僕とSHUFFLEと召喚獣   作:京勇樹

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告白

それが動いたのは、明久達が登校を再開して数日後だった

ある日の放課後、明久の部屋

そこに、部屋の主たる明久の他に、桜、キキョウ、デイジー、瑠璃の四人が集まっていた

その四人の表情は、真剣そのものだった

そして部屋の主たる明久は、その四人の前で困った表情を浮かべていた

その理由が

 

「えっと、ごめん……もう一回、言ってくれるかな?」

 

「だからね、アキ君」

 

「アタシ達は」

 

「明久さんが」

 

「好きです」

 

と、四人から告白されたからだ

明久も、四人が自分に好意を向けていることに気付いていた

だがまさか、四人同時に告白されるとは思っていなかったのだ

実はこの四人、示し合わして来たのだ

この四人は互いに、明久が好きなことに気付いていた

それは、恋する乙女だから分かったのだろう

そして四人は、先日に話し合ったのだ

 

『誰が選ばれても、恨みっこなし』

 

だから四人は、同時に告白したのである

それに明久は、頭を抱えた

まさか、四人同時に告白されるとは、と

あっても、タイミングをズラしてくると思っていた

 

(どうしよう……選べない……)

 

四人の真摯な告白に、明久は誰か一人を選べないでいた

良い言い方ならば、優しい

悪い言い方だと、ヘタレ

それが、本来の明久なのだ

明久が唸っていると、桜が

 

「アキ君……選べないんでしょう?」

 

と問い掛けた

その言葉に、明久はビクリと体を震わせて

 

「その通りです。はい」

 

と頭を下げた

すると、桜は微笑みを浮かべて

 

「ほら、私の予想通りだったよ」

 

と言った

そして、桜の言葉を聞いた三人も、頷いていた

実は先日に話し合った際に、桜が

 

『アキ君、なんだかんだ理由を着けて、選べないと思うんだよね』

 

と言っていたのだ

その予想が、完全に適中していたのだ

やはり、幼馴染みだからこそ、予想出来たのだろう

すると、瑠璃が

 

「すいません、隊長。少し、意地悪なことをしました」

 

と謝罪した

その後に、デイジーが

 

「やはり、ここはこれしかないかと」

 

と言って、持ってきていた鞄の中から一枚の紙を取り出した

そしてその紙を、明久の前に置いた

それに気付いた明久は、思わず目を疑った

何故ならば、その紙は

 

《重婚姻届け》

 

だったからだ

 

「えっと……本気で?」

 

明久が問い掛けると、四人は

 

『本気』

 

と短く答えた

確かに、今の世の中は神界の法が適用されて、重婚することも可能になっている

 

「俺ですよ?」

 

明久が思わず問い掛けると、四人は

 

「隊長、先程も言いましたが、私達は隊長以外とはお付き合いする気はありません」

 

「私達はね、アキ君。アキ君だから、付き合いたいの」

 

「そして、四人で話し合って決めたの」

 

「だから、後悔はありません」

 

と答えた

そして明久は、四人の目から本気だと察した

だから

 

「分かった……受け入れます」

 

と答えたのだった

実は同時刻、稟も楓、シア、ネリネ、プリムラから告白されていた

そして、同じことが起きていた

こうして二人の少年は、未来が決まったのだった

 


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