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第6話
ー大嵐は迷いながらー
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○語りside○
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ーーータツミの拘束。
その知らせは、ナイトレイドを駆け抜けた。
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○ナイトレイド拠点○
「何故エスデスがこんな手紙を………」
ナジェンダは机の上に置かれた手紙を、手を組んだまま眺める。
「まさか、あのエスデスが内応を決めた上、我々に協力を依頼するとは………」
「だけど、この交換条件は………」
ラバは唇噛み締める。
「『1つ、タツミの身柄をエスデスに差し出すこと。
2つ、タツミがナイトレイド構成員であったことを抹消し、タツミをナイトレイドから除名すること。
3つ、ナイトレイドが反乱軍とのパイプ役になること
4つ、革命成功の暁には、辺境の一部地域を独立国として認める。同時に、その国の女王としてエスデスの就任を認める』………」
「分からん。何故そこまでタツミに拘る?」
ナジェンダには不思議であった。あのエスデスが、何故タツミにここまで執着するのか?独立国までなら分からなくもない。しかし、何故エスデスがタツミを求めるのか?
ナジェンダにはその理由が分からなかった。
ーーーというよりも、恋愛だと分かれという方が無茶である。
「少し探りを入れたいところだが………」
「協力をするふりをして、内情を探るか?もしかしたら、大臣との関係が悪化しているのかもしれない」
【アカメ】が提案する。
「ふむ、それでは手紙の通りに、指定されたカフェに出てみるか………いや、しかし」
その瞬間であった。
ーーーごめんくださーい。
「「「「ん?」」」」
全員がその声に反応する。
「………ラバ?」
「いや、糸に反応はなかった。かなりの手練れだ」
全員が入り口に集まる。
ーーー誰もいないのかな?
ーーーいや、でもトラップ仕掛けてあったしなぁ。
ーーー逃亡犯でも潜伏してんのかな?
ーーーはぁ、帝都はどっちだ?
しばらくすると、声が離れていく。
「………迷子か?」
ナジェンダが呟く。
「しかし、どこかで聞いたような………」
ーーーしかし、タツミのやつ帝都でうまくやってるのかねぇ。
「「「「…………」」」」
その後、メチャクチャ慌てて呼び止めた。
*********
○数十分後○
「あっはっはっは‼︎ そうかそうか‼︎ タツミの仕事場だったか‼︎」
ナジェンダ達の前で、中年の男が肉を食べながら(アカメ提供)大笑いしている。
「あ〜、タツミ君のお父様で?」
「おうよ‼︎ タツミの親父だ‼︎」
男の見た目はガッチリとした筋肉質であった。その上に着ているのは民族衣装である。
「ーーー"カイドウ"ってんだ。昔は将軍なんてやってて、"大嵐のカイドウ"なんて呼ばれてたぜ」
カイドウは笑いながら自己紹介する。しかし、それに対するナイトレイドの反応は劇的であった。
「カイドウ⁉︎ 帝国最強の将軍カイドウかっ⁉︎」
ナジェンダが思わず悲鳴のような声を上げる。
「そんな呼ばれ方もしたことあるな」
笑顔でカイドウは答える。
「タツミの親父さんって、凄い人なんですか?」
ラバが小声でナジェンダに問う。
「帝国最強の名前を欲しいままにした英雄だ。そしてあのエスデスの義父であり、師匠でもある」
「えぇ⁉︎ 明らかにやべぇ奴じゃないですか⁉︎」
ラバが小声で叫ぶという器用な真似をする。
「で、どうだい?タツミの様子は?というかタツミどこ?」
「あー、実はですね………」
*********
○数分後○
「何だってー‼︎ タツミがエスデスに攫われてしまっただって⁉︎」
カイドウは青い顔で叫ぶ。
「申し訳ない。我々は彼を………」
「まあ、死ぬことはないだろうけど………マジか」
カイドウが頭を抱える。
「死ぬことはない?どういうことですか?」
「エスデスにはタツミはお前の義理の弟って伝えてあるし、軍の同期とか上司にも伝えてある。下手な真似しなきゃ大丈夫だろ」
「だから指名手配できたのか‼︎」
ラバが納得の声を上げる。
「ということは、今回のエスデスの目的は弟弟子の確保だったのか………?」
それならタツミに拘るのもわからなくない。
「さて、世話になったね。俺は帝都に行って、息子の顔でも見てくる。まあ、エスデスも説得してみるさね」
肉を食べ終えたカイドウは、おもむろに立ち上がる。
「それでは元気でな‼︎………あ、その前に道教えて」
「アッ、ハイ」
カイドウは森の中に消えたのであった。
「………まさに嵐みたいな人だったな」
「私の肉………」
「ん?そういえば、確か大嵐のカイドウって相当な方向音痴だった気が」
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○語りsideEND○
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おいっす、タツミの仲間と合流したカイドウだ。
「さて、しかしどうして言われた通り来たはずなのに迷うんだ?」
周囲を見渡しながら、頭をぽりぽりとかく。
「っと、こんなとこにも出るのかよ」
俺は構えを取る。そこにいたのはいつだったか皆殺しにしたはずの人間に似た危険種であった。
「この先はタツミの仲間の………仕方ないな。全員"斬り刻んで"やる」
俺は腰の細身の西洋剣を抜く。
「さあ、刃で死にたい奴から前に出ろやぁあああああああ‼︎」
俺は危険種の集団に飛び込んだ。
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○語りside○
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○王宮○
机の上に次々と贅を凝らした食事が運ばれてくる。
「まずは初めましてだな‼︎ 朕はこの国の皇帝である‼︎」
まだ子供の皇帝が、ドヤ顔で自己紹介する。
「大臣のオネストです」
大臣が無難に挨拶する。
「あ、タツミです………」
タツミが緊張した様子で名乗る。その隣で腕を組んだエスデスがタツミをちらりと見る。
「ああ、話は聞いているぞ‼︎ 大嵐のカイドウの息子とな‼︎」
「アッ、ハイ………そんな有名な将軍だったとは知らなかったんですけどね………」
あははとタツミは力無く笑う。
「そうなのか?」
「ええ、あまり自分のことを話す人ではなくて………」
「なんと、それは勿体無い‼︎」
大臣が両手を広げて声を上げる。
「あの方は戻ってきてくれるのであれば、すぐに大将軍にもなれるお人ですぞ」
「そ、そうなんですか?」
「ええ、奥様がお亡くなりにならなければ、今なおその武勇を世界に知らしめていたでしょう。将軍を恐れて北の反乱もなかったかもしれませんな」
大臣がワインを飲む。
「(大臣がここまで言うなんて………親父何者なんだよ⁉︎)」
その横でエスデスはハラハラしながら、その様子を見ていた。
「(頼むから今暗殺はやめてくれよ………‼︎)」
エスデスはタツミが大臣を暗殺しようとするのをまだ早いと判断していた。
「(心情は悪くはないというところですかな?)」
そんな暗殺どころでない暗殺者とハラハラしている女将軍の心情を理解できていない大臣が、間違った判断を下す。
「(朕、ワクワクするぞ‼︎)」
そんな中で唯一皇帝だけが大嵐のカイドウの武勇伝を楽しみにしていた。
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○語りsideEND○
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エンド
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