Muv-Luv Alternative✖️機動戦士ガンダムOO 地獄に降り立つ狙撃手   作:マインドシーカー

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引き続き序章02をお送りします。


序章02「世界を止めて」

序章02「世界を止めて」

 

それは、一人の男の最期の戦い。

 

 

 

 

 

 

GNビームサーベルとGNバスターソードの刃が交わり、プラズマの奔流が吹き荒れる。

宇宙空間を、二機のガンダムが駆け抜けた。

そして、刃が再び拮抗する。

濃緑の機体―――――ガンダムデュナメスに乗るガンダムマイスター、ロックオン・ストラトスは、眼前に迫った緋色の機体に乗る傭兵へ問う。

 

「KPSAのサーシェスだな!?」

 

オープン回線で叫ぶ。

直後、獰猛な雰囲気を漂わせる口調で、相手は答えてきた。

 

『はん!クルジスの餓鬼に聞いたかぁ!?』

 

「(-----認めやがった・・・!)」

 

今この瞬間、彼は家族の仇を真の意味で捉える。

 

「10年前のアイルランドでの自爆テロを指示したのはお前か!?」

 

自分の人生を捻じ曲げたあの忌まわしい事件が誰の手によって行われたかを問う。

 

『だったらどうしたよぉ!?』

 

「何故あんな事を!?」

 

緋色の機体―――――スローネツヴァイに乗る男は、さも当然の様な口調で答えてくる。

 

『俺は傭兵だぜ?それになぁ!』

 

刃が弾かれ、再び交錯する。

 

『AEUの軌道エレベーター建設に、中東が反発すんのは当たり前じゃねぇか!!』

 

―――――ふざけるな。そのせいで、俺は家族を失ったんだ・・・!

 

「関係ない人間まで巻き込んで・・・!」

 

怒りに任せて放った言葉に、サーシェスは嘲笑混じりに言葉をぶつけてくる。

 

『てめえだって同類じゃねえか。紛争根絶を掲げるテロリストさんよぉ!?』

 

再び交錯する刃。

 

「咎は受けるさ・・・!」

 

分かっていた。覚悟もしていた。

そうだ。彼は、彼らは世界に喧嘩を売った稀代のテロリスト。

テロリストいう意味では、ロックオンも、ロックオンが家族の仇とした男も、変わらない。

思いや考えの根底は変わらずとも、結局のところは同類なのだから。

 

―――――勿論、全てが終わったあとで罰は受けるさ。

 

「だがそれは・・・・・・お前を倒した後でなぁ!!」

 

サーベルでバスターソードを斬り払い、腰部スカート部分に内蔵されていたミサイルコンテナを展開し、GNミサイルを一斉発射する。

しかし、ミサイルの動きを全て見切っていたのか、アクロバティックな動きで全弾回避されてしまった。

すぐ様、追撃に移って背後からツヴァイに追い縋る。

 

「お前は戦いを生み出す権化だ!」

 

互いの機体が全力ぶつかり合い、その度に刃が交錯してを繰り返す。

 

「それをここで今―――――断ち切ってやる!!」

 

ー【TRANS-AM】ー

 

『まさか…!』

 

驚愕に満ちた野郎の声が聞こえた。だが、そんなことは彼には関係ない。

 

 

―――――俺は、今日ここで討つんだ。

 

―――――仇を。

 

―――――家族の仇を!

 

『またこいつかよ・・・!』

 

最初の一撃。

それは回避される。

だがそれは、ただの誘い。

その一撃の回避をすることにより、ツヴァイは動きを鈍らせた。

返す形で態勢を崩した状態からツヴァイは左右に装備された腰部スカートのファング格納部からGNファングを放つ。

 

二撃目と三撃目。

 

GNファングの二つが、放たれたビームに呑まれて破壊される。

残ったGNファングが内蔵粒子を解放してビーム攻撃をデュナメスへ向けて放った。

トランザムによってそのスペックを三倍まで底上げしたデュナメスは、攻撃を全て回避し、GNスナイパーライフルから放たれた四つの閃光が残るファングを消滅させる。

 

『くそったれえええ!!』

 

「うおおおおおお!!」

 

GNハンドガンを乱射しながらの突進。

そこへ、GNバスターソードを振り上げて逆襲に転じてきたツヴァイ。

しかし、斬撃は当たる事はなかった。

 

『な・・・にぃ・・・!?』

 

GNバスターソードが振り下ろされるが、そこに八つ裂きにしたかった相手はいない。

サーシェスは驚愕の声をあげる。

 

直後、スローネは四方向からの衝撃に襲われた。

 

『なああああ!?』

 

デュナメスがスローネへ突撃をかけて蹴り飛ばす。

 

「俺は、この世界を変える・・・だがそこに、てめえの居場所はねえ!これがなあ!」

 

ここで、全てに蹴りをつける。

ここで、全ての過去を清算する。ここで、全てを終わらせる。

 

『てえめえええええええええええええええええ!!』

 

『狙イ撃ツゼ!狙イ撃ツゼ!』

 

GNスナイパーライフルを片手で構え、至近距離でコクピットに向ける。

 

「だから……狙い撃つぜ!!!!」

 

射撃音。

直後に態勢を崩すツヴァイ。

済んでのところで、ツヴァイは射撃のコクピットへの直撃を免れていた。

次の瞬間に、二機がもつ刃が交わり、互いの機体が離れていく。

天才的なセンスで致命傷を避けたツヴァイだったが、それすらも折り込み済みだったロックオンは、冷静に対処した。

 

『この・・・死に、損ない・・・がぁ・・・!!』

 

赤い瞳が、背後の濃緑の機体を睨みつける。

 

「失せやがれ、下衆が・・・!」

 

直後、デュナメスの後ろに光が生じた。

 

 

 

 

 

 

「はははははは!おらぁ!」

 

ハレルヤの咆哮。

GNビームサーベルより繰り出される斬撃は、確かにソーマ・ピーリスを追い詰めつつあった。

 

『く・・・被験体Eー57ァ・・・!』

「どうした同類!」

 

交錯する刃は、一瞬だけ拮抗し、一方的にGN-Xを投げ飛ばす。

だが、ハレルヤはここで気づくべきだった。

後方から急接近してくる、もう一機のGN-Xの存在に。

警報の音に、ハレルヤはもう一つの存在が自分へ迫っている事を認識する。

 

『そこにいたかガンダム!!ハワードの仇ぃ!』

 

「邪魔すんじゃねえよ、雑魚がぁ!」

 

突進してくるGN-Xへ向けて、GNサブマシンガンを連射する。

それは確かに、GN-Xに命中した。

しかし、トドメにはいたらない。

各所にビームが直撃した事で爆発が起こり、紫煙に包まれるGN-X。

しかし、GN-Xは生きていた。

煙を突き破り、大破した状態でキュリオス目掛けて突進してきたのだ。

 

『俺はユニオンのぉ・・・フラッグ・ファイターだあぁぁぁ!!』

 

雄叫びをあげたGN-Xのパイロットは、あろう事かキュリオスへ特攻をかけてきた。

何者の邪魔もなければ、その特攻は無意味なものと化していただろう。

 

そう、何者も邪魔をしなければ。

 

「そんなもんに当たる訳―――――」

 

ハレルヤが操縦桿を引き、特攻を回避しようとした瞬間。

別方向からの射撃が、反応を遅らせた。

 

「なぁ・・・!?」

 

それは、ソーマ機からの撹乱射撃

それによって特攻は成功し、紫煙とプラズマを纏ったGN-Xはキュリオスへ激突し、右腕を道連れに爆散する。

 

「ぐぁぁぁ!!?」

 

更に襲いかかる衝撃。

GN-Xによる追撃で、右脚が失われる。

 

「くそったれ・・・!こんなところで死ねるかよ!」

 

攻撃を回避しながら悪態をつくハレルヤ。

 

「俺は生きる!他人の生き血を啜ってでもなぁ!」

「(僕も生きる!)」

 

ハレルヤの脳裏に、アレルヤの声が響いた。

 

「お前はすっこんでろ!肝心な時に何もできねぇ臆病もんに用はねぇ!」

「(僕はまだ、世界の答えを聞いていない。だからそれまでは・・・死ねない!)」

 

ハレルヤは内心驚いていた。

 

―――――甘ちゃんが、ここまで言うようになるとはね。

 

「ははは!!だったらよぉ、見せつけてやろうぜ?」

「(ああ。僕たちの本当の力を。)」

 

「本物の・・・“超兵”ってやつを!」

 

ヘルメットを脱ぎ捨てて、髪をたくし上げてオールバックにする。

 

『覚悟しろ!お前は、ここで私が倒す!』

 

「当たるかよぉ!!」

 

損傷したキュリオスに止めを刺すべく、ソーマの乗るGN-Xが接近戦を仕掛けてきた。

GN-Xによるビームサーベルの斬撃を、身を捻らせて回避するキュリオス。

 

『落ちろ"羽付き"!』

 

その直後に、キュリオスへ向けてセルゲイの乗るGN-Xから赤い閃光が放たれた。

 

「直撃コース・・・!」

「避けてみせろよ!」

 

『なに!?』

 

死角から放たれた筈の射撃。

それを、ハレルヤとアレルヤの超人的な反応速度によってキュリオスを巧みに操縦し、射撃を回避する。

 

「軸線を合わせて!」

「おうさ!」

「同時攻撃を!」

 

回避の際についた勢いを利用して、セルゲイの乗るGN-Xめがけて左脚による強烈な蹴りを叩き込んだ。

攻撃は最大の防御を実践してみせたのだ。

 

「さっきのようにはいかねえ!!」

「そうだろうハレルヤ!!」

 

『死に損ないが・・・貴様は私の命にかけて倒す!』

 

「やってみやがれ!!」

 

ソーマの乗るGN-Xが、ビームサーベルを抜いて肉薄してくる。

そして振り下ろされたビームサーベルによる斬撃は、しかし赤く輝き出したキュリオスによって回避された。

 

ー【TRANS-AM】ー

 

「トランザム・・・!これで、終わらせる!」

 

『くぅ・・・!?』

 

その勢いのままに、キュリオスはお返しとばかりにソーマ機のGN-Xの右腕を切り落とす。

 

『何故だ!?私は完璧な超兵の筈だ!』

 

「分かってねェなァ、女ァ・・・」

 

バランスを崩しながらも反撃に転じてくるソーマ。

ビームサーベルによる反撃をハレルヤもまた残った手で保持したビームサーベルで受け止める。

叫ぶソーマに、ハレルヤは言う。

 

「オメェは完璧な超兵なんかじゃねえ!脳量子波で得た超反射能力・・・だがテメエはその速度域に思考が追いついてねんだよ!動物みてぇに、本能で動いているだけだ!」

 

『そんなことォ!』

 

左手で腰部にマウントされたビームライフルを抜き、ジンクスが至近距離で銃撃する。

しかし、その攻撃はいとも簡単に回避されてしまった。

 

「・・・だから動きも読まれる」

 

嘲笑うかのように、ハレルヤは吐き捨てる。

 

「反射と思考の融合、それこそが超兵のあるべき姿だ!」

 

身を翻し一回転したキュリオスは、ジンクスの背中へ蹴りを叩きこんだ。

 

「さよならだ!女ァ!」

 

止めの一撃を、ジンクスへと叩き込もうとしたその時。

もう一機のジンクスが、二機の間に割り込んできた。

 

「邪魔を・・・!」

 

攻撃が阻まれたことに、苛立ちの声をあげるハレルヤ。

 

そしてそれはーー敵に最大の好機を与えてしまった。

 

動きが止まったキュリオス。

そこへ叩き込まれる赤色の閃光。

ハレルヤとアレルヤ。

二人の視界が、血色に染め上げられた。

 

 

 

 

 

 

戦いは、終盤へと突入していた。

 

『刹那・・・!俺たちの、存在を・・・!』

「ラッセ!」

 

分離したGNアームズが、最後の一撃を放つとともに爆発する。

 

「ラッセェ!!」

 

煙に包まれるアルヴァトーレ。

 

「これで・・・」

 

『やってくれたよ・・・』

 

直後、通信機越しに聞こえる先ほどの金色のMAのパイロットの声。

 

『未熟なパイロットでここまで私を追い詰めるとは!』

 

その中から、アルヴァトーレと同じ色のMSが現れた。

 

「貴様か、世界の歪みは・・・!!」

 

『ははははははは!貴様程度の腕で、このアレハンドロ・コーナーを倒せるとほざくか!?』

 

「エクシア、目標を―――――駆逐する!」

 

エクシアが、金色の機体―――――アルヴァアロンへ突進する。

 

『無駄だ無駄だ無駄だあああああ!!」

 

全てのビームが弾き返され、斬撃は全て切り払われてしまう。

それらは、全てが金色の機体を覆う金色の薄く堅牢な壁によるものだった。

 

「GNフィールドか・・・!」

 

『ふははははははははははははは!お前は今ここで、朽ち果てるのだ!』

 

拮抗しあう刃が、アルヴァロンによって弾き返された。

 

『私色に染め上げ、私が導く世界に君たちの居場所はない!!』

 

背部のウィングが前面に展開され、ライフルがエクシアへ向けられる。

 

『ここで、塵芥と成り果てろ!エクシアああああああ!!』

 

そしてーーー巨大なビームがエクシアへと放たれた。

 

 

 

 

 

 

ビームが消える。

 

これで、私の計画は最終段階を終えた。

 

あとは、残る俗物どもを消しされば―――――

 

―――――だから、甘いんだよ。

 

「な……!?」

 

 

背筋に悪寒が走る。

その時、別方向から桃色の閃光が向かってきた。

 

「あれは・・・!?」

 

視界に捉えたのは、赤い光。

それは、イオリア・シュヘンベルグからマイスター達へと託された最後の希望。

同時に自分にとって最も忌むべき光。

 

「まだ生きていたというのか!?」

 

再び向かってきたのは、トランザムを発動させ赤色に光り輝く青と白の機体―――――ガンダムエクシアだった。

 

 

 

 

 

 

「見つけたぞ、世界の歪みを。それは、貴様がその元凶だ!」

 

『再生期は既に始まっている!まだ破壊を続けると言うのか!?』

 

「無論だ!!」

 

アルヴァアロンが放つ攻撃を回避しながら、エクシアは急速に距離を詰めていく。

 

「俺は、戦う事しかできない存在。なら、俺はその力で未来を切り開く!」

 

『ぬうううう!』

 

「紛争根絶。それを理想に掲げるソレスタルビーイング!」

 

ついに目前へと迫り、アルヴァアロンへセブンソードの内の2本の刃を突きつける。

それは、GNフィールドによって阻まれる―――――筈だった。

 

『GNフィールドが!?』

「俺とガンダムが、それを成す!」

 

オレンジ色の輝きが消える。

右肩へと、実体剣であるGNブレイドの刃が深々と食い込んだ。

突き刺したGNブレイドを離し、腰部のGNビームサーベルを引き抜いて紫色の球体の両側へ突き刺す。

そして、さらにもう二本のGNダガーを両肩に突き立てた。

 

「そうだ、俺が―――――」

 

最後に、展開されたGNソードの刃がアルヴァアロンの眼前で振り上げられる。

 

「俺たちが、ガンダムだ!!」

 

そして、振り下ろされたGNソードの切っ先が、アルヴァアロンを縦一文字に切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

「ぐ・・・」

 

激痛が、身体全体を襲う。

目の前は灰色の煙に包まれ、モニターのところどころにはヒビが入っていた。

 

「認めん・・・ぞ・・・!ここで・・・コーナー家200年の悲願が、朽ち果てる、など・・・!」

 

まだ動く左腕を、エクシアへと伸ばした。

 

「お前も・・・道連れだ!!」

 

最後の力を振り絞り、アルヴァロンはエクシアへとくみつこうとした。

 

だが―――――伸ばした金色の腕は、桃色の閃光に貫かれる。

 

「な・・・!」

 

視界から、青と白の機体が離れていく。

 

「朽ち果てるのは・・・私、だと・・・!」

 

『アレハンドロ・コーナー』

 

不意に、あの青年の声が聞こえた。

自分が、「天使だ」と言った青年だ。

モニターに、その青年の顔が映り込む。

リボンズ・アルマーク。

 

『貴方はいい道化でしたよ。』

 

リボンズの口が、静かに笑みを形作った。

それは、言わば天使のような微笑み。

 

「なん、だと・・・?」

『すでに貴方の思い描いていた計画は、僕の計画になっていたのさ。』

 

青年の口から語られる現実。

結局、アレハンドロ・コーナーは利用されただけなのだ。

この、天使のような青年によって。

全てのイノベイドの頂点に立つ、このリボンズ・アルマークによって。

 

『さようなら、アレハンドロ・コーナー。』

「リボンズううううううう!!」

 

怨嗟の念を込めて、アレハンドロはその名を叫んだ。

拳をモニターに映るリボンズの顔へと叩きつける。

次の瞬間、アルヴァアロンは閃光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・!はぁ・・・!」

 

刹那は、荒い息をつき、呼吸を落ち着かせようとする。

これで、全てが終わった。

仲間たちはどうなったのだ?

そんな事を考える。

 

―――――その時だった。

 

「Eセンサーに反応!?」

 

新たな敵が、戦場に現れる。

それは、漆黒の機体。

幾度となく、自分の前に立ちはだかった男の機体と酷似している。

その背中から放出される赤いGN粒子。

 

「フラッグのカスタムタイプ・・・?まさか、あの男か・・・!」

 

そしてその予想は、的中した。

 

『逢いたかった・・・逢いたかったぞ・・・』

 

有視界通信から聞こえるのは、あの男の声。

 

『ガンダムゥ!!』

 

グラハム・エーカーの声だった。

 

「く・・・!」

 

『待ち焦がれていた!君と出会えるのを!ハワードとダリルの仇、取らせてもらうぞ!この―――――』

 

ビームサーベルが赤い刃を展開し、エクシアへ向けて襲いかかる。

 

『GNフラッグで!』

 

「く・・・貴様ぁ!」

 

『なんと・・・君はあの時の少年か!やはり私と君は、運命の赤い糸で結ばれていたようだ・・・』

 

驚きに満ちた、それでいて歓喜しているような声が聞こえた。

 

『そうだ―――――戦う運命にあった!』

 

左腕が、GNフラッグの斬撃で切り落とされる。

 

「ぐぅ・・・!」

 

『ようやく理解した。君の圧倒的な性能に、私は心奪われた・・・』

 

刃が交錯し、プラズマの奔流が巻き起こる。

 

『この気持ち・・・まさしく愛だ!!』

 

「愛!?」

 

『だが愛を超越すれば、それは憎しみとなる!いきすぎた信仰が、内紛を誘発するように』

 

「・・・!それが分かっていながら、なぜ戦う!?」

 

『軍人に戦いの意味を説くは、ナンセンスだな!』

 

直後、GNフラッグのビームサーベルがエクシアの頭部を貫き、そのまま虚空へと薙ぎ払う。

 

「貴様は歪んでいる!」

 

返す刀で、刹那はエクシアを横へ一回転させてその勢いを利用し、残る右腕のGNソードで左脚を切り落とす。

 

『そうしたのは君だ!』

 

さらに返す刀で、GNフラッグがエクシアへ右脚で蹴りを入れた。

 

『ガンダムという存在だ!』

 

「くぅ・・・!」

 

『だから私は君を倒す。世界などどうでもいい・・・己の意志で!!』

 

「貴様だって、世界の一部だろうに!」

 

『ならばこれは、世界の声だ!』

 

「違う!貴様は自分のエゴを押し通しているだけだ!」

 

確固たる意思をもって叫ぶ。

 

「貴様のその歪み―――――この俺が断ち切る!」

 

「よく言った―――――ガンダムゥ!」

 

二機の刃が、両者を貫いた。

刹那の視界を光が包み込む瞬間―――――白い羽が視界を舞った。

 

 

 

 

 

 

そして狙撃手は死に、新たな世界へ旅立った。

 

 

 

 

 

 

「終わった、か・・・」

 

宇宙空間を漂うデュナメスの中で、彼は静かに目を開ける。

 

―――――全ての過去への決着はつけた。

 

「あいつらは・・・無事かな・・・?」

 

そんな事を考える。

 

「ぐ、うぅ・・・!」

 

鋭い痛みが走る。

脇腹に、金属片が突き刺さっていた。

それは、先ほどのツヴァイとの戦闘で最後の最後にサーシェスが残していった置き土産。

すれ違い様に、デュナメスにも深刻なダメージを与え、爆散したのだ。

 

「罰を、受ける時がきたらしいな・・・」

 

ロックオンは、残った力を振り絞り、コックピットから這い出ようとした。

それに気づいたハロが、ロックオンを呼ぶ。

 

『ロックオン!ロックオン!』

 

「なぁに、心配すんな相棒。」

 

ロックオンは、そうハロへと答える。

 

―――――悪いな相棒。でも、あいつらにこんな格好は見せられねえや・・・。

 

「落ち着いたら、デュナメスをトレミーに戻せ。太陽炉を、頼む・・・」

 

ハロへと手をかざし、撫でてやる。

そうして俺は、身体をデュナメスから離れさせる。

 

『ロックオン!ロックオン!』

 

ハロの、必死に引き止めるような声が聞こえる。

 

「あば・・・相棒・・・」

 

別れを告げて、ロックオンは愛機から離れていった。

彼の脳裏に、様々な記憶が蘇る。

 

 

 

十年前。

全てが終わったあの日の光景。

 

残骸があたりに散らばる。

 

後ろでは、黒い布に包まれた遺体が並べられていた。

 

その中には、変わり果てた家族もいた。

 

 

 

場面は変わる。

 

『よぉ、お前さんが新しいガンダムマイスターかい?』

 

ロックオンは、目の前に立つ少年へ向けて聞いた。

 

『あんたは?』

 

少年ーーー刹那・F・セイエイは、逆に問い返してきた。

 

『俺の名はロックオン・ストラトス。成層圏の向こう側まで狙い撃つ男だ。』

 

ロックオンは、刹那へ向けてそう答えた。

 

『俺は、それ相応の覚悟でここにいる。ガンダムで世界を変えるためにな。』

 

『ああ・・・』

 

ロックオンはそう言いながら、右手で銃を形作った。

 

『お前もそうなんだろう?』

 

 

 

「父さん・・・母さん・・・エイミー・・・」

 

脳裏に、懐かしい光景が浮かんだ。

それは、家族と共にやった最後のクリスマスパーティー。

 

―――――脳裏に浮かぶ自分は、笑顔だった。

 

―――――妹も笑顔だった。

 

―――――母も、父も笑顔だった。

 

「分かってるさ、こんな事をしても・・・何も、変えられないかもしれないって・・・元には戻らないって、な・・・」

 

誰にも聞かれる事のない独白。

 

「それでも、これからは・・・明日は。ライルの、生きる未来を・・・」

 

それは、果たして誰に向けた言葉なのか?

 

―――――脳裏に、自身の存在意義に疑問を持ち迷っていた少年の横顔がよぎる。

 

―――――脳裏に、自身の葛藤と戦い続ける青年の姿がよぎる。

 

―――――脳裏に、仲間たちの姿がよぎる。

 

―――――最後に、あの利かん坊の姿が姿がよぎった。

 

「刹那、答えをだせよ。お前は、変わるんだ・・・変われなかった、俺の代わりに・・・―――――」

 

虚空へと沈んでいくロックオン。

瞳に、[[rb:青い惑星 > ほし]]が映り込んだ。

それは、自分が仲間とともに変えようとした世界そのもの。

彼は、その手を星へとかざす。

 

「よぉ、お前等・・・満足か?こんな、世界で・・・」

 

こんな、争いだらけの世界で。

 

サーシェスのような人間を生み出してしまうような世界で。

 

サーシェスのような人間のせいで、刹那のような存在を生み出してしまうような世界で。

 

こんな、アレルヤやティエリアみたいな存在を生み出してしまうような世界で。

 

スメラギのような、悲しい過去を引きずり続けて、その辛さを酒で薄めながら。

 

それでも戦うような者を作り出してしまう様な世界で。

 

―――――こんな、俺たちみたいな奴らを生み出しちまうような世界で。

 

「俺は、―――――」

 

―――――やだね。

 

そして、狙撃手はその生涯を終える。

 

思いを、残った仲間へと託して旅立っていった。

 

 

 

 

 

 

暗闇に包まれていく、意識。

 

―――――俺が落ちるのは、地獄かな。

 

その時だった。

 

『助けて・・・!』

 

声が聞こえたのは。

 

これは―――――女の声?

 

『助けて・・・!』

 

―――――君は、一体・・・!?

 

最後にロックオンが目にしたものは、ピンク色の髪に黄色のリボンをつけた悲しげな表情を浮かべ、何かを訴えかけようとしている少女の姿だった。




これで、とりあえずの序章は終了。
次は、オルタネイティブに至る前日譚をやっていきます。

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