ありふれちゃいけない職業で世界最強   作:キャッチ&リリース

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第4話絶望、それはお粗末な悪意

『おぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!』

 

総司の鼓舞により士気を上げた生徒と騎士達は思い思いの感情を曝け出しながら、叫びながらトラウムソルジャーの軍勢を倒してゆく。

 

「助かったぞ坊主!お陰で何とか脱出出来そうだ!」

 

「礼を言うのはまだ早い!全員で生きて脱出する事だけを考えろ!さもなくば魔物の餌となれ!」

 

「はっ!誰がなるかんなもんに!!おらぁ!」

 

危機に瀕したこの状況での総司のこの発言は反感を買ってしまう様なものであったが、メルドにとっては寧ろ有難かった。

一時は死ぬ覚悟すら抱いた物のこの発言によって死ぬ覚悟ではなく、全員で生きて脱出するという決意を抱く事が出来たのだから。

 

 

 

しかし、絶望というものは得てしてこういう時にやってくる。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ここは、世界の何処かにある悪神の住まう場所。

そして、そこに住まう悪神は良からぬ、否、あってはならない事を考えていた。

 

「死地から騎士を救う英雄。確かに良いものであろう。しかし、犠牲なき英雄譚など何の面白みも無い。騎士を守る為に犠牲になって貰おう救世主よ……。くっくっくっ………。はっはっはっはっ!!!」

 

「良いお考えでございます主よ」

 

「そうであろう。そうでなくては盤上を掻き乱す事など出来んからなぁ」

 

「お見事で御座います、エヒトルジュエ様」

 

「はっはっはっはっ!!!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「もう少しだ!気合入れていけ!」

 

「だ、団長!!ベヒモスの死骸が、形を………」

 

「何?」

 

部下に言われベヒモスの方へと振り返ったメルドだったが、振り返った先で見た物は想像を絶する圧倒的なまでの絶望だった。

ベヒモスの死骸は、形を変え、大きく、そして禍々しい"ナニカ"へと変貌していた。

 

「な、なん、何なんだアレはぁ!!?」

 

それは生徒達の故郷にて空想上の怪物であり、本来この世界では見る事は叶わないとも言われているドラゴンであった。

否、ただのドラゴンでは無い。ある創作物では、神々の地肉を喰らいし破滅の暴竜とされ、あるゲームでは世界を壊し新たに世界を生み出したとされる神竜にして破滅の象徴。

 

"バハムート"

 

「クソ!お前等、退路が開いたら直ぐに階段へ走れ!」

 

「チッ!メルド、お前は馬鹿共の手助けをして来い、そしてそのまま奴等を地上へ逃せ。俺はこの化物の足止めをしている」

 

「まて、それではお前が!」

 

「何、心配するな。愛する者を置いて死ぬ事などしない。もし居なくなったとしても死んだわけでは無いだろうよ。さあ、行け!!」

 

「ああ、って愛する者って誰だよ!」

 

「香織だ!解かったなら行け!」

 

「おう!」

 

総司はメルドに対して生徒達を連れて部下と共に地上へと逃げろという指示を出した。しかし1人だけその指示を聞かなかった者がいた。

 

「総司、僕も一緒に戦うよ。総司が頑張っているのに逃げ帰る何で嫌だから!」

 

「チッ!馬鹿が!死んだとしても文句は受け付けんぞ!」

 

「望むところ!」

 

総司とハジメは協力してバハムートに戦いを挑んだ。されど今の総司は封印が完全に解けてはおらず、ハジメも大した力は持っていなかった。

その状態で勝てる程、弱くは無い、………筈だった。

 

「ハジメ、左側面から錬成で敵の動きを牽制しろ!」

 

「うん!」

 

総司の的確な指示とハジメが指示を正確に実行した事により劣勢になる筈だった戦いが優勢のまま進み、遂にバハムートに対して致命傷を与える事が出来た。

 

「よしハジメ地上に戻るぞ!」

 

「うん!!」

 

しかし、バハムートは捨て身と言わんばかりに橋へと落ちて行きこのままでは崩落に巻き込まれてしまう状態になってしまった。

そこでメルドは、生徒達にバハムートの落ちる軌道を変える為に魔法での攻撃を指示した。

 

「いかん!このままでは橋に落ちる!総員、魔法で化け物の軌道を変えろ!」

 

その指示と同時に生徒達は一斉に魔法を放ち、バハムートの軌道変えようとした。

しかし、疲れ果て、注意が疎かになっていた総司とハジメの足下に凶弾が打ち込まれた。

 

「なっ!?」

 

「えっ?」

 

そして、その二発の凶弾はクラスメイトが放った追尾性の魔法であった。故に足下に正確に着弾し、橋の崩落に拍車を掛けてしまった。

その二発がバハムートへ向けて打たれていれば軌道は逸れたであろう。しかし、現実とは非常なものであった。

 

「くっ!(せめてハジメだけでも!)」

 

「あっ…………」

 

奈落へと落ちゆく総司とハジメ。間に合わないと判りつつも手を伸ばす愛する者(香織)にひたすら手を伸ばし続けた。

 

しかし……………。

 

「いやぁぁぁ!!!総ちゃん、南雲くん!!」

 

「ダメだ、君まで死ぬつもりか香織!もう彼奴等は駄目だ、だから止まるんだ香織!」

 

「離して!総ちゃんが………総ちゃんがぁ!」

 

「駄目よ香織!」

 

愛する者を失った悲しみは………。

 

「あ、彼奴等が悪いんだ。は、ははは」

 

「お前が……。お前が!お前が総ちゃんを!!!!」

 

激しい憎悪へと………。

 

「あがぁ!?ごは!や、やめ、がぁ!!!」

 

変わりゆく。

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

 

ドンッ!

 

「其処までだ嬢ちゃん。すまねぇな俺達が不甲斐ないばかりに………」

 

「ごめんなさい、私達が止めなくちゃならなかったのに」

 

「いや、元はと言えば俺達が守りきれなかった事が原因だ。それを他人のせいにする気はねえよ」

 

香織が犯人を、檜山を殺す前にメルドが止め、何とかこれ以上の犠牲を出さない事に成功した。

そしてこの時、メルドは雫に総司に言われた事を伝えた。

 

「嬢ちゃんが起きたらこう伝えてくれ。

 

"愛する者を置いて死ぬ事などあり得ない。もしも居なくなったとしても必ず君の元へ帰る"

 

とな」

 

「えっと、それは」

 

「あの坊主が言っていた言葉だ。一言一句違わずに行ったわけじゃ無いがそれと同じような事を言っていたからいいだろう?」

 

「ふふ、大丈夫だと思いますよ。ただ、私に向けて言って欲しかったですけどね」

 

「そうか。…………今は存分に泣け。それを見咎める輩は居ないからな。もし咎められても文句なんぞ言わせはせん」

 

「ありがとう、ござ、い、うぅ!っ!!」

 

たった1人のお粗末な悪意の所為で失ったものは大き過ぎた。しかしこれはさらなる苦難への序章でしか無かった。

 

ありふれちゃいけない職業で世界最強

 

序章 プロローグ FIN

清水くんは助ける?

  • 助ける
  • 助けない
  • 寧ろ最凶化
  • ラーメン食べたい
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