化け物の俺は彼女たちと人間になりたい   作:ゼルクニル

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どうも皆さん遅くなりました…まぁいつものことですが…
今回は続きなのでまたシリアスです。長いです…

あと文字の色を変える機能を使ってみました。


-シリアス苦手以下略 スペース-









第43話 守れない約束

「準備は出来たのか?」

「…ああ」

 

 

 ようやくこの日が来た。散々振り回されたこの1件に終止符を打つ日がな

 

 ドームでの急なイベントにもかかわらず多くの客が来場した。俺達はそれぞれの準備を整え、後は時間が来るのを待つだけとなり…俺と近藤はステージ側で最後の準備を整えていた

 

 

「警備員は配置についたぞ。後は俺達だけだ」

「……そうか」

 

 

 昨日彼女たちの練習を見た後、社長が前回の警備を任せたスタッフと共に謝罪をしに来たのだ。深々と反省の意思を見せた彼らを「今度は無線くらい肌身離さず持つように」と注意はしたものの、それ以上のことは言わなかった。

 だがそれは…銃口や刃を向けられる事に慣れた自分達とは考え方が違う、だから言うだけ無駄だと判断しただけだったものだ。だがその言葉はスタッフ達にとって何かを変えるものだったようで…今では俺の指示に従うようになった

 

 

 しばらく手はずについて話していると、彩と千聖が他の3人より先に衣装に着替えやって来た…

 

「……彼女たちの所へ行ってこい」

「……ああ」

 

 メンタルケア…とまでは行かないだろうが気を楽にしてやることぐらい出来るはずだからな…

 

 

 

 

「どうだ?準備できたか?」

「うん…」「ええ…」

 

 明らかに表情と声が暗い…

 色々聞いては見たものの「大丈夫」と「そんなことない」の二言だけしか帰ってこない…どうすれば良いのか分からずただその会話を繰り返し続け、気づけば開演時間が近づいていた

 

 

「最後に聞くが…本当に大丈夫か?」

「うん」「ええ」

「分かった。いつも通り頑張れよ」

「……そろそろ行くぞ」

「分かりました」

 

 

 2人に最後の一言を言った後、俺は近藤と共に配置につくため彼女たちの横を通り、ステージ側から外へ出るため移動を始める…

 

 

「「待って!」」

 

 出て行く一歩手前で2人の声が聞こえたと思ったら、後ろから足音が聞こえ2人が後ろから抱きついてきた…

 

 

「待って!…行かないで……」

「お願いだよ…此処に居てよ!」

 

 

 振り払い行こうとしたがその力は強く、簡単には放してくれそうもない…

 

 

「幾ら何でもそれは無理だ。放せ」

「「嫌!」」

「何でだよ」

 

 

 そう聞くと2人の力は更に強くなる。一体どうしたのいうのだろうか…

 

 

「もう嫌なの!れい君が怪我して…また苦しむ姿を見たくないの!」

「貴方が…このまま行って帰ってこないような気がするのよ!だから行かないで!」

 

「…」

 

 

 心配されてるのか?何故だ?もう分かっているはずだ…俺はどれだけ負傷しようとすぐに元に戻る。そこまで心配する必要は無いはずだ

 

 近藤を見ると「時間が無い」とサインを送られ「少し待て」と返事をした

 

 

「2人共…それは無理だ」

「「っ!」」

 

 

 2人の力は更に強くなる…だが流石に俺も抵抗して振りほどいた

 無理矢理振りほどいたからか2人は泣き始める…

 

 そんな2人を俺は…

 

 

「すまない…2人共」

 

 そう言って俺は2人の頭を撫でて謝罪した

 

 

「だが俺は行かなければいけない」

「そんなの……」

「絶対此処に戻ってくる。約束する」

「……絶対よ?絶対帰ってきて?」

「もし怪我して帰ってきたら許さないからね?」

「それは…絶対傷ついて帰ってこれないな」

「当然だよ!」「当然よ!」

 

 

 約束だったら俺は絶対に無傷で戻ってこなければいけない

 

 そろそろ時間だ…近藤がいる出口の方を見る

 

 

「そろそろ行かないとな」

「もう…行っちゃうの?」

 

 

 撫でる俺の手から2人は放れようとしない。

 

 

「戻ってきたら幾らでも撫でてやる」

「……約束よ?」

「ああ」

 

 

 俺と2人だけの約束をした所で、他の3人も此処に来た

 3人も不安そうな表情で俺を見る。

 

 

「あくまでも交渉するだけだからそこまで心配する必要は…」

「それでも心配なんですよ!」

「大丈夫だろ…何のためにあの男がいると思ってるんだ?前みたいに俺が病院送りにならないためだろ?」

「みんなはみんなのやるべき事をするんだ。俺は俺のやるべき事をするだけだからさ」

 

 

 多少は彼女たちの気を楽にできただろうか。

 やはり分からない…どうしてここまで心配されてるのかが…

 

 だが理由を聞いている時間は無い。すぐにでも配置につかなければならないからな

 

 

「レイさん!コレをどうぞ!」

 

 イヴから手渡されたのは…木刀だ。何故木刀を所持しているのだろうか……気にしないでおこう。

 

「あの…何で木刀を渡すんだ?」

「お守りの代わりです!」

「……そうか?」

「はいっ!」

 

 

 彼女たちから少し放れ手渡された木刀を片手で縦に一度振る。ブンと風を切る音と同時に風が髪を靡かせる…

 懐かしい感覚だ…一時期は軍刀として刃物を使用していた時期があったからな

 

 持ち方を変えた後、ズボンのベルトに木刀を通し腰に差す

 

 

「零くん剣道とか習ってたの?」

「一時期教わったことはある。だが習ったというよりは独学だ」

「それじゃ。行ってくる」

 

 彼女たちに背を向け、今度こそ出口へと向かう

 

 …待てよ…マネージャーとして最後に気合いを入れてやらないとな。

 

 

「……Pastel*Palette!」

 

 彼女たちに背を向けたまま俺は彼女たちを呼ぶ

 

 

 

「俺は期待なんてしてないからな!」

 

 

 それだけを聞けばただ傷つけるだけの言葉だ。だが俺は期待をしない。理由?そんなの簡単だ

 期待とは、あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受けることであり、当てにして心待ちにすることだ。そんなのはただの押しつけでしかない。

 俺が、彼女たちが散々押し付けられたものだ…

 

 

「それは何故か!期待は重りにしかならないからな!」

 

「だから期待はしない!だが!」

 

 

 だが1つ。たった1つだけ彼女たちに対して望みがあるとしたら…

 

 

「自分たちのやりたいようにやれよ!」

 

 

 意味が分からない?ああ、俺も自分で言っていて意味が分かっていない。だが彼女たちの練習を見ていたから分かるものがある。

 彼女たちは心の何処かで濁りがある。そのような音が聞こえていた…

 それは今までの辛い記憶が何処かしらで重りとなっているからだろう。彼女たちの本来の音は輝きを放つ、CIRCLEでのイベントで聞いたあの音は間違いなく人を魅了する音だった。あの時の音をいつでも出せるようになれば彼女たち本来の実力を見せられる筈なんだ

 

 様々な思いをその一言にまとめ今度こそ出て行く

 

 

 

 

 

 

「カッコつけるな~」

「何を言っているのか分からないのだが?」

「ええっ?それくらい分かろう?」

「…気を引き締めろ」

「はいはーい」

「……ハァ」

 

 

 彼が近藤さんと出て行く時、その姿は今までで一番遠くって…大きかった

 

 2人が通っていく通路の光が付いたり消えたりする…この会場はかなり前からあるらしいから蛍光灯が古いのかもしれない。そう思いながら私達は彼らの背中を見続ける…

 

「「「……!?」」」

 

 一瞬。ほんの一瞬だった…2人の姿が違った

 彼はいつも通りの普通の私服なのに……一瞬だけ…2人とも見たことも無い服を着ていて…彼だけボロボロの上着を羽織っているように見えた…

 そう見えたのは私だけじゃなかった…みんな一瞬私と同じように見えたみたい。どうしてなのかな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺と近藤の配置はステージ側でも会場内でもない…

 

 ステージ裏の外だ

 

 

「しっかし…本当に上手くいくのか?」

「今更何を言い出すんだ」

「だってよ…こんな作戦滅多に使わなかったじゃないか」

「似たようなことなら幾らでもやっただろ?」

 

「それに…もう作戦は始まっている」

 

「は?…………ああっ!」

 

 

 暗闇の中、俺が指さした先には…咄嗟に隠れたような影がある…

 見えているから出てこいと言うと、影はその姿を現した。その影の正体は…前に見た者。恐らく元マネージャーだ

 

 

『どうして此処に居ると分かった?』

「配置がおかしいと思わなかったのか?こういうことだ」

 

 偉そうに言っているが…ただ会場内を重点的に警備を配置しただけだ。誰でも分かる簡単な配置だが効果はあったようだ

 

 

「……自首しろ」

『い、いきなりだな…』

「ああ。面倒な話は必要ないだろ」

『……引くわけには行かない』

「この男を知っているはずだ」

『近藤克典…まさか英雄まで居るとはな…』

「分かっているはずだ。勝てないことくらい」

『…ああ!分かっているさ!だが引けない!』

 

 

 元マネージャーは刃物を取り出し俺達に向ける。それだけで俺達が怯むはずがないだろう…

 

「脅しのつもりか?その割にはあんたの方が震えてるじゃないか」

 

 刃物の先はどころか全身が、生まれたての子鹿のような震え方をしている。敵対心があるのなら、叫んででも刺しに来る筈、だがこの男は動きもしない。ただ震え、ただ刃先を向けるだけ…

 しばらくすると、男は勝手に倒れ…泣き出した

 

「何故このようなことをする?」

 

『もう…こうするしか…無いんだ!』

 

「こうするしかないだぁ?何を言っ!……零?」

 

 

 

 俺は責める近藤を無視して男に近づく。握ってすらいない男の刃物を奪い取り…

 

 

「ふざけたこと抜かすなこの野郎!」

 

 胸ぐらを掴み上げ男を地面に叩きつけ、無理矢理起こし胸ぐらを掴む。

 

「こうするしかない?あいつらに刃物を向けること以外の方法がないと言いたいのか!?」

 

「腹が立つ!理由なんざどうだっていい!人に刃物向けたからには当然向けられる度胸くらいあるよな!?あるよな!?」

「零!落ち着けよ!」

「コレが落ち着いていられるか!?コイツは俺が嫌いな奴らと一緒だ!自分の責任を誰かの責任にし、自分の欲のために人を犠牲にする!」

「落ち着くんだ!いいか!ここは警察に任せるんだ!」

 

「…………あ゙あ゙っ分かった!」

 

 

 冷静さを無理矢理取り戻し、近藤の提案に乗るために乗り男を放り捨てた

 

「もっと優しくしてやれよ…」

「本気でコイツ殴りたい!」

「お前の本気で殴ったら骨折じゃすまないだろ!?」

「だったら殴らなかっただけ十分な慈悲だ!」

 

「まぁいい!腹は立つが作戦は続行!」

 

 

 苛立つが…目的を忘れてはいけない。この男に彼女たちの演奏を聞かせるのが本来の目的なのだ…後は法治国家であるこの国の法に従うべき。すなわち警察に突き出してその後は…後で考えよう

 

 あらかじめ用意していたロープで男を縛り、無線で待機させていたスタッフ数人を此処に来るよう指示する。数分待ちスタッフ達が男を連れて行く…

 

 

「この前の手中で連れて行くように!いいな?」

「「「分かりました!」」」

 

『待て!俺は何処に連れて行かれるんだ!?』

「本来ならあんたは警察直行コースだが…なあに心配するな。ちょっと寄り道してもらうだけさ」

『寄り…道?』

「さっさと連れて行けっ!お前は黙って行きやがれっ!!」

「「「は、はい!!」」」『はいっ!!』

 

 

 俺が機嫌が悪いのを理解したか、スタッフ達と男は逃げるかのように走って行った

 

 冷静になるため深く深呼吸をする。良く耐えたなと近藤に言われるが…まだ耐える必要がある

 

「この問題がコレで終わりとは思えない」

「何でだ?もう犯人は捕まえて後は…」

 

 

 確かにそうだ。犯人と思われる元マネージャーは捕まえた

 だが…全てあの男が仕組んだことなのだろうか?

 

 

「考えてみろ。俺たちに刃物を向けることすら出来ない男が、恨みを持つ彼女たちに、ましてや銃口を向け引き金を引けるだろうか?」

「無理だな。それに…こうするしかないとか言ってたよな」

 

 

 するしかない。つまり、他の方法があるがその手段しか出来ないということになる。何もかもがおかしい…

 リハーサルの日に居たあの男達はあの男が雇った、あるいは知人友人だと思っていたがそれはない事が確信できる

 理由は単純。人を平気で殺せるような人間と関わりを持てるほどの度胸は先ほどの行動で見て取れる

 

 

「だとしたら…まさか!?」

「だろうな…」

「「まだ主犯は別にいる」のか!?」

 

 

 そう言った瞬間。近藤の背後から誰かが姿を現し近藤に刃物で切りつけようとした

 

「近藤っ!」

 

 俺たちは完全に油断していた。俺は近藤を横に突き飛ばし刃物を顔に受ける。受けた刃物は顔の左側、頬から左目を通り額にかけてを深く切りつけた

 

 

「があ゙あ゙あああっ!!!」

「おい零っ!!大丈夫かっ!?」

「大…丈夫だ!失明していない!」

 

 

 咄嗟に目を閉じたのが不幸中の幸いだった。ゆっくりと目を開け周囲を確認する…顔からは血が流れ出血が止まらない。服の一部をを引きちぎり包帯代わりにして顔に巻く…

 

 辺りを見渡すと、いつの間にか集団に囲まれている…大型二輪のエンジン音が響き、統一された服を着た男達がゾロゾロと姿を現した

 

 

『仕留め損ねた!クソッタレ』

『気にすんな。1人は深手だ』

 

 

 他の音達も余裕の表情と挑発とも取れるような発言をこちらに向けて放っている…

 

 しばらくすると男達をかき分け、1人の男が姿を現す。周りの者達と明らかに違うこの男は…間違いなく集団のリーダーだ…

 

 

『あ~あ。まさかこんなに早くバレちまうとはな』

『まぁいいさ。別にバレてもあんたらを消せば問題ないからな』

 

「あの男とあんたらは…どう…繋がっているんだ?」

 

『ああ?あのひょろいのか?それがよぉ…あの男仕事で失敗したから金を貸してくれ~って泣きついて来やがってよぉ』

『それであいつに金貸したら借金だのなんだのを踏み倒されちまってよ~だからこう言ったのさ』

『その育てた奴ら、連れて来いってな。そしたらあいつ、適当な理由付けて連れてこようとしねぇんだ』

『だからチョイと色々貸してやったのよ!だがここまで来たらもう知らねぇ!俺達が直接連れて行けば良いからなぁ!』

 

 

 そう言って男達は高らかに笑い出し、男達は武器を手にこちらに向かって走ってくる。近藤が拳をみぎり締め怒りの表情を浮かべ所持していたヌンチャクを構える中…俺は頭の整理が追いつかなくなった…

 

 ……つまり。あれか?あの男は借金があって?こいつらに金を借り踏み倒し?

 

「「「「死ねぇぇっ!!」」」

「おい零!何してんだよ!」

 

 

 あいつが指示をし……ということは?

 

 

「リーダー!」

 

 

 

 

 

 どっちもただのクズじゃないか

 

 

 

「ふざけやがってえっ!!!」バキッ

 

 男達がすぐ側まで迫って来た中、俺は木刀で男達を殴り飛ばした

 

「あああああっ!!!クソッタレ!!ぶち殺してやる…ぶち殺してやるぞ雑魚共めがぁ!」

 

「ああそうだ!そうだぞ零!!こいつらは俺達にとって雑魚だ雑魚でしかない!久しぶりにこのヌンチャクでぶちのめしてやる!零に傷を付けた分てめぇらの血で償ってもらうぞ!」

 

 

 思ったことをそのまま口にし、俺と近藤はそれぞれ武器を構え全身に力を込める

 

「行くぞ近藤おぉぉっ!!!」

「ぶちのめしてやらあぁぁっ!!」

 

 

 俺も近藤も怒りが抑えきれなかった。怒りに身を任せ1人、また1人と邪魔者をなぎ倒していく。幾ら集団といえども俺達は10年近く戦場で生き、薬品で強化された人間だ。そこらのチンピラ風情が束になったところで勝てるはずもなく……いつの間にか、男達は半分近くが重傷でそこらに転がっている

 

 

『な、何だよこいつら!?馬鹿みたいに強ぇぞ!?』

『お、おいあの男…近藤ってまさか!?』

『最近話題になった英雄の1人か!?』

『それにあのガキ!デケェ黒髪の…嘘だろ!?』

『近頃噂の劇薬飲んだ集団狩りか!?』

『か、勝てる訳ねぇ!!』

 

「ゴチャゴチャと!!」バキッ

「うっせぇ!!」ブウンッ!ドゴン

 

 

『『『『『ガアアアアアッッ!!』』』』』

 

 

 

「……今ので最後か」

「いや、まだ残ってるぞ」

 

 

 大きく息を吸い込み吐く…かつての感覚を少し取り戻してしまった事を悔やみながら息を整える。近藤の目線の先には腰を抜かし後ずさりしていく男が1人…こいつらのリーダーだ

 

 

「コイツどうする?」

「…………警察、だろ…?」

「……よく言った。変わったな、零」

 

 

 正直腹は立つ。この男もあの男もどうしてやろうかと考えている

 だが俺は変わると決めたのだ。日本は法治国家、罰せる法があるなら処罰は法の番人に任せよう…

 

 

「だがまぁ…()()()させないとなぁ?」

「…いいのか?」

「何がだ?俺はただ()()させないといけないと言っただけだが?」

「……そうか」

 

 

 近藤の言葉の意味を理解した俺は、血の付いた木刀を強く握りしめ、後ずさりしていく男にゆっくり近づく。来るな来るなと言い放つ男と俺の距離は徐々に小さくなり、気づけば男の後ろは壁…完全に逃げられなくなるなったところで…俺はまた胸ぐらを掴み壁に叩きつけた

 

 

『がっ!』

 

『こ…こんなことして!タダで済むと思って!』

 

 

バゴンッ!!

 

 

「黙れ雑魚めがぁ…」

 

 

 あまりにもふざけたことを言い出す男の言葉に腹が立った俺は、男を片手で壁に押し付けながらもう片手の木刀を()()()()()()突き刺した。突き刺した後…俺は冷静に気絶させるように色々込めて言葉を放った

 

 

「俺は今すぐにでもお前をぶち殺してやっても良いんだぞ?お前のせいで約束守れなかったじゃないか…どうすんだこれ?ええ!?どう責任取るんだ!?ああっ!?」

 

「今回だけは近藤がいるから警察で勘弁してやる……いいか?次また目障りな真似してみろよ…」

 

 

 

 

「次 は ぶ ち 殺 し て や る か ら な」

 

 

 

『あ……あっ……あ……』

 

 

 トドメの一言で男は完全に戦意と気を失った…

 

 それと同時にバキバキという音を立て……木刀が崩れ落ちた……

 

 

「あああああっ!!」

「ど、どうした!?零!」

「木刀が!!」

「ああっ!お前どうすんだよコレ!?これイヴって子の物だろ!?」

「どうすればいい!?作れば良いか!?」

「材料が分からないのにどうやって作るんだよ!?」

 

 

 どう謝ろうか…そう考えていると体が徐々にふらつき始めた。顔の左側に激痛が走り出し血が再びあふれ出し止まらない

 

 そういえば俺貧血だったな…完全に忘れていた。それに2人との約束も…守れなかった

 いや…守れない約束だったのだ。こうなることはきっと無意識のうちに分かっていた。いつもそうだった…何かあると必ず誰かが傷つくのだ…それが俺になっただけ。何故なのだろうか…どうして…平和的な解決が出来ないのだろうか…

 

 倒れるのを堪えるために四つん這いになる俺。それを心配して駆け寄る近藤に血を地面に滴らせ、俺は近藤に問いかける

 

 

「近藤……俺は…血を流さないと何も出来ないのか?」

「……そんなことは」

「ぐぅっ!…」

「おい大丈夫なのか!?」

 

 

 疲労や貧血…積み重なる負担が四つん這いの体勢を崩す。素直に諦め、俺は地面に横になる…空は明るくも暗くもない色が右目に広がり、左は包帯代わりにして巻いた服が赤くなっている事しか分からない…

 

 ぼんやりとする意識の中、サイレンの音が小さく聞こえてくる…

 

 

「近藤…俺は…少し休む」

「ああ。そうしろ。お前は働き過ぎだ」

「そうか?…前もこんな感じだった」

「前は役割分担してたじゃないか。今回はお前1人が動き過ぎなんだよ」

「そうか……後。頼んだぞ…」

「任せておけと」

 

 

 そう言って俺は近藤に手を伸ばす。近藤は伸ばした手を強く握り、俺の言葉に返事をした

 その後、動けない俺を壁にもたれさせた

 

 

「後は任せてちょっとは寝ろ!いいな!」

「言われなくとも……」

「救急車いるか?」

「いらない……もう入院は勘弁だ」

「そうか」

 

 

「おおーい!こっちだ!」

 

『これは!?一体何があったのですか!?』

 

 

 この声は…音は……警察か…

 

 青い服装を着た男達が来た事を見た後、俺は目を閉じた…

 

 薄くなっていく意識の中。約束守れなかった事と木刀を破壊してしまった事をどう謝れば良いのかを考え続け、俺は意識を手放したのだった…

 

 

 続く…

 




あと少しでこの話を終わらせますかね。そろそろアンケートの内容も書いていきたいので…

次回の先に正月編を書こうか悩んでいます…どちらにするかは「笑ってはいけない」を見ながら考えます


では皆様。また来年にお会いしましょう!

【改めて】次回のシリアスは?

  • afterglow
  • ハローハッピーワールド
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