結局お互いに頭を下げる状況となった…

 

 

 

 

 

 

 お互いに謝り続けた後、俺たちは今の状況についての話を始めた

 

「さて…「零?」何だ?」

 

「貴方…メイクは?」

「…止めたんだ」

「「「ええっ?」」」

「どうして?」

 

「俺が顔の傷を隠していたのは、また…あれこれ言われるのが嫌だったからなんだ…」

 

 傷があると接客ができないという簡単な理由だったのにな…まさか人に言うのがここまで辛くなる程複雑なものになるとはな…

 

「でもみんなに見せたし…もう隠しても意味無いしな…」

 

 ただ傷の話をするだけなのに口が上手く動かない…腕が少し震え、視線はずっと下を向いている

 今俺が感じている感情は…多分『怖い』って事なんだろうな…

 俺は…心の何処かで『化け物だ』と言われるのが怖かったんだと今初めて意識した。

 

「今更だが…どうだ?俺の素顔は…」

 

 だがもう遅い。また…同じ事を言われる。そうに違いない…そう思った

 

 

 

「良いと思うわよ」

 

「えっ?」

 

 だが返ってきた答えは、俺の予想を遙かに超えた予想外の答えだった

 

「本気で…言ってるのか?」

「当然よ。みんなもそう思わない?」

「そうだよ!慣れれば結構良い感じだよ!」

「ジブンはちょっと慣れるのに時間が掛かりそうですが…良いと思います!」

「うんうん!るんっ♪てくるよ!零くん!」

「そうです!顔の傷は武士のクンショウです!」

 

「本当の…本当にか?」

 

 

「本当の本当よ。零、私達は貴方を信じてる。だから貴方も…私達を信じてちょうだい」

 

「なんでだ…なんでそこまで俺を信じれるんだ?」

 

「決まってるじゃない。貴方は私達の…」

 

 

 

「仲間ですもの。ね?みんな」

「「はいっ!」」「「うんっ!」」

 

「っ!!」

 

『お前は休むこと!あと仲間を信じることを覚えろ!いいな?』

 

 その言葉を聞いたとき、俺は忘れていた言葉を思い出した。俺は…1番大事なもの、仲間を信じる心を忘れていた。背中を預ける程の信用が無いのなら、自分達の命を預けるはずがない…そんな当たり前のことをさえ忘れてしまっていた

 

「本当に…申し訳なかった…」

 

「どうして?」

 

「みんなは俺を信用してくれていたのに、俺は…みんなを信用してなかったんだと思う。いや、信用してなかったんだ…俺は自分の事しか考えていなかった…」

 

「「「…」」」

 

「だから…俺じゃ…駄目だ…」

「え?」

「…俺は責任を取るべきだ」

「責任を取るって…どうするの?」

「俺は…事務所を辞める」

「「「「ええ!?」」」」

「どうして!?」

「自分の事しか考えない人間が人を束ねられる訳がないからだ」

 

「それだけじゃない、そもそも今回の責任者は俺だ。その俺が失敗したと言う事実だけがイベント関係者に伝わるに違いない。だったら俺がクビにされるのは時間の問題だ」

 

「それは零くんだけの責任じゃないでしょ!?」

 

「それでも…そうでもしなければ俺のこの感情は治まらないんだ」

 

 

 彼女たちは納得しないということは理解していた、だが俺には統率者として最低限の誇りがある。それに…金が動く仕事を受けたら責任は取らなければいけないと教わった。だったら俺のこの行動は間違っていないはずだ

 

 

「零…どうして貴方は…そんなに自分を責めるの?」

 

 

 千聖にそう問われたとき、俺はどう答えれば良いのか迷った。だが…俺は自分の言える最大限の答えを出した

 

 

「俺は…そうするべきだと教わったからだ」

「そうするって?」

「自分の言動に責任を持て、そして失敗したら自分の首を切り落としてでも責任を取れってな」

「そんなの…大げさよ…」

 

 大げさでは無い…命とはそれだけ重いもの。だから…

 

「だから俺は…こうすることしか…出来ない…」

 

 

 

「零」

「何__!?」

 

 

 下を向きながら話し続けた俺は、千聖に呼ばれて顔を上げた。だが呼ばれた瞬間、俺は横から千聖に抱き寄せられた。千聖の腕の力が強いのか、体が弱っているからなのか、抜け出そうにも体が動かない…

 

 

 

「なに…してるんだ?」

「…」

「千聖?」

 

 

 

「もう抱え込まないで」

「えっ?」

 

「貴方は十分頑張っていた。貴方の頑張りは私達が知ってるわ。だから…少しは自分を許してあげて」

 

 千聖の言葉は言い聞かせるかのようにでは無く、願いを言うかのように優しかった

 

「だが…俺は…」

「さっきも言ったけど…貴方は仲間なのよ?貴方だけが責任を感じなる必要は無いわ。貴方の責任は私達の責任でもあるの。少しは私達にも頼って」

 

 

 ここまで言われて…信じられないなんて言えるはずが無い…

 

 

「零?」

「……分かった。今度はみんなに頼ることもあるかもしれない…その時は…頼っても良いか?」

「いいわよ。いつでも…」

 

 

 千聖以外の4人も頷いてくれている…偶には…頼ることも大事なのか?いや…そうだよな…仲間を信じるんだから…それくらい、いいよな?

 

 

「千聖…」

「どうしたの?」

「少し…このままでもいいか?」

「…ええ」

 

 

 何故いつも沙綾達が俺にもたれてくるのか…今なら少し分かる。この感じ…言葉には言い表せれない良い感じがする。千聖の熱が丁度いいくらいの温かさで…落ち着く…

 

 

「眠いのかしら?」

「…ああ。悪い…」

「いいのよ。ゆっくりしても」

「…そう…させてもらう」

 

 

 この眠気は自然のものじゃないな…鎮静剤の感じだ。ドクターめ…仕込んだな?

 まぁ…そのおかげでこう出来るのだから…落ち着くからいいか。

 

 少しずつ千聖に体重を掛ける感覚を覚えながら、俺は徐々に意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…zzz」

 

「完全に…寝てしまったわね…」

 

 今になって思うのだけれど…

 私今…何をしているのだろう…

 

「…千聖ちゃん」

「…何かしら?」

 

 彩ちゃん達の方を見ると、みんな不満そうな顔をしてこっちを見ている…もしかして?

 

「なんか…もやってする…」

「よく分かりませんが…ジブンもそんな気が…」

「そうですね…レイさんが頼ってくれるようになってくれましたが…」

「なんか…ずるい気がするなー」

 

 あら?まさか…みんなも?

 

「でも…これで1人で抱え込むこともないよね?」

「きっと少しずつ、頼ってくれるようになるはずです!」

「そうですね!助け合いが1番です!」

「も〜零くんは頭固いな〜」

 

 そうではない感じね…でも気づくのは時間の問題かもしれない。現に、この人()に好意を寄せているのは私だけじゃないことは薄々気づいている。この人()のこういった悪い癖を無くすためには、私達が無くせるように手伝うべきだと思う

 

「…zzz」

 

「全く…人の気も知らないで…」

 

 ただ面倒な人ならいくらでも見てきた。でもやっぱりこの人()は他とは違う気がする。呆れながらも憎めない…何も知らない子供のような雰囲気が少しある。いつもは大人のように振る舞い、辛そうな雰囲気は一切見せた事が無いのに…こういう時は…頼ってくれるようになるかしら

 

 少しは頼るように…また1人だけ傷つかないでほしい。そう願いながら、私に持たれるこの人()をベットに寝かせて毛布をかけた

 

 

「改めて考えると零さんって不思議ですよね」

「不思議?麻弥ちゃん。どういうこと?」

「いえ…零さんの事をジブン達は何も知らないじゃないですか。でも頼れる、頼ってもいいって思えてしまうんです。そう考えると不思議じゃありませんか?」

 

 

 確かにそうね…私達は出会って数週間だというのに、何故か無意識のうちに頼ってしまっている。何故そう思えるのか、そう考えるとこの人()の才能なのか、それとも別の何かなのか…

 

 

「まぁ深く考えてもしょうがないんですけどね」

 

 

 改めてこの人()の顔を見る。一体どんな人生を歩んできたのか。それを知るときは来るのだろうか…そう思っていたときだった

 

 

 

『失礼するよ』

 

 扉が開く音と共に社長が入ってきた

 

 

『彼は…どうだ?』

 

「どうだってなんですか。この人()がどれだけ傷ついたか分かってますか?」

『分かっている』

「…だったらいいですけど」

 

『君たちに話がある、場所を変えたいのだがいいか?』

 

「「「…はい」」」

 

「はい」

 

 どうして此処で話さないのか。そう言おうと思ったけど…社長も責任を感じているのか表情が曇っていたから言わずについて行くことにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達は会議室で社長の話を聞くことになった

 

 

『話というのは…まず…』

 

 そこから先の話、ほとんどはイベントについてだった

 

 

 この前の事件があってから、イベントは中止しになった

 犯人が捕まるまで他のアイドル達は活動休止となった

 

 そして…

 

 

『最後の話は…彼についてだ』

「あの…零くんはどうなるんですか?」

『…責任は取って貰うことになる』

「「「っ!」」」

「待ってください!確かに彼にも責任はあります!でもそれは彼だけの責任では無いはずです!」

『確かにそうだ。だが彼にも責任は取って貰わないといけない』

 

「それで…彼はどうなるんですか?」

 

『…今は何も言えない。だが…()()()()()()()()()()もある』

 

「…そうですか……!?」

 

 そう聞いたとき、私の頭の中で…話が繋がった

 

「社長」

『気づいたかな?…私も薄々そうなんじゃないかと思い始めたよ…』

「ええっ?何々?千聖ちゃん何に気づいたの?」

 

「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コンコン

 

 

 私が話そうとした瞬間、部屋の外からノックの音が聞こえた

 

『おおっ!ようやく来てくれたようだ!』

 

 私達が理解できない中、社長だけは誰が来たのか分かっているようね…

 

「社長?誰が来たんですか?」

 

『説明は後でする。誰か開けてあげてくれ』

 

「じゃあジブンが」

 

 

 扉に一番近かった麻弥ちゃんが扉を開けると、そこに居たのは身長は彼よりも少し大きい1人の男性だった

 

 

 

 

『よく来てくれました!』

【いやいや。そんなにかしこまらなくても良いんじゃ?】

 

「あの…社長?この人は誰ですか?」

 

「あれ?説明してないんですか?」

『申し訳ありません…今から説明させて貰います』

 

『みんな。さっき話したとおり犯人が捕まるまで他のアイドル達は活動休止となった。だが脅威は去らないから各事務所で警備を雇うべきだという意見が多く出たんだ』

 

『そこで!私は昔のツテを辿って、最も信用できる警備を雇った。そしてそれがこの人だ!』

 

 

「…ええと…つまり?」

【まぁわかりやすく言えば…ボディーガードみたいなもの…かな?まぁそんな認識で良いよ】

 

 

 社長がそこまで信用できるのなら。と思いたいところだけど…

 

「私は信用できない」

 

「「「『ええっ!?』」」」

 

「ズバッと言うね…」

 

 

『何故だ!?』

 

「何故?社長も分かっているでしょう?彼の受けた仕打ちを!例えスタッフ達に重要な理由があったとしても!彼を見捨てたようなものでしょう!?」

 

 

 正直我慢の限界だった。これではまるで彼の代わりを見つけてきたと言われているように聞こえてしまう。彼の苦労は何だったのかと怒りを覚えてしまう…

 

『…その事は謝罪しようがない。だが!この人だけは信用できる!』

 

「…何故ですか?」

 

『この人は!_____________』

 

 

 

「「「「「ええっ!!??」」」」」

 

 

 社長の放ったその言葉は、私を納得させるほどのものだった

 

 そして同時に思った。この男なら彼が休んでいる間、彼の代わりが務まるだろうと…

 

 

「あの…その「彼」っていうのは誰なんだ?」

 

『ああ彼ですか?彼ならこの病院の病室に居ます』

 

「会ってみたいのだが…」

 

『彼の病室なら〇〇号室です』

 

「分かりました。ではまた後で」

 

 

 そして男は出て行った…

 

 

『これで…納得してもらえたかな?』

「…ええ」

 

「これで…零くんの負担を少しは減らせたよね?」

「分からないわ。でも…期待はして良いと思うわ」

 

 まさかあの男が…そんなに凄い人だったなんて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると誰も居ない。完全に眠ってしまっていたようだ…

 しまった…状況確認をするタイミングを失ってしまった…

 

 そう後悔したときだった

 

 コツコツとまた足音が聞こえる。もう面と向かって話をしてみようか「何っ!?」

 

「!?」

 

 誰が来たんだ?そう思った瞬間。ガラッ!!っという音と共に誰かが入ってきた

 

 

「……」

 

「……」

 

 静寂が部屋を包む中、目の前の男は扉を閉め鍵を掛けた

 

「どちらが先に名乗りますか?」

 

「冗談を言えるようになったのか?()()()()

 

「嫌みか」

 

「悪かったよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リーダー」

 

「…久しぶりだな。近藤」

 

 

 この時俺は盟友との再会に喜びを覚えたと同時に思った

 

 この問題…解決したも同然だと

 




ようやくオリキャラ登場です。
どうしてこの時期は忙しくなるんでしょうね!?また更新が遅れるかと思います…

そして気づけば登録者150人超えていました!
皆さんいつもありがとうございます!



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【改めて】次回のシリアスは?

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