父親が斬る………といいなぁ   作:初任者

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第9話ー最強の将軍カイドウー

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第9話

ー最強の将軍カイドウー

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☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りside○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「カッカッカ‼︎ 遅い遅い遅い‼︎」

「ぎゃっ⁉︎」「ひでぶっ⁉︎」「うぁああ⁉︎」

 

 

殴られ、蹴り飛ばされ、投げ飛ばされ、次々とエスデスの兵士達がリタイアしていく。

 

 

「俺に剣を使わせてみせろやァアアア‼︎」

 

 

カイドウの一撃で地面が砕け、何人かの兵士が吹き飛ばされていく。

 

 

「………あれは、人間なのか? 危険種ではなく」

 

 

現実逃避したいとばかりにナジェンダが言葉をこぼす。

 

 

「馬鹿を言うな。あの程度、義父にとってはお遊びにもならん」

 

 

エスデスが剣を構える。

 

 

「(さて、どうする?相手は義父………否、最強の将軍カイドウ。生半可な攻撃ではダメージも与えられるかどうか)」

 

 

その瞬間、アカメが飛び出す。

 

 

「屠る」

「ちょございな‼︎」

 

 

アカメの刃をカイドウが黒く変色した左腕で受け止める。

 

 

「は、刃が通らない⁈」

「【武装色の覇気(モドキ)】………そして‼︎」

 

 

カイドウが距離を取る。

 

 

「武装色硬化‼︎ 【トールハンマー】ぁあああ‼︎」

「かっ⁉︎」

 

 

カイドウの左ストレートに、アカメが吹き飛ぶ。

 

 

「アカメ⁉︎」

「ちっ」

 

 

エスデスが飛び出す。

 

 

「エスデスぅううう‼︎」

「はぁあああ‼︎」

 

 

2つの刃がぶつかり合う。

 

 

「久しぶりじゃ〜ね〜か? ひっく………少しばかり見ない間に随分派手にやらかすようになったじゃ〜ねぇかよ?なあ?エスデスぅ」

「義父も息災なよう、で‼︎」

 

 

つば斬り合いの末、両者が距離を取る。

 

 

「だが、その程度では息子は………ひっく………譲れんなぁ」

 

 

カイドウが剣をしっかりと構える。

 

 

「ならば越えるまで‼︎」

 

 

空中に大量の氷礫が生成され、雨のように降り注ぐ。

 

 

「武装色の覇気(モドキ)‼︎」

 

 

しかし、その攻撃は無情にも弾かれていく。

 

 

「流石義父。守りも固いようで」

「お前も動きが良くなったな?だが、何故片腕の動きが悪い?」

「ッ⁉︎」

 

 

エスデスは思わず左腕を抑える。そこは前の生で切り落とした腕であった。

 

 

「………お前、もしかしてだが」

「何か?義父」

 

 

エスデスは剣を構える。

 

 

「俺と同じ………いや、"逆行してきた"エスデスだな?」

「ッ⁉︎(何故それを⁉︎)」

 

 

エスデスに動揺が走る。

 

 

「タツミとともに散った方かな?まあ、どちらにしても息子は任せられんよ?

「ほざけ‼︎」

 

 

激情に駆られたエスデスが飛び出す。

 

 

「暴れるな」

「ぐはっ⁉︎」

 

 

エスデスが地面に叩きつけられ、そのまま踏みつけられる。

 

 

「問おうエスデス………お前は何を持ってタツミと共に歩む?お前の道は真の修羅の道。血と肉と鉄と憎悪の道。そんな道をタツミにも歩ませる気か?」

「い、え………義父。私、は、真の愛に、目覚めたのです」

「………」

 

 

カイドウはエスデスを無言で見下ろす。しかし、エスデスを踏みつけるチカラは緩めていた。

 

 

「私は戦争よりも愛を取ることにしました。我が武は愛のために‼︎」

「………ではどうする気だ?このままでは帝国は革命によって倒れるだろう。その時、帝国軍将軍のお前はどうする気だ?」

「革命軍と密約を交わしています。タツミの故郷に独立国を作るという密約を」

「な、に?」

 

 

カイドウが驚愕に目を丸くする。

 

 

「故に義父………いや、タツミの父カイドウよ。息子さんを下さい‼︎」

 

 

周囲が静寂に包まれる。

 

 

「「ーーーえ?今それ言う?」」

 

 

ナジェンダとアカメが呆けた顔をする。

 

 

「………くっ、あはははははは‼︎ 面白い‼︎ 面白いぞ‼︎ 我が娘エスデスよ‼︎ 戦いの申し子にして愛の狩人よ‼︎ いいだろう‼︎ 見せてみろ‼︎ 貴様の愛と武を‼︎」

 

 

そして、カイドウが笑いながら倒れる。

 

 

「寝る………zzz」

「やっと寝たか………」

 

 

エスデスがむくりと起き上がる。

 

 

「無事か?」

「ああ、軽い打撲程度だ」

「それは残念だ」

 

 

ナジェンダとエスデスが会話を交わしていると、2人の男が現れる。

ーーーオーガとザンクであった。

 

 

「失礼いたします、エスデス将軍。カイドウ閣下をお迎えにあがりました」

「ああ、頼む。それと後日使いの者を出すから王宮に来てくれと伝えてくれ」

「「はっ‼︎」」

 

 

2人がカイドウを担ぎ上げ、街に消えていく。

 

 

「………さて、この惨状をどうするべきか」

「私達とやりあったとでも言えばいいだろう」

「それが妥当か」

 

 

エスデスがナジェンダの提案を受け入れる。

 

 

「そろそろ警備隊が来る頃だ」

「ああ、失礼する」

 

 

ナジェンダとアカメが立ち去る。

 

 

「………しかし、義父は何故私の正体を知っていたのだ? 別で聞かねばならないな」

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

○語りside○

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

ーーー妻が微笑んでいる。

ーーー食卓で、共に食事をしている。

 

ーーーもう、今はない光景だ。

ーーー君は向こうで幸せかい?

 

ーーーなあ?○○?

 

 

*********

○【宿屋:若木】○

 

 

「ぅぁああ………頭がいてぇ」

 

 

ベットから抜け出した俺は、食堂で飯を食べながら頭を抱える。

 

 

「昨日はかなり呑んだっくれておられましたからな‼︎」

 

 

オーガが笑いながら答える。

 

 

「おまけに散々暴れましたから。愉快愉快」

 

 

ザンクがケラケラと笑っている。

 

 

「静かにしろ。響く………」

 

 

コーヒーを飲みながら、ズキズキと痛む頭を抑える。

 

 

「とりあえず、昨日の流れを教えてくれるか?」

「「アッハイ」」

 

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エンド

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