僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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皆さんも、気をつけてくださいね
あ、俺は今日で29歳ですわ
アラサーです


風邪

「しかし、感情豊かになりましたね。プリムラ様」

 

「明久……えっと、何回も面倒を掛けてごめんなさい」

 

明久が微笑みながら言うと、プリムラは苦い表情を浮かべながら頭を下げた

すると、明久が

 

「いえいえ、それが自分の仕事ですから」

 

と言った

そんな明久達は、学校に向かっていた

今日は、放送部の活動がある日だった

今日は明久、稟、シアの他にプリムラと楓、桜が居る

楓と桜は、明久達が参加している部活が気になったから付いてきたのだ

学園に到着し、明久達は放送室に行った

すると放送室内では、デイジーが何やらやっていた

どうやら、一人で原稿を纏めているようだ

その時、デイジーが顔を明久達の方に向けて

 

「あ、皆さん。いらっしゃいです」

 

と出迎えた

そして立ち上がったのだが、ガクリと膝が曲がって倒れそうになった

その瞬間、明久がデイジーを支えていた

 

「早っ」

 

稟が驚いていると、明久が

 

「デイジー様……風邪、引いてますね」

 

とデイジーの額に触れた

 

「えぇっ!?」

 

「大丈夫なの!?」

 

シアと桜は驚き、楓は

 

「熱は、どうですか?」

 

と明久に問い掛けた

すると明久は

 

「熱は……約38度といったところですか」

 

と言った

すると、デイジーは

 

「あー……気付きませんでした……」

 

と呟いた

どうやら、自身の体調が悪いことに気づいてなかったらしい

 

「デイジー様、今回の台本は?」

 

「そこに、出来てます……」

 

明久の問い掛けに、デイジーが先程まで座っていた机の上を指差した

稟が見ると、今日の日付が書かれた台本を見つけた

 

「今回は俺達が代行するから、デイジーは休め」

 

「でも……」

 

と稟の言葉に躊躇っていると、シアが

 

「今引き始めなら、早く治した方がいいっす!」

 

と言った

確かに、道理である

 

「はい、分かりました……」

 

デイジーはそう言って立ち上がろうとしたが、それを明久が押さえて

 

「無理しないでください」

 

と言って、デイジーを背負った

そして立ち上がったデイジーの鞄を持って

 

「俺が送ってくる」

 

と言った

すると桜が

 

「アキ君。手伝うよ」

 

と言った

だが、明久は

 

「すまんが、桜ちゃんは稟の手伝いをしてくれ」

 

と言った

 

「稟君の?」

 

「ああ。それに、デイジー様が居なくなるから、司会進行役が居ない。そうなると、誰かが臨時にしないといけない。だから、稟と話し合ってくれ」

 

明久がそう言うと、桜は少し考えて

 

「分かった。頑張ってみるね」

 

と言った

そして明久は、デイジーを背負ってデイジーの住んでいる寮に向かった

文月学園が有する寮である

寮までは、歩いて約10分だ

エントランスに入ると、明久はデイジーから鍵を借りて自動ドアを開けた

そして、デイジーに言われるがままに部屋に向かった

部屋に到着すると、明久はデイジーを下ろして

 

「デイジー様、とりあえずパジャマに着替えてください。俺は、少し買い物に行きますので」

 

と言って、出た

そして、近くのスーパーで買い物を済ませると戻った

鍵は、既に借りている

 

「デイジー様、着替えましたか?」

 

明久は念のために、ドアの前から声を掛けた

しかし、返答は無い

 

「失礼します」

 

中に入ると、デイジーが倒れていた

 

「着替えてる途中で、倒れたか……」

 

明久は手早く状況を把握すると、中途半端だったパジャマを着させた

紫色を基調にしたパジャマだった

そして明久は、デイジーをベッドに優しく寝かせた

その後、キッチンに立ち買ってきた材料で調理を始めた

そして、調理が終わった頃

 

「ん……あ……」

 

と声が聞こえた

振り向いてみれば、デイジーが目を覚ましていた

 

「起きましたか、デイジー様」

 

「明久さん……あれ、私」

 

明久は作った卵雑炊を器に入れると、机まで運んだ

そして

 

「デイジー様、食べられますか?」

 

と問い掛けた

するとデイジーは、上半身を起こして

 

「はい、なんとか……」

 

と答えた

そんなデイジーを支えて、明久は

 

「では、これを」

 

と器とスプーンを差し出した

 

「作って、くれたんですか?」

 

「作るのも辛いかと思いまして」

 

デイジーの問い掛けに、明久はそう答えた

実際、かなり辛いだろう

 

「ありがとう、ございます……」

 

「いえ、ゆっくり食べてください」

 

明久はそう言って、デイジーが食べるのを見守った

そして、十数分後

 

「ご馳走さまでした……」

 

「お粗末さまでした」

 

とやり取りすると、明久はデイジーに風邪薬とコップを手渡した

それを飲み終わったのを確認した後、明久は用意していたカップを手渡した

 

「これは……」

 

「ハーブティーです。落ち着きますよ」

 

明久がそう説明すると、デイジーはゆっくりと飲み始めた

その間に、洗い物を終わらせた

そして、飲み終わったカップを受け取り

 

「では、ゆっくりと休んでください」

 

と言って、帰る準備を始めた

すると

 

「あの……寝るまででいいので、一緒に居てほしいです……」

 

とデイジーが言った

それを聞いて、明久は

 

「自分で良ければ」

 

と言って、デイジーの手を優しく握った

そして明久は、デイジーが眠るまで近くに居たのだった


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