僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

14 / 68
二人の少女

清涼祭当日

 

場所、Aクラス教室

 

そこには、数十人の生徒達が集まっていた

 

Aクラス主導によって出店される、メイド&執事喫茶

 

それが、もう間もなく開店する所である

 

「……皆、準備はいい?」

 

「はい!」

 

「バッチリっす!」

 

「万事抜かりなく」

 

翔子の言葉に、全員は口々に答えた

 

なお、雄二は面倒くさそうに翔子の隣に立っている

 

その時

 

『これより、文月学園文化祭、清涼祭を開催します!』

 

という放送が流れた

 

「そんじゃあ、始めー」

 

という雄二の気怠げな宣言の直後、全員は各自の持ち場へと向かった

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「いらっしゃいませ、お嬢様方。何名様でしょうか?」

 

「はい、ショートケーキとストレートティーのセットですね」

 

「五番と七番の注文出来上がり!」

 

清涼祭が始まって僅か数十分だと言うのに、AF合同出店は大盛況だった

 

列は既に長蛇の列と化しており、最後尾は三十分待ちとなっている

 

中には、メイドをナンパしようとした奴も居たが、《懇切丁寧に》退場してもらった

 

しかしながら、懲りないバカが居るもので……

 

「お嬢様、この後俺様と甘ーいアバンチュールでも……」

 

「はいはーい、エビフライ♪ エッビフライー♪」

 

「新しい世界が見える!」

 

という遣り取りや

 

「ふむ……あの御婦人はなかなか……」

 

「1、2、3! スピニング・サンダー、キーック!」

 

「アガポ!?」

 

等々があった

 

しかし、一番の問題はFクラスの男子達だった……

 

なぜならば、執事の格好をしている稟と明久が人気でそれに嫉妬して飛びかかっては、明久によって迎撃されていた

 

それでも、すぐに復活するのは生命力が強いからか……

 

なお、途中明久は

 

「あの店に予約しておくか……」

 

とどこかに電話していた

 

そして、始まって数時間後

 

『間もなく、試験召喚獣大会第一回戦を始めます。選手の方々は各試合会場まで集まってください。繰り返します……』

 

という放送が聞こえた

 

その放送を聞いて、雄二と康太の二人は頷ずくと教室から出ていった

 

試験召喚獣大会は三回戦まで観戦は出来ないので、クラスメイト達は心中で応援しながら見送った

 

それから十数分後、二人は勝利して帰還

 

それからしばらくの間は、模擬店に精を出した

 

しばらくして、明久の携帯に電話が掛かってきた

 

画面に表示されている名前は、部下であるフリージアだった

 

フリージアから掛かってくるなんて、珍しい。と明久は思いながら、携帯を耳に当てて

 

「フリージア、どうした?」

 

と出た

 

すると、フリージアは緊張した様子で

 

『申し訳ありません、隊長。魔界本城の方から連絡で……プリムラ様を見失ったとの報告が上がってきました』

 

「なに?」

 

フリージアの報告を聞いて、明久は眉をひそめた

 

『どうやら、交代のタイミングを狙われたようです。今現在、第五分隊が足取りを追ってます』

 

「最後に確認された場所は?」

 

『門です』

 

フリージアの報告を聞いて、明久は片眉を上げた

 

「門だと?」

 

『はい……人間界側の門まで到着したことは確認しました』

 

フリージアの報告を聞いて、明久は顎に手を当てて黙考してから

 

「第六から第八分隊まで投入してかまわない。必ず見つけろ」

 

『了解』

 

明久は通話が終わると、携帯をポケットにしまった

 

その時だった

 

『ありがとうございます、お兄さん!』

 

『……ありがとう』

 

『良いってことよ、チビっ子共』

 

という声が聞こえて、一人は雄二だとすぐにクラスメイト達にはわかった

 

しかしながら、ある三人は固まった

 

なぜならば、この場では聞こえてはいけない声が聞こえたからだ

 

「んで、誰を探してるんだ?」

 

と雄二は言いながら、ドアを開けた

 

「あ、優しいお兄さん!」

 

それと同時に、一人の少女が駆け出した

 

駆け出した少女はそのまま、稟に飛びついた

 

「おっと……あ、君は……あの人形の?」

 

葉月(はづき)です!」

 

稟は思い出したのか、少女を見ながら首を傾げて、少女、葉月は元気に名乗った

 

「稟くん、その子は?」

 

「ああ……少し前にぬいぐるみを買いたがってた子でな。お金を払ってあげたんだ」

 

「あの時はありがとうございました!」

 

問い掛けてきた桜に説明し終えると、葉月が頭を下げた

 

その時、もう一人の少女が静かに稟に歩み寄った

 

その少女は人族ではなく、神族か魔族を示す尖った耳に銀色の髪が特徴で、腕にはボロボロの猫のぬいぐるみを抱えていた

 

まさか文月学園に来るとは思わず、明久、シア、ネリネの三人は固まった

 

「……リン?」

 

「おぉ? 俺は土見稟だが……」

 

少女が稟を見上げながら首を傾げていると、稟は自身の名前を教えた

 

その数舜後、少女は稟に抱きついた

 

「ほっ!?」

 

「リン……会いたかった」

 

稟が驚くなか、少女はそう呟いた

 

「リムちゃん……」

 

「なんで、ここに……?」

 

そのタイミングになって、ようやくシアとネリネが我に戻り呆然としていて、明久は携帯を取り出して

 

「俺だ。プリムラ様を探索に向かわせた全部隊を撤収させろ。プリムラ様が見つかった」

 

とフリージアに連絡していた

 

この直後、FFF団が稟に対して突撃したが、明久によって瞬く間に殲滅された


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。