僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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打ち上げ

学園祭が終了して、小一時間後

 

「……皆のおかげで、模擬店は大成功でした……今日はお疲れ様でした……乾杯」

 

「「「「「かんぱーい!」」」」」

 

翔子の演説の後に続いて、クラスメイト達は持っていた紙コップを掲げた

 

今彼らは、近くの自然公園にて打ち上げの真っ最中である

 

今回の合同模擬店の成果は大成功の一言で、Fクラス全員分の机や椅子を購入してもかなり余る程の売り上げを記録した

 

それほどの売り上げを出したことを祝して、余り物の飲み物や食べ物を持ってきて、更には売り上げの一部を使って飲み物と食べ物を新たに購入

 

それを自然公園に持ち込んで、盛大に打ち上げをやることにしたのだ

 

「いやはや、なかなかに売れたね」

 

「おかげで、ようやくちゃぶ台生活から脱出出来るのですよ」

 

樹の言葉に麻弓が同意の言葉を述べると、康太が頷いて

 

「……ようやく、腰の負担が減る」

 

と言った

 

「しかし、珍しく秀吉までテンションが高いよな」

 

稟がそう言った視線の先では、秀吉が久保と楽しそうに話し合っている

 

そして、明久が新しく持ってきた飲み物を一口含んだ時だった

 

「まさか……」

 

明久は自分が飲んでいた缶の裏側を見て、ビシリと固まった

 

なぜならば、そこには《カルーア・ミルク》と書かれていたからだ

 

そして、明久は素早く視線を周囲に巡らせると

 

「稟、緑葉、土屋。飲むな!」

 

明久が突然声を荒げたことに驚き、稟達は目を丸くしながら視線を明久に向けた

 

「いきなり、どうした?」

 

「……何があった?」

 

稟と康太が問い掛けると、明久は二人の手にある缶を指差しながら

 

「銘柄を確認してみろ」

 

と言った

 

三人は首を傾げながら、缶の銘柄を確認した

 

「カシスオレンジ……っておい!?」

 

「お酒じゃないか!」

 

「……買い出し班のミスか……」

 

三人は驚愕すると、視線を素早く周囲に巡らせた

 

気づくと、チラホラと既に酔っ払っているクラスメイト達の姿があった

 

「……雄二、私を見て」

 

「待て翔子、落ち着け! ここで脱ぐんじゃねぇ!!」

 

稟達は敢えてその光景を無視して、どうしようかと考え始めて気づいた

 

先ほどから、近くに居る女子達が異様に静かなことに

 

嫌な予感と共に、稟達は視線を女子達へと向けた

 

「ヒック……」

 

「ニュフフフ……」

 

時既に遅かった

 

「マジかよー!?」

 

「……よりによって……」

 

「遅かったみたいだね」

 

「はぁ……」

 

上から順に、稟、康太、樹、明久である

 

四人は酔っ払っている女子達を見て、内心頭を抱えた

 

すると、まずはシアが稟に飛び付いて

 

「稟くーん! ニャハハハ!」

 

と嬉しそうに笑い始めた

 

それに続くように、楓が

 

「ヒック……稟くーん……ヒック」

 

と稟に抱きついた

 

「楓、シア、とりあえず落ち着こう! な!?」

 

稟は自身の理性をフル稼働させて、二人に落ち着くように諭した

 

「稟様……私……私……」

 

ネリネは顔を赤らめながら、制服のボタンを一つずつ外し始めた

 

「おぉ! 桃源郷はここに……」

 

「お前は見るな!!」

 

「あべしっ!?」

 

ネリネが脱ぎ始めたのを見て樹は興奮するが、樹は明久の蹴りによって地面に横たわった

 

「ニャハハハ! 土屋くーん!」

 

「……麻弓、落ち着け!」

 

麻弓は笑いながら康太に迫り、康太は必死に麻弓を押さえていた

 

だが、動き回っていたからか麻弓はあっという間に横たわって寝息を立て始めた

 

その時、明久の背中に桜が抱きついて

 

「アキくん……」

 

と言うと、桜はスヤスヤと寝息を立てて寝た

 

桜が抱きついたことに驚くが、明久は状況が一段落したので安堵のため息を漏らした

 

その時、桜が

 

「好き……」

 

と呟いたが、明久は聞こえないフリをした

 

その直後

 

「異端審問会! 開廷(スタンバイ)!」

 

「YAーHAー!」

 

「サーチアンドデース!」

 

「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺!」

 

気づけば、あっという間に周囲をFFF団が包囲していた

 

「このチャンスを待っていたよ……吉井明久、貴様の戦闘力が奪われるこのチャンスをな!」

 

覆面を被っているので分かりにくいが、どうやら須川らしい

 

「貴様が居るせいで、土見に今まで制裁が与えられなかった……だが、今の貴様は動けない!」

 

須川はそう言いながら、明久を指差した

 

確かに、今の明久は座っていて、更には桜が背中に抱きついて寝ているのでまともに動けない

 

「積もり積もった恨み……今こそ晴らす! 全員、掛かれ!」

 

「「「「「ウオオォォォ!!」」」」」

 

須川の号令に従い、FFF団は一斉に飛びかかった

 

だが、FFF団は失念していた

 

明久が近衛部隊隊長であることを

 

「愚かな……」

 

明久はそう呟くと、懐から数枚の札を取り出して空中に放り投げた

 

明久は確かに、剣神と呼ばれるほどに剣の使い方が突出している

 

だが、何も扱うのは魔力刀だけではない

 

「雷帝招来」

 

明久が呟いた直後、空中に舞っていた札が放電を放ち、FFF団を襲った

 

「アバババババ!?」

 

「ヌオォォォォ!?」

 

「ギャアァァァァ!?」

 

明久の放った電撃魔法により、FFF団は瞬く間に全員撃沈した

 

何気なく樹も巻き込まれているのは、先ほどの行動が理由だろう

 

「あまり俺を舐めるな」

 

明久は見事に、一歩も動かないでFFF団を全滅させた

 

その光景を見て、康太は

 

(……こいつだけは敵に回さないようにしよう)

 

と密かに心に決めたのだった


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