僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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満を持しての投稿開始です!!


試験召喚戦争編
プロローグ 再会


桜散る季節

 

その桜並木を、3人の男女が歩いていた

 

「あれから5年か………」

 

そう呟いたのは背筋がピンとしている男子で、名前は土見稟(つちみりん)と言う

 

「明久くん……」

 

その右隣に立っているのは、セミロングの橙色の髪にリボンを結んだ美少女で、名前は芙蓉楓(ふようかえで)

 

稟の幼なじみの一人である

 

「アキくん……」

 

そして稟の左側には、全体的に長い黒髪を前側だけリボンでツインテールに纏めた大和撫子と言える美少女が居た

 

名前は八重桜(やえさくら)

 

桜も稟の幼なじみである

 

そんな三人の表情には陰りがあり、晴天とは裏腹だった

 

しばらく歩いていると、大きな校門が見えた

 

そして、その校門の前には、筋骨隆々の男性が脇に箱を抱えて立っていた

 

「「「おはようございます。西村先生」」」

 

「うむ、おはよう」

 

男性の名前は西村宗一(にしむらそういち)と言い、通称が鉄人である

 

鉄人と呼ばれる理由は、彼の趣味にある

 

彼の趣味は、筋トレ、レスリング、トライアスロンなのである

 

西村は挨拶をすると、脇に抱えていた箱から、三通の封筒を取り出して

 

「ほれ、これがお前達のクラス分けだ」

 

と稟達に、手渡した

 

「「「ありがとうございます」」」

 

三人はお礼を言うと、封筒を開けはじめた

 

何故、こんな方法で発表するのか

 

それは、この学園が有名なのと特殊なシステムを採用してるのが上げられる

 

まず、この学園が有名な理由

 

それは、この学園に通っているのは人間だけではない

 

神族と魔族も通っているのだ

 

神族と魔族とはなにか

 

それは、今から約10年前に太平洋のある島にあった、ある遺跡から端を発する

 

その遺跡に突如、巨大な門が出現して、開いたのだ

 

これが今で言う、<開門事件>である

 

この開門事件で、世界中は神族と魔族に邂逅したのだ

 

神族と魔族は見た目、同じ人間に見えるが、耳が特徴的に違うのだ

 

神族と魔族は耳が尖っているのだ

 

しかも、この二つの種族は、それまで絵空事と言われていた<魔法>が実在すると言う証明になったのだ

 

それにより、世界は彼らと交流するべく、世界中に交流指定都市を作ることを制定したのだ

 

そのひとつがここ、文月学園の存在する光陽町なのだ

 

そしてこの文月学園は、その魔法と最先端科学と少しの偶然で世界初のある特殊なシステムが開発されたのだ

 

それが<召喚獣システム>である

 

この召喚獣システムは、生徒のテストの点数がそのまま強さになるのだ

 

故に、この学園では世界で初めて、テストの点数上限が廃止されているのだ

 

そして、その点数により上はAクラスから下はFクラスまで組分けをするのだ

 

クラス分けをすると、設備に差が生まれる

 

その差は激しく、Aクラスは豪華の一言で、反対にFクラスはボロボロらしい

 

何故、そんなに差をつけるのか

 

それは、召喚獣システムに起因する

 

この召喚獣システム

 

戦わせることが出来るのだ

 

それを個人戦ではなく、集団でやったらどうなるか

 

それが、この学園の特色、試験召喚戦争である

 

試験召喚戦争はお互いのクラス設備を賭けて戦うのだ

 

しかし、前述した通り、上位のクラスとは点数差がある

 

だったら、どうやって勝つのか

 

召喚獣の操縦技術を上げるか

 

策謀をめぐらせるか

 

テストの点数を上げるしかないのだ

 

それを利用して勉強意欲を掻き立てようというのが、文月学園の目的なのだ

 

そして、三人の結果は

 

土見稟 Aクラス

 

芙蓉楓 Aクラス

 

八重桜 Aクラス

 

だった

 

「流石だな、お前ら! さぁ、胸を張ってクラスへ行け!」

 

「「「はい」」」

 

西村の言葉に、三人は頷いて教室へと向かった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

場所 Aクラス前の廊下

 

「なぁ……ここ、本当に学校か?」

 

稟はそう言いながら、固まっていた

 

「あ、あははは………」

 

「これでは…ホテルと言えますね………」

 

桜は苦笑いしか出来なくて、楓は一応笑っているが、驚いている

 

すると

 

「ねぇ……扉の前で、固まらないでくれる? 入れないんだけど」

 

と、三人の背後から女子の声

 

三人が振り向くと、そこに居たのは

 

「木下さん。おはようございます」

 

「優子ちゃん。おはよう」

 

「木下さん。おはよう」

 

上から、楓、桜、稟の順番である

 

三人がそれぞれ、挨拶すると

 

「ええ、おはよう」

 

木下優子(きのしたゆうこ)は挨拶しながら、ドアを開けようとした

 

 

それを稟が止めた

 

優子は、いぶかしむような視線を稟に向けた

 

すると、稟はジェスチャーで横にどくように指示した

 

優子は首を傾げながらも、指示に従った

 

すると、稟は深呼吸して

 

ドアを一気に開けた

 

その瞬間

 

「ようこそ、楓ちゃん! 俺様の」

 

と眼鏡を掛けた男子が、両手を広げて突撃してきた

 

それを稟は

 

「フン!」

 

短い呼吸と共に、腰の入った右拳を男子の腹部に叩き込んだ

 

「ガフッ!?」

 

「相変わらずだな……(いつき)

 

眼鏡を掛けた男子

 

緑葉樹(みどりばいつき)

 

彼は頭が良く、スタイルも抜群だが

 

女遊びが悪く、趣味がナンパと言う程である

 

稟とは文月学園に入ってから知り合ったが、親友でもあり悪友だ

 

「り、稟か……いい拳だ……」

 

そこまで言うと樹は、腹部を押さえながら倒れた

 

それを稟は気にすることなく、教室に入った

 

「ね、ねぇ……これ、いいの?」

 

優子は呆然としながら、倒れてる樹を指差した

 

「あはは……何時もの事だから」

 

「はい……何時もの事なんです」

 

二人は苦笑いしながら、教室に入った

 

優子は倒れた樹を気にしながら教室に入った

 

すると、ちょうどよくチャイムが鳴った

 

そしてチャイムが鳴ると同時に、女性が二人入ってきた

 

「私は学年主任であり、Aクラス担任の高橋洋子(たかはしようこ)です」

 

「そして、私は副担任の紅薔薇撫子(べにばらなでしこ)だ」

 

二人がそれぞれ自己紹介すると、背後のプラズマディスプレイに名前が表示された

 

紅薔薇撫子が現れた時、稟は内心嬉しかった

 

紅薔薇撫子は、稟達をなにかと気にしてくれて、時々相談にも乗ってくれた

 

「では、設備を説明する前に、編入生を紹介します」

 

そう高橋女史が説明すると、教室内が騒がしくなった

 

すると

 

「やかましい! グラウンドをタイヤ引き40周させるぞ!?」

 

一言言い忘れたが、紅女史は熱血教師である

 

紅女史の言葉に、Aクラスは流石に黙った

 

すると

 

「では、入ってください」

 

と、高橋女史がドアに向けて言った

 

 

現れたのは

 

「おーう! なかなかいい設備じゃねぇか!」

 

「そうだね、神ちゃん。これなら、ウチのネリネちゃんの勉強もはかどるだろうね」

 

二人の男性だった

 

稟はその二人を見て、少し驚いた

 

その二人の男性は人間ではなかった

 

片方は黒い服を着た長身の男性で、耳が異様に尖っている

 

魔族の証拠だ

 

もう片方は、鍛え上げられた筋肉が凄まじく、着流しで隠しきれていない

 

そして、魔族ほどではないが尖った耳

 

神族の証拠だ

 

その二人が入ってきたことにより、教室内は完全に固まっている

 

「で、目的の人物はどこだい?」

 

「ちょっと待ってろよ………お? 居た居た」

 

魔族の男の言葉に、神族の男性は目を凝らして教室を見回して

 

稟を見ると、近づいてきた

 

「おめぇが稟殿か……なるほど。いい眼をしてるじゃねぇか! うちのシアをよろしく頼むぜ?」

 

神族の男性はそう言いながら、稟の背中を叩いた

 

あまりの強さに、稟は前のめりになった

 

「おっと、抜け駆けするのはナシだよ、神ちゃん! 私のネリネちゃんもよろしくね!」

 

魔族の男性は慌てた様子で、稟の肩に手を置きながら言ってきた

 

「は、はい?」

 

と稟が困惑していると

 

ドゴオ!!

 

という凄まじい音と共に、神族の男の頭が横にズレた

 

「もう! お父さん! 恥ずかしいから、それ以上なにもしないで!!」

 

その背後には、両手にパイプイスを握っている神族の少女が居た

 

(あのイスで殴ったのか?)

 

稟はあまりの事態に着いていけず、呆然としていた

 

「シア? 椅子はやめろと何度も言ったろうが………」

 

どうやら、椅子で殴るのは日常茶飯事らしい

 

「これじゃないと、効果がないし、少し血の気を抜くくらいが丁度いいんです!」

 

苦言してきた父親に少女は毅然と言い放つと、顔を稟に向けて

 

「ゴメンね、稟くん。大丈夫?」

 

ペこりと頭を下げて謝ってきた

 

「お父様もやり過ぎです。稟様が困ってるではありませんか」

 

「いやあー、ゴメンね? ネリネちゃんの可愛さを分かってほしくて、つい……」

 

気付けば、魔族の男性の後ろに魔族の少女が居た

 

しかも、美少女と言っても過言ではない

 

「で、どっちが原因なの?」

 

と、神族の少女が問い掛けると

 

「「神ちゃん(まー坊)が!」」

 

と二人して、互いを指差した

 

すると

 

「「二人とも同罪です!」」

 

「「はい……」」

 

と、半ば漫才をしていたら

 

「で、話を進めてもよろしいですか?」

 

紅女史が、笑顔だが、凄まじい覇気を放出していた

 

「「「「はい……」」」」

 

四人はうなずくことしか、出来なかった

 

閑話休題《そんでもって》

 

「リシアンサスです! 神界からやってきました! まだ不慣れなこともあるかと思いますが、よろしく頼むっす!」

 

「ネリネと申します。皆さん。よろしくお願いします」

 

二人が対極に自己紹介すると

 

「私の名前はフォーベシィ。ネリネちゃんの父親であり、魔王である。見知っておいてくれたまえ」

 

「俺の名前はユーストマだ! シアの父親で神王をやってる! まあ、よろしく頼むぜ?」

 

続いて、父親二人が衝撃的な発言をした

 

 

「お二人は結構です………それに、まだ一人終わってません!」

 

紅女史が顔を赤くして、一人の男子を指差した

 

紅女史が指差して初めて、Aクラスの面々はそこに男子が居ることに気づいた

 

そして、稟、楓、桜の三人はその男子を見て固まった

 

なぜか

 

理由は簡単だ

 

その男子は………

 

「俺の名前は吉井明久(よしいあきひさ)と申します。リシアンサス殿下とネリネ殿下の護衛を勤めています」

 

死んだと思っていた明久だったからだ

 

「明久!?」

 

「明久くん!?」

 

「あ、アキくん!?」

 

稟達は思わず、立ち上がっていた

 

 

 

これは、悲しみを背負って、自ら犠牲になった少年と

 

幼馴染の少年少女たち

 

そして、周囲の人物達が奏でる

 

ひとつの物語である


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