いっつん観察記録   作:教授@

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樹観察記録 1

 これは、とある女子中学生がかわいいクラスメイトを観察するだけのお話である。

 

 

 

 

   

 

 

 【1ページ】

 

 クラスの中で一番可愛いといってもよいほどの女の子がいた。

 名前は犬吠埼樹、小柄であがり症だが人一倍頑張り屋。そんな女の子が目の前の席に座っている。この時ほど名前順に感謝したことはない。

 

 

 

 【2ページ】

 

 授業が始まってから二週間が経過した。

 まだ慣れない環境の中、少しずつ仲の良いグループが出来上がっていく中で樹ちゃんは必至に友達作りを頑張っていた。後ろの席であるため話せる機会は意外と簡単にやってきて苗字だが初めて名前を読んでもらった。声が可愛すぎて死にそう。

 

 

 

【3ページ】

 

 4月終わり、学校や授業に慣れてきたところで部活勧誘期間が始まった。中学でも本気で大会に出場しようとする部活は存在する。樹ちゃんはどこに入るのだろう?と疑問に思い、調査をした結果、姉が作り上げた部活「勇者部」に入っていた。彼女の性格上、知り合いや身内の人がいた方がいいだろう。自分も安心して見守っていられる。

 

 

 

 【4ページ】

 

 入部期間が終わり、本格的に部活動がスタートする。授業でも頑張っていて部活でも樹ちゃんは頑張っていた。勇者部の活動内容は簡単に説明するとボランティアだ。困っている人たちから依頼を受けて部員を派遣してお手伝いをする。小規模的な部活だから依頼はそんなに来ないのではないか?と思われたが1年前に姉の風、先輩の結城さん、東郷さんの3人が大体的に活動を行い、すでに色んな所で認知されていた。

 

 活動は校内と校外で行われている。

 校内は雑草取りや倉庫の掃除、書類運びや部活の助っ人。校外では幼稚園などに行き、レクリエーションを行っているらしい。

 

 

 

 【5ページ】

 

 しくじった。

 休日も行われているという勇者部の活動を見守ろうと彼女たちの後をつけたのだが、尾行中に結城先輩に見つかってしまった。怪しまれないように退散はしたのだが、一緒にいた東郷先輩はこちらを睨んでいた。初犯なら見逃してもらえる可能性が高いため、少しばかり活動は控えめに行こうと思う。

 

 

 

 【6ページ】

 

 クラスの授業内での観察に移行。

 まだ完全に顔と名前がバレていないため、クラスに突入されることはないが樹ちゃんが漏らす可能性があるため、なるべく自分の話題が出ないように距離を置こうと思う。

 

 

 

 【7ページ】

 

 活動は問題なく順調に進んでいる。

 まだあがり症が治っていないのか、音楽や数学、国語などの発表がある授業ではおどおどしていた。とても可愛い、今日は1日心の中でずっと応援していた。

 

 

 

 【8ページ】

 

 部活が始まってそれなりに日にちが経過した。ボランティア活動を行っているおかげか、樹ちゃんから緊張するような様子は見られなくなる。クラスメイト達とも仲良くやっており、とても微笑ましい。

 できる限り、怪しまれないように距離を取りつつ彼女のサポートをして観察を続けていきたい。

 

 

 

 【9ページ】

 

 活動は順調であった。

 だが今日、驚くべきことを大赦関連の人から聞かされる。

 我々人類を守ってくれている神様、通称【神樹様】に樹ちゃんが選ばれた。お役目と呼ばれている大事な仕事で詳細は開示されない。とても大事な仕事を任されて素晴らしい、と言いたいがとても信用できるものではない。確かに守ってもらっている分、対価を支払っても良いが開示されないのは怖い。もはや自分の推しのアイドルといっても過言ではない存在である樹ちゃんに何をさせているのか、そう考えるだけで心が不安に押しつぶされてしまう。

 

 

 

 【10ページ】

 

 お役目が始まってから樹ちゃんの様子に変化が現れた。

 自信がついてきた、と言えばいいのか彼女の目は真っすぐに力強さを感じさせていた。自信とともにかわいらしさも増して、ファンである自分にとっては嬉しすぎる案件である。だが緊張に弱い部分はまだ治っておらず、音楽の授業で一人一人の歌の発表をしなければならない、という内容を教員から通達されて樹ちゃんはすごい大きなため息を漏らしていた。

 

 昼食時に樹ちゃんはため息を漏らしていた。

 彼女の実力であればテストは問題なく満点をとれるだろう、しかし緊張というものは中々に厄介なものであり、そう簡単に克服できるものではない。

 

 

 

 【11ページ】

 

 1か月が経過し、勇者部の校外活動の観察を開始した。

 歌の発表が思いのほか嫌なのか、活動中も樹ちゃんは落ち込んでいた。がんばれ!と言いたいが現段階では無意味だし、下手をすれば逆効果になりかねない。ここは身内の風先輩や東郷先輩、結城先輩に任せるしかない。彼女たちは樹ちゃんととても仲良くやっている。まだクラスメイト達の中で相談を打ち明けられるものはいない。

 

 

 

 【12ページ】

 

 歌の発表がやってきた。

 自分は問題なくクリア、無難にやって目立たず終わらせる。緊張が漂う中、樹ちゃんの順番がやってくる。自分は今までの中で一番彼女を応援した。がんばれ、という言葉は届くものではない、だがしなければ見ている側が不安でつぶれそうになってしまう。

 

 結果は合格。

 何かお守りを用意していたのか、そのお守りを見たとたん、緊張感は解けて彼女の実力を問題なく発揮できた。歌声のすばらしさにクラスの人たちは全員拍手をしてしまった。この歌は死ぬまで自分の心に刻まれるだろう。

 

 

 

 【13ページ】

 

 歌の発表を終えて樹ちゃんはさらに成長を遂げていた。何に対しても自信をもって行動を起こせるようになり、人一倍頑張る彼女の様子はとても輝かしいものだった。このまま彼女の成長をずっと見届けよう、そう思っていた矢先に最悪なイベントがやってくる。

 

 席替えだ。

 

 完全に学校に慣れたであろう時期を狙ってこのイベントを持ってくる。折角それなりに仲良くなって会話もできるようになって幸せだったのに、その幸せを簡単に根こそぎ奪ってくるかのように席替えイベントはやってきた。

 

 席替えはもちろんくじ引きである。

 運は弱くないが強くもない。単発でSSRが何度も引ける運の持ち主であればこの状況を打開することができるだろうが自分はそんなラッキーマンではない。

 

 樹ちゃんが最初にくじを引いた。

 席は前から3番目で窓際から2番目、いい感じのポジションに収まった。こうなると狙うのは後ろか斜め後ろ。強欲に隣を狙えば確実に物欲センサーが働き、全然離れてしまった場所の席を引き当ててしまう。無難に若干狙ったところを意識してくじ引きを行う。

 

 結果、樹ちゃんの斜め前という席を引き当てる。

 最高だ。グループ活動では一緒になれるポジションを勝ち取った。正直な話、思いっきりガッツポーズをとって喜びたい。だが学校で自分は大人しい性格と思われているため下手な行動はできない。

 そのため自分の家に帰ってから自分の部屋で発狂した。

 

 

 

 【14ページ】

 

 勇者部に新しい部員が入ったという情報を手に入れた。

 名前は三好夏凜、一つ上の先輩であり大赦からやってきた人。樹ちゃんと同じようにお役目に選ばれた人であり、お役目を担う者たちが仲良くやっていけるように転校してきたらしい。

 三好先輩の性格はツンデレ。だがまだツンばかりの状態でデレはない、と本人から聞いた。刺々しい部分はありつつも、かわいらしい部分もあって樹ちゃんの姉、風先輩は調教し甲斐がある、と言っていた。風先輩がいるのであればいざこざが起きても問題はないだろう。

 

 

 

 【15ページ】

 

 朗報が来た。

 それはお役目がもうそろそろ終わりを迎えるらしい。元気な様子を毎日見られて安心はしていたが完全に不安は拭えていなかった。だがそれももう終わりに近づいている。お役目が終わればいつも通りの日常に戻れる、早く戻ってほしいと願うばかりだ。

 

 

 

 つづく!!

 

 




誤字脱字があったら見つけ次第、空いている時間で直します

感想書いてくれたらうれしいな
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