僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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ドタバタとフラグ

禀達三人が放送部に入った翌日

全員は学園に登校していた

今日は登校日であり、先生から話が終わっていたが、禀達は惰性で残っていた

その時だった

 

『マイクチェック、1、2』

 

とスピーカーから、デイジーの声が聞こえた

その声を聞いて禀と明久は思わず、シアに顔を向けた

するとシアは、首を振った

今の一瞬の間で、三人の間ではアイコンタクトによる会話がなされていた

内容は以下である

 

『あれ? 今日って活動日だったか?』

 

『殿下、今日は活動日でしたか?』

 

『ううん。違うよ』

 

そして、三人が首を傾げていると

 

『皆さんに通達します。二年生の緑葉樹が用もないのに学園を歩き回り、淫らなことをしています。紅薔薇先生が有志を募り、捕縛隊を結成したいそうです。有志の方々は紅薔薇先生の所に行って、縄を受け取ってください』

 

と放送された

それを聞いた何時もの面子の殆どが、思わず頭を抱えた

その時だった

ドアがガラッと勢いよく開き

 

「つっちー! 居るか!」

 

と紅女史が現れた

呼ばれた禀は、立ち上がって歩み寄ると

 

「樹、今度は何をしました?」

 

と問い掛けた

すると、紅女史は

 

「PTAを敵に回しかねんことを仕出かした」

 

と言った

どんなことをやったのか

 

「既に、麻弓を中心にした討伐部隊を結成し、動かした」

 

今、紅女史は討伐と言った

捕獲ではなかったのだろうか

 

「その他に、緑葉のことをよく知るつっちーに、別動隊を任せたい」

 

紅女史はそう言うと、禀の肩に手を置いて

 

「頼んだぞ」

 

と言った

表情は笑っていたが、眼がマジだった

まず禀は、明久と一緒に下駄箱に向かった

帰宅したか確認する為である

 

「ふむ……まだ居るな」

 

「ああ」

 

下駄箱には、樹の靴がまだ有った

どうやら、まだ校舎内には居るらしい

禀は少し考えると、食堂に向かった

そこでは

 

「槍部隊! 出入り口を塞いで! 興平君は緑葉君の後ろに!」

 

「うおぉぉぉぉ!」

 

「もう逃げられないぞ、緑葉!」

 

「くっ! まさか、ここまで戦力が投入されているとは!?」

 

麻弓の指揮で、樹が包囲されていた

しかもよく見れば、興平は憤怒の表情である

一体、何を仕出かしたのか

 

「抵抗するなら、攻撃も許可!」

 

麻弓はそう言うと、笑顔で

 

「というか、やっちゃえなのですよ♪」

 

と、楽しそうに宣告した

すると、包囲部隊の眼が光った

それを見た樹は、慌てた様子で

 

「ま、待ったあ! 捕虜の扱いはジュネーブ条約で」

 

「知るか、ボケぇ!」

 

「たらばぁ!?」

 

哀れ樹は、興平の拳が顔面を直撃

床に倒れた

そして倒れた樹に、包囲していた生徒達が一気に飛び掛かってボコボコにした

すると、禀の近くに麻弓が現れて

 

「この麻弓=タイムが、そんな条約を知るわけが無いのであります♪」

 

と言った

それを聞いた禀は

 

「いや、それ位知っとけよ」

 

と突っ込みを入れた

 

ジュネーブ条約

それは、世界大戦中に締結された条約

所謂、国際条約である

その条約の一つに、人道に基づき、捕虜は丁重に扱うこと

と記載されている

世界でも、割りと知られている条約である

そして禀は、引きずられていく樹を見送りながら

 

「あいつ、何をしたんだ?」

 

と問い掛けた

すると麻弓は

 

「私も詳しくは知らないけど、多分、PTA会長の前でナンパでもしたんじゃない?」

 

と言いながら、肩を竦めた

それを聞いた禀は、若干納得した

 

(そういえば、PTA会長って、智世姉のお爺さんだったなぁ)

 

皇智世の祖父

皇剛平(すめらぎごうへい)

現皇グループの会長であり、以前は小さかった皇鉄鋼所を一代でグローバル企業にした豪傑である

そんな剛平は、一言で言えばかなりのジジバカである

しかも、孫の中では唯一の女である智世を溺愛している

それは今もであり、そんな剛平の前で恐らく智世をナンパしたのではなかろうか

樹は相手に交際相手が居ようが関係なく、ナンパする

それにより、女性関係のトラブルは数知れず(その問題は本人曰く、全て解決しているとか)

なお剛平は、興平も気に入っている

過去に禀が聞いた話では

 

『漢と漢の語り合い()で、結婚を認めてくれた!』

 

と言っていた

勿論だが、興平は智世を大事にしている

恐らくだが、興平が僅かに離れた間に樹が智世にナンパを敢行

そこに、興平と剛平が紅女史と一緒に来て目撃

何を言ったか知らないが、興平と剛平が激怒

紅女史、慌ててデイジーに頼んで部隊を結成し、差し向けた

更に念の為に、禀に頼んだ

ということだろう

恐らく樹は今ごろ、職員室でシバカれているだろう

禀も過去にヤンチャした時、幹夫が居ない時は剛平が拳を持って怒ったのを覚えている

それを思い出した禀は、思わず頭頂部を撫でた

すると、麻弓が

 

「土見君、どうしたのですよ?」

 

と問い掛けてきた

 

「いや、大丈夫だ。問題ない」

 

禀はそう返答したが、明久が

 

「禀、それは所謂フラグだ」

 

と突っ込みを入れた

そう

まさに、フラグだった

禀達が教室に戻って、鞄を持って帰ろうと思ったら

 

「何があった?」

 

そこには、学園長

藤堂カヲルが居た

すると、楓が

 

「禀くん……それが」

 

と禀に説明した

禀達が教室を離れている間に、常夏コンビが襲来

イチャモンを着けてきた

それで教室の雰囲気が悪くなった時に、西村を連れた学園長が来て、学年対抗戦式お化け屋敷をすることにしたらしい

それを聞いた常夏は、残ってる三年生に声を掛けるために出ていった

そこに、禀達が戻ってきた

ということのようだ

それを聞いて、禀は

 

「本当にフラグだったかぁ……」

 

と漏らした


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