僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

52 / 68
少女達

Aクラスに最初に突入したのは、木下姉弟だった

この二人だったら、大抵のことは冷静に対処出来ると雄二が判断したからだ

その予想通り、木下姉弟は大抵の脅かしはスルー

どんどんと奥に進んでいった

このまま、番人の所に行けるか

と思われた

だがその時、二人が入った広間

そこに、夏川(ソフトモヒカン)が居た

だが夏川の相方たる、常村(変態ハゲ)の姿がない

何をするのか、と二人は身構えた

すると夏川は、懐から一枚の紙を取り出した

そしてそれを開いて読み始めたのだが、それはラブレターだった

……秀吉への

この後に、雄二やムッツリーニは

 

『秀吉の本気の悲鳴を、初めて聞いた』

 

と語る

勿論、秀吉は失格となった

失格になった秀吉は、待機部屋に帰ってくると部屋の隅で涙を流していた

そんな秀吉に、普段は厳しい優子も流石に同情したらしく優しく頭を撫でていた

そして、動いたのが稟だった

 

「秀吉の仇、取ってくる」

 

稟がそう言って出ようとした時

 

「俺も行こう」

 

と明久が立候補した

明久は稟とシアの護衛として、立候補したようだ

そして四人は、Aクラスに突入した

そして先程の場所に来たのだが、夏川の姿は無かった

どうやら、対秀吉専用だったらしい

明久が安全を確認すると、四人は進行を再開した

途中で別れ道に差し掛かったので、明久とデイジーは左に

稟とシアは右の通路を進んだ

道中定番の脅かしはあったが、明久達は進んだ

その時、不意にライトが消えた

 

「デイジー様、下手に動かないでください」

 

「は、はい」

 

明久が警告すると、デイジーは素直に従った

真っ暗な中、何やらゴトゴトと動かす音が聞こえた

たが害意は感じなかったので、明久は動かなかった

そして少しすると、ライトが点いた

すると目の前には、稟の背中があった

 

「稟?」

 

「ん? あ、明久?」

 

明久が呼び掛けると、稟は振り向いて不思議そうにしていた

そして明久は、デイジーが居た右側を見た

そこには、先程まで無かった壁があった

 

「ち……小細工を」

 

「迷路を組み換えたのか」

 

明久が舌打ちしながら言うと稟も察したらしく、吐き捨てるように言った

そして歩きだそうとした稟の肩を掴んで止めると、明久は目を閉じた

そして少しすると、目を開いて

 

「どうやら、お二人は右側の通路に居て進むようだな」

 

と言った

どうやら、気配を探ったらしい

 

「オーライ。じゃあ、行くぞ」

 

「ああ」

 

稟の言葉に頷き、明久は進んだ

そして、少しした時

 

「げっ……来たじゃねえか」

 

「無能な脅かし役達が……」

 

と先の方から、声が聞こえた

その声は、常夏(変態コンビ)の声に間違いなかった

迷路を組み換えた理由はどうやら、脅かしやすい女子ペアにしたのが目的らしい

 

「まあいい……なあ、お姫様。ちょっと相談なんだが、俺達を近衛に採用しないか?」

 

「あんな愛想の悪いガキよりもよ、俺達みたいな優等生の方が有用だぜ?」

 

どうやら、シアに取り入るつもりのようでもあるらしい

そして続けて

 

「それによ、周りに女侍らせてる奴よりも俺達のどちらかの方がいいだろ?」

 

「俺達、優等生だしな?」

 

と言った

だがその言葉は、NGワードに他ならない

 

「……」

 

「……」

 

二人が黙っていると、常夏が

 

「おーい、黙ってないでなんとか言えよ」

 

「一言で済むぜ?」

 

と言った

その直後

 

「ふざけないでください!!」

 

と二人が同時に怒鳴った

 

「おぉ!?」

 

「なんだ!?」

 

まさか怒鳴るとは思ってなかったのか、常夏は狼狽した様子だ

しかしシアとデイジーは、構わず

 

「貴方達が、明久さんの何を知っているというんですか! 必死に修業や独学で研鑽して、今の地位に居る明久さんを!? 確かに、成績は良いほうかもしれません! ですが、貴方達の性格は最低です!」

 

「稟くんは、貴方達よりもずっと優しいんです! 貴方達なんか、目じゃないの! 明久くんだって、何回も死にそうになりながらも私やリンちゃんを守ってくれた優しい人なの!」

 

と怒鳴った

明久としては、シアが怒鳴ったというのが驚きだった

そういうのは大抵、ネリネの役割だったからだ

すると、常夏が

 

「こ、このガキ共……人が下手に出ればっ!」

 

「気に入らねぇな! つかおい、今のでこいつら失格だろうが!」

 

と言った

確かに、シアとデイジーの二人の声量は失格判定だ

 

「失格で結構です! 行きましょう、シア様」

 

「そうっすね」

 

「とっとと失せろ!」

 

「二度と来んな!」

 

と聞こえた

どうやら、シアとデイジーは戻ったらしい

そして、明久と稟は

 

「……そんなに、優しいか?」

 

「明久が優しくなかったら、誰も優しいの部類に入らないだろうが」

 

と会話していた

すると、今度は稟が

 

「俺が優しいのかは分からないが、一つだけはっきりしてることがある」

 

と言った

 

「それは?」

 

「あの常夏(変態コンビ)を倒さないと、気がすまん」

 

明久が問い掛けると、低い声音で稟はそう言った

すると、明久がフッと笑って

 

「奇遇だな。俺もだ」

 

と同意を示した

そして二人は、顔を見合わせると

 

「んじゃま、行くか」

 

「ああ、そうだか」

 

と言って、歩きだした

そして、ポツリと

 

「その首、洗って待っていろ」

 

と同時に言った


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。