僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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一人追加ですっ
この子は、どっちにしようかな……


来たのは

「……首尾は?」

 

「一名捕縛しました。ただ今、尋問中です」

 

明久が問いかけると、いつの間にか背後に居たフリージアがそう言った

それを聞いて、明久はふむ、と漏らすと

 

「もう一人は、どうした?」

 

と問い掛けた

すると、フリージアは少ししてから

 

「この方です」

 

と明久に写真を差し出した

それを受け取って、明久は写真を見た

そして、思わず片眉を上げた

その人物が、完全に予想外だったからだ

 

「この方は……デイジー樣ではないか」

 

「はい……予想外で、一先ず報告をと」

 

確かに、予想外過ぎた

デイジー

現神王の兄の娘であり、本来だったら、その兄が神王になる予定だった

しかし、その兄は病弱だった

だから、弟だったユーストマが神王になった

そのことに関して、その兄は納得しているらしい

ユーストマも、色々と手回しして後腐れないようにしていた

しかし、その兄の奥さんの一人

デイジーの産みの母親が、未だに神王の座に執着していることが分かっている

そしてつい最近、その母親が現神王反対派に接触していることも分かっている

それにより、その母親に危険な魔導具が渡っていることも分かっている

そしてデイジーは、文月学園の生徒だ

学年は二年生で、学園が用意した寮に住んでいる

生活費を稼ぐために、近くのゲームセンターでバイトしていることが分かっている

 

「……デイジー樣には、手出しするな。俺が直接見る」

 

「了解しました」

 

明久の言葉にフリージアは返答すると、影を使った転移魔姿を消した

デイジーが姿を現したのは、それから数分後だった

しかしそれは、完全に休みを満喫している様子だった

 

(来たのは、完全に偶然か……ん?)

 

その時明久は、デイジーの右肩にその存在を見つけた

見た目は、黒いウサギのぬいぐるみ

しかし、その正体は神界の神獣

 

(エリカ=スズラン樣!?)

 

その正体に気付いた明久は、思わず飲んでいたお茶を吹き出した

 

「アキ君!?」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

近くに居た桜と瑠璃は、慌てて明久に近寄った

明久は桜からタオルを受け取ると、右手でデイジーの方を指し示した

 

「ん? あの子は確か、放送部の……」

 

「デイジー樣ですね……え!?」

 

桜はエリカ=スズランに気づいてないようだが、それは仕方ない

だが瑠璃は気付いたらしく、目を見開いた

肩に乗っている、エリカ=スズランに

 

「た、隊長っ! あの肩に乗っていらっしゃるのは、まさか!?」

 

「エリカ=スズラン樣だな……間違いない」

 

そう言った明久は、先ほどの写真に写っていなかった理由を思い出した

ユーストマから聞いた話だが、エリカ=スズランは写真に写るのを好まないらしい

だから、神界の書物にしか記録が残っていない

なお、今の姿は仮の姿であり、本当の姿は幼い少女の姿らしい

とはいえ、それも書物に書かれていただけ

その姿を見たのは、遥か昔の神王のみ

現神王たるユーストマも、見たことは無いようだ

その神獣がなぜ、人間界に居るのか

 

「一緒に居るとはな……完全に予想外過ぎた……」

 

「なぜ、デイジー樣と?」

 

「それも分からない……」

 

と明久と瑠璃が小声で話していると、海から上がってきたシアが気付いたらしく

 

「あれ? デイジーちゃん!」

 

とデイジーに声を掛けた

すると、荷物を置いたデイジーが振り向いて

 

「シア樣!」

 

と嬉しそうにした

するとシアは、エリカ=スズランに気付いたらしく

 

「初めまして、エリカ=スズラン樣。当代神王の娘、リシアンサスです」

 

と恭しく挨拶した

すると、エリカ=スズランは

 

「うむ。よろしく頼むぞ」

 

と言った

喋り方は古風だが、その声は少女のものだった

すると、エリカ=スズランが明久に気付いたらしく

 

「ほれ、そこの主。こちらに来たらどうだ?」

 

と言った

呼ばれた明久は、座っていたベンチから立ち上がって近寄り

 

「初めまして、神獣、エリカ=スズラン樣。自分は神界魔界合同近衛部隊部隊長の吉井明久と申します。こちらは、副隊長の一人の」

 

「瑠璃=マツリと申します。以後お見知り置きを」

 

と二人して自己紹介した

 

「うむ。よろしく頼むぞ」

 

とエリカ=スズランが言うと、デイジーが慌てた様子で

 

「わっわ!? あの近衛部隊の剣神さん!? 初めまして!」

 

と頭を下げた

すると、明久は

 

「こちらこそ、初めまして。デイジー樣ですね? 以後お見知り置きを」

 

と頭を下げた

すると、瑠璃が

 

「初めまして、デイジーさん。文月学園生徒会会長の瑠璃=マツリです」

 

と挨拶した

すると、デイジーは首を傾げて

 

「あれ? 先ほど、近衛部隊副隊長って……」

 

「まあ、生徒会会長もしてまして。今度は生徒としてですよ」

 

デイジーの問い掛けに、瑠璃はそう返した

それに納得した様子で、デイジーは瑠璃と握手した

すると、シアが

 

「デイジーちゃんは、なんで海に来たの?」

 

と問い掛けた

すると、デイジーは

 

「放送部の活動が休みだったのと、バイトもお休みだったので遊びに来たんです。そしたら、偶然皆さんに会ったんです」

 

と言った

どうやら、本当に偶然らしい

すると、シアが

 

「だったら、一緒に遊ばない? 一人よりも、皆で遊んだほうが楽しいよ!」

 

と誘った

 

「え? ご、ご迷惑では?」

 

「構わないさ。それに、一人で居ると、ああいうナンパが五月蝿いぞ?」

 

明久はそう言いながら、ある方向を指さした

その方向では、樹が女性をナンパしていた

が、すぐに麻弓に鎮圧された

それを見て、デイジーが

 

「緑葉先輩……」

 

どうやら、樹を知っているようだ

まあ、同じ学園なのだから、知っているだろう

そして少しすると、デイジーは

 

「そちらが構わないなら」

 

と答えた

こうして、一人追加されたのだった

 


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