『ありを倒したと言う事は、相当強くなった・・・と言う事で間違いないわね?』
「わたし、つよいの?」
『まだまだよ、人間ならあり如き何匹居たってかすり傷一つ付かないわよ』
「ありさんよわい」
『だからまだまだ鍛えないと駄目だわ、ほら次は野兎よ、追いかけて来て喰い殺しなさい』
「わかった」
彼女は言われるがまま、約1メートル先に居る野兎に接近する。
野兎はこれから自らの身に起こる災いに気付く気配すらなく、呑気にお食事中だ。
気付かれないよう、そ~、と近づいた彼女は野兎の真後ろに張り付くと、手から≪生体針・弱≫を生成し、兎の皮膚に小さな穴を開けた。
野兎は流石に少し不審がり、食事を中断して辺りを見渡したが、直ぐに食事を再開してしまった。
さて、皮膚に穴を開けた彼女はと言うと、体を小さく変形、もとい脱ぎ捨てて、その残骸を回収し、兎の体内に自らの核を侵入させた。
これはキメラールEXが持つ力やレベルは核、つまり魂の様なものに詰まっており、そこから更に肉体による補正が掛る仕組みに成っているからこそ出来る芸当だ。
つまり彼女にとって魂のラインを切った後の肉体は唯のゴミなのである、彼女の真の肉体は核のみであるとも言えるだろう。
一応エネルギーを回収する為に抜けがらを核に取り込んだ様だが・・・・・・まぁ知れているだろう。
さて、無事に野兎の体内に侵入した彼女は野兎の体を喰い散らかしてゆく。
いくら野兎の体は生体で、魂のラインの保護が掛っていると言えど、彼女は神に作られた神造生物、魂の格の違いが大きすぎる為、野兎は碌な抵抗すら出来ずに体を喰い荒らされてゆく。
『勘だけで自分の能力の本質を悟ったのね、やるじゃない!』
体の半分以上をものの一分程で奪われた野兎はビクビクと二三回痙攣を起こしてから絶命してしまった。
(・・・・・・???)
野兎の死体を完全に取りこんでから彼女はステータスを唱えようとするが、如何せん体を脱ぎ捨てたために声帯を失ってしまい、声を発する事ができなくなってしまったようだ。
暫くうろたえていると、見かねた『声』が助言を差し出す。
『念じるだけでもステータスプレートを見る事が出来るわよ、体の再生は後で教えるわ』
(ステータス)
Lv.28
HP 53000 筋力1300 敏捷7730
MP 53000 防御1300 知力540
skill ≪『●●●●●●の魂』≫、≪キメラールEX≫、≪変態変体≫、≪無限収納≫、≪光合成・最弱≫、≪再生・最弱≫、≪毒液・最弱≫、≪毒耐性・弱≫、≪生体針・弱≫、≪怪力・壱≫、≪跳脚≫、≪敏捷補正≫、≪兎の俊足≫
『流石に強敵を倒すと、新しく覚えたスキルも多いわね、さて、このまま核を晒したままだと危険よ、早い事、体の再生講座に移りましょうか』
(わかった)
『体は周囲の無生物物質に魂のラインを引く事で構成する事が出来るわ、周りの物質を自らの魂の支配下に置くのよ』
(わからない)
動揺しながら彼女は助けを求める。
『考えるまでも無いわ、勘一つで分かる筈よ、思うまま、やってみなさい』
少しだけ動揺しながら、されどどこか冷静に、
(・・・・・・できたっ!できたできたっ!)
周りの小石や砂が彼女の元へと集まり、一つの人形を作り出す。
肉体の再生成に見事成功した彼女は珍しく喜び、騒ぎ立てている。
『良かったわねぇ・・・因みに無生物ならレベル×㎏まで、生物ならそれに相手の抵抗力を引いた分だけ肉体として操る事が出来るわ』
感動?の場面をぶち壊しにしてしまう補足説明は今は要らないと思うよ。