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第9話
ー最強の将軍カイドウー
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○語りside○
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「カッカッカ‼︎ 遅い遅い遅い‼︎」
「ぎゃっ⁉︎」「ひでぶっ⁉︎」「うぁああ⁉︎」
殴られ、蹴り飛ばされ、投げ飛ばされ、次々とエスデスの兵士達がリタイアしていく。
「俺に剣を使わせてみせろやァアアア‼︎」
カイドウの一撃で地面が砕け、何人かの兵士が吹き飛ばされていく。
「………あれは、人間なのか? 危険種ではなく」
現実逃避したいとばかりにナジェンダが言葉をこぼす。
「馬鹿を言うな。あの程度、義父にとってはお遊びにもならん」
エスデスが剣を構える。
「(さて、どうする?相手は義父………否、最強の将軍カイドウ。生半可な攻撃ではダメージも与えられるかどうか)」
その瞬間、アカメが飛び出す。
「屠る」
「ちょございな‼︎」
アカメの刃をカイドウが黒く変色した左腕で受け止める。
「は、刃が通らない⁈」
「【武装色の覇気(モドキ)】………そして‼︎」
カイドウが距離を取る。
「武装色硬化‼︎ 【トールハンマー】ぁあああ‼︎」
「かっ⁉︎」
カイドウの左ストレートに、アカメが吹き飛ぶ。
「アカメ⁉︎」
「ちっ」
エスデスが飛び出す。
「エスデスぅううう‼︎」
「はぁあああ‼︎」
2つの刃がぶつかり合う。
「久しぶりじゃ〜ね〜か? ひっく………少しばかり見ない間に随分派手にやらかすようになったじゃ〜ねぇかよ?なあ?エスデスぅ」
「義父も息災なよう、で‼︎」
つば斬り合いの末、両者が距離を取る。
「だが、その程度では息子は………ひっく………譲れんなぁ」
カイドウが剣をしっかりと構える。
「ならば越えるまで‼︎」
空中に大量の氷礫が生成され、雨のように降り注ぐ。
「武装色の覇気(モドキ)‼︎」
しかし、その攻撃は無情にも弾かれていく。
「流石義父。守りも固いようで」
「お前も動きが良くなったな?だが、何故片腕の動きが悪い?」
「ッ⁉︎」
エスデスは思わず左腕を抑える。そこは前の生で切り落とした腕であった。
「………お前、もしかしてだが」
「何か?義父」
エスデスは剣を構える。
「俺と同じ………いや、"逆行してきた"エスデスだな?」
「ッ⁉︎(何故それを⁉︎)」
エスデスに動揺が走る。
「タツミとともに散った方かな?まあ、どちらにしても息子は任せられんよ?
「ほざけ‼︎」
激情に駆られたエスデスが飛び出す。
「暴れるな」
「ぐはっ⁉︎」
エスデスが地面に叩きつけられ、そのまま踏みつけられる。
「問おうエスデス………お前は何を持ってタツミと共に歩む?お前の道は真の修羅の道。血と肉と鉄と憎悪の道。そんな道をタツミにも歩ませる気か?」
「い、え………義父。私、は、真の愛に、目覚めたのです」
「………」
カイドウはエスデスを無言で見下ろす。しかし、エスデスを踏みつけるチカラは緩めていた。
「私は戦争よりも愛を取ることにしました。我が武は愛のために‼︎」
「………ではどうする気だ?このままでは帝国は革命によって倒れるだろう。その時、帝国軍将軍のお前はどうする気だ?」
「革命軍と密約を交わしています。タツミの故郷に独立国を作るという密約を」
「な、に?」
カイドウが驚愕に目を丸くする。
「故に義父………いや、タツミの父カイドウよ。息子さんを下さい‼︎」
周囲が静寂に包まれる。
「「ーーーえ?今それ言う?」」
ナジェンダとアカメが呆けた顔をする。
「………くっ、あはははははは‼︎ 面白い‼︎ 面白いぞ‼︎ 我が娘エスデスよ‼︎ 戦いの申し子にして愛の狩人よ‼︎ いいだろう‼︎ 見せてみろ‼︎ 貴様の愛と武を‼︎」
そして、カイドウが笑いながら倒れる。
「寝る………zzz」
「やっと寝たか………」
エスデスがむくりと起き上がる。
「無事か?」
「ああ、軽い打撲程度だ」
「それは残念だ」
ナジェンダとエスデスが会話を交わしていると、2人の男が現れる。
ーーーオーガとザンクであった。
「失礼いたします、エスデス将軍。カイドウ閣下をお迎えにあがりました」
「ああ、頼む。それと後日使いの者を出すから王宮に来てくれと伝えてくれ」
「「はっ‼︎」」
2人がカイドウを担ぎ上げ、街に消えていく。
「………さて、この惨状をどうするべきか」
「私達とやりあったとでも言えばいいだろう」
「それが妥当か」
エスデスがナジェンダの提案を受け入れる。
「そろそろ警備隊が来る頃だ」
「ああ、失礼する」
ナジェンダとアカメが立ち去る。
「………しかし、義父は何故私の正体を知っていたのだ? 別で聞かねばならないな」
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○語りside○
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ーーー妻が微笑んでいる。
ーーー食卓で、共に食事をしている。
ーーーもう、今はない光景だ。
ーーー君は向こうで幸せかい?
ーーーなあ?○○?
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○【宿屋:若木】○
「ぅぁああ………頭がいてぇ」
ベットから抜け出した俺は、食堂で飯を食べながら頭を抱える。
「昨日はかなり呑んだっくれておられましたからな‼︎」
オーガが笑いながら答える。
「おまけに散々暴れましたから。愉快愉快」
ザンクがケラケラと笑っている。
「静かにしろ。響く………」
コーヒーを飲みながら、ズキズキと痛む頭を抑える。
「とりあえず、昨日の流れを教えてくれるか?」
「「アッハイ」」
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エンド
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