今回…読み応えないかもしれません…まぁ今回はアンケートをとっているという報告がてらのものですからね…
第47話 新たな試み
パスパレの一件を終え、俺が退院してから数週間が経った
あの一件の後…俺は数回に分け、パスパレ以外のバンドの者達に今の顔を見せた。結果、無理をし過ぎだと怒る者も居れば、今の顔の方が良いという者などの様々な反応が返ってきた。Roseliaの面々に関しては、長々と説教を喰らったが…
退院後の最初の頃、学校生活は楽では無かった…
そもそも俺は、羽丘女子学園が共学化する為の試験入学者である為、長期にわたる欠席は即退学処分と見なされると思っていた。だが学園長はパスパレの一件、俺が手術したという件については警察や日菜と麻弥から聞いていたらしく…俺は反省文と厳重注意だけで処罰を真逃れた。
だが…バンドメンバーはともかく、関わりの無い他の女子生徒達からは…傷跡アリの顔はあまり良い印象では無かったようだ。最近は気にならなくなったのか、入学当初の雰囲気に戻ったがな
音楽面に関しては、ただひたすらに練習を続けた。彼女たちも協力してくれた結果、何とか彼女たちの技術に追いつくことは出来たが……ブランクは大きく、まだまだという状態。
請け負っていたマネージャーの仕事については…マネージャーと言うよりはサポーターの方が良いという意見もあり、今やマネージャーと名乗るサポーター。呼び方を変える必要は無いので今後もマネージャーで良いそうだが…仕事に関しては大して変わることも無い
そのようなことを繰り返し。未だに俺のクラスは決まらず、A組とB組を行き来している…
「そろそろ決めても良いのではないだろうか…」
「なんの話?」
「俺のクラスの話だ」
スマホを片手に調べ物をし、卓上のノートに筆を走らせながらふと呟いた小さな愚痴について質問をしてきた蘭に対し俺は顔を見ずに答えた。スマホの画面に集中していると横からスマホを持つ手まで影が伸びてきた。何なのだろうかと影を目線で辿ると何をしているのか気になったのか、蘭が俺のノートを覗き込んでいた
「さっきからなにしてるの? ……フルーツタルトのレシピ? なんでそんなの調べてるの?」
「仕事だ」
「仕事って…カフェテリアの?」
「ああ。こういう時しか調べる暇が無いからな」
現時点で俺はロビーやステージの掃除、機材の配備や修理、カフェテリアといったCIRCLEのバイトほぼ全てを請け負っている。今まで叩き込まれた知識の中には、車両や精密機械の整備や調理等も含まれていたので…今はその技術を生かしているのだ
「今メニューにあるので良くない?」
「カロリーが高い、と文句を言ってきた客がいるからな…」
「……もしかして」
「ああ。多分合っていると思うぞ…」
「蘭ー! 零ー! お昼行こう!」
「「来た…」」
今此処で仕事をする原因となった一言を発した人物について想像していると、教室のドアから顔を出したひまりを見た瞬間、2人揃って呆れ顔でそう呟いた
「…なんで2人してそんな顔で私のこと見るの?」
「丁度いい。今からその話をしようではないか…」
「…あまりいじめないでよ?」
「善処する」
「え? なになに…なんの話をしてるの…?」
会話の意味を理解できず困惑しているひまりをよそに、俺と蘭は荷物をカバンにまとめ教室を出た。質問に対して答えなかった俺と蘭に怒りながらついてくるひまりと共に屋上に向かう。屋上の扉を開けると、一足先に巴とモカが昼食を広げていた。どうやらつぐみは生徒会の仕事で呼び出しを受けたそうで、先に集まって食べることにしたそうだ。
4人の昼食に混ぜてもらい昼食であるサンドウィッチを食した後に、俺は先程までの話をひまりに話た。
「結論、これ以上フルーツタルトのカロリーを減らすのは無理だな」
「ええ〜!? そんな〜…」
「こっちは商売、費用はかけられない。大体…あれでもかなり減らしたんだぞ…」
「あと…もうちょっとだけ…出来ない?」
「出来なくは無いが値上げすることになるぞ?」
「うっ…ガマンします…」
ただただ我儘を言われているだけだが、なんだかんだ言いながらもこういう時間を欲している自分がいる。何と言えば良いのか分からないが…気が楽になる、そういう感じなのだ。俺は未だに気を抜けず、楽しいという感覚も分からず笑顔も出来ない。それでもこういう時間を過ごしていけば徐々に変わっていけると思っているから…この時間を欲しているのだろう…
「ひーちゃん。ドンマイ」
「店員としては有り難い話だが…個人的に言わせてもらえば、食べ過ぎだろ」
「ひどい! そんなことないもん!」
「いや…食べ過ぎだと思うぞ…」
「巴まで!?」
毎度の事ながらひまりは今日もからかわれている。そしてそれを笑うモカと苦笑いの蘭と巴。いつかは俺も、最低でも苦笑いくらいは出来るようになりたいと思いながら水を飲み込み、口の中に残っていたサンドウィッチの感覚を胃の中に流し込んだ。
「そういえば…最近零の表情が…少しだけ柔らかくなった気がする」
「いきなりだな…だが…そうか?」
「確かに!」
「言われてみればそうだな!」
「そうだねー」
多少は変わってきていると評価されるのはとても良いことだ。徐々に変わってきているという事実は自分では分からないものだからな…。今後もこの調子で過ごしていけば感情表現が出来るようになる日もそう遠くは無いだろう。
「でもー。まだまだ固いよー?」
「これでも変わろうとはしているのだがな。まだまだか…」
「そういうモカは緩すぎ」
「だな。モカと零の真ん中ぐらいが丁度良いんじゃないか?」
「もー。蘭もトモちんもひどいよ~」
巴は冗談本意で言ったのかもしれないが、その意見には一理ある。確かにモカは緩すぎるとは思うが…固すぎるよりは好印象だろうからな。俺の今の感じをモカと組み合わせれば俗に言う『プラマイ0』というものなのではないだろうかと俺は思うのだが…どうなんだろうか?
そんな小さな疑問を抱きながら続ける昼食の時間は瞬く間に過ぎていった…
時はあっという間に過ぎ…気づけば放課後となり、皆が帰って行った教室で俺は一人仕事を続けていた。一通りの資料をまとめ終わり、机の上に並べていたノートをカバンに放り込み下校の準備を済ませすぐに下校しようと教室を出た時だ。
「零?」
「友希那? 何故此処に?」
廊下に出るとカバンを持った友希那が居た。何故居るのかを聞くと個人練習の為にCIRCLEを利用できるかを聞くために俺の教室に探しに来たようだ、俺はカバンから手帳を取り出し今日の予約を確認すると今日はほとんど無いので友希那の予約を入れた。俺もCIRCLEで仕事があるので友希那と共にCIRCLEに向かうことにした。
「……最近はどう?」
特に何か話すことも無く…夕日で赤く照らされた道を無言で歩き続けていた中、友希那の質問がぼんやりとしていた意識をハッキリさせた。
「どう、とは?」
「最近、貴方の噂を聞くのよ…」
噂には
「仕方が無いこと、俺はそれで終わりにしている」
「貴方は…それでいいの?」
「あぁ」
知らない事実をいちいち説明されたところで『そうなんだ』の一言で終わるものだからな。それに、噂がどうだろうと接してくれる者も居るという事実がある。それだけで…俺は十分だ…
「零。貴方は私達の仲間、それだけは忘れないで」
「……あぁ」
こういった場合どの様な返事が正しいのかが分からず、一言でまとめる事しかできない。その後はたわいもない話を続け、丁度のタイミングでCIRCLEに着いた後、友希那とは仕事の都合で別れた。と言っても地下のステージについての仕事するだけなのだがな。
スタッフルームで制服からスタッフ用のTシャツに着替え、モップでの床掃除、照明の掃除と点検、機材の音量調整、そしてステージ上にあるスピーカーの整備などの地下ステージでの仕事を始めた。
仕事に関してはただ黙々と続けただけなので特に話す事もない。機材の話をしたところで飽きるだろうからな…
だが此処では、働く者にとっての特権がある…それはステージでの楽器調整の為の模擬演奏。分かりやすく言えば、ステージ上で演奏が出来るということだ。ここはスタジオではなくステージなので誰も練習には来ない、時間の許す限り
ドラムの調整と称した個人練習を続けていた中、観客側から見て真ん中に置かれているマイクに目が入った。特に気になった訳でもなくただ見てしまっただけだったが…一つ疑問が浮かんだ
「俺の歌唱力は…どうなのだろうか」
確かに以前、彩達の前で洋楽を歌ったことはあるが、今の俺には日本語の曲のレパートリーが少な過ぎる。彼女たちの曲をカバーするには声が低いので今の俺には実質不可能に近い…だが折角の機会なので練習はしたい…
どうしたものか、と悩みながら機材以外の置かれたものを片付けようとしていた時、ステージ端に置かれたCDプレーヤーを持ち上げた時だった。プレーヤーの下には一枚の紙が敷かれていたので拾い上げると、紙には曲のタイトル『Missing you』と歌詞のみが書かれた楽譜だった
「(他に候補がある訳でもない…)」
音源を一度流し音源のみであることを確認した後、CDプレーヤーをスピーカーに繋げてマイクと共に電源を入れた。無音のステージにマイクが拾う小さな雑音が響く中、歌詞を一通り覚え、マイクを少し強く握り…精神が整ったタイミングで曲を流した
「
「
「
「
今の俺は、順調とも音程が合っているとも思えない…
だが歌詞を読んだ時…無性に”この曲を歌いたい"と思えた。ただの偶然でしかない、にも関わらずそう思えたのだ。
マイクを握る手が無意識のうちに強くなり、声が徐々に大きく、曲に合わせて高い声が出るようになっている…。
練習などではなく…今はこの感覚に身を任せたいと思えた。溜まっていた毒素が崩落したダムの水のように激しく身体の外へと出て行くような高揚感。
目を閉じると更に高揚感は増し、身体は曲に合わせて無意識に激しく動く
「
「
「
「
歌い終わると同時に激しく響いたこの空間は静寂へと戻った。目を閉じたまま一度深呼吸をすると、一滴の汗が額を流れ落ちる感覚がした…何故だろうか……何もかもが清々しく感じられる。
歌い終わったにもかかわらず高揚感が収まらない…とても晴れ晴れとした気分だ。
これで練習、そして仕事は終わりにするべき。そう思い目を開くと……
「…」
「居たのなら声くらい掛けてください…まりなさん」
驚きを隠せない表情のまま棒立ちし、こちらを見るまりなさんの姿があった。流石にここまで
「凄かったよ零くん! いつの間にそんなに歌えるようになったの!?」
「いや…今初めて歌ったのですが…。ここに置いてあった曲を借りただけなので…」
今初めて歌詞を見て歌った曲、それに練習で歌っただけ…恐らく音程はかなり外れていただろう…。とても褒められたような、況してや人に聞かせられるようなものでは無かったはずだというのにもかかわらず…まりなさんはかなりの高評価をした。きりの良いところで話を区切り、ステージ上の機材や楽器を片付け終えると、まりなさんは唸り考えるような表情を浮かべ…すぐに何かを思いついたような表情に切り替えると、少し興奮気味に口を開いた。
「ねえ零くん! バンドとか組まない!?」
「……はい?」
バンドを組むかと聞かれても……俺は既に5バンドのマネージャー(サポーター)として活動している。流石にこれ以上はいかがなものかと思うのだが…バンドか……そもそも組む相手が居ない時点でどうしようもない。この店CIRCLEにはバンドメンバーを募集するための掲示板が置かれているがメインはガールズバンドであるため、男性と組んでくれる人がいるのだろうか…
「とりあえず掲示板に募集のチラシを貼るだけでもどう?」
「……貼るだけなら」
色々と考えたが…今の俺は何処まで通用するのかが知れる、上手くいけば交友関係が広がる、バンドとしての合同練習で得られる経験値の違い、彼女たちに追いつくいや追い越す程の実力を付けられる等の良い点が多くある…これは良い機会だと思った。兎に角、今は掲示板に募集のチラシを貼るだけだ。そこで集まればよし、集まらなければその際に考えれば良いだろう…
バンドを組むかどうかはともかく…ステージで歌ってみようという試みは、バンドを組んでみようかという新たな試みへのキッカケとなった…
☆10 フレイド さん
☆9 kirito2022 にゃあ@猫娘症候群 kenta1017 葛宇賀蘆伊都 さん
評価ありがとうございました。
そして、またアンケートしてます。内容は見ていただいた通りです。
初期の話を書き直す事は決まってはいますが…【書き直した話と、新しく書く話】のどちらが先に読みたいかのアンケートになります。
尚、結局全部書くので早く読みたい方を選んでいただければ幸いです。
集計の結果、Roseliaが多かった場合…次回はRoseliaの再投稿から始まります。
afterglowかハロハピの場合は数話だけ間隔を空けます。
それではまた、気長にお待ちください…
【改めて】次回のシリアスは?
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afterglow
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ハローハッピーワールド