僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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乙女

明久が帰還した日、隊舎はドンチャン騒ぎになった

隊員の誰もが、明久の帰還を喜んだのだ

しかし、酔いつぶれてはいない

直ぐに動けるようにだ

なお料理は、料理が得意な隊員達が振る舞った

その中には、須川の姿もあった

須川の実家は定食屋で、須川も昔から手伝っていたらしい

なお横溝は、主に配膳に回った

しかし気付けば、その二人は眠っている

どうやら、疲れたらしい

そして明久は、一人ベランダで月を見上げていた

その明久の手には、中身が入っていないコップがあった

そこに

 

「隊長」

 

と瑠璃が現れて、ウーロン茶を注いだ

 

「ありがとう、瑠璃先輩」

 

明久がそう言うと、瑠璃は

 

「久しぶりに、そう呼ばれました……5年振り……でしょうか」

 

と言って、明久の隣で同じように月を見上げた

そして、少しすると

 

「つ……月が綺麗ですね」

 

と瑠璃が言った

すると、明久が

 

「……夏目漱石……」

 

と小さく呟いた

そして

 

「死ぬことは、許しませんよ。瑠璃さん」

 

と言った

それを聞いて、瑠璃は

 

「しかし5年前……私は、噂に騙されてしまった……隊長の純粋な目を見ていながら……何もしなかった……」

 

と涙ながらに語った

すると明久は

 

「それで良かったんです……ヘイトコントロール……それに成功してたんですから……僕の目的は、果たされてたんですから」

 

と言った

そして明久は、瑠璃の頭に手を置いて

 

「瑠璃さんは、十分魅力的ですよ……それは、僕が保証します。気立てよし、料理も得意と来たら、嫁の貰い手は、引く手数多でしょう」

 

と誉めた

それは、明久の本心だった

実際、瑠璃は性格から容姿、文武両道と非の打ち所がない少女だった

しかし、目立つのを良しとしないために、普段は穏行の魔法で存在感を限界にまで無くして行動している

それがなぜか、フリージアとカレハには通じないことに、瑠璃は首を傾げているが

生徒会長になれたのは、彼女の素行の善さと成績が良かったかららしい

そして瑠璃は、明久の言葉を聞いて

 

「私は……隊長……明久以外とは、結婚したくありません」

 

と言って、明久を見詰めた

すると明久は

 

「しかし、僕は……人族、ですよ?」

 

と言って、躊躇いを見せた

すると、瑠璃は

 

「構いません。そもそも、私はハーフです」

 

と言った

そう、瑠璃は人族と神族のハーフなのだ

父親は神族だが、母親が人族だ

瑠璃の顔立ちは、その母親そっくりらしい

そして料理は、その母親の教育の賜物とか

 

「まあ、明久には慕う方が多いみたいですが」

 

「うっ……」

 

瑠璃の言葉を聞いて、明久は思わず呻いた

心当たりが多すぎたからだ

そんな明久を見て、瑠璃は

 

「忘れないでくださいね、明久」

 

と言って、明久の頬にキスをしたのだった

 

 

なお、それは一部デバガメに見られていて、瑠璃はそれでからかわれることになる


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