ありふれちゃいけない職業で世界最強 作:キャッチ&リリース
ハジメがメンバー内(チート3人組)の中で最弱であることが判ってから幾分だった。
途中でエセアルラウネという植物系の魔物に襲われたが、香織を操り人質に取ったが故に総司が問答無用で切り裂き、事なきを得た。それと同時にユエも操られたが、香織と共に虐殺した。その隣でもハジメが同じような事をして、アヴローラが不機嫌になっていた。そのあとは総司はユエに、ハジメはアヴローラに血を吸わせて失った魔力や気力を回復した。
そして遂に、次の階層で総司達が最初にいた階層から百階目になるところまで来た。その一歩手前の階層でハジメは装備の確認と補充にあたっていた。相変わらずアヴローラは飽きもせずにハジメの作業を見つめている。というよりも、どちらかというと作業をするハジメを見るのが好きなようだ。今も、ハジメのすぐ隣で手元とハジメを交互に見ながらまったりとしている。その表情は迷宮には似つかわしくない緩んだものだ。
「よし、完成だ!」
そのすぐ近くでは、何やら杖らしきアーティファクト?を作り終わった総司と、その作業をうっとりしながら見て、時折火花を散らせ合わせていた香織とユエがいた。
「綺麗な杖だねぇ………」
「………ん…………綺麗……」
香織とユエは共に感嘆の声をあげ、目を輝かせた。………それ程までに美しいものなのだろう、香織は目を輝かせながらうっとりとして、ユエはまじまじと見つめていた。
「香織は武器がないだろ?だから作っておいた」
「ありがとう総ちゃん!」
「お気に召してくれましたかな?お嬢様」
「うん!」
香織は渡された両手杖を大事に抱え込みながら、目を潤ませてお礼を言った。総司は記念日など関係なく度々プレゼント等を渡していたが、毎回この様にお礼を言ってくれる為、とても心が穏やかになっているらしい。
「むぅ………私も………何か欲しい」
「えっ?そう言われてもなあ……、あっ!そうだ、もしも魔法を撃てるだけの魔力が無かった時の為に、これをやる」
「?……これは?」
総司が渡したのはガ○ダムシリーズに出てくる某マグナム銃だった。何とも危なっかしいものを渡しているが、これもユエを守る為であり、かつ全員の生存確率が大幅に上げる為のものでもあった。
「それは[ビームマグナムライフル]と言ってな、カートリッジ……あー、エネルギーの元である魔結晶を使って撃つんだ。魔結晶が無くなったら言ってくれ、作って渡すから」
「ふふ………ありがと、総司」
ユエは花が咲いた様な笑顔を浮かべながらお礼を言って総司に抱きついた。
「あぁ!ずるいユエちゃん!私も〜!」
「いやちょっと待てや、そろそろ支度も終わったんだから早く出発するぞ」
「うん……」「ん……」
このままでは、埒があかないと思った総司は香織とユエを引き剥がし、顔を見ない様にしてハジメの元へ向かった。
顔を見なかったのは、見てしまうと引き剥がせなくなるからである。
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ハジメには悩み事があった。それはアヴローラのことである。
アヴローラと出会ってからどれくらい日数が経ったのか時間感覚がないためわからないが、最近、アヴローラはよくこういうまったり顔というか安らぎ顔を見せる。露骨に甘えてくるようにもなった。
特に拠点で休んでいる時には必ず密着している。横になれば添い寝の如く腕に抱きつくし、座っていれば背中から抱きつく。吸血させるときは正面から抱き合う形になるのだが、終わった後も中々離れようとしない。ハジメの胸元に顔をグリグリと擦りつけ満足げな表情でくつろぐのだ。
ハジメも男である。アヴローラの外見が十二、三歳なので微笑ましさが先行し簡単に欲情したりはしないが、実際は遥に年上。その片鱗を時々見せると随分と妖艶になるのは困ったものである。未だ迷宮内である以上、常に緊張感をもっていることから耐えてはいるが、地上に出て気が抜けた後、アヴローラの大人モードで迫られたら理性がもつ自信はあまりなかった。もたせる意味もないかもしれないが……。
ハジメは考える事を止め、次の階層に向かう為に総司達と合流するした。
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「総司……いつもより慎重……」
「うん? ああ、次で百階だからな。もしかしたら何かあるかもしれないと思ってな。一般に認識されている上の迷宮も百階だと言われていたから……まぁ念のためだ」
総司達が最初にいた階層から八十階を超えた時点で、ここが地上で認識されている通常の【オルクス大迷宮】である可能性は消えた。奈落に落ちた時の感覚と、各階層を踏破してきた感覚からいえば、通常の迷宮の遥かに地下であるのは確実だ。
ハジメはメンバー内で特に能力が低い為、技能を磨き上げる事を重視ていた。そして、銃技、体術、固有魔法、兵器、そして錬成。いずれも相当磨きをかけたという自負がハジメにはあった。そうそう、簡単にやられはしないだろう。しかし、そのような実力とは関係なくあっさり致命傷を与えてくるのが迷宮の怖いところである。
故に、出来る時に出来る限りの準備をしておく。ちなみに今の総司達のステータスはこうだ。
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朝田総司 (アーサー・ペンドラゴン) 17歳 男 レベル???
天職:騎士王(英雄王)
筋力:Error
体力:Error
耐性:Error
敏捷:Error
魔力:Error
魔耐:Error
技能:全属性適正・回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剛力・神速・鉄壁・創造[+無限の剣製]・剣技[+魔法剣][+強化][+記憶解放]・剣術[+飛天御剣流][+無明三段突き][+秘剣・燕返し]・槍術[+刺し穿つ槍]・弓術[+精密射撃][+精密狙撃][+精密速射][+インドラの矢]・縮地[+爆縮地][+瞬歩]・先読・高速魔力回復・気配感知[+超感覚]・魔力感知[+聖霊の眼]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+魔力放出][+性質変化][+形態変化][+魔力闘衣]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・覇気[+見聞色の覇気][+未来視][+武装色の覇気][+覇王色の覇気]・神威[+神威解放]・技能模倣[+完全模倣][+完全掌握]・魔眼[+千里眼]・写輪眼[+万華鏡写輪眼][+永遠の万華鏡写輪眼]・宝具[+真名解放][+約束された勝利の剣][+天地乖離す開闢の星][+王の財宝][+全て遠き理想郷]・鉱物創造[+オリハルコン創造][+ヒヒイロカネ創造][+星の結晶創造]・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・鑑定・言語理解
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白崎香織(アルトリア・ペンドラゴン) 17歳 女 レベル37
天職:騎士王妃(治癒師)
筋力:27502
体力:21530
耐性:25965
敏捷:28432
魔力:395561
魔耐:123452
技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・全属性適正[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]・高速魔力回復[+瞑想]・複合魔法・言語理解
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:76
天職:錬成師
筋力:1980
体力:2090
耐性:2070
敏捷:2450
魔力:1780
魔耐:1780
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解
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ハジメのステータスは、初めての魔物を喰えば上昇し続けているが、固有魔法はそれほど増えなくなった。主級の魔物なら取得することもあるが、その階層の通常の魔物ではもう増えないようだ。魔物同士が喰い合っても相手の固有魔法を簒奪しないのと同様に、ステータスが上がって肉体の変質が進むごとに習得し難くなっているのかもしれない。
しばらくして、全ての準備を終えた総司達は、階下へと続く階段へと向かった。
その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。柱の一本一本が直径5メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは30メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。
総司達が、しばしその光景に見惚れつつ足を踏み入れる。すると、全ての柱が淡く輝き始めた。ハッと我を取り戻し警戒する総司達。柱は総司達を起点に奥の方へ順次輝いていく。
総司達はしばらく警戒していたが特に何も起こらないので先へ進むことにした。感知系の技能をフル活用しながら歩みを進める。200メートルも進んだ頃、前方に行き止まりを見つけた。いや、行き止まりではなく、それは巨大な扉だ。全長10メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。
「……これはまた凄いな。もしかして……」
「……反逆者の住処?」
いかにもラスボスの部屋といった感じだ。実際、感知系技能には反応がなくとも総司の本能が警鐘を鳴らしていた。この先はマズイと。それは、ハジメ達も感じているのか、うっすらと額に汗をかいている。
「ハッ、だったら最高じゃねぇか。ようやくゴールにたどり着いたってことだろ?」
ハジメは本能を無視して不敵な笑みを浮かべる。たとえ何が待ち受けていようとやるしかないのだ。
「そうだな………さっさと終わらせるぞ」
総司も同意し、全神経を集中させた。
「……んっ!」「我、頑張る」
ユエとアヴローラも覚悟を決めた表情で扉を睨みつける。
「ふふっ」
香織は、意味深な笑みを浮かべながら扉の前に立った。
そして、5人揃って扉の前に行こうと最後の柱の間を越えた。
その瞬間、扉と総司達の間30メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。
総司は、その魔法陣に見覚えがあった。忘れようもない、あの日、総司達が奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地に追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径10メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は3倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。
「おいおい、なんだこの大きさは? マジでラスボスかよ」
「……………………」
「……大丈夫……私達、負けない……」
「第四真祖の名にかけて、必ず、倒す………」
「必ず倒そうね、総ちゃん」
ハジメが流石に引きつった笑みを浮かべるが、アヴローラは決然とした表情を崩さずハジメの腕をギュッと掴んだ。
総司はユエ達の言葉に「そうだな」と頷き、苦笑いを浮かべながら魔法陣を睨みつける。どうやらこの魔法陣から出てくる化物を倒さないと先へは進めないらしい。
魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにする総司達。光が収まった時、そこに現れたのは……
体長30メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
不思議な音色の絶叫をあげながら6対の眼光が総司達を射貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気が総司達に叩きつけられた。
同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。それはもう炎の壁というに相応しい規模である。
しかし………。
「《約束された勝利の剣》!!」
この一振りでヒュドラごと切り裂き、そのままヒュドラの息の根を止めてしまった。
それと同時にヒュドラの陰に隠れていたもう一体の魔物、イフリートが総司に向かって攻撃を仕掛けた。
しかしそれは、何処からか現れた障壁に阻まれた。
「……総司は………やらせない!行って……コクートス!」
ユエが放ったその魔法は、青白い氷でできた竜であった。その竜がイフリートを飲み込み、暴虐的なまでの灼熱地獄を心まで凍えさせる極寒地獄へと変えた。
イフリートは氷の竜に飲み込まれ、そのまま砕け散った。
然し、それだけでは終わらず新たな魔物が姿を現した。その魔物は天使や悪魔、堕天使等が戦争をしていた世界にいた、否、この際だから言ってしまうと『ハイス○ールD×D』に登場している、邪竜[クロウ・クルワッハ]であった。
無論、そのものというわけではない。喋りはしないし知能も他の魔物と大差ないような紛い物だ。だが、紛い物であったとしてもその強さは規格外であり、そうあっさりと倒せるような魔物ではない………………筈だった。
「邪魔………ジャガーノート・スフィア!」
ユエがたったの一撃で仕留めてしまったのだ。ここに来て覚醒したユエは圧倒的な力を得て、総司達に近づいたのだ。
「………大丈夫?……」
「ああ、何とかな」
こうして、真のオルクス大迷宮の最奥で始まったボスラッシュは終わりを迎えた。
清水くんは助ける?
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助ける
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助けない
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寧ろ最凶化
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ラーメン食べたい