変わっていないところも少しありますが、文章が変わっていても意味するところが変わっているところなどもありますので、お手数でなければ改めて前話を読んでから今話を読んでいただければと思います。
最初に投稿した内容よりよくなっているだろうとは思います。それでもダメだって人もいるかもでしょうけど、とりあえずは15話はあれで確定とします。
……結論から先に言うと。わたしの身体は、どうやらジョセフレベルの波紋にも普通に耐えられるらしい。あの量の波紋を受けるのは初めてだったから、これにはわたし自身も驚いてる。
いや、もちろんかなり痛かったし、波紋を受けた箇所はそれなりに溶けたよ。けどそれどまりで、骨が露出することすらなく終わってしまった。それすらも半日も経たずに治りきったんだから、なんと言えばいいものやら。
罰というか、けじめというか、そういうつもりだったから、あえて無防備に受けたんだけどな……。見た目的にもかなりの波紋量だったはずなんだけどね……。
「あんたが人間側についてくれてよかったと、今ようやく心の底から思ったぜ……」
「うーむ。赤石で増幅して、それでようやくまともに戦えるようになる、といったところだろうか」
とは、結構な波紋傷が半日も経たずに完治したのを見たジョジョ二人の感想だ。神妙な顔だったから、わたしは恐縮するしかなかったよね。
「あ、でも、受けた感じから言って、一番威力の高い山吹色なら、ラッシュ受ければさすがに生死の間を彷徨うくらいはすると思うな、って……」
「なるほど、そりゃあ確かに行けるだろうなぁ~~、難易度がエンパイアステートビルみてーにクソ高いってことを無視すりゃあだがよぉぉ~~!」
「そうだね……戦闘の真っ最中に、間違いなく抵抗も防御もしてくるだろう格上を相手に、全力の乱打を打ち込むことはとても難しいだろう」
「ですよね!!」
すいませんでした。
どうやらわたしの日光耐性は、わたしが思ってるよりもかなり高いらしい。
あるいは、長年昼間から行動し続けてたことで、知らないうちに耐性が増してるとか……?
そういえば、限界時間をしっかりと計ったことってなかったな……。そこら辺含めて、ヨーロッパに戻る船の上で確かめてみてもいいかもしれない。
まあそれはともかく。
「……まあでも、これで一つわかったことがありますな」
そんな形で
「そうだね。アルフィー君は、柱の一族でも最大の日光耐性を持つという。それならば、赤石を使わずとも彼女にダメージを与えられるジョセフなら、他の柱の男とも問題なく戦えることになる」
「俺が行けるなら、親父やお袋も行けるなーッ。もちろんおじいちゃんは当然として!」
ちょっと自慢げなジョセフに、思わずほっこりしそうになる。
「マリオ君やシーザー君は少し危ういかもしれないな……まあ、それも赤石がそこそこあるから、さほど気にしなくていいかな」
「二年前、いきなりジョースターさんに赤石を組み込んだ服やらグローブやらを大量に発注されたときは、何事かと思いましたがねぇ」
茶目っ気たっぷりに言葉を挟んだスッピーに、場の雰囲気は少し和やかになる。
そういえばそんなことあったね。ルベルクラクが持ってた赤石をそこそこ、決戦用にプレゼントしたんだよね。
おかげでこの世界の波紋使いは、原作よりもめちゃくちゃ強化されてたりする。ジョセフはサンタナ戦に持ち込めなかったみたいだけど、ヴェネツィア在住の人たちはみんな持ってるみたいだし、原作よりだいぶ有利なんじゃあないかな。
ここまでやればカーズ様にも勝てるでしょ、とは思うんだけど……ジョジョの敵陣営って、主人公たちと同じく成長し続けるからなぁ……。これでもなお安心できないのは、わたしが小心者だからだけではない……はずだ。
ともあれ検証はそうして終わったわけだけど……。
「罪を犯した自覚のある人は、それが裁かれなかったり罰されなかったりすると罪悪感に押し潰されてしまうと聞いたことはあったけれどね……実例を見た気分だよ」
「はい……すいませんでした……」
わたしは改めて、ジョナサンにお説教されていた。床の上に正座というジャパニーズスタイルでだ(自発的
内容を大雑把に言うと、もっと自分を大事にしろ、ということになるだろうか。
ただその言い方がとても穏やかで、ゆっくりと諭すような語り口なので、感情に任せてガミガミ言われるよりよっぽど堪える。推しに説教させている、というのも相まって余計だ。
「本当にごめんなさい……二人とも……特にジョセフには、迷惑かけてしまって……」
「……俺はもう気にしてねーよ。むしろそーやってうだうだされるほうが面倒だ」
「僕も迷惑をかけられたとは思っていないよ。あれは君なりの謝罪と、覚悟の示し方だったんだろう?」
ジョナサンはなんでもお見通しだなぁ……。
ただ、あれはなんというか、勘違いから始まったと言いますかですね。
ジョセフの「納得できない」を、わたしは「どうしてもっと早く決心できなかったんだ」とか「何人見殺しにしてきたんだ」とか、そっち方面で「納得できない」んだと思ったんだよね。自分で言った通り、自分でもそう思うことは何度もあったからさ。
だからこそ、「納得できない」って言ったジョセフに、それならわかりやすく罰してもらえばいいんだって思った。今までそうやってわたしに怒った人がいなかったからか、怒っている(とさっきのわたしは思ってた)人に会えて、ちょっと嬉しいまであったくらいだ。
だからって色々とすっ飛ばして「殴ってもらおう」って発想になったのは、今にして思えば冷静じゃあなかったけど……ともかく、実際は思ってたのと全然違ったわけだ。
ジョセフはあくまで、「もっと早く救われてほしかったのに」とか、「残りの人生全部を償いだけに使うのはどうなんだ」とか、そっち方面で「納得でき」てなかったようで。だからこそ、わたしの自罰的な発言に声を荒らげたわけだね。
彼はあのとき、後ろ向きというか受動的というか……そういうやり方はやめろって言ってたんだろうけど。我ながら察しが悪いというか、行間が読めないというか……。
何が知恵の神様だよ。本当、名前負けも甚だしい。一刻も早く大層な肩書なんて捨てて一人の人間になりたいよ。
……それはともかく、そんな流れだったことを考えると、今回の最大の被害者はジョセフと言えるだろう。
一見すると検証として殴られたわたしのほうがダメージを負ったように見えるけど、わたしが無理やり彼に殴らせたようなものだ。
もはや何度目かもわからないけど、まったく我ながら器が小さい。まるで成長していない……本当、一万六千年以上も生きて何をしてるんだか……。
「あんた、本当にそこら辺の人間みてーな人だな……ったくよぉ~~。気にしてねーっつっとろーが」
「あてっ」
デコピンをされた。言うほど痛くはなかったけど、なんとなく。
「俺はあんたたちの種族の生態には興味ねーから、細かいことはわからんが……少なくとも、人間には失敗しねーやつなんて一人もいねーんだよ。そーゆーのは一気にできるもんじゃあねーだろーに」
「ジョセフの言う通りだよ。誰だって転んで、けれど立ち上がって、少しずつ前に進んでいくんだ。きっと君たちはそのスパンが長いから、僕たち人間の尺度で見たら成長していないように見えるだけなんじゃあないのかい?」
「……そう、だといいなぁ」
はあ、とため息をつきながらも苦笑する。
でもまあ、確かに。いつまでも失敗を引きずってたってしょうがない。たまに後ろを向くことはあっても、前は向いて歩いて行かないといけないよね。
「よし」
ぺしん、と自分の頬を叩く。
うん。
反省した! うじうじアルフィーちゃんはここまで!
今からはがんばるって感じのアルフィーちゃんだ!
「ごめんね、無駄な時間取らせちゃって」
「構わないよ。それじゃあ、これに関してはこれで終わりにしよう」
ぽんぽんとジョナサンが手を軽く鳴らしながらそう言ったので、わたしも頷いて表情を引き締める。傍らのジョセフも同様だ。
これから何が始まるって?
そりゃあもちろん、サンタナを起こすのさ!
「……では、開けますぞ」
ジョナサンの視線を受けて、スッピーが何かの機械を操作した。
すると、まず壁に設けられていたガラスが床下に下がっていく。そちらに目を向ければ、石になったままのサンタナが。
次いで、彼の周りに満たされていた紫外線がすうっと潮騒のように引いていく。
代わりに投射されたのは、よくある白熱灯だ。スポットライトのように差し込んだそれの中で、石化したサンタナの姿が浮かび上がる。
紫外線は、わたしたち一族や吸血鬼の天敵である日光の中でも、特に害となる中心的な要素だ。それがある限り、わたしたちの身体は石化を余儀なくされるけれど……なくなった、ということは。
文字にするなら――メギャン、が適当だろうか。そんな様子を見せて、サンタナの身体の色がゆっくりと元に戻った。
けれどジョセフとの戦いで下半身を失っているので、立ち上がることはできない。原作だと両腕も失っているので、それよりはマシだけれど。
それでもこの状態で特にどうということもなく、生命活動が可能なのがわたしたちという生き物だ。サンタナは腕を使って身体を起こすと、周囲を見渡して状況を確認し始める。
彼の視線はやがて、ジョナサンとジョセフに向けられた。しかしすぐに、隣のわたしに移って目を丸くする。
わたしはそんな彼ににこりと笑いかけると、周りの三人の許可を改めてもらってから、隔壁内に駆け込む。
「サンタナ! 久しぶり! 迎えに来たよ!」
「姉さん!」
「うん、わたしだよ! よかった……また会えたね!」
少し呆けた様子のサンタナの身体をゆっくり起こして、そのまま正面から抱擁する。
わたしより少し体温が低いのか、ひんやりしている。けれど、かすかに漂う彼の匂いに。身体の奥から確かに聞こえてくる拍動に。ああ、彼が生きてるんだと確かに感じられて、嬉しくなった。
「ごめんね、着くのが遅くなって……本当にごめん。こんなになっちゃって……」
「気にしていない。必要な戦いだったし……何よりこれくらい、すぐに治る怪我だ」
「それでも、痛かったでしょ? 心配なんだよ。だってわたし、お姉ちゃんだもん」
ぎゅっとサンタナを抱きしめる。わたしはそのまま、彼の首筋に顔をうずめた。
「……心配なのは俺もなのだがな。ここまで大事なかったか?」
「う、あー……その……小……いや、中くらいはあったかもだけど。でも、大丈夫だよ。本当に……
「本当にそうだといいのだがな……」
う、これはもしかしなくても、さっきまでのお説教と根を同じくする心配だよね。
でも姉弟なんだし、当然か。気をつけないとなぁ。
そう改めて自分に言い聞かせつつ、 わたしはサンタナを抱き上げて、えっちらおっちらと隔壁から外に出る。
「……ジョセフ・ジョースターがいる、ということは。姉さんは連中と既に繋ぎがあるのか?」
「まあね。正確には彼の祖父ジョナサンのほうで、ジョセフとはここ数日だけど」
「ジョナサン、か。うむ……どうやら凄まじき男のようだ。万全の状態で挑んでも、俺では勝てるかどうか……」
「ええと、お褒めに与り恐縮だよ。改めて、ジョナサン・ジョースターだ。よろしく」
「恐れることなく握手を求めるとは……本当に大した男だな」
「応じてくれる君もだと思うけれどね」
うーん……ジョナサンとサンタナの握手シーン……なんてあり得ない光景なんだ……。いやなっとるやろがいって話なんだけども。
「……フーン。こうして見ると、あんたら柱の一族にもちゃあんと家族愛っつーのはあるんだなァ……」
一方、ちょっと違う視点から言葉をこぼしたのがジョセフだ。頬杖をついてこちらを見ている。なんだかちょっと気恥ずかしい。
でも、一つ訂正はしておかないとね。
「そりゃああるよ。そもそもサンタナはわたしが育てたんだし。というか、その手の情がないカーズ様がやっぱり普通じゃあないんだよ」
「……なあアルフィーちゃん様。気になったんだが、もしかしてそれ、無意識なのかァ?」
「ん? どれ?」
と思ったら、なんかよくわからない指摘をされた。
「いやな、俺は思うわけだぜ……あんたは長いこと、カーズにかな~り理不尽に扱われてきたじゃあねーか。自分の意志に反することをやらされるのは、相当つらいことだぜ。なのにだ、なんであんたはいまだに『
「……え、あ、あー……そういえば……」
思わず首を傾げてしまったけど、言われてみれば納得だった。確かに、わたし普段から完全に無意識でカーズ様って言ってるや。
でもこれはなんていうか、前世から染みついた癖って言うか……。ほら、無性に様つけて呼びたくなるキャラっているじゃない? これはそういうやつっていうか……。
「…………」
あっ、ジョセフの後ろに「シラケ~」って効果音が見える!
「あんた、本当にあんだけ神話でヨイショされてるアルフィー神なのかァ……? マジにそこらへんのガキンチョ相手してるみてーな気分だぜ……」
「むー、そりゃあ神話が盛りすぎなのは事実だけど、一応それっぽいことはできるんだよ? 波紋より迅速にケガとか治せるし!」
「そーゆーことじゃあねーんだよなぁ……。もしかして柱の一族って、人間換算すると一万歳が五歳程度だったりすんのか?」
むくれながら返したら、やれやれとか言い出すジョセフである。あなたがそれ言うと、どこぞのキョンが脳裏にちらつくんだけどな……。
「姉さん、そこまでにしよう」
「ん? うん、そうだね……」
少なくとも、サンタナを抱きかかえたまますることじゃあなかった。
「JOJOよ……改めて、よくぞ俺を倒した。俺にああまで言っておきながら、他人の手を堂々と借りるとは思っていなかったがな」
「俺はあんたらと違ってか弱ぁ~~い人間なんでね……人間らしく、力を合わせて立ち向かっただけだぜーッ。あの状況じゃあできることがあんまりなかったのも事実だしなーッ」
「ふふふ、人間らしく力を合わせて、な……確かに、群れることは人間の強みの一つだったな」
「ぶっちゃけて言えば、あんまし借りたくはなかったんだぜ俺だってよぉぉ~~! けど武器がなんもなかったし、あいつらはあいつらで『必殺の秘密兵器がある』なんて書き残してたから、これは賭けてみてもいいんじゃあねーかと思ったんだよ」
「だが見当はつかなかったのだろう? 分の悪い賭けとは思わなかったのか?」
「五割くれーは行けると踏んでたぜ? なんせドイツの科学力は今の人類でも頭一つ抜けてるところあっからよーッ、カラー写真みてーなマジでとんでもねー発明とかあるしな!」
「ほう……? なんだそれは、とても興味深い」
あ、なんかサンタナが楽しそう。なんだろう、戦ったことで友情が芽生えたんだろうか。ジャンプ的だなぁ。
そんな二人を、ジョナサンがなんだか微笑ましく見守っている。こうしてると、彼もちゃんとおじいちゃんしてるなって感じだ。
と、そのジョナサンが、頃合いを見計らって声を上げた。
「それじゃあ、そろそろ本題に入ろうか。これからのことについてね」
「ああ……と、その前にまずは下半身を治したいのだが、適当な下半身はないか? 男であれば死体でも構わないのだが」
「ええ……そんなことできんの……」
「ジョセフ、これが柱の一族の生態だよ」
ドン引きするジョセフに、何かを悟ったような無表情でジョナサンが首を小さく振った。
……うん。まあ、ね。気持ちはわかるよ、うん。
死体でもくっつけておけば、それでばっちり結合してすぐ元通りになるとかわけわかんないよね。三部のディオが知ったらどう思うことやら。
「とはいえサンタナ君、それは少し待ってもらえないかな。君にとっては当たり前のことなんだろうけど、少なくともそれは現代の人間の多くには心情的に受け入れがたいことでね……。
それに死体とは言っても、彼らは元々この世界のどこかで普通に生きていた人たちなんだ。僕は彼らを五体満足で家族の下に返してあげたいんだよ」
「…………、……ふむ。仕方ない、か」
サンタナはジョナサンの言葉を受けて、しばらく目を瞑って思考したあと、大仰に首肯した。
……したけど、 納得した顔じゃあない。今のままじゃあ反撃できないから仕方ない、って雰囲気がちょっとある。
あ、いやでも、
時代的に生贄は無理って可能性もあるけど、サンタナ王国は立憲君主制ではあるものの王権がわりと強い法律してるから、なんとかするんだろうな。
あの王様はこれから大変だろうけど、わたしのかわいい弟を殺そうとした人だ。仕事で忙殺される程度なら、「ザマミロ&スカッとサワヤカ」の笑いが出るだけで助けようとは思えないかな。
「え、ええと、じゃあサンタナ、とりあえずテーブルの上に載せる、ね?」
「ああ、頼む。あまり気は進まないが、ここは現代の人間のやり方に合わせてやろう」
「これが上から目線ならぬ神様目線ってやつか……」
わたしに応じながら、真顔で堂々と上から目線の言い方をするサンタナ。
そんな彼に、ジョセフが「うえー」とでも言うような顔で舌を出していた。
色々ありましたが・・・作者的にも色々ありましたが・・・。
とりあえずサンタナが合流して、次に進みます。
まあでも、今のストック状況からして、たぶん次でストックが切れますね。
なので恐らく明日の更新以降、不定期更新にシフトすると思います。