入院して二日後、明久とデイジーは退院
それぞれ、寮と隊舎に戻ることになった
だが、その前に
「デイジー……ごめんなさい……ごめんなさい……」
「お母様……」
デイジーは自身の母親と出会っていた
デイジーの母親はデイジーを見た直後、涙を流しながらデイジーに抱き付いた
その母親の頭を、デイジーは優しく撫でた
「ご母堂……申し訳ありませんが……」
「分かっています……デイジー……ごめんなさいね……」
一人の隊員が声を掛けると、デイジーの母親はそう言って立ち上がった
彼女の罪状は、危険魔導具の違法所持
ということになっている
神王への反逆ではない
反逆罪を適用しようと進言した者も居たが、それは神王が止めた
なんでも、神王の兄が来たらしい
本当ならば、空気の清んだ地域からは離れられない兄が態々人間界に来て、頭を下げたらしい
『妻が済まなかった……私が止められなかったのが原因だ』
と
その上で、全ての責任は自分にある。とも言った
しかし、神王は
『俺も、義姉貴の行動に気づけなかった。おあいこだ、兄貴』
と言った
それにより、反逆罪は適用されない運びになった
その代わりに、デイジーを王族として迎えいれ、納得出来ないとした母親に危険魔導具の違法所持罪を適用
デイジーの母親は、半年間の禁固刑になった
「さて、デイジー……王位継承権はどうする?」
母親を見送ったデイジーを見ながら、神王はそう問い掛けた
今のデイジーは、王族に連なる立場である
シアよりは下だが、王位継承権を得られる立場なのだ
すると、デイジーは
「私は……王位継承権は要りません」
と言った
それを聞いて、神王は
「いいのか? キキョウは与えられないが、お前さんは得られるぞ?」
と問い掛けた
キキョウは孤児を引き取ったという形にしてあるので、王位継承権は与えられない
しかし、デイジーは神王の兄の娘
王位継承権は十分に与えられる立場だ
しかし
「私は、王という立場には興味はありません……それに……どうも、王というのは似合わないような気がするんです」
と言った
確かに、デイジーの性格を鑑みれば向かないのは明白である
むしろ、補佐する立場の方が向いているだろう
それを聞いた神王は
「分かった。そうしておくぜ」
とデイジーの言葉を受け入れた
その後、明久は隊舎に向かった
すると
『総隊長、おかえりなさい!!』
と残っていた隊員達が出迎えた
すると明久は
「うん、ただいま」
と言いながら、微笑んだ
すると一人の隊員が
「隊長……なんか、雰囲気変わりました?」
と首を傾げた
すると明久は
「ああ、うん……記憶が戻ったんだ。全部」
と言った
それを聞いた瑠璃が
「良かった……良かったです……」
と嬉しそうに呟いた
するとフリージアが
「素直になったら?」
と言った
すると瑠璃は、顔を真っ赤にして
「まだ出来ませんっ」
と言った
それを聞いたフリージアは、ニヤリと笑ったのだった
そして彼等の物語は、終盤に向かう