化け物の俺は彼女たちと人間になりたい   作:ゼルクニル

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今回はパスパレの回です





第3話 出会い スカウトでの1件

『うちの事務所に来てみませんか?』

 

「…はい?」

 

 

それは突然のことだった。あれから俺はメイクを練習し続け、浅い傷が見えにくいように仕上げることが出来た。やはり深く残った傷は消えないが…深いのは適当な理由を付けてはぐらかしてしまえばいい。そう思って俺は初めてマスクなしで外へ出かけた。

 

その後何事もなく散歩をしていると背後から声を掛けられた後、現在に至る。

 

「…話が見えないのですが?」

『言葉足らずでした…申し訳ありません。ここでは説明できないのでついてきてもらえませんか?』

「分かりました…」

 

ここで断ることも考えたものの、少しだけ興味が湧いたので話を聞くためついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうぞおかけになってください』

 

たどり着いたのはかなり大きめの建物。一瞬だけ見えた看板には事務所と書かれ、通路には様々なポスターが張られていたので恐らくはそういう類いの事務所だろう。

 

「それでは、説明していただけますか?」

『はい、実は…』

 

 

 

聞かされた話を要約すると、出演するはずだった役者が事故で出演不可能になったため代役が必要になった。そして身長や顔つきがそこそこ似ている俺が声を掛けられたということだった。

 

そんな理由で一般人を代役にして済ませるのは安上がりだと思うのは俺だけなのだろうか。事務所なら他の役者なり俳優を代役にすれば解決するのでは?。

 

色々と疑問に思うところはあるものの、何事も経験するべきだと前向きに考えて今回の件は受けることにした。

 

 

『よろしく頼むよ代役君!!ハイこれ台本、印がついてるところが君の役だから目を通しておいてね』

「分かりました」

『一通り目を通したら、5番スタジオに来てくれ待ってるよ』

 

 

先ず今回の撮影についての説明を監督から聞いた。台本は薄いが内容は目を通すと中々に濃かった。ジャンルは…時代劇というものらしい。詳しいことは全く分からないが、昔の日本が元となった内容で戦闘シーンがそこそこ多いらしい。ここ最近戦闘ばかりで思うところがあるももの、何も言わず監督の指示に従って動けば問題は無いはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

「それではみなさん、よろしくお願いしまーす!」

『よろしくお願いします!』

 

 

監督の挨拶と共に撮影が始まった。これが撮影スタジオなのかと思いながら見渡すと様々な機材が並び、眩しいぐらいの照明の効果なのか分からないが天井が遠く感じた。

 

 

「彼が代役をしてくれる子だ。みんな、挨拶して」

『よろしくお願いします!』

「よろしくお願いします」

 

 

スタッフや出演者が監督の下に集まり俺に挨拶してくれた。思った以上に人が多いのは撮影上当たり前なのか?目で数えるだけでも20人近くいると思うが?

 

その後、各役者から様々な指導を受けリハーサルが始まった。

 

 

『そのおなご二人をこちらに渡せ』

『そうか、それが貴様の答えか。ならば…仕方がない!』

『やってしまえー!!!』

『おおおおおぉぉっ!!!』

 

 

始まる前からロクなことにはならない、という予想が的中してしまった。どう考えても異常なほど相手の数が多かった。

 

刺客の数30人に対して俺は味方が居ない。更に後から来る2人の女性を守りながら戦わなければならない。ハッキリ言って現実味が無い。このような状況に立たされてそんなことが出来るような人物は精々俺の部隊メンバーくらいだ。

 

とは言ったものの、斬りかかる際は必ず声を上げて来るので、簡単に避けられる。代役だからと配慮してくれているので、全体を通しても激しく動くことはなかった。

 

 

『カット!代役君すごいよ君!演技の経験あるの!?』

「いえ、ただ指示通りに動いただけです」

『それじゃあおなご役の子たちが来るまで、衣装に着替えて本番まで休憩してて』

「分かりました」

 

 

用意された楽屋に来てみると、テーブルの上に衣装と狐の面が、ペットボトルの水や詰め合わせの菓子が入れられた大皿と共に置かれていた。

 

『まずは着替えよう……さすがにサイズは良い感じだな。あとは…狐のお面?顔を隠すっていってたがこれを付けるのか?』

 

 

 

(……何か変な感じの衣装だが、この模造刀とお面は気に入った。コレ貰えないかな?)

 

コンコン『そろそろ本番です』

 

「はい!今行きます」

(撮影終わったら聞いてみよう)

 

 

 

 

 

“スタジオ”

 

「お待たせしました」

『代役君も来たね、これで全員揃ったかな?それじゃ2人とも挨拶してください』

ディレクターが合図すると2人のおなご役の子が自己紹介をはじめた

「おはようございます、Pastel*Paletteの白鷺千聖です本日はよろしくお願いします」

「同じく、若宮イヴです!よろしくお願いします!」

『『『『よろしくお願いします!!』』』』

 

こうして本番が始まった

 

出番まで待機中の俺の元に金髪の子がやってきた

「君は…確か千聖さんですよね?よろしくお願いします」

(俺はお面をかぶったままで挨拶した)

「こちらこそ、本日はよろしくお願いしますね。」

「…それにしても」

「なんですか?」

「代役とは思えないほどの動きですね」

「そうですか?まぁ運動は人より出来るので」

「そうですか…俳優になる気はないんですか?」

「うぅ~ん…自分はあまり目立ちたくないので…あまり気乗りしませんね。今回だって顔を隠せるから引き受けただけです」

「そうですか…残念です。あなたとなら良い演技が出来ると思ったので」

『お二人とも、準備してくださーい』

「呼ばれましたね、それじゃいきましょう」

「ええ」

 

“本番中”

『そのおなご二人をこちらに渡せ』

「……」

『そうか、それが貴様の答えか。ならば…仕方がない!!』

(これ、いくら何でも…)

『やってしまえー!!!』

『『『『おおおおおおおおおぉぉっ!!!!!』』』』

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『はいカット!!お疲れ様!!』

また30人相手にして撮影が終了した…

 

「ふぅ、やっと終わった」

「お疲れ様です代役さん」

「本当にすごいです!!まさに宮本武蔵のようでした!!」

 

「2人もお疲れs『ガンッ』っ!?」

撮影が終わり盛り上がっていたスタジオの空気が、謎の音によって一瞬で静まりかえる……

 

 

『なっ、何の音だ!?』

ディレクターもスタッフ全員も騒ぎ出す

 

「なにか変な音がしたわよね?」

「なっ何でしょう…」

(なんだろう……なんだか嫌な予感がする……)

 

その予感は的中した!!

 

 

 

 

『にげろぉぉぉ!!!』

『ガシャーン!!!!』

 

すべてが一瞬だった

誰かが叫んだ瞬間、目の前に居たスタッフたちにスタジオの照明が落ちてスタッフが下敷きとなった!!!!

現場はパニックとなってしまった

 

「落ち着け!!動ける奴は救急車呼んで人を集めろっ!」

『『『『『はっはい!』』』』

冷静に指示を出した俺だったが、さらなる悲劇が起きた

 

『危ないっ!』

「っ!」

 

俺たちの頭の上にあった照明も落下してきた

 

「2人とも!」

「「えっ?」」

『ガシャーン!』

「代役さん!」

「あなた!!大丈夫なの!?」

 

俺は落ちる瞬間2人を突き飛ばし、俺は照明を支える体勢になった

 

「俺は大丈夫だ。人は!?」

「私たちはともかく、あなたはどこが無事なのよ!!」

「そうです!!その体勢じゃ潰されてしまいます!!」

 

俺は今、片方の膝をつき模造刀を使い両手で照明を支えている状態だ

 

「2人とも!!2人も人を集めてきて!!!急いでっ!!!!」

「分かったわっ!!!」

「分かりましたっ!!!」

そう言って2人は他のスタッフたちと一緒にスタジオから出て行った…

 

 

ふんっ!!」ガシャン!!

さすがに無傷ではすまなかったが、頭っを打っただけなので自力で脱出出来た。

 

「意外と重かったな…誰も居ないのが不幸中の幸いだな…」

普通1人くらいここに残るだろ…本当にパニック状態だったのか…

 

さ、手遅れになる前にこの人たちを助けないとな

 

「次はコレだな……ふんっ!」バコォン

 

スタッフは気絶してるが全員無事だな良かった良かったが…

 

「…この状態を見られたら非常にまずい」

 

こうして、俺は荷物を持ってスタジオから姿を消した………

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

“千聖サイド”

 

「ここですっ!!」扉バン

 

「っ!?嘘!?」

 

私が人を集めて戻ると、あの人の姿は無かった…

 

「どうなってるの?…」

「千聖さん!!」

「イヴちゃん…」

『これは!!すぐに救急車に運びます!!皆さん手伝ってください!!』

「千聖さん!!代役さんはどこに行ったんですか?」

「分からないわ…」

(彼が支えていた照明があんなところにあって、スタッフ達に落ちた照明もこんなところにある…一体何が?)

 

「千聖さん!あれを見てみましょう」

「あれって…?撮影用のカメラ…!まだ動いているってことは!」

「代役さんがどこに行ったかも分かるかもしれません!!」

「早速見てみましょう」

 

 

【誰も居ないのが不幸中の幸いだな…】

 

【次はコレだな……ふんっ!】バコォン

 

衝撃的な映像だった…

 

「嘘…コレ全部彼がどけたって事?」

「すっ、すごすぎます…」

「…コレは消してしまいましょう」

「そうですね、代役さんの為にも」

 

【削除しました】ピッ

 

『お二人とも!!』

「ディレクターさん!!」

「どうかしました?」

『彼は?代役君は?』

「それg『皆さん!!!』どうしました?」

『彼の楽屋に置き手紙が!!!』

「「「「えぇっ!!」」」」

『コレです!!』

 

 

「皆様へ  自力で脱出できたので帰らせて頂きます。

 PS・給料の代わりに衣装を貰っていきます

 PSのPS・いくらパニックになっていたとしても一人くらいその場に残っておきましょう 

                                    代役より」

 

 

『なんてこった…我々は、彼に謝罪どころか感謝も告げられないのか…』

「代役さん…でも、また会えますよね?」

「分からないわ…」

「でもこの事務所の人なんですよね?」

「そうよね、そのうち会えr『申し訳ありません!』…どうしました?アシスタントさん?」

『それが…彼は私がスカウトした一般人で…名前も分からず…』

「そんな!!じゃあもう会えないんですか!?」

 

(こんな…こんな別れ方…納得いかないわ!!せめて名前でも分かっていれば…)

「お礼くらい…」

 

 

この場にいる全員が後悔した。パニックになっていたとしても、彼を見殺しにしかけたのだから

 

この場にいる全員が感謝した。彼がいなければ死んでいたかもしれない人がいたから

 

でも、彼にはもう会えない…誰もがそう思った

 

 

『あの~ディレクターさん?』

「あなたは受付の…どうしました?」

『これを返してきてほしいという人がいたんですが…』

「これは!!彼の台本じゃ無いか!!」

「「「「!!」」」」

『ではこれで…「待ってください!!」はい?』

「その人の名前を知りたいのですが!!」

『名前たしか…【自分の名前は「零」です】っていってましたよ。では…』

「ありがとうございます。…【零】ね」

「レイさんですか…」

『零君か…』

 

【零】それが私たちを助けた彼の名前…この名前をここに居る全員が忘れないでしょうね…

 

(零…私は忘れないわよ。あなたにもう一度出会うまで…)

 

 

 

 

 

 

【改めて】次回のシリアスは?

  • afterglow
  • ハローハッピーワールド
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