ファイアーエムブレム風花雪月 異国のサムライ 作:戦国のえいりあん
最近、プライベートが忙しくてなかなか書けません…
今回の支援会話はアネットです!
…今回はネタ要素が多いです
・ガルグ=マク大修道院 温室
「も~ぞもぞ~♪も~ぞもぞ~♪」
温室から聞こえてくるなんとも不思議な歌声。明るく、そして楽しそうにステップも織り交ぜながら歌っていたその声の主はアネットだった。本日、温室の掃除当番だった彼女は一人で黙々と掃除をしていたのだが、その最中に気分がよくなり趣味である自作の歌を歌い始めたのだ。ちなみにこの時間に温室に訪れる生徒は少なく、この場に居るのは自身一人…そんな状況になるとついつい歌ってしまうアネットだったのだが今日は違った。
「冷たく湿った、暗黒の地で~♪昨日も今日も、も~ぞもぞ~♪」
「………」
「眩しい光に、憧れて~♪掻き分け掻き分け、這い出すの~♪」
「………♪」
「それっ♪もぞもぞ、も~ぞもぞ……って、わっ!?ふ、フウカさんっ!?」
歌を歌っていたアネットの後ろに居たのは、同じく楽しそうにノリノリで歌に合わせて手拍子するフウカの姿があった。一人だと思って油断していたアネットは顔を真っ赤にしながら慌てふためいていた。
「え、えっと…フウカさん…?なんでここに…?」
「え?私も温室に用事があって来たのですが」
温室に用事があるのは本当のようで、フウカの手には水の入った大きなバケツと何かの薬品が入った小袋を何個か持っていた。実はフウカはこの時、ベレスから許可された温室の一部のスペースを使って故郷の作物を育てており、今日はたまたまその作物の世話をしに来たというわけだ。
「あはは…そうだったんですか~…えっと、その…」
「はい?なんでしょう?」
「…さっきの歌、聞いてました?」
「はい!しかとお聞きましたよ」
「そんなあ…!!ど、どうして声をかけてくれなかったんですか!」
「何度も声をかけましたけど、全く気づかれなかったので…」
「うう…ど、どうしよう…あたしのバカー!」
恥ずかしさと情けないさの影響でアネットは思わず自分の頭を何度も殴る。そして、落ち着くとアネットは深呼吸して笑顔でフウカに声をかけた。
「あの、フウカさん。今日、一緒にお昼食べません?」
「え?いいですけど…」
「今日はあたしがおごります!好きなだけ食べていいですから!」
「それは嬉しいですが…あの、どうかしたのですか?」
「…お願いします!さっきの事は忘れてください!」
そういう言うとアネットはフウカに深々と頭を下げる。よっぽど知られたくないのか、必死に何度も頭を下げ続ける。しかし、当のフウカからは予想外の返答が帰ってきた。
「とてもいい歌だったと思いますが…」
「…え?」
「アネット殿らしい歌でしたし、何より聞いていて楽しさが伝わってきました!」
「え…?ええっ!!?」
想定外の返答にアネットは一瞬言葉を失った。今まで何度か他の生徒に歌を聞かれたことはあったが、こんな反応をする者は初めてだったのだ。
「別に知られておかしな事ではないと思いますが…」
「その…そう言ってもらえるのは嬉しいけど…すごく恥ずかしいの~!」
「はあ…分かりました。アネット殿がそう言われるなら私もこの事は他言無用とします」
「あ、ありがとうございます!はあ~よかったあ…」
これで学内のみんなに笑い者にされなくて済むよ…、と内心安堵するアネットをよそにフウカは突然、嬉しそうに語り始めた。
「アネット殿は歌が趣味なのですね!知りませんでした…」
「あはは…こういった一人の時はついつい歌いたくなるんです」
「恥じることはありませんよ、歌にはたくさんの魅力が詰まっています。歌詞も表現も歌う人によって十人十色…歌の魅力は無限なのです!」
「そ、そんなに難しく考えてないです、あたしは思ったことを歌詞にしてるだけだし」
「では、あの歌詞は即興で思い付いたのですか!?アネット殿は極めて想像力豊かとお見受けしました。あの不思議な歌詞と独特な明るい旋律…実にお見事ですよ!」
「…あはは、誉められてる…のかな?」
何故か妙にテンションが高いフウカに気圧されるアネットだったがお互いに歌好きで気が合うのか、二人は歌について話し始めた。
「へえ~フウカさんも歌が好きなんですね」
「はい!私も一人の時にふと歌いたくなりますから、アネット殿のお気持ちはよく分かります」
「…あの、よかったらフウカさんの歌を聞かせてもらってもいいですか?」
「いいですよ!…とは言っても故郷の歌ですから、聞き慣れないかもしれませんが」
「全然、大丈夫です!フウカさんの故郷の歌、聞いてみたいです!」
そう言うと嬉しそうにフウカは目を瞑り、手を胸に当てるとゆっくりと口を開き歌い始めた。
「花の色は~♪移りにけりな~♪いたずらに~♪我が身世に降る~♪ながめせし間に~♪」
「……わあ」
ゆったりとした歌声と引き込まれるような独特な旋律にアネットは思わず聞き入る。歌詞は短いがその短い歌からは先ほどフウカが言ったように不思議な魅力が伝わってくる。
「短いですが、これが私の故郷の歌です。"和歌"という歌で別名"短歌"ともいいます」
「…す、すごい!歌声も綺麗だし、それに…なんというか独創的で聞いて不思議な気持ちになります」
「実はこれは私が考えた歌ではありません。故郷の先人たちが考えた数多くの歌の一部なのです。よく子供の頃に母上が歌ってくれました。たまにこうして歌いたくなるのです」
「へえ、もっと聞きたいなあ…あの、よかったら他の歌も聞かせてくれませんか?」
「勿論いいですよ、どの歌を歌いましょうか…」
「あ、もしよかったらフウカさんが作った歌を聞いてみたいです!」
「…え?ええっ!!?わ、私の…ですか!?」
「はい!フウカさんもあたしみたいに歌を歌ったりするんですよね?フウカさんが作った歌が聞きたいな」
「……うう、で、でも…そのお…」
明らかに動揺しており、今度は逆にフウカが赤面になっている。なんとか勇気を振り絞って歌おうするもやはり口が開かない。そんなフウカを見ていたアネットは気まずい雰囲気になる。
「あ、あの…無理はしなくていいですよ。じゃあ、他の和歌を聞かせてください」
「い、いえっ…!頑張って歌います。そ、その…他の皆様には内密にお願いします…」
「はい!もちろんです」
決意したのか、赤面で若干涙目になりながら自作の歌を歌い始めた。しかし、その歌詞はというと…
「君を見てると~♪いつも心どきどき~♪」
「…………え?」
「揺れる想いは~♪雲のようにふわふわ~♪」
「…………」
先ほどの和歌と同じくその歌声は綺麗で独創的な旋律だったが、その歌詞は聞いているアネットも恥ずかしさのあまりに顔を押さえてしまうほど独特すぎる内容だった。果てには聞いていた側であるアネットが思わず静止してしまうほどだ。
「…ま、待って!も、もういいよ…これ以上聞いてたら、恥ずかしすぎて死んじゃうよ…」
「…そ、そうですか…そ、その…すみません…」
「う、うん…あたし方こそごめん…」
その後、しばらく二人は温室から動けなかった。
短歌は皆様もご存知、百人一首の有名な一文を拝借させて頂きました。
次は本編を進めるか、支援会話を書くかで悩んでます…