僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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竹原の陰謀

プリムラが来て、十数分後

 

明久はなんとか、プリムラの近くに居ながら、自身の部下である瑠璃=マツリとフリージアに連絡を取って近辺に近衛の第一から第三分隊を配置させた

 

そして、プリムラは明久が出したオレンジジュースを席に座って飲んでいた

 

そんなプリムラはまるで、小動物を彷彿させてクラスメイト達は癒された

 

そして葉月に関しては、姉の島田が来て、一緒に学園祭を回ることになった

 

そして、数十分後に放送で試験召喚獣大会二回戦が行われることが知らされた

 

その放送を聞いて、雄二は康太と一緒に会場へと向かった

 

そして、数分後だった

 

「二人だ。中央付近の席は空いてるか?」

 

とスキンヘッドとソフトモヒカンの男子達が入ってきた

 

「どうぞ、こちらへ」

 

その二人を伴い、Aクラス所属の神族の少女が席まで案内した

 

「おう」

 

案内された二人は鷹揚に頷くと、席に座った

 

そして、数分後だった

 

「おい! 責任者を呼べや!」

 

「飯が不味いし、接客態度も悪いんだよ!」

 

と先ほどの二人が騒ぎ出した

 

周りの客は二人を迷惑そうに見ている

 

その時、一人の神族の男が近づいてきて

 

「ほう……ウチのシアの飯が不味いと……?」

 

と地を這うような声が聞こえた

 

「む? ……この声は……まさか?」

 

明久はその声を聞いて、脳裏に一人の人物が浮かんだ

 

神族なのに、妙に体格が良く、拳で語る人物を

 

そして、向けた視線が捉えたのは、間違いなくその人だった

 

「あぁ? 誰だアンタ?」

 

「誰だ、オッサン?」

 

騒いでいた二人は、自分達に近づいてきた神族の男

 

神王、ユーストマを見て訝しんだ

 

明久はまさか、神王が来るとは思ってなかったので固まった

 

「おめぇら……ウチのシアの飯が不味いと……」

 

明久は気付いた

 

あの二人は、神王ユーストマの逆鱗に触れたのだと

 

ユーストマが睨みを効かせると、二人は少し怯みながらも

 

「あぁ、不味いんだよ! どんな教育したんだよ、アァ!?」

 

とユーストマを睨んだ

 

「そうかいそうかい……なら、ちぃとばかし、裏行こうや」

 

ユーストマはそう言うと、二人の襟首を掴んで軽々と持ち上げた

 

「グォッ!? 離せや、コラっ!?」

 

「ふざけんな! 離せ!」

 

二人は暴れるが、ユーストマは完全に意に介さずに二人を引きずっていった

 

なお、ユーストマは机の上にキチンとお金を置いていった

 

何気に、フォローを忘れない神王だった

 

ゆえに、慕われているのかもしれない

 

明久は三人を見送ると、呆然と固まっていた翔子の横を通ってフロアの真ん中に立って

 

「お客様方、大変お騒がせしましたことを深くお詫び申し上げます。お詫びとしましては、今現在いらっしゃるお客様方に関しましては、全員二割引にて対応させていただきます。これからも、ごゆっくりとお過ごしください」

 

と頭を下げた

 

すると、ようやく我に返ったらしい客が

 

「ああ、いや……気にしないでいいよ」

 

「今のはどう考えても、あいつらがおかしい」

 

「あ、すいません。ピラフお願いします!」

 

と次々に言った

 

すると、明久に翔子が近づいてきた

 

「……対応、ありがとう」

 

「すまんな、勝手に値切りをした」

 

明久が謝罪すると、翔子は首を振った

 

「……あの時は、あれが最善だった」

 

「すまんな。フォローには回る」

 

明久はそう言うと、素早く携帯を取り出して

 

「買い出し班。すまないが、買い出しを追加する……」

 

と連絡を取り始めた

 

買い出し班は、開店から予想外の客入りだったので急遽編成した班である

 

明久はそれの統括を任されており、発注内容は耳に着けてあるインカムから聞こえる声から判断している

 

つまりは、明久の頭の中には残っている在庫数から予想される消費量をはじき出し、発注内容を決めているのだ

 

これは、普段から即座に部下に対して指示している明久だから出来た芸当である

 

確かに、翔子の記憶力も桁外れに高い

 

だが、翔子は無口なことが災いして、指示することには慣れてない

 

ゆえに、明久にその役回りが回ってきたのだ

 

その時、雄二と康太が帰ってきた

 

「……試合は?」

 

翔子が問い掛けると、雄二は肩をすくめて

 

「勝ったに決まってんだろ」

 

「……楽勝だった」

 

雄二に続いて、康太はそう言うと、それぞれ担当に戻った

 

そして、またしばらくして

 

『まもなく、第三回戦を開始します』

 

という放送が聞こえて、雄二と康太の二人は教室から出ていった

 

それから、数分後だった

 

『隊長、不審な男達がそちらに向かってます』

 

という報告が、クラス用とは反対側に着けたインカムから聞こえた

 

「人数と種族は?」

 

『人数は10名程。種族は人族と魔族ですね』

 

明久が問い掛けると、フリージアが報告してきた

 

明久はそれを聞くと、数舜考えてから

 

「周辺警戒を厳としろ。伏兵が居るやもしれん」

 

と通達すると、袖の中から魔力刀の柄を取り出した

 

その直後、ドアが蹴破られて十数人の男達が乱入してきた

 

その男達の手には、ナイフが握られていた

 

それを見て、クラスメイト達は悲鳴を上げて離れた

 

だが、その瞬間に明久は男達の懐に踏み込んでいて

 

「神剣二刀流、参の太刀……桜花!」

 

と一瞬にして、男達を制圧した

 

明久は男達が気絶したのを確認すると、塚を仕舞ってから男達の拘束を始めた

 

すると、ドアから白髪にメガネを掛けた男

 

文月学園教頭、竹原が入ってきて

 

「君、一般参加者に手を出すとはどういう了見だ? 今すぐ、教頭室に来なさい」

 

と言った

 

すると、明久は教頭を睨みつけて

 

「貴様こそ、どこを見ている? この男達は凶器を持っていたんだぞ? それに、来たタイミングが嫌に良いな? どういうことだ?」

 

と詰問した

 

すると、竹原は口を噤みメガネを押し上げて

 

「……申し訳ないが、私はまだ仕事があるのでね」

 

と言うと、教室から去った

 

明久は去っていった竹原を、ずっと睨みつけるとインカムに対して

 

「フリージア、第四分隊を風紀委員会に偽装して回してくれ。男達の身柄を回収して、尋問しろ」

 

『了解。マツリと共に向かわせます』

 

明久はそれを聞くと、ドアを見て

 

「こっちはフォーベシィ様に頼むか」

 

と呟くと、携帯を取り出した

 

こうして、陰謀塗れの文化祭の一日目が過ぎていく


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