よろしくお願いします。
今日は寒い。雪が降る季節だからだ。周りを見渡してみても雪が積もっている。この村の人々は厚着をしていた。そんな暖かそうと連想される服を着ている彼らが先程、団子屋のおばあさんに注文した団子を待っている彼の前を通っていく。彼は俺も厚着にしてくれば良かったと厚着をしている彼らを羨ましそうに眺めながら小さく呟き、口から息をゆっくりと吐き出すとその息は白くなり、消えていく。
「すいません」
彼に声をかけたのは先ほど、注文を取ったおばあさんではなく、この団子屋の孫娘だろうと思われる二十歳を超えた若い女であった。孫娘はお盆に載せてある串団子と温かいお茶を彼の座っている長椅子へと置く。そして孫娘はこの寒さを照らすような暖かい笑みを浮かべながら言う。
「どうぞ、団子とお茶です。寒かったでしょう……温かいですよ」
お茶からは湯気が出ており、今飲めば冷えた体が温まるだろう。彼は団子よりも先にお茶を勢いよく飲む。途中であちちと慌てる彼を見ながら団子屋の孫娘はくすくすと笑う。孫娘は寒い上、喉も渇いていたのだろうと彼の身の上を勝手に想像していた。
「あらあら、大変でしたのね。ゆっくりお飲みください」
彼の顔は一般的には整っているといわれる部類であり、髪は雪を連想させる真っ白。片耳にだけ真っ赤な雪の結晶のような耳飾りを付けている。着ている何かの隊服も真っ黒で羽織も真っ黒である。そして布に包まれていて見えないが何か棒状の物を自分の隣へ置いていた。
普段であれば目立つ格好をしている彼だが今日は違う。この冬景色に彼の真っ白な髪は溶け込んでいる。そんな彼はお茶を一滴も残さず飲み干した。
「ねぇねぇ、お嬢さん」
「どうしました?せっかちさん」
このせっかちさんというのは先程、体を温めるためお茶を急いで飲んださい、あちちと熱がったことだろう。彼を弄るように笑う孫娘を彼は笑いながら気にしなかった。そんなことよりも孫娘の姿を見た瞬間から彼は孫娘に言いたいことがあったのだ。だが体が冷えていたため本調子に戻すため先にお茶を飲んだ。本調子を取り戻した彼は孫娘に真剣な眼差しを向ける。
「な、なんですか…そんな真剣そうなで目で見て……」
孫娘は真剣な眼差しを向けてくる彼に驚きを隠せなかった。彼の真っ赤な瞳に孫娘は心を奪われていく。
恥ずかしがっている孫娘に向かって彼は口を動かし、彼の十八番とも言える台詞を吐いた。
「俺とおっぱいの揉み合いっこしなーい?」
「………え?」
「ほら♡も〜みも〜み」
「キャァァァァ!!」
パチンと軽快な音が鳴り響いた。
★★★
「……なんで……」
頬に手形を浮かび上がらせている男の名前は
唯は頬を叩かれた衝撃で雪の地面へと背をつけていた。孫娘は怒ってもう店の中へと入ってしまっていた。村人たちは彼を横目でチラチラと眺めながら通り過ぎていく。
そんなみっともない姿を晒している彼のもとに髪を蝶々の髪飾りで纏めている女性が柔らかい笑みを浮かべながら近づいてきた。
「偶然ですねぇ、こんなところで…………」
「あ、しのぶ」
彼女の名前は胡蝶しのぶ。鬼を狩る隊、鬼殺隊の一員である。そもそも鬼殺隊とは鬼を狩る力を持っている剣士、そしてその剣士を支える者たちが集まった、政府非公式の組織で鬼殺隊の歴史はもう1000年以上である。現在の構成人員は数100名を超えており、その中でもしのぶは10人しかいない柱のいう位に属している正真正銘の実力者、蟲柱と呼ばれ毒を使う美しき剣士である。
唯はゆっくりと立ち上がり、羽織についた雪をはたいて落とす。
「それにしてもしのぶ。こんなところで会うなんて運命じゃん!記念におっぱい揉ませて♡」
「……………刺しますよ?」
しのぶはそう言うと笑みを浮かべたまま背負っている物に手をかけようとする。
「はははは、冗談だよ。……さすがに柱の同僚相手にはそんなことしないって……たぶん」
歌唄唯、彼もしのぶと同じく柱の称号を持つ者であり、斬柱の称号を鬼殺隊の現当主から頂いている。
そんな煮え切らない言葉を言う唯にしのぶは微笑みながら昔から全く変わってない唯に思ったことを率直に述べる。
「貴方は相変わらずですね」
「そういうしのぶは相変わらずじゃないみたいだね」
しのぶの笑みは固まった。一瞬だけだが彼女の笑みは固まったのだ。それを唯は見逃さなかった。久しぶりに遊ぼうと心の中で思い、彼女の返答を待つ。
「…………どういう意味ですか?」
案の定、しのぶは聞いてきた。
唯は子供のようにころころ笑うとしのぶを変えてしまったあの出来事より少し前の思い出を語り始める。
「昔はもっと短気だったし、いつも怒った表情だった…………あの時は弄るのがもっと楽しかったのに♡」
胡蝶しのぶは昔はこんなふうに笑わなかった。先ほどの唯の絡みも昔であれば頬を叩かれていただろう。先程のように軽い脅しでは済まなかったはずだ。
「私も大人になりましたから」
しのぶは柔らかい笑みを浮かべたまま頬を押さえながらそう答える。
確かにあの頃のしのぶを知っていても詳しい事情を知らない者からしたらそう受け取ってしまってもおかしくはないだろうが、唯はその詳しい事情をこの目で捉えていたのだ。だがあえて彼はぼかしてしのぶへと突きつけた。
「ははは!仮面をつけるのが得意になっただけでしょ」
「…………」
しのぶの額にわずかにだが青筋を張られた。唯はそのことにもちろん気づいてはいたがそのまま言葉を続ける。
「誰の仮面なのかなー?だ、れ、な、の、か、な?……あは♡ようやくあの頃の顔に戻ってきたね」
しのぶの顔から笑みが消えた。先程までは青筋が張られながらも表情はにこにこと笑っていた不気味ともいえる顔は消え、そこにはただ唯がしのぶに出会った頃に見た眉を釣り上げ怒りの表情だった。しかしすぐにそんな表情は消える。
「…………貴方の相手をまともにするのが時間の無駄だとわかりました。いやわかってはいたんですが……」
しのぶはため息を吐きながらそう言うと最後にはいつものにこにことした柔らかい笑みを顔に貼り付けていた。
「もう終わり?残念♡」
そんな様子を見せるしのぶに唯は少し驚きながら、彼も顔に笑顔を貼り付けた。
しのぶは唯の様子に自分と同類の癖にと小さく愚痴を溢す。しかし唯にはその愚痴は届かない。
「それにしても寒いなぁ」
しのぶはふと思った。そういえばなぜ唯はここにいるのだろう。まぁ、隊服を着ている時点でプライベートではないだろうとしのぶは察しがついているが一応質問を投げかける。
「……そういえばなぜ唯さんなぜはここへ?」
「ただの任務だよ。鬼が出るらしいからねここは」
唯は任務めんどいと呟きながら先程自分に出されたお皿に載っている串団子を歯を使い3つあるうちの1つを口の中への入れ咀嚼する。そして飲み込むとやっぱ団子は黒蜜だよねぇとしのぶに同意を求めた。
「任務?…………団子を食べながら?」
同意を求められたしのぶは唯の質問を軽く無視し、なぜ任務があるにも関わらず団子をゆっくりと食べているのか疑問が生じた。本来、任務の場合はすぐに現場へと駆けつけ早期解決しなければならない。こんなふうにだらだらとしている暇はないと唯も知っているはず。しかししのぶの疑問はすぐに自己解決した。これは任務の帰りなのだろうと。そうであればここでゆっくり串団子に齧り付いているのも納得できる。
「あぁ……任務の帰りなんですね」
「いや違うよ。任務はこれから」
「は?」
「やだなぁ、しのぶ。これにはちゃんとした理由があるんだよ」
「聞かせてもらっても?」
「実は鬼に襲われて生き延びた人、八重ちゃんって女の子がいるんだけどそれが今、山に入ってて帰ってくるの待ってるんだよねぇ……って、あれかな♪」
唯は自分が待っていた人物が現れた方へと指を指す。しのぶが唯の指に釣られるように西の方を向くとそこには髪を布で包み、猟銃を背負い、そして犬を連れた女性が大人の男何人かと揉めていた。
「お前また1人で山に入ったな!?」
「1人じゃねぇ!タロもおる!」
「犬だろうがタロは!又造の敵討ちは大人に任しとけ!」
そこからも言い争いは続き、女性は男たちが離れるように走り去ろうとする。
しのぶは唯に行かなくていいんですか?と問いかけようとするとそこにはもう彼の姿はなかった。
★★★
「まぁまぁ、ちょっと待ってよ」
その場を犬を連れ、走り去ろうとしていた女性が背負っていた猟銃を彼は掴んでいた。
女性の額にピキッと青筋が張る。
猟師にとってこれは命の次に大事な仕事道具だ。
それを突然掴まれた。女性の怒りは先ほどの揉めたこともあって頂点に達していた。
「人の銃に触れんじゃねぇっ!」
大事な物を気安く触れられた怒りで女性は叫び散らしながら肘打ちをしかける。しかしその肘は彼の腹部へと当たることなく彼の手のひらへと吸い込まれていた。
「近くで見るともっとかわいいねぇ、八重ちゃん♡」
鬼殺隊入隊記録♦︎歌唄唯
誕生日:4月26日
年齢:25歳
身長:176㎝
体重:70kg
出身地: 不明
趣味:女を口説く
好きなもの:女、串団子
呼吸:切断の呼吸
備考
鬼殺隊の柱、斬柱。
三度の飯よりも女が好きであり、過去に遊郭で借金するまで遊んでいたことがある。そのせいか柱の自覚が足りないと思われており他の柱からあまり好かれていない。
あと遊郭は完全出禁状態である。
それではまたいつか。