僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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帰還

明久とデイジーが異世界に消えて、数日後

稟達は、動いていた

そして、昼

 

『あーあー……皆さん、聞こえてますか?』

 

と放送が流れた

その声は、間違いなく稟だった

 

『俺は、二年Aクラス。放送部所属の土見稟です。今日は皆さんに、お願いがあります』

 

と稟が言うと、Aクラスに居た優子が

 

「お願い? 何かしら?」

 

と首を傾げた

すると、偶々Aクラスに来ていた秀吉が

 

「何やら、真剣な声じゃのう」

 

と呟いた

すると

 

『もう気付いてる方も居るとは思いますが、二年Aクラスの吉井明久と二年Bクラスのデイジー。この二名が現在居ません』

 

と稟が言った

それは、優子やAクラスの全員が気付いたことだった

ここ数日、明久とデイジーの姿を見ていなかった

 

『その二人は数日前、ある危険魔道具により異世界に送られました……帰すには、皆さんの協力が必要なんです!』

 

と稟が言った

すると、そのタイミングでAクラスのドアが開いて楓と桜が入ってきた

そして二人は

 

「このクラス、いえ」

 

「学園全員の皆さんに協力してほしいんです」

 

と頭を下げた

実はこの時、各学年、各クラスにおいて同様のお願いをしていた

エリカ=スズランが告げた最も可能性が高い方法

それは、文月学園に居る全生徒の意志を一つに

 

《明久とデイジーの帰還を願うこと》

 

だった

しかし、それはかなり難しい方法だろう

なにせ、約七百二十余人の意志を一つにしないといけないのだから

特に不安視されるのは、FFF団を形成している二年Fクラスだろう

彼等はなにかと、明久を目の敵にしている(まあ、自業自得なのだが)

それだけでなく、稟のことも目の敵にしている

そんなFクラスが、素直に稟の頼みごとを聞くだろうか?

しかしそれは、対策法が取られていた

その対策法を選んだのは、元FFF団だった須川と横溝の二人だった

 

「なんとか連絡を取った人曰く、デイジーさんは明久隊長と一緒に帰りたいそうだ」

 

「それに協力すれば、モテるようになるはずだ!」

 

『是非協力しよう!!』

 

余りにも、単純だった

なお、モテるようになるはずだ

とは言ったが、モテるとは言ってない

嘘は言ってないだろう

後は、彼等の性格と行いを矯正する必要があるが、須川と横溝はそこまでする気は皆無だった

二人にとって最重要なのは、デイジーと明久の無事の帰還だった

そのためならば二人は、クラスで浮くことになるだろうが構わなかった

 

(使えるのは、何でも使ってやる!)

 

(隊長が帰ってくれば、後はどうとでもなる!)

 

二人はそう思った

そして、時は来た

 

『では、皆さん。二人の帰還を祈ってください!』

 

稟のその言葉の後に、全員が祈り始めた

それは、真摯な願い

奇跡を起こすのは、人々の願いなのだから

そして祈り始めてから十数秒後、学園全体を光が覆った

そして光が収まると、稟は放送室から飛び出した

確信したのだ

二人が、帰ってきたのだと

実は稟だけでなく、何時ものメンバーも一目散に走り出していた

ある場所に向かって

そして向かったのは、学園の屋上だった

全員が屋上に到着すると、見つけた

屋上の一角に、二人分の人影

それは間違いなく、明久とデイジーだった

稟達はその二人を見つけると、涙を堪えながら

 

『お帰り、二人とも!』

 

と二人に飛び付いたのだった


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