僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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魔道具

夏休みも終わり、明久達は学園に登校

キキョウも正式に、学園の生徒となった

そして何時もの日常が巡る

朝起きて朝食を済まして、会話しながら登校し授業を受ける

帰宅したら、家での用事を済ませて翌日の準備をして眠る

それが、全員の日常だった

しかし

 

『いいですね、デイジー……しっかりやりなさい』

 

「はい、お母さん……」

 

デイジーは母親からの言葉を聞いて、俯いた

そして、小さく

 

「私は……私は……っ!」

 

と呟いて、体を震わせた

そんなデイジーの手には、小さなアクセサリーがあった

そして、翌日の放課後

明久達は放送室で、昼の放送の打ち合わせをしていた

その時

 

「デイジーちゃん、どうしたの?」

 

とシアが問い掛けた

なお、新しくキキョウも入部を果たしている

それにより、人数は五人に増えた

すると、僅かに遅れて

 

「あ、な、なんですか?」

 

とデイジーはシアに顔を向けた

すると、シアが

 

「なんか、心ここに有らずっていうか……反応が鈍いから」

 

と心配そうに言った

すると、デイジーは

 

「あ、だ、大丈夫ですよ。少し考えてただけですから!」

 

と慌てた様子で言った

すると、明久が

 

「熱は……ないようで」

 

とデイジーの額に手を当てた

その直後、デイジーは顔を赤くして

 

「だ、大丈夫ですってば!」

 

と言いながら、後ろに跳んだ

すると、後ろにあった棚に背中を強打

蹲った後に、その棚からファイルやら冊子が落下

デイジーに直撃した

 

「わ、わあ!?」

 

「ちょっ!? 大丈夫なの!?」

 

シアとキキョウは慌てて駆け寄り、デイジーを救出した

すると、デイジーは苦笑いを浮かべて

 

「あ、あははは……すいません」

 

と頭を下げた

そうこうしながらも、部活は終了

そして明久は、ある報告を耳にした

 

「陛下の義姉に動きが?」

 

『はっ……どうやら個人的に動いていたらしく、遅れました……どこからか、危険魔道具を入手したようです』

 

明久の問い掛けに、フリージアがそう報告した

それを聞いて、明久は

 

「わかった。監視を怠るな」

 

と告げた

それを最後に、通信は終了

明久は少しすると

 

「まさか……な……」

 

と呟いた

その呟きは、あることを危惧したからである

そしてその危惧は、現実の物となった

それは翌日の放課後

放送部の部活動の時、明久はデイジーの胸元から見えたその魔道具に気づいた

 

「デイジー様、それはっ!?」

 

「つっ!?」

 

明久の言葉を聞いて、デイジーは素早く後退

そして、その魔道具を掲げた

 

「来ないでくださいっ」

 

デイジーのその言葉に、明久は動けなくなった

するとデイジーは

 

「これは、相手を別の次元に送る魔道具です……本当はお母さんに、シア様をそこに送れと言われたんですが……出来ませんでした……私には、憎しみなんてないんですから……」

 

と泣きそうな声で言った

すると、シアが

 

「だったら、今からでも遅くないから……それを置いて」

 

と置くように促した

しかし、デイジーは首を振って

 

「ダメです……もう、遅いんです」

 

と言った

その時、その魔道具が光り輝いた

 

「さようなら、皆さん……」

 

「ちいっ!」

 

デイジーが別れの言葉を口にしたタイミングで、明久がデイジーに飛び掛かった

その直後、一際強く光り輝いて何も見えなくなった

そして光が収まり、シア達はデイジーが居た場所を見た

そこには誰も居らず、ただ地面には発動し終えた魔道具が落ちていた

しかも、デイジーだけでなく明久の姿も無くなっていた

 


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