父親が斬る………といいなぁ   作:初任者

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第5話ー最強、ついにやらかすー

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第5話

ー最強、ついにやらかすー

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☆☆☆☆☆☆☆☆

○タツミside○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

*********

○王宮○

○エスデス寝室○

 

 

おかしい。俺は帝国軍に捕らえられたはずである。これから拷問されるかもと、顔を青くしてたのに。

 

ーーーなのに、なぜ背後から現代最強の将軍エスデスに抱きかかえられているのか?

 

 

「タツミ〜♪」

「(ん?んんん?)」

 

 

疑問に感じながらも頭の中を整理する。が、全くわからない。

 

 

「えっと、なんで俺はここに?」

「ああ、突然連れて来られれば混乱するか。ここは王宮にある私の寝室だ。

 

 

おーっと⁉︎確実に暗殺対象になりそうな相手の寝室⁉︎

 

 

「私はエスデス。帝国で将軍をしている………まあ、場合によってはどうなるか分からんが」

「?」

「ともかく、だ。タツミ………私のものになれ」

 

 

それは完全に告白のセリフであった。

 

俺の頬にエスデスの右手が触れる。

 

 

「愛されるか不安か?無論私はお前だけを愛そう。

故郷が心配か?なら、資金を送り、必要なら警備兵を送ろう。

家族が心配か?ならば、私が保護しよう。何不自由ない生活を保障しよう。

金が心配か?大丈夫だ。私は将軍という地位を持っているから、それなりに蓄えはある。

政治の世界が怖いか?ならば、私の持てる全ての権力で、お前を害する全てを叩き伏せよう。

ーーーだから、私の隣にいてくれ。タツミ」

 

 

俺の胸に手が置かれ、エスデスの顔が迫ってくる。それは明らかに赤く、まるでーーー。

 

 

ーーードンドン。

「エスデス将軍閣下。【ハウゼン】将軍閣下がタツミ殿とお会いしたいといらっしゃってますが」

 

 

ドアの外から声がする。

 

 

「………はぁ、ハウゼンならば仕方あるまい。タツミにも縁が深い人物でもあるしな」

「ほっ」

 

 

俺は安堵の息を吐き出す。

 

 

「ああ、それと一つ訂正せねばならないな。お前の父、帝国最強の将軍"大嵐のカイドウ"………私の師であり、義父でもあるあの男が、私の保護を必要としているとは、つゆほども考えられないからな」

「ーーーゑ?」

 

 

帝国最強の将軍?大嵐のカイドウ?エスデスの師匠?義父?………あの父が?確かにめちゃくちゃに強かったけれども。

 

 

「ん?知らなかったか。なら、そこら辺含めて、ハウゼンと話すといい。

あの男は義父が現役時代に、肩を並べて戦った将軍だからな」

 

 

エスデスが寝室を出ようとする。

 

 

「ああ、それと、準備ができたら迎えに来るから、しばらく大人しく待ってろ。王宮は暗殺者対策でかなり厳重な警備を敷いてるから、下手にうろついてると殺されかねん」

「了解です‼︎」

 

 

俺は瞬時に答えた。

 

 

「よろしい」

 

 

エスデスは満足気に部屋を出た。

 

 

「(………え?あれがエスデス?俺が殺す相手なの⁉︎)」

 

 

やっと出た、今更のツッコミであった。

 

 

「(嘘だと言ってよ、親父ぃいいい‼︎)」

 

 

色々と処理しきれていなかった。

 

 

「(最強の将軍で親父のことかよぉおおお⁉︎ しかもあれほぼ告白だろ‼︎ どうなってんだァアアア⁉︎)」

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

○タツミsideEND○

☆☆☆☆☆☆☆☆

☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りside○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

そこは王宮にある談話室であった。

 

 

「初めましてかな?私は帝国の将軍で、ハウゼンという。君のお父さんの同僚ってところかな?実力で言えば、彼の足元にも及ばないのだけれどね」

 

 

そう言って、帝国の将軍の1人、ハウゼンは対面に座ったタツミに語りかける。

 

 

「は、はぁ、父はそんなに強かったんですか?実はそこら辺の事情を聞いたことがなくて」

「カイドウは秘密主義的だったからな」

 

 

やれやれとハウゼンは首を横に振る。

 

 

「彼は英雄たる男だったよ」

 

 

懐かしい目をしながら、ハウゼンは紅茶の入ったカップを手に取る。

 

 

「ところで、少し前にカイドウから推薦状が届いていたのだが、君は軍に入らなかったのかい?」

「いや、父の作ってくれた紹介状を忘れてしまって、受付に行ったんですが、もちろん入れないどころか話も聞いてくれなくて」

「そうか。なら私の元でーーー」

 

 

少し離れた場所にいるエスデスから、殺気が放たれる。

 

 

「ーーーというのは冗談で、エスデスの元で兵士として働いてみないかい?」

「え?でも今の仕事が………」

「そうか、今は何の仕事を?」

「鍛治師を少々」

「ほう、なるほど」

 

 

しばらく雑談が続く。

 

 

「(ハウゼン、か)」

 

 

エスデスは、目の前の男のデータを思い浮かべる。

 

ハウゼン。特にこれといって大きな武功はないながらも、堅実堅固が似合う仕事をする将軍であった。

考え方も中立的で、いざという時頼りになる人間であった。

 

 

「(こちら側に引き込めればいいが)」

 

 

ハウゼンがタバコを咥える。

 

 

「しかし勿体無い。あのカイドウが、手塩をかけて育てた有望株を、まんまと逃してしまうとは」

「一応剣の鍛錬は続けてるんですがね」

 

 

あははとタツミが笑う。

 

 

「失礼します」

 

 

文官が談話室に入ってくる。

 

 

「何事だ?」

 

 

ハウゼンが文官に問う。

 

 

「オネスト大臣閣下が、タツミ殿との面会を求めておられます」

「オネストが?」

 

 

ハウゼンが眉をひそめる。

 

 

「(大臣だと?このタイミングで何のつもりだ?)」

 

 

その瞬間、ドアが開く。

 

 

「これは失礼。いてもたってもいられず、気付いたら来てしまいました」

 

 

それは大臣オネストであった。

 

 

「………オネスト大臣、痩せたか?」

 

 

ハウゼンが思わず問いかける。それもそのはず、現時点で大臣の頬はこけ、目の下にはクマが浮かんでいた。

 

 

「ああ、そういえば最近間食しておりませんでしたからなぁ。君、何か持ってきてくれたまえ」

「はっ‼︎」

 

 

文官が立ち去る。

 

 

「(こいつが、帝国腐敗の元凶)」

 

 

タツミの手にチカラが入る。ここで殺せば帝国はーーー。

 

それとは対照に、オネストはタツミを冷静に観察していた。

 

 

「(ふむ、見た目は片田舎のクソ坊主ですが、これをうまく転がせれば、カイドウが手に入る。安いものですね♪)」

 

 

実はオネストは今日に備え、私財を投げ打って、タツミ籠絡の用意を進めていた。

 

オネストにとって、この程度のことであれば楽な仕事であった。

 

まあ、そのために部下よりも働いたわけであるが………。

 

 

「(はぁ‼︎ 彼を籠絡できれば‼︎ 私の胃は再び無事に復活することでしょう‼︎ この睡眠不足と、色々な手配を行う日々は今日で終わりにしたいところデス‼︎)」

「で、何か用か?大臣」

 

 

エスデスがタツミの前に立つ。

 

 

「(流石に、こんな場所で暗殺させるわけにはいかんからな………)」

「いえ、私もかの英雄カイドウ殿と無関係ではないので、挨拶にと」

「親父と?」

「ええ、私が若い頃彼の戦闘に同行しましてなぁ。あれはすごかった。3万近くの敵と帝具によって従わされた危険種の軍団を、その名の通り大嵐のごとく蹂躙したあの圧倒的な戦いは、この胸の中にしっかりと記憶しております」

 

 

そう、トラウマを残すほどに。

 

 

「彼に借りも多くあります。何かあれば是非頼っていただきたい。全力で対応いたしましょう」

 

 

ニコニコと笑顔を浮かべた大臣が、タツミに語りかける。それはもう、タツミが『あれ?大臣て身内に甘い?』と思うほどに。

 

 

「は、はぁ」

「ああ、そうだ‼︎ 皇帝陛下もタツミ殿に興味があるようでしてな‼︎ 今晩の晩餐会に.エスデス将軍と来て欲しいと招待状も預かっておりましてなぁ‼︎」

 

 

オネストが体格に似合わぬ小さな手紙を、タツミに手渡す。

 

 

「それでは私はこれで‼︎」

 

 

ささっと、大臣が立ち去る。

 

 

「………あれって、大臣、だよな?」

 

 

ハウゼンがエスデスに問いかける。

 

 

「あ、ああ、そのはず………だが」

 

 

 

2人の視線がタツミに向かう。

 

 

「…………え?ぇえええ⁉︎」

「あ、間食のお届けに………失礼しました」

 

 

その間食は、タツミ達の腹の足しとなった。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りsideEND○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

*********

○フェクマ近くの村○

 

 

「¥¥$2¥€¥〒5〒€?」

「いや、だから帝都はどっちって聞いてるだけだって‼︎」

 

 

俺は必死になって、隠れ棲んでいる異民族の民から、帝都の場所を聞き出していた。 最悪な事に言葉が伝わらない最悪の事態である。

 

 

「5・〒3<446+:3」

 

 

フェクマを指差す異民族。

 

 

「ま、まさか」

 

 

どうやら、俺は全くの逆方向に向かっていたようだ。

 

 

「ありがとう‼︎ これお礼‼︎」

 

 

俺は異民族にお小遣い程度の少しの金を渡し、再び走り出す。

 

 

「待ってろよ〜〜〜‼︎ タツミ〜〜〜‼︎」

 

 

俺は再び走り出す。一体いつになったら、俺は帝都に着けるのか………(遠い目)。

 

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エンド

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