ありふれちゃいけない職業で世界最強   作:キャッチ&リリース

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い、14000文字以上も………筆が進んだとはいえやり過ぎた。


第10話旅立ちの日、真の歴史を知りし者達

魔法陣が淡く輝き、部屋を神秘的な光で満たす。

 

中央に立つ総司達の眼前に立つ青年は、よく見れば後ろの骸と同じローブを着ていた。

 

「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」

 

話し始めた彼はオスカー・オルクスというらしい。【オルクス大迷宮】の創造者のようだ。驚きながら彼の話を聞く。

 

「ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを」

 

そうして始まったオスカーの話は、総司達が聖教教会で教わった歴史やユエに聞かされた反逆者の話とは大きく異なった驚愕すべきものだった。

 

それは狂った神とその子孫達の戦いの物語。

 

神代の少し後の時代、世界は争いで満たされていた。人間と魔人、様々な亜人達が絶えず戦争を続けていた。争う理由は様々だ。領土拡大、種族的価値観、支配欲、他にも色々あるが、その一番は''神敵,,だから。今よりずっと種族も国も細かく分かれていた時代、それぞれの種族、国がそれぞれに神を祭っていた。その神からの神託で人々は争い続けていたのだ。

 

だが、そんな何百年と続く争いに終止符を討たんとする者達が現れた。それが当時、''解放者,,と呼ばれた集団である。

 

彼らには共通する繋がりがあった。それは全員が神代から続く神々の直系の子孫であったということだ。そのためか''解放者,,のリーダーは、ある時偶然にも神々の真意を知ってしまった。何と神々は、人々を駒に遊戯のつもりで戦争を促していたのだ。''解放者,,のリーダーは、神々が裏で人々を巧みに操り戦争へと駆り立てていることに耐えられなくなり志を同じくするものを集めたのだ。

 

彼等は、''神域,,と呼ばれる神々がいると言われている場所を突き止めた。''解放者,,のメンバーでも先祖返りと言われる強力な力を持った七人を中心に、彼等は神々に戦いを挑んだ。

 

しかし、その目論見は戦う前に破綻してしまう。何と、神は人々を巧みに操り、''解放者,,達を世界に破滅をもたらそうとする神敵であると認識させて人々自身に相手をさせたのである。その過程にも紆余曲折はあったのだが、結局、守るべき人々に力を振るう訳にもいかず、神の恩恵も忘れて世界を滅ぼさんと神に仇なした''反逆者,,のレッテルを貼られ''解放者,,達は討たれていった。

 

最後まで残ったのは中心の七人だけだった。世界を敵に回し、彼等は、もはや自分達では神を討つことはできないと判断した。そして、バラバラに大陸の果てに迷宮を創り潜伏することにしたのだ。試練を用意し、それを突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って。

 

長い話が終わり、オスカーは穏やかに微笑む。

 

「君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。……君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」

 

そう話を締めくくり、オスカーの記録映像はスっと消えた。同時に、総司とハジメの脳裏に何かが侵入してくる。ズキズキと痛むが、それがとある魔法を刷り込んでいたためと理解できたので大人しく耐えた。

 

やがて、痛みも収まり魔法陣の光も収まる。総司達はゆっくり息を吐いた。

 

「ハジメ……大丈夫?」

「ああ、平気だ……にしても、何かどえらいこと聞いちまったな」

 

「総ちゃんは?」

「平気だよ。…………'''解放者,.か………どうにも他人事のように思えないな。何か、まだ何か隠されている………いや、知られていないナニカがあるんじゃないのか?」

「……わからない……けど……もしかしたらそうかも知れない」

 

「……我達……どうする?」

 

アヴローラがオスカーの話を聞いてどうするのかと尋ねる。

 

「うん? 別にどうもしないぞ? 元々、勝手に召喚して戦争しろとかいう神なんて迷惑としか思ってないからな。この世界がどうなろうと知ったことじゃないし。地上に出て帰る方法探して、故郷に帰る。それだけだ。……アヴローラは気になるのか?」

 

一昔前のハジメなら何とかしようと奮起したかもしれない。しかし、変心した価値観がオスカーの話を切って捨てた。お前たちの世界のことはお前達の世界の住人が何とかしろと。

 

とはいえ、アヴローラはこの世界の住人だ。故に、彼女が放っておけないというのなら、ハジメも色々考えなければならない。オスカーの願いと同じく簡単に切って捨てられるほど、既にハジメにとって、アヴローラとの繋がりは軽くないのだ。そう思って尋ねたのだが、アヴローラは僅かな躊躇ためらいもなくふるふると首を振った。

 

「我の居場所はここ……他は知らない」

 

そう言って、ハジメに寄り添いその手を取る。ギュッと握られた手が本心であることを如実に語る。アヴローラは、過去、自分の国のために己の全てを捧げてきた。それを信頼していた者たちに裏切られ、誰も助けてはくれなかった。アヴローラにとって、長い幽閉の中で既にこの世界は牢獄だったのだ

 

その牢獄から救い出してくれたのはハジメだ。だからこそハジメの隣こそがアヴローラの全てなのである。

 

「……そうかい」

 

若干、照れくさそうなハジメ。それを誤魔化すためか咳払いを一つして、ハジメが衝撃の事実をさらりと告げる。

 

「あ~、あと何か新しい魔法……神代魔法っての覚えたみたいだ」

「……ホント?」

「ああ、俺も覚えたから間違いはないな。ただ、より正確に言うのであれば神代魔法ではなく概念魔法と言ったところなんだが………いかんせん情報が少な過ぎる」

「だな」

 

信じられないといった表情のユエとアヴローラ。それも仕方ないだろう。何せ神代魔法とは文字通り神代に使われていた現代では失伝した魔法である。総司達をこの世界に召喚した転移魔法も同じ神代魔法である。

 

それに、概念魔法など聞いたこともない魔法まで出てきたのだ。この世界の住人ですら知らないことを知っている''解放者,,達は何処まで知っているのだろうか、という疑問が尽きないことは確かだ。

 

「何かこの床の魔法陣が、神代魔法を使えるように頭を弄る? みたいな」

「……大丈夫?」

「ああ、問題ない。しかもこの魔法……俺とハジメのためにあるような魔法だな」

「どんな魔法だったの?」

「生成魔法と言うものだな。魔法を鉱物に付加して、特殊な性質を持った鉱物を生成出来る魔法だ」

 

総司の言葉にポカンと口を開いて驚愕をあらわにするユエ。

 

「……アーティファクト作れる?」

「ああ、そういうことだな」

「本当!?」

 

そう、生成魔法は神代においてアーティファクトを作るための魔法だったのだ。まさに''錬成師,,のためにある魔法である。実を言うとオスカーの天職も''錬成師,,だったりする。

 

「香織達も覚えたらどうだ? 何か、魔法陣に入ると記憶を探られるみたいなんだ。オスカーも試練がどうのって言ってたし、試練を突破したと判断されれば覚えられるんじゃないか?」

「えっ?で、でも私は………」

「……錬成使わない……」

「まぁ、そうだろうけど……せっかくの神代の魔法だろう? 覚えておいて損はないんじゃないか?」

「……ん……総司が言うなら」

 

総司の勧めに魔法陣の中央に入るユエ。魔法陣が輝きユエの記憶を探る。そして、試練をクリアしたものと判断されたのか……

 

「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスry……」

 

またオスカーが現れた。何かいろいろ台無しな感じだった。総司達はペラペラと同じことを話すオスカーを無視して会話を続ける。尚、ハジメとアヴローラも同じことをしている。

 

「どうだ? 修得したか?」

「ん……した。でも……アーティファクトは難しい」

「う~ん、やっぱり神代魔法も相性とか適性とかあるのかな?」

 

そんなことを話しながらも隣でオスカーは何もない空間に微笑みながら話している。すごくシュールだった。後ろの骸むくろが心なし悲しそうに見えたのは気のせいではないかもしれない。

 

「あ~、取り敢えず、ここはもう俺等のもんだし、あの死体片付けるか」

 

ハジメに慈悲はなかった。

 

「ん……畑の肥料……」

 

アヴローラにも慈悲はなかった。

 

「………美味しいごはん………」

 

ユエにも慈悲など存在していなかった。

 

風もないのにオスカーの骸がカタリと項垂れた。

 

「いや、せめて埋葬してやれよ。狂神の所為でこんな所に住処作って最終的に骸になったら肥料扱いは散々過ぎるぞ」

 

「そうだよ!せめてお墓くらいは、ね」

 

見間違えであろうか、オスカーの骸からキラリと光る涙のようなものが見えた気がする。

 

オスカーの骸を畑の端に埋め、一応、墓石も立てた。総司と香織の「流石に、肥料扱いは可哀想すぎる」発言のおかげではあるが。

 

埋葬が終わると、ハジメとアヴローラは封印されていた場所へ向かった。次いでにオスカーが嵌めていたと思われる指輪も頂いておいた。墓荒らしとか言ってはいけない。その指輪には十字に円が重った文様が刻まれており、それが書斎や工房にあった封印の文様と同じだったのだ。

 

まずは書斎だ。

 

一番の目的である地上への道を探らなければならない。ハジメとアヴローラは書棚にかけられた封印を解き、めぼしいものを調べていく。すると、この住居の施設設計図らしきものを発見した。通常の青写真ほどしっかりしたものではないが、どこに何を作るのか、どのような構造にするのかということがメモのように綴つづられたものだ。

 

「ビンゴ! あったぞ、アヴローラ!」

「んっ」

 

ハジメから歓喜の声が上がる。アヴローラも嬉しそうだ。設計図によれば、どうやら先ほどの3階にある魔法陣がそのまま地上に施した魔法陣と繋がっているらしい。オルクスの指輪を持っていないと起動しないようだ。盗ん……貰っておいてよかった。

 

更に設計図を調べていると、どうやら一定期間ごとに清掃をする自律型ゴーレムが工房の小部屋の1つにあったり、天上の球体が太陽光と同じ性質を持ち作物の育成が可能などということもわかった。人の気配がないのに清潔感があったのは清掃ゴーレムのおかげだったようだ。

 

工房には、生前オスカーが作成したアーティファクトや素材類が保管されているらしい。これは盗ん……譲ってもらうべきだろう。道具は使ってなんぼである。

 

「ハジメ……これ」

「うん?」

 

ハジメが設計図をチェックしていると他の資料を探っていたアヴローラが1冊の本を持ってきた。どうやらオスカーの手記のようだ。かつての仲間、特に中心の7人との何気ない日常について書いたもののようである。

 

その内の一節に、他の6人の迷宮に関することが書かれていた。

 

「……つまり、あれか? 他の迷宮も攻略すると、創設者の神代魔法が手に入るということか?」

「……かも」

 

手記によれば、オスカーと同様に6人の''解放者,,達も迷宮の最深部で攻略者に神代魔法を教授する用意をしているようだ。生憎とどんな魔法かまでは書かれていなかったが……。

 

「……帰る方法見つかるかも」

 

アヴローラの言う通り、その可能性は十分にあるだろう。実際、召喚魔法という世界を越える転移魔法は神代魔法なのだから。

 

「だな。これで今後の指針ができた。地上に出たら7大迷宮攻略を目指そう」

「んっ」

 

明確な指針ができて頬が緩むハジメ。思わずアヴローラの頭を撫でるとアヴローラも嬉しそうに目を細めた。

 

それからしばらく探したが、正確な迷宮の場所を示すような資料は発見できなかった。現在、確認されている【グリューエン大砂漠の大火山】【ハルツィナ樹海】、目星をつけられている【ライセン大峡谷】【シュネー雪原の氷雪洞窟】辺りから調べていくしかないだろう。

 

しばらくして書斎あさりに満足した2人は、工房へと移動した。

 

工房には小部屋が幾つもあり、その全てをオルクスの指輪で開くことができた。中には、様々な鉱石や見たこともない作業道具、理論書などが所狭しと保管されており、錬成師にとっては楽園かと見紛うほどである。

 

ハジメは、それらを見ながら腕を組み少し思案する。そんなハジメの様子を見て、アヴローラが首を傾げながら尋ねた。

 

「……どうした?」

 

ハジメはしばらく考え込んだ後、アヴローラに提案した。

 

「う~ん、あのな、アヴローラ。しばらくここに留まらないか? さっさと地上に出たいのは俺も山々なんだが……せっかく学べるものも多いし、ここは拠点としては最高だ。他の迷宮攻略のことを考えても、ここで可能な限り準備しておきたい。どうだ?」

 

アヴローラは300年も地下深くに封印されていたのだから1秒でも早く外に出たいだろうと思ったのだが、ハジメの提案にキョトンとした後、直ぐに了承した。不思議に思ったハジメだが……。

 

「……ハジメと一緒ならどこでもいい」

 

そういうことらしい。アヴローラのこの不意打ちはどうにかならんものかと照れくささを誤魔化すハジメ。

 

結局、総司達も説得して5人はここで可能な限りの鍛錬と装備の充実を図ることになった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

総司がDTを卒業し色々吹っ切れてしまった夜から二ヶ月が経った。奈落の底で、常識はずれの化物達を相手に体と心を作り替えてまで勝利し続けたハジメも、アヴローラの猛攻には太刀打ち出来ず勝率は0%だ。なので、総司達は開き直って受け止めることにしたのだった。

 

元々、ユエの好意には気がついていた上、元の世界にも連れて行こうと香織と話していた。ユエのアプローチに耐える理由は、香織に対する裏切りになってしまうから、という至極真っ当な者ではあったが。

 

そしてそれはハジメも同じで、アヴローラの好意には気がづいていたし、自分の生まれ故郷へ連れて行く約束までしていた。今までアプローチに耐えてきた理由も、迷宮を攻略するまで気を緩めないようにしたいから、という脆弱なものだった。

 

なので、迷宮の攻略と確立された安全な拠点の入手、そして帰還のための明確な行動指針を得られたことで若干心にゆとりを持ってしまった以上、脆弱な理由では、アヴローラのアプローチに対抗することも出来ず、またその理由もなかったのである。

 

そんな5人は拠点をフル活用しながら、傍から見れば思わず〝リア充爆発しろ!!〟と叫びたくなるような日々を送っていた。遠くで、とある女子生徒がス○ンド的な鬼面武者を背後に浮かべ、幼馴染が怯えるという事態が度々発生していたが、それはまた別の話。近い未来でのさらなる修羅場の布石である。

 

「……ハジメ、気持ちいい?」

「ん~、気持ちいいぞ~」

「……ふふ。じゃあ、こっちは?」

「あ~、それもいいな~」

「……ん。我がもっと気持ちよくしてあげる……」

 

現在、アヴローラはハジメのマッサージ中である。エロいことは今はしていない。何故、マッサージしているかというと、それはハジメの左腕・・が原因だ。ハジメの左腕に付けられた義手と体が馴染むように定期的にマッサージしているのである。

 

この義手はアーティファクトであり、魔力の直接操作で本物の腕と同じように動かすことができる。擬似的な神経機構が備わっており、魔力を通すことで触った感触もきちんと脳に伝わる様に出来ている。また、銀色の光沢を放ち黒い線が幾本も走っており、所々に魔法陣や何らかの文様が刻まれている。

 

実際、多数のギミックが仕込まれており、工房の宝物庫にあったオスカー作の義手にハジメのオリジナル要素を加えて作り出したものだ。生成魔法により創り出した特殊な鉱石を山ほど使っており、世に出れば間違いなく国宝級のアーティファクトとして厳重に保管されるだろう逸品である。もっとも、魔力の直接操作ができないと全く動かせないので常人には使い道がないだろうが……

 

この二ヶ月で5人の実力や装備は以前とは比べ物にならないほど充実している。例えば総司達のステータスは現在こうなっている。

 

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朝田総司 (アーサー・ペンドラゴン) 17歳 男 レベル???

天職:騎士王(英雄王)

筋力:Error

体力:Error

耐性:Error

敏捷:Error

魔力:Error

魔耐:Error

技能:全属性適正・回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剛力・神速・鉄壁・創造[+無限の剣製]・剣技[+魔法剣][+強化][+記憶解放]・剣術[+飛天御剣流][+無明三段突き][+秘剣・燕返し]・槍術[+刺し穿つ槍]・弓術[+精密射撃][+精密狙撃][+精密速射][+インドラの矢]・縮地[+爆縮地][+瞬歩][+瞬光]・先読・高速魔力回復・気配感知[+超感覚]・魔力感知[+聖霊の眼]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+魔力放出][+性質変化][+形態変化][+魔力闘衣]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]・風爪・夜目・遠見・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・覇気[+見聞色の覇気][+未来視][+武装色の覇気][+覇王色の覇気]・神威[+神威解放]・技能模倣[+完全模倣][+完全掌握]・魔眼[+千里眼]・写輪眼[+万華鏡写輪眼][+永遠の万華鏡写輪眼]・宝具[+真名解放][+約束された勝利の剣][+天地乖離す開闢の星][+王の財宝][+全て遠き理想郷]・鉱物創造[+オリハルコン創造][+ヒヒイロカネ創造][+星の結晶創造]・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成]・鑑定・魔力変換[+体力][+治癒力]・剛腕・追跡・限界突破・生成魔法・言語理解

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白崎香織(アルトリア・ペンドラゴン) 17歳 女 レベル79

天職:騎士王妃(治癒師)

筋力:54390

体力:49530

耐性:49370

敏捷:53900

魔力:Error

魔耐:Error

技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・全属性適正[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]・高速魔力回復[+瞑想]・複合魔法・魔力操作・生成魔法・言語理解

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:???

天職:錬成師

筋力:10950

体力:13190

耐性:10670

敏捷:13450

魔力:14780

魔耐:14780

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光]・風爪・夜目・遠見・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・気配遮断[+幻踏]・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・恐慌耐性・全属性耐性・先読・金剛・豪腕・威圧・念話・追跡・高速魔力回復・魔力変換[+体力][+治癒力]・限界突破・生成魔法・言語理解

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レベルは100を成長限度とするその人物の現在の成長度合いを示す。しかしハジメは、魔物の肉を喰いすぎて体が変質し過ぎたのか、ある時期からステータスは上がれどレベルは変動しなくなり、遂には非表示になってしまった。

 

魔物の肉を喰ったの成長は、初期値と成長率から考えれば明らかに異常な上がり方だった。ステータスが上がると同時に肉体の変質に伴って成長限界も上昇していったと推測するなら遂にステータスプレートを以てしてもハジメの限界というものが計測できなくなったのかもしれない。

 

ちなみに、勇者である天之河光輝の限界は全ステータス1500といったところである。限界突破の技能で更に3倍に上昇させることができるが、それでも約3倍の開きがある。しかも、ハジメも魔力の直接操作や技能で現在のステータスの3倍から5倍の上昇を図ることが可能であるから、如何にチートな存在になってしまったかが分かるだろう。

 

一応、比較すると通常・・の人族の限界が100から200、天職持ちで300から400、魔人族や亜人族は種族特性から一部のステータスで300から600辺りが限度である。勇者がチートなら、ハジメは化物としか言い様がない。肉体も精神も変質しているのであながち間違いでもないが……。

 

総司に至っては元から意味不明なステータスをしていだが、香織も徐々にチートへの道を極め始めていたことには誰も触れはしなかった。

 

新装備についても少し紹介しておこう。

 

まず、ハジメは〝宝物庫〟という便利道具を手に入れた。

 

これはオスカーが保管していた指輪型アーティファクトで、指輪に取り付けられている1センチ程の紅い宝石の中に創られた空間に物を保管して置けるというものだ。要は、勇者の道具袋みたいなものである。空間の大きさは、正確には分からないが相当なものだと推測している。あらゆる装備や道具、素材を片っ端から詰め込んでも、まだまだ余裕がありそうだからだ。そして、この指輪に刻まれた魔法陣に魔力を流し込むだけで物の出し入れが可能だ。半径1メートル以内なら任意の場所に出すことができる。

 

物凄く便利なアーティファクトなのだが、ハジメにとっては特に、武装の1つとして非常に役に立っている。というのも、任意の場所に任意の物を転送してくれるという点から、ハジメはリロードに使えないかと思案したのだ。結果としては半分成功といったところだ。流石に、直接弾丸を弾倉に転送するほど精密な操作は出来なかった。弾丸の向きを揃えて一定範囲に規則的に転送するので限界だった。もっと転送の扱いに習熟すれば、あるいは出来るようになるかもしれないが。

 

なので、ハジメは、空中に転送した弾丸を己の技術によって弾倉に装填出来るように鍛錬することにした。要は、空中リロードを行おうとしたのだ。ドンナーはスイングアウト式(シリンダーが左に外れるタイプ)のリボルバーである。当然、中折式のリボルバーに比べてシリンダーの露出は少なくなるので、空中リロードは神業的な技術が必要だ。まして、大道芸ではなく実戦で使えなければならないので、更に困難を極める。最初は、中折式に改造しようかとも思ったハジメだが、試しに改造したところ大幅に強度が下がってしまったため断念した。

 

結論から言うと一ヶ月間の猛特訓で見事、ハジメは空中リロードを会得した。たった一ヶ月の特訓でなぜ神業を会得できたのか。その秘密は〝瞬光〟である。〝瞬光〟は、使用者の知覚能力を引き上げる固有魔法だ。これにより、遅くなった世界で空中リロードが可能になったのである。〝瞬光〟は、体への負担が大きいので長時間使用は出来ないが、リロードに瞬間的に使用する分には問題なかった。

 

次に、総司とハジメが競い合うように〝魔力駆動二輪と四輪〟を製造した。

 

これは文字通り、魔力を動力とする二輪と四輪である。ハジメのものは、二輪の方はアメリカンタイプ、四輪は軍用車両のハマータイプを意識してデザインした。車輪には弾力性抜群のタールザメの革を用い、各パーツはタウル鉱石を基礎に、工房に保管されていたアザンチウム鉱石というオスカーの書物曰く、この世界最高硬度の鉱石で表面をコーティングしてある。おそらくドンナーの最大出力でも貫けないだろう耐久性だ。エンジンのような複雑な構造のものは一切なく、ハジメ自身の魔力か神結晶の欠片に蓄えられた魔力を直接操作して駆動する。速度は魔力量に比例する。

 

総司のものは、二輪の方は何処かの自称ソルジャーさんがが乗っていた大型二輪、四輪の方は某名門ブランドのスポーツカー(という名の移動要塞)で、車輪やパーツなどに関しては殆ど同じであった。違うところはアザンチウム鉱石よりも硬い、他の人に渡してはいけない鉱石トップ5に入ること間違いなしのオリハルコンを使っている。それ故に、シュラーゲンの最高火力でも傷をつけられないような巫山戯た硬さを誇る。並びに冷暖房完備であり香織にとても感謝されていた。そして、何と言ってもエンジンも一度だけ触れたことがあった為基本構造を理解しており、再現することが出来たので、エンジン音も聞こえると言うロマン溢れるものになった。

 

更に、この4つの魔力駆動車は車底に仕掛けがしてあり、魔力を注いで魔法を起動する地面を錬成し整地することで、ほとんどの悪路を走破することもできる。また、どこぞのスパイのように武装が満載されている。総司とハジメも男の子。ミリタリーにはつい熱が入ってしまうのだ。夢中になり過ぎて香織やアヴローラ達が拗ねてしまい、機嫌を直すのに色々と搾り取られることになったが……。

 

''魔眼石,,というものも開発した。

 

実はハジメはヒュドラとの戦いで右目を失っている。極光の熱で眼球の水分が蒸発していまい、神水を使う前に〝欠損〟してしまっていたので治癒しなかったのだ。それを気にしたアヴローラが考案し、創られたのが''魔眼石,,だ。

 

いくら生成魔法でも、流石に通常の''眼球,,を創る事はできなかった。しかし、生成魔法を使い、神結晶に、〝魔力感知〟''先読,,を付与することで通常とは異なる特殊な視界を得ることができる魔眼を創ることに成功した。

 

これに義手に使われていた擬似神経の仕組みを取り込むことで、魔眼が捉えた映像を脳に送ることができるようになったのだ。魔眼では、通常の視界を得ることはできない。その代わりに、魔力の流れや強弱、属性を色で認識できるようになった上、発動した魔法の核が見えるようにもなった。

 

魔法の核とは、魔法の発動を維持・操作するためのもの……のようだ。発動した後の魔法の操作は魔法陣の式によるということは知っていたが、では、その式は遠隔の魔法とどうやってリンクしているのかは考えたこともなかった。実際、ハジメが利用した書物や教官の教えに、その辺りの話しは一切出てきていない。おそらく、新発見なのではないだろうか。魔法のエキスパートたるユエも知らなかったことから、その可能性が高い。

 

通常の〝魔力感知〟では、〝気配感知〟などと同じく、漠然とどれくらいの位置に何体いるかという事しかわからなかった。気配を隠せる魔物に有効といった程度のものだ。しかし、この魔眼により、相手がどんな魔法を、どれくらいの威力で放つかを事前に知ることができる上、発動されても核を撃ち抜くことで魔法を破壊することができるようになった。ただし、核を狙い撃つのは針の穴を通すような精密射撃が必要ではあるが。

 

神結晶を使用したのは、複数付与が神結晶以外の鉱物では出来なかったからだ。莫大な魔力を内包できるという性質が原因だと、ハジメは推測している。未だ、生成魔法の扱いには未熟の域を出ないので、三つ以上の同時付与は出来なかったが、習熟すれば、神結晶のポテンシャルならもっと多くの同時付与が可能となるかもしれない、とハジメは期待している。

 

ちなみに、この魔眼、神結晶を使用しているだけあって常に薄ぼんやりとではあるが青白い光を放っている。ハジメの右目は常に光るのである。こればっかりはどうしようもなかったので、仕方なく、ハジメは薄い黒布を使った眼帯を着けている。

 

白髪、義手、眼帯、ハジメは完全に厨二キャラとなった。その内、鎮まれ俺の左腕! とか言いそうな姿だ。鏡で自分の姿を見たハジメが絶望して膝から崩れ落ち四つん這い状態になった挙句、丸一日寝込むことになり、アヴローラにあの手この手で慰められるのだが……みなまで語るまい。

 

新兵器について、ヒュドラの極光で破壊された対物ライフル:シュラーゲンも復活した。アザンチム鉱石を使い強度を増し、バレルの長さも持ち運びの心配がなくなったので3メートルに改良した。〝遠見〟の固有魔法を付加させた鉱石を生成し創作したスコープも取り付けられ、最大射程は10キロメートルとなっている。

 

また、ラプトルの大群に追われた際、手数の足りなさに苦戦したことを思い出し、電磁加速式機関砲:メツェライを開発した。口径三十ミリ、回転式六砲身で毎分12000発という化物だ。銃身の素材には生成魔法で創作した冷却効果のある鉱石を使っているが、それでも連続で五分しか使用できない。再度使うには10分の冷却期間が必要になる。

 

さらに、面制圧とハジメの純粋な趣味からロケット&ミサイルランチャー:オルカンも開発した。長方形の砲身を持ち、後方に12連式回転弾倉が付いており連射可能。ロケット弾にも様々な種類がある。

 

あと、ドンナーの対となるリボルバー式電磁加速銃:シュラークも開発された。ハジメに義手ができたことで両手が使えるようになったからである。ハジメの基本戦術はドンナー・シュラークの二丁の電磁加速銃によるガン=カタ(銃による近接格闘術のようなもの)に落ち着いた。典型的な後衛であるアヴローラとの連携を考慮して接近戦が効率的と考えたからだ。もっとも、ハジメは武装すればオールラウンドで動けるのだが。

 

総司が個人で作り上げた物もある。

 

一つ目は、何処かのVRMMOでピンクの悪魔が何度か壊したサブマシンガンのP-90であった。名前は『メディア』で、1発毎の威力に関してはドンナーとシュラークよりも高く、取り回しもいい小型サイズの為使い勝手がいいのだ。

 

それ以外には、PTRD1940デグチャレフ対戦車ライフルなども作っていた。これに関しては火力一点張りの超特化型の武装な為使う用途は限られてしまうが、それでも非常に心強い切り札になる事は間違いない。

 

他には、香織のサブウェポンの1つとして対物ライフルであるウルティマラティオ・ヘカートⅡを火力特化の後方支援ように作った。材質は出回らせちゃいけないオリハルコンをふんだんに使っており、トリガーを引くことによって纏雷が発動して弾が発射されるという仕組みになっている。尚、スコープの倍率はハジメのものと同じく10キロメートル程だ。

 

そして、もう1つ香織のサブウェポンを作っていた。それは、何処ぞのアンダーワールドな世界で使われていた特殊な武器である『青薔薇の剣』と『金木犀の剣』だ。パスコード的なものがあり、それを唱えると武器の形状が変わったり、使用者の周りが凍ったりと凄まじいものだった。

 

他にも様々な装備・道具を開発した。しかし、装備の充実に反して、神水だけは遂に神結晶が蓄えた魔力を枯渇させたため、試験管型保管容器十二本分でラストになってしまった。枯渇した神結晶に再び魔力を込めてみたのだが、神水は抽出できなかった。やはり長い年月をかけて濃縮でもしないといけないのかもしれない。

 

しかし、神結晶を捨てるには勿体無い。ハジメの命の恩人……ならぬ恩石なのだ。幸運に幸運が重なって、この結晶にたどり着かなければ確実に死んでいた。その為、ハジメには並々ならぬ愛着があった。それはもう、遭難者が孤独に耐え兼ねて持ち物に顔をペインティングし、名前とか付けちゃって愛でてしまうのと同じくらいに。

 

そこで、総司とハジメは、神結晶の膨大な魔力を内包するという特性を利用し、一部を錬成でネックレスやイヤリング、指輪などのアクセサリーに加工した。そして、それをユエに贈ったのだ。ユエは強力な魔法を行使できるが、最上級魔法等は魔力消費が激しく、1発で魔力枯渇に追い込まれる。しかし、電池のように外部に魔力をストックしておけば、最上級魔法でも連発出来るし、魔力枯渇で動けなくなるということもなくなる。

 

そう思って、ハジメはアヴローラに。総司は香織とユエに〝魔晶石シリーズ〟と名付けたアクセサリー一式を贈ったのだが、そのときの香織達の反応は……。

 

「グスッ!ふ、不束者ですがよろしくお願いします」

「……プロポーズ?」

「何故だ」

 

香織達のぶっ飛んだ第一声に思わず突っ込む総司。

 

「それで魔力枯渇を防げるだろ? 今度はきっとユエを守ってくれるだろうと思ってな」

「……やっぱりプロポーズ」

「いや、違うから。それにするなら香織だけに……」

「総ちゃん?私は気にしないてないから大丈夫だよ」

「……総司、照れ屋」

「……最近、お前人の話聞かないよな?」

「受け入れちゃいなよ、総ちゃん!」

「……ベッドの上でも照れ屋」

「止めてくれます!? そういうのマジで!」

「総司……」

「総ちゃん………」

「はぁ~、何だよ?」

「ありがとう……大好き」

「ありがとう……愛してるよ!」

「……おう」

 

本当にもう爆発しちまえよ! と言われそうな雰囲気を醸し出す3人。いろんな意味で準備は万端だった。

 

それから十日後、遂に総司達は地上へ出る。

 

三階の魔法陣を起動させながら、総司は香織とユエに静かな声で告げる。

 

「香織、ユエ……俺の武器や俺達の力は、地上では異端だ。聖教教会や各国が黙っているということはないだろう」

「黙っていたらそれはそれで気持ち悪いなぁ……」

「ん……」

「兵器類やアーティファクトを要求されたり、戦争参加を強制される可能性も極めて大きい」

「そうだね……」

「ん……」

「教会や国だけならまだしも、バックの神を自称する狂人共も敵対するかもしれん」

「うん、わかってる……」

「ん……」

「世界を敵にまわすかもしれないヤバイ旅だ。命がいくつあっても足りないぐらいな」

「今更……」「今更だよ!」

 

香織達の言葉に思わず苦笑いする総司。真っ直ぐ自分を見つめてくる香織とユエのふわふわな髪を優しく撫でる。気持ちよさそうに目を細める2人に、総司は一呼吸を置くと、キラキラと輝く黒眼と紅眼を見つめ返し、望みと覚悟を言葉にして魂に刻み込む。

 

「俺が香織達を、香織達が俺を守る。それで俺達は最強だ。全部なぎ倒して、世界を越えよう」

 

総司の言葉を、香織とユエはまるで抱きしめるように、両手を胸の前でギュッと握り締めた。そして、無表情を崩し花が咲くような笑みを浮かべた。返事はいつもの通り、

 

「うん!」

「んっ!」




香織のサブウェポンを決めようアンケートはヘカートⅡと青薔薇&金木犀の2つを採用することにしました。

清水くんは助ける?

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  • 助けない
  • 寧ろ最凶化
  • ラーメン食べたい

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