僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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文化祭、二日目

翌日、Aクラス教室

 

「これから二日目なんだが……お前ら、大丈夫か?」

 

雄二がそう問い掛けた先に居たのは……

 

「「「「「大丈夫だ……尻以外問題ない」」」」」

 

へっぴり腰状態になりながらも、そう言い返すFクラス男子達の姿があった

 

なぜ、Fクラス男子達がそんなことになっているのか

 

理由は簡単

 

とある青繋ぎを着た男が経営する、二十四時間営業のBARに転移させられて、《自主規制》されたのである

 

なお、男子達の中には

 

「ああ……兄貴……」

 

と言いながら、恍惚な表情を浮かべている男子も居る

 

雄二は冷や汗を流すが、気持ちを持ち直して

 

「それじゃあ、てめぇら……持ち場に付け!」

 

と号令を下した

 

雄二の号令を聞いて、Aクラス及びFクラスの生徒達は各自の持ち場へと駆け出した

 

ふと気づけば、雄二の首にはワイヤーが繋がっていて、それは翔子の手に繋がっている

 

なにがあったのかは、詳しく知る者は居ないし、雄二は詳しくは語らない

 

『これから文月学園文化祭二日目を開催します!』

 

という放送の直後、生徒達は歓声を上げた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

それから数時間後

 

『これより、試験召喚獣大会準決勝を開催します! 選手及び観客の皆さんは第二会場までお集まり下さい! 繰り返します……』

 

という放送が掛かった

 

それを聞いて、雄二と康太は互いの顔を見て頷いてから教室を出た

 

その頃、明久は瑠璃=マツリと桜の二人と一緒に居た

 

明久と桜は休憩時間が重なったので一緒に出て、瑠璃=マツリは近くに居たのを明久が呼んだのである

 

明久と桜は並んで歩いているが、瑠璃は少し後ろを歩いていた

 

これは、彼女の生真面目な性格が起因している

 

だが、そんな彼女とて年頃の少女である

 

本音を言うと、桜と同じように明久と並んで歩きたい

 

だが、自分は明久の部下であって……

 

という葛藤が、彼女の頭の中でグルグルと巡っていた

 

すると、そんな彼女の様子に気付いた明久がスッと瑠璃に近づいて

 

「ウジウジと悩んでいるくらいなら、一緒に行くぞ」

 

と言って、瑠璃の手を握った

 

「あっ……」

 

いきなり手を握られて、瑠璃は顔を赤らめるが明久は気にせずに歩いた

 

すると、桜が反対側の腕に抱きつき

 

「生徒会長だけ、ズルいよ」

 

と言った

 

「なんなんだ……」

 

明久はそう呟くが、どこかまんざらではない様子だった

 

十数分後、三人の姿は屋上にあった

 

その手には、出店で買った食べ物や飲み物があった

 

屋上は休憩所として解放されており、色々な人の姿があった

 

三人は一角に置かれたベンチに並んで座った

 

「「「いただきます」」」

 

三人はそう言うと、各々買ってきた物を食べ始めた

 

「ふむ……学園祭にしては、なかなか美味いな」

 

焼きそばを一口食べた明久がそう言うと、瑠璃が

 

「学園長が色々と手配してましたからね」

 

と言った

 

「文月学園って、お金掛けてるよね」

 

二人の話を聞いて桜がそう言うと、明久は頷いて

 

「複数の企業や財閥が出資しているからな、資金は潤沢なんだな」

 

と言った

 

陽気は穏やかで、風もちょうど良かった

 

だからだろうか、明久の瞼がゆっくりと降りて

 

「すまん……少し、休む……」

 

と言って、明久は眠った

 

「アキくんが寝るなんて、珍しいなぁ……」

 

座ったまま寝た明久を見て、桜は僅かに驚いた様子でそう言った

 

「隊長、普段から睡眠が短いですから……」

 

瑠璃がそう言うと、桜は瑠璃に視線を向けて

 

「短いって、どのくらいですか?」

 

と問い掛けた

 

「平均、三時間ですね」

 

「そんなに!?」

 

瑠璃の説明を聞いて、桜は驚いた

 

隊長という役職が大変なのは分かる

 

だが、それではいつ倒れるか分からない

 

「ですから、少し休ませてあげましょう」

 

瑠璃がそう言うと、桜は頷いた

 

「でも、座ったままっていうのもなぁ……」

 

桜はそう言うと、少し考えてから自分の膝の上にあった食べ物の空パックをゴミ箱に捨ててから

 

「よいしょっ……と」

 

と明久の頭を自身の膝に乗せた

 

いわゆる、膝枕である

 

「桜さん……」

 

桜の行動を見て、瑠璃が驚いていると

 

「あははは……私の膝なんかじゃ、大して休めないかもしれませんが……」

 

と恥ずかしそうに言った

 

「いえ、大丈夫だと思いますよ……」

 

瑠璃はそう言いながら、穏やかな表情で二人を見た

 

そして桜はと言うと、寝ている明久の頭を優しく撫で続けた

 

なお、桜の膝枕は明久が起きるまで続けられ、起きた明久が若干頬を染めたのは、三人だけの秘密である


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