僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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その世界は

明久が消えた翌日

 

「確認できた。やっぱ、義姉貴がデイジーに渡した物だとよ」

 

と言ったのは、芙蓉家に来たユーストマだった

明久とデイジーが姿を消した後、稟、シア、キキョウの三人はすぐにユーストマとフォーベシイに連絡を取った

すると二人は、近衛を連れてすぐさま駆け付けた

そして、放送室付近を立ち入り禁止にして捜査開始

そして、デイジーが使用した魔導具を発見

それは、古代魔導具だった

文献に効果は書かれていたが、名前が無かった魔導具

そしてそれは、遥か昔に神獸

エリカ=スズランが持っていた物らしい

しかしそれは、ある日奪われてしまったようで、取り戻す機会を伺っていたようだ

しかし、その前に使われてしまった

 

「義姉貴、こうなるとは思ってなかったらしい。完全に意気消沈してた……そして、デイジーを助けて。とも言われたな」

 

やはり、邪な計画をしたとは言っても母親なのだろう

娘の無事を願ったらしい

しかし

 

「もう、この魔導具に魔力は残されておらぬ……長い年月で、霧散したようだの……」

 

というエリカの言葉で、誰もが黙った

つまり、戻すことはほぼ不可能だと

すると、エリカが

 

「まあ、ちとばかし……様子を見に行くか」

 

と言った

その言葉の意味を誰かが理解する前に、エリカは姿を消した

そしてエリカがその姿を現した場所は、一面花畑だった

しかも、黒い兎のヌイグルミの姿ではなく、着物姿の幼い少女だった

 

「ふむ……この姿も、久しぶりだな」

 

とエリカは言って、歩き出した

そして、どれ程歩いたのか

 

「む、居たな」

 

とエリカは、二人を見つけた

二人は少し開けた場所に居た

 

「エリカ様……」

 

「そんな姿だったんですね」

 

エリカに気づいて、明久とデイジーはそう言った

するとエリカは

 

「こうして人前に姿を見せたのは、何年振りかの」

 

と言った

そして、エリカは

 

「今向こうでは、お主らを戻そうとしておる」

 

と言った

それを聞いて、デイジーが

 

「私も、ですか……」

 

と驚いた様子で言った

すると明久が

 

「デイジー様の放送、人気のようですから」

 

と言った

その言葉は、大分柔らかい

 

「剣神……お主」

 

「記憶、戻りました」

 

エリカの問い掛けに、明久は微笑みながら答えた

どうやら、何らかの理由で記憶を取り戻したようだ

そして、明久は

 

「しかしこの世界は、時間概念が無いんですね……一日中陽が出てるとは」

 

と言って、空を見上げた

するとエリカは

 

「この世界は、我が世界よ……」

 

と懐かしむように告げた

つまり、彼女の故郷らしい

すると、デイジーが

 

「この世界に一人というのは、寂しくないですか?」

 

とエリカに問い掛けた

するとエリカは

 

「確かにの……故に我は、この世界から出た……外の世界を知りたくてな」

 

と答えた

そして、背を向けると

 

「では、しばし待っていろ……恐らく、かの者達がお主らを帰す算段を立てるでな」

 

と言って、姿を消した

それを見送ると、明久は

 

「さて、俺は……どうするべきかなぁ」

 

と呟いたのだった


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