転生したら柱の女だった件   作:ひさなぽぴー

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本日二度目の更新です。ご注意ください。


6.カーズ様「私にいい考えがある」

 どうも、どうもどうも。スタンドに目覚めた合法ロリこと、一部の市場を席巻するアルフィーちゃんおおむね一万二千五百歳です。紀元前千五百年くらい? エジプトがとてもホットな時期ですね!

 

 この五百年がどうだったかと言えば、日常的にカーズ様の機嫌が良くなくて馬車の空気が最悪ですって感じでしたね!

 あ、馬車は比喩だよ。そんなものないよ。だって、この時代の南北アメリカ大陸に馬はいないからね。

 

 それ以外で何をしていたかって言えば、まずはアメリカ大陸の再調査だ。二千年も経てば環境も変わるからね

 一度調査した場所を調べるのはかなり精神的にしんどいものがあったんだけど、これが意外や意外、ちゃんと成果はあったんですよ。

 

 なんと、遂にカーズ様が見つけたんですよ、エイジャの赤石を!

 もちろん石仮面の力を最大まで引き上げる、通称スーパーエイジャには程遠い屑石程度のものだけど。それは確かに石仮面の力を引き上げて、今まで以上の効果を発揮した。

 原作で挿入された、赤石の効果を試すカーズ様とエシディシのやり取りはなかったけどね。

 

 代わりにそのやり取りをやったのがわたしでしてねぇ!

 炎の明かりを増幅して赤石から放たれたレーザーとか、ただの研究者のわたしが回避できるわけないでしょーがッ!

 おまけにエシディシときたら、爆笑してくれたからいつかどこかで仕返ししてやる。やるったらやるッ!

 

「しかしそうなると、どうする?」

 

 ひとしきり笑ってから、エシディシがカーズ様に問いかけた。

 答えはもう決まってたんだろう、カーズ様はほとんど秒でそれに回答してくれた。

 

「基本は変わらん。……が、今まで何千年もあちこちを調べて回って、やっと見つけたのがこれだけだ。方法は変える必要があるだろう」

 

 彼の回答は、わたしにとっても頷けるものだった。今のやり方がダメなら変えてみる。研究者としてその姿勢は至極当然だ。

 

「ほーん。で、どうする?」

「人間を使おうと思う」

 

 エシディシの再度の質問に、これまた即答したカーズ様にわたしたちは揃って首をひねった。

 カーズ様は確かに天才なんだけど、天才特有の発想の飛躍がたまに見られるのがなんていうか欠点って言えば欠点かなぁ。もうちょっと順を追って説明してほしいよ。

 

「えっと、その心は?」

「いかに我々が優れた生物であっても、この地球全体を調べるには数が少なすぎる。海の中も調べねばならない可能性もあるというのに、これでは時間がいくらあっても足らん」

「確かにそうですねぇ。でもそれって、カーズ様が一族のみんなを殺しちゃったからじゃ……」

「何か言ったか、アルフィー?」

「ひぇっ、ご、ごめんなさい!」

 

 ぎろりと睨まれて、縮こまるわたし。うう、何千年も一緒にいるのにいまだに慣れない。

 

 というかわたし、一族で唯一生き残った女なんだから、カーズ様はもうちょっと大事にしてくれていいと思うんですけど!

 そんな思いが通じたのか、カーズ様は珍しいことにため息をついてわたしの頭をなでてきた。

 

 ……えっ、なに、もしかしてわたし今から死ぬの?

 

「……だが確かに、お前の言わんとしたことも一理ある。あのとき私は、私を理解できぬものなど平等に生きている価値がないと判断した。しかし人手が必要な今になって思い返せば、少々軽率だったと言わざるを得んだろうな……」

「カーズ様……」

 

 カーズ様が……反省している……!?

 あの、退かぬ媚びぬ省みぬを地で行くようなカーズ様が……!?

 こ、これは天変地異の前触れか……!?

 

「……何をしている?」

「いえその、カーズ様の口から滅多に出ない類の御言葉が出たので、もしや熱があるのかと」

「ほう……もしかすると私は、バカにされているのか?」

「ひぇっ、め、滅相もないです! わ、わたしは純粋にカーズ様のことを想ってですね!」

「お前に心配されるほど耄碌はしておらん。話を戻すぞ」

「アッハイ、どうぞ」

 

 また睨まれたけど、額に手を当ててもそれだけで終わるあたりカーズ様もさすがに参ってるみたいだ。

 わたしに気を許してるってわけじゃあないだろう。彼にしてみれば、しょせんわたしは小娘だ。

 

 ……エシディシ、お前また爆笑してるな。覚えてろよ、ホント。

 

「問題は、手が足りんことだ。そして我々は繁殖力が低い。加えて、女ももはやお前一人だ。これ以上増えることは難しいだろう。()()()()()()()()()? 我々には及ばないが、知恵がある。繁殖力が高く、すぐに増える。これを使わない手はなかろう」

「ははあ、なんとなくわかってきたぞ。増えた人間に、それとなくこいつを教えて探させるわけだ」

「わたしもわかりました。見た目は人間が好きそうな宝石ですもんね、人間が増えて文明が各地に興ればわたしたちの手の届かない範囲にも進出して見つける可能性がある、ってこと……ですよね?」

「そういうことだ」

 

 名案だろう? と言いたげにカーズ様が鼻を鳴らす。

 

「いいんじゃあねーか? 俺にはこれ以上の方法は思いつきそうにない」

「わたしもいい案だと思います。これから先人間はどんどん増えると思いますし。でも、それだとどうやって教えてもらいます? 仮に人間が見つけたとしても、もしわたしたちが地球の裏側にいたりしたらどうにもならないんじゃあ」

 

 ドヤ顔のままのカーズ様にそう返したら、見越していたんだろう。さらなるドヤ顔を見せてくれた。

 

「吸血鬼を養殖する」

「はい?」

「あん?」

 

 いきなり何を言いだすんだこの人は。やっぱり発想の飛躍がすぎるんですけど。

 もうちょっとわかりやすくよろしくプリーズ。

 

「つまりだ。吸血鬼ならば人間より頑丈だろう。連絡係として各地に放つのだ」

「あー……それでもし何か見つけたら、カーズ様に知らせるってことですか」

「吸血鬼になりゃあ、普通の人間よりも長生きするもんな」

「あ、そっちのメリットもありましたね。……でも吸血鬼って、命令聞かせられるくらい理性が残るやつ少ないですよ?」

「そこは数をこなすしかあるまい。どうせ人間など掃いて捨てるほどいよう」

「……仮に残ったとしても、みんな大体自分の欲に忠実っていうか、自分勝手な感じになりますけど……」

「家畜の扱いは心得ている」

「アッハイ」

 

 うまくいくかなぁ……。

 

 いや意味は理解はできるし、確かに遠距離の連絡手段がないこの時代で取れる方法の中でもいいほうだとは思うんだけど。

 吸血鬼が従うかなぁ……そりゃカーズ様の目の届くところなら従うだろうけど、離れたら……それこそDIO様みたいなことになってもわたし驚かないよ。

 でもカーズ様は自信満々だ。彼がやるって言うなら、わたしに拒否権はないしお付き合いしますよ。わたしはカーズ様の助手ですからね、わたしの罪悪感はこの際封印しておかないと。

 

 で、その日からカーズ様主導の下で人間を吸血鬼にする作業が進められた。

 見どころのありそうな人間を捕まえてきては、石仮面をかぶせて血を一滴。するとあら不思議、その人は吸血鬼になっちゃうって寸法だ。

 

 一応、過去のデータから見て吸血鬼化しても理性を保ちそうな人を選んでるけど、それでも三割くらいはただ暴れるだけの怪物になっちゃうのが色んな意味で申し訳ない。

 理性を保ったまま吸血鬼になった人も、その三分の二くらいは人間よりワンランク上の存在になったことに気を大きくして、イキりにイキった挙句みんなのご飯になりました。

 

 そうやって選別された数少ない吸血鬼が、南北アメリカ大陸の各地に()()されていく。集落の規模や人口密集度によっては複数置いたりもして。

 一度吸血鬼を設置したあとは、それぞれの場所を巡って報告を受けつつ次に向かう、というルーティンで各地を回り続けることになる。一応そこでわたしたちも調査はするけど、あんまり報告を信じないようなことするのもあれだし、手間は大幅に減ると思う。

 

 吸血鬼たちは与えられた使命を遂行するに当たって、手段は問わないことになっている。赤石の情報収集と報告業務がちゃんとできていれば、わたしたちは一切彼らを咎めない。

 つまり言うことをちゃんと聞いてれば、不老不死の身体で好き放題できますよっていう内容だね。

 カーズ様もなかなかエグいことをするよ。不老不死なんて餌をぶら下げられて、飛びつかない人間なんてそうそういるもんじゃあない。特にこの時代は。

 

 この作戦は、結構うまくいった。屑石程度ではあるけど、百年程度の間にエイジャの赤石が複数見つかったから、やっぱり数は力だよね。

 

 カーズ様はこの成功を見て、いよいよユーラシア大陸に目を向けるようになった。元々視野には入れてたんだけど、ここにきてようやくって感じだ。

 

 そしてユーラシア大陸に移動するに当たって、サンタナが残されることになった。アメリカ大陸の南北を結ぶテワンテペク地峡からパナマ地峡にかけての地域で情報が集まるように整理して、彼をそこに配置。彼はそこで吸血鬼と情報の統括に専念するってわけだ。

 

 そこはカーズ様がいるべきじゃないのかとは言ったんだけど、正直まだ見たことのないユーラシア大陸をその目で見たいって理由が強いんじゃないかってわたしは密かに思ってる。

 

 それにしても、なるほどなぁ……サンタナはこうやってアメリカ大陸に放置されたんだなぁ……。

 原作で言われてたほどかわいそうな感じではないけど、それでも一人きりになっちゃうのは寂しいだろう。時間も持て余すだろうし。

 

 というわけで、暇潰しになればと思って吸血鬼の生態調査をお願いしといた。あの子、研究者とか職人としてはかなりできるんだがら、それを活かさない手はない。

 まあ、本当に暇なときに片手間程度でやってくれればいい。他にやりたいことが見つかるなら、別にやらなくってもいいしね。

 

「サンタナ、こっちはお願いね。気をつけるんだよ」

「わかっているとも姉さん。そっちこそ気をつけるんだぞ」

「うん、ありがとう。あ、そうそう。これ、今までわたしが書いた吸血鬼に関してのメモね。調べようと思って取ってたわけじゃないから取っ散らかってるけど、ちょっとは助けになるかもだから」

「ありがとう。姉さんはいつも優しいな」

「当たり前でしょ、誰が育てたと思ってるの。お姉ちゃんは弟を守るものなのだよ」

 

 えっへん!

 

「……そういうことをするから、カーズ様にいつまでも子供扱いされるんじゃあないか?」

「いやいや、カーズ様からすればみんな子供でしょ。あの人十万年以上生きてるんだから」

「いやそういうことではなく……まあいいか。姉さんが誰かと愛し合ってるところなど、俺には想像がつかん」

「むきーっ、サンタナまでそういうこと言うの!」

「だから、そういうところだぞ姉さん……」

 

 なんて会話があったんだけど、そのときのサンタナはなんだか疲れた顔をしていた。解せぬ。

 

 まあそれはともかく。

 

 こっちの大陸はサンタナに任せておけば大丈夫だろう。まあ、原作通りならこれだけやっても石仮面を完成させるだけのエイジャの赤石は見つからないんだけどね。

 というわけで、本命はユーラシア大陸のほう。わたしとしても、文明のるつぼともいえるユーラシア大陸の、それも紀元前十世紀以前の様子を見る機会がようやく巡ってきてとってもワクワクしてる!

 

 何より、この五百年の間に色々あって持ち運びと保管の手段が手に入ったのでね。最近はスケッチを残す余裕ができたんですよ! それでユーラシア大陸の古代文明を見られるんだから、そりゃもう心が躍るってもんですよ!

 

 え、どうせ下手くそだって? ふふーん、柱の男一味をなめないでもらいたいね!

 わたしたちは、地球の生態系の頂点に立つ生き物ですよ? たとえわたしがその中ではみそっかすでも、そもそも生き物としてのスペックが高いのだ。

 おまけに練習時間は腐るほどある。それを無駄にハイスペックな身体と組み合わせれば、写真顔負けのきれいなスケッチができるって寸法さ!

 

 なんなら塗料も自前で用意して、彩色までしてるんだぞ。お絵かき楽しい!

 まあこの辺りまで行くと、さすがに生物としての能力だけでゴリ押せなくなってくるみたいで、今はまだ練習中って感じだけどね。

 

 ちなみにこのスケッチ、カーズ様もわりと気にしてくれてて、やめろとは言われてない。彼はやっぱり根が研究者なのか、こういう知識の蓄積にはむしろ賛同すらされてるくらいだ。

 

 だからなのか、最近は昔に比べたらわりとカーズ様と行動する機会も増えた。たまにいい絵ができると、褒めてくれる。

 最近は、それで撫でられるのを普通に喜んでるあたり、わたしもいよいよ心の上でも随分人間から遠ざかったなとは思うけど。元々カーズ様は好きなキャラでも上位にいた人だから、ある意味当然かなって開き直ってる。

 

 そうそう、そんな風に接触が増えたこともあってかスタンドはとっくにバレてます。

 隠し通せなくなったから申告したんだけど、特に怒られたりとかそういうのは今のところない。たぶん、わたしのスタンドじゃどうあがいてもカーズ様に致命傷は与えられないってことと、使い勝手は悪いけど便利ってことが大きいんだと思う。

 

 実際便利だしね、わたしのスタンド。矢で攻撃するのが主だったはずなんだけど、五百年もの間ずっと修行してたら、最近になって収納能力が目覚めまして。

 うん、なんかわたしのスタンド、四次元ポケットみたいな機能がついたんだ……。おかげでスケッチとかを保存できるようになったわけだけど、成長しない身体といいなんでわたしってこうも戦闘向きにならないかなー?

 

 そんな風に思いながらも、いよいよユーラシア大陸に渡るべく移動を始めたんですけどね。

 

「オマエ……まさかワタシの守護霊が見えるのか!?」

 

 ここでスタンド使いと鉢合わせる羽目になるとは思ってなかったよ。

 




あくまでも自分は戦闘向きではないと評する主人公。なお(

あ、主人公のスタンド名は次回にて。

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