『時雨蒼燕流はいつだって完全無欠最強無敵』……それは鬼滅の刃でも?   作:必殺遊び人

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昨日出したと思ったら一日投稿がずれていた件について……。

と言うわけで、今日は二話連続投稿にします。
話数とばないように気を付けてくださると助かります。

それではどうぞ。


賭け・そしてブラフ

 

『実は俺、鬼無辻無惨に日の元を歩けるように協力するべきじゃないかと思ってるんだけどどう思う』

 

 そんな試すような発言をした光哉のそれにはもちろん理由があった。

 そもそもの話、光哉が鬼無辻無惨との交渉を考え出したのは、最悪の場合を想定しての事だと言えるだろう。

  

 もしこのまま進めば必ず起こるであろうあの夜で、兄である輝哉を死なせない。

 

 そのためにはあの場面で確かな戦力をそろえる必要が有るのは明白だ。

 光哉が助けてきた多くのものは、光哉が死なせたくないと思うと同時に、そこの場面で多少なりとも戦力が増えればいいな、とそのような考えがあったのも事実だった。

 

 しかし、兄のために他の誰かが、助けた者たちが、原作以上の被害がでるのであれば話が違ってくる。

 

 それ故に鬼無辻無惨との交渉だ――すなわち会話が必要なのだ。

 

 無惨の性格を思えば交渉どころか話し合いすら成立しないこともあるだろう。仮に交渉がうまくいっても、太陽を克服した後に無惨が裏切らない保証もない。

 

 だが、戦い以外の道を行こうと思うのなら、まずは無惨を知ることは決定事項だ。

 光哉は、今まで多くの鬼を見てきて、原作で鬼の最後を知っていて思ったのだ。何故無惨だけ救いがないと断じれるのかと。

 

 無惨には今を変える過去はないのか? 無惨は完璧な存在になって何がしたいのか?

 

 その疑問に答えなど出なかった、つまり。――ああなにも知らないんだな、と。

 

 必要なものも多くなるだろう。もしかしたら結局戦いと言う最悪を生む可能性も否定できない。

  

 だから、その時は、最悪死ぬのは無惨と……。

 

 

 結局のところ、この場面であえて敵を作るような物言いをしたのは、光哉は鬼殺隊に仲間だと思われたくないからの事だった。

 

 ――『これから鬼殺隊と一緒に頑張ろう。』

 

 これではだめだ。

 

 光哉は場合によっては、いいや、すでに鬼殺隊としては()()()()()()()を行っている。

 それが明らかになった時に『裏切者』として「実はこういう意図で動いていたんだ」敵対するのと、あらかじめ危険人物と思われていようとも、自身の考えを認知してもらうのとでは話が違ってくる。

 

 この状況もおいしかった。

 

 輝哉と『柱』達から、あの夜に追及されては言い訳のしようもないが、こちらからきりだせたのはそれだけで大きい。

 

「それで、俺はどうすればこの状況から解放されるのかな?」

 

 ここまで明確に敵意を向けられるのは予想外だが、『柱』が良い顔をしないことは想定済み。

 故にここで光哉が慌てる必要がない。

 

「理解は得られないとは思っていたけどまさか刀までむけられるなんてな」

「冗談でも言っていいことと悪いことぐらいわかんだろ。仮に冗談でないのならばあんたを『お館様』の側にはおけねぇ。派手にな……」

 『音柱』である天元(てんげん)の言葉に同意なのか、他の『柱』は口を開かない。

 

「じゃあ今は冗談と言うしかないな。それ以外は殺されそうだ」

「ふざけるなよてめぇ、鬼無辻に強力だと? 違反程度の話じゃねぇ、危険因子として即刻処分の内容だ。お前が生きてるのは『お館様』の実弟だからでしかねぇえんだよ」

「なるほど……」

 不死川が憤怒を抑えていないところを見るに、やはり光哉のその考えはよほどクレイジーの内容なのだろう。

 

 ――チラリと。

 光哉は視線をある三人に向けた。

(これは想定外だったな……)

 

 その三人とは刀を向けていない富岡、悲鳴嶋(ひめじま)、煉獄だった。

 

 光哉にはこの三人が刀を向けない理由が分からなかった。いいや、刀を向けないのはまだわかる、しかし、敵意すらなく、不死川や天元の動きに反応しているのを見ると、どうやらもしもの時は光哉を助ける素振りすらあった。

「……ふむ」

 

 考えても光哉には心当たりがなかった。

 

 だがもちろんそれには理由がある。

 過去、光哉が三人にしたことを思えばそれにも納得がいくはずだった。

 

 少し、光哉の七年間の行動について語ってみよう。

 

 …………。

 ……。

 

 

 産屋敷光哉が七年前に行動を開始したのは、『時雨金時』によって力を得たこと、そして、産屋敷にいては助けられるものが限定してしまうといった心配からであった。

 

 光哉は自分がここにいる意味を死ぬはずだった人物を助けるためだと思っているし、それが一つの生きる原材料になっている。

 普通に考えれば大それた妄想の類だが、転生者とは言えごく普通の一般時だった産屋敷光哉は、これぐらいの自己暗示をしないと動けないのだ。

 

 まあそれはさておき――。

 

 光哉が助けたいと思っている人物は原作主要キャラにおさまらない。

 例えば、間に合わなかったが、鱗滝の錆兎や真菰(まこも)以外の弟子などがいい例だろう。他にも、胡蝶しのぶが語っていた彼女の『継子』、今ではカナエの継子もいるだろう。勿論、原作で語られなかった今生きている多くの人物も同様だ。一般人だって出来るだけ被害をなくしたい。

 

 さて、その中には煉獄槇寿郎(れんごくしんじゅうろう)の妻――煉獄槇瑠香(れんごくるか)も入っていた。

 彼女に関しては本来病気による逝去だが、彼はそれでも助けようとしたのだ。

 

『初めまして煉獄さん、あなたの奥さんを僕に診させてくださいませんか?』

 

 そう言って煉獄家を訪ねたのは今から五年ほど前だろうか。

 

 その方法は『死ぬ気の炎』によるものだった。光哉が得た力、その一端である『雨の炎』。

 その特性は『鎮静』――。

 

 生物の行動、攻撃力、防御力、そういったものを停滞に導き、尚且つ使いようによっては大波すら生み出す『雨の炎』。

 

 本来治療という意味では『晴れの炎』の活性化が最も効果的だが、ない物ねだりをしても仕方がない。

 とにかく可能性があるなら、と。

 光哉はそれを試すことを決意したのだ。

 

 とは言え、実際に煉獄槇瑠香(れんごくるか)を助けるに至ったのは運がよかったとしか言えないだろう。

 『雨の炎』による病気――すなわち細菌の行動弱体化。それによって薬による治療を可能にしたのだ。

 

 光哉自身うまくいくと思っていなかっただろう。少しでも病状を軽するぐらいしかできないとも思っていた。

 医療知識のない光哉には事実それが限界であったし、そもそも『雨の炎』程度ではどうにもならない不治の病の可能性もあった。

 

 まあそのような仮定の話などこの場では問題ではない。

 あるのはただ、煉獄槇寿郎(れんごくしんじゅうろう)にとって産屋敷光哉は煉獄槇瑠香(れんごくるか)の恩人と言う事実だけだった。

 

 

 そして恩人と言う意味では悲鳴嶋行明(ひめじまぎょうめい)も同様だった。

 

 光哉は助けたいと思う人物の中に悲鳴嶋(ひめじま)の教え子たちも含まれていた。

 結果を先に述べるのならば、それは間に合わなかった。いや、光哉はそれを知ることすらできなかったのだ。

 

 光哉が悲鳴嶋(ひめじま)の事で動けたのは、彼が輝哉に助けられた後、鬼殺隊に入ってからの事だったのだ。

 それがおこることは知っていた。調べもしていた。

 たが、彼には決定的に情報が足りなかったのだ。場所すら突き止められなかったのだ。

 

 だからこそ彼がそこから行ったのは償いの気持ちの方が大きかったかもしれない。

 

 

悲鳴嶋行明(ひめじまぎょうめい)さん、あなたに合わせたい人物がいます』

 

 そう言って、光哉は悲鳴嶋(ひめじま)の元を訪れた。

 最初は警戒をしていた悲鳴嶋(ひめじま)も、彼が輝哉の弟は分かると、その警戒をとくように言葉を交わすようになった。

 そこで彼は言ったのだ。 

 

『出ておいで沙代(さより)ちゃん……』

 

 気の影から出てきたのはかつて悲鳴嶋(ひめじま)が鬼に襲われた時に守った教え子で、そして――彼を犯罪者にしてしまった少女であった。

 

『……っ!!』

 

 悲鳴嶋(ひめじま)がここまで狼狽する姿を見るに、彼にとってあの出来事は思い出したくないことだったのかもしれない。先生であった悲鳴嶋(ひめじま)が「子供は平気で嘘をつく」「平気で残酷な事をする我欲の塊」そのようにいってしまうほどの、出来事だった。

 

 だから尚の事。光哉はそんな彼の心を救いたかった。

 もしかしたら、その行為は悲鳴嶋(ひめじま)にとって有難迷惑以外の何物でもなかったかもしれない。事実そうだったのだろう。

 終わったことを蒸し返され、件の少女と顔を合わせる。

 それがいかに苦であることか、悲鳴嶋(ひめじま)以外に分からない。

 

 それでも、だった。

 

『さぁ、言うべきことがあるだろう? 言いたかったことがあったんだろう?』

 

 光哉だっていたずらにこのような真似をするつもりなどなかった。

 けど彼が沙代(さより)の元へ行って、話を聞いて――彼女は謝りたいと、お礼を言いたいと言ったのだ。

 だからこの場に連れてきたのだ。

 

 だって、仲直りして欲しいじゃないか。

 

『頑張って』 

 そう言って光哉に背中を押されるように前に出た少女は……。

 

『……先生』

 

 まずはそう小さく呟いて。

 そこから少し言葉が止まった。

『……う……うっ……』

 代わりにでてくるように少女は涙を流し、

 

『助けて、くれて……ありがとう……。そして……ごめんな、さい……』

 

 絞りだすようにそう告げたのだ。

 

『……沙代(さより)……』

 

 その時の悲鳴嶋(ひめじま)の感情を表すのは非常に難しい。

 悲鳴嶋(ひめじま)は言ってやりたかった。

 

 ――なぜ今なのかと。

 

 ――なぜあの時言ってくれなかったのかと。

 

 ――今更来られても何も変わらない、と 

 

 それでも。それでも――。

 

『……ああ、ああああ!』

 

 目からの涙が止まらなかった。

 それはいつもしているような慈悲の涙ではなかった。

 

 嬉しくて、何かが満たされるたようで……。

 

 それを見て沙代(さより)も今まで以上に涙を流し。

 

 悲鳴嶋(ひめじま)沙代(さより)の二人は引かれるに抱き合って。

 

 何度も何度も。謝罪と感謝の言葉のみを互いに口にして。

 

 

 その後のことは光哉は知らない。

 彼はそれを見た後姿を消したのだ。

 

 そののち、どうやら彼らは一緒に住むことになったらしい。もともと孤児だった沙代(さより)を悲鳴嶋が引き取るような形になったのだろう。

 

 

 ……。

 …………。

 

 

 光哉は彼らに恩を売ったと感じてすらいないだろう。悲鳴嶋と沙代(さより)の前から姿を消したのも自分は邪魔だと思ったからに他ならない。

 光哉からすれば、もともとあるべき形に戻したにすぎず、それを恩として売りつけるなどありえないと思っていたのだ。

 

 だが、この状況を見るに、相手からしたら違ったということだろう。

 

「なぁ不死川、天元、俺はさ、戦いが嫌いなんだ」

 光哉はこの状況でもなお言った。

 

「剣士の死体を積み上げて、1000年と終わらない停滞するこの状態を維持するだけ。だったらもうやめよう」

 ギリギリ、と。彼らの刀が震えている。怒りに震えているの目に見えて分かる。

 

「鬼無辻にお願いしよう。もう鬼を作らないで下さいと。太陽を歩けるようにするのでもう人を食べないでくださいと」

 明らかに相手を煽る様に――敵対するように言葉を作っていた。

 

 それがわかっていても限界だったのだろう。

 その瞬間、不死川の刀が光哉の目の前まで迫っていた。

 だが――。

「……富岡てめぇ……」

 

 その刀は目の前で止まっていた。義勇が割って入ったのである。

「……まだ、判断材料が出そろっていない」 

 

 光哉の手にも竹刀――『時雨金時』があった、もしもの時は防ぐつもりだったが、今は義勇が守ってくれた事実に泣きそうだ。

 

「まぁ俺自身一パーセントでも可能性があれば程度のものだ。情報も圧倒的に足りない」

 光哉は続けた。

 

「けど、俺は無惨に対する切り札をの存在知っている」

 その言葉に『柱』の全員が反応した。

 

「……それはなんだ。派手なものか……」

「いや、派手かは知らないが、まぁうまくいけば無惨を追い詰めることはできるんじゃないか?」

「――!」

 向けられている刀に力が入る。

 その殺せる手段を拷問してでも聞きだそうという意思をひしひしと感じた。

 

「落ち着け……。うまくいったらとは言ったが成功率は相当低い。まぁそもそも今の鬼殺隊じゃ弱すぎてそこの段階まで行けないわけだが」

「弱い……だと」

「『柱』であるあんたたちは勿論強いさ、けどどうあがいても人間レベルで、だ。恐らく『十二鬼月』の上弦が……5、いや階級次第では3人か……。それだけいれば全滅するだろう」

「……てめぇ……!」

 不死川はそう言いながらも動かなかった。

 ここは情報を引き出すべきだと考えているのかもしれない。思いのほか冷静だ。

 

「光哉殿、今の話を聞く限り、あなたは上弦について、さらには鬼無辻についてもなにか知ってるように感じるがいかがだろう」

 それを言ったのは煉獄だった。

 恐らく、少しでも光哉が有利になる質問をしたのだろう。

 光哉はそれを嬉しく思いつつ。

 

「……、……()()()()

 

 知識について語らなかった。

 

「けど、分かるだろう。上弦を倒した情報がここ数百年上がってきていない。『柱』達だって殺されている。今の『柱』と以前の『柱』どれだけ力に差がある?」

 一段階。空気が冷たくなるのを感じた。

 それでも光哉は続けた。

 

「勘違いするなよ。俺の目的はあくまで輝哉と同じ場所にある。無惨だって殺せるならそれに越したことはない」

「……、」

 言っていることがめちゃくちゃだった。 

 結局のところ光哉が何をしたいの分からなくなってくる。

 

 そんな『柱』達の感情を無視し、光哉は――ただ、とそう続けて。

 

「それのせいで俺の周りの人間が死ぬのは許容しない」

 

 その直後だった。

『――ッ!!?』

 『柱』である全員が自身にまとわりつく何かを感じた。

 全員がその何かを感じ取り行動をおこそうとする。

 しかし、その()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(なんだこれは、急に動きが地味に……!?)

 全員がその異変に対処すらできない中、光哉はゆっくりと立ち上がる。

(……腕が……なんでッ)

 

 カナエは動かそうとした腕が異様に重く、いいやこの場合は思うように動かせないと言ったところか、そのせいで光哉の勝手を許してしまっている。

 

「輝哉は無惨を討つべく動いている。別にあんたらもそれでいい……」

 光哉は彼らの刀の檻から抜けるようにゆっくりと歩いて、彼らの視線を横切って行く。

 

「ただ俺は違う。俺は誰も死なないのならば無惨の命なんて心底どうでもいいんだ……」

 その手には、いつ持ったのか、一本の刀が握られている。

 

「同意が欲しかったわけじゃない、ただ――死なないでくれ。お前達が無理でも俺が終わらせてやる」

 そう言って、光哉は襖をあけ、部屋の奥へと消えていった。

 

 

 +++++

 

 

 傲慢なもの言いだった。

 結局のところ光哉は、あの男は鬼殺隊を信じていないと言い切ったのと同意だった。

 

 さらには、それと同時にあの言葉――「死なないでくれ」、これを言った時の光哉顔がとても悲しそうにしていたのが気にくわない。 

 

「……あ、動ける?」

 その声と同時に『柱』達は止まった時が動き出したかのように硬直を解いた。

「派手にやられたな……」

「なんだったんだ今のは、オイ『水柱』、てめぇなら何か知ってんじゃねぇのかよ!」

「……、」

 

 その不死川の問いに義勇は何も言わない。彼自身、今のが何なのか答えられないのだから無言が正しいと思っているようだ。

 

「なぁ悲鳴嶋さんに煉獄さんよ、あんたらなら動けたんじゃないのか? 何故止めなかった、あいつは何か知ってるような感じだったろうが、裏切ってるかもしれねぇ」

「不死川、気持ちは分かるが落ち着け……南無……」

「落ち着け!? あいつは俺たち鬼殺隊を、死んでいった多くの隊士を侮辱したんだぞ!!」

「……不死川」

 

 不死川のそれを止めるように悲鳴嶋は名前を呼ぶが、彼のそれは止まらない。止められない。

 親友であるあいつを馬鹿にされたようなものだった。

 死んでいった者達の行動を無意味とけなされているようなものだった。

 

 鬼無辻無惨を討たないとはそういう事だ。 

 

「助けたいだのなんだの言ってたがあいつ一人に何ができる!? 結局のところあいつは弱腰だッ! 意志も告げねぇ、役目もはたせねぇ。鬼を殺すのが鬼殺隊だろうが!」

 それでも怒りが収まらないのか。

 続けようとするそれに。

 

「『黙れ不死川』」

「――ッ!!」

 

 一瞬、体中の毛穴から汗が噴き出したように感じた。

 いつも通り手を合わせ、拝んでいる悲鳴嶋の背後に形容詞しがたい何かがゆかんだようにすら感じた。

 そのまま真っすぐ不死川の顔を見て――

 

「――嘘をつくな」

 

 今度は菩薩のように優しい笑みでそう言った。

「……ッ!」

 

 不死川は口を噤む。

 この場にいる全員がわかっていた。

 

 光哉と言う人間が本当に他人の死を許容できないのだと、あの表情を見せられれば誰でもわかった。

 戦いに向かない。

 剣すら持っているい事が疑わしいようなそんな人間だと。

 

 不死川の言っていることに間違はなかった。

 光哉は死んでいったものを否定すらしているのは紛れもない事実なのだから。

 ただ彼はそれでも選んだのだろう。

 

「光哉様は選んだのだ。亡くなった者よりも、今生きている者を選択なされたのだ」

 

 故に鬼殺隊として動いていなかった。動けなかった。

 

「……ちッ」

 不死川もそれ以降口を出さなかった。

 

 そして。

「俺はもう行く……」

 

 そう告げた義勇をかわきりに、一人、またひとりとその場から姿を消した。

 彼らは『柱』なのだ。であるならやらなければならないことも多いだろう。

 

 ……。

 

「煉獄殿……」

 その場に残ったのは悲鳴嶋と煉獄の二人だけだった。

「わかっている」

 

 煉獄は静かに答えた。

 

「南無……光哉様にとって、我々との対立は必要だと判断されたのだろう」

「光哉殿は今まで以上に一人で動くおつもりだ。その時に私たちの戦力が自身へ貸さないように釘を刺しに来たと言う事か」

「それで自ら敵対しようなど……不器用も度が過ぎる」

 

 悲鳴嶋は、輝哉はその人物がほしい言葉を求とめている言葉を言ってくださる。救いの言葉をくれるお方だと言ったことがある。

 なら光哉はどうだろう。

 

「光哉様は、我々に必要な行為を用意してくださる。例え自らを否定されようとも、動かずにはいられない」

 

 例えば煉獄の妻の事などそうだ。

 力になれるかもしれないとのたまって、結局助けられなかったでは、煉獄はきっと光哉に怒りを向けたに違いない。

 沙代(さより)の件にしても同様だった。

 悲鳴嶋が沙代(さより)を許すことができなければ、悲鳴嶋にとって光哉のそれは暗い過去をつつかれたのとなんら変わらない。

 

 光哉もそれは理解していた。それでも行動したのは、もし――今よりいい未来があるかもしれないならと、例え自身が嫌われようとも……。

 

「後はあの噂……可能性ができてたな」

 煉獄は言った。

「もし、それを行っていたのが光哉様なら、鬼滅隊が揺らぐ。だから先んじて……いや、流石に考えすぎか」

 

 悲鳴嶋はその煉獄の予測には何も言わなかった。

 普通ならすぐに否と言うべきところ……光哉でならやるかもしれないと思っているからだ。

 

 近年の鬼の出現回数が、鬼滅隊の被害が、その噂が出てきてから半分以下へとなっている。

 

 その意味はつまり……。

 

『鬼だって人だったのです。だったら心を通わせられるかもしれません』

 

 いつだったか、『花柱』が言ったその言葉を、なぜか悲鳴嶋は思い出していた。

 

 

   




先日、感想で主人公についてあれこれ意見がありました。

 それについてまぁ私が思ったのは、今から証拠を提示すると言うのに、「犯人はお前だ!」と言った後に、「証拠もないくせに!」と言われた探偵の気持ちです。

小説において、主人公の心情や葛藤、あるいは敵キャラの目的や考え、ヒロインの魅力など、それらは何十話かけて明かされていくものです。

『主人公が何をしたいのか理解出来ず、ただの懊悩したフリをする脳天気な妄想家にしか見えませんでした』と言う意見がありましたが、私からすればそれはこれから数十話かけて言うつもりの事なので今言われてもって感じです。

 ツンデレヒロインの事を、「あいつうざくね、魅力ないよな、なんでヒロインにしたんだ?」と、デレシーンが来る前に評価しているようなものだと思ってください。
 作者からしたら、イベント時に「デレるから!」「そこに魅力を入れているから」と叫びたい気持ちでいっぱいでしょう。

 数千文字程度を一話として構成するのが一般的なssハーメルンにおいて、たった数話で評価できるのは、「好み」やら「書き方」ぐらいだと私は思っています。

 プロローグ程度でで主人公のすべてを分かったような事を言われても、まだこれから見せていく、つまりネタバレでしかないので何も返せません。

 無惨との交渉云々で、主人公はどのように考えているのか、と言うご意見もありましたが、それこそ今後少しずつ見せていくものです。
 私自身、そこに力を入れるつもりですし、入れなくてはならないと思っています。

 ただ、物語が終わってないにも関わらず『主人公は懊悩したフリをする脳天気な妄想家』などと言われたら、ほとんどの作品がそうなります。

『ブラッククローバー』魔力無しが魔法帝になると叫ぶ――妄想ですね。
『ワンピース』海に出たことない青年が海賊王になると言う――能天気ですね。

 違うでしょ?

 なまじ原作が存在する二次創作だからこその意見なのかもしれませんが、そもそも『鬼滅の刃』も終わっていないのに、「無惨の性格はこうだ」「無惨はこんな人間だ」と言われても首を捻るしかありません。

 無惨が本当にただの悪党キャラとして終わるのか、それとも他の鬼のように、憐むような何かがあるのか、それはまだ誰にも分からないではずです。

 一応補足しておくと、鬼滅の刃が完結するまで、この作品も完結することはありません。
 『交渉』と言うワードを入れたのは、無惨の今後の設定を見て、戦う結末にするか、話合いでも行ける結末にするか選べるからです。 
 私もなん通りかラストを考えながら進めています。

 こんなメタ的な事は言うつもりなかったのですが、二次創作では仕方ないのかもしれませんね。
『鬼滅の刃』のように伏線がまだ回収しきれていない作品だとなかなか、それに合わせて話を分岐させられるように考えている私たちからすれば厳しい限りです。

 長くなりましたが小説、漫画問わず、キャラの魅力なんて最後まで見おわった後でも議論できるものだと私は思っています。

 もし、五、六万字程度で、物語のすべてを知りたいのでしたら、長編ものではなく短編ものを見ることをお勧めします。


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