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第7話
ー帝具ー
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○語りside○
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○とある戦場○
「し、将軍‼︎」
慌てた様子の文官の男が、軍服姿の将軍に声をかける。
「いくらなんでもこの数の差は埋めがたい‼︎ 増援要請を‼︎ このままでは‼︎」
敵は数万、対してこちらは1000もいない。すり潰されるのが目に見えていた。
「ーーー問題無い」
しかし、その言葉を将軍がすり潰す。
「何故ですか‼︎ この数の差をみてください‼︎」
「問題無いと言ったはずだ」
腕を組んだ将軍は、敵軍を見下ろしながら答える。
「今日はいい風が吹いている。これなら負ける気がしないさ」
「ーーー風などで‼︎」
将軍がふわりと浮かぶ。周囲には風が流れている。
「我が風の帝具【竜風神風:ヤオオロチ】ならば、敗北はない」
そして、戦場に虐殺の風が吹いた。
荒れる風が、次々と敵兵士を切り裂き、大地に血と肉を降らせる。
「吹き荒れろ神風よ‼︎ 全てを吹き飛ばせ‼︎」
吹き荒れる風が、敵の全てを吹き飛ばし、切り裂いていく。
「「「カイドウ将軍万歳‼︎」」」
「「「将軍‼︎ 将軍‼︎」」」
味方の兵士達が声を上げる。
そこはすでに人間の入り込める戦場ではなかった。
「戦場の、神」
文官はその日、戦場の神を見た。
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○王宮○
「ーーーというわけで、私は戦場の神カイドウをあの日目にしたのです」
大臣が語りを終える。
「(そう、私はあの日戦場の神を見た。いや、魅入られた。だからこそ憧れた。 そして決めたのだ。カイドウが戦場の神であるならば、私は政治の神になろうと)」
そして、オネストは大臣の地位を手に入れ、絶対的権力と莫大な金を手にいれた。
既に帝国内部には、オネストにまともに逆らえる権力者は皆無であった。
「(だが、満たされなかった。 いつも空腹だった。満足できなかった)」
それはオネストが誰にも言ったことのない事である。
オネストは権力と地位と金を手に入れ、政治世界の神と言っても過言でない状態になっても"満足できなかったのだ"。
「(まだここまで来るまでの方が満たされていた。しかし、今はどうだろうか? 食事を食べなくても気にならない。この感覚は一体………?)」
そんな中で、晩餐会は進んでいく。
「(親父の奴‼︎ なんでそういうことを話さないんだ⁉︎)」
対してタツミは聞けば聞くほど初耳な話に、頭をかきむしりそうになっていた。
「(いや、確かに街の人から尊敬されてたけど、なんでかまでは知らなかったしなぁ)」
カイドウが目の前にいたのであれば、タツミは殴りかかっていただろう。
「(しかも、エスデスの義父が親父なんだよなぁ………いや、わけわかんねぇーよ⁉︎)」
まさにどうしてそうなったと言いたいタツミであった。
「(………大臣の奴、妙に義父に拘るな)」
対してエスデスは大臣の反応に違和感を感じていた。
「(ここ数日の大臣の不審な行動といい………愚物め、何を考えている?)」
それにエスデスとしては、カイドウが大臣に吸収されることだけは避けたかった。
「(ちっ、腐っても大臣か。軍人の私では腹の探り合いでは差がある、か)」
エスデスはワインを手に持つ。
「(まあ、安心しろ大臣。お前は必ず殺す。それが反乱軍か、ナイトレイドか、タツミか、義父か、私か、誰がやることになるかは分からんがな)」
「(ーーー何でしょう?急に寒気が)」
大臣はエスデスのわずかな殺気に反応したのか、ブルリと震える。
「(カイドウか。再び軍に戻ってくるのだろうか?あとで大臣にでも聞いてみるか)」
皇帝はステーキを優雅に切り分けながら、カイドウの今後に思いをはせる。
ーーー4者が4者共に、考えていることがまるでずれていることに、4者は誰1人として気付いていなかった。
「「「「(あ、これ美味い)」」」」
食事の感想以外は。
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○語りsideEND○
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おいっす、オラカイドウだぁ‼︎
っと、そんなことより、あれから必死に歩き回って、やっとの思いで着いたぜ‼︎
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○帝都○
○入門管理所○
「戻ってきたぜ‼︎ 帝都‼︎」
俺は帝都の入り口で思わず声を上げる。
「しかし今更だが、ここら辺てあんなに危険種いたか? まあ、全部始末したが」
俺は帝都の中を進む。
「やや‼︎ おじさま、そっちはスラム街ですよ‼︎」
「ん?」
振り返ると、若い少女がいた。軍服を着ているから軍人なのだろう。
「おや、これは助かったよ軍人さん」
「いえいえ! それでは失礼します」
少女が立ち去る。
「………ふむ、一先ず宿でも取るか。まともに飯も食えてないしな」
俺はなんとなく記憶していた宿へ向かう。
ーーー俺、カイドウは転生者であるが、この世界の生まれは孤児だった。
家族は俺が生まれてからすぐに死んだ。
不幸中の幸いか、金だけは残ってたからスラム街には落ちなかったが………。
「人生紙一重、か」
まあ、"神から与えられた特典"を行使すれば、将軍くらいすぐなれたと思うがな。というか、"使わなくてもなった"が。
「っと、ここだ」
俺はのれんをくぐって、中へ入る。
「いらっしゃ、あんた………」
「久しぶりだな【ルソル】」
俺は目の前の女店主に声をかける。
「か、か、カイドウさん⁉︎」
ーーールソル。
元帝国軍士官であり、俺の補佐をしていた女軍人だ。俺が引退後は手紙でやり取りしており、俺も知っている宿を継いだと聞いていた。
「いつこっちに?」
「ついさっきだ。話は飯にしてからにしようぜ? 店主のオススメを1つ」
併設されている食堂に向かう。
「それにしても、何で帝都に?」
「息子を送り込んだんだが、その様子見だな。そっちはどうなんだ?」
「まあぼちぼちってところですよ。最近は景気も良くないですからね。はいこれ」
「ふーん」
俺は出されたエールを飲む。
「で、軍に戻るんですか?」
「いや、このまま余生を過ごすつもりだ。 まあ、細々としたことを片付けるために一時的に軍属になるかもしれんが」
そう、例えばオネスト大臣が妙な動きをしていた場合………とかな。
「なら、軍を離れていた【突撃親衛隊】を呼び集めておきますか?」
「ん? あいつら軍を離れたのか?」
ーーー突撃親衛隊。
主に俺の護衛をしていた部隊で、6名という非常に少ない隊員数ながらも、数々の戦場を切り抜けてきたエース級の実力者達だ。
てっきり、エスデスの傘下に組み込まれたと思っていたが………。
「4人が退役、2人は軍に組み込まれて国境部隊の部隊長をしていると聞いてます」
「思い切ったな。軍なら一先ず食いっぱぐれはないだろうに」
「オネスト大臣が気に入らなかったそうです」
「身も蓋もねぇな」
俺はケラケラと笑う。
「軍はともかくとして、一度集まって飯でも食いたいな」
「全員に伝えておきます」
「悪いなルソル」
「いえ、閣下のためならば」
俺はそこに泊まった。
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エンド
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そういえば、この前初めてボルトを見ました。ナルトも書いてみたいこの頃………。